特許第6904955号(P6904955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904955
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】アプレミラスト徐放性製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4035 20060101AFI20210708BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210708BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20210708BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   A61K31/4035
   A61P29/00
   A61P43/00 111
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K47/12
   A61K47/04
   A61K9/22
   A61K9/32
   A61K47/26
   A61K47/08
   A61K47/36
   A61K9/16
   A61K9/48
   A61K9/10
   A61K9/20
   A61K9/14
【請求項の数】40
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-529290(P2018-529290)
(86)(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公表番号】特表2018-538289(P2018-538289A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】CN2016108709
(87)【国際公開番号】WO2017107768
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年12月2日
(31)【優先権主張番号】201510982528.8
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100153394
【弁理士】
【氏名又は名称】謝 卓峰
(74)【代理人】
【識別番号】100145056
【弁理士】
【氏名又は名称】當別當 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行
(72)【発明者】
【氏名】パン、カイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、カイ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、チェニン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、トン
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0370092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 47/00−47/69
A61K 9/00−9/72
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
I)アプレミラストの徐放性成分、および
II)アプレミラストの部位特異的放出成分
を含有することを特徴とする、医薬製剤であって、
徐放性成分Iが
A)アプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物;および
B)ヒプロメロース、ポリオキシエチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキルサッカロースまたはポリアルキルペンタエリトリトールおよびアクリル架橋ポリマーのコポリマー、およびアルギン酸ナトリウムの1つ以上である徐放性物質;
を含み、
部位特異的放出成分IIが
A)アプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物;および
B)部位特異的放出コーティング
を含み、
該部位特異的放出成分IIもヒプロメロース、ポリオキシエチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキルサッカロースまたはポリアルキルペンタエリトリトールおよびアクリル架橋ポリマーのコポリマー、およびアルギン酸ナトリウムの1つ以上である徐放性物質を含有することを特徴とする、医薬製剤
【請求項2】
徐放性成分Iが、徐放性成分Iの重量に対して、5‐20重量%の量のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
部位特異的放出成分IIが、徐放性成分IIの重量に対して、5‐20重量%の量のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
部位特異的放出コーティングが、腸溶コーティングまたは胃溶コーティングであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
部位特異的放出コーティングが、腸溶コーティングであり;該腸溶コーティングが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、チタン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、およびアクリル樹脂の1つ以上であることを特徴とする、請求項4に記載の医薬製剤
