(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報処理装置が内部に実装される実装筐体の排気側が上方に向くように前記実装筐体の搭載角度を調整可能な角度変更機構を有する角度調整装置を制御するプログラムであって、
前記実装筐体の内部から排出される排気の風量をセンサで計測する処理と、
前記実装筐体の内部から排出される排気の風量に基づいて前記角度変更機構を制御して前記実装筐体の搭載角度を調整する処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第の実施形態に係る角度調整システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の角度調整システムは、データセンターのサーバルームなどの室内に設置されるラックに搭載される情報処理装置の搭載角度を調整するシステムである。搭載角度とは、情報処理装置を傾けた際に、情報処理装置の下面と水平面とが成す角度である。以下においては、サーバルームの内部に配置されたラックに搭載されたサーバの搭載角度をサーバごとに調整する例について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の角度調整システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1のように、角度調整システム1は、実装筐体11、センサ12、角度変更機構13、送風機構14、制御装置15を備える。実装筐体11、センサ12、角度変更機構13、送風機構14は、角度調整装置10を構成する。
【0016】
図2は、角度調整装置10の斜視図である。
図2のように、実装筐体11および送風機構14は、角度変更機構13の上面に載置される。以下においては、送風機構14の側面部分や底面部分も実装筐体11の一部とみなす。
【0017】
実装筐体11は、サーバを内部に実装するための筐体である。実装筐体11は、冷気を取り込むための吸気面111と、サーバの運転によって発生した熱で暖められた暖気を排出するための排気面112とを有する。吸気面111の側には、送風機構14が設置される。排気面112の側には、センサ12が設置される。送風機構14によって送られる冷気は、吸気面111から実装筐体11の内部に取り入れられる。実装筐体11の内部に実装されたサーバの運転によって発生した熱で暖められた暖気は、排気面112から排出される。
【0018】
センサ12は、実装筐体11の排気面112に設置される。センサ12は、排気面112から排出される排気の単位時間当たりの風量を計測する。センサ12は、計測した単位時間当たりの風量に関する風量データを制御装置15に送信する。また、センサ12は、排気面112から排出される排気の温度を計測する。センサ12は、計測した温度に関する温度データを制御装置15に送信する。なお、単位時間当たりの風量を計測するセンサ(風量センサ)と、排気の温度を計測するセンサ(温度センサ)とを別々に構成してもよい。また、センサ12は、温度と風量だけではなく、気圧や湿度などを計測するように構成してもよい。
【0019】
角度変更機構13は、サーバの搭載角度を調整するための機構である。角度変更機構13は、実装筐体11の吸気面111を下方、実装筐体11の排気面112を上方に向けるように実装筐体11の搭載角度を調整する。
【0020】
図3は、角度調整システム1の実装筐体11の搭載角度を調整する一例を示す概念図である。
図3のように、角度変更機構13は、台座130、ジャッキ部131、支持部132、滑動部133を有する。
【0021】
台座130は、実装筐体11を載置するための台である。台座130には、ジャッキ部131および支持部132を収納するための収納槽134が形成される。
【0022】
ジャッキ部131は、実装筐体11を持ち上げて搭載角度を変更するための機構である。
図3の例では、ジャッキ部131は、台座130の収納槽134の内部に駆動可能に接続される第1端と、支持部132に回転可能に接続される第2端とを有する棒状部材である。制御装置15の制御に応じてジャッキ部131が駆動すると、第1端を支点として、支持部132に接続された第2端の側が持ち上がる。なお、ジャッキ部131は、実装筐体11を持ち上げるように動作しさえすれば、その形状や動作原理には限定を加えない。例えば、ジャッキ部131は、油圧制御によって駆動する電動油圧ジャッキによって実現できる。
【0023】
支持部132は、実装筐体11の下面に設置され、ジャッキ部131の第2端を回転可能に支持する。ジャッキ部131の第2端が持ち上がると、ジャッキ部131の第2端と支持部132との接続箇所が回転し、実装筐体11の排気面112の側が持ち上がる。
【0024】
滑動部133は、上面側が突出するように台座130に設置される。ジャッキ部131が駆動すると、実装筐体11の排気面112の側が持ち上がり、実装筐体11の吸気面111の側の下端が滑動部133の上面を滑動する。滑動部133の上面は、ジャッキ部131の駆動に伴って実装筐体11の吸気面111の側の下端が滑動し、ジャッキ部131が停止した際に実装筐体11の搭載角度が維持できる程度の摩擦係数を有することが好ましい。例えば、滑動部133は、レール状に部材によって構成してもよい。
【0025】
図4および
図5は、角度変更機構13を動作させることによって実装筐体11の搭載角度を調整する一例について説明するための概念図である。
図4および
図5には、説明しやすくするために台座130の一部を透視した様子を図示する。
【0026】
図4は、実装筐体11の搭載角度が0度のとき(初期位置とも呼ぶ)の角度変更機構13の状態について説明するための概念図である。搭載角度が0度のとき、ジャッキ部131および支持部132は収納槽134の内部に収納された状態になる。
【0027】
図5は、実装筐体11の搭載角度がθ度のときの角度変更機構13の状態について説明するための概念図である(0<θ<90)。搭載角度がθ度に設定されると、制御装置15の制御に応じてジャッキ部131の支持部132の側が持ち上がり、実装筐体11の吸気面111側の下端が滑動部133の上面を滑動する。そして、実装筐体11は、設定された搭載角度(θ度)で排気面112の側が上方を向いて傾いた状態で保持される。
【0028】
