特許第6904913号(P6904913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6904913撮像装置、撮像方法、プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904913
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/243 20060101AFI20210708BHJP
   G03B 7/20 20210101ALI20210708BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20210708BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20210708BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210708BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   H04N5/243
   G03B7/20
   G03B17/14
   G03B17/56 Z
   H04N5/225 400
   H04N5/232 030
   H04N5/232 290
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-16542(P2018-16542)
(22)【出願日】2018年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-134363(P2019-134363A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 杰旻
(72)【発明者】
【氏名】盧 青宇
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−236243(JP,A)
【文献】 特開2013−251821(JP,A)
【文献】 特開2012−203142(JP,A)
【文献】 特開2014−183565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/243
G03B 7/20
G03B 17/14
G03B 17/56
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する撮像素子及び第1の処理部を有するカメラ本体と、
被写体からの光を集光して前記撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、
前記カメラ本体に装着され、前記レンズユニットが装着されたマウントアダプタと、
を備え、
前記マウントアダプタは、撮像時に開いて前記光を通過させ、非撮像時に閉じて前記光を遮断するシャッタを有し、
前記第1の処理部は、
前記シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得し、
前記補正データに基づいて、前記画像の輝度を調整し、
前記マウントアダプタは、更に、
前記レンズユニット毎に異なる複数の前記補正データを保持する記憶部と、
第2の処理部と、
前記カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有し、
前記レンズユニットは、前記マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有さず、
前記第1の処理部は、前記記憶部から、前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを取得し、
前記第2の処理部は、
前記第1の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報を指定する操作情報を取得し、
前記第1の電子接点を介して、前記操作情報で指定されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを前記カメラ本体へ送る、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1の処理部は、前記レンズによるシェーディングパターン及びシャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正データは、前記画像の中心部に対する輝度調整量よりも、前記画像の端部に対する輝度調整量が大きいデータである、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記マウントアダプタは、
第2の処理部と、
前記カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有し、
前記レンズユニットは、前記マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有し、
前記第2の処理部は、
前記第2の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報を前記レンズユニットから取得し、
前記第1の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを前記カメラ本体へ送る、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の処理部は、
前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが前記記憶部に保持されていない旨の情報を取得し、
前記レンズユニットの識別情報に対応する補正データを外部サーバから取得する、
請求項のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の処理部は、
前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが前記記憶部に保持されていない旨の情報を取得し、
前記撮像素子を介して、所定の面を撮像した第2の画像を取得し、
前記第2の画像の輝度に基づいて、前記レンズユニットの識別情報に対応する補正データを生成する、
請求項のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
画像を撮像する撮像素子を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して前記撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、前記カメラ本体に装着され、前記レンズユニットが装着され、撮像時に開いて前記光を通過させ、非撮像時に閉じて前記光を遮断するシャッタを有するマウントアダプタと、を備える撮像装置における撮像方法であって、
前記マウントアダプタは、更に、
前記レンズユニット毎に異なる複数の補正データを保持する記憶部と、
前記カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有し、
前記レンズユニットは、前記マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有さず、
前記カメラ本体において、前記シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された前記補正データを取得するステップと、
前記カメラ本体において、前記補正データに基づいて、前記画像の輝度を調整するステップと、を有し、
前記補正データを取得するステップは、前記記憶部から、前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを取得するステップを含み、
前記撮像方法は、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報を指定する操作情報を取得するステップと、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記操作情報で指定されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを前記カメラ本体へ送るステップと、を更に含む、
撮像方法。
【請求項8】
前記補正データを取得するステップは、前記レンズによるシェーディングパターン及びシャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップを含む、
請求項に記載の撮像方法。
【請求項9】
