特許第6905013号(P6905013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6905013携行可能な又は自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6905013
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】携行可能な又は自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイス
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/024 20200101AFI20210708BHJP
   B62J 6/015 20200101ALI20210708BHJP
   B62J 6/028 20200101ALI20210708BHJP
   B62J 45/412 20200101ALI20210708BHJP
   B62J 45/414 20200101ALI20210708BHJP
   B62J 45/415 20200101ALI20210708BHJP
   B60Q 1/02 20060101ALI20210708BHJP
   B60Q 1/08 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   B62J6/024
   B62J6/015
   B62J6/028
   B62J45/412
   B62J45/414
   B62J45/415
   B60Q1/02 D
   B60Q1/08
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-148343(P2019-148343)
(22)【出願日】2019年8月13日
(65)【公開番号】特開2020-33007(P2020-33007A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】18191095.1
(32)【優先日】2018年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・マッテイ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ウィルマン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・スカリアーニ
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−201382(JP,A)
【文献】 特開平07−329851(JP,A)
【文献】 特開平07−081647(JP,A)
【文献】 特開2007−320487(JP,A)
【文献】 特開2007−145233(JP,A)
【文献】 特開2001−219881(JP,A)
【文献】 特開2017−171052(JP,A)
【文献】 特開平02−121009(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0123402(US,A1)
【文献】 特開2003−291872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/00
B62J 45/00
F21L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行可能な又は自転車(100)に設けられるアクティブ型の照光デバイス(1)であって、
少なくとも1つのパワー供給源(Vdd)と、第1の光学的システム(A)と、第2の光学的システム(B)と、光センサー(3)と、及び速さセンサー(4a、4b)とを有し、
前記第1の光学的システム(A)は、長距離照射のために第1の光源構成(6)を有し、前記パワー供給源(Vdd)に接続された制御ユニット(2)によって制御され、前記第1の光源構成(6)の各光源又は光源群は、前記第1の光源構成(6)の出力において向きの方向が異なる光線を発生させるように構成されており、
前記第2の光学的システム(B)は、短距離照射のために第2の光源構成(7)を有し、前記パワー供給源(Vdd)に接続された前記制御ユニット(2)によって制御され、前記第2の光源構成(7)の各光源又は光源群は、前記第2の光源構成(7)の出力において向きの方向が異なる光線を発生させるように構成されており、
前記光センサー(3)は、当該照光デバイス(1)を備える自転車が位置している場所の光強度を判断し、前記制御ユニット(2)に測定信号を供給し、
前記制御ユニット(2)は、周囲光強度が所定の光しきい値よりも下に落ちたときに少なくとも前記第2の光学的システム(B)を自動的に活性化させ、活性化されていれば前記第1の光学的システム(A)及び/又は前記第2の光学的システム(B)のいくらかの光源又はいくらかの光源群の光強度を上げるように構成しており、
