(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904960
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】スキンタイトニング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20210708BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20210708BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20210708BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20210708BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20210708BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20210708BHJP
A61K 8/87 20060101ALN20210708BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/73
A61K8/26
A61K8/34
A61K8/81
A61Q19/08
!A61K8/87
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-534712(P2018-534712)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公表番号】特表2019-504058(P2019-504058A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】US2016068205
(87)【国際公開番号】WO2017116944
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】14/985,582
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マニング, ローレン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ミャオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルディ, アンジェリケ エー.
(72)【発明者】
【氏名】チオウ, キャサリン
【審査官】
星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−507641(JP,A)
【文献】
特開2000−063261(JP,A)
【文献】
特開2004−149463(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0193469(US,A1)
【文献】
特開昭63−022008(JP,A)
【文献】
特開2010−043072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1重量%から10重量%の第1の皮膜形成剤ケイ酸ナトリウム、
(b)0.1重量%から10重量%の、プルランである少なくとも1つの第2の皮膜形成剤、
(c)0.3重量%から0.7重量%の少なくとも1つの多価ケイ酸塩増粘剤であって、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、多価ケイ酸塩クレイ、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイト、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの多価ケイ酸塩増粘剤、
(d)0.5重量%から15重量%の少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤であって、アクリレートコポリマー、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤、
(e)2重量%から20重量%の、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、プロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1つの可塑剤、及び
(f)任意選択的に0.1重量%から10重量%の少なくとも1つの化粧用パウダー
を含む、スキンタイトニング水性皮膜形成組成物であって、
皮膚に塗布すると、引き締め感をもたらし、皮膚欠陥を減少させ、
組成物のpHが10から12までである、組成物。
【請求項2】
(a)第1の皮膜形成剤ケイ酸ナトリウムが、組成物の総重量の3重量%から8重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第2の皮膜形成剤(一又は複数)が、総組成物の0.1重量%から8重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(c)少なくとも1つの多価ケイ酸塩増粘剤がモンモリロナイトを含む、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