前記補正データは、前記画像の中心部に対する輝度調整量よりも、前記画像の端部に対する輝度調整量が大きいデータである、
請求項またはに記載の撮像方法。
【請求項10】
前記マウントアダプタは、
前記カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有し、
前記レンズユニットは、前記マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有し、
前記マウントアダプタにおいて、前記第2の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報を前記レンズユニットから取得するステップと、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを前記カメラ本体へ送るステップと、を更に含む、
請求項に記載の撮像方法。
【請求項11】
前記補正データを取得するステップは、
前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが前記記憶部に保持されていない旨の情報を取得するステップと、
前記レンズユニットの識別情報に対応する補正データを外部サーバから取得するステップと、を含む、
請求項10のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項12】
前記補正データを取得するステップは、
前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが前記記憶部に保持されていない旨の情報を取得するステップと、
前記撮像素子を介して、所定の面を撮像した第2の画像を取得するステップと、
前記第2の画像の輝度に基づいて、前記レンズユニットの識別情報に対応する補正データを生成するステップと、を含む、
請求項10のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項13】
画像を撮像する撮像素子を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して前記撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、前記カメラ本体に装着され、前記レンズユニットが装着され、撮像時に開いて前記光を通過させ、非撮像時に閉じて前記光を遮断するシャッタを有するマウントアダプタと、を備える撮像装置に、
前記カメラ本体において、前記シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップと、
前記カメラ本体において、前記補正データに基づいて、前記画像の輝度を調整するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記マウントアダプタは、更に、
前記レンズユニット毎に異なる複数の前記補正データを保持する記憶部と、
前記カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有し、
前記レンズユニットは、前記マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有さず、
前記補正データを取得するステップは、前記記憶部から、前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを取得するステップを含み、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報を指定する操作情報を取得するステップと、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記操作情報で指定されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを前記カメラ本体へ送るステップと、
を更に前記撮像装置に実行させるためのプログラム
【請求項14】
画像を撮像する撮像素子を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して前記撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、前記カメラ本体に装着され、前記レンズユニットが装着され、撮像時に開いて前記光を通過させ、非撮像時に閉じて前記光を遮断するシャッタを有するマウントアダプタと、を備える撮像装置に、
前記カメラ本体において、前記シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップと、
前記カメラ本体において、前記補正データに基づいて、前記画像の輝度を調整するステップと、
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体であって、
前記マウントアダプタは、更に、
前記レンズユニット毎に異なる複数の前記補正データを保持する記憶部と、
前記カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有し、
前記レンズユニットは、前記マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有さず、
前記補正データを取得するステップは、前記記憶部から、前記マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを取得するステップを含み、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記レンズユニットの識別情報を指定する操作情報を取得するステップと、
前記マウントアダプタにおいて、前記第1の電子接点を介して、前記操作情報で指定されたレンズユニットの識別情報に対応する前記補正データを前記カメラ本体へ送るステップと、
を更に前記撮像装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、撮像方法、露光制御方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置は、イメージセンサを含むカメラ本体と、イメージセンサに光を集光するレンズを含むレンズユニットと、を備えた構成を有する。また、交換可能なレンズユニットを用いる場合、通常、同一メーカのカメラ本体とレンズユニットとの組み合わせが可能である。また、マウントアダプタを介して、カメラ本体とレンズユニットを連結することで、異なるメーカのカメラ本体とレンズユニットとを様々に組み合わせることが可能である。
【0003】
また、撮像装置において、シャッタは、非撮像時にイメージセンサに光が当たらないように遮り、また、撮像時にイメージセンサに入射する光の量を制限し、また、イメージセンサに結像する光学像のぶれを抑えるために、必要であり、光軸上に配置される。
【0004】
従来、カメラ本体の内部にシャッタが配置された撮像装置が知られている(特許文献1、2参照)。また、レンズユニットの内部にシャッタが配置された撮像装置が知られている(特許文献3参照)。また、マウントアダプタの内部にシャッタが配置された撮像装置が知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−262658号公報
【特許文献2】特開2011−191616号公報
【特許文献3】特開平07−140532号公報
【特許文献4】特開2014−52605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラ本体、レンズユニット、及びマウントアダプタは、交換可能に様々な組み合わせで接続され得る。例えば、シャッタが内蔵されないカメラ本体と、シャッタが内蔵されないレンズユニットと、シャッタが内蔵されたマウントアダプタが組み合わせられ得る。この場合、イメージセンサに光学像を結像させる際、以下のような事情がある。
【0007】
マウントアダプタに内蔵されるシャッタは、結像レンズからイメージセンサに向かう航路の途中に配置される。結像レンズからイメージセンサに集光する光の光径に合わせて、シャッタの外形(口径)を大きくしてその開度を広くすると、シャッタの開閉にかかる時間が長くなる。この場合、シャッタスピード(例えば1/200秒)が制限されることがある。一方、シャッタの外形を小さくしてその開度を狭くすると、シャッタの内側に突出するエッジが入射する被写体光の一部を遮断し得る。この結果、イメージセンサで光学像を撮像する際、シャッタの内側のエッジによって光が遮られることで、イメージセンサの周縁部で被写体光の光量が低下し、シェーディング現象(シャッタによるシェーディング現象)が発生し得る。この場合、イメージセンサで撮像される画像は、画像における位置によって光量の画像になり難い。