前記速さセンサー(4a、4b)は、経路又は道路(50)において使用されている前記自転車(100)の速さを判断し、前記制御ユニット(2)に測定信号を供給し、これによって、少なくとも1つの所定の速さしきい値から前記第1の光学的システム(A)の前記第1の光源構成(6)を活性化させる
ことを特徴とするデバイス(1)。
【請求項2】
携行可能な又は自転車(100)に設けられるアクティブ型の照光デバイス(1)であって、
少なくとも1つのパワー供給源(Vdd)と、第1の光学的システム(A)と、第2の光学的システム(B)と、光センサー(3)と、及び向きないし傾き検出器(5a、5b、5c)とを有し、
前記第1の光学的システム(A)は、長距離照射のために第1の光源構成(6)を有し、前記パワー供給源(Vdd)に接続された制御ユニット(2)によって制御され、前記第1の光源構成(6)の各光源又は光源群は、前記第1の光源構成(6)の出力において向きの方向が異なる光線を発生させるように構成されており、
前記第2の光学的システム(B)は、短距離照射のために第2の光源構成(7)を有し、前記パワー供給源(Vdd)に接続された前記制御ユニット(2)によって制御され、前記第2の光源構成(7)の各光源又は光源群は、前記第2の光源構成(7)の出力において向きの方向が異なる光線を発生させるように構成されており、
前記光センサー(3)は、当該照光デバイス(1)を備える自転車が位置している場所の光強度を判断し、前記制御ユニット(2)に測定信号を供給し、
前記制御ユニット(2)は、周囲光強度が所定の光しきい値よりも下に落ちたときに少なくとも前記第2の光学的システム(B)を自動的に活性化させ、活性化されていれば前記第1の光学的システム(A)及び/又は前記第2の光学的システム(B)のいくらかの光源又はいくらかの光源群の光強度を上げるように構成しており、
前記向きないし傾き検出器(5a、5b、5c)は、前記第1の光源構成(6)及び/又は前記第2の光源構成(7)の少なくともいくらかの光源又は光源群の光強度を選択して調整するために向きないし傾きの信号を前記制御ユニット(2)に供給する
ことを特徴とするデバイス(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(2)は、前記自転車(100)が使用開始されるとすぐに、前記第1及び第2の光学的システム(A、B)の光源の照光を自動的に制御するように構成している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記第1の光源構成(6)及び/又は前記第2の光源構成(7)の少なくともいくらかの光源又は光源群の光強度を選択して調整するために向きないし傾きの信号を前記制御ユニット(2)に供給するために向きないし傾き検出器(5a、5b、5c)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
使用している自転車(100)の経路又は道路(50)上での速さを判断し、測定信号を前記制御ユニット(2)に供給する速さセンサー(4a、4b)を有し、これによって、少なくとも1つの所定の速さしきい値から前記第1の光学的システム(A)の前記第1の光源構成(6)を活性化させる
ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記第1及び第2の光源構成(6、7)はそれぞれ、発光ダイオードのアレーを有し、前記第1及び第2の光源構成(6、7)の出力において異なる照光方向を有する光線を前記発光ダイオードがそれぞれ又は群で発生させ、
前記第1の光源構成(6)は、長距離照光のために意図されており、前記第2の光源構成(7)は、短距離照光のために意図されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記制御ユニット(2)は、前記光センサー(3)によって検出される光強度に対して、前記第1の光学的システム(A)の前記第1の光源構成(6)及び/又は前記第2の光学的システム(B)の前記第2の光源構成(7)の光源の光強度を徐々に適応させるように構成している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記制御ユニット(2)は、前記光センサー(3)によって検出される光強度に対して、前記第1の光学的システム(A)の前記第1の光源構成(6)及び/又は前記第2の光学的システム(B)の前記第2の光源構成(7)の光源の光強度に段階的に適応するように構成している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記制御ユニット(2)は、メモリーを有するマイクロコントローラーであり、このメモリーには、当該照光デバイス(1)が位置している場所の日付と時間が格納され、これによって、所与の日付の特定の時間から前記第1及び第2の光学的システム(A、B)の前記第1及び第2の光源構成(6、7)の光源が機能することが可能になる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記制御ユニット(2)は、メモリーを有するマイクロコントローラーであり、このメモリーには、前記第1及び第2の光源構成(6、7)の発光ダイオードの光強度を選択して調整するプログラムが格納されており、これによって、前記光センサー(3)によって検出された光強度に応じて中程度の可変距離の光を与える