多価ケイ酸塩増粘剤(一又は複数)が、総組成物の0.4重量%から0.7重量%の量で存在する、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
多価ケイ酸塩増粘剤(一又は複数)が、総組成物の0.4重量%から0.6重量%の量で存在する、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
陰イオン性会合性ポリマー増粘剤(一又は複数)が、総組成物の1重量%から10重量%の量で存在する、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
可塑剤(一又は複数)が、総組成物の5重量%から20重量%の量で存在する、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(f)タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、ポリエチレンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶性セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化粧用パウダーを含む、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(f)少なくとも1つの化粧用パウダーが、ポリメチルメタクリレートを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の組成物を皮膚に塗布することを含む、皮膚の外観を改善する方法。
【請求項12】
皮膚の外観を改善することが、しわ、傷、乾燥、粗さ、くすみ、年齢によるしみ、たるみ、目の下のたるみ、及び/又はむくんだ皮膚の外観を処置又は低減することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から10の何れか一項に記載の組成物を皮膚に塗布することを含む、皮膚をファーミング及び/又はタイトニングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚に即座の及び長続きする改善をもたらす化粧用組成物に関する。特に、組成物は、皮膚に物理的タイトニング効果をもたらし、したがって目の下のたるみ、顔面のしわ、及び他の加齢による皮膚欠陥の処置に有用である。
【背景技術】
【0002】
皮膚が老化するにしたがって、コラーゲン及びエラスチンの生成が減少する。例えば、20歳以降、人(ヒト)が生成する皮膚のコラーゲンは毎年約1%減少する。結果として、皮膚はより薄く、よりもろくなる。必然的に、しわ、目尻のしわ、年齢によるしみ、目の下のたるみなどが形成され始める。
【0003】
消費者は、このような加齢による皮膚欠陥の外観を、好ましくは即座の結果で改善することを望むことが多い。しわを隠し、軽減するための多くの消費者製品及び手順が入手可能である。いくつかの製品及び手順は、皮膚を覆うために(それによって、しわを覆い及び/又は埋め、より滑らかな外観をもたらす)、例えばメイクアップ、特に下地又は着色したファンデーションを塗布するなど、単純で安価である。外科的顔のしわ取り及びBotox(登録商標)注入のような、はるかに高価で劇的な手順も、しわの出現を減らすために使用される。しかし、多くの消費者は、そのような劇的な美容的手順を受ける余裕がないか、又は望まない。皮膚に潤いを与え、より柔軟にし、それによってしわの出現を低減するように製剤化された多くのローション及びクリームがある。これらの製品のいくつかには、例えばナイアシンアミドなどの活性成分が含有されており、時間と共に皮膚の修復や回復を助ける。しかし残念なことに、これらの製品及び手順のすべてには欠点がある。
【0004】
メイクアップ製品は多くの場合目に見え、質感の恩恵は最小限であり、皮膚への長期持続的な効果はない。メイクアップを除去した後、皮膚はメイクアップが適用される前と同じように見える。一般的なスキンケア製品は、長期、短期又は両方の効果を皮膚に与えることができる。水分補給及び光学効果は一般的な短期の恩恵であるが、これらの恩恵は時間と共に迅速に弱まる。
【0005】
既存の製品及び手順の欠点を伴わずに、皮膚の外観を改善する製品の新しい種類を開発する試みがなされてきた。そのような製品群の1つは、一般に、「接着性、収縮性皮膜形成剤」として分類することができる。皮膜形成剤は、皮膚に塗布すると、柔軟性があり、粘着性で連続的な被覆を残す化学的組成物である。皮膜形成剤の選択されたグループはまた、皮膚に接着性であり、収縮性である。
【0006】
ケイ酸ナトリウムは、劇的な、即座の結果を有することが見出された。米国特許出願第2015/00373380号、第2013/0189332号、欧州特許第2404642号を参照されたい。しかし、これらの特許出願の組成物は、それらのスキンタイトニング効果を迅速に失う。例えば、皮膜は弾力性を失い、迅速に白色化し、ひび割れ、剥離し始める。本開示は、他のスキンタイトニング組成物の欠点に悩まされない、新しい改良された長続きするスキンタイトニング組成物に関する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、他の製品の欠点なしに、皮膚、特に目の下のたるみ及び目又は顔のしわに塗布すると即座に感覚及び物理的スキンタイトニング効果を与えるスキンタイトニング組成物に関する。本開示は、スキンタイトニング皮膜形成組成物であって、一般的に水性組成物であり、