【請求項6】
腸溶コーティングが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはアクリル樹脂であることを特徴とする、請求項5に記載の医薬製剤
【請求項7】
部位特異的放出コーティングは、部位特異的放出成分IIの重量に対して、1‐40重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤
【請求項8】
部位特異的放出コーティングは、部位特異的放出成分IIの重量に対して、2‐30重量%の量で存在することを特徴とする、請求項7に記載の医薬製剤
【請求項9】
部位特異的放出コーティングは、部位特異的放出成分IIの重量に対して、2‐20重量%の量で存在することを特徴とする、請求項8に記載の医薬製剤
【請求項10】
徐放性物質が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iの重量に対して、6‐60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項11】
徐放性物質が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iの重量に対して、10‐50重量%の量で存在することを特徴とする、請求項10に記載の医薬製剤
【請求項12】
徐放性物質が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iの重量に対して、15‐45重量%の量で存在することを特徴とする、請求項11に記載の医薬製剤
【請求項13】
徐放性成分Iの部位特異的放出成分IIに対する重量比が1:8‐8:1であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項14】
徐放性成分Iの部位特異的放出成分IIに対する重量比が1:6‐6:1であることを特徴とする、請求項13に記載の医薬製剤
【請求項15】
徐放性成分Iの部位特異的放出成分IIに対する重量比が1:5‐4:1であることを特徴とする、請求項13に記載の医薬製剤
【請求項16】
徐放性成分Iが、またフィラー、界面活性剤、流動化剤、滑沢剤、およびコーティング剤から成る群から選択される1つ以上である医薬賦形剤も含有することを特徴とする、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
部位特異的放出成分IIも、またフィラー、界面活性剤、流動化剤、滑沢剤、およびコーティング剤から成る群から選択される1つ以上である医薬賦形剤を含有することを特徴とする、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
フィラーが、水溶性フィラーまたは水膨潤性フィラーであることを特徴とする、請求項16または17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
フィラーが、結晶セルロース、アルファ化デンプン、コーンスターチ、デキストリン、乳糖、ショ糖、マンニトール、硫酸カルシウム、およびリン酸水素カルシウムから成る群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
フィラーが、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、10‐40重量%の量で存在することを特徴とする、請求項18に記載の医薬製剤
【請求項21】
界面活性剤が1つ以上のイオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤であり;イオン性界面活性剤はステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチンまたはアミノ酸であり、非イオン性界面活性剤はモノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体であることを特徴とする、請求項16または17に記載の医薬製剤。
【請求項22】
界面活性剤が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、0.5重量%‐10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
流動化剤が、シリカ、タルク、および微粉末シリカゲルの1つ以上であることを特徴とする、請求項16または17に記載の医薬製剤。
【請求項24】
流動化剤が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、0.1‐5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項23に記載の医薬製剤
【請求項25】
滑沢剤がステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール6000、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、硬化ヒマシ油、およびベヘン酸グリセリルから成る群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項16または17に記載の医薬製剤。
【請求項26】
滑沢剤が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して0.1‐5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項25に記載の医薬製剤
【請求項27】
医薬製剤が、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤または丸剤であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項28】