図5のように、吸気面111の側を下方に向け、排気面112の側を上方に向けるように搭載角度を調整した状態で送風機構14が動作すると、吸気面111から冷気が取り込まれる。吸気面111から取り込まれた冷気は、サーバが運転することによって発生した熱によって暖められる。暖められた暖気は、排気面112から排出される。
【0029】
送風機構14は、実装筐体11の内部に冷気を取り込み、実装筐体11の内部に実装されたサーバが運転することによって発生した熱で暖められた暖気を実装筐体11の外部に排出するためのファン140を少なくとも一つ有する(
図2)。
図2には、送風機構14が4つのファン140を有する例を挙げるが、送風機構14が有するファン140の数やスペックは任意に設定できる。本実施形態においては、実装筐体11の吸気面111の側に送風機構14を配置する例を示すが、実装筐体11の排気面112の側に送風機構14を配置してもよい。
【0030】
なお、送風機構14は、外付方式ではなく、例えばBMC(Baseboard Management Controller)のように、サーバのプラットフォームマネジメントの仕組みを利用してもよい。プラットフォームマネジメントの仕組みを利用すれば、サーバの内部のファンの回転数を制御することによって風量を計測できる。
【0031】
制御装置15は、センサ12から風量データおよび温度データを受信する。制御装置15は、角度変更機構13を制御して実装筐体11の搭載角度を調整する。また、制御装置15は、送風機構14が有するファン140の回転状態を制御し、実装筐体11の内部に取り込まれる冷気の風量を制御する。例えば、制御装置15は、台座130の内部に設置されるマイクロコンピュータとして実現される。また、例えば、制御装置15は、実装筐体11に実装されるサーバにインストールされるソフトウェアとして実現されてもよい。また、例えば、制御装置15は、複数のサーバが搭載されるラックを集中管理する管理装置(図示しない)に構成してもよい。
【0032】
制御装置15は、実装筐体11の搭載角度を調整するための角度調整処理を実行する。制御装置15は、実装筐体11に実装されたサーバが運転する前の段階や、実装筐体11に実装されたサーバが運転中において角度調整処理を行う。制御装置15は、角度調整処理において、サーバが実装された実装筐体11の搭載角度が予め設定された角度になるように角度変更機構13を制御する。制御装置15は、実装筐体11の搭載角度が設定された状態でセンサ12から風量データを受信する。制御装置15は、受信した風量データの値(風量)を実装筐体11の搭載角度に対応付けて記録する。制御装置15は、ある搭載角度における風量を記録すると、角度変更機構13を制御して実装筐体11の搭載角度を変更する。制御装置15は、変更した搭載角度において、センサ12から風量データを受信し、受信した風量データの値(風量)を搭載角度に対応付けて記録する。すなわち、制御装置15は、予め設定された複数の角度に実装筐体11の搭載角度を設定していき、それぞれの角度において、受信した風量データの値(風量)を実装筐体11の搭載角度に対応付けて記録していく。そして、制御装置15は、風量が最も大きくなる搭載角度に実装筐体11を調整するように角度変更機構13を制御する。
【0033】
また、制御装置15は、搭載角度の設定された実装筐体11の内部に実装されたサーバが運転中に、所定のタイミングでセンサ12から温度データを受信する。例えば、制御装置15は、5分間隔などといった所定の時間間隔や、予め設定された所定の時刻に温度データをセンサ12から取得する。
【0034】
制御装置15は、温度データを受信した際に、所定の時間だけ前の時刻(以下、基準時刻とも呼ぶ)に計測された温度データが記録されている場合、その基準時刻に計測された排気温度Tyと、所定のタイミングで計測された排気温度Txとを比較する。制御装置15は、基準時刻に計測された排気温度Tyと、所定のタイミングに計測された排気温度Txとの差の絶対値が所定の温度差以上であった場合、上述の角度調整処理を実行する。
【0035】
以上が、角度調整システム1の構成の一例についての説明である。なお、
図1〜
図5の構成は一例であって、本実施形態の角度調整システム1の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0036】
〔制御装置〕
次に、制御装置15の構成について図面を参照しながら説明する。
図6は、制御装置15の構成の一例を示すブロック図である。
図6のように、制御装置15は、風量データ取得部151、設定候補データ記憶部152、駆動条件設定部153、角度制御部154、温度データ取得部155、温度履歴データ記憶部156、温度監視部157、送風制御部158を有する。
【0037】
風量データ取得部151は、センサ12から風量データを取得する。風量データ取得部151は、取得した風量データと、その時点における搭載角度とを対応付けた設定候補データを設定候補データ記憶部152に記憶させる。
【0038】
設定候補データ記憶部152には、実装筐体11の搭載角度と、その搭載角度において計測された風量データとが対応付けられた設定候補データが記憶される。
【0039】
図7は、設定候補データ記憶部152に記憶される設定候補データをまとめたテーブルの一例(設定候補テーブル162)である。設定候補テーブル162には、搭載角度を0度から5度おきに変更していき、それぞれの搭載角度において計測された風量(任意単位)と搭載角度とを対応づけた設定候補データがまとめられる。
図7の例では、搭載角度が50度のときに風量が最大(25)になったものとする。
【0040】
駆動条件設定部153は、角度調整処理の実行中に、実装筐体11に設定する搭載角度を角度制御部154に出力する。駆動条件設定部153は、角度調整処理が完了すると、設定候補データ記憶部152に記憶された設定候補データを参照し、風量が最大となる搭載角度を取得する。駆動条件設定部153は、風量が最大となる搭載角度を角度制御部154に出力する。
図7の設定候補テーブル162の例の場合、駆動条件設定部153は、風量が最大(25)になった搭載角度(50度)を角度制御部154に出力する。
【0041】
角度制御部154は、駆動条件設定部153から搭載角度を取得する。角度制御部154は、取得した搭載角度になるように角度変更機構13を制御する。