(a)第1の皮膜形成剤ケイ酸ナトリウム、
(b)少なくとも1つの第2の皮膜形成剤、
(c)少なくとも1つの多価ケイ酸塩増粘剤、
(d)少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤、
(e)少なくとも1つの可塑剤、及び
(f)任意選択的に、少なくとも1つの化粧用パウダー、
を含む組成物に関する。
【0008】
組成物は、一般的に、塗布すると皮膚の即座タイトニングをもたらし、皮膚欠陥を滑らかにする。
【0009】
組成物は、アルカリ性のpHを有する場合があり、例えば、約10から約12のpH値を有する場合がある。さらに組成物は、液体分散体、ゲル、クリーム、ローション、ムース、又はスプレーの形態である場合がある。同様に、組成物は、液体ローション、液体ゲル、液体クリームのような液体エマルション、又は濃厚クリーム若しくはゲルクリームのようなクリームエマルション、泡或いはムースの形態である場合があり、液体エマルション形態はクリームエマルション形態よりも稠度がより薄い。
【0010】
本開示はまた、皮膚に本明細書に記載の組成物を塗布することを含む、皮膚の外観を改善するための方法に関する。例えば、本開示は、本明細書に記載の組成物を皮膚に塗布し、皮膚上にスキンタイトニング皮膜又は層を形成することを含む、皮膚をファーミング及び/又はタイトニングする方法に関する。場合によっては、組成物は、顔の皮膚、及び/又はより具体的には目の周りに、口の周りに、及び/又はヒトの顔の首の周りに塗布される。皮膚の外観を改善する方法は、しわ、傷、乾燥、粗さ、くすみ、年齢によるしみ、たるみ、及び/又はむくんだ皮膚の外観を処置又は低減する方法を含む。前述の方法は、非処置用である。
【0011】
本開示の組成物は、驚いたことに、安定であり、弾力性であり、及び皮膚に予想外に長続きするスキンタイトニング効果をもたらす。他の製品とは異なり、本組成物で皮膚上に形成された皮膜は、乾燥し白色化したり、割れたり、剥離したりしない。代わりに、それらは、柔軟性(弾力性)、耐久性、及び快適性を維持する。さらに、組成物(及び得られた皮膜)は下層の皮膚に潤いを与え、これを保護する。
【0012】
添付の図を参照して、本技術の実施形態をここで、例としてのみ記載する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の配合物6及び市販の製品であるInstant Ageless(登録商標)を目の下のたるみ上に塗布した結果を比較したグラフである。グラフは時間対目の下のたるみの改善を示す。
【
図2】本発明の配合物6及び市販の製品であるInstant Ageless(登録商標)を目尻のしわ上に塗布した結果を比較したグラフである。グラフは時間対目尻のしわの改善を示す。
【0014】
図によって与えられるさまざまな態様は、図に示される配置及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前述のように、本開示は、皮膚に即座で長続きする改善をもたらす化粧用組成物に関する。特に、組成物は、皮膚にタイトニング効果をもたらし、したがって、目の下のたるみ、顔面のしわ、及び他の加齢による皮膚欠陥の処置のために有用である。一般的に本開示の組成物は、(a)第1の皮膜形成剤ケイ酸ナトリウム、(b)少なくとも1つの第2の皮膜形成剤、(c)少なくとも1つの多価ケイ酸塩増粘剤、(d)少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤、(e)少なくとも1つの可塑剤、及び(f)任意選択的に、少なくとも1つの化粧用パウダーを含む。例えば、組成物は、
(a)約1重量%から約10重量%の第1の皮膜形成剤ケイ酸ナトリウム、
(b)約1重量%から約10重量%の少なくとも1つの第2の皮膜形成剤、
(c)約0.3重量%から約0.7重量%の少なくとも1つの多価ケイ酸塩増粘剤、
(d)約0.5重量%から約15重量%の少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤、
(e)約2重量%から約20重量%の少なくとも1つの可塑剤、及び
(f)任意選択的に約0.1重量%から約10重量%の少なくとも1つの化粧用パウダー、
を含む場合がある。
【0016】
皮膚に塗布すると、組成物は即座の引き締め感をもたらし、皮膚欠陥を減少させる。
【0017】
組成物は、アルカリ性のpHを有することができる。例えば、ある場合には、pHは10から12、0.5から11.5、又は11から11.5の範囲である場合がある。
【0018】
一般的に、皮膜形成剤のケイ酸ナトリウムは、組成物の総重量の1%から10%、2%から9%、3%から8%、3%から7%、4%から6%、又は4%から5%の重量の量で存在する。
【0019】
