(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にあっては、前述した圧力開放流路を構成するためにシール部材を構成する基材に凹凸を設けているため、該凹凸によりシール部材の製造において基材に対する弾性部材の接着が不均一となってしまい、定常作動時にシール部材がシール面に密接した状態でガス室内のガス圧を繰り返し受けた場合、該凹凸に局所的な応力がかかって基材から弾性部材が剥がれやすくなり、アキュムレータの使用寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、シール部材に特別な加工を行うことなく使用寿命の長いアキュムレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のアキュムレータは、
伸縮可能なベローズ本体とベローズキャップから構成されたベローズの少なくとも一端がハウジングに固定されることにより、該ハウジングの内部が前記ベローズの内外で密閉状態に仕切られており、円板状の基材を弾性部材により被覆してなるシール部材が前記ベローズキャップに環状のシールホルダの保持部によりその内径側に保持され、前記シール部材と対向する位置に形成される前記ハウジングのシール面に前記シール部材が密接することにより流体出入路を閉塞するアキュムレータであって、
前記シールホルダに径方向に貫通する貫通孔が設けられ、該貫通孔と前記流体出入路とを連通する空間を形成するように径方向に延びる連通路が前記シールホルダもしくは前記シール面に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、火災等の高温によりシール部材を構成する弾性部材が溶解焼失して露出した基材がシールホルダの保持部の上面もしくはシール面に当接した状態で、シールホルダに設けられる貫通孔から流入した流体をシールホルダもしくはシール面に設けられる連通路により形成される空間を通して流体出入路に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材に特別な加工を行うことなくアキュムレータの使用寿命を長くすることができる。
【0010】
前記貫通孔及び前記連通路は、周方向に複数設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、圧力開放流路を構成する貫通孔と連通路が周方向に複数設けられるため、圧力開放流路の流量を確保して流体を流体出入路に短時間で逃がすことができる。
【0011】
前記貫通孔及び前記連通路は、周方向に近接して設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、シールホルダにおいて、貫通孔と連通路とが近接していることにより、圧力開放流路により流体を流体出入路に効率よく流すことができる。
【0012】
前記基材は、前記シールホルダの保持部の内径より径が大きく、
前記連通路は、前記シールホルダの保持部の上面に設けられ前記基材よりも外径方向に延びる連通凹部であることを特徴としている。
この特徴によれば、火災等の高温によりシール部材を構成する弾性部材が溶解焼失して露出した基材がシールホルダの保持部の上面に当接した状態で、シールホルダに設けられる貫通孔から流入した流体をシールホルダの保持部の上面に設けられる連通凹部の外径側から連通凹部により形成される空間を通して流体出入路に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材に特別な加工を行うことなくアキュムレータの使用寿命を長くすることができる。
【0013】
前記基材は、前記シールホルダの保持部の内径より径が小さく、
前記連通路は、前記シール面に設けられた連通凹部であることを特徴としている。
この特徴によれば、火災等の高温によりシール部材を構成する弾性部材が溶解焼失して露出した基材がシール面に当接した状態で、シールホルダに設けられる貫通孔から流入した流体をシール面に設けられる連通凹部により形成される空間を通して流体出入路に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材に特別な加工を行うことなくアキュムレータの使用寿命を長くすることができる。
【0014】
前記シール部材と前記シール面とが密接するシール部は、前記連通凹部の内径側に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、シール部材とシール面とが密接するシール部が連通凹部の内径側に形成されるため、定常作動時において、シールホルダに設けられる貫通孔から流入した流体が連通凹部により形成される空間を通して流体出入路に逃げることがない。
【0015】
前記シールホルダは、断面視上向き略コ字状を成し、該略コ字状の内径側の起立部が前記シール部材を保持するものであって、
前記基材は、前記起立部の内径より径が大きく、
前記連通路は、前記起立部に径方向に貫通する連通孔であることを特徴としている。
この特徴によれば、火災等の高温によりシール部材を構成する弾性部材が溶解焼失して露出した基材がシールホルダの起立部の上端に当接した状態で、シールホルダに設けられる貫通孔から流入した流体をシールホルダの起立部に設けられる連通孔により形成される空間を通して流体出入路に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材に特別な加工を行うことなくアキュムレータの使用寿命を長くすることができる。
【0016】
前記流体出入路は、開口部が上方に向けて漸次拡開する漏斗形状に構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、火災等の高温によりシール部材を構成する弾性部材が溶解焼失して露出した基材により流体出入路の開口部が覆われた状態において、基材が高温等により流体出入路側に撓んだ場合であっても、漏斗形状により流体出入路の開口部が閉塞され難くなる。
