特許第6904986号(P6904986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6904986マイクロ波電子管及びマイクロ波増幅装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904986
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】マイクロ波電子管及びマイクロ波増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 23/00 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   H01J23/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-568626(P2018-568626)
(86)(22)【出願日】2018年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2018005495
(87)【国際公開番号】WO2018151253
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年7月23日
(31)【優先権主張番号】特願2017-29286(P2017-29286)
(32)【優先日】2017年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】益田 大志
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−063541(JP,U)
【文献】 実開昭58−088762(JP,U)
【文献】 特開2002−025454(JP,A)
【文献】 特開平01−154434(JP,A)
【文献】 特開昭62−133641(JP,A)
【文献】 特開平10−199453(JP,A)
【文献】 実開昭53−085960(JP,U)
【文献】 実開昭62−024466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 23/00
H01J 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得るヘリックスと、
前記へリックスに向けて電子流を放出する電子銃と、
前記電子流を、コレクタに向けて、前記へリックスの近傍を通過させる集束装置と、
前記電子流を吸収する前記コレクタと、
前記電子銃の備えるカソードと絶縁されたヒータを備えるゲッタと、
を備え、
前記ゲッタが、前記集束装置と前記コレクタの開口部との間に設置される、
マイクロ波電子管。
【請求項2】
前記ゲッタが、前記へリックスの近傍に設置される、請求項1に記載されたマイクロ波電子管。
【請求項3】
複数の前記ゲッタを備える、請求項1又は請求項2に記載されたマイクロ波電子管。
【請求項4】
前記ヒータが、前記電子銃、前記へリックス、前記集束装置及び前記コレクタのうちのいずれも駆動しない電源により駆動される、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
【請求項5】
マイクロ波の増幅中に前記ゲッタがガス吸着動作を行う、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管と
前記ヒータの駆動を行う電源と、
を備えるマイクロ波増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波を増幅するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波電子管(以下、「マイクロ波管」ともいう。)は、入力されたマイクロ波を増幅するための装置である(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、電子銃部と、高周波回路部と、コレクタ部と、集束装置とを備えるマイクロ波管を開示する。前記電子銃部は、第一のヒータと第二のヒータとを備える。前記第一のヒータは、前記電子銃部の前記電子ビーム発生用のカソードに近接して配置された前記カソードの加熱用のものである。前記第二のヒータは、内部に一端が前記カソードに接続され、他端が前記カソードの外部リード線に接続された加熱用の第2のヒータを有するガス吸着用のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−25454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示するマイクロ波管のゲッタが備える前記第二のヒータは、前述のように、一端が前記カソードに接続され、他端が前記カソードの外部リード線に接続される。そのため、カソードへの電圧の印加により、前記第二のヒータへの電力供給が変動する。そのため、特許文献1が開示するマイクロ波管は、マイクロ波の増幅動作中と増幅動作停止との両方の状態において、ゲッタによるガス吸着動作に最適な電力を前記第二のヒータに供給することが困難である。
【0006】
