特許第6904988号(P6904988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904988
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20210708BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20210708BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20210708BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   H02G3/14
   H02G3/16
   H05K5/03 A
   H05K5/03 B
   B60R16/02 610B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-17163(P2019-17163)
(22)【出願日】2019年2月1日
(65)【公開番号】特開2020-127262(P2020-127262A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良也
(72)【発明者】
【氏名】金子 信崇
(72)【発明者】
【氏名】池田 達彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 隆史
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−143231(JP,U)
【文献】 特開2001−112148(JP,A)
【文献】 特開平07−031033(JP,A)
【文献】 特開2010−187428(JP,A)
【文献】 特開平10−341514(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/175165(WO,A1)
【文献】 特開平11−308733(JP,A)
【文献】 特開2005−312254(JP,A)
【文献】 特開2009−261119(JP,A)
【文献】 実開平03−106818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/14
3/16
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搭載する電気接続箱であって、
シールされた収容空間内に前記電子部品が実装されるケースと、
前記ケースの外部に設けられて前記ケースの外部で電子部品が実装可能な部品実装部を有する外部実装部と、
前記外部実装部に被せられて装着されて前記部品実装部のみを覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、筒状に形成された周壁部と、前記周壁部の上端に設けられた上壁部と、を有する有底筒状に形成され、
前記外部実装部に前記カバーが装着されることで、前記カバーの前記周壁部の下端が前記部品実装部よりも下方側に配置され、
前記ケースは、上部に蓋体が装着され、
前記蓋体は、前記外部実装部に装着された前記カバーの上部を保持する保持部を備える
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記外部実装部の前記部品実装部は、ワイヤハーネスに設けられたコネクタが接続可能なコネクタであり、前記ワイヤハーネスは、前記外部実装部に装着された前記カバーの下縁から引き出される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ケースは、前記外部実装部を有するケース本体と、前記ケース本体の下方側に組付けられるロアケースとを備え、
前記カバーは、下端部が前記ロアケースに係止されて固定される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両におけるエンジンルームなどの外部環境に設置される電気接続箱では、リレー、ヒューズ、電子制御ユニット及びコネクタ等の各種の電子部品が実装されるケースに防水構造が施されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−107948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両へ搭載した電気接続箱にワイヤハーネスを配線する場合、ケースに設けた引き込み口からワイヤハーネスを引き込んで配線し、さらに、引き込み口をシール部材等によってシールしなければならず、コストが嵩むとともに、シール作業に手間を要する。
【0005】