【0017】
前記該漏斗形状の傾斜部に沿って延びる溝部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、火災等の高温によりシール部材を構成する弾性部材が溶解焼失して露出した基材により流体出入路の開口部が覆われた状態において、流体出入路の開口部が撓んだ基材により略閉塞された場合であっても、溝部を通して流体出入路に流体を逃がすことができる。
【0018】
さらに、他の態様として、
前記基材は、前記シールホルダの保持部の内径より径が大きく、
前記連通路は、前記シールホルダの保持部の上下方向に切欠かれ前記基材よりも外径方向に延びる連通凹部が設けられている。
これによれば、保持部が上面から下面にかけて上下方向に切欠かれることにより、基材との間に空間を大きく確保することができる。
【0019】
また、前記シールホルダの保持部の下面には、径方向に亘って延びる連通凹部が設けられている。
これによれば、2種類の連通凹部が形成されるため、確実に流体を逃がすことができる。
【0020】
また、前記ハウジングには、前記流体出入路よりも外径側に前記シール面が形成され、さらに該シール面よりも外径側かつ下方に環状面部が形成されており、
前記環状面部には、径方向に亘って延びる連通凹部が設けられている。
これによれば、2種類の連通凹部が形成されるため、確実に流体を逃がすことができる。
【0021】
また、前記シールホルダの保持部の上面の連通凹部は、外径側から内径側に向けて下方に傾斜するように形成されている。
【0022】
また、前記基材は、外径側かつその下面に上方に凹む環状凹部が形成されている。
【0023】
また、前記基材は、外径側の厚みが内径側よりも薄くなるように形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るアキュムレータを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0026】
実施例1に係るアキュムレータにつき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、
図1の紙面手前側をアキュムレータの正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0027】
アキュムレータ1は、例えば自動車用油圧システム、産業機器用油圧システム等において、蓄圧装置、脈動減衰装置等として用いられるものであり、ベローズ本体31として金属ベローズを用いた金属ベローズ型アキュムレータである。
【0028】
図1に示されるように、アキュムレータ1は、ハウジング2と、ハウジング2内に設けられるベローズ3と、から主に構成されている。尚、
図1は、蓄液等の圧力により後述するベローズ本体31が収縮した状態を示している。
【0029】
ハウジング2は、両端が開放する円筒状のシェル21と、シェル21の下端を閉塞するように溶接固定されるオイルポート部材22と、シェル21の上端を閉塞するように溶接固定されるガス封入部材23と、から構成されている。
【0030】
ガス封入部材23には、ハウジング2内に形成される後述するガス室4に高圧ガス(例えば窒素ガス)を注入するためのガス封入口23aが設けられている。ガス封入口23aは、高圧ガスの注入後にガスプラグ23bにより閉塞される。
【0031】
オイルポート部材22には、ハウジング2内に図示しない圧力配管から液体(例えば作動油)の流出入を行うための流体出入路24が設けられている。流体出入路24は、開口部24aが上方に向けて漸次拡開する漏斗形状に構成され、該漏斗形状の傾斜に沿って延びる複数の溝部24b,24b,…が形成されている。
【0032】
また、オイルポート部材22には、流体出入路24の開口部24aの外径側に環状のシール面25が形成されている。さらに、シール面25の外径側には、シール面25よりも下方に下がった位置に環状面部26が形成されている。
【0033】
ベローズ3は、上下両端が開放する略円筒状を成す金属製のベローズ本体31と、円盤状を成す金属製のベローズキャップ32と、から主に構成されている。
【0034】
ベローズ本体31は、上端を構成する固定端31aを閉塞するようにガス封入部材23の内面23cに溶接固定されるとともに、下端を構成する遊動端31bを閉塞するように環状の保護リング33を挟着した状態でベローズキャップ32の上面32bが溶接固定されている。
【0035】
尚、保護リング33は、シェル21の内壁面21aに対して直接ベローズ本体31が接触しないように保護するとともに、保護リング33の外周面33aとシェル21の内壁面21aとは、径方向に僅かに離間しており、ベローズ3の伸縮作動を妨げることなく滑らかに摺動できるようになっている。
【0036】
また、ベローズキャップ32の下面32aには、断面視クランク形状の環状を成すシールホルダ34が嵌合されており、該シールホルダ34に対して円盤状を成すシール部材35が取付け、固定されている。
【0037】
シール部材35は、金属製で円板状を成す基材36の表面の一部または全部にゴム状弾性体37(弾性部材)を被着(加硫接着)させることにより構成されている。尚、シールホルダ34及びシール部材35の構造については、後段にて詳しく説明する。
【0038】
ハウジング2の内部空間は、ベローズ3(ベローズ本体31及びベローズキャップ32)によりガス封入口23aと連通するガス室4と、流体出入路24と連通する液室5とに密閉状態に仕切られた構造となっている。
【0039】
ガス室4は、ガス封入部材23の内面23c、ベローズ本体31の内周面31d及びベローズキャップ32の上面32bから画成され、ガス封入口23aから注入される高圧ガスが封入されている。
