特許第6904897号(P6904897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904897
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】EGRクーラシステム
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/29 20160101AFI20210708BHJP
   F02M 26/26 20160101ALI20210708BHJP
   F02M 26/32 20160101ALI20210708BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20210708BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   F02M26/29
   F02M26/26
   F02M26/32
   F16K1/22 P
   F16K1/32 B
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-247422(P2017-247422)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-113010(P2019-113010A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 満
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武蔵
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰宣
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−090772(JP,A)
【文献】 特開2016−121663(JP,A)
【文献】 特開2016−194269(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0023843(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0176538(US,A1)
【文献】 特開2019−007461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/28−26/30
F02M 26/26
F02M 26/32
F16K 1/22
F16K 1/32
F02M 26/65
F02D 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGRガスを冷却するためのEGRクーラと、前記EGRクーラを迂回するためのバイパス通路と、前記EGRクーラを通過するEGRガスの流量と前記バイパス通路を通過するEGRガスの流量とを調節するためのバイパスバルブとを備えたEGRクーラシステムにおいて、
前記EGRクーラは、長手方向へ延びるクーラ通路と、前記クーラ通路を流れるEGRガスを冷媒との間で熱交換するための熱交換手段とを備え、前記クーラ通路が第1通路端と第2通路端を含み、
前記クーラ通路と並列に配置され、第1通路端と第2通路端を含む並列通路を備え、前記並列通路の前記第1通路端が前記クーラ通路の前記第1通路端に隣接して配置され、前記並列通路の前記第2通路端が前記クーラ通路の前記第2通路端に隣接して配置され、
前記バイパスバルブは、
前記EGRクーラを通過したEGRガスが流れるクーラ流路と、前記バイパス通路を通過したEGRガスが流れるバイパス流路と、前記クーラ流路と前記バイパス流路とを仕切る隔壁とを含むハウジングと、
前記クーラ流路、前記バイパス流路及び前記隔壁を貫通するように前記ハウジングに配置され、第1軸端部と第2軸端部とを含む弁軸と、
前記クーラ流路に配置され、前記弁軸と一体に設けられたクーラ弁体と、
前記バイパス流路に配置され、前記弁軸と一体に設けられたバイパス弁体と、
前記ハウジングと前記第1軸端部との間に設けられ、前記第1軸端部を回転可能に支持するための第1軸受と、
前記ハウジングと前記第2軸端部との間に設けられ、前記第2軸端部を回転可能に支持するための第2軸受と、
前記弁軸を回転させるために前記第1軸端部に駆動連結されるモータと、
前記モータにより前記弁軸を回転させることにより前記クーラ弁体と前記バイパス弁体を開閉させるように構成されることと、
前記クーラ流路及び前記クーラ弁体が前記第1軸端部に隣接して配置されると共に、前記バイパス流路及び前記バイパス弁体が前記第2軸端部に隣接して配置されることと、
前記第1軸受が、前記第1軸端部の回転を精密に支持するために転がり軸受により構成されると共に、前記第2軸受が、前記第2軸端部から前記ハウジングへの放熱を良好にするために滑り軸受により構成されることと
を備え、
前記並列通路の前記第1通路端が前記バイパスバルブの前記バイパス流路に接続され、前記クーラ通路の前記第1通路端が前記バイパスバルブの前記クーラ流路に接続され、前記並列通路の前記第2通路端と前記クーラ通路の前記第2通路端とが連結通路を介して接続され、