本発明は、マイクロ波の増幅動作に関係なくゲッタによるガス吸着動作を良好に行い得るマイクロ波管等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロ波電子管は、入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得るへリックスと、前記へリックスに向けて電子流を放出する電子銃と、前記電子流を、コレクタに向けて、前記へリックスの近傍を通過させる集束装置と、前記電子流を吸収する前記コレクタと、前記電子銃の備えるカソードと絶縁されたヒータを備える、ゲッタと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマイクロ波管等は、マイクロ波の増幅動作に関係なくゲッタによるガス吸着動作を良好に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のマイクロ波増幅装置の構成を表す概念図である。
図2】本実施形態のマイクロ波管の縦断面例を表す概念図である。
図3】ゲッタルームの構成例を表す斜視図である。
図4】電源の構成例を表す図である。
図5】アノードと集束装置との間にゲッタを設置した本実施形態のマイクロ波管の構成例を表す概念図である。
図6】二箇所にゲッタを設置した本実施形態のマイクロ波管の構成例を表す概念図である。
図7】制御部が行う処理の処理フロー例(その1)を表す概念図である。
図8】制御部が行う処理の処理フロー例(その2)を表す概念図である。
図9】制御部が行う処理の処理フロー例(その3)を表す概念図である。
図10】本発明の最小限のマイクロ波管の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態のマイクロ波増幅装置の例であるマイクロ波増幅装置100の構成を表すブロック図である。
【0011】
マイクロ波増幅装置100は、マイクロ波管901と電源931とを備える。
【0012】
マイクロ波管901は、入力されたマイクロ波を増幅する。
【0013】
電源931は、マイクロ波管901の各構成に電力を供給する。
【0014】
図2は、図1に表すマイクロ波管901の例であるマイクロ波管101の構成を表す概念図である。図2はマイクロ波管101の縦断面を表す。マイクロ波管101は、ヘリックス型進行波管である。ヘリックス型進行波管については、例えば、特許文献1等に説明がある。
【0015】
マイクロ波管101は、電子銃51と、へリックス17と、集束装置15と、コレクタ16と、ゲッタ31と、導体部材26と、絶縁体19b、19cとを備える。
【0016】
電子銃51は、へリックス17の向きに電子を放出する部分である。
【0017】
電子銃51は、ヒータ11と、カソード12と、ウェネルト電極13とアノード14と絶縁体19aとを備える。カソード12、ウェネルト電極13、絶縁体19a及びアノード14は、同軸的に配置されている。
【0018】
ヒータ11は、端子K−J間に印加される電力により、カソード12を加熱する。ヒータ11がカソード12を加熱する加熱温度は例えば千度である。
【0019】
カソード12は、ヒータ11による加熱と端子J−G間に印加される電圧により、カソード12の電子放出面52からアノード14に向けて電子を放出する。なお、端子Jは図4を参照して後述する、ヒータ電源39、アノード電源30、へリックス電源34及びコレクタ電源33の一方の端子に接続されることが想定されている。また、端子Kは、図4を参照して後述するヒータ電源39の、他方の端子に接続されることが想定されている。
【0020】
ウェネルト電極13は、略円筒形状であり、カソード12の電子放出面52から放出された電子がアノード14の開口部53を通過してへリックス17に向けて進むよう集束させる。
【0021】
絶縁体19aは例えば円筒形状である。絶縁体19aは、カソード12及びウェネルト電極13と、アノード14とを絶縁する。絶縁体19aは、また、電子銃51の内部空間、及び、当該内部と開口部53を介して接続された、へリックス17の周囲、コレクタ16の内部空間、ゲッタ31の周囲等が真空に保たれるよう封止する。ここで、電子銃51の内部空間は、電子銃51の各構成により開口部53以外が覆われた空間である。また、コレクタ16の内部空間は、コレクタ16の構成によりコレクタ16の開口部以外の部分が覆われた空間である。
【0022】
以下において、電子銃51の内部空間、へリックス17の周囲、コレクタ16の内部空間、ゲッタ31の周囲等を、「へリックス周囲等」ということにする。
【0023】
絶縁体19aは例えばセラミクスである。
【0024】
電子銃51の開口部53から放出された電子は、端子J−B間に印加された電圧等により、開口部53からへリックス17及びコレクタ16の向きに進行する。なお、端子Gは、図4を参照して後述するアノード電源30の、他方の端子に接続されることが想定されている。
【0025】
集束装置15は、例えば、電子銃51と同心円的に配置された円筒形の磁石である。当該磁石は例えば永久磁石である。図2に表す集束装置15は、二組の円筒形の磁石から構成されている。なお、集束装置15を構成する磁石の数は、二組に限らず任意である。
【0026】
集束装置15は、発生する磁界により、電子銃51から放出された電子が、螺旋状のへリックス17で覆われたへリックス17近傍の空間を、コレクタ16の方向に進行するよう、電子の進行方向を制御する。
【0027】