図7の例の場合、角度制御部154は、駆動条件設定部153から搭載角度(50度)を受信し、実装筐体11の搭載角度をその角度(50度)に調整する。
【0042】
温度データ取得部155は、センサ12から温度データを取得する。温度データ取得部155は、取得した温度データと、その温度データの計測時刻とを対応付けて温度履歴データ記憶部156に記憶させる。本実施形態においては、温度データ取得部155は、実装筐体11に実装されたサーバが運転中に温度データを取得する。
【0043】
温度履歴データ記憶部156には、温度データの計測時刻と、その計測時刻に計測された温度とが対応付けられた温度履歴データが記憶される。
【0044】
図8は、温度履歴データ記憶部156に記憶される温度履歴データをまとめたテーブルの一例(温度履歴テーブル166)である。温度履歴テーブル166には、温度データの計測時刻と、その計測時刻において計測された排気温度とが対応付けられた温度履歴データがまとめられる。
図8には、12:00から5分ごとの計測時刻に計測された温度を記録していく例を示す。
【0045】
温度監視部157は、温度データ取得部155によって温度データ(排気温度T
x)が取得されると、温度履歴データ記憶部156を参照する。温度監視部157は、温度履歴データ記憶部156を参照し、その温度データの計測時刻よりも所定の時間だけ前の時刻(基準時刻)に計測された温度データ(排気温度T
y)の有無を確認する。温度監視部157は、温度履歴データ記憶部156に基準時刻に計測された温度データ(排気温度T
x)が記憶されている場合、直近に計測された排気温度Txと、基準時刻に計測された排気温度T
yとを比較する。直近に計測された排気温度Txと、基準時刻に計測された排気温度T
yとの温度差が所定温度差以上の場合、駆動条件設定部153に角度調整処理を再度実行させる。
【0046】
例えば、
図8の例において、基準時刻を12:00、所定温度差を5度とする。
図8の温度履歴テーブル166によると、13:00において計測された排気温度は35度であり、基準時刻(12:00)に計測された排気温度T
yと、13:00に計測された排気温度Txとの温度差の絶対値は7度である。このとき、温度監視部157は、駆動条件設定部153に角度調整処理を実行させる。
【0047】
送風制御部158は、送風機構14が有するファン140の回転数や回転方向、送風方向などの回転状態を制御する。
【0048】
以上が、制御装置15の構成についての説明である。なお、
図6の制御装置15の構成は一例であって、本実施形態の角度調整システム1が備える制御装置15の構成のそのままの形態に限定するものではない。
【0049】
〔搭載例〕
次に、本実施形態の角度調整システム1をラック100に搭載する例について図面を参照しながら説明する。
【0050】
図9は、複数の角度調整システム1をラック100に搭載する一例を示す概念図である。
図9のように、複数の角度調整システム1の搭載角度は、角度調整システム1ごとに調整される。
【0051】
次に、本実施形態の角度調整システム1を搭載したラック100を室内に配置する例について図面を参照しながら説明する。
【0052】
図10は、角度調整システム1を搭載した複数のラック100をサーバルーム170の内部に配置する一例を示す概念図である。
図10のサーバルーム170は、上方が天井側、下方が床側である。サーバルーム170の天井には、サーバルーム170の内部に冷気を取り込むための吸気口171と、サーバルーム170の外部に暖気を排出するための排気口172とが設置される。
【0053】
図11は、角度調整システム1を搭載した複数のラック100が配置されたサーバルーム170の内部における冷気および暖気の流れについて説明するための概念図である。
図11のように、吸気口171から取り込まれた冷気(白矢印)は、ラック100に搭載された角度調整システム1に取り込まれる。角度調整システム1に取り込まれた冷気(白矢印)は、角度調整システム1に実装されたサーバの運転によって発生した熱で暖められて暖気(黒矢印)となり、排気口172から排出される。
【0054】
図11のように、本実施形態の角度調整システム1においては、実装筐体11の吸気面111を下方に向け、実装筐体11の排気面112を上方に向けるため、比重の小さい暖気が天井に向けて排出される。実装筐体11の排気面112を上方に向けると、周囲と比較して暖かい暖気の上昇気流に伴って、実装筐体11の内部の気圧が低下するため、相対的に気圧の高い吸気面111の側から冷気が取り込まれやすくなる。その結果、送風機構14のファン140の回転数を低く設定できるので、ファンの消費電力や騒音を低減することができる。
【0055】
図12は、一般的な搭載方法(搭載角度0度)によってサーバ1000が搭載された複数のラック100が配置されたサーバルーム170の内部における冷気および暖気の流れについて説明するための概念図である。
図12に示す一般的な方法では、サーバ1000から排出される暖気が水平方向に排出されるため、サーバ1000の内部と外部との気圧差を利用する本実施形態のような効果は得られない。
【0056】
図13は、本実施形態の角度調整システム1を搭載した複数のラック100をサーバルーム170の内部に配置する別の一例を示す概念図である。
図13の例では、ラック100の上方への冷気や暖気の回り込みを防ぐ蓋181を設ける。また、
図13の例では、ラック100の上部および下部と角度調整システム1との間の隙間や、隣接し合う角度調整システム1の間に隙間を塞ぐ整流部材182を設ける。
【0057】
図14は、
図13のように蓋181および整流部材182を設けた状態で、角度調整システム1を搭載した複数のラック100が配置されたサーバルーム170の内部における冷気および暖気の流れについて説明するための概念図である。
図14のように、吸気口171から取り込まれた冷気(白矢印)は、ラック100に搭載された角度調整システム1に取り込まれる。角度調整システム1に取り込まれた冷気(白矢印)は、角度調整システム1に実装されたサーバの運転によって発生した熱で暖められて暖気(黒矢印)となり、排気口172から排出される。
【0058】