徐放性成分Iが、
A)5‐20重量%のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物;
B)ポリオキシエチレン、ヒプロメロースおよびヒドロキシプロピルセルロースから成る群から選択される1つまたは2つの徐放性物質;
C)10‐40重量%のフィラー;
D)0.5‐10重量%の界面活性剤;
E)0.1‐5重量%の流動化剤;および
F)0.1‐5重量%の滑沢剤
を含有する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項29】
徐放性物質が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、6‐60重量%の量で存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項30】
徐放性物質が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、10‐50重量%の量で存在する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項31】
徐放性物質が、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、15‐45重量%の量で存在する、請求項30に記載の医薬製剤。
【請求項32】
部位特異的放出成分IIが、
A) 5‐20重量%のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物;
B)10‐40重量%のフィラー;
C)0.5‐10重量%の界面活性剤;
D)0.1‐5重量%の流動化剤;
E)0.1‐5重量%の滑沢剤;および
F)チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびアクリル樹脂の少なくとも1つである腸溶性コーティング剤;
含有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項33】
腸溶性コーティング剤が、部位特異的放出成分IIの重量に対して、1‐40重量%の量で存在することを特徴とする、請求項32に記載の医薬製剤
【請求項34】
腸溶性コーティング剤が、部位特異的放出成分IIの重量に対して、2‐30重量%の量で存在することを特徴とする、請求項33に記載の医薬製剤
【請求項35】
腸溶性コーティング剤が、部位特異的放出成分IIの重量に対して、2‐20重量%の量で存在することを特徴とする、請求項33に記載の医薬製剤
【請求項36】
部位特異的放出成分IIが、またポリオキシエチレン、ヒプロメロースまたはヒドロキシプロピルセルロースである徐放性物質を含有することを特徴とする、請求項32に記載の医薬製剤。
【請求項37】
徐放性物質は、医薬製剤中の対応する部位特異的放出成分IIの重量に対して6‐60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項38】
徐放性物質は、医薬製剤中の対応する部位特異的放出成分IIの重量に対して10‐50重量%の量で存在することを特徴とする、請求項37に記載の医薬製剤
【請求項39】
徐放性物質は、医薬製剤中の対応する部位特異的放出成分IIの重量に対して15‐45重量%の量で存在することを特徴とする、請求項38に記載の医薬製剤
【請求項40】
900 mLの溶解培地を用いて、まず製剤をpH 1.0の培地中に置いて2時間試験を行い、次いでpH 6.8のリン酸緩衝液中に置き、溶解培地の温度は37±0.5°C、パドルスピードは75rpmで、230 nmでUV分光光度計を用い、第2法、即ち中国薬局方の溶解試験のパドル法に従って試験したとき、次の溶解プロフィール:
アプレミラストの10‐20重量%が、2時間後に放出され、
アプレミラストの30‐60重量%が、4時間後に放出され、
アプレミラストの85‐96重量%が、8時間後に放出され、そして
アプレミラストの96‐100重量%が、12時間後に放出される;
が得られることを特徴とする、、請求項1〜39のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難溶性薬物アプレミラストの徐放性製剤に関する。具体的には、本発明は、徐放性成分と部位特異的放出成分を含有する徐放性製剤に関する。製剤はin vitro放出試験で穏やかな放出を有し、血漿濃度がなだらかで効果が長続きすることを確実にできる。
【背景技術】
【0002】
アプレミラスト、化学名N-[2-[(1S)-1(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-2H-1,3-ジオキシ-1H-イソインドール-4-イル]アセトアミドは、次に示す構造:
【化1】
を有している。
【0003】
アプレミラストは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)を特異的に標的とする小分子ホスホジエステラーゼ阻害剤である。PDE4の阻害は、細胞内cAMPレベルの増加をもたらし、炎症反応はTNF-α、IL-23、および他の炎症性サイトカインの発現を調節することによって減少する。
【0004】