前記並列通路の前記第1通路端の近傍にEGRガスを導入するためのガス導入口が設けられ、前記ガス導入口から前記第1通路端までの間で前記バイパス通路が構成され、前記ガス導入口から前記クーラ通路の前記第1通路端までの間で前記EGRガスがUターンするように流れる
ことを特徴とするEGRクーラシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のEGRクーラシステムにおいて、
前記ガス導入口には、前記並列通路の側方からEGR通路が接続されることを特徴とするEGRクーラシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のEGRクーラシステムにおいて、
前記ガス導入口には、前記並列通路から前記バイパスバルブの側へ屈曲して延びる屈曲通路が設けられ、前記屈曲通路の一端にEGR通路が接続されることを特徴とするEGRクーラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、EGRガスを冷却するEGRクーラと、EGRクーラを迂回するバイパス通路と、EGRクーラを通過するEGRガスの流量とバイパス通路を通過するEGRガスの流量とを調節するバイパスバルブとを備えたEGRクーラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される「EGRクーラシステム」が知られている。図8に、EGRクーラシステム71の概略構成を断面図により示す。図9に、EGRクーラシステム71を図8のA−A線断面図により示す。このシステム71は、いわゆるUフロー型のEGRクーラ72と、EGRクーラ72に対するEGRガスの導入と非導入とを切り替えるUフロー用のバイパスバルブ73とを備える。
【0003】
このEGRクーラ72は、内部にEGRガスがUターンするように流れる略U字形のクーラ通路74と、クーラ通路74の周囲に設けられ、エンジンの冷却水が流れる熱交換器75とを備える。ここで、クーラ通路74の入口74aと出口74bは、EGRクーラ72の長手方向における同一端側(図8図9の上側)に配置される。
【0004】
一方、Uフロー用のバイパスバルブ73は、流路を含むハウジング76と、流路を切り替える板状の弁体77と、弁体77を揺動させる弁軸78とを備える。ハウジング76の内部には、断面略Y字形の仕切壁79が形成される。この仕切壁79により、EGRガスをハウジング76の内部へ流入させる流入通路80と、ハウジング76の内部に流入したEGRガスをクーラ通路74の入口74aに導入する導入通路81と、クーラ通路74の出口74bからEGRガスが導出される導出通路82と、導出通路82のEGRガスを外部へ流出させる流出通路83とを備える。断面略Y字形の仕切壁79は、流入通路80と導入通路81とを仕切る第1壁79aと、流入通路80と導出通路82とを仕切る第2壁79bと、導入通路81と導出通路82とを仕切る第3壁79cとを備える。第1壁79aには、第1連通孔79dが形成され、第2壁79bには、第2連通孔79eが形成される。第1壁79aの流入通路80に面する側であって、第1連通孔79dの周囲は、弁体77が着座する第1弁座となっている。第2壁79bの流入通路80に面する側であって、第2連通孔79eの周囲は、弁体77が着座する第2弁座となっている。弁体77は、第1壁79aと第2壁79bとの間にて流入通路80に配置される。また、弁軸78は、第1壁79aと第2壁79bとの間の谷間(分岐部)に配置される。弁体77は、その一端側が弁軸78に固定される。
【0005】
図9に示すように、弁軸78は、その両端部がハウジング76に対し一対の軸受84a,84bを介して回動可能に支持される。各軸受84a,84bの内側端部にはシール部材85a,85bが設けられる。各軸受84a,84bには、転がり軸受ではなく、滑り軸受が使われる。弁軸78は、その一端が負圧により駆動されるアクチュエータ(図示略)に駆動連結される。そして、アクチュエータにより弁軸78を回動させて弁体77を揺動させることにより、弁体77が第1弁座に着座する位置(第1連通孔79dを閉じ、第2連通孔79eを開く位置)と、弁体77が第2弁座に着座する位置(第2連通孔79eを閉じ第1連通孔79dを開く位置)とに切り替え配置される。これにより、バイパスバルブ73の流入通路80に流入するEGRガスを、EGRクーラ72へ流してバイパスバルブ73の流出通路83から排出するクーラ流と、EGRクーラ72へ流すことなくバイパスバルブ73の流出通路83から流出するバイパス流とに切り替えるようになっている。
【0006】
ここで、Uフロー型のEGRクーラ72を有するEGRクーラシステム71では、EGRクーラ72に対するEGRガスの流入と排出が、バイパスバルブ73が配置される、EGRクーラ72の長手方向における同一端側(図8図9の上側)にて行われる。そのため、EGR通路の配管レイアウトをバイパスバルブ73に集約させることができ、車両の狭いエンコパの中で、EGR装置全体をエンジンに対しコンパクトに装備することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−257208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載のEGRクーラシステム71では、次のような問題が考えられる。すなわち、近年、EGR技術においては、EGRガス温度を任意に調節する要請が高まっている。ここで、上記したEGRクーラシステム71では、EGRガスの流れを、EGRクーラ72へ流すクーラ流とEGRクーラ72へ流さないバイパス流にしか切り替えられず、EGRガスを冷却又は非冷却にすることしかできなかった。このため、EGRガス温度については、冷却による低温と非冷却による高温しか選択できず、低温と高温との間の任意の中間温度にEGRガスを調節することができなかった。ここで、Uフロー用のバイパスバルブ73につき、その弁軸78の回転をモータと減速機構を介して駆動するように構成すれば、弁体77を中間開度に調節することができる。これによって、EGRクーラ72を通過するEGRガス流量とEGRクーラ72を通過しないEGRガス流量とを調節し、EGRガス温度を中間温度を含む任意な温度に調節できるとも考えられる。