蓋181および整流部材182を設けると、実装筐体11の内部を通過せずにラック100の内部を通過した冷気が、排気面112から排出されることがない。そのため、実装筐体11の内部を通過せずにラック100の内部を通過した冷気と、実装筐体11の内部を通過した暖気とが混ざり合うことが無い。すなわち、
図13および
図14のように蓋181および整流部材182を設ければ、サーバルーム17の内部において冷気の流路と暖気の流路とが分断されるため、サーバルーム17の全体で気体の循環効率が改善される。また、蓋181および整流部材182を設ければ、サーバルーム17において乱流や騒音が発生することを低減できる。すなわち、蓋181および整流部材182を設ければ、サーバルーム17の空調システムの消費電力を削減することができる。
【0059】
以上が、本実施形態の角度調整システム1をラック100に搭載する例についての説明である。なお、
図9〜
図14は一例であって、本実施形態の角度調整システム1をラック100に搭載する方法をそのままの形態に限定するものではない。
【0060】
(動作)
次に、本実施形態の角度調整システム1の動作について図面を参照しながら説明する。以下においては、サーバが実装される実装筐体11の搭載角度を調整する角度調整処理と、実装筐体11に実装されたサーバが運転している状況における温度監視処理とに分けて説明する。
【0061】
〔角度調整処理〕
図15は、角度調整システム1による角度調整処理について説明するためのフローチャートである。
図15のフローチャートに沿った説明においては、角度調整システム1の制御装置15を動作の主体とする。
【0062】
図15の角度調整処理に先立って、角度調整システム1は、実装筐体11にサーバが実装された状態で制御装置15を初期化する。角度調整システム1は、制御装置15の初期化に当たって、センサ12との通信状況の検査、内部メモリのユーザ領域のクリア、角度変更機構13の設定角度の検査、角度変更機構13の搭載角度の初期化(0度)などを行う。角度調整システム1は、制御装置15を初期化すると、送風機構14のファン140を所定の回転数で稼働させる。
【0063】
図15において、まず、制御装置15は、センサ12から風量データを取得する(ステップS111)。
【0064】
次に、制御装置15は、取得した風量データの値(風量)と、その時点における実装筐体11の搭載角度とを対応付けた設定候補データを記録する(ステップS112)。例えば、制御装置15は、各搭載角度において1分間隔で風量を計測し、1分間における風量の平均値を記録する。例えば、搭載角度を0度から90度の範囲で5度ずつ変化させて測定する場合、制御装置15は、19パターンの搭載角度で風量データを記録することになる。
【0065】
全ての設定角度で風量計測が完了していない場合(ステップS113でNo)、制御装置15は、実装筐体11の搭載角度を変更する(ステップS114)。ステップS114の後はステップS111に戻る。
【0066】
一方、全ての設定角度で風量計測が完了した場合(ステップS113でYes)、制御装置15は、風量が最大になる角度に実装筐体11の搭載角度を調整する(ステップS115)。
【0067】
そして、制御装置15は、センサ12から温度データを取得し、取得した温度データの計測時刻と、その温度データの値(初期温度)とを対応付けた温度履歴データを記録する(ステップS116)。制御装置15は、温度履歴データを記録すると、角度調整処理が完了したことをユーザに通知する。なお、角度調整処理が完了したことを通知する方法については、特に限定を加えない。
【0068】
以上が、角度調整システム1による角度調整処理についての説明である。なお、
図15のフローチャートに沿った角度調整処理は一例であって、本実施形態の角度調整システム1による角度調整処理をそのままの手法に限定するものではない。
【0069】
〔温度監視処理〕
図16は、角度調整システム1による温度監視処理について説明するためのフローチャートである。
図16のフローチャートに沿った説明においては、角度調整システム1の制御装置15を動作の主体とする。
【0070】
図16の温度監視処理に先立って、角度調整システム1の実装筐体11に実装されたサーバの電源がオンされたものとする。
【0071】
図16において、まず、制御装置15は、5分間待機する(ステップS121)。
【0072】
次に、制御装置15は、センサ12から温度データを取得し、温度データの値(排気温度Tx)を計測する(ステップS122)。
【0073】
制御装置15は、60分前に計測された温度データの値(排気温度Ty)の記録がある場合(ステップS123でYes)、直近に計測された排気温度Txと、60分前に計測された排気温度Tyとを比較する(ステップS124)。一方、60分前に計測された温度データの値(排気温度Ty)の記録がない場合(ステップS123でNo)、ステップS121に戻る。
【0074】
直近に計測された排気温度Txと、60分前に計測された排気温度Tyとの温度差が5度以上の場合(ステップS124でYes)、制御装置15は、
図15のフローチャートの角度調整処理を実行する(ステップS125)。一方、直近に計測された排気温度Txと、60分前に計測された排気温度Tyとの温度差が5度未満の場合(ステップS124でNo)、ステップS121に戻る。
【0075】
サーバの運転を継続する場合(ステップS126でYes)、ステップS121に戻る。一方、サーバの運転を終了する場合(ステップS126でNo)、
図16のフローチャートに沿った温度監視処理は終了である。
【0076】
以上が、角度調整システム1による温度監視処理についての説明である。なお、
図16のフローチャートに沿った温度監視処理は一例であって、本実施形態の角度調整システム1による温度監視処理をそのままの手法に限定するものではない。また、ファン140起動してからの待ち時間や、待機時間、温度差等は目安であって任意の値を設定できる。
【0077】
以上が、本実施形態の角度調整システム1の動作についての説明である。なお、
図15〜
図16のフローチャートに沿った角度調整システム1の動作は一例であって、本実施形態の角度調整システム1の動作をそのままの手法に限定するものではない。
【0078】