ことを特徴とする請求項6に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記向きないし傾き検出器(5a、5b、5c)は、磁力計(5b)及び/又は傾斜計(5c)及び/又は加速度計(5c)及び/又はジャイロメーター(5c)及び/又はポテンシオメーター(5a)によって形成される
ことを特徴とする請求項2又は4に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記速さセンサー(4a、4b)は、前記自転車(100)の車輪のフォークにマウントされたGPSレシーバー又は同様の物(4b)又は磁気センサー(4b)によって形成され、これによって、前記車輪のスポーク又はリムにマウントされた永久磁石の通過を検出して前記自転車(100)の速さを判断する
ことを特徴とする請求項1又は5に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
前記向きないし傾き検出器(5a、5b、5c)は、前記自転車のユーザーのヘルメットのような支持体にマウントされ、向きないし傾きの信号を双方向性の無線通信によって前記制御ユニット(2)へと供給するように構成しており、
前記制御ユニット(2)は、前記自転車(100)のユーザー(E)の頭部の運動によって前記第1及び第2の光源構成(6、7)の光源の向きを定めるように前記第1及び第2の光学的システム(A、B)を備える前記自転車に配置されている
ことを特徴とする請求項2又は4に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行可能な又は自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイスに関する。好ましくは、各照光デバイスには、少なくとも1つの第1の光源構成を有する第1の光学的システムと、及び少なくとも1つの第2の光源構成を有する第2の光学的システムがあり、これらは自転車に設けられる。
【背景技術】
【0002】
車両が移動する経路又は道路に適切に照光する既知の方法の1つは、ランプや他の光源が発した光の強度を適応可能な構成を有する照光デバイスを用いるものである。また、このような照光デバイスは、適応可能であることができ、これによって、暗いところで曲がろうとする曲線路に応じて光線の向きを定めたり、道路で遭遇する対向車両の運転者の目をくらませないようにしたりする。
【0003】
国際特許出願WO2017/023293A1は、自転車のような二輪車のためのインテリジェント照光システムを開示している。これは、発光ダイオード(LED)の構成を有しており、これらの発光ダイオードを独立的に選択して所望の光強度にすることができる。また、自転車の高さや傾きに応じて光の向きを定めるためにモーターが設けられており、また、運動又は光強度センサー、そして、自転車の速さに応じて変化する光構成が設けられている。しかし、すべてのLEDは、互いに独立してではなく、モーターによって同時に、向きが変えられる。また、この文献においては、複数のLEDによって発される各光線の向きを規定して、検出された速さや光強度に応じて各LEDの放射距離と強度を適応させることをしていない。このことは課題となりうる。
【0004】
米国特許出願US2018/0020528A1は、自転車用のスマート照光システムを開示している。自転車のフロントフォーク上に、また、サイクリストのヘルメット上に、光構成を設けることができる。この光構成は、加速度と速さを検出する運動センサーと、及び曲線路や速さ、そして、サイクリストの頭部の運動に応じて光源を回転させる手段とを有し、これによって、光線の向きが常に道路の方へのサイクリストの視線と平行であり続ける。しかし、この光構成は、異なる態様で2つの光源の向きを定めて速さや周囲光に応じて道路に照光することを行わない。このことは課題となりうる。
【0005】
欧州特許EP3036149B1は、複数のLEDを利用できる自転車用の照光デバイスを開示している。これも、光センサーを備える。制御要素が設けられて、サイクリストの加速度、向き及び速さを基準データと比較する。また、LEDの選択も行われる。しかし、再び言及するが、これにおいては、走行している道路に照光するために異なる態様で少なくとも2つの光源の向きを定めることを意図しているのではない。このことは課題となりうる。
【0006】