アプレミラストは、難溶性化合物、BCS IV薬物、実質的に水に不溶であり、乾癬の治療に用いられる。乾癬は、長期間患者を煩わせて、容易に治療できない慢性の炎症病変を特徴とする一般的な皮膚疾患である。現在、多くの生物学的製剤の臨床適用がなされている。主な生物学的製剤としては、TNF-α阻害剤、インターロイキン-12、23(IL-12/IL-23)阻害剤、およびB細胞およびT細胞を標的とする抗体が挙げられる。乾癬の治療に現在用いられている生物学的製剤は、急速に開発され、大きな臨床効果を有している。しかしながら、生物学的製剤は一般に注射によって投与され、そして乾癬は長期間の治療コントロールを必要とする。それ故、乾癬の全身性の長期間治療中、生物学的製剤に対する低コンプライアンスや耐性ができ易いなどの問題がある。上記状況を考慮して、乾癬の治療で経口投与することができる薬剤として、アプレミラストは大きな利点を有している。
【0005】
現在市販されているアプレミラスト製剤は、通常錠剤である。長期使用のため、錠剤は、1日2回、1回30 mgを12時間のインターバルで投与される。アプレミラスト徐放性錠剤は、回数を1日1回に変え、そのため患者のコンプライアンスが増加して、そして血漿濃度の変動が減少して、薬物療法中の副作用を大きく減少させることができる。徐放性錠剤は、それ故、長期薬物療法中の患者にとって大きな利点を有している。
【0006】
アプレミラストの胃腸管系の副作用は重篤であり、副作用の頻度は血漿濃度と密接に関係しているので、現在利用できる即放性錠剤の容量は、滴定を経て日ごとに増加させる必要がある。投与の具体的方法は下記表に示すが、患者の低コンプライアンスをもたらす。
【0007】
上記の理由により、投与後の体内でよりなだらかな血漿濃度を有するアプレミラストの徐放性製剤の診療における差し迫った必要がある。具体的には、そのようなアプレミラスト徐放性製剤は、1日の薬物適用の回数を減らして患者のコンプライアンスを増加させ、これは長期間の薬物適用を必要とする患者にとって必要である。同時に、そのようなアプレミラスト徐放性製剤は、投与後の薬物の穏やかな放出性を有し、体内でゆっくりと放出することができ、1日2回投与により生じる血漿濃度の変動を減らして、副作用の発生頻度を大きく減らすことができる。
【0008】
特許文献1は、徐放性マトリックス物質としてヒドロキシプロピルセルロースなどの高分子ポリマーを含有する徐放性医薬組成物を開示する。その明細書の薬物放出データに見られるように、徐放薬物の放出率は直線関係を示し、良い徐放効果を達成することはできない。
特許文献2は、1つが単層のコーティング剤でコーティングされた徐放成分であり、他方が2層のコーティング剤でコーティングされた徐放成分であり、異なった徐放成分から調製された経口製剤を開示する。その方法に従って調製された錠剤やカプセルの放出率は、十分に穏やかではなく、放出量も一定ではない。その技術的解決法は、現存する問題、即ち、薬物適用の回数を減らし、患者の血漿濃度の変動を小さくし、薬物バイオアベイラビリティを増して、薬物療法中の副作用を減らすということを解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2013119607
【特許文献2】US20140370092
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アプレミラストの徐放性成分とアプレミラストの部位特異的放出成分を含有する徐放性製剤に関する。経口投与後のアプレミラストの血漿濃度を従来の錠剤のものより一定にし、血漿濃度の変動を減らして、副作用の発生を大きく減少させ、そして作用の持続時間をより長くして、それにより薬物投与の回数を減らすということを確実にするために、異なる薬物放出挙動を持った2つの成分を組み合わせることによって、経口投与後のアプレミラストの放出挙動を制御する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
具体的には、アプレミラストの徐放性成分Iとアプレミラストの部位特異的放出成分IIを本発明のある一定の重量比で混合する。部位特異的放出成分IIは、アプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物および部位特異的放出コーティングから調製される。アプレミラストの徐放性成分Iは、アプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物およびマトリックスタイプの徐放成分である徐放性物質から調製される。活性成分アプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物は、対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して5‐20重量%の量で存在する。
【0012】
より好ましい徐放効果を達成するために、部位特異的放出成分IIは、部位特異的放出成分が体内の特定の領域に達した後に薬物をゆっくりと放出し、これにより投与間隔を延長し、体内での薬物の吸収に有益となり、そして薬物の副作用を減らすことができるように、徐放性物質も含む。医薬製剤の最適の徐放効果を達成するために、研究者達は医薬製剤における徐放性成分Iと部位特異的放出成分IIの配合比について詳細な検討を行い、徐放性成分Iの部位特異的放出成分IIに対する重量比が1:8−8:1であるとき、医薬製剤の徐放率がよく、そして重量比が1:6−6:1であるとき、徐放率はよりよく、より好ましくは1:5−4:1、特に2/5、3/5、4/5、1/4、1/3、2/3、3/4、1/2、1/1、2/1、3/2、または3/1であることを見い出した。
【0013】