以上のように、本実施形態の角度調整システムは、実装筐体、送風機構、センサ、角度変更機構、制御装置を備える。実装筐体は、情報処理装置が内部に実装される。送風機構は、実装筐体に併設され、実装筐体の内部に気流を発生させる。センサは、実装筐体の排気側に設置され、実装筐体から排出される排気の風量および温度を計測する。角度変更機構は、実装筐体の下方に設置され、実装筐体の排気側が上方を向くように実装筐体の搭載角度を調整可能である。制御装置は、センサによって計測される風量に基づいて実装筐体の搭載角度を変更させる角度調整処理を実行する角度変更機構を制御する。
【0079】
本実施形態の一態様において、制御装置は、角度調整処理において、角度変更機構を制御して実装筐体の搭載角度を何段階かで変更させ、それぞれの搭載角度でセンサによって計測される風量と搭載角度とを対応付けて記録する。制御装置は、センサによって計測される風量が最大の搭載角度に角度変更機構を設定する。
【0080】
本実施形態の一態様において、制御装置は、情報処理装置の運転開始後に、センサによって計測される温度を計測時刻に対応付けて記録していく。制御装置は、センサによって直近に計測された温度と、センサによって基準時刻に計測された温度計測との差の絶対値が所定値以上であった場合、角度調整処理を実行する。
【0081】
本実施形態の一態様において、角度変更機構は、台座、ジャッキ部、支持部、滑動部を有する。台座は、上面側が開口する収納槽を有し、実装筐体が載置される。ジャッキ部は、収納槽に収納可能であり、制御装置の制御に応じて台座の上面から突出するように駆動する。支持部は、ジャッキ部を実装筐体の底面に接続する。滑動部は、ジャッキ部が駆動した際に実装筐体が滑動する。
【0082】
本実施形態の一態様において、角度調整システムは、複数の実装筐体が搭載される少なくとも一つのラックを備える。例えば、ラックには、ラックの上方における気流の回り込みを防ぐ蓋と、複数の情報処理装置の間の隙間を塞ぐ整流部材とが設置される。
【0083】
また、本実施形態の一態様において、制御装置は、情報処理装置が内部に実装される実装筐体の排気側が上方に向くように実装筐体の搭載角度を調整可能な角度変更機構を有する角度調整装置を制御する。制御装置は、実装筐体の内部から排出される排気の風量をセンサで計測し、実装筐体の内部から排出される排気の風量に基づいて角度変更機構を制御して実装筐体の搭載角度を調整する。
【0084】
本実施形態のように、サーバを傾けて排気側を吸気側よりも高くすると、サーバが運転することによって暖められた排気が排出されやすくなるとともに、サーバの筐体内の気圧が低くなるため、冷気がサーバの筐体内に吸入されやすくなる。そのため、サーバを水平に搭載する場合と比較して、サーバを傾けて搭載した方が、同程度の温度を保持するのにファンの回転数を低く設定できる。ファンの消費電力化は、サーバの消費電力化につながる。また、ファンの回転数を低減できれば、ファンの稼働に伴って発生する騒音を低減することにつながる。
【0085】
以上のように、本実施形態の角度調整システムは、ラックに搭載されたサーバから排出される排気の風量に基づいて、サーバの搭載角度を適切な角度に設定する。さらに、本実施形態の角度調整システムは、運転中のサーバから排出される排気の温度に基づいて、サーバの搭載角度をより適切な角度に設定する。すなわち、本実施形態の角度調整システムによれば、ラックに搭載された情報処理装置の搭載角度を適切な角度に調整し、情報処理装置の消費電力を低減することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る角度調整システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の角度調整システムは、角度変更機構の構成が第1の実施形態とは異なる。
【0087】
図17は、本実施形態の角度調整システム2の実装筐体21の搭載角度を調整する一例を示す概念図である。
図17のように、角度調整システム2は、実装筐体21、センサ22、角度変更機構23、送風機構24、制御装置(図示しない)を備える。実装筐体21、センサ22、角度変更機構23、送風機構24は、角度調整装置を構成する。実装筐体21は、冷気を取り込むための吸気面211と、サーバの運転によって発生した熱で暖められた暖気を排出するための排気面212とを有する。なお、実装筐体21、センサ22、送風機構24、制御装置(図示しない)の構成は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
また、
図17のように、角度変更機構23は、台座230、ジャッキ部231、支持部232、滑動部233を有する。台座230には、ジャッキ部231および支持部232を収納するための収納槽234が形成される。なお、台座230、支持部232、滑動部233の構成は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。以下においては、第1の実施形態と相違するジャッキ部231について主に説明する。
【0089】
ジャッキ部231は、実装筐体21を持ち上げて搭載角度を変更するための機構である。
図17の例では、ジャッキ部231は、台座230の収納槽234の内部に駆動可能に接続される第1端と、支持部232に回転可能に接続される第2端とを有し、伸縮可能な棒状部材である。なお、ジャッキ部231は、実装筐体21を持ち上げるように動作しさえすれば、その形状や動作原理には限定を加えない。例えば、ジャッキ部231は、油圧制御によって駆動するラムシリンダによって実現される。
【0090】
制御装置の制御に応じて、ジャッキ部231が駆動すると、第1端を支点として、支持部232に接続された第2端の側が持ち上がる。そして、制御装置の制御に応じて、ジャッキ部231が伸びると、第1端を支点として、支持部232に接続された第2端の側がさらに持ち上がる。
【0091】
図18は、実装筐体21の搭載角度が0度のとき(初期位置とも呼ぶ)の角度変更機構23の状態について説明するための概念図である。搭載角度が0度のとき、ジャッキ部231および支持部232は収納槽234の内部に収納された状態になる。最大の搭載角度が同一の場合、ジャッキ部231を縮めた状態で収納できるので、第1の実施形態の角度変更機構13よりも、本実施形態の角度変更機構23の方が収納槽234の長手方向の長さを短くできる。
【0092】
図19は、実装筐体21の搭載角度がθ
1度のときの角度変更機構23の状態について説明するための概念図である(0<θ