【0008】
シャッタが内蔵されたマウントアダプタを介して、カメラ本体とレンズユニットとを組み合わせた場合であっても、均一な光量の画像が得られることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、撮像装置は、画像を撮像する撮像素子及び第1の処理部を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、カメラ本体に装着され、レンズユニットが装着されたマウントアダプタと、を備え、マウントアダプタは、撮像時に開いて光を通過させ、非撮像時に閉じて光を遮断するシャッタを有し、第1の処理部は、シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得し、補正データに基づいて、画像の輝度を調整する、
【0010】
第1の処理部は、レンズによるシェーディングパターン及びシャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得してよい。
【0011】
補正データは、画像の中心部に対する輝度調整量よりも、画像の端部に対する輝度調整量が大きいデータでよい。
【0012】
マウントアダプタは、レンズユニット毎に異なる複数の補正データを保持する記憶部を備えてよい。第1の処理部は、記憶部から、マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データを取得してよい。
【0013】
マウントアダプタは、第2の処理部と、カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有してよい。レンズユニットは、マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有してよい。第2の処理部は、第2の電子接点を介して、レンズユニットの識別情報をレンズユニットから取得し、第1の電子接点を介して、レンズユニットの識別情報に対応する補正データをカメラ本体へ送ってよい。
【0014】
マウントアダプタは、第2の処理部と、カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有してよい。レンズユニットは、マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有さなくてよい。第2の処理部は、第1の電子接点を介して、レンズユニットの識別情報を指定する操作情報を取得し、第1の電子接点を介して、操作情報で指定されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データをカメラ本体へ送ってよい。
【0015】
第1の処理部は、マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが記憶部に保持されていない旨の情報を取得し、レンズユニットの識別情報に対応する補正データを外部サーバから取得してよい。
【0016】
第1の処理部は、マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが記憶部に保持されていない旨の情報を取得し、撮像素子を介して、所定の面を撮像した第2の画像を取得し、第2の画像の輝度に基づいて、レンズユニットの識別情報に対応する補正データを生成してよい。
【0017】
一態様において、撮像方法は、画像を撮像する撮像素子を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、カメラ本体に装着され、レンズユニットが装着され、撮像時に開いて光を通過させ、非撮像時に閉じて光を遮断するシャッタを有するマウントアダプタと、を備える撮像装置における撮像方法であって、カメラ本体において、シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップと、カメラ本体において、補正データに基づいて、画像の輝度を調整するステップと、を有する。
【0018】
補正データを取得するステップは、レンズによるシェーディングパターン及びシャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップを含んでよい。
【0019】
補正データは、画像の中心部に対する輝度調整量よりも、画像の端部に対する輝度調整量が大きいデータでよい。
【0020】
マウントアダプタは、レンズユニット毎に異なる複数の補正データを保持する記憶部を備えてよい。補正データを取得するステップは、記憶部から、マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データを取得するステップを含んでよい。
【0021】
マウントアダプタは、カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有してよい。レンズユニットは、マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有してよい。撮像方法は、マウントアダプタにおいて、第2の電子接点を介して、レンズユニットの識別情報をレンズユニットから取得するステップと、マウントアダプタにおいて、第1の電子接点を介して、レンズユニットの識別情報に対応する補正データをカメラ本体へ送るステップと、を更に含んでよい。
【0022】
マウントアダプタは、カメラ本体と電気的に接続するための第1の電子接点と、を有してよい。レンズユニットは、マウントアダプタと電気的に接続するための第2の電子接点を有さなくてよい。撮像方法は、マウントアダプタにおいて、第1の電子接点を介して、レンズユニットの識別情報を指定する操作情報を取得するステップと、マウントアダプタにおいて、第1の電子接点を介して、操作情報で指定されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データをカメラ本体へ送るステップと、を更に含んでよい。
【0023】
補正データを取得するステップは、マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが記憶部に保持されていない旨の情報を取得するステップと、レンズユニットの識別情報に対応する補正データを外部サーバから取得するステップと、を含んでよい。
【0024】
補正データを取得するステップは、マウントアダプタに装着されたレンズユニットの識別情報に対応する補正データが記憶部に保持されていない旨の情報を取得するステップと、撮像素子を介して、所定の面を撮像した第2の画像を取得するステップと、第2の画像の輝度に基づいて、レンズユニットの識別情報に対応する補正データを生成するステップと、を含んでよい。
【0025】
一態様において、プログラムは、画像を撮像する撮像素子を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、カメラ本体に装着され、レンズユニットが装着され、撮像時に開いて光を通過させ、非撮像時に閉じて光を遮断するシャッタを有するマウントアダプタと、を備える撮像装置に、カメラ本体において、シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップと、カメラ本体において、補正データに基づいて、画像の輝度を調整するステップと、を実行させるためのプログラム、である。
【0026】
一態様において、記憶媒体は、画像を撮像する撮像素子を有するカメラ本体と、被写体からの光を集光して撮像素子に結像するレンズを含むレンズユニットと、カメラ本体に装着され、レンズユニットが装着され、撮像時に開いて光を通過させ、非撮像時に閉じて光を遮断するシャッタを有するマウントアダプタと、を備える撮像装置に、カメラ本体において、シャッタによるシェーディングパターンに基づいて導出された補正データを取得するステップと、カメラ本体において、補正データに基づいて、画像の輝度を調整するステップと、を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、である。
【0027】
なお、上記の発明の概要は、本開示の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施形態におけるカメラの光学系の配置を示す図
図2】カメラの光学系に入射する光の光路を示す図
図3】撮像素子に均一な光量の光を入射した際に撮像される画像に現れるシェーディングパターンを示す図
図4】カメラのハードウェア構成を示すブロック図