また、フランス特許FR2844759B1は、ジャイロメーターを備えるオートバイ用のヘッドライト制御システムを開示している。これにおいては、特に、走行する曲線路に応じて、光の向きを定めるための手段が設けられている。しかし、この文献は、走行している道路に照光するように異なる態様で少なくとも2つの光源の向きを定めて、検出された速さと光強度を考慮に入れることを行っていない。このことは課題となりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにして、本発明の目的は、前記の課題を克服して、自転車の速さや傾きを考慮に入れて良好に照光し使いやすくて複雑ではないような、携行可能な又は少なくとも2つの車輪を有する自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、独立請求項1又は2に記載の特徴を有する、携行可能な又は少なくとも2つの車輪を有する自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイスに関する。
【0009】
従属請求項3〜13において、当該照光デバイスの特定の実施形態が定められている。
【0010】
本発明に係る照光デバイスの1つの利点は、当該デバイスの光センサーが周囲光強度を検出して、周囲光強度が所定の光しきい値よりも低いときに光学的システムA及びBの光源又は光源群を活性化させることに基づいている。この光源又は光源群を電池のようなパワー電圧源によってパワー供給される制御ユニットによって自動的に活性化することができる。
【0011】
好ましいことに、活性化された光源又は光源群の光強度は、周囲光強度の変化に通常逆に対応して変化する制御ユニットによって管理される。
【0012】
好ましいことに、当該照光デバイスは、速さセンサーを備え、これによって、使用している自転車の速さが所定の速さしきい値を超えるときにのみ光学的システムAの光源又は光源群を活性化させる。光学的システムBの光源又は光源群は、自転車の速さとは独立に、周囲光強度が所定の光しきい値よりも低く落ちるとすぐに、活性化されることができる。
【0013】
また、好ましいことに、照光デバイスは、少なくとも1つの向きないし傾き検出器を備えることができ、これによって、第1の光源構成及び/又は第2の光源構成の少なくともいくらかの光源又は光源群の光強度を選択して調整する。選択された光源又は光源群の照光は、可能性としては、レンズの集合と組み合わさって、各光源構成が元になっている結果として得られる光線の向きを道路又は経路上にて走行する曲線路に応じて特定の方向に定めることを可能にする。
【0014】
図面に描かれている少なくとも1つの実施形態に基づいて与えられる以下の説明を読むことによって、少なくとも2つの車輪を有する自転車に設けられた携行可能な又は自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイスの目的、利点及び特徴を明確に理解することができるであろう。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るアクティブ型の照光デバイスの構成要素の単純化されたブロック図である。
図2】アクティブ型の照光デバイスの2つの光学的システムA及びBの活性化された光源を備える道路又は経路上の自転車を概略的に示している。これは、本発明にしたがって光学的システムAの少なくともいくらかの光源又は光源群の光強度を選択して調整するために、測定された光強度と速度を考慮に入れる。
図3図3a、3b及び3cは、本発明に係るアクティブ型の照光デバイスの光学的システムA及びBの少なくともいくらかの光源又は光源群の光強度を選択して調整するように曲線路を走行している道路又は経路上の自転車を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、携行可能な又は少なくとも2つの車輪を有する自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイスを参照しながら説明する。当業者の間で周知な電子構成要素すべてを単純化して説明する。
【0017】
図1に、携行可能な又は少なくとも2つの車輪を有する自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイス1の様々な構成要素を単純化して示している。照光デバイス1は、主に、AとBで表される2つの光学的システムによって構成している。第1の光学的システムAは、少なくとも1つの第1の光源構成6を有し、第2の光学的システムBは、少なくとも1つの第2の光源構成7を有する。第1の光源構成6は、好ましくは強度が可変である、長距離の照光のために設けられる。第2の光源構成7は、好ましくは強度が可変である、短距離の照光のために設けられる。
【0018】