少なくとも1つの第2の皮膜形成剤は、コロイダルシリカ、プルラン、ポリアクリレート−21(及び)アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリウレタン、多糖、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される場合がある。ある場合には、第2の皮膜形成剤は多糖であり、一又は複数の遊離のヒドロキシル基を有する場合がある。さらに、ある場合には、多糖はプルランである。一般的に、第2の皮膜形成剤は、総組成物の0.1%から10%、0.1%から8%、1%から10%、2%から8%、3%から7%、又は4%から6%の重量の量で存在する。
【0020】
皮膜形成剤ケイ酸ナトリウム及び追加の皮膜形成剤(一又は複数)の総量(すなわち、組成物中のすべての皮膜形成剤の総重量)は、組成物の総重量の1%から20%、1%から18%、1%から16%、1%から14%、1%から12%、1%から10%、1%から8%、2%から20%、2%、18%、2%から16%、2%から16%、2%から14%、2%から12%、2%から10%、2%から8%、3%から20%、3%から18%、3%から16%、3%から14%、3%から12%、3%から10%、3%から8%、4%から20%、4%から18%、4%から16%、4%から14%、4%から14%、4%から12%、4%から10%、4%から8%、5%から20%、5%から18%、5%から16%、5%から14%、5%から12%、5%から10%、5%から8%、又は3%から15%の重量の量で存在する場合がある。
【0021】
多価ケイ酸塩増粘剤は、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、多価ケイ酸塩クレイ、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイト、及びそれらの混合物からなる群から選択される場合がある。ある場合には、多価ケイ酸塩増粘剤はモンモリロナイトである。ある場合には、多価ケイ酸塩増粘剤は、カオリナイト、スメクタイト、ベントナイト、及び/又はモンモリロナイトのような、有機的に修飾されたクレイである。多価ケイ酸塩増粘剤は、一般的に0.1%から0.9%、0.1%から0.8%、0.1%から0.7%、0.2%から0.9%、0.2%から0.8%、0.2%から0.7%、0.3%から0.9%、0.3%から0.8%、0.3%から0.7%、0.4%から0.9%、0.4%から0.8%、0.4%から0.7%、0.4%から0.9%、0.4%から0.8%、0.4%から0.7%、0.4%から0.6%、又は約0.5%の量で存在する。
【0022】
本開示の組成物は、一般的に少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤を含む。少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤は、アクリレートコポリマー、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー,アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される場合がある。さらに、少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤は、Aculyn(商標)22(Dow Chemical Company)のようなアクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、Novethix(商標)(Lubrizol)のようなアクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー、Carbopol(登録商標)Aqua SF−1 Polymer(Lubrizol)のようなアクリレートコポリマーを含む場合がある。少なくとも1つの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤は、一般的に総組成物の0.5%から15%、1%から15%、1%から14%、1%から13%、1%から12%、1%から10%、1%から8%、2%から15%、2%から14%、2%から13%、2%から12%、2%から10%、2%から8%、又は2%から6%の重量の量で存在する。多くの陰イオン性会合性ポリマー増粘剤は、水可溶性であり、本開示の化粧用組成物が水に分散/溶解される場合、水の粘性を増加させるか、又は水性ゲルを形成する。
【0023】
本開示の組成物は、一般的に少なくとも1つの可塑剤を含む。少なくとも1つの可塑剤は、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、クエン酸トリエチル、イソヘキサデカン、及びヒアルロン酸ナトリウムである場合がある。一般的に、可塑剤は、組成物の総重量の1%から20%、1%から18%、1%から15%、1%から14%、1%から13%、1%から12%、1%から11%、1%から10%、2%から20%、2%から18%、2%から15%、2%から14%、2%から13%、2%から12%、2%から11%、2%から10%、5%から20%、5%から18%、5%から15%、5%から14%、5%から13%、5%から12%、5%から11%、5%から10%、又は9%から11%の重量の量で存在する。
【0024】