【0040】
液室5は、シェル21の内壁面21a、オイルポート部材22の内面22a、ベローズ本体31の外周面31c及びベローズキャップ32の下面32a(シールホルダ34,シール部材35)から画成され、流体出入路24を介して圧力配管から液体が流出入するようになっている。
【0041】
アキュムレータ1は、ハウジング2内に設けられるベローズ3の伸縮作動により、ベローズキャップ32を所定位置に移動させてガス室4のガス圧と液室5の液体圧とを均衡させて圧力調整を行っている。
【0042】
例えば、
図2に示されるように、圧力配管内の液体が排出されると、ベローズキャップ32がガス室4のガス圧を受けて下方に移動しベローズ本体31が伸長することにより、ベローズキャップ32の下面32aに取付けられたシール部材35(後述するゴム状弾性体37の環状突出部37a)とオイルポート部材22のシール面25とが密接して環状のシール部Sを形成し、流体出入路24の開口部24aが閉塞される。これにより、液室5内に一部の液体が閉じ込められ、この閉じ込められた液体の圧力とガス室4のガス圧とが均衡するため、ベローズ本体31に過大な応力がかかることがなくなり、ベローズ本体31の破損を抑制できるようになっている。尚、以下、上述したようにベローズ3が伸縮作動してシール部材35とシール面25とが密接することによりシール部Sが形成され、流体出入路24の開口部24aが閉塞されるアキュムレータの正常な作動のことをアキュムレータ1の定常作動と記載する。
【0043】
次いで、シールホルダ34及びシール部材35の構造について詳細に説明する。
図1及び
図2に示されるように、シールホルダ34は、金属製の円板が断面視クランク形状にプレス加工されており、シールホルダ34の上端を構成しベローズキャップ32の下面32aに溶接固定される外向きフランジ状の固定部34aと、該固定部34aから下方に延びシールホルダ34の側部を構成する筒状部34bと、シールホルダ34の下端を構成しシール部材35を保持可能な内向きフランジ状の保持部34cと、から主に構成されている。
【0044】
また、シールホルダ34には、保持部34cの内径部分により開口部34dが形成されており、保持部34cにより保持されるシール部材35の一部(ゴム状弾性体37)が開口部34dから下方に露出した状態となっている。尚、シール部材35の外径は、保持部34cの内径、すなわち開口部34dの内径よりも大きくなっている。そのため、シールホルダ34は、保持部34cの上面34eにシール部材35を載置した状態で、ベローズキャップ32の下面32aに固定部34aを溶接固定されることにより、ベローズキャップ32の下面32aと保持部34cの上面34eとの間にシール部材35を挟持した状態で保持できるようになっている。
【0045】
図1ないし
図3に示されるように、シールホルダ34の筒状部34bには、径方向に貫通する複数の貫通孔38,38,…が周方向に所定間隔置きに穿設されており、該貫通孔38,38,…を介して液室5(シールホルダ34の外径側)とシールホルダ34の内径側とが連通している。
【0046】
また、シールホルダ34の保持部34cの上面34eには、前述した貫通孔38,38,…の周方向位置に対応して複数の連通凹部39,39,…(連通路)が周方向に所定間隔置きに形成されている。すなわち、貫通孔38,38,…と連通凹部39,39,…がそれぞれ周方向に近接した位置に配置されている。
【0047】
図1及び
図2に示されるように、シール部材35を構成する基材36は、金属製で円板状を成し、外径側の上下両面にそれぞれ環状凹部36a,36aが形成されている。また、基材36の径は、保持部34cの内径、すなわち開口部34dの内径よりも大きくなるように構成されている。
【0048】
シール部材35を構成するゴム状弾性体37は、前述した基材36の表面の全体に被着され、下方(シール面25側)に突出する環状突出部37aが形成されており、シール部材35とシール面25との密接時においてシール部Sのシール面圧を部分的に高めることにより、シール性能を向上させている。
【0049】
図2に示されるように、アキュムレータ1の定常作動時において、シール部材35とシール面25とが密接してシール部Sを形成している状態では、シールホルダ34の保持部34cの下端面34fは、オイルポート部材22の環状面部26に対して上下方向に離間した状態となっている。これによれば、シール部材35とシール面25とが密接するため、シール部Sにおいて確実にシールできる。
【0050】
尚、アキュムレータ1の定常作動時において、シールホルダ34の保持部34cの上面34eに設けられる連通凹部39,39,…は、シールホルダ34の内径側に保持されるシール部材35のゴム状弾性体37により上方から閉塞された状態となっている。そのため、シールホルダ34の筒状部34bに設けられる貫通孔38,38,…から流入した液室5の液体は、シール部材35(ゴム状弾性体37)により塞き止められ、連通凹部39,39,…へ流入できないようになっている。
【0051】
また、シール部材35とシール面25とのシール部Sは、連通凹部39,39,…の内径側に形成されるため、例えばシール部材35が径方向に動いて連通凹部39,39,…がシール部材35のゴム状弾性体37により上方から閉塞されていない場合であっても、アキュムレータ1の定常作動時において、シールホルダ34の貫通孔38,38,…から流入し連通凹部39,39,…を通過した液室5の液体は、シール部材35により塞き止められ、流体出入路24へ流入できないようになっている。さらに、シールホルダ34の保持部34cの下端面34fとオイルポート部材22の環状面部26との離間部分から流入する液室5の液体も同様にシール部材35により塞き止められ、流体出入路24へ流入できないようになっている。
【0052】