へリックス17は、内部が中空の管状の細長い導体が螺旋状に成型されたものである。へリックス17の入力部61からは、マイクロ波がその中空の管内に入力される。入力されたマイクロ波は、出力部62に向けて、へリックス17の管内をへリックス17の螺旋形状に沿って進む。そして、マイクロ波は、へリックス17の管内を進む際に、電子銃51から放出されへリックス17近傍の空間を通過する電子との間で相互作用を起こす。そして、当該相互作用により当該マイクロ波は増幅される。増幅されたマイクロ波は、出力部62から出力される。
【0028】
コレクタ16は、コレクタ16に向けて進行し、コレクタ16に衝突する電子を吸収する。衝突した電子のエネルギーは熱に変換される。変換された熱はコレクタ16の表面から外部に放出される。コレクタ16の端子Aは端子Bに接続されている。端子Bは、図4を参照して後述するコレクタ電源33の、他方の端子に接続されることが想定されている。
【0029】
絶縁体19bは、円筒形状であり、アノード14と導体部材26とを絶縁する。絶縁体19bは、また、他の部材とともに、へリックス周囲等を真空に封止する。絶縁体19bは、例えば、セラミクスである。
【0030】
導体部材26は、へリックス17の周囲を覆っている。そして、導体部材26は、他の部材とともに、へリックス周囲等を真空に封止する。
【0031】
導体部材26の端子Eは端子Fに接続されている。端子Fはグランドに接続されることが想定されている。
【0032】
絶縁体19cは、例えば円筒形状であり、コレクタ16と導体部材26とを絶縁する。絶縁体19cは、また、他の部材とともに、へリックス周囲等を真空に封止する。絶縁体19cは、例えば、セラミクスである。
【0033】
ゲッタ31は、非蒸発型ゲッタである。非蒸発型ゲッタについては、特許文献1等に説明がある。
【0034】
ゲッタ31は、ヒータ32を備える。
【0035】
ヒータ32の上端は導体部材26の端子Cに接続されている。前述のように、導体部材26はグランドに接続されているので、ヒータ32の上端はグランドに接続されている。ヒータ32の下端は端子Dに接続されている。端子Dは図4を参照して後述するゲッタ電源35の、グランドに接続されない方の端子に接続されることが想定されている。
【0036】
ヒータ32は、端子D−F間に印加される電力により、ゲッタ表面に形成されたゲッタ材料を加熱する。ヒータ32が当該ゲッタ材料を加熱する加熱温度は、例えば、数百度である。
【0037】
当該ゲッタ材料は、ヒータ32による加熱により温度が上昇すると気体分子の吸着能力が高くなる。そして、当該ゲッタ材料がゲッタ31の周囲の真空中に残留する気体を吸着した結果、ゲッタ31の周囲の真空度は向上する。そして、当該向上により、へリックス周囲等の内部の真空度は向上する。
【0038】
当該ゲッタ材料には、ジルコニウムを主成分としてこれにバナジウムや鉄等を添加した多孔質体の公知のものを用いることができる。
【0039】
ゲッタ31は、ヒータ32の加熱部の表面に直接又は間接にゲッタ材料が形成されたものであっても構わない。
【0040】
ゲッタ31は、周囲を仕切りで囲む箱状のゲッタルーム内に設置されても構わない。ただし、当該ゲッタルームは、ゲッタ31をへリックス周囲等の空間から完全に遮断するものではない。当該ゲッタルームは、ゲッタ31をコレクタ16等の、所定の電位が与えられた他の導電性部材に接触することを防止する。
【0041】
図3は、前述のゲッタルームの例であるゲッタルーム27の構成を表す斜視図である。図3にはゲッタ31を併せて表してある。
【0042】
ゲッタルーム27は例えば直方体類似の形状である。
【0043】
ゲッタルーム27は、面18a乃至18eと、上部48とを備える。
【0044】
面18a乃至18eは、例えば、金属板により構成される。
【0045】
上部48は、図3に表すように格子状になっている。当該格子状の部分は、例えば、金属の線材により構成されている。ゲッタルーム27の内部の空間は、当該格子の隙間により、ゲッタルーム27の外部の空間とつながっている。
【0046】
ゲッタ31は、面18b上に固定されている。
【0047】
面18aは、金属等の板に絶縁体28a及び28bをはめ込んだ構成である。絶縁体28aには穴29aが、絶縁体28bには穴29bが、それぞれ、形成されている。
【0048】
ゲッタ31の内部にある図示しないヒータは、ゲッタ31の内部で互いに電気的に接続された線材38a及び38bを備える。そして、線材38aは穴29aを通じて、線材38bは穴29bを通じて、それぞれ、ゲッタルームの外部につながっている。
【0049】
図4は、図1に表す電源931の例である電源131の構成を表す図である。
【0050】
電源131は、ヒータ電源39と、アノード電源30と、コレクタ電源33と、へリックス電源34と、ゲッタ電源35と、制御部36とを備える。なお、図4に表す小さい黒丸は各電源の端子を表す。上記各電源には、図示しない電源線により、外部から電力が供給されている。
【0051】
ゲッタ電源35の、一方の端子は、図2に表す端子Dに接続されることが想定されている。また、ゲッタ電源35の、他方の端子は、図示しないグランドに接続されることが想定されている。
【0052】
制御部36は、図示しない信号線により、ヒータ電源39、アノード電源30、コレクタ電源33、へリックス電源34及びゲッタ電源35の各々と接続されている。そして、制御部36は、当該信号線を通じて前記各々に制御信号を送ることにより、前記各々の動作を制御する。当該制御には、所定のタイミングで行われる、ゲッタ電源35がゲッタ電源35の両端子間に供給する電力のオンオフの制御が含まれる。
【0053】