図5】シェーディングゲインカーブを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、発明の実施形態を通じて本開示を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須とは限らない。
【0030】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイル又はレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0031】
以下の実施形態の撮像装置は、カメラ本体に、マウントアダプタを介して、レンズユニットが装着される。カメラ本体、マウントアダプタ、及びレンズユニットはそれぞれ、交換可能に様々な組み合わせで接続され得る。
【0032】
(実施形態)
図1は、実施形態におけるカメラ5の光学系の配置例を示す図である。カメラ5は、カメラ本体10と、マウントアダプタ60と、レンズユニット30とを組み合わせた構成を有する。カメラ本体10のマウント10aにマウントアダプタ60のカメラ側マウント60aが装着されることで、カメラ本体10にマウントアダプタ60が連結される。マウントアダプタ60のレンズ側マウント60bにレンズユニット30のマウント30aが装着されることで、マウントアダプタ60にレンズユニット30が連結される。
【0033】
カメラ5の光学系は、レンズユニット30に内蔵されるレンズ群34及び絞り33と、マウントアダプタ60に内蔵されるシャッタ62と、カメラ本体10に内蔵される撮像素子(イメージセンサ)13とが、光軸op上に配置された構成を有する。
【0034】
レンズ群34は、被写体からの入射光を集光して撮像素子13の撮像面13zに結像させる。レンズ群34は、1つ以上のレンズを含む。レンズ群34は、例えば、フォーカスレンズ34z、ズームレンズ34y、像振れ補正レンズ34x、を含んでよい。絞り33は、撮像素子13に入射する光の光量を制限する。
【0035】
シャッタ62は、レンズ群34を透過し、撮像素子13の撮像面13z上に結像する入射光の光路を開閉する。つまり、シャッタ62は、撮像時に開いて光を通過させ、非撮像時に閉じて光を遮断する。シャッタ62は、フォーカルプレーンシャッタでよい。なお、シャッタ62は、フォーカルプレーンシャッタに限らず、その他のシャッタであってもよい。
【0036】
撮像素子13は、撮像面上に結像した光学像を光電変換し、画像信号として出力する。撮像素子13には、例えば、CCD(電荷結合素子)イメージセンサやCMOS(相補型MOS)イメージセンサが用いられる。
【0037】
図2は、カメラ5の光学系に入射する光の光路の一例を示す図である。レンズユニット30に入射した光Lは、例えば、フォーカスレンズ34z、ズームレンズ34y、像ブレ補正レンズ34xを含むレンズ群34によって集光され、撮像素子13の撮像面13zに結像する。入射した光Lのうち、撮像面13zの中心に向かう光L1(光軸opの方向に沿って進行する光)は、マウントアダプタ60の内部で遮られることなく通過し、撮像面13zに結像する。一方、撮像面13zの端に向かう光L2,L3は、マウントアダプタ60の内部に配置されたシャッタ62のエッジ62zによってその一部が遮られ、光径が小さくなった状態で撮像面13zの端に結像する。したがって、撮像面13zの端では、中央部(光軸付近)に比べて光量が少なくなり、輝度ムラが生じる。なお、シャッタ62の開口時の口径に応じて、撮像素子13へ進行する光の光径が定まる。
【0038】
なお、仮にシャッタ32を内蔵するレンズユニット30がマウントアダプタ60に装着された場合、シャッタ32は、フォーカスレンズ34zによって光が収束して光径が小さくなる空間に配置可能である。したがって、レンズユニット30内のシャッタ32によって入射した光の一部が遮られることは生じ難い。
【0039】
図3は、撮像素子13に均一な光量の光を入射した際に撮像される画像に現れるシェーディングパターンspの一例を示す図である。シェーディングパターンspは、光軸opの近傍で明るくなり、光軸opから離れるに従って徐々に薄暗くなる。シェーディング現象は、通常、レンズの光学的要因(真ん中が厚く、端で薄いレンズ形状等)で、レンズの中心に比べ周辺での光量が減ることによって発生する。本実施形態では、レンズに起因するシェーディング減少とともに、マウントアダプタ60に内蔵されるシャッタ62の内側のエッジ62zが入射光の一部を遮り、周辺光量が低下することでも、シェーディング現象が発生している。
【0040】
したがって、シェーディングパターンspには、レンズによるシェーディングパターンsp1と、マウントアダプタ内蔵のシャッタによるシェーディングパターンsp2とが重畳されている。
【0041】
図4は、カメラ5のハードウェア構成例を示すブロック図である。カメラ5は、カメラ本体10、マウントアダプタ60、及びレンズユニット30の各ハードウェアで構成される。カメラ5は撮像装置の一例である。カメラ本体10は、カメラプロセッサ11、撮像素子13、画像処理部14、メモリ15、表示部16、操作部17、通信部19、素子駆動部20、ゲイン制御部21、及び信号I/F(インタフェース)18を有する。
【0042】
カメラプロセッサ11は、露光時間、絞りなどの撮影条件を決定する。また、カメラプロセッサ11は、マウントアダプタ60から受信した、シェーディング補正を行うためのキャリブレーションデータcdを画像処理部14に渡す。シェーディング補正とは、例えば、シェーディングパターンspで表現される画像位置毎の光量のアンバランスさを改善するための補正である。なお、カメラプロセッサ11は、受信したキャリブレーションデータcdをメモリ15に記憶してよい。メモリ15に記憶しておくことで、レンズユニット30がマウントアダプタ60を介してカメラ本体10に装着される度、カメラプロセッサ11は、キャリブレーションデータcdを受信しなくて済む。
【0043】
また、カメラプロセッサ11は、素子駆動部20に対し、撮像を指示する。カメラプロセッサ11は第1の処理部の一例である。素子駆動部20は、タイミングジェネレータであり、カメラプロセッサ11からの撮像の指示に従い、撮像素子13にタイミング信号を供給し、撮像素子13の電荷の蓄積動作、読み出し動作及びリセット動作等を行う。
【0044】
ゲイン制御部21は、撮像素子13で撮像された画像信号のノイズを低減し、また、画像信号を増幅するゲイン(利得)を制御する。
【0045】
画像処理部14は、ゲイン制御部21によって増幅された画像信号に対し、アナログデジタル変換を行って画像データを生成する。画像処理部14は、生成した画像データに対し、カメラプロセッサ11から受け取ったキャリブレーションデータcdを基に、シェーディング補正を行う。シェーディング補正では、画像データに対して輝度調整が行われてよい。画像処理部14は、画像データに対し、色補正、輪郭強調、ノイズ除去、ガンマ補正、ディベイヤ、圧縮等の各種画像処理を行ってよい。
【0046】
メモリ15は、各種データ、情報、プログラムを記憶する記憶媒体である。メモリ15は、画像データを記憶してよい。表示部16は、各種データや情報を表示するモニタやファインダを含む。表示部16は、画像データに基づく画像を表示してよい。表示部16は、カメラ5の各種設定情報を表示してよい。操作部17は、各種キー、ボタン、スイッチ、等を含む。操作部17は、レリーズスイッチ、撮像モードを切り替えるロータリスイッチ、電源スイッチ、モード選択スイッチ、等を含んでよい。
【0047】
信号I/F18は、カメラ本体10のマウント10aとマウントアダプタ60のカメラ側マウント60aを介して、マウントアダプタ60のカメラ側信号I/F68と通信する。この通信では、様々なデータ、情報、信号が通信されてよい。例えば、信号I/F18は、マウントアダプタ60から、キャリブレーションデータcdを受信してよい。また、信号I/F18は、マウントアダプタ60に、シャッタ62の開閉を指示する信号を送信してよい。
【0048】
通信部19は、モバイル通信網や無線LAN(Local Area Network)を介してネットワークに接続され、クラウド上の外部サーバ(図示せず)と通信可能である。なお、通信部19は、その他の通信(例えば近距離無線通信)により他の装置と通信可能に接続されてもよい。
【0049】
マウントアダプタ60は、カメラ本体10とレンズユニット30との間に介在し、カメラ本体10とレンズユニット30を連結させる。マウントアダプタ60は、マウントプロセッサ61、メモリ64、シャッタ62、シャッタ駆動部69、カメラ側信号I/F68及びレンズ側信号I/F65を有する。マウントアダプタ60はマウントアダプタの一例である。マウントプロセッサ61は、第2の処理部の一例である。
【0050】