本明細書に記載の組成物は、少なくとも1つの化粧用パウダーを含む場合がある。化粧用パウダーは、皮膚上で滑らかで柔らかい組成物を製剤化するのを助けるために使用することができる。代表的な化粧用パウダーは、これらに限定されないが、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、ポリエチレンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶性セルロース、デンプン、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。追加のパウダーは、これらに限定されないが、ゴム、チョーク、フラー土、カオリン、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、鱗雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、デンプン、スメクタイトクレイ、アルキル及び/又はトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学的に修飾されたケイ酸アルミニウム・マグネシウム、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレイ、ケイ酸アルミニウム水和物、ヒュームドアルミニウムデンプンオクテニルコハク酸ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼成石こう)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属せっけん(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、及びステアリン酸アルミニウム)、コロイド状二酸化ケイ素、及び窒化ホウ素のような無機パウダー;ポリアミド樹脂パウダー(ナイロンパウダー)、シクロデキストリン、メチルポリメタクリレートパウダー、スチレン及びアクリル酸のコポリマーパウダー、ベンゾグアナミン樹脂パウダー、ポリ(四フッ化エチレン)パウダー、及びカルボキシビニルポリマーのような有機パウダー、ヒドロキシエチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロースパウダー、モノステアリン酸エチレングリコール;酸化マグネシウムのような無機白色色素が挙げられる。代表的な化粧用パウダーは、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン、メチルポリメタクリレートクロスポリマー、ナイロン−12、シリカ及び窒化ホウ素、並びにそれらの組合せを含む。
【0025】
ある場合には、化粧用パウダーは、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、ポリエチレンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶性セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される場合がある。ある場合には、化粧用パウダーはポリメチルメタクリレートである。
【0026】
存在する場合、一又は複数の化粧用パウダーは、組成物の総重量に対して、0.1%から約25%、0.1%から20%、0.1%から15%、0.1%から10%、0.1%から8%、0.1%から6%、0.1%から4%、0.5%から20%、0.5%から15%、0.5%から10%、0.5%から8%、0.5%から6%、0.5%から4%、1%から20%、1%から15%、1%から10%、1%から8%、1%から6%、1%から4%、2%から10%、2%から8%、2%から6%、又は3%から7%の量で存在する場合がある。
【0027】
本開示はまた、皮膚に本明細書に記載の組成物を塗布することを含む、皮膚の外観を改善するための方法に関する。さらに、本開示は、本明細書に記載の組成物を皮膚に塗布し、皮膚上にスキンタイトニング皮膜又は層を形成することを含む、皮膚をファーミング及び/又はタイトニングする方法に関する。場合によっては、組成物は、顔の皮膚、及び/又はより具体的には目の周りに、口の周りに、及び/又はヒトの顔の首の周りに塗布される。皮膚の外観を改善する方法は、しわ、傷、乾燥、粗さ、くすみ、年齢によるしみ、たるみ、及び/又はむくんだ皮膚の外観を処置又は低減する方法を含む。
【0028】
本開示の組成物は、液体分散体、ゲル、クリーム、ローション、ムース、又はスプレーの形態である場合がある。組成物は、液体ローション、液体ゲル、液体クリームのような液体エマルション、又は濃厚クリーム若しくはゲルクリームのようなクリームエマルション、泡或いはムースの形態である場合があり、液体エマルション形態はクリームエマルション形態よりも稠度がより薄い。
【0029】
本開示の組成物は、一般的に水性組成物である。例えば、組成物は20%から80%、20%から70%、20%から60%、20%から50%、20%から40%、20%から30%、30%から80%、30%から70%、30%から60%、30%から50%、30%から40%、35%から65%、又は40%から60%の水を有する場合がある。
【実施例】
【0030】
以下の実施例は、例示のみを目的として与えられ、限定することを意図するものではない。
【0031】
実施例1(配合物1−22)
【0032】