【0009】
ところが、弁軸78の回転をモータと減速機構を介して駆動するように構成すると、弁軸78を精密かつ安定的に回転させる必要がある。また、弁軸78の回転を精密に制御するためには、その回転角度を角度センサにより検出してモータ制御に反映させる必要がある。そのためには、軸受84a,84bの少なくとも一方に転がり軸受(ボールベアリング)を使用することが必要になる。しかしながら、Uフロー用のバイパスバルブ73では、軸受84a,84bに転がり軸受を使用することが難しかった。その理由は、次の通りである。すなわち、図9に示すように、弁軸78と弁体77は、高温のEGRガスが流入する流入通路80に配置され、二つの軸受84a,84bは、その流入通路80に隣接して配置される。そのため、弁軸78や二つの軸受84a,84bが高温のEGRガスによって過熱してしまう。そのため、二つの軸受84a,84bに転がり軸受を使用すると、過熱した弁軸78の熱をハウジング76へ効率よく逃すことができなくなる。この場合、弁軸78が過熱したままとなり、シール部材85a,85bや減速機構、モータ及び角度センサ等が熱害を受けるおそれがある。例えば、減速機構を樹脂製ギヤで構成した場合は、ギヤに溶損のおそれがある。また、シール部材85a,85bにも溶損のおそれがある。そのため、精度が要求されるモータ制御の実行が困難になってしまう。その結果、Uフロー型のEGRクーラ72とUフロー用のバイパスバルブ73を備えたEGRクーラシステムでは、EGRガスを任意な中間温度に調節することができなくなってしまう。
【0010】
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、Uフロー型EGRクーラとUフロー用バイパスバルブを備えたEGRクーラシステムに対するのと同等のEGR通路の配管レイアウトを採用しながらEGRガスを任意な温度に調節することを可能としたEGRクーラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、EGRガスを冷却するためのEGRクーラと、EGRクーラを迂回するためのバイパス通路と、EGRクーラを通過するEGRガスの流量とバイパス通路を通過するEGRガスの流量とを調節するためのバイパスバルブとを備えたEGRクーラシステムにおいて、EGRクーラは、長手方向へ延びるクーラ通路と、クーラ通路を流れるEGRガスを冷媒との間で熱交換するための熱交換手段とを備え、クーラ通路が第1通路端と第2通路端を含み、クーラ通路と並列に配置され、第1通路端と第2通路端を含む並列通路を備え、並列通路の第1通路端がクーラ通路の第1通路端に隣接して配置され、並列通路の第2通路端がクーラ通路の第2通路端に隣接して配置され、バイパスバルブは、EGRクーラを通過したEGRガスが流れるクーラ流路と、バイパス通路を通過したEGRガスが流れるバイパス流路と、クーラ流路とバイパス流路とを仕切る隔壁とを含むハウジングと、クーラ流路、バイパス流路及び隔壁を貫通するようにハウジングに配置され、第1軸端部と第2軸端部とを含む弁軸と、クーラ流路に配置され、弁軸と一体に設けられたクーラ弁体と、バイパス流路に配置され、弁軸と一体に設けられたバイパス弁体と、ハウジングと第1軸端部との間に設けられ、第1軸端部を回転可能に支持するための第1軸受と、ハウジングと第2軸端部との間に設けられ、第2軸端部を回転可能に支持するための第2軸受と、弁軸を回転させるために第1軸端部に駆動連結されるモータと、モータにより弁軸を回転させることによりクーラ弁体とバイパス弁体を開閉させるように構成されることと、クーラ流路及びクーラ弁体が第1軸端部に隣接して配置されると共に、バイパス流路及びバイパス弁体が第2軸端部に隣接して配置されることと、第1軸受が、第1軸端部の回転を精密に支持するために転がり軸受により構成されると共に、第2軸受が、第2軸端部からハウジングへの放熱を良好にするために滑り軸受により構成されることとを備え、並列通路の第1通路端がバイパスバルブのバイパス流路に接続され、クーラ通路の第1通路端がバイパスバルブのクーラ流路に接続され、並列通路の第2通路端とクーラ通路の第2通路端とが連結通路を介して接続され、並列通路の第1通路端の近傍にEGRガスを導入するためのガス導入口が設けられ、ガス導入口から第1通路端までの間でバイパス通路が構成され、ガス導入口からクーラ通路の第1通路端までの間でEGRガスがUターンするように流れることを趣旨とする。
【0012】