ゲッタ電源35は、制御部36からの指示により、ゲッタ電源35の両端子間に供給する電力のオンオフを行う。なお、当該供給電力の値は、例えば、ゲッタ31の温度を測定し、温度と供給電力の関係を測定することにより、ゲッタ31が有効に働く温度に相当する電力値に定める。なお、ゲッタ31に図示しない温度センサを設置し、温度センサの出力により温度を測定しても構わない。
【0054】
ゲッタ電源35がゲッタ電源35の両端子間に供給する電力のオンオフの前記タイミングは、例えば、一定の時間間隔である。
【0055】
また、前記タイミングは、例えば、図2に表すマイクロ波管101によるマイクロ波の増幅動作開始に連動させたタイミングである。当該増幅動作にともないへリックス周囲等の真空度が悪化することが想定される。そのため、制御部36は、例えば、当該増幅動作開始と同時又は当該開始の少し前に、当該両端子間に供給する電力をオンにする。また、当該増幅動作終了時又は当該終了後に、当該両端子間に供給する電力をオフにする。
【0056】
また、前記タイミングは、例えば、真空度を表す値に連動させたタイミングである。
【0057】
当該真空度を表す値は、例えば、へリックス周囲等に設置された、図2には図示しない真空計の出力値である。制御部36は、当該出力値が、真空度が悪いことを表す所定の閾値を超える等の場合に、前記電力をオンする。そして、制御部36は、当該出力値が、前記閾値を下回る等の場合に、前記電力をオフする。
【0058】
前記真空度を表す値は、あるいは、へリックス電源34から図4には図示しない信号経路により制御部36に送られる、へリックス電流値である。ここで、へリックス電流値は、図2に表すへリックス17やへリックス17と電気的に接続された導電性の部分と、図示しないグランドとの間に生じる電流の値である。へリックス電流値としては、例えば、へリックス17を支持する図示しない導電性の支持部と、前記グランドとの間に生じる電流の値を用いる。
【0059】
へリックス電流値の増大が真空度の低下を表すことは、経験等により理解されている。その理由としては、次が考えられる。マイクロ波管内の真空度の低下すなわち管内のガス分子が増加することによって電子とガス分子の衝突する確率が上昇する。すると、電子とガス分子との衝突により、電子流の進行方向が乱れ、へリックス17や前記導電性の部分に衝突する確率が高くなる。これにより、真空度の低下によりへリックス電流が増加する。
【0060】
制御部36は、例えば、へリックス電流値がある閾値を超えた場合に、当該両端子間に供給する電力をオンにする。また、制御部36は、例えば、へリックス電流値が当該閾値以下になった場合に、前記電力をオフする。
【0061】
上記のような、制御部36による前記電力のオンオフは、図2に表すヒータ32の一方の端子をグランドに接続し、さらにヒータ32に対し、他の電源とは独立な図4に表すゲッタ電源35により電力供給を行い得る構成により実現可能なことである。
【0062】
なお、本実施形態のゲッタ電源としては、制御部36が存在しない場合も想定され得る。
【0063】
なお、図4に表すヒータ電源39の、一方の端子は、図2に表す端子Kに接続されることが想定されている。また、ヒータ電源39の、他方の端子は、図2に表す端子Jに接続されることが想定されている。
【0064】
また、アノード電源30の、一方の端子は、図2に表す端子Jに接続されることが想定されている。また、アノード電源30の、他方の端子は、図2に表す端子Gに接続されることが想定されている。
【0065】
また、コレクタ電源33の、一方の端子は、図2に表す端子Jに接続されることが想定されている。また、コレクタ電源33の、他方の端子は、図2に表す端子Bに接続されることが想定されている。
【0066】
また、ゲッタ電源35の、一方の端子は、図2に表す端子Dに接続されることが想定されている。また、ゲッタ電源35の、他方の端子は、図示しないグランドに接続されることが想定されている。
【0067】
また、へリックス電源34の一方の端子は、図2に表す端子Jに接続されることが想定されている。また、へリックス電源34の他方の端子は、前記グランドに接続されることが想定されている。
【0068】
図2に表すマイクロ波管101は、ゲッタ31を、集束装置15とコレクタ16との間に備える。しかしながら、本実施形態のマイクロ波管が備えるゲッタの位置は、マイクロ波管101によるマイクロ波の増幅動作が妨げられず、また、ゲッタが備えるヒータの一方の端子がグランドと接続が可能な限り、任意である。
【0069】
図5は、アノードと集束装置との間にゲッタを設置した本実施形態のマイクロ波管の例であるマイクロ波管101aの構成を表す概念図である。図5はマイクロ波管101aの縦断面を表す。
【0070】
ゲッタ31aは、コレクタ16と集束装置15との間ではなく、アノード14と集束装置15との間に形成されている。
【0071】
マイクロ波管101aの説明は、上記を除いて、図2に表すマイクロ波管101の説明と同じである。ただし、当該説明において、ゲッタ31はゲッタ31aと、ヒータ32はヒータ32aと、端子Dは、端子Daと、端子Cは端子Caと、それぞれ、読み替える。
【0072】
本実施形態のマイクロ波管が備えるゲッタの設置箇所は複数でも構わない。
【0073】
図6は、二箇所にゲッタを設置した本実施形態のマイクロ波管の例であるマイクロ波管101bの構成を表す概念図である。図6はマイクロ波管101bの縦断面を表す。
【0074】