1<90)。
図19の状態は、ジャッキ部231を伸ばしていない場合である。搭載角度がθ
1度に設定されると、制御装置の制御に応じてジャッキ部231の支持部232の側が持ち上がり、実装筐体21の吸気面211側の下端が滑動部233の上面を滑動する。そして、実装筐体21は、設定された搭載角度(θ
1度)で排気面212の側が上方を向いて傾いた状態で保持される。
【0093】
図20は、実装筐体21の搭載角度がθ
2度のときの角度変更機構23の状態について説明するための概念図である(θ
1<θ
2<90)。搭載角度がθ
2度に設定されると、制御装置の制御に応じてジャッキ部231の支持部232の側が持ち上がり、実装筐体21の吸気面211側の下端が滑動部233の上面を滑動する。制御装置は、ジャッキ部231を伸ばし始める角度に到達すると、ジャッキ部231を伸ばすように制御する。そして、実装筐体21は、設定された搭載角度(θ
2度)で排気面212の側が上方を向いて傾いた状態で保持される。収納槽234の長手方向の長さが同一の場合、同一の収納時の長さでありながらジャッキ部231をさらに伸ばすことができるので、第1の実施形態の角度変更機構13よりも、本実施形態の角度変更機構23の方が搭載角度を大きく設定できる。
【0094】
図20のように、吸気面211の側を下方に向け、排気面212の側を上方に向けるように搭載角度を調整した状態で送風機構24が動作すると、吸気面211から冷気が取り込まれる。吸気面211から取り込まれた冷気は、サーバが運転することによって発生した熱によって暖められる。暖められた暖気は、排気面212から排出される。
【0095】
以上が、本実施形態の角度調整システム2についての説明である。なお、
図17〜
図20の角度調整システム2の構成は一例であって、本実施形態の角度調整システム2の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0096】
以上のように、本実施形態の角度調整システムは、伸縮可能なジャッキ部を有する。
【0097】
本実施形態の一態様において、ジャッキ部は、収納槽の内部で駆動機構に接続される第1端と、支持部に回転可能に支持される第2端とを有する伸縮可能な棒状部材である。制御装置は、第1端の側を支点として第2端を持ち上げるようにジャッキ部を駆動させる制御と、ジャッキ部の長さを伸縮させる制御とを組み合わせて実装筐体の搭載角度を調整する。
【0098】
本実施形態の角度調整システムによれば、最大の搭載角度が同一の場合、ジャッキ部を縮めた状態で収納できるので、第1の実施形態よりも台座の収納槽の長手方向の長さを短くできる。また、本実施形態の角度調整システムによれば、台座の収納槽の長手方向の長さが同一の場合、同一の収納時の長さでありながらジャッキ部をさらに伸ばすことができるので、第1の実施形態よりも搭載角度を大きく設定できる。
【0099】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る角度調整システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の角度調整システムは、送風機構の構成が第1〜第2の実施形態とは異なる。
【0100】
図21は、本実施形態の角度調整システム3の構成の一例を示すブロック図である。
図21のように、角度調整システム3は、実装筐体31、センサ32、角度変更機構33、送風機構34、制御装置35を備える。実装筐体31、センサ32、角度変更機構33、送風機構34は、角度調整装置30を構成する。なお、実装筐体21、センサ22、角度変更機構33、制御装置35の構成は、第1〜第2の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0101】
図22は、搭載角度が0度のとき(初期位置とも呼ぶ)の角度調整装置30の斜視図である。
図23は、実装筐体31の搭載角度が0度のとき(初期位置とも呼ぶ)の角度調整装置30の状態を示す側面図である。
図23においては、説明しやすくするために送風機構34の一部を透視した様子を図示する。
【0102】
実装筐体31および送風機構34は、角度変更機構33の上面に載置される。本実施形態においては、実装筐体31の底面の長手方向をx軸、短手方向をy軸、垂直方向をz軸とする実装筐体31の相対座標系を設定する。
【0103】
送風機構34は、実装筐体31の内部に冷気を取り込み、実装筐体31の内部に実装されたサーバが運転することによって発生した熱で暖められた暖気を実装筐体31の外部に排出するためのファン340を少なくとも一つ有する(
図22〜
図23)。
図22〜
図23には、送風機構34が4つのファン340を有する例を挙げるが、送風機構34が有するファン340の数やスペックは任意に設定できる。本実施形態においては、実装筐体31の吸気面311の側に送風機構34を配置する例を示すが、実装筐体31の排気面312の側に送風機構34を配置してもよい。
【0104】
ファン340は、制御装置35の制御に応じて、送風方向を変更できる。
図22および
図23の例においては、z軸に沿った方向を中心軸とし、xy平面と平行な面内でファン340の送風方向を変更する。送風機構34に含まれるそれぞれのファン340は、互いに独立して送風方向を変更できる。
【0105】
〔制御装置〕
次に、制御装置35の構成について図面を参照しながら説明する。
図24は、制御装置35の構成の一例を示すブロック図である。
図24のように、制御装置35は、風量データ取得部351、設定候補データ記憶部352、駆動条件設定部353、角度制御部354、温度データ取得部355、温度履歴データ記憶部356、温度監視部357、送風制御部358を有する。
【0106】
風量データ取得部351は、センサ32から風量データを取得する。風量データ取得部351は、取得した風量データと、その時点における搭載角度とを対応付けた設定候補データを設定候補データ記憶部352に記憶させる。本実施形態では、
図22や
図23に示す相対座標系に関して、z軸に沿う方向を中心軸として、x軸を+y方向に向けて回転させる方向に+θ
f、−y方向に向けて回転させる方向に−θ
fだけ送風方向を変更する。
【0107】