本発明の医薬製剤は、胃溶性コーティングまたは腸溶性コーティングであってもよい少なくとも1つの部位特異的放出コーティングを含む。本発明では、限定されないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、チタン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPCP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、アルギン酸ナトリウム、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、シェラック、メタクリル酸メチル、メタクリル酸およびアクリル酸ブチルのターポリマー、メチルアクリル酸およびメタクリル酸エステルの共重合体の溶液または分散液、アセチルチタンセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、USNF A(オイドラギットLTM)、B(オイドラギットSTM)、C(オイドラギットL 100-55TM)、オイドラギットNE 30D、オイドラギットE、オイドラギットRL、オイドラギットRSの具体的商品名のアクリル樹脂(商品名:オイドラギット)、酢酸トリメリト酸セルロース、およびlacの1つ以上などの、どの腸溶性コーティングも用いることができる。
【0014】
さらに、本発明の製剤で用いる腸溶性コーティングは、単層であっても多層であってもよい。コーティングの厚さは、当業者によって容易に決められるが、酸性の胃環境中で製剤を保護するのに十分でなければならない。腸溶性コーティングの重量は、部位特異的放出成分IIの全重量に対して1‐40%、より好ましくは2‐30%、最も好ましくは2‐20%であり、具体的には6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、または19%である。
【0015】
本発明の徐放性成分Iと部位特異的放出成分IIで用いる徐放性物質(徐放性マトリックス物質とも呼ぶ)は、ポリオキシエチレン、ヒプロメロース、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンポリマー(コリドンSR)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキルサッカロースまたはポリアルキルペンタエリトリトールおよびアクリル架橋ポリマーのコポリマー(カルボマー)、およびアルギン酸ナトリウムの1つ以上であり、エチレンオキシドは水溶性樹脂であって、水溶性樹脂は、好ましくは900,000 Da〜10,000,000 Daの分子量を有しており、具体的商品名はポリオキシエチレンN80、ポリオキシエチレンN750、ポリオキシエチレン1105、ポリオキシエチレンN60K等である。種々の徐放性物質を使用のために混合する場合、混合比は、特に限定する必要はない。一方、本発明の徐放性物質は、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、6‐60重量%、好ましくは10‐50重量%、より好ましくは15‐45重量%、具体的には20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、または45重量%の量で存在する。
【0016】
本発明の医薬製剤において、徐放性成分Iおよび部位特異的放出成分IIは、また医薬賦形剤を含んでいてもよい。そのような賦形剤は、当業者に良く知られており、1つ以上のフィラー、界面活性剤、流動化剤、滑沢剤、およびコーティング剤である。
【0017】
本発明で用いるフィラーは、水溶性または水膨潤性フィラーである。水膨潤性フィラーとは、水を添加後に膨潤する医薬賦形剤をいう。水溶性フィラーとしては、デキストリン、乳糖、ショ糖、マンニトール、およびリン酸水素カルシウムが挙げられる。水膨潤性フィラーとしては、アルファ化デンプン、ゼラチン化デンプン、微結晶(結晶)セルロース、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-K100LV)、硫酸カルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチルセルロース)、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、大豆レシチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トラガント末およびベントナイトが挙げられる。これらの水溶性または水膨潤性添加剤は、単独でまたは2つ以上のタイプ、好ましくは結晶セルロース、アルファ化デンプン、コーンスターチ、デキストリン、乳糖、ショ糖、マンニトール、硫酸カルシウム、およびリン酸水素カルシウムの1つ以上の組合せで用いられる。フィラーは、好ましくは医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、または40重量%であってもよい、10‐40重量%の量で存在する。
【0018】
本発明において、“…医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、…の量で存在する”は、対応する成分(徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分II)中の医薬賦形剤の重量を意味する。例えば、“フィラーは、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、10‐40重量%の量で存在する”は、徐放性成分I中のフィラーが医薬製剤中の徐放性成分Iの重量に対して、10‐40重量%の量で存在し、徐放性成分II中のフィラーは医薬製剤中の部位特異的放出成分IIの重量に対して、10‐40重量%の量で存在することを意味する。
【0019】
本発明において、“10‐40重量%のフィラー”などの表現は、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、フィラーが10‐40重量%の量で存在することを意味する。さらに、医薬製剤の製造中、当業者は習慣的に活性成分、徐放性物質、および医薬賦形剤を全体として考慮し、使用するコーティング剤を添加量として計算する。しかしながら、使用の範囲または活性成分、徐放性物質、または医薬賦形剤の量の範囲を計算するときは、計算は全成分の重量に基づくが、本発明にも適用する。詳細は実施例2を参照。