次いで、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して基材36が露出した状態において、液室5の液体を流体出入路24に逃がすために構成される圧力開放流路について説明する。尚、以下、図面においては、紙面右側に構成される圧力開放流路における液体の流れのみを矢印で示すものとする。
【0053】
図4に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して基材36が露出した状態においては、前述したように基材36の外径が開口部34dの内径よりも大きく構成されているため、基材36の周縁部分がシールホルダ34の保持部34cの上面34eに載置された状態となる。
【0054】
また、シール面25に密接するゴム状弾性体37(環状突出部37a)が溶解焼失しているため、シールホルダ34の保持部34cの下端面34fが定常作動時よりも下方に移動してオイルポート部材22の環状面部26に当接する。このとき、シールホルダ34の保持部34cの上下方向の厚み寸法(上下寸法T1)が、オイルポート部材22のシール面25と環状面部26との間に形成される段差の高さ寸法(上下寸法T2)よりも大きく構成されているため、シールホルダ34の保持部34cの上面34eに載置された基材36は、シール面25に対して上下方向に離間した状態となる。
【0055】
さらに、シール部材35のゴム状弾性体37が溶解焼失しているため、シールホルダ34の貫通孔38,38,…から流入した液室5の液体を、シールホルダ34の保持部34cの上面34eに設けられる連通凹部39,39,…の外径側から基材36とシール面25との間に形成され流体出入路24に連通する空間A1へ流入させることができる。
【0056】
これによれば、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ34の保持部34cの上面34eに載置された状態で、シールホルダ34の筒状部34bに設けられる貫通孔38,38,…から流入した液室5の液体をシールホルダ34の保持部34cの上面34eに設けられる連通凹部39,39,…の外径側からその内径側に連通する基材36とシール面25との間に形成される空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材35(例えば基材36)に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ1の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0057】
また、貫通孔38,38,…をシールホルダ34の筒状部34bに設けているため、ゴム状弾性体37が溶解焼失時に直ちに貫通孔38,38,…からシールホルダ34の内径側に液室5の液体が流入し迅速に液室5の圧力を低下させることができる。さらに、高温によりガス室4内のガスの体積が増え、ベローズ本体31が外径方向に膨張しても、液室5の液体を適時流体出入路24に逃がすことができる。
【0058】
尚、圧力開放流路により液室5の液体を流体出入路24に逃がすことにより、ベローズ本体31の外側の液室5内の液体圧とベローズ本体31の内側のガス室4内のガス圧との均衡が失われ、ベローズ本体31の破損が起こる。これによれば、ガス室4と液室5とがベローズ本体31の破損部分により連通した状態となり、液室5に構成される圧力開放流路によりガス室4内の高圧ガスを流体出入路24に逃がすことができる。そのため、ガス室4内の圧力の上昇によるハウジング2の破損を防ぐことができる。
【0059】
また、前述したように、貫通孔38,38,…及び連通凹部39,39,…は、周方向に複数設けられるため、圧力開放流路の流量を確保でき、液室5の液体及びガス室4の高圧ガスを流体出入路24に短時間で逃がすことができる。
【0060】
また、貫通孔38,38,…及び連通凹部39,39,…は、周方向に近接して設けられるため、圧力開放流路により液室5の液体及びガス室4の高圧ガスを流体出入路24に効率よく逃がすことができる。さらに、貫通孔38,38,…及び連通凹部39,39,…が略放射状に配置されているため、液室5の液体及びガス室4の高圧ガスを流体出入路24に効率よく逃がすことができる。
【0061】
また、基材36は、周縁部分がシールホルダ34の保持部34cの上面34eに載置された状態において、基材36の外径側の下面に設けられる環状凹部36aにより連通凹部39,39,…との間の空間を大きく確保することができるため、圧力開放流路の流量を増やすことができる。
【0062】
また、シールホルダ34の保持部34cの上面34eに設けられる各連通凹部39の外径部分の半径R1は、基材36の半径R2よりも寸法が大きく構成されることにより、シールホルダ34の保持部34cの上面34eにおいて基材36が載置される位置に係らず、連通凹部39,39,…の何れかが上方に開放した状態を維持できるため、圧力開放流路を確実に構成することができる。尚、連通凹部39,39,…は、圧力開放流路をより確実に構成するために直径上に対向配置されることが好ましい。
【0063】
また、シールホルダ34は、金属製の円板をプレス加工した環状の部材であり、その構造が単純であるため、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失するような状況にあってもその構造が保持され、圧力開放流路を構成しやすい。
【0064】