上記の表の製剤を製造する際には、以下の手順を使用してもよい。多価ケイ酸塩を、室温で水を含有するメインケトルへ数回に分けて中程度の掃引とせん断を加えながら導入し、約5から10分、又は成分が完全に水和し混合物が均質になるまで混合する。多糖を数回に分けて中程度の掃引とせん断を加えながら添加する。次いで、化粧用パウダーを添加する。混合物を5から10分又は均一になるまで混合する。グリセリンを添加し、5分間又は均一になるまで混合する。ホモジナイザーのスイッチを切る。次いで、気泡が除去されるまで真空を引く。陰イオン性会合性ポリマー増粘剤を、通気を引き起こさないように、直接メインケトルへ緩やかに添加する。さらに真空下で、成分を混合し続ける。低い掃引及び引っ張り真空を使用して、ケイ酸ナトリウムを緩やかに添加して増粘剤を中和する。増粘剤が中和し、配合物が均一であると思われるまで混合を継続する。
【0033】
実施例2(比較)
【0034】
表5は、実施例1と同じ方法を使用して形成されたさまざまな組成物を示す。
【0035】
配合物23−28のように、多価ケイ酸塩の量が1%に等しい場合、組成物(皮膜)は皮膚への塗布後にひび割れる。配合物29のように、多価ケイ酸塩が配合物に存在しない場合(0%)、組成物は柔らかすぎてスキンタイトナーの特性をもたらさない。多価ケイ酸塩の量が0%より多く1%未満、又は約0.5%の場合、組成物は、予想外に強力な、柔軟性及び耐久性のあるスキンタイトニング組成物をもたらす。
【0036】
本出願を、Serious Skincare Firm−A−FaceXR(商標)All Over Skin Tightener、Peter Thomas Roth Instant FIRMx Temporary Face Tightener、Fusion Beauty Nip Line Erase Instant Line Remover、Hydroxatone 90 Second Wrinkle Reducer、NuNutrients Facelift、Renoir No Lines Temporary Wrinkle Remover、及びInstantly Ageless(登録商標)のようないくつかの市販の製品と比較した。市販の製品は、5分以内に引き締め感及び皮膚の視覚的変化をもたらした。それにもかかわらず、それらは、乾燥時に、白色化、皮膜の割れ、及びさまざまなメイクアップ手順(regiment)との不適合のような多くの負の特性を示した。さらに、有益な結果(例えば、スキンタイトニング特性)は長続きしなかった。本開示の組成物は長続きした。組成物は、市販の製品よりもはるかに長い時間、例えば30分、1時間、3時間、4時間、5時間、又は6時間より長く、白色化、ひび割れ又は剥離なしに有益な結果(例えば、スキンタイトニング特性)を保持した。
【0037】
以下の節において、実施例1の配合物6(表2)をInstantly Ageless(登録商標)と比較する。Instantly Ageless(登録商標)は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、アセチルヘキサペプチド−3、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、水、黄色5号及び赤色40号を含有する。
【0038】
2つの組成物を比較するために、Cutometer MPR 580(Courage and Khazaja、Koln、Germany)によって機器的評価を行った。Cutometer Studyは、目の下のたるみの皮膚弾力性を測定する。本試験の目的は、皮膚の弾力性と目の下のたるみの外観に関するエステティシャンの等級との関係を決定するためのキュートメーターデータを収集すること、及び皮膜技術の適用後に皮膚の弾力性及びしわの視認性の変化を、目の下のたるみのグレードの変化と相関させることである。
【0039】
目の下のたるみの専門家による評価もまた、7段階スケールアトラスグレーディングを使用してエステティシャンによって実施した。製品の有効性をT=0、10分、30分、3時間、及び6時間で調べた。ベースラインのグレード4の目の下のたるみを有する女性は、本明細書に記載の組成物の塗布後6時間以上にわたり、平均して、むくみにおいて2.5グレード低下を経験する。
【0040】
Instantly Ageless(登録商標)を皮膚に塗布した後、皮膚のタイトニングが直ちに見られたが、タイトニングはほとんど即座に消え始め、製品は白色皮膜を形成し、ひび割れ、わずかな刺激を引き起こした。Instantly Agelessは白色化及びひび割れのような皮膜の欠陥の傾向がより高い、平均して1グレードの減少を示した。対照的に、本発明の組成物は、少なくとも6時間にわたって長続きする結果を示し、目の下のたるみのむくみは平均2.5グレード低下した。
【0041】
図1及び
図2は、本発明の実施例と市販の製品Instantly Ageless(登録商標)を比較する。
図1は、時間と共に目の下のたるみが低下することを表す。この試験は、グレード4の目の下のたるみ(老化アトラスグレード)の40−60歳の6人の白人女性で完了した。
【0042】
図1で観察されるように、本発明の組成物は、Instantly Ageless(登録商標)と比較して劇的な結果をもたらした。即座の改善が10分で顕著であり、6時間にわたって持続した。他方では、Instantly Ageless(登録商標)では、たった3時間以内に白色化、剥離、及びひび割れが出現した。