上記技術の構成によれば、バイパスバルブのハウジングにおいて、EGRクーラを流れて冷却されたEGRガスがクーラ流路を通過し、バイパス通路を流れて冷却されないEGRガスがバイパス流路を通過する。そして、クーラ流路に配置されたクーラ弁体が第1軸端部に隣接して配置され、バイパス流路に配置されたバイパス弁体が第2軸端部に隣接して配置される。従って、クーラ流路を流れるEGRガスから第1軸端部へ伝わる熱量が、バイパス流路を流れるEGRガスから第2軸端部へ伝わる熱量よりも少なくなり、第1軸端部の温度が相対的に低くなり、第1軸端部の過熱が抑えられる。また、第1軸端部がモータに駆動連結され、その第1軸端部を支持する第1軸受が転がり軸受により構成されるので、第1軸端部の回転が第1軸受により精密に支持される。更に、第2軸端部を支持する第2軸受が、放熱性の良好な滑り軸受により構成されるので、第2軸端部からハウジングへ逃げる熱量が多くなり、第2軸端部の温度が低くなり、第2軸端部の過熱が抑えられる。加えて、並列通路の第1通路端の近傍にEGRガスを導入するガス導入口が設けられ、ガス導入口から第1通路端までの間でバイパス通路が構成され、ガス導入口からクーラ通路の第1通路端までの間でEGRガスがUターンするように流れる。また、互いに隣接して配置されるクーラ通路の第1通路端と並列通路の第1通路端に、それぞれバイパスバルブのクーラ流路とバイパス流路が接続される。従って、EGRガスを導入するガス導入口と、EGRガスを導出するバイパスバルブとが、EGRクーラの長手方向における同一端側に配置されて互いに近付けられる。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、ガス導入口には、並列通路の側方からEGR通路が接続されることを趣旨とする。
【0014】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、並列通路の側方からEGR通路が接続されるので、EGR通路の配管がバイパスバルブに近付けられる。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、ガス導入口には、並列通路からバイパスバルブの側へ屈曲して延びる屈曲通路が設けられ、屈曲通路の一端にEGR通路が接続されることを趣旨とする。
【0016】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、屈曲通路がバイパスバルブの側へ屈曲して延びるので、EGR通路の上流側配管と下流側配管の両方が、バイパスバルブに近付けられる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の技術によれば、Uフロー型EGRクーラとUフロー用バイパスバルブを備えたEGRクーラシステムに対するのと同等のEGR通路の配管レイアウトを採用することができ、併せてEGRガスを任意な温度に調節することができる。
【0018】
請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、EGR通路の配管レイアウトをバイパスバルブとその近傍に集約させることができる。
【0019】
請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、EGR通路の配管レイアウトをバイパスバルブに集約させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係り、EGRクーラシステムを示す平面図。
図2】第1実施形態に係り、EGRクーラシステムを示す正面図。
図3】第1実施形態に係り、EGRクーラシステムを示す左側面図。
図4】第1実施形態に係り、バイパスバルブの詳しい構成の一例を示す断面図。
図5】第2実施形態に係り、EGRクーラシステムを示す平面図。
図6】第2実施形態に係り、EGRクーラシステムを示す正面図。
図7】第2実施形態に係り、EGRクーラシステムを示す左側面図。
図8】従来例に係り、EGRクーラシステムの概略構成を示す断面図。
図9】従来例に係り、EGRクーラシステムを示す図8のA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、EGRクーラシステムを具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
[EGRクーラシステムの概要]
図1に、この実施形態のEGRクーラシステム1を平面図により示す。図2に、同じくEGRクーラシステム1を正面図により示す。図3に、同じくEGRクーラシステム1を左側面図により示す。このEGRクーラシステム1は、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ2と、EGRクーラ2を迂回するためのバイパス通路3と、EGRクーラ2を通過するEGRガスの流量(クーラ流量)とバイパス通路3を通過するEGRガスの流量(バイパス流量)とを調節するためのバイパスバルブ4とを備える。
【0023】
[EGRクーラについて]
図1図2に示すように、EGRクーラ2は、長手方向へ延びるクーラ通路5と、クーラ通路5を流れるEGRガスを冷媒との間で熱交換するための熱交換器6とを備える。熱交換器6は、この開示技術における熱交換手段の一例に相当する。熱交換器6は、周知の構成を備え、冷媒としてエンジンの冷却水が流れるようになっている。クーラ通路5は、所定の長さを有し、その両端に第1通路端5a(図1図2の左端)と第2通路端5b(図1図2の右端)を含む。