各光源構成6、7は、発光ダイオード又は発光ダイオード群を有することができ、これは、制御ユニット2によって選択されて又はすべて同時に活性化することができる。これらの光源構成6、7ごとに少なくとも2つの光源を有することができる。好ましくは、光源構成6、7ごとに少なくとも3つの光源を有することができ、その各光源は、異なる方向又は照光軸を有する円錐状の光線を発生させることができる。この光線の向きは、各光源の出力において直接、又は一又は複数のレンズを介して、定められる。このようにして、活性化された光源構成6、7のそれぞれによって与えられた中程度の光線の向きを定めなければならないときには、いくらかの光源を制御ユニット2によって選択することができる。このことによって、自転車のユーザーが走行する曲線路に応じて中程度の光線の向きを定めることができる。
【0019】
なお、各光源構成6、7は、複数の発光ダイオード(LED)のような光源のアレーを有することができ、これらの光源を互いから独立に又は発光ダイオード群ごとに選択することができる。このアレーは、例えば、x2個の発光ダイオードを有することができる。ここで、xは、2以上の整数である。例えば、光源構成6、7ごとに64個の発光ダイオードを設けることができる。
【0020】
一般的には、各光学的システムA及びBは、光源構成6、7に加えて、さらに、所定の向きの光線を与える、光源と組み合わさったレンズ及び鏡(図示せず)の構成を有する。図1に示しているシナリオにおいて、構成6、7の光源は、連続的なパワー源Vddに接続された制御ユニット2によって制御される。この電気的なパワー源は、好ましくは、充電可能電池又は一次電池が元となっていたり、受けた電磁放射から抽出し整流されたりするDC電源である。
【0021】
照光デバイス1は、さらに、測定されたパラメーターに応じて各光源構成6、7が活性化することを可能にするために制御ユニット2に接続された一又は複数のセンサー3、4a、4b、5a、5b、5cを有する。好ましくは、DC電圧源Vddによってパワー供給される制御ユニット2は、自転車が使用開始されるとすぐに、第1及び第2の光学的システムA、Bの第1及び第2の構成6、7の光源の照光を自動的に制御するように構成している。
【0022】
制御ユニット2は、さらに、MEMSや計時器用の水晶発振器であることができる低周波数発振器と、及び少なくとも1つの揮発性又は非揮発性のメモリーとを有することができる。このように、制御ユニット2はマイクロコントローラーであることができる。この揮発性又は非揮発性のメモリー(図示せず)は、前記の一又は複数のセンサーによって行われる測定結果、そして、センサー3、4a、4b、5a、5b、5cが行う測定結果を管理し計算する少なくとも1つの計算アルゴリズムを格納するために用いられる。
【0023】
照光デバイス1は、主に、太陽電池又は太陽電池網によって形成することができる光強度センサーないし光センサー3を有する。制御ユニット2は、光強度センサー3によって検出された明度しきい値から、第1の光学的システムAと第2の光学的システムBの少なくともいくらかの光源又は光源群を活性化させる。この活性化は、周囲光強度が所定の光しきい値よりも低いときに行われる。この光強度しきい値は、使用している自転車のまわりの周囲光に直接依存させることができる。また、活性化された光源又は光源群の光強度は、可変であることができ、通常、周囲光強度の変化に逆に対応して変化する。
【0024】
なお、第2の光学的システムBの第2の構成7のいくらかの光源又は光源群は、自転車を使用しているときに周囲光強度が所定の光強度しきい値よりも低くなると常にすぐに活性化される。しかし、第1の光学的システムAの第1の構成6のいくらかの光源又は光源群は、周囲光強度が不十分であり下記に説明するように付加的な条件と組み合わさったときにのみ活性化される。
【0025】
当然、自転車が使われないときに照光デバイスのすべての光源を不活性にするために手動のスイッチを設けることもできる。また、自転車が特定の時間に使われなかった後に、すなわち、5分後のような運動がなかった所定の経過時間の後に、前記光源を非活性化させることができる。
【0026】
当該デバイス1の第1の代替的実施形態において、照光デバイス1は、制御ユニット2に接続される少なくとも1つの速さセンサー4a、4bを有する。自転車が使用されているとき、速さセンサー4a、4bは、自転車の速さを判断し、所定の速さしきい値を超えると、第1の光学的システムAの第1の構成6の少なくともいくらかの光源又は光源群を活性化させる。また、第1の光学的システムAの第1の構成6のいくらかの光源又は光源群は、光センサー3によって検出される周囲光強度が所定の光しきい値よりも低ければ、光を発生させる。上で言及したように、第2の光源構成7の選択された光源は、計算された自転車の速さとは独立に活性化される。すなわち、光センサー3によって検出される周囲光強度が所定の光しきい値よりも低くなるとすぐに活性化される。
【0027】
上に記載したように、自転車が使われないときに照光デバイスがすべての光源を不活性にすることを可能にする手動のスイッチを用いることができる。また、これらの光源を、5分後のような運動がなかった所定の経過時間の後に非活性化することができる。
【0028】