マウントプロセッサ61は、マウントアダプタ60の各部の動作を制御する。マウントプロセッサ61は、例えば、カメラ側信号I/F68を介してカメラプロセッサ11からの信号を受信した際に起動してよく、カメラ本体10と通信可能になってよい。
【0051】
メモリ64は、各種データ、情報、プログラムを記憶する記憶媒体である。メモリ64は、シェーディング補正を行う際のキャリブレーションデータcdを保持してよい。メモリ64は、レンズ毎にキャリブレーションデータcdを複数保持してよい。メモリ64は、レンズユニット30毎にレンズによるシェーディングパターンsp1を補正するためのキャリブレーションデータcd1を保持してよい。メモリ64は、マウントアダプタ60(自アダプタ)のシャッタ62によるシェーディングパターンsp2を補正するためのキャリブレーションデータcd2を保持してよい。キャリブレーションデータcd2は、キャリブレーションデータcd2が生成された際の、カメラ5を構成するレンズユニット30を識別するためのレンズID及びマウントアダプタ60を識別するためのマウントアダプタIDの少なくとも一方に関連付けられ、保持されてよい。
【0052】
シェーディング現象によるシェーディングパターンspは、シャッタ62のエッジ62zによって生じる光量の低下の他、レンズユニット30のレンズの周辺光量落ちによっても発生し得る。キャリブレーションデータcdは、シェーディングパターンspを補正するための輝度調整用の補正データでよい。
【0053】
したがって、キャリブレーションデータcdは、レンズによるキャリブレーションデータcd1と、シャッタによるキャリブレーションデータcd2と、に基づくものとなる。キャリブレーションデータcd1をα、キャリブレーションデータcd2をβとすると、キャリブレーションデータcdは、関数f(α,β)で表されてよい。なお、αはレンズに起因するシェーディングパターンsp1、βはマウントアダプタ60に起因するシェーディングパターンsp2、を表してもよい。
【0054】
ここで、キャリブレーションデータcd1等としてのαは、レンズユニット30毎に異なる。キャリブレーションデータcd2等としてのβは、マウントアダプタ60毎に異なる。なお、メモリ64は、マウントアダプタ60に設けられることから、マウントアダプタ60が特定されている場合、βは固定値となり、αは可変値となる。
【0055】
複数のレンズユニット30を示す要素(例えばレンズ用のキャリブレーションデータcd1やレンズによるシェーディングパターンsp1)をα(α1,α2,α3,…)と表し、マウントアダプタに対応する要素(例えばマウントアダプタ60用のキャリブレーションデータcd2やマウントアダプタ60によるシェーディングパターンsp2)をβで表すとする。関数f(α,β)で表されるキャリブレーションデータcdは、レンズユニット30毎に、レンズユニット30によるシェーディングパターンsp1と、マウントアダプタ60が内蔵するシャッタ62によるシェーディングパターンsp2との両方を補正する値に設定される。例えば、マウントアダプタ60の製造段階で、複数のレンズユニット30(例えばこの段階で市場に投入されているレンズユニット30)に対応する複数の関数f(α,β)が、予めメモリ64に格納される。メモリ64は記憶部の一例である。
【0056】
レンズユニット30毎に、レンズの光学特性が異なる。そのため、レンズユニット30毎に、レンズによる周辺光量落ち、及びシャッタ62により遮断される光の位置や光量が異なることになる。したがって、カメラ5は、レンズユニット30毎にキャリブレーションデータcdを保持することで、レンズ及びシャッタ62により低減される光の特性に応じて、画像データの輝度を調整できる。
【0057】
また、メモリ64にキャリブレーションデータcdを保持すると、以下の利点がある。例えば、メモリ64にキャリブレーションデータcdを保持することは、カメラ本体10のメモリ15にキャリブレーションデータcdを保持するよりも、合理的である。1つのカメラ本体10に対して複数のマウントアダプタ60が接続可能であり、1つのマウントアダプタ60に対して複数のレンズユニット30が接続可能であるためである。また、シェーディングの発生に影響があるのはレンズユニット30のレンズ群34とマウントアダプタ60のシャッタ62である。光軸opに沿った後段側に位置するマウントアダプタ60のメモリ64にキャリブレーションデータcdが保持されることで、カメラ5は、レンズ及びシャッタ62に起因するシェーディングパターンspによる輝度低下を一括して改善できる。
【0058】
なお、マウントプロセッサ61は、レンズユニット30から取得したレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdがメモリ64に登録されていない場合、カメラ側信号I/F68を介して、カメラ本体10に対し、その旨を通知してよい。つまり、マウントプロセッサ61は、レンズユニット30に対応するキャリブレーションデータcdを保持(登録)していない旨の情報を通知してよい。本実施形態では、この通知を、登録無し通知とも称する。
【0059】
なお、メモリ64にキャリブレーションデータcdが登録されていない場合として、例えば、マウントアダプタ60の製造時より後にレンズユニット30が製造された場合、製造時には未知のキャリブレーションデータcdがメモリ64に登録されない場合、が挙げられる。
【0060】
シャッタ駆動部69は、シャッタ62を駆動し、シャッタ62を開閉させる。シャッタ62の開放時に入射した光は、撮像素子13の撮像面上に結像する。
【0061】
カメラ側信号I/F68は、マウントアダプタ60のカメラ側マウント60aとカメラ本体10のマウント10aを介して、カメラ本体10の信号I/F18と通信する。マウントアダプタ60のカメラ側マウント60aがカメラ本体10のマウント10aに装着されると、カメラ側マウント60aに配置された電子接点68aとマウント10aに配置された電子接点18aとが接触して導通する。電子接点68aは、第1の電子接点の一例である。この通信では、様々なデータ、情報、信号が通信されてよい。例えば、カメラ側信号I/F68は、カメラ本体10に、レンズを識別するためのレンズ識別情報やシェーディング補正を行うためのキャリブレーションデータcdを送信する。レンズIDは、レンズの種類を示してもよい。
【0062】
レンズ側信号I/F65は、マウントアダプタ60のレンズ側マウント60bとレンズユニット30のマウント30aを介して、レンズユニット30の信号I/F35と通信する。レンズユニット30のマウント30aがマウントアダプタ60のレンズ側マウント60bに装着されると、マウント30aに配置された電子接点35aとレンズ側マウント60bに配置された電子接点68bとが接触して導通する。電子接点35aは、第2の電子接点の一例である。この通信では、様々なデータ、情報、信号が通信されてよい。例えば、レンズ側信号I/F65は、レンズユニット30を識別するためのレンズIDやシェーディング補正を行うためのキャリブレーションデータcdを、マウントアダプタ60に送信する。レンズIDは、レンズの種類を示してもよい。
【0063】
レンズユニット30は、例えば交換レンズであり、マウントアダプタ60に着脱自在に装着される。レンズユニット30は、レンズプロセッサ31、絞り33、レンズ群34、メモリ38、及び信号I/F35を有する。また、レンズユニット30は、レンズ駆動部36及び絞り駆動部40を有する。レンズユニット30はレンズユニットの一例である。
【0064】
レンズプロセッサ31は、レンズユニット30の各部の動作を制御する。レンズプロセッサ31は、信号I/F35を介して、カメラプロセッサ11からの信号をマウントアダプタ60を介して受信した際に起動してよく、カメラ本体10及びマウントアダプタ60と通信可能になってよい。レンズプロセッサ31は、カメラプロセッサ11からの指示に従い、レンズ群34、絞り33等の各部の動作を制御してよい。
【0065】
信号I/F35は、マウントアダプタ60のレンズ側信号I/F65と通信する。レンズユニット30のマウント30aがマウントアダプタ60のレンズ側マウント60bに装着されると、マウント30aに配置された電子接点35aとレンズ側マウント60bに配置された電子接点68bとが接触して導通する。信号I/F35は、例えば、マウントアダプタ60にレンズIDを送信してよい。
【0066】
メモリ38は、各種データ、情報、プログラムを記憶する記憶媒体である。メモリ38は、レンズユニット30に関する情報を記憶してよい。レンズユニット30に関する情報は、レンズの種類(レンズ枚数、焦点距離等)の情報やレンズを識別するためのレンズIDを記憶してよい。レンズの種類の情報とレンズ識別情報とが1対1で対応してもよい。レンズユニット30に関する情報の少なくとも一部が、レンズ識別情報を示してもよい。