また、前述したように、流体出入路24は、開口部24aが上方に向けて漸次拡開する漏斗形状に構成され、該漏斗形状の傾斜に沿って延びる溝部24b,24b,…が形成されているため、シールホルダ34の保持部34cの上面34eに基材36が載置された状態において、基材36が高温等により流体出入路24の開口部24a側に撓んだ場合であっても、漏斗形状により流体出入路24の開口部24aが閉塞され難くなるとともに、流体出入路24の開口部24aが撓んだ基材36により略閉塞された場合であっても、溝部24b,24b,…を通して流体出入路24に液室5の液体及びガス室4の高圧ガスを逃がすことができるため、圧力開放流路を確実に構成することができる。
【0065】
また、シールホルダ34の保持部34c、貫通孔38,38,…及び連通凹部39,39,…により圧力開放流路を構成することができるため、従来のアキュムレータのシールホルダ34を取り替える作業のみで、アキュムレータに圧力開放流路を構成することができる。
【実施例2】
【0066】
次に、実施例2に係るアキュムレータにつき、
図5を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
図5(a)に示されるように、実施例2におけるアキュムレータ101は、シールホルダ134の筒状部134bに径方向に貫通する複数の貫通孔138,138,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。また、シールホルダ134の保持部134cには、上述した貫通孔138,138,…の周方向位置に対応して複数の連通凹部139,139,…が周方向に所定間隔置きに形成されており、連通凹部139,139,…は、保持部134cが上面134eから下面134fにかけて上下方向に切欠かれることにより構成されている。
【0068】
そのため、
図5(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ134の保持部134cの上面134eに載置された状態で、シールホルダ134の筒状部134bに設けられる貫通孔138,138,…から流入した液室5の液体をシールホルダ134の保持部134cの上面134eに設けられる連通凹部139,139,…の外径側からその内径側に連通する基材36とシール面25との間に形成される空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ101の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0069】
また、アキュムレータ101は、連通凹部139,139,…の保持部134cが上面134eから下面134fにかけて上下方向に切欠かれることにより、基材36との間に空間を大きく確保することができるため、圧力開放流路の流量を増やすことができる。
【実施例3】
【0070】
次に、実施例3に係るアキュムレータにつき、
図6を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0071】
図6(a)に示されるように、実施例3におけるアキュムレータ201は、シールホルダ234の筒状部234bに径方向に貫通する複数の貫通孔238,238,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。また、シールホルダ234の保持部234cには、上述した貫通孔238,238,…の周方向位置に対応して保持部234cの上面234eに複数の連通凹部239,239,…が周方向に所定間隔置きに形成されるとともに、保持部234cの下面234fに径方向に延びる連通凹部240,240,…が形成されることにより構成されている。
【0072】
そのため、
図6(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ234の保持部234cの上面234eに載置された状態で、シールホルダ234の筒状部234bに設けられる貫通孔238,238,…から流入した液室5の液体をシールホルダ234の保持部234cの上面234eに設けられる連通凹部239,239,…の外径側からその内径側に連通する基材36とシール面25との間に形成される空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路と、液室5の液体をシールホルダ234の保持部234cの下面234fに設けられる連通凹部240,240,…の外径側から直接その内径側に連通する空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路とを構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ201の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0073】
また、アキュムレータ201は、2種類の圧力開放流路を構成できるため、圧力開放流路の流量を増やすことができる。さらに、例えばゴム状弾性体37と近接するシールホルダ234の保持部234cの上面234eに設けられる連通凹部239,239,…に燃えたゴム滓が詰まった場合であっても、シールホルダ234の保持部234cの下面234fに設けられる連通凹部240,240,…から流体出入路24に液室5の液体及びガス室4の高圧ガスを逃がすことができ、より確実に圧力開放流路を構成できる。
【実施例4】
【0074】
次に、実施例4に係るアキュムレータにつき、
図7を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0075】
図7(a)に示されるように、実施例4におけるアキュムレータ301は、シールホルダ334の筒状部334bに径方向に貫通する複数の貫通孔338,338,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。また、シールホルダ334の保持部334cには、上述した貫通孔338,338,…の周方向位置に対応して複数の連通凹部339,339,…が周方向に所定間隔置きに形成されており、連通凹部339,339,…は、保持部334cが径方向に貫通するように切欠かれることにより構成されている。