マイクロ波管101bは、ゲッタ31とゲッタ31aとの二つのゲッタを備える。マイクロ波管101bは、このように、二つのゲッタを備えることにより、へリックス周囲等の真空度をより向上させ得る。
【0075】
マイクロ波管101bの説明は、ゲッタ31に関しては、上記を除いて、図2に表すマイクロ波管101の説明と同じである。また、マイクロ波管101bの説明は、ゲッタ31aに関しては、上記を除いて、図5に表すマイクロ波管101aの説明と同じである。
【0076】
マイクロ波管101bの説明は、上記を除いて、図2に表すマイクロ波管101の説明と同じである。ただし、当該説明において、ゲッタ31、ヒータ32、端子D、端子Cについては、必要に応じて、適宜読み替えるものとする。
[処理フロー]
図4に表す制御部36は、図7乃至図9のいずれかに表す処理を行う。
【0077】
図7は、図4に表す制御部36が行う処理の処理フロー例(その1)を表す概念図である。図7が表す処理フロー例は、制御部36が、電源部37に対し、電力供給と停止を一定間隔で繰り返させる処理フロー例である。
【0078】
制御部36は、例えば、制御部36の稼動に必要な電力が外部から供給されることにより、図7に表す処理を開始する。
【0079】
そして、制御部36は、S101の処理として、図4に表す電源部37に対し、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給の開始を指示する。当該指示を受けて、電源部37は、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給を開始する。
【0080】
次に、制御部36は、S102の処理として、S101の処理の完了時から時間T1が経過したかについての判定を行う。ここで、制御部36は、タイマーを利用できることを前提としている。また、時間T1は、S102の処理のために予め定められた時間である。
【0081】
制御部36は、S102の処理による判定結果がyesの場合は、S103の処理を行う。
【0082】
一方、制御部36は、S102の処理による判定結果がnoの場合は、S102の処理を再度行う。
【0083】
制御部36は、S103の処理を行う場合は、同処理として、電源部37に対し、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給の停止を指示する。当該指示を受けて、電源部37は、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給を停止する。
【0084】
そして、制御部36は、S104の処理として、S103の処理の完了時から時間T2が経過したかについての判定を行う。ここで、時間T2は、S104の処理のために予め定められた時間である。
【0085】
制御部36は、S104の処理による判定結果がyesの場合は、S105の処理を行う。
【0086】
一方、制御部36は、S104の処理による判定結果がnoの場合は、S104の処理を再度行う。
【0087】
制御部36は、S105の処理を行う場合は、同処理として、図7に表す処理を終了するかについての判定を行う。制御部36は、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。当該終了情報は、例えば、制御部36の稼動に必要な外部からの電力の供給が停止することにより、入力される。
【0088】
制御部36は、S105の処理による判定結果がyesの場合は、図7に表す処理を終了する。
【0089】
一方、制御部36は、S105の処理による判定結果がnoの場合は、S101の処理を再度行う。
【0090】
図8は、図4に表す制御部36が行う処理の処理フロー例(その2)を表す概念図である。図8が表す処理フロー例は、図2に表すマイクロ波管101によるマイクロ波増幅動作に連動して、制御部36が電源部37に電力供給と停止とを行わせる処理フロー例である。
【0091】
制御部36は、例えば、制御部36の稼動に必要な電力が外部から供給されることにより、図8に表す処理を開始する。
【0092】
そして、制御部36は、S201の処理として、図2に表すマイクロ波管101によるマイクロ波増幅動作が開始されるかについての判定を行う。制御部36は、当該判定を、例えば、図4に表すヒータ電源39、アノード電源30、コレクタ電源33及びへリックス電源34のうちのいずれかが、対象部分への電圧供給を開始したかの判定を行うことにより行う。ここで、制御部36が電圧供給を開始するかの判定を行う上記電源のいずれかは、当該供給を開始する場合には、制御部36に通知することを前提としている。
【0093】
制御部36は、S201の処理による判定結果がyesの場合はS202の処理を行う。
【0094】
一方、制御部36は、S202の処理による判定結果がnoの場合はS201の処理を再度行う。
【0095】
制御部36は、S202の処理を行う場合は、同処理として、図4に表す電源部37に対し、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給の開始を指示する。当該指示を受けて、電源部37は、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給を開始する。
【0096】