【0024】
[並列通路について]
図1図2に示すように、EGRクーラシステム1は、クーラ通路5と並列に配置された並列通路7を更に備える。並列通路7は、所定の長さを有し、その両端に第1通路端7a(図1図2の左端)と第2通路端7b(図1図2の右端)を含む。並列通路7の第1通路端7aは、クーラ通路5の第1通路端5aに隣接して配置される。並列通路7の第2通路端7bは、クーラ通路5の第2通路端5bに隣接して配置される。クーラ通路5の第1通路端5aと並列通路7の第1通路端7aには、一つのクーラフランジ8が一体に設けられ、両通路端5a,7aはクーラフランジ8にて開口する。
【0025】
[バイパスバルブについて]
図3に示すように、バイパスバルブ4は、ハウジング11を備える。ハウジング11は、EGRクーラ2(クーラ通路5)を通過したEGRガスが流れるクーラ流路17と、バイパス通路3を通過したEGRガスが流れるバイパス流路18と、クーラ流路17とバイパス流路18とを仕切る隔壁21とを含む。ハウジング11には、クーラ流路17、バイパス流路18及び隔壁21を貫通するように弁軸14が配置される。クーラ流路17には、同流路17を開閉するための板状をなすクーラ弁体12が配置される。バイパス流路18には、同流路18を開閉するための板状をなすバイパス弁体13が配置される。クーラ弁体12及びバイパス弁体13はそれぞれバタフライ式弁体であり、一つの弁軸14に一体に固定される。図1図2に示すように、ハウジング11の軸方向(各流路17,18が伸びる方向)における両端には、それぞれバルブフランジ11a,11bが一体に設けられる。
【0026】
図1図2に示すように、並列通路7の第1通路端7aは、バイパスバルブ4のバイパス流路18に接続される。クーラ通路5の第1通路端5aは、バイパスバルブ4のクーラ流路17に接続される。これらの接続は、クーラフランジ8とバルブフランジ11bの接続によって行われる。両フランジ8,11bの接続はボルト及びナット(図示略)により行うことができる。一方、並列通路7の第2通路端7bとクーラ通路5の第2通路端5bとは、連結通路9を介して接続される。また、並列通路7の第1通路端7aの近傍には、EGRガスを導入するためのガス導入口10が設けられる。このガス導入口10には、並列通路7の側方からEGR通路50に接続されるようになっている。すなわち、ガス導入口10には、並列通路7に直交しながら水平方向へ伸びる管継手45が設けられ、同継手45に対しEGR通路50の上流側が接続されるようになっている。並列通路7において、ガス導入口10から第1通路端7aまでの間(図2に矢印F1で示す部分)によりバイパス通路3が構成される。ここで、ガス導入口10の位置を、並列通路7の第1通路端7aに近付けるほど、バイパス通路3を短くすることができる。そして、ガス導入口10に導入されたEGRガスは、バイパスバルブ4のクーラ弁体12を開弁し、バイパス弁体13を閉弁することにより、図1に破線矢印で示すように、ガス導入口10から並列通路7、連結通路9及びクーラ通路5を経由してクーラ通路5の第1通路端5aまでの間でUターンするように流れるようになっている。一方、ガス導入口10に導入されたEGRガスは、バイパスバルブ4のクーラ弁体12を閉弁し、バイパス弁体13を開弁することにより、図1に実線(太線)矢印で示すように、ガス導入口10からバイパス通路3を経由して並列通路7の第1通路端7aまでの間で直線的に流れるようになっている。また、バイパスバルブ4の出口側には、出口パイプ51が接続されるようになっている。図1に示すように、出口パイプ51は、バイパスバルブ4のクーラ流路17、バイパス流路18から流れ出るEGRガスを集合させてEGR通路の下流側へ流すようになっている。
【0027】
図4に、バイパスバルブ4の詳しい構成の一例を断面図により示す。図4に示すように、バイパスバルブ4は、EGRクーラ2を通過するEGRガスのクーラ流量と、バイパス通路3を通過するEGRガスのバイパス流量とを同時に調節するようになっている。このバイパスバルブ4は、直列二弁タイプであって、主要な構成要素として、前述したハウジング11、クーラ弁体12、バイパス弁体13及び弁軸14の他に、減速機構15及びDCモータ16を備える。ハウジング11は、クーラ流路17及びバイパス流路18を含むアルミ製の本体ハウジング19と、本体ハウジング19の開口端を閉鎖する合成樹脂製のエンドフレーム20とを含む。二つの弁体12,13、弁軸14及びDCモータ16は、本体ハウジング19に設けられる。減速機構15は、本体ハウジング19とエンドフレーム20との間に設けられる。
【0028】
本体ハウジング19は、クーラ流路17、バイパス流路18及び隔壁21を含む。クーラ流路17には、クーラ弁体12が配置され、バイパス流路18には、バイパス弁体13が配置される。弁軸14は、本体ハウジング19にて、二つの軸受22,23を介して回転可能に支持される。クーラ弁体12とバイパス弁体13は、互いに位相を所定角度ずらした状態で弁軸14上に固定される。従って、弁軸14を一方向へ回転させることにより、クーラ弁体12が開方向へ回動すると共にバイパス弁体13が閉方向へ回動する。一方、弁軸14を逆方向へ回転させることにより、クーラ弁体12が閉方向へ回動すると共にバイパス弁体13が開方向へ回動する。図4は、クーラ弁体12が全閉でバイパス弁体13が全開の状態を示す。
【0029】