【0076】
図7(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ334の保持部334cの上面334eに載置された状態で、シールホルダ334の筒状部334bに設けられる貫通孔338,338,…から流入した液室5の液体をシールホルダ334の保持部334cに設けられる連通凹部339,339,…の外径側からその内径側に連通する基材36とシール面25との間に形成される空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路と、液室5の液体を連通凹部339,339,…の外径側から直接その内径側に連通する空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路とを構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ301の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0077】
また、アキュムレータ301は、2種類の圧力開放流路を構成できるとともに、連通凹部339,339,…を大きく構成することができるため、連通凹部339,339,…に燃えたゴム滓が詰まり難くなり、圧力開放流路をより確実に構成することができる。
【実施例5】
【0078】
次に、実施例5に係るアキュムレータにつき、
図8を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0079】
図8(a)に示されるように、実施例5におけるアキュムレータ401は、シールホルダ434の筒状部434bに径方向に貫通する複数の貫通孔438,438,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。また、シールホルダ434の保持部434cには、上述した貫通孔438,438,…の周方向位置に対応して保持部434cの上面434eに複数の連通凹部439,439,…が周方向に所定間隔置きに形成されている。
【0080】
また、オイルポート部材422の環状面部426には、貫通孔438,438,…及び連通凹部439,439,…の周方向位置に対応して径方向に延びる連通凹部427,427,…が周方向に所定間隔置きに形成されている。
【0081】
図8(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ434の保持部434cの上面434eに載置された状態で、シールホルダ434の筒状部434bに設けられる貫通孔438,438,…から流入した液室5の液体をシールホルダ434の保持部434cの上面434eに設けられる連通凹部439,439,…の外径側から内径側に連通する基材36とシール面425との間に形成される空間A1を通して流体出入路424に逃がす圧力開放流路と、液室5の液体をオイルポート部材422の環状面部426に設けられる連通凹部427,427,…の外径側から直接その内径側に連通する空間A1を通して流体出入路424に逃がす圧力開放流路とを構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ401の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路424に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0082】
また、アキュムレータ401は、2種類の圧力開放流路を構成できるため、圧力開放流路の流量を増やすことができる。さらに、例えばゴム状弾性体37と近接するシールホルダ434の保持部434cの上面434eに設けられる連通凹部439,439,…に燃えたゴム滓が詰まった場合であっても、オイルポート部材422の環状面部426に設けられる連通凹部427,427,…から流体出入路424に液室5の液体及びガス室4の高圧ガスを逃がすことができ、より確実に圧力開放流路を構成できる。
【実施例6】
【0083】
次に、実施例6に係るアキュムレータにつき、
図9を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0084】
図9(a)に示されるように、実施例6におけるアキュムレータ501は、ベローズ本体31の下端を構成する遊動端31bを閉塞するように断面視上向き凸状のベローズキャップ532が溶接固定されており、該ベローズキャップ532の外径側の下面532aには、断面視上向き略コ字状を成すシールホルダ534の固定部534aが溶接固定されている。
【0085】
シールホルダ534は、固定部534aから下方に延びる鉛直部534bと、鉛直部534bの下端から内径側へ延びる底部534dと、底部534dの内径側端部から上方に立ち上がる断面視倒立L字状の起立部534cと、から主に構成されている。シールホルダ534の鉛直部534bには、径方向に貫通する複数の貫通孔538,538,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。また、シールホルダ534の起立部534cには、上述した貫通孔538,538,…の周方向位置に対応して径方向に貫通する複数の連通孔539,539,…が周方向に所定間隔置きに形成されている。
【0086】
また、起立部534cの高さ寸法(上限寸法T501)が、オイルポート部材522のシール面525と環状面部526との間の段差の高さ寸法(上下寸法T502)よりも大きく構成されている。
【0087】