そして、制御部36は、S203の処理として、図2に表すマイクロ波管101によるマイクロ波増幅動作が終了されたかについての判定を行う。制御部36は、当該判定を、例えば、図4に表すヒータ電源39、アノード電源30、コレクタ電源33及びへリックス電源34のうちのいずれかが、対象部分への電圧供給を終了したかの判定を行うことにより行う。ここで、制御部36が電圧供給を終了したかの判定を行う上記電源のいずれかは、当該供給を終了した場合には、制御部36に通知することを前提としている。
【0097】
制御部36は、S203の処理による判定結果がyesの場合はS204の処理を行う。
【0098】
一方、制御部36は、S203の処理による判定結果がnoの場合はS203の処理を再度行う。
【0099】
制御部36は、S204の処理を行う場合は、同処理として、図4に表す電源部37に対し、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給の停止を指示する。当該指示を受けて、電源部37は、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給を停止する。
【0100】
そして、制御部36は、図8に表す処理を終了する。
【0101】
図9は、図4に表す制御部36が行う処理の処理フロー例(その3)を表す概念図である。図9が表す処理フロー例は、図2に表すマイクロ波管101の内部の真空度にして、制御部36が電源部37に電力供給と停止とを行わせる場合の処理フロー例である。
【0102】
制御部36は、例えば、制御部36の稼動に必要な電力が外部から供給されることにより、図9に表す処理を開始する。
【0103】
そして、制御部36は、S301の処理として、図2に表すマイクロ波管101の内部の真空度を表す値が閾値Thより大きいかについての判定を行う。ここで、閾値Thは、S301の処理及び後述のS303の処理のために予め設定された真空度を表す値についての閾値である。また、ここでは、真空度を表す値が大きいほどマイクロ波管101の内部の真空度が悪いことが想定されることを前提としている。
【0104】
制御部36は、S301の処理による判定結果がyesの場合はS302の処理を行う。
【0105】
一方、制御部36は、S302の処理による判定結果がnoの場合はS301の処理を再度行う。
【0106】
制御部36は、S302の処理を行う場合は、同処理として、図4に表す電源部37に対し、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給の開始を指示する。当該指示を受けて、電源部37は、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給を開始する。
【0107】
そして、制御部36は、S303の処理として、前記真空度を表す値が閾値Th以下かについての判定を行う。
【0108】
制御部36は、S303の処理による判定結果がyesの場合はS304の処理を行う。
【0109】
一方、制御部36は、S303の処理による判定結果がnoの場合はS303の処理を再度行う。
【0110】
制御部36は、S304の処理を行う場合は、同処理として、図4に表す電源部37に対し、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給の停止を指示する。当該指示を受けて、電源部37は、ゲッタ電源35の両端子間への電力供給を停止する。
【0111】
そして、制御部36は、S305の処理として、図9に表す処理を終了するかについての判定を行う。制御部36は、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。当該終了情報は、例えば、制御部36の稼動に必要な外部からの電力の供給が停止することにより、入力される。
【0112】
制御部36は、S305の処理による判定結果がyesの場合は、図9に表す処理を終了する。
【0113】
一方、制御部36は、S305の処理による判定結果がnoの場合は、S301に表す処理を再度行う。
[効果]
本実施形態のマイクロ波管がマイクロ波管内に備えるゲッタのヒータは、当該ヒータの一方の端子が、カソードには接続されておらずグランドに接続された状態で、ゲッタ電源により駆動される。そのため、電子銃の動作のためにカソードに所定のカソード電圧を印加した状態でも、当該カソード電圧を印加していない状態でも、当該ヒータに等しい電圧を供給し、当該ヒータを動作させることができる。従い、前記マイクロ波管は、マイクロ波の増幅動作中であっても、前記ゲッタによりマイクロ波管内の真空度の向上を良好に行うことができる。すなわち、本実施形態のマイクロ波管は、マイクロ波の増幅動作に関係なくゲッタによるガス吸着動作を良好に行い得る。
【0114】
さらに、[背景]の項で説明したように、特許文献1が開示するマイクロ波管は、ゲッタを電子銃の内部に備える。これに対し、本実施形態のマイクロ波管のゲッタは、電子銃とへリックスとの間や、へリックスとコレクタとの間という、へリックスにより近い位置に設定される。そのため、特に、へリックスから放出されるガスについて、より有効な吸着動作を行い得る。
【0115】
図10は、本実施形態の最小限のマイクロ波管の構成であるマイクロ波電子管101xの構成を表すブロック図である。
【0116】
マイクロ波電子管101xは、へリックス17xと、電子銃51xと、集束装置15xと、コレクタ16xと、ゲッタ31xとを備える。
【0117】
へリックス17xは、入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得る。
【0118】