図4に示すように、弁軸14は、その両端に第1軸端部14aと第2軸端部14bを含む。二つの弁体12,13は、第1軸端部14aと第2軸端部14bとの間にて弁軸14上に固定される。クーラ流路17及びクーラ弁体12は、第1軸端部14aに隣接して配置され、バイパス流路18及びバイパス弁体13は、第2軸端部14bに隣接して配置される。ここで、第1軸端部14aは、クーラ弁体12より外側(弁軸14の一端側)の全範囲を含み、第2軸端部14bは、バイパス弁体13より外側(弁軸14の他端側)の全範囲を含むと定義することができる。本体ハウジング19と第1軸端部14aとの間には、第1軸受22が設けられる。一方、本体ハウジング19と第2軸端部14bとの間には、第2軸受23が設けられる。また、本体ハウジング19には、第2軸端部14bの先端に対応して、弁軸14の軸方向への位置ずれを防止するためのリテーナ25が設けられる。このリテーナ25と第2軸端部14bとの間には、弁軸14を回転方向へ付勢するためのスプリング(図示略)が設けられる。更に、クーラ弁体12と第1軸受22との間にて、第1軸受22のクーラ弁体12に近い側面には、その側面に隣接して、第1軸端部14aと本体ハウジング19との間をシールするための第1シール部材26が設けられる。また、バイパス弁体13と第2軸受23との間にて、第2軸受23のバイパス弁体13に近い側面には、その側面に隣接して、第2軸端部14bと本体ハウジング19との間をシールするための第2シール部材27が設けられる。両シール部材26,27は、樹脂又はゴムを要素として構成される。これらシール部材26,27として、例えば、「PTFEシール」を採用することができる。第1シール部材26は、クーラ流路17から第1軸端部14aと本体ハウジング19との間への異物や水分の侵入を防止するようになっている。第2シール部材27は、バイパス流路18から第2軸端部14bと本体ハウジング19との間への異物や水分の侵入を防止するようになっている。
【0030】
図4において、エンドフレーム20は、本体ハウジング19に対し複数のクリップ(図示略)により着脱可能に固定される。エンドフレーム20の内側には、第1軸端部14aの先端に対応して配置され、各弁体12,13の開度(バルブ開度)を検出するための開度センサ31が設けられる。この開度センサ31は、ホールIC等により構成され、弁軸14の回転角度をバルブ開度として検出するように構成される。第1軸端部14aの先端には、被動ギヤである弁ギヤ32が固定される。弁ギヤ32は、樹脂より形成される。ここで、弁ギヤ32の中心には、金属製のレバー28がインサート成形により一体に設けられる。レバー28の中心には、中心孔28aが形成される。第1軸端部14aの先端が、この中心孔28aに嵌め入れられて溶接される。すなわち、第1軸端部14aの先端がレバー28を介して弁ギヤ32に連結され、弁ギヤ32と一体回転可能に構成される。また、弁ギヤ32と本体ハウジング19との間には、各弁体12,13を閉方向又は開方向へ付勢するためのリターンスプリング33が設けられる。弁ギヤ32の表側には、凹部32aが形成される。この凹部32aには、磁石34が収容される。この磁石34は、板ばねよりなる押さえ板35により固定される。従って、弁ギヤ32が、各弁体12,13及び弁軸14と一体に回転することにより、磁石34の磁界が変化し、その磁界の変化を開度センサ31がバルブ開度として検出するようになっている。
【0031】
この実施形態で、DCモータ16は、本体ハウジング19に形成された凹部19aに収容され、その両端が留め材36と板ばね37を介して本体ハウジング19に固定される。図4に示すように、DCモータ16は、各弁体12,13を開閉駆動するために、減速機構15を介して弁軸14に駆動連結される。DCモータ16の出力軸16a上には、モータギヤ38が固定される。モータギヤ38は、中間ギヤ39を介して弁ギヤ32に駆動連結される。中間ギヤ39は、大径ギヤ39aと小径ギヤ39bを含む二段ギヤであり、ピンシャフト40を介して本体ハウジング19に回転可能に支持される。大径ギヤ39aには、モータギヤ38が連結され、小径ギヤ39bには、弁ギヤ32が連結される。この実施形態では、減速機構15を構成する弁ギヤ32と中間ギヤ39が、軽量化のために樹脂より形成される。
【0032】
上記したように、このバイパスバルブ4は、弁軸14を回転させて各弁体12,13を開閉させることにより、各流路17,18におけるEGRガスの流量を制御するように構成される。従って、例えば、クーラ弁体12の全閉状態及びバイパス弁体13の全開状態から、DCモータ16が通電により作動し、モータギヤ38が一方向へ回転することにより、その回転が中間ギヤ39により減速されて弁ギヤ32に伝達される。これにより、弁軸14及び各弁体12,13が、リターンスプリング33の付勢力に抗して回動され、クーラ流路17が開かれ、バイパス流路18が閉じられる。また、各弁体12,13をある開度に保持するために、DCモータ16に通電により回転力を発生させることにより、その回転力がモータギヤ38、中間ギヤ39及び弁ギヤ32を介し保持力として弁軸14及び各弁体12,13に伝達される。この保持力がリターンスプリング33の付勢力に均衡することにより、各弁体12,13がそれぞれある中間開度に保持される。また、図4に示すように、クーラ弁体12が全閉位置に配置されたときは、バイパス弁体13が全開位置に配置され、EGRクーラを迂回した冷却されないEGRガスがバイパス通路3及びバイパス流路18を流れる。また、クーラ弁体12が全開位置に配置されたときは、バイパス弁体13が全閉位置に配置され、EGRクーラ2で冷却されたEGRガスがクーラ通路5及びクーラ流路17を流れる。この実施形態で、両弁体12,13はそれぞれ全閉位置と全開位置に切り替え配置されると共に、全閉位置と全開位置との間の任意の中間開度に配置可能となっている。このように両弁体12,13の開度を制御することにより、クーラ流路17を通過するクーラ流量とバイパス流路18を通過するバイパス流量をそれぞれ調節し、それらを合流させたEGRガスの温度を任意に制御できるようになっている。