図9(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ534の起立部534cの上面534eに載置された状態で、シールホルダ534の鉛直部534bに設けられる貫通孔538,538,…から流入した液室5の液体をシールホルダ534の起立部534cに設けられる連通孔539,539,…の外径側からその内径側に連通する基材36とシール面525との間に形成される空間A1を通して流体出入路524に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ501の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0088】
尚、シールホルダ534の起立部534cに設けられる連通孔539,539,…は、起立部534cもしくは起立部534cから底部534dにかけて切欠かれることにより形成されてもよく、底部534dの下面に凹部が設けられてもよい。また、オイルポート部材522の環状面部526に凹部が形成されてもよい。
【実施例7】
【0089】
次に、実施例7に係るアキュムレータにつき、
図10を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0090】
図10(a)に示されるように、実施例7におけるアキュムレータ601は、シールホルダ634の筒状部634bに径方向に貫通する複数の貫通孔638,638,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。また、シールホルダ634の保持部634cには、上述した貫通孔638,638,…の周方向位置に対応して保持部634cの上面634eに複数の連通凹部639,639,…が周方向に所定間隔置きに形成されており、連通凹部639,639,…は、保持部634cの外径側から内径側に向けて下方に傾斜するように形成されている。
【0091】
また、シール部材635を構成する基材636は、外径側の厚みが薄くなるように構成され、表面の全体にゴム状弾性体637が被着されている。
【0092】
図10(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材635を構成するゴム状弾性体637が溶解焼失して露出した基材636がシールホルダ634の保持部634cの上面634eに載置された状態で、シールホルダ634の筒状部634bに設けられる貫通孔638,638,…から流入した液室5の液体をシールホルダ634の保持部634cの上面634eに設けられる連通凹部639,639,…の外径側からその内径側に連通する基材636とシール面25との間に形成される空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材635に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ601の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0093】
また、アキュムレータ601は、基材636の外径側の厚みが薄くなるように構成されることにより、連通凹部639,639,…との間に空間を大きく確保することができるため、圧力開放流路の流量を増やすことができる。
【実施例8】
【0094】
次に、実施例8に係るアキュムレータにつき、
図11を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0095】
図11(a)に示されるように、実施例8におけるアキュムレータ701は、シールホルダ734の筒状部734bに径方向に貫通する複数の貫通孔738,738,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。
【0096】
また、オイルポート部材722のシール面725の外径側には、貫通孔738,738,…の周方向位置に対応して径方向に延びる連通凹部727,727,…が周方向に所定間隔置きに形成されている。
【0097】
また、シール部材735を構成する基材736の外径は、シール面725の外径と略同一寸法に構成されている。言い換えれば、基材736の外径がシールホルダ734の保持部734cの内径の寸法よりも小さく構成されている。
【0098】
図11(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材735を構成するゴム状弾性体737が溶解焼失して露出した基材736がオイルポート部材722のシール面725に設けられる連通凹部727,727,…上に載置された状態で、シールホルダ734の筒状部734b設けられる貫通孔738,738,…から流入した液室5の液体をオイルポート部材722のシール面725に設けられる連通凹部727,727,…の外径側からその内径側に連通する基材736とシール面725との間に形成される空間A1を通して流体出入路724に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材735に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ701の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路724に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【実施例9】
【0099】
次に、実施例9に係るアキュムレータにつき、
図12を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0100】
図12(a)に示されるように、実施例9におけるアキュムレータ801は、ベローズ本体31の下端を構成する遊動端31bを閉塞するように断面視上向き凸状のベローズキャップ832が溶接固定されており、該ベローズキャップ832の外径側の下面832aには、板状のシールホルダ834の固定部834aが溶接固定されている。