この場合、ケースの外部にコネクタを設けてワイヤハーネスをコネクタ接続する構造とすれば、引き込み口をなくしてシールにかかるコスト及びシール作業に要する手間を抑えることができる。しかし、この場合、コネクタの部品実装部における防水構造が必要となる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストを抑えつつケースの外部に設けた部品実装部に防水構造が施された電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記(1)〜()を特徴としている。
(1) 電子部品を搭載する電気接続箱であって、
シールされた収容空間内に前記電子部品が実装されるケースと、
前記ケースの外部に設けられて前記ケースの外部で電子部品が実装可能な部品実装部を有する外部実装部と、
前記外部実装部に被せられて装着されて前記部品実装部のみを覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、筒状に形成された周壁部と、前記周壁部の上端に設けられた上壁部と、を有する有底筒状に形成され、
前記外部実装部に前記カバーが装着されることで、前記カバーの前記周壁部の下端が前記部品実装部よりも下方側に配置され、
前記ケースは、上部に蓋体が装着され、
前記蓋体は、前記外部実装部に装着された前記カバーの上部を保持する保持部を備える
ことを特徴とする電気接続箱。
(2) 前記外部実装部の前記部品実装部は、ワイヤハーネスに設けられたコネクタが接続可能なコネクタであり、前記ワイヤハーネスは、前記外部実装部に装着された前記カバーの下縁から引き出される
ことを特徴とする(1)に記載の電気接続箱。
) 前記ケースは、前記外部実装部を有するケース本体と、前記ケース本体の下方側に組付けられるロアケースとを備え、
前記カバーは、下端部が前記ロアケースに係止されて固定される
ことを特徴とする(1)又は)に記載の電気接続箱。
【0008】
上記(1)の構成の電気接続箱によれば、シールされた収容空間とは別にケースの外部に設けられた外部実装部の部品実装部に電子部品を実装することができる。また、この外部実装部は、カバーを被せて装着することで、部品実装部がカバーで覆われる。これにより、カバーによって部品実装部へ水がかからないようにできる。しかも、カバーの周壁部の下端が部品実装部よりも下方側に配置されるので、水没時においても、カバー内に充満した空気の圧力によってカバーの内部における水位の上昇を抑制することができ、部品実装部に水が達して水没するのを抑制できる。このように、本発明によれば、シール部材などを用いてシールする構造と比べ、コストを抑えつつケースの外部に設けた部品実装部に防水構造を施すことができる。更に、上記(1)の構成の電気接続箱によれば、ケースの外部実装部に装着されたカバーの上部が、ケースに装着される蓋体の保持部によって保持される。これにより、カバーをケースの外部実装部に装着された状態に維持させることができるとともに、水没時における浮力によるカバーの浮き上がりを抑えることができる。
上記(2)の構成の電気接続箱によれば、部品実装部であるコネクタにワイヤハーネスのコネクタを接続して容易に配線することができる。また、外部実装部にカバーを装着することで、ワイヤハーネスのコネクタによる接続箇所へ水がかからないようにでき、しかも、水没時においても、ワイヤハーネスのコネクタによる接続箇所に水が達して水没するのを抑制できる。
上記()の構成の電気接続箱によれば、カバーをケース本体の外部実装部に装着してロアケースに係止させることで、カバーを外部実装部に装着した状態で確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コストを抑えつつケースの外部に設けた部品実装部に防水構造が施された電気接続箱を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る電気接続箱の前方側から視た斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る電気接続箱の後方側から視た斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る電気接続箱の上方側から視た分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る電気接続箱の下方側から視た分解斜視図である。
図5図5は、ケースにおける外部実装部の斜視図である。
図6図6は、ケースにおける外部実装部の平面図である。
図7図7は、外部実装部に装着されるカバーを示す図であって、図7(a)は正面側から視た斜視図、図7(b)は裏面側から視た斜視図である。
図8図8は、外部実装部に装着されるカバーの下方側から視た斜視図である。
図9図9は、電気接続箱を備えた車両の水没時における状態を示す電気接続箱の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電気接続箱の前方側から視た斜視図である。図2は、本実施形態に係る電気接続箱の後方側から視た斜視図である。図3は、本実施形態に係る電気接続箱の上方側から視た分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る電気接続箱の下方側から視た分解斜視図である。