設定候補データ記憶部352には、実装筐体31の搭載角度と、その搭載角度において計測された風量データとが対応付けられたファン340の送風方向ごとの設定候補データが記憶される。
【0108】
図25は、設定候補データ記憶部352に記憶される設定候補データをまとめたテーブルの一例(設定候補テーブル362)である。設定候補テーブル362には、搭載角度を0度から5度おきに変更していき、それぞれの搭載角度において計測された風量(任意単位)と搭載角度とをファン340の送風方向ごとに対応づけた設定候補データがまとめられる。
【0109】
また、設定候補データ記憶部352には、過去に調整した角度と、そのときに計測された風量と排気温度とのデータセット(調整履歴リストとも呼ぶ)が記憶される角度調整履歴記憶領域を制御装置35の図示しない記憶領域に確保してもよい。例えば、駆動条件設定部353は、角度調整処理を行う際に、まず排気温度を計測し、調整履歴リストを参照してその排気温度に対応する角度に実装筐体31の搭載角度を設定すれば、角度調整のための何パターンもの計測を省略し、調製時間を短縮できる。調整履歴リストにない排気温度が計測された場合は、新規に角度調整処理を行い、そのときに得られた調整履歴を調整履歴リストに追加すればよい。
【0110】
図26は、制御装置35に記憶される調整履歴テーブル363の一例である。調整履歴テーブル363には、過去に計測された排気温度と、その排気温度が計測された際の搭載角度と、ファン340の送風方向とが対応付けて記録される。なお、
図26の調整履歴テーブル363は一例であって、過去の調整履歴に基づいて搭載角度や送風方向を設定できさえすれば、調整履歴テーブル363に記録するデータに限定は加えない。
【0111】
駆動条件設定部353は、角度調整処理の実行中に、実装筐体31に設定する搭載角度を角度制御部354に出力し、ファン340に設定する送風方向を送風制御部358に出力する。駆動条件設定部353は、角度調整処理が完了すると、設定候補データ記憶部352に記憶された設定候補データを参照し、風量が最大となるファン340の送風方向と搭載角度とを取得する。駆動条件設定部353は、風量が最大となる搭載角度を角度制御部354に出力し、風量が最大となる送風方向を送風制御部358に出力する。
【0112】
角度制御部354は、駆動条件設定部353から搭載角度を取得する。角度制御部354は、取得した搭載角度になるように角度変更機構33を制御する。
【0113】
温度データ取得部355は、センサ32から温度データを取得する。温度データ取得部355は、取得した温度データと、その温度データの計測時刻とを対応付けて温度履歴データ記憶部356に記憶させる。本実施形態においては、温度データ取得部355は、実装筐体31に実装されたサーバが運転中に温度データを取得する。
【0114】
温度履歴データ記憶部356には、温度データの計測時刻と、その計測時刻に計測された温度とが対応付けられた温度履歴データが記憶される。
【0115】
温度監視部357は、温度データ取得部355によって温度データ(排気温度T
x)が取得されると、温度履歴データ記憶部356を参照する。温度監視部357は、温度履歴データ記憶部356を参照し、その温度データの計測時刻よりも所定の時間だけ前の時刻(基準時刻)に計測された温度データ(排気温度T
y)の有無を確認する。温度監視部357は、温度履歴データ記憶部356に基準時刻に計測された温度データ(排気温度T
x)が記憶されている場合、直近に計測された排気温度Txと、基準時刻に計測された排気温度T
yとを比較する。直近に計測された排気温度Txと、基準時刻に計測された排気温度T
yとの温度差が所定温度差以上の場合、駆動条件設定部353に角度調整処理を再度実行させる。
【0116】
送風制御部158は、ファン340に設定する送風方向を駆動条件設定部353から取得する。送風制御部158は、駆動条件設定部353から取得した送風方向に向けてファン340を制御する。また、送風制御部158は、駆動条件設定部353の制御に応じて、送風機構34が有するファン340の回転数や回転方向などの回転状態を制御する。
【0117】
以上が、制御装置35の構成についての説明である。なお、
図24の制御装置35の構成は一例であって、本実施形態の角度調整システム3が備える制御装置35の構成のそのままの形態に限定するものではない。
【0118】
(動作)
次に、本実施形態の角度調整システム3の動作について図面を参照しながら説明する。以下においては、サーバが実装される実装筐体31の搭載角度を調整する角度調整処理について説明する。実装筐体31に実装されたサーバが運転している状況における温度監視処理については、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0119】
〔角度調整処理〕
図27は、角度調整システム3による角度調整処理について説明するためのフローチャートである。
図27のフローチャートに沿った説明においては、角度調整システム3の制御装置35を動作の主体とする。
【0120】
図27の角度調整処理に先立って、角度調整システム3は、実装筐体31にサーバが実装された状態で制御装置35を初期化する。角度調整システム3は、制御装置35の初期化に当たって、センサ32との通信状況の検査、内部メモリのユーザ領域のクリア、角度変更機構33の設定角度の検査、角度変更機構33の搭載角度の初期化(0度)などを行う。角度調整システム3は、制御装置35を初期化すると、送風機構34のファン340を所定の回転数で稼働させる。
【0121】
図27において、まず、制御装置35は、センサ32から風量データを取得する(ステップS311)。
【0122】
次に、制御装置35は、取得した風量データの値(風量)と、その時点における実装筐体31の搭載角度とを対応付けた設定候補データを記録する(ステップS312)。例えば、制御装置35は、各搭載角度において1分間隔で風量を計測し、1分間における風量の平均値を記録する。
【0123】
全ての送風方向の風量計測が完了していない場合(ステップS313でNo)、ファン340の送風方向を変更し(ステップS314)、ステップS311に戻る。一方、全ての送風方向の風量計測が完了した場合(ステップS313でYes)、ファン340の送風方向を初期位置に戻す(ステップS315)。例えば、搭載角度を0度から90度の範囲で5度ずつ変化させて測定する場合、制御装置35は、19パターンの搭載角度に関して3パターンずつの風量データ(計57パターン)を記録することになる。