【0020】
本発明の界面活性剤としては、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤は、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、アミノ酸などである。非イオン性界面活性剤は、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(ポロクサマー)、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどである。界面活性剤は、好ましくは医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、または9重量%であってもよい、0.5重量%‐10重量%の量で存在する。
【0021】
本発明の流動化剤は、水和シリカ(コロイド状シリカ)、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、タルク、コーンスターチまたはケイ酸アルミニウム、好ましくはコロイド状シリカである。流動化剤は、好ましくは医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、または4.5重量%であってもよい、0.1‐5重量%の量である。
【0022】
本発明の滑沢剤は、カカオバター、カルナウバロウ、水和シリカ(コロイド状シリカ)、水酸化アルミニウムキセロゲル、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、硬化油、合成ケイ酸アルミニウム、白ろう、酸化マグネシウム、酒石酸カリウムナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール40、タルク、硬化ヒマシ油、ベヘン酸グリセリルの1つ以上、好ましくはステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール6000、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、硬化ヒマシ油、およびベヘン酸グリセリルの1つ以上である。滑沢剤は、好ましくは医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、または4.5重量%であってもよい、0.1‐5重量%の量である。
【0023】
本発明のコーティング剤(非部位特異的放出コーティング)は、ヒプロメロース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル樹脂またはポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRSおよびエチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー分散体、糖アルコールショ糖などの糖類、マンニトールペースト、または市販製品オパドライ(Opadry)である。
【0024】
本発明の医薬製剤において、徐放性成分Iは、(A)5‐20重量%のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物、(B)ポリオキシエチレン、ヒプロメロースおよびヒドロキシプロピルセルロースから成る群から選択される1または2の徐放性物質;好ましくは該徐放性物質の含量は、好ましくは医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、6‐60重量%、好ましくは10‐50重量%、より好ましくは15‐45重量%の量である、(C)10‐40重量%のフィラー、(D)0.5‐10重量%の界面活性剤、(E)0.1‐5重量%の流動化剤、(F)0.1‐5重量%の滑沢剤を含有する;そして部位特異的放出成分IIは、(A)5‐20重量%のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物、(B)10‐40重量%のフィラー、(C)0.5‐10重量%の界面活性剤、(D)0.1‐5重量%の流動化剤、(E)0.1‐5重量%の滑沢剤、(F)部位特異的コーティング物質が、好ましくはエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびアクリル樹脂の少なくとも1つである腸溶性コーティング剤である部位特異的コーティング物質を含有し;該腸溶性コーティング剤は、好ましくは部位特異的放出成分IIの重量に対して、1‐40重量%、より好ましくは2‐30重量%、最も好ましくは2‐20重量%の量である。
【0025】
本発明の医薬製剤において、徐放性成分Iの部位特異的放出成分IIに対する重量比は、1:8‐8:1、好ましくは1:6‐6:1、より好ましくは1:5‐4:1、具体的には2/5、3/5、4/5、1/4、1/3、2/3、3/4、1/2、1/1、2/1、3/2、または3/1である。一方、本発明の医薬製剤において、部位特異的放出成分IIは、またポリオキシエチレン、ヒプロメロースまたはヒドロキシプロピルセルロースである徐放性物質も含有してもよい。好ましくは徐放性物質は、医薬製剤中の対応する徐放性成分Iまたは部位特異的放出成分IIの重量に対して、6‐60重量%、好ましくは10‐50重量%、より好ましくは15‐45重量%の量である。
【0026】
本発明の医薬製剤における徐放性成分Iは、マトリックスタイプの徐放性成分である。具体的には、活性成分アプレミラストは徐放性マトリックス中に分布しており、マトリックス中に分布した徐放性物質が主として徐放の効果を現す。徐放性成分Iは、コーティング剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0027】