【0013】
図1から図4に示すように、本実施形態に係る電気接続箱10は、ケース11と、蓋体12と、カバー13とから構成されている。これらのケース11、蓋体12及びカバー13は、それぞれ絶縁性の合成樹脂から一体成形されている。
【0014】
電気接続箱10は、例えば、自動車等の車両におけるエンジンルームなどの外部環境に設置される。電気接続箱10には、ケース11の内部の収容空間に、リレー、ヒューズ、電子制御ユニット及びコネクタ等の各種の電子部品が収容される。電気接続箱10は、バッテリやオルタネータなどの電源と、車両に搭載される各種の補機等との間に接続され、電源から供給される電力を各種の電子部品等を介して補機等に分配する。
【0015】
ケース11は、ケース本体20と、ロアケース30とを有している。ケース11は、その周囲における一部に、外部実装部50を有している。カバー13は、このケース11の外部実装部50に組付けられる。
【0016】
ケース本体20は、上部及び下部が開放された周壁21を有する箱型に形成されている。ケース本体20の周壁21には、その上縁部に、全周にわたって突条部22が形成されている。また、このケース本体20には、その周壁21に、取付孔23を有する固定部24が形成されている。この固定部24は、取付孔23に挿通したボルト(図示略)を車両のボディに設けられたステーのネジ孔にねじ込んで締結させることで、ボディに固定される。これにより、電気接続箱10が車両のボディに支持される。
【0017】
ケース本体20の内部には、部品実装部25が設けられており、この部品実装部25に、リレー、ヒューズ、電子制御ユニット及びコネクタ等の各種の電子部品(図示略)が上方側から組付けられて実装される。部品実装部25には、配線用のバスバー(図示略)が組み込まれており、部品実装部25に実装される電子部品の端子がバスバーに対して電気的に接続される。また、ケース本体20には、その下方側からワイヤハーネスW1が引き込まれ、部品実装部25のバスバーに接続される。
【0018】
ロアケース30は、ケース本体20に対して、その下方側から組付けられる。これにより、ケース本体20は、部品実装部25の下方側がロアケース30によって覆われる。ロアケース30には、その上縁部に係止片31が形成されており、ケース本体20に組み付けることで、係止片31がケース本体20の下縁部に形成された係止部26に係止される。これにより、ロアケース30がケース本体20の下部に固定される。このロアケース30には、その下部に、取付孔33を有する固定部34が形成されている。この固定部34は、取付孔33に挿通したボルト(図示略)を車両のボディに設けられたステーのネジ孔にねじ込んで締結させることで、ボディに固定される。
【0019】
ケース11は、ケース本体20とロアケース30との接合箇所に、ハーネス導入口35を有しており、ケース本体20内に引き込まれるワイヤハーネスW1がハーネス導入口35から引き込まれる。このハーネス導入口35は、ケース本体20及びロアケース30にそれぞれ形成された半筒部35a,35bが突き合わされることで構成されており、ワイヤハーネスW1が挿通される筒状に形成されている。また、ケース11は、ケース本体20の上縁部からワイヤハーネスW2が引き出されている。このケース本体20におけるワイヤハーネスW2の引出部分は、ワイヤハーネスW2に装着されたシール部材37によってシールされている。
【0020】
蓋体12は、ケース11のケース本体20の上部を覆う板状の上板部41と、上板部41からケース本体20への装着側に突出する側縁部42とを有している。側縁部42は、平面視において、ケース本体20の周壁21の上縁部と同一形状に形成されている。この側縁部42には、シール溝43が形成されており、このシール溝43には、ゴム等の弾性を有する樹脂材料から形成された環状のシール部材(図示略)が嵌合されて装着される。
【0021】
また、蓋体12の側縁部42には、係止片44が形成されており、ケース本体20に組み付けることで、係止片44がケース本体20の上縁部に形成された係止部27に係止される。これにより、ケース本体20の上部に組付けられた蓋体12がケース本体20の上部に固定される。この蓋体12をケース本体20の上部に組み付けることで、蓋体12のシール溝43に嵌装されたシール部材がケース本体20の突条部22の外周面に密着する。これにより、ケース11のケース本体20と蓋体12とがシールされ、ケース11の内部の部品実装部25が防水される。
【0022】
また、蓋体12には、その周囲の一部に、保持部45が形成されている。この保持部45は、ケース本体20への装着側が凹んだ凹状に形成されている。保持部45は、上面部46と、上面部46の周囲に設けられた側板部47とを有している。