【0124】
ここで、全ての設定角度で風量計測が完了していない場合(ステップS316でNo)、制御装置35は、実装筐体31の搭載角度を変更する(ステップS317)。ステップS117の後はステップS311に戻る。一方、全ての設定角度で風量計測が完了した場合(ステップS316でYes)、制御装置35は、風量が最大になるようにファン340の送風方向と、実装筐体31の搭載角度とを調整する(ステップS318)。
【0125】
そして、制御装置35は、センサ32から温度データを取得し、取得した温度データの計測時刻と、その温度データの値(初期温度)とを対応付けた温度履歴データを記録する(ステップS319)。制御装置35は、温度履歴データを記録すると、角度調整処理が完了したことをユーザに通知する。なお、角度調整処理が完了したことを通知する方法については、特に限定を加えない。
【0126】
以上が、角度調整システム3による角度調整処理についての説明である。なお、
図27のフローチャートに沿った角度調整処理は一例であって、本実施形態の角度調整システム3による角度調整処理をそのままの手法に限定するものではない。
【0127】
以上のように、本実施形態の角度調整システムは、角度調整処理の際にファンの送風方向について検証する。
【0128】
本実施形態の一態様において、送風機構は、制御装置の制御に応じて送風方向を変更可能な少なくとも一つのファンを有する。制御装置は、角度変更機構およびファンを制御して実装筐体の搭載角度およびファンの送風方向を何段階かで変更させ、それぞれの搭載角度および送風方向でセンサによって計測される風量を搭載角度および送風方向と対応付けて記録する。制御装置は、センサによって計測される風量が最大となる搭載角度および送風方向に角度変更機構およびファンを制御する。
【0129】
本実施形態の一態様において、制御装置は、過去にセンサによって計測された温度と、該温度が計測された際の搭載角度とファンの送風方向とが対応付けて記録される調整履歴テーブルを有する。制御装置は、情報処理装置の運転開始時にセンサによって計測された温度を取得すると、調整履歴テーブルを参照し、取得した温度に対応する搭載角度と送風方向になるように角度変更機構およびファンを制御する。
【0130】
本実施形態の角度調整システムによれば、サーバ内を通過する気流の方向を微調整できるため、第1の実施形態と比べてサーバ内を通過する気流の風量をより大きくすることができる。
【0131】
(ハードウェア)
ここで、本発明の各実施形態に係る角度調整システムの制御装置を実現するハードウェア構成について、
図28のコンピュータ90を一例として挙げて説明する。なお、
図28のコンピュータ90は、各実施形態の制御装置の処理を実行するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0132】
図28のように、コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96を備える。
図28においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、バス99を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0133】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、コンピュータ90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係る制御装置による処理を実行する。
【0134】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
【0135】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0136】
入出力インターフェース95は、コンピュータ90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0137】
コンピュータ90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0138】
また、コンピュータ90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、コンピュータ90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介してコンピュータ90に接続すればよい。
【0139】
また、コンピュータ90には、必要に応じて、ディスクドライブを備え付けてもよい。ディスクドライブは、バス99に接続される。ディスクドライブは、プロセッサ91と図示しない記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータ・プログラムの読み出し、コンピュータ90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。
【0140】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御装置を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図28のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御装置を実現するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る制御装置に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
【0141】
各実施形態の制御装置の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、各実施形態の制御装置の構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
【0142】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。