【0067】
レンズ群34は、1つ以上のレンズを含み、フォーカスレンズ34z、ズームレンズ34y、及び像振れ補正レンズ34xを含んでよい。レンズ群34は、レンズ駆動部36によって駆動される。レンズ駆動部36は、モータ(図示せず)を有し、レンズプロセッサ31からの制御信号を入力すると、レンズ群34に含まれるレンズの少なくとも1つを光軸opの方向(光軸方向)に沿って移動させる。
【0068】
絞り33は、絞り駆動部40によって駆動される。絞り駆動部40は、モータ(図示せず)を有し、レンズプロセッサ31からの制御信号を入力すると、絞り33の開口を拡縮する。なお、カメラ5は、絞り33及び絞り駆動部40が、レンズユニット30でなく、カメラ本体10に内蔵された構成を有してもよい。
【0069】
次に、キャリブレーションデータcdの詳細について説明する。キャリブレーションデータcdは、例えばシェーディング補正カーブ(シェーディングゲインカーブ)cvで表現される。
【0070】
図5は、シェーディング補正カーブcvの一例を示すグラフである。グラフの縦軸は、ゲインを表す。横軸は、光軸opからの距離を表す。このシェーディング補正カーブcvでは、レンズ中心(光軸Opの位置)でゲインが値1であり、レンズ中心から離れるにつれてゲインが上昇する。レンズ中心からの距離が遠い(長い)程、マウントアダプタ60のシャッタ62のエッジ62zに近づき、入射光を遮る量が増加することから、ゲインが急激に高い値となる。したがって、シェーディング補正カーブcvに従って輝度調整されると、画像データの中心部に対する信号レベルの増幅(輝度調整量)よりも、画像データの端部に対する信号レベルの増幅(輝度調整量)が大きくなる。この結果、画像データの輝度が中心部付近でも端部付近でも平滑化され、均等に近づき、均一な光量の画質に近づく。そのため、カメラ5は、画像データの位置毎に輝度がばらつくことを抑制できる。
【0071】
マウントアダプタ60のシャッタ62は、開状態でもレンズユニット30のレンズ群34により集光される光の光路上に位置し得る。この場合、シャッタ62は、光軸中心から離れた位置に配置される。よって、撮像素子13により得られる光学像の周端部の光量が減少し、光学像に基づく撮像画像の周端部の輝度が低減する。この場合でも、カメラ5は、画像データの中心部よりも周端部の輝度調整量を大きくすることで、撮像画像に係る画像データの周端部の輝度(明るさ)を大きくでき、輝度が均等な画像データを得ることができる。
【0072】
シェーディング補正カーブcvは、レンズによるシェーディングパターンsp1と、マウントアダプタ60に内蔵されたシャッタ62によるシェーディングパターンsp2の両方を補正するように設定される。図5に示すように、レンズによるシェーディングパターンsp1を補正するためのシェーディング補正カーブcv1は、レンズ及びシャッタ62の双方によるシェーディングパターンspを補正するためのシェーディング補正カーブcvと比較すると、レンズ中心から遠い距離においてもゲインの上昇が緩やかである。これは、シェーディング補正カーブcvが、レンズによるシェーディングパターンsp1を補正するためのシェーディング補正カーブcv1の成分と、シャッタ62によるシェーディングパターンsp2を補正するためのシェーディング補正カーブの成分と、を含むためである。
【0073】
シェーディング補正カーブcvで表現されるキャリブレーションデータcdは、例えば、マウントアダプタ60のメモリ64に登録される。キャリブレーションデータcdの登録は、例えば工場でのカメラ5の製造時に行われてよい。キャリブレーションデータcdは、マウントアダプタ60から、カメラ側信号I/F68及び信号I/F18を介して、カメラ本体10に送信される。カメラ本体10の画像処理部14は、撮像素子13で撮像され、ゲイン制御部21で増幅された画像信号の画像データに対してシェーディング補正を行う。この場合、画像処理部14は、画像データに対し、例えばキャリブレーションデータcdを画素単位に乗算することで、シェーディング補正を行ってよい。これにより、カメラ5は、画像データの端部周辺の光量落ちによる画像の輝度ムラを抑制できる。
【0074】
レンズ用のシェーディング補正カーブcv1を表すキャリブレーションデータcd1と、シャッタ62用のシェーディング補正カーブcv2を表すキャリブレーションデータcd2とは、マウントアダプタ60のメモリ64に予め登録されていてよい。したがって、キャリブレーションデータcdは、例えば、マウントプロセッサ61によって、キャリブレーションデータcd1とキャリブレーションデータcd2とを演算(例えば、乗算や加算、各種演算の組み合わせ)することによって得られる。キャリブレーションデータcdは、マウントアダプタ60のメモリ64に登録されてよい。また、キャリブレーションデータcd1とキャリブレーションデータcd2とがカメラ本体10に送られ、カメラ本体10のカメラプロセッサ11が、演算によりキャリブレーションデータcdを導出してもよい。
【0075】
また、シェーディング補正カーブcvを表すキャリブレーションデータcdは、実測によって取得されてもよい。この場合、例えば、マウントアダプタ60を介してレンズユニット30がカメラ本体10に装着された状態にあるカメラ5を用いて、撮像素子13が、任意の被写体(例えばホワイトボード(白色平坦面))を撮像し、画像(第2の画像の一例)を取得してよい。任意の被写体の撮像により、画像データにおけるどの位置にシェーディングが発生し、光量低下が発生するかが把握され得る。カメラプロセッサ11は、撮像素子13で撮像された画像の画像データが均一な光量の値になるように、光軸中心からの距離毎に(画像データの中心位置からの距離毎に)ゲインを決定し、つまりシェーディング補正カーブcvを生成してよい。
【0076】
カメラプロセッサ11は、この生成されたシェーディング補正カーブcvを表すキャリブレーションデータcdを、メモリ15に登録してよい。また、カメラプロセッサ11は、信号I/F18を介して、キャリブレーションデータcdをマウントアダプタ60に送信してよい。マウントプロセッサ61は、受信されたキャリブレーションデータcdを、キャリブレーションデータcdの生成に使用されたマウントアダプタ60のマウントアダプタID及びレンズユニット30のレンズIDに関連づけて、メモリ64に登録してよい。なお、マウントアダプタIDは、マウントアダプタ60に保持されており、識別可能であるので、キャリブレーションデータcdに対するマウントアダプタIDの関連付けは省略されてもよい。
【0077】
なお、ここでは、画像処理部14が、デジタル化された画像データに対し、シェーディング補正を行う場合を示したが、ゲイン制御部21が、撮像素子13からの画像信号に対し、キャリブレーションデータcdにより画素単位に設定されたゲインで増幅することで、シェーディング補正を行ってもよい。
【0078】
次に、カメラ5がシェーディング補正を行う際に用いるキャリブレーションデータcdの取得動作を示す。カメラ本体10、レンズユニット30、及びマウントアダプタ60を備えるカメラ5には、マウントアダプタ60にキャリブレーションデータcdが登録されていないレンズユニット30が装着されたり、電子接点を有しないレンズユニット30が装着されたり、電子接点を有しないマウントアダプタ60が含まれたりすることがあり得る。以下では、様々な構成を有するカメラ5の動作例を示す。
【0079】
(第1の動作例)
第1の動作例では、カメラ5は、マウントアダプタ60が電子接点68aを有し、カメラ本体10が電子接点18aを有することを想定する。また、カメラ5は、マウントアダプタ60が電子接点68bを有し、レンズユニット30が電子接点35aを有することを想定する。つまり、カメラ5は、レンズユニット30とマウントアダプタ60との間、及びマウントアダプタ60とカメラ本体10との間、のいずれにおいても通信可能であることを想定する。
【0080】
カメラ5では、マウントアダプタ60にレンズユニット30が装着された際、レンズユニット30からマウントアダプタ60に、レンズIDが送信される。マウントプロセッサ61は、レンズユニット30からのレンズIDを受け取り、メモリ64に予め登録されているレンズIDであるか否かを判別する。予め登録されているレンズIDである場合、マウントプロセッサ61は、メモリ64からレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdを読み出し、カメラ本体10にキャリブレーションデータcdを送信する(ロードする)。
【0081】