電子銃51xは、へリックス17xに向けて電子流を放出する。
【0119】
集束装置15xは、前記電子流を、コレクタ16xに向けて、へリックス17xの近傍を通過させる。
【0120】
コレクタ16xは、前記電子流を吸収する。
【0121】
ゲッタ31xは、電子銃51xの備えるカソードと絶縁された図示しないヒータを備える。
【0122】
マイクロ波電子管101xがマイクロ波の増幅動作を行うためには、電子銃51xが備える図示しないカソードへの電圧の供給が必要である。しかし、前記ヒータは、前記カソードと、電気的に接続されていない。そのため、ゲッタ31xは、電子銃51x、前記カソードに所定の電圧を印加しているときでも、前記ヒータに電力を供給し、ガスの吸着動作を行うことができる。そのため、マイクロ波電子管101xは、マイクロ波の増幅動作を行っている間も、ゲッタによるガス吸着動作を行うことができる。
【0123】
そのため、マイクロ波電子管101xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0124】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0125】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得るへリックスと、
前記へリックスに向けて電子流を放出する電子銃と、
前記電子流を、コレクタに向けて、前記へリックスの近傍を通過させる集束装置と、
前記電子流を吸収する前記コレクタと、
前記電子銃の備えるカソードと絶縁されたヒータを備える、ゲッタと、
を備える、マイクロ波電子管。
(付記2)
前記ヒータの一方の端子がグランドに電気的に接続されている、付記1に記載されたマイクロ波電子管。
(付記3)
前記ゲッタが、前記集束装置と前記コレクタとの間に設置される、付記1又は付記2に記載されたマイクロ波電子管。
(付記4)
前記ゲッタが、前記集束装置と前記電子銃との間に設置される、付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
(付記5)
前記ゲッタが、前記へリックスの近傍に設置される、付記1乃至付記4のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
(付記6)
複数の前記ゲッタを備える、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
(付記7)
前記ゲッタが、前記ゲッタを収容する収容部材に設置されている、付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
(付記8)
前記ヒータが、前記電子銃、前記へリックス、前記集束装置及び前記コレクタのうちのいずれも駆動しない電源により駆動される、付記1乃至付記7のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
(付記9)
マイクロ波の増幅中に前記ゲッタがガス吸着動作を行う、付記1乃至付記8のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管。
(付記10)
入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得るへリックスと、
前記へリックスに向けて電子流を放出する電子銃と、
前記電子流を、コレクタに向けて、前記へリックスの近傍を通過させる集束装置と、
前記電子流を吸収する前記コレクタと、
を備える、マイクロ波電子管に設置可能な
前記電子銃の備えるカソードと絶縁されたヒータを備える、ゲッタ。
(付記11)
付記1乃至付記9のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波電子管と
前記ヒータの駆動を行う電源と、
を備えるマイクロ波増幅装置。
(付記12)
前記電源が前記ヒータを駆動するタイミングの制御を行う制御部をさらに備える、付記11に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記13)
前記制御が、前記駆動及び前記駆動の停止の繰返しを行うものである、付記付記12に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記14)
前記繰返しが定期的なものである、付記13に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記15)
前記制御が、前記マイクロ波電子管によるマイクロ波の増幅の開始と連動して前記駆動を開始するものである、付記12乃至付記14のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記16)
前記増幅が開始される旨の開始判定を行った場合に、前記駆動を開始する、付記付記15に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記17)
前記開始判定を、前記電子銃、前記へリックス、前記集束装置、前記コレクタのうちの少なくとも一つに供給される電圧又は電流の値により行う、付記16に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記18)
前記制御が、前記増幅の終了と連動して前記駆動を終了するものである、付記15乃至付記17のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記19)