【0023】
次に、上記の電気接続箱10のケース11に設けられた外部実装部50及び外部実装部50に装着されるカバー13について説明する。
図5は、ケースにおける外部実装部の斜視図である。図6は、ケースにおける外部実装部の平面図である。
【0024】
外部実装部50は、ケース11を構成するケース本体20の周壁21に形成された窪み部51に設けられている。
【0025】
外部実装部50は、複数のコネクタ(部品実装部)52を有している。外部実装部50は、その下端部がケース本体20の周壁21に連設されており、ケース本体20の周壁21に対して隙間をあけて上方へ向かって突設されている。また、周壁21の窪み部51には、その縁部に、上下方向に沿って係止壁54が形成されている。
【0026】
ケース11のケース本体20の下部に組付けられるロアケース30には、外部実装部50の下部に、ハーネス導入溝56が形成されている。このハーネス導入溝56は、外方へ向かって下方へ傾斜されている。さらに、ロアケース30には、カバー係止片57が形成されている。
【0027】
この外部実装部50には、ワイヤハーネスW3が引き込まれる。そして、このワイヤハーネスW3の端部に設けられたコネクタ53は、外部実装部50のコネクタ52に上方から嵌合されて接続される。なお、図5及び図6では、ワイヤハーネスW3のコネクタ53のみを図示している。
【0028】
図7は、外部実装部に装着されるカバーを示す図であって、図7(a)は正面側から視た斜視図、図7(b)は裏面側から視た斜視図である。図8は、外部実装部に装着されるカバーの下方側から視た斜視図である。
【0029】
図7(a)(b)及び図8に示すように、カバー13は、上部が封鎖された有底筒状の箱型に形成されている。具体的には、カバー13は、角筒状に形成された周壁部60と、周壁部60の上部を覆う上壁部61とを有している。カバー13の周壁部60は、外部実装部50に装着された状態で外面に配置される部分が外面板部60aとされている。外面板部60aには、上縁部に、上方へ延出する延出片62が形成され、側縁部に、上下方向に沿って封鎖片63が形成されている。また、封鎖片63の内側には、上下方向に沿って係止溝部64が形成されている。また、カバー13には、外面板部60aの下端部に、係止部65が形成されている。
【0030】
次に、カバー13をケース11の外部実装部50に装着する場合について説明する。
まず、ケース11の外部実装部50のコネクタ52に、その上方からワイヤハーネスW3のコネクタ53を嵌合させて接続し、ワイヤハーネスW3をロアケース30のハーネス導入溝56に沿わせる(図3参照)。
【0031】
次に、ケース11の外部実装部50に対して、その上方からカバー13を被せて装着する。具体的には、カバー13の開口側を下方に向けるとともにカバー13の周壁部60の外面板部60aを外側に向けた状態で外部実装部50へ向かってカバー13を近づける。そして、カバー13の係止溝部64に、ケース本体20の周壁21の係止壁54を係合させる。
【0032】
この状態で、カバー13を下方へ押し下げ、カバー13内に外部実装部50を入り込ませる。すると、カバー13は、係止溝部64に係合された係止壁54によって下方へ案内される。
【0033】
カバー13をさらに下方へ押し下げ、カバー13の係止部65にロアケース30のカバー係止片57を係止させる。このようにすると、カバー13は、外部実装部50の互いに嵌合されて接続されたコネクタ52,53を覆った状態でケース11の窪み部51に装着される。これにより、外部実装部50では、互いに嵌合されて接続されたコネクタ52,53がカバー13によって覆われ、ハーネス導入溝56に沿わされたワイヤハーネスW3がカバー13の周壁部60の下縁から引き出される(図1参照)。このように、外部実装部50にカバー13が装着されることで、カバー13の周壁部60の下端が、互いに嵌合されて接続されたコネクタ52,53よりも下方側に配置される。
【0034】
その後、ケース11の上部に蓋体12を組付ける。すると、蓋体12の凹状に形成された保持部45内にカバー13の上部が嵌め込まれ、カバー13の延出片62が保持部45の側板部47の内側に入り込む(図1参照)。これにより、カバー13の上部が蓋体12の保持部45によって保持される。
【0035】
ところで、図9に示すように、車両が水没することで、ケース11も水没するおそれがある。このような場合において、ケース11では、上部に蓋体12が組付けられることでシールされたケース本体20は、その内部が気密されて空気が充満している。したがって、水位WLが上昇しても、ケース本体20内の部品実装部25に水が到達することはない。これにより、電子部品が実装された部品実装部25が水没することはない。
【0036】
また、外部実装部50においても、コネクタ52,53にカバー13が被せられているので、カバー13内では、内部に充満している空気の圧力によって水位がカバー13の底部の位置(図9中点線で示すWLAの位置)に抑えられる。これにより、カバー13内への水の浸入が抑えられてコネクタ52,53が水没することはない。