カメラ本体10では、カメラプロセッサ11は、マウントアダプタ60からのキャリブレーションデータcdを受け取り、キャリブレーションデータcdを画像処理部14に設定する。この設定の情報は、メモリ15に保持されてよい。画像処理部14は、撮像時、キャリブレーションデータcdを用いて、撮像された画像データに対しシェーディング補正を行う。これにより、輝度ムラが低減し、画質の良好な撮像が得られる。
【0082】
第1の動作例によれば、カメラ5では、マウントアダプタ60が、装着されたレンズユニット30のレンズID(レンズユニット30の識別情報の一例)を自動的に取得でき、カメラ本体10が、レンズユニット30に対応するキャリブレーションデータcdを自動的に取得できる。よって、カメラ5は、例えばカメラ本体10の操作部17を介したユーザ操作を行うことが不要であり、キャリブレーションデータcdの取得に係るユーザの利便性を向上しつつ、画像データの輝度の調整でき、画質を向上できる。
【0083】
(第2の動作例)
マウントアダプタ60のマウントプロセッサ61は、レンズユニット30から受信したレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdがメモリ64に登録されていない場合、カメラ側信号I/F68を介してカメラ本体10に対して、登録無し通知を行い、レンズID及びマウントアダプタIDを送信する。
【0084】
この場合、カメラプロセッサ11は、マウントアダプタ60から信号I/F18を介して、登録無し通知を受け、レンズID及びマウントアダプタIDを受信すると、通信部19を介して、クラウドの外部サーバを検索してよい。この場合、カメラプロセッサ11は、受信されたレンズID及びマウントアダプタIDに対応する(一致する)キャリブレーションデータcdを探索する。探索の結果、該当するキャリブレーションデータcdが存在する場合、カメラプロセッサ11は、通信部19を介してそのキャリブレーションデータcdをダウンロードする。カメラ本体10は、ダウンロードしたキャリブレーションデータcdを画像処理部14に設定する。この設定の情報は、メモリ15に保持されてよい。画像処理部14は、撮像時、キャリブレーションデータcdを用いて、撮像された画像データに対しシェーディング補正を行う。これにより、輝度ムラが低減し、画質の良好な撮像が得られる。
【0085】
また、カメラプロセッサ11は、ダウンロードされたた、レンズID及びマウントアダプタIDに対応するキャリブレーションデータcdを、信号I/F18を介してマウントアダプタ60に送信してもよい。マウントアダプタ60では、マウントプロセッサ61は、カメラ側信号I/F68を介してカメラ本体10から受信したレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdを、レンズIDに関連付けてメモリ64に登録してよい。
【0086】
これにより、再度、同じレンズユニット30がマウントアダプタ60に装着された場合、マウントアダプタ60は、メモリ64に登録されているレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdをカメラ本体10に提供できる。これにより、カメラ本体10は、再度外部サーバに問い合わせてキャリブレーションデータcdを取得する必要がなく、カメラ本体10によりキャリブレーションデータcdを取得する処理が軽減可能である。
【0087】
また、カメラ本体10が外部サーバからキャリブレーションデータcdをダウンロードする代わりに、マウントアダプタ60が、通信機能を有し、外部サーバからレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdをダウンロードし、メモリ64に記憶させてもよい。これにより、カメラ本体10は、マウントアダプタ60に、ダウンロードしたキャリブレーションデータを送信する手間が省ける。
【0088】
また、カメラ本体10が外部サーバからキャリブレーションデータcdをダウンロードする代わりに、ユーザが所有するPC(Personal Computer)又は携帯端末が、クラウド上の外部サーバに接続してキャリブレーションデータcdをダウンロードしてもよい。この場合、PC又は携帯端末は、ダウンロードしたキャリブレーションデータcdを、カメラ本体10に通信部19を介して転送してよい。転送されたキャリブレーションデータcdは、メモリ15に保持されてよい。
【0089】
このように、カメラ5では、カメラプロセッサ11は、マウントアダプタ60から、装着されているレンズユニット30(レンズユニット30のレンズID)に対応するキャリブレーションデータcdを保持していない旨の通知(例えば登録無し通知)を受信してよい。この通知を受信した場合、カメラプロセッサ11は、通信部19を介して接続される外部サーバから、レンズユニット30に対応するキャリブレーションデータcdを取得してよい。
【0090】
これにより、カメラ5は、メモリ15に予めキャリブレーションデータcdが登録(保持)されていない場合でも、外部サーバからキャリブレーションデータcd(補正データの一例)を取得できる。したがって、カメラ5は、カメラ5の製造時に存在していなかった新たなレンズユニット30をマウントアダプタ60に装着する場合でも、マウントアダプタ60のシャッタ62に起因する画像データの輝度低下を改善できる。更に、カメラ5は、マウントアダプタ60のシャッタ62及びレンズユニット30のレンズ群34に起因する画像データの輝度低下を改善できる。
【0091】
(第3の動作例)
マウントアダプタ60のマウントプロセッサ61は、レンズユニット30から受信したレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdがメモリ64に登録されていない場合、カメラ側信号I/F68を介してカメラ本体10に、登録無し通知を行い、レンズID、及びマウントアダプタIDを送信する。
【0092】
この場合、カメラプロセッサ11は、マウントアダプタ60から信号I/F18を介して、登録無し通知を受け、レンズID及びマウントアダプタIDを受信すると、カメラプロセッサ11は、キャリブレーションデータcdを生成してよい。以下にキャリブレーションデータcdの生成例を示す。キャリブレーションデータcdは、受信されたレンズID及びマウントアダプタIDに関連づけられてよい。
【0093】
まず、マウントアダプタ60を介してレンズユニット30がカメラ本体10に装着されている状態で、撮像素子13は、任意の被写体(例えばホワイトボード(白色平坦面))を撮像してよい。カメラプロセッサ11は、撮像された画像データが輝度の均一な画像となるように、キャリブレーションデータcdを生成してよい。生成されたキャリブレーションデータの取扱いは、上記第2の動作例と同様でよく、カメラ本体10のメモリ15又はマウントアダプタ60のメモリ64に保持されてよい。
【0094】
なお、カメラプロセッサ11は、第2の動作例で説明したクラウド上の外部サーバを探索しても、レンズID及びマウントアダプタIDに対応するキャリブレーションデータが見つからなかった場合に限り、キャリブレーションデータcdを生成してもよい。キャリブレーションデータcdが外部サーバ上に存在しない場合として、例えば、レンズユニット30の製造時期がカメラ本体10やマウントアダプタ60の製造時期と比べて最近であり、製造時期の古いカメラ本体10やマウントアダプタ60に対応していない場合が挙げられる。
【0095】
第3の動作例によれば、カメラ5は、カメラの製造時に存在していなかった新製品のレンズユニット30をマウントアダプタ60に装着する場合でも、マウントアダプタ60のシャッタ62に起因する画像データの輝度低下を改善できる。更に、カメラ5は、マウントアダプタ60のシャッタ62及びレンズユニット30のレンズ群34に起因する画像データの輝度低下を改善できる。また、カメラ5は、レンズユニット30が取り付けられたカメラ5による撮像結果に基づいてキャリブレーションデータcdを生成するので、取り付けられるカメラ5の特性に一層適合した補正データを取得することが可能である。
【0096】
(第4の動作例)
第4の動作例では、カメラ5は、マウントアダプタ60が電子接点68aを有し、カメラ本体10が電子接点18aを有することを想定する。また、カメラ5は、マウントアダプタ60の電子接点68b及びレンズユニット30の電子接点35aのうち少なくとも一方を有しないことを想定する。つまり、カメラ5は、レンズユニット30とマウントアダプタ60との間で通信不能であり、マウントアダプタ60とカメラ本体10との間で通信可能であることを想定する。
【0097】