【0043】
図2は、目尻のしわの低下を表す。Instantly Ageless(登録商標)と比較して、本発明の組成物は、より長い持続的な結果をもたらした。本発明の組成物は、3時間後に非常にわずかな皮膜欠陥のみを示したが、一方Instantly Ageless(登録商標)では30分では皮膜欠陥が出現し始めた。
【0044】
実施例3(皮膜特性試験)
増粘剤を3つの基準:適合性、粘性、及びタイトニングにしたがって検定した。以下は、検定した異なる増粘剤とそれらの結果の表である。
【0045】
表6は、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー、アクリレートコポリマー、及びモンモリロナイトが3つのパラメータ:適合性、粘性及びタイトニングのすべてで良好な結果(+)を提示したことを示す。
【0046】
皮膜形成剤を3つの基準:適合性、形成された皮膜、及びタイトニングにしたがって検定した。以下は、検定した異なる皮膜形成剤とそれらのそれぞれの結果の表である。
【0047】
プルラン、ポリアクリレート−21(及び)アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、シリカ、及びケイ酸ナトリウムは3つの特性:適合性、形成された皮膜、及びタイトニングのすべてでの良好な結果(+)に示されるように、最良の皮膜形成特性をもたらす。
【0048】
製品の刺激レベルを測定するために、BCOP(牛摘出角膜の混濁及び透過性試験)と呼ばれる眼科用製品の標準安全性試験をインビトロで行った。その結果、本発明の組成物が化粧品として許容され、あるとしても軽度の刺激しか生じないことを示された。
【0049】
実施例4(ケイ酸ナトリウムを含有する組成物を用いたpH試験)
pHの試験を行った。結果は、pHが10未満であると、組成物がより固体になることを示した。しかし、pHが10から12、又は11から11.5の範囲である場合、組成物は特別な特性を示すことが見出された。例えば、組成物は皮膚に優れた皮膜形成特性を示し、皮膜は予想外に長続きする強度、耐久性、及び柔軟性(弾力性)を示した。
【0050】
実施例5(発明の配合物30)
【0051】
製剤30は、実施例1に記載の手順にしたがって調製した。
【0052】
本明細書で使用される場合、すべての百分率は、総組成物の重量に対する(重量%)。
【0053】
すべての数値範囲にはより狭い範囲が含まれ、区切られた範囲の上限及び下限は、明確に区切られていないさらなる範囲を作成するために交換可能である。本明細書で開示されたすべての範囲及び値は、包括的であり、組み合わせ可能である。例えば、本明細書に記載の範囲内にある本明細書に記載の任意の値又は点は、部分範囲などを導くための最小値又は最大値としての役割を果たすことができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「タイトニング」という用語は、皮膚に塗布すると、皮膚がユーザにより強い引き締まり感を及ぼすように皮膜が収縮し、皮膚欠陥を滑らかにし、そのことが皮膚にあるしわの視覚的外観を減少させることを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「有する(having)」、及び「含む(including)」という用語は、開放的で非限定的な意味に使用される。
【0056】
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語は、複数形及び単数形を包含するものと理解される。
【0057】
「少なくとも1つの」という表現は、「一又は複数」を意味し(逆もまた同様)、したがって個々の構成要素、並びに混合物/組合せを含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「皮膜形成剤」又は「皮膜を形成する薬剤」は、例えば、皮膜形成剤に付随の溶媒が蒸発、基材に吸収、及び/又は基材上で消散した後、それが塗布される基材上に皮膜を残すポリマー又は樹脂を意味する。
【0059】
ありとあらゆる目的のために、あたかも個々の出版物又は特許出願が出典明示により援用されていることが具体的かつ個別に示されているかのように、本明細書中に引用されるすべての出版物及び特許出願は、本明細書に出典明示により援用されている。本開示と、出典明示により本明細書に援用されるいずれかの出版物又は特許出願との間に矛盾がある場合、本開示が優先する。
【0060】
前述の説明は、本開示を例示し説明する。さらに、本開示は、例示的な実施態様のみを示し、記載するが、上記のように、さまざまな他の組合せ、修正、及び環境で使用することができ、上記の教示及び/又は関連技術の技術若しくは知識に見合う、本明細書に表現されたような開示された概念の範囲内で変更又は修正が可能である、ということが理解されるべきである。本明細書の上記の実施態様は、さらに、出願人によって知られている最良の形態を説明すること、並びにそのような実施態様又は他の実施態様において、及び特定の応用又はその使用によって要求されるさまざまな修正と共に、当業者が本開示を利用できるようにすることを意図している。その結果、記載は、本明細書で開示された形態に本発明を限定することを意図するものではない。また、添付の特許請求の範囲は、別の実施態様を含むと解釈されることを意図する。