【0033】
ここで、弁軸14の第1軸端部14aは、弁ギヤ32等を含む減速機構15を介してDCモータ16に駆動連結される。また、弁ギヤ32には、バルブ開度を検出するための開度センサ31に対応する磁石34が固定される。そのため、第1軸端部14aの回転を精密(リジッド)に支持する必要がある。また、各シール部材26,27は樹脂又はゴムを要素として構成されることから、各流路17,18を流れるEGRガスによる熱害から各シール部材26,27を保護する必要がある。特に、バイパス流路18には、EGRクーラで冷却されない高温(「720℃」前後)のEGRガスが流れることから、第2シール部材27の熱害が特に問題となる。同様に、樹脂製の弁ギヤ32もEGRガスによる熱害から保護する必要がある。そこで、この実施形態のバイパスバルブ4は、上記課題に対処するために、次のような技術的特徴を備える。
【0034】
この実施形態では、クーラ流路17及びクーラ弁体12が、第1軸端部14aに隣接して配置され、バイパス流路18及びバイパス弁体13が、第2軸端部14bに隣接して配置される。また、第1軸受22が、第1軸端部14aの回転を精密に支持するために、高い精度と耐熱性を確保できる転がり軸受(ボールベアリング)により構成される。ここで、転がり軸受は、第1軸端部14aに伝わる熱を本体ハウジング19へ逃がすことはできるが、その伝熱性は滑り軸受に比べて小さい。一方、第2軸受23が、第2軸端部14bから本体ハウジング19への放熱を促進するために滑り軸受により構成される。第2軸端部14bには、バイパス流路18を流れる高温のEGRガスの熱が伝わるので、その熱を本体ハウジング19へ円滑に逃がすために滑り軸受が採用される。加えて、第2軸受23の近傍にて本体ハウジング19には、冷却水が流れる冷却水通路19bが形成される。この冷却水通路19bを流れる冷却水によって、第2軸受23及び第2軸端部14bを冷却するようになっている。
【0035】
以上説明したこの実施形態のEGRクーラシステム1の構成によれば、バイパスバルブ4において、弁軸14の第1軸端部14aと第2軸端部14bが、それぞれ第1軸受22と第2軸受23を介して本体ハウジング19に回転可能に支持される。また、弁軸14を回転させるために、第1軸端部14aの先端が弁ギヤ32を含む減速機構15を介してDCモータ16に駆動連結される。そして、弁軸14を減速機構15等により回転させて各弁体12,13を開閉させることにより、各流路17,18におけるEGRガス流量が調節され、バイパスバルブ4から流れ出る、すなわち出口パイプ51から流れ出るEGRガスの温度が調節される。
【0036】
ここで、バイパスバルブ4の本体ハウジング19において、EGRクーラ2(クーラ通路5及び熱交換器6)を流れて冷却されたEGRガスがクーラ流路17を通過し、バイパス通路3を流れて冷却されないEGRガスがバイパス流路18を通過する。そして、クーラ流路17及びクーラ弁体12が第1軸端部14aに隣接して配置され、バイパス流路18及びバイパス弁体13が第2軸端部14bに隣接して配置される。従って、クーラ流路17を流れるEGRガスからクーラ弁体12及び第1軸端部14aへ伝わる熱量が、バイパス流路18を流れるEGRガスからバイパス弁体13及び第2軸端部14bへ伝わる熱量よりも少なくなり、第1軸端部14aの温度が相対的に低くなり、第1軸端部14a及び第1シール部材26の過熱が抑えられる。このため、EGRガスによる熱害に対し第1シール部材26の熱劣化を抑えることができ、第1シール部材26の耐熱性を確保することができる。換言すると、第1シール部材26をEGRガスの熱害から保護することができる。また、第1軸端部14aの先端に減速機構15を構成する樹脂製の弁ギヤ32が固定され、その第1軸端部14aを支持する第1軸受22が転がり軸受により構成される。従って、弁ギヤ32と共に第1軸端部14aの回転が第1軸受22により精密に支持される。このため、弁軸14の減速機構15に対する精密かつ安定的な駆動連結を確保することができる。また、弁ギヤ32と中間ギヤ39との噛み合いを円滑にして両ギヤ32,39の摩耗を抑制することができる。更に、弁軸14を精密かつ安定的に回転させることができるので、弁ギヤ32と一体に回転する磁石34の磁界変化を開度センサ31によって正確に検出することができ、高い検出精度を確保することができる。更に、第2軸端部14bを支持する第2軸受23が、放熱性の良好な滑り軸受により構成される。従って、第2軸端部14bから本体ハウジング19へ逃げる熱量が多くなり、第2軸端部14bの温度が低くなり、第2軸端部14b及び第2シール部材27の過熱が抑えられる。このため、EGRガスによる熱害に対し第2シール部材27の熱劣化を抑えることができ、第2シール部材27の耐熱性を確保することができる。換言すると、第2シール部材27をEGRガスの熱害から保護することができる。