速さセンサーは、GPSレシーバー又は等価物4a、又は好ましくは、自転車の車輪の1つのスポーク、又はリムの上に配置された少なくとも1つの永久磁石の通過を検出する磁気センサー4bであることができる。磁気センサー4bの近傍を永久磁石が通過することによって発生する磁気パルスはそれぞれ、低周波数発振器が発生させる時間におけるレートに従い、速さと、所定の速さしきい値を超えた時間とを制御ユニット2が計算することを可能にする。
【0029】
照光デバイス1は、さらに、その使用場所に対応する年の各月の日付と時間(暦表の日付と時間)の暦3’を有していたり、受けたりする。制御ユニット2は、当該デバイスの所定の使用場所についてのこの暦3’をメモリーに格納して、例えば、所定の速さしきい値も超えたときに、光学的システムA、Bの選択された光源の活性化を制御することができる。この所定の速さしきい値を15km/hや25km/hにセットすることができるが、別の値にセットしてメモリーに格納することもできる。
【0030】
また、自転車が開放感がある平野にあるか周囲光が早く弱まる峡谷にあるかどうかの場所に応じて、活性化しきい値を変化させることができる。
【0031】
この目的のために、電圧源Vddに接続された第1のレギュレーター10の集合を有する第1の光強度調整ユニット12が設けられる。これらの第1のレギュレーター10のそれぞれは、依然として対応する第1のスイッチ8に接続され、これらの第1のスイッチ8自身は第1の光源構成6に接続される。各第1のスイッチ8は、少なくとも周囲光強度が不十分であれば、第1の光源構成6の少なくともいくらかの光源を活性化させるように制御ユニット2によって制御される。電圧源Vddに接続された第2のレギュレーター11の集合を有する第2の光強度調整ユニット13が設けられる。これらの第2のレギュレーター11のそれぞれは、依然として対応する第2のスイッチ9に接続され、これらの第2のスイッチ9自身は第2の光源構成7に接続される。各第2のスイッチ9は、少なくとも周囲光強度が不十分であれば、第2の光源構成7の少なくともいくらかの光源を活性化させるように制御ユニット2によって制御される。
【0032】
各強度調整ユニット12、13の第1及び第2のスイッチ8、9は、好ましくは、図示しているPMOSトランジスターのようなMOSトランジスターである。しかし、NMOSトランジスターも考慮することができる。各第1のPMOSトランジスター8のソースは、対応する各第1のレギュレーター10に接続され、各第2のPMOSトランジスター9のソースは、対応する各第2のレギュレーター11に接続される。各第1のPMOSトランジスター8のゲートは、制御ユニット2に接続しており、これによって、その第1のPMOSトランジスター8が導電性になったり絶縁性になったりする。各第2のPMOSトランジスター9のゲートは、制御ユニット2に接続しており、これによって、その第2のPMOSトランジスター9が導電性になったり絶縁性になったりする。
【0033】
なお、各レギュレーター10、11は、電流源であることができ、各光源又は光源群にて流れるように意図されているその電流は、可変であり、周囲光強度が所定の光しきい値よりも下に落ちると増加する。各レギュレーターの電流の変化は、制御ユニット2によって直接制御される。これらの電流源は、交流電流源であることもできる。
【0034】
なお、レギュレーター10、11における電流は、制御ユニット2からのコマンドに応じて別のレギュレーター10、11における電流と異なることができる。このことによって、1つの光源又は光源群の光強度を別の光源又は光源群に対して変更することができる。このことによって、究極的には、各光源構成6、7の光源又は光源群についての選択に応じて、光学的システムA及びBの出力において発生する中程度の光線の向きを定めることができる。
【0035】
当該デバイス1の第2の代替的実施形態において、照光デバイス1は、制御ユニット2に接続される少なくとも1つの向きないし傾き検出器5a、5b、5cを有する。自転車を使用しているときに、この向きないし傾き検出器5a、5b、5cは、例えば、経路又は道路上にある使用中の自転車が移動する曲がりを判断する。この向きないし傾き検出器5a、5b、5cは、第1の光源構成6及び/又は第2の光源構成7の少なくともいくらかの光源又は少なくともいくらかの光源群の光強度を選択して調整するために、向きないし傾きの信号を制御ユニット2に供給する。各光線の向きは、選択された光源又は選択された光源群に対して、光源又は光源群の出力にて直接、レンズの集合と組み合わさって、あるいはこれらの両方によって、異なるようにされる。このように、選択された光源又は選択された光源群の中程度の光線は、走行する曲線路に応じて、右に曲がる曲線路のときには右に、また、左に曲がる曲線路のときには左に、向く。
【0036】
したがって、選択された光源の光線の向きを定めて各光源構成6、7によって発生する中程度の光線の向きを自転車が走行する曲線路ないし曲がりに応じて定めることを可能にするためのモーターアセンブリーは必要ではない。
【0037】
この第2の代替的実施形態において、周囲光強度が所定の光しきい値よりも下に落ちるとすぐに活性化される2つの光源構成6、7