【0037】
しかも、高圧洗浄機によって車両を洗浄する際にも、高圧洗浄機から高圧で噴射された水がケース11の電子部品やカバー13内のコネクタ52,53へかかることも抑制される。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態に係る電気接続箱10によれば、シールされた収容空間とは別にケース11の外部に設けられた外部実装部50の部品実装部であるコネクタ52にワイヤハーネスW3のコネクタ53を接続して実装することができる。また、この外部実装部50は、カバー13を被せて装着することで、コネクタ52,53がカバー13で覆われる。これにより、カバー13によってコネクタ52,53へ水がかからないようにできる。しかも、カバー13の周壁部60の下端がコネクタ52,53よりも下方側に配置されるので、水没時においても、カバー13内に充満した空気の圧力によってカバー13の内部における水位WLAの上昇を抑制することができる。この結果、コネクタ52,53に水が達して水没するのを抑制できる。このように、本実施形態によれば、シール部材などを用いてシールする構造と比べ、コストを抑えつつケース11の外部に設けたコネクタ52,53の部品実装部に防水構造を施すことができる。
【0039】
また、外部実装部50の部品実装部として、ワイヤハーネスW3のコネクタ52が接続可能なコネクタ52を設けている。したがって、コネクタ52にワイヤハーネスW3のコネクタ53を接続して容易に配線することができる。
【0040】
しかも、ケース11の外部実装部50に装着されたカバー13の上部が、ケース11に装着される蓋体12の保持部45によって保持される。これにより、カバー13をケース11の外部実装部50に装着された状態に維持させることができるとともに、水没時における浮力によるカバー13の浮き上がりを抑えることができる。
【0041】
また、カバー13をケース本体20の外部実装部50に装着してロアケース30に係止させることで、カバー13を外部実装部50に装着した状態で確実に固定することができる。
【0042】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
例えば、上記実施形態では、外部実装部50にコネクタ52を設け、このコネクタ52にワイヤハーネスW3のコネクタ53を接続する場合を例示した。外部実装部50に端子台を設け、この端子台に、リレー、ヒューズあるいは電子制御ユニットなどの電子部品を実装してもよい。
【0044】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電子部品を搭載する電気接続箱(10)であって、
シールされた収容空間内に前記電子部品が実装されるケース(11)と、
前記ケース(11)の外部に設けられて前記ケース(11)の外部で電子部品(コネクタ53)が実装可能な部品実装部(コネクタ52)を有する外部実装部(50)と、
前記外部実装部(50)に被せられて装着されて前記部品実装部(コネクタ52)を覆うカバー(13)と、
を備え、
前記カバー(13)は、筒状に形成された周壁部(60)と、前記周壁部(60)の上端に設けられた上壁部(61)と、を有する有底筒状に形成され、
前記外部実装部(50)に前記カバー(13)が装着されることで、前記カバー(13)の前記周壁部(60)の下端が前記部品実装部(コネクタ52)よりも下方側に配置される
ことを特徴とする電気接続箱。
[2] 前記外部実装部(50)の前記部品実装部は、ワイヤハーネス(W3)に設けられたコネクタ(53)が接続可能なコネクタ(52)であり、前記ワイヤハーネス(W3)は、前記外部実装部(50)に装着された前記カバー(13)の下縁から引き出される
ことを特徴とする[1]に記載の電気接続箱。
[3] 前記ケース(11)は、上部に蓋体(12)が装着され、
前記蓋体(12)は、前記外部実装部(50)に装着された前記カバー(13)の上部を保持する保持部(45)を備える
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の電気接続箱。
[4] 前記ケース(11)は、前記外部実装部(50)を有するケース本体(20)と、前記ケース本体(20)の下方側に組付けられるロアケース(30)とを備え、
前記カバー(13)は、下端部が前記ロアケース(30)に係止されて固定される
ことを特徴とする[1]から[3]のいずれか一つに記載の電気接続箱。
【符号の説明】
【0045】
10:電気接続箱
11:ケース
12:蓋体
13:カバー
30:ロアケース
45:保持部
50:外部実装部
52:コネクタ(部品実装部)
53:コネクタ(電子部品)
60:周壁部
61:上壁部
W3:ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9