本発明の部位特異的放出成分IIが徐放性物質を含む場合、活性成分も徐放性マトリックス中に分布しており、成分IIはマトリックスタイプの徐放性成分である。本発明の部位特異的放出成分IIは、他のタイプのコーティング(非腸溶性コーティング)を含んでもよく、これは医薬製剤の製造における識別と差別化の役割を果たす。
【0028】
本発明の医薬製剤は、錠剤、顆粒剤、散剤(細顆粒を含む)、ペレット、またはカプセル剤、好ましくはカプセル剤または錠剤である固形製剤である。固形製剤は、湿式造粒法、乾式造粒法、または粉末直接圧縮法などの広く公知の製造法によって製造することができる。
【0029】
本発明の医薬製剤がカプセルの剤形である場合、広く公知の製造法で製造された顆粒剤、ペレットまたは散剤をカプセルに被包することができる。
【0030】
本発明のアプレミラストは、溶媒和物(水和物を含む)または薬理学的に許容される塩または該塩の溶媒和物(水和物を含む)である。該塩としては、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩およびマンデル酸塩が挙げられる。
【0031】
本発明のアプレミラストまたはその薬理学的に許容される塩または溶媒和物は、US Pat. No. 6,962,940またはJ. Med. Chem., 2009, 52, 155-1524に開示の方法に従って合成することができ、また市販でも入手できる。
【0032】
本発明の医薬製剤のin vitro溶解率を、第2法、即ち中国薬局方の溶解試験のパドル法に従って試験する。900 mLの溶解培地を用い、まず製剤をpH 1.0の培地中に置いて2時間試験を行い、次いでpH 6.8のリン酸緩衝液中に置いて溶解率を測定する。溶解培地の温度は37±0.5°Cであり、パドルスピードは75 rpmである。サンプルを2, 4, 6, 8, 12時間で採取して、UV分光光度計で230 nmで測定する。溶解プロフィールは、次の通りである:
アプレミラストの10-20重量% が、2 時間後に放出され、
アプレミラストの30-60重量%が、 4時間後に放出され、
アプレミラストの85-96重量% が、8時間後に放出され、そして
アプレミラストの96-100重量%が、12時間後に放出される。
本発明の量と溶解率の数値は不可避の実験誤差を有しており、誤差値は±1%である。
【0033】
本発明に従って、異なる徐放挙動を持つ2つのアプレミラスト成分を、in vitro溶解試験で一定の溶解率を有する最終の徐放製剤に特定の比率に従って組み合わせる。本発明の徐放製剤のn vitro溶解率と薬物動態は、通常の製剤の薬物動態と比べて次のような有益な効果を有している:
1.血漿濃度を長時間に亘って維持することができ、それにより通常製剤の高頻度の投与のピーク‐谷現象を回避でき;一方、薬物のバイオアベイラビリティが増加して、薬物適用中の胃腸管に対するアプレミラストの副作用が減少する。
2.作用時間が異なった薬物放出メカニズムによって延長されて、投与頻度が減り、そして患者のコンプライアンスを改善する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施態様G、IおよびHにおけるアプレミラストの溶解プロフィールを示す図である。
図2】実施態様J、IおよびKにおけるアプレミラストの溶解プロフィールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明する。これらの実施例は説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0036】
徐放性成分Iの調製
アプレミラスト、フィラー、徐放性物質、界面活性剤、流動化剤、および滑沢剤を表1の比率に従って混合し、次いで粉末直接打錠技術を用いて直接圧縮して錠剤にした。打錠に際して、2 mm〜6 mmの直径を持つ円形のダイなど、どの直径のダイも選択できる。錠剤の重量は、10 mg〜100 mgであった。
【表1】
【実施例2】
【0037】
部位特異的放出成分IIの調製
アプレミラスト、フィラー、徐放性物質、界面活性剤、流動化剤、および滑沢剤を表2の比率に従って混合し、次いで粉末直接打錠技術を用いて直接圧縮して錠剤にした。圧縮した錠剤は、次いで高度に有効なコーティング剤でコーティングする。打錠に際して、2 mm〜6 mmの直径を持つ円形のダイなど、どの直径のダイも選択できる。錠剤の重量は、10 mg〜100 mgであった。
【表2】
【実施例3】
【0038】
アプレミラスト徐放性製剤の調製
徐放性成分Iおよび部位特異的放出成分IIを異なる比率で00#カプセルに充填して、異なる溶解プロフィールを有する徐放性製剤を調製した。具体的実施態様を表3に示す。
【表3】
【0039】
実施態様G〜Kのアプレミラスト徐放カプセルのin vitro溶解率を、第2法、即ち中国薬局方の溶解試験のパドル法に従って試験した。900 mLの溶解培地を用いて、まず製剤をpH 1.0の培地中に置いて2時間試験を行い、次いでpH 6.8のリン酸緩衝液中に置いて溶解率を測定する。溶解培地の温度は37±0.5°Cで、パドルスピードは75 rpmである。サンプルを2, 4, 6, 8, 12時間で採取して、UV分光光度計により230 nmで測定する。結果を表4に示す。
【表4】
上記の表に示した結果から、本発明の方法に従って製造したアプレミラスト徐放性製剤は2時間以内はゆっくりと放出して、治療効果を達成することができ、一方で経口投与後の過剰な急速放出に起因する副作用が避けられるということが判る。放出は2−12時間以内は穏やかで、なだらかな血漿濃度と長続
きする効果を確実にすることができる。
図1
図2