【0101】
シールホルダ834は、外径側を構成する固定部834aと、内径側を構成する保持部834cと、から構成されており、シールホルダ834の下面側には、径方向に延びる複数の連通凹部839,839,…が周方向に所定間隔置きに穿設されている。
【0102】
また、シールホルダ834の高さ寸法(上限寸法T801)が、オイルポート部材22のシール面25と環状面部26との間の段差の高さ寸法(上下寸法T802)よりも大きく構成されている。
【0103】
図12(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ834の保持部834cの上面834eに載置された状態で、シールホルダ834の下面側に設けられる連通凹部839,839,…の外径側から流入した液室5の液体をその内径側に連通する基材36とシール面25との間に形成される空間A1を通して流体出入路24に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ801の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路24に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【実施例10】
【0104】
次に、実施例10に係るアキュムレータにつき、
図13を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0105】
図13(a)に示されるように、実施例10におけるアキュムレータ901は、ベローズ本体31の下端を構成する遊動端31bを閉塞するように断面視上向き凸状のベローズキャップ932が溶接固定されており、該ベローズキャップ932の外径側の下面932aには、板状のシールホルダ934の固定部934aが溶接固定されている。
【0106】
シールホルダ934は、外径側を構成する固定部934aと、内径側を構成する保持部934cと、から構成されている。
【0107】
また、オイルポート部材922の環状面部926には、径方向に延びる連通凹部927,927,…が周方向に所定間隔置きに形成されている。
【0108】
また、シールホルダ934の高さ寸法(上限寸法T901)が、オイルポート部材922のシール面925と連通凹部927,927,…との間の高さ寸法(上下寸法T902)よりも大きく構成されている。
【0109】
図13(b)に示されるように、火災等の高温によりシール部材35を構成するゴム状弾性体37が溶解焼失して露出した基材36がシールホルダ934の保持部934cの上面934eに載置された状態で、オイルポート部材922の環状面部926に設けられる連通凹部927,927,…の外径側から流入した液室5の液体をその内径側に連通する基材36とシール面925との間に形成される空間A1を通して流体出入路924に逃がす圧力開放流路を構成することができるため、シール部材35に特別な加工を行う必要がなくアキュムレータ901の使用寿命を長くすることができる。また、液室5の液体を流体出入路924に逃がすことができるため、液室5の圧力、ひいてはガス室4の圧力の急激な上昇を抑えることができる。
【0110】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0111】
例えば、前記実施例では、アキュムレータ1,101,201,301,401,501,601,701,801,901は、ベローズ3の外側に液室5を設定するとともに、ベローズ3の内側にガス室4が設定されるいわゆる内ガスタイプのアキュムレータとして説明したが、これに限らず、例えば、ベローズ3内にステー60等を設けてベローズの内側に液室を設定するとともに、ベローズの外側にガス室を設定する外ガスタイプのアキュムレータ(
図14参照)としてもよい。
【0112】
また、前記実施例では、ハウジング2は、円筒状のシェル21と、シェル21の下端を閉塞するように溶接固定されるオイルポート部材22,422,522,722,922と、シェル21の上端を閉塞するように溶接固定されるガス封入部材23と、から構成されるものとして説明したが、これに限らず、ハウジングにガス封入口と流体出入路が形成されていれば、例えば、シェルとオイルポート部材もしくはシェルとガス封入部材が一体に構成されるものであってもよい。
【0113】
また、シールホルダもしくはオイルポート部材に設けられる連通凹部は、複数の凸部により凹部が形成されるものであってもよい。
【0114】
また、ベローズ本体31は、金属製のものに限らず、例えば樹脂等から構成されるものであってもよい。
【0115】
また、実施例6〜8で説明したシールホルダには、実施例2と同様に保持部もしくは起立部の下端面まで切欠かれた連通凹部を設けてもよいし、実施例3と同様に下端面に径方向に延びる連通凹部を設けてもよいし、実施例4と同様に保持部もしくは起立部から鉛直部にかけて径方向に貫通するように切欠かれた連通凹部を設けてもよい。さらに、実施例6〜8で説明したオイルポート部材には、実施例5と同様に環状面部に径方向に延びる連通凹部を設けてもよい。
【0116】
また、実施例7で説明した基材636を実施例1〜6、8〜10において用いてもよく、さらに、実施例1で説明した基材36を実施例7において用いてもよい。
【0117】
また、貫通孔38の形状は問わないが、流量かつ強度を保つためには、円形や上下方向に長いスリット形状が好ましい。
【0118】
また、ハウジング2は、シェル21とオイルポート部材22とガス封入部材23とがそれぞれ別の部材により形成される例について説明したが、シェル21とオイルポート部材22またはガス封入部材23を一部材としてもよい。