マウントアダプタ60に、電子接点35aが無いレンズユニット30が装着された場合、マウントアダプタ60は、レンズユニット30からレンズIDをレンズ側信号I/F65を介して取得できない。この場合、カメラ本体10では、カメラプロセッサ11は、操作部17(例えばGUI(Graphical User Interface))を介してユーザ操作を受け、マウントアダプタ60により装着されたレンズユニット30のレンズIDを取得してよい。レンズユニット30のレンズIDの取得により、キャリブレーションデータcdを取得するためのレンズIDが指定されてよい。レンズIDを指定するユーザ操作の情報は、操作情報の一例である。
【0098】
カメラプロセッサ11は、取得されたレンズIDを、信号I/F18を介してマウントアダプタ60に送信する。マウントアダプタ60では、マウントプロセッサ61は、カメラ本体10からのレンズIDを受け取り、メモリ64に予め登録されているレンズIDであるか否かを判別する。受け取ったレンズIDが登録されているレンズIDである場合、マウントプロセッサ61は、メモリ64からレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdを読み出し、カメラ本体10にキャリブレーションデータcdを送信する。カメラ本体10は、マウントアダプタ60からのキャリブレーションデータcdを受信する。
【0099】
なお、マウントアダプタ60のメモリ64に、カメラ本体10からのレンズIDに対応するキャリブレーションデータcdが登録されていない場合、カメラ本体10及びマウントアダプタ60は、上記第2又は第3の動作例と同様の動作を行ってよい。
【0100】
第4の動作例によれば、カメラ5は、電子接点が無いレンズユニット30がマウントアダプタ60に装着された場合も、画像データに対しシェーディング補正を実施できる。したがって、カメラ5は、交換可能なレンズユニット30に幅広く対応でき、シェーディングによる輝度減少による画質の低下も改善できる。
【0101】
(第5の動作例)
第5の動作例では、カメラ5は、マウントアダプタ60の電子接点68a及びカメラ本体10の電子接点18aの少なくとも一方を有しないことを想定する。また、カメラ5は、マウントアダプタ60の電子接点68b及びレンズユニット30の電子接点35aのうち少なくとも一方を有しないことを想定する。つまり、カメラ5は、レンズユニット30とマウントアダプタ60との間、及び、マウントアダプタ60とカメラ本体10との間、のいずれにおいても通信不能であることを想定する。
【0102】
マウントアダプタ60に電子接点68aが無い場合、カメラ本体10は、マウントアダプタ60から、キャリブレーションデータcdを受信できない。この場合、ユーザは、カメラ本体10に、レンズID及びマウントアダプタIDを入力する。カメラ本体10のメモリ15には、キャリブレーションデータcdが予め保持されていてよい。または、カメラ本体10では、カメラプロセッサ11は、上記第2の動作例と同様、入力されたレンズID及びマウントアダプタIDに対応するキャリブレーションデータcdを、クラウド上の外部サーバからダウンロードし、メモリ15に保持してもよい。
【0103】
これにより、マウントアダプタ60に電子接点68aが無い場合でも、カメラ本体10は、キャリブレーションデータcdを取得できる。
【0104】
なお、第4の動作例及び第5の動作例において、マウントアダプタ60が通信部を有している場合、マウントアダプタ60とカメラ本体10とは、電子接点68a,18aを介することなく、例えば近距離無線通信で、レンズID、マウントアダプタID、キャリブレーションデータcd、等を通信してもよい。
【0105】
第1〜第5の動作例のいずれにおいても、カメラ5は、撮像された画像データに対し、シェーディング補正を行うことができる。したがって、カメラ5は、画像データにおける輝度ムラ(輝度の不均一さ)を抑制でき、画像データの画質を向上できる。
【0106】
このように、カメラプロセッサ11は、シャッタ62によるシェーディングパターンsp2に基づいて導出されたキャリブレーションデータcd(補正データの一例)を取得してよい。カメラプロセッサ11は、キャリブレーションデータcdに基づいて、画像データの輝度を調整してよい。
【0107】
これにより、カメラ5は、カメラ本体10又はレンズユニット30がシャッタを有しない場合でも、マウントアダプタ60にシャッタ62を有することで、撮像素子13に到達する光量を調整できる。したがって、カメラ5は、撮像時と非撮像時における撮像素子13に導入される光を調整して、画像を撮像できる。
【0108】
また、レンズユニット30のレンズ群34を通過した光の一部が開状態のシャッタ62により遮断されると、撮像素子13により得られる光学像の光量が一部減少し、光学像に基づく撮像画像の輝度が低下する箇所が発生する。この撮像画像の輝度の低下は、レンズ用のキャリブレーションデータcd1による補正では十分に補正することが困難なシェーディングパターンspによる輝度低下を含む。この場合でも、カメラ5は、マウントアダプタ60によるシェーディングパターンsp2を加味したキャリブレーションデータcdに基づいて、シャッタ62により低下した輝度を補償するように、撮像画像の輝度(明るさ)を調整できる。
【0109】
また、カメラ5は、シャッタ62の口径を比較的小さくしても、キャリブレーションデータcdを用いることで画像データの輝度のバランスを保つことができるので、シャッタ62の開閉に要する時間を短くでき、シャッタスピードを高速化できる。つまり、カメラ5は、画像データの輝度の低下の抑制とシャッタスピードの高速化とを両立できる。
【0110】
したがって、シャッタ62が内蔵されたマウントアダプタ60を介して、カメラ本体10とレンズユニット30とを組み合わせてカメラ5を構成した場合でも、カメラ5は、画像データの輝度を調整することで、均一な光量の画像を得ることができる。
【0111】
なお、キャリブレーションデータcdは、少なくともシャッタ62によるシェーディングパターンsp2に基づいて導出(例えば算出)されていればよい。つまり、キャリブレーションデータcdは、レンズによるシェーディングパターンsp1を加味していなくてもよい。この場合でも、カメラ5は、キャリブレーションデータcdに基づいてシェーディング補正することで、少なくともシャッタ62によるシェーディングパターンsp2による輝度低下を改善できる。
【0112】
また、カメラプロセッサ11は、レンズによるシェーディングパターンsp1及びシャッタ62によるシェーディングパターンsp2に基づいて導出されたキャリブレーションデータcdを取得してよい。つまり、レンズによるシェーディングパターンsp1を補正するためのキャリブレーションデータcd1及びシャッタ62によるシェーディングパターンsp2を補正するためのキャリブレーションデータcd2に基づいて導出されたキャリブレーションデータcdを取得してよい。
【0113】
これにより、カメラ5は、シャッタ62によるシェーディングパターンsp2とともに、レンズによるシェーディングパターンsp1を加味したキャリブレーションデータを用いることができる。よって、レンズユニット30のレンズ群34による集光具合等により発生するシェーディングパターンsp1に起因する輝度低下に対しても、適切に改善できる。
【0114】
以上、本開示を実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載からも明らかである。
【0115】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0116】
上記実施形態では、カメラ本体10は、マウントアダプタ60からレンズID及びマウントアダプタIDの両方に対応するキャリブレーションデータcdを取得していたが、別々に取得してもよい。この場合、カメラ本体10は、マウントアダプタ60を介してレンズユニット30からレンズIDに対応するキャリブレーションデータcd1を取得してよい。カメラ本体10は、マウントアダプタ60からマウントアダプタIDに対応するキャリブレーションデータcd2を取得する。カメラ本体10のカメラプロセッサ11は、これらのキャリブレーションデータcd1,cd2を基に、レンズID及びマウントアダプタIDに対応するキャリブレーションデータcdを演算して導出してもよい。これにより、マウントアダプタ60又はカメラ本体10は、レンズIDとマウントアダプタIDの組み合わせの数だけキャリブレーションデータcdを登録しておく場合と比べ、登録しておくキャリブレーションデータcdの数を減らすことができ、メモリの活用効率を向上できる。
【符号の説明】
【0117】
5 カメラ
10 カメラ本体
11 カメラプロセッサ
13 撮像素子
30 レンズユニット
31 レンズプロセッサ
34 レンズ群
60 マウントアダプタ
61 マウントプロセッサ
62 シャッタ
64 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5