前記制御が、前記電子銃の内部空間、前記へリックスの周囲の空間及び前記コレクタの内部空間のいずれかにおける真空度を表す真空値と連動して、前記駆動を開始するものである、付記12乃至付記18のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記20)
前記制御が、前記真空値が真空度の悪化を表すものと判定された場合に、前記駆動を開始するものである、付記19に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記21)
前記制御が、前記真空値と連動して、前記駆動を終了するものである、付記19又は付記20に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記22)
前記制御が、前記真空値が真空度の向上を表すものと判定された場合に、前記駆動を終了するものである、付記21に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記23)
前記真空値が前記いずれかに設置された真空計の出力である、付記19乃至付記22のうちのいずれか一に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記24)
前記真空値が前記へリックス又は前記へリックスと電気的に接続された導電性部分と、記グランドとの間を流れるへリックス電流の値である、付記付記22に記載されたマイクロ波増幅装置。
(付記25)
入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得るへリックスと、
前記へリックスに向けて電子流を放出する電子銃と、
前記電子流を、コレクタに向けて、前記へリックスの近傍を通過させる集束装置と、
前記電子流を吸収する前記コレクタと、
を備えるマイクロ波電子管が備えるゲッタが備える、
前記電子銃の備えるカソードと絶縁されたヒータを駆動するタイミングの制御を行う制御部を備え、
前記制御が、前記マイクロ波電子管によるマイクロ波の増幅の開始と連動して前記駆動を開始するものである、電源。
(付記26)
前記制御が、前記増幅が開始される旨の開始判定を行った場合に、前記駆動を開始するものである、付記25に記載された電源。
(付記27)
前記開始判定を、前記電子銃、前記へリックス、前記集束装置、前記コレクタのうちの少なくとも一つに供給される電圧又は電流の値により行う、付記26に記載された電源。(付記28)
前記制御が、前記増幅の終了と連動して前記駆動を終了するものである、付記25乃至付記27のうちのいずれか一に記載された電源。
(付記29)
入力部から出力部に向けて螺旋状の管内をマイクロ波が進行し得るへリックスと、
前記へリックスに向けて電子流を放出する電子銃と、
前記電子流を、コレクタに向けて、前記へリックスの近傍を通過させる集束装置と、
前記電子流を吸収する前記コレクタと、
を備えるマイクロ波電子管が備えるゲッタが備える、
前記電子銃の備えるカソードと絶縁されたヒータを駆動するタイミングの制御を行う制御部を備え、
前記制御が、前記電子銃の内部空間、前記へリックスの周囲の空間及び前記コレクタの内部空間のいずれかにおける真空度を表す真空値と連動して、前記駆動を開始するものである、
電源。
(付記30)
前記制御が、前記真空値が真空度の悪化を表すものと判定された場合に、前記駆動を開始するものである、付記29に記載された電源。
(付記31)
前記制御が、前記真空値と連動して、前記駆動を終了するものである、付記29又は付記30に記載された電源。
(付記32)
前記制御が、前記真空値が真空度の向上を表すものと判定された場合に、前記駆動を終了するものである、付記31に記載された電源。
(付記33)
前記真空値が前記いずれかに設置された真空計の出力である、付記30乃至付記32のうちのいずれか一に記載された電源。
(付記34)
前記真空値が前記へリックス又は前記へリックスと電気的に接続された導電性部分と、グランドとの間を流れるへリックス電流の値である、付記29乃至付記32のうちのいずれか一に記載された電源。
【0126】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0127】
この出願は、2017年2月20日に出願された日本出願特願2017−029286を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0128】
11、32、32a ヒータ
12 カソード
13 ウェネルト電極
14 アノード
15、15x 集束装置
16、16x コレクタ
17、17x へリックス
18a、18b、18c、18d 面
19a、19b、19c、28a、28b 絶縁体
27 ゲッタルーム
26 導体部材
30 アノード電源
31 ゲッタ
33 コレクタ電源
34 へリックス電源
35 ゲッタ電源
37 電源部
36 制御部
38a、38b 線材
39 ヒータ電源
48 上部
51、51x 電子銃
52 電子放出面
53 開口部
61 入力部
62 出力部
100 マイクロ波増幅装置
101、101a、101b、901 マイクロ波管
101x マイクロ波電子管
131、931 電源
A、B、C、Ca、D、Da、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10