【0037】
この実施形態の構成によれば、第2軸受23の近傍に冷却水通路19bが設けられるので、第2軸受23から本体ハウジング19へ逃げる熱が冷却水通路19bの冷却水へ逃がされる。この意味で、第2軸端部14bを効果的に冷却することができ、第2シール部材27の熱劣化をより効果的に抑えることができる。
【0038】
また、この実施形態の構成によれば、並列通路7の第1通路端7aの近傍にEGRガスを導入するガス導入口10が設けられ、ガス導入口10から第1通路端7aまでの間でバイパス通路3が構成され、ガス導入口10からクーラ通路5の第1通路端5aまでの間でEGRガスがUターンするように流れる。また、互いに隣接して配置されるクーラ通路5の第1通路端5aと並列通路7の第1通路端7aに、それぞれバイパスバルブ4のクーラ流路17とバイパス流路18が接続される。従って、EGRガスを導入するガス導入口10と、EGRガスを導出するバイパスバルブ4とが、EGRクーラ2の長手方向における同一端側に配置されて互いに近付けられる。このため、Uフロー型EGRクーラとUフロー用バイパスバルブを備えたEGRクーラシステムに対するのと同等のEGR通路の配管レイアウトを、このEGRクーラシステム1に対して採用することができる。すなわち、このEGRクーラシステム1では、EGRクーラ2に対するEGRガスの流入と排出が、EGRクーラ2の長手方向における同一端側(図1図2に示すEGRクーラ2の左側)にて、バイパスバルブ4と並列通路7を介して行われる。また、並列通路7の側方からEGR通路50の上流側が接続されるので、EGR通路50の配管がバイパスバルブ4に近付けられる。このため、EGR通路50の配管レイアウトをバイパスバルブ4とその近傍に集約させることができる。この結果、車両の狭いエンコパの中で、EGR装置全体をエンジンに対しコンパクトに装備することができるようになる。
【0039】
<第2実施形態>
次に、EGRクーラシステムを具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
なお、以下の説明において前記第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0041】
図5に、EGRクーラシステム1を図1に準ずる平面図により示す。図6に、EGRクーラシステム1を図2に準ず正面図により示す。図7に、EGRクーラシステム1を図3に準ずる左側面図により示す。この実施形態では、並列通路7に設けられるガス導入口10に対する配管の点で第1実施形態と構成が異なる。すなわち、図5図7に示すように、ガス導入口10には、並列通路7からバイパスバルブ4の側へ屈曲して延びる屈曲通路46が設けられる。屈曲通路46の一端側は、クーラフランジ8から上方へ突出したブラケット47に固定される。このブラケット47には、取付板48及びボルト49を介してEGR通路50の上流側が接続されるようになっている。この実施形態におけるEGRクーラシステム1のその他の構成は、第1実施形態のそれと同じである。
【0042】
従って、この実施形態の構成によれば、屈曲通路46がバイパスバルブ4の側へ屈曲して延びるので、EGR通路50の上流側配管と下流側配管(出口パイプ51を含む。)の両方が、バイパスバルブ4に近付けられる。特に、EGR通路50の上流側配管が、第1実施形態よりもバイパスバルブ4に近付けられる。このため、EGR通路50の配管レイアウトをバイパスバルブ4に集約させることができる。この結果、車両の狭いエンコパの中で、EGR装置全体をエンジンに対しコンパクトに装備することができるようになる。この実施形態におけるその他の作用及び効果は、第1実施形態のそれと同じである。
【0043】
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0044】
(1)前記各実施形態では、図1図5において、正面側に並列通路7を配置し、背面側にEGRクーラ2を配置したが、これら並列通路とEGRクーラの配置を入れ替えることもできる。
【0045】
(2)前記各実施形態では、図1図5において、左側にバイパスバルブ4を配置し、右側に連結通路9を配置したが、これらバイパスバルブと連結通路の配置を入れ替えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この開示技術は、エンジンに設けられるEGR装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 EGRクーラシステム
2 EGRクーラ
3 バイパス通路
4 バイパスバルブ
5 クーラ通路
5a 第1通路端
5b 第2通路端
6 熱交換器(熱交換手段)
7 並列通路
7a 第1通路端
7b 第2通路端
9 連結通路
10 ガス導入口
11 ハウジング
12 クーラ弁体
13 バイパス弁体
14 弁軸
14a 第1軸端部
14b 第2軸端部
16 DCモータ
17 クーラ流路
18 バイパス流路
21 隔壁
22 第1軸受
23 第2軸受
45 管継手
46 屈曲通路
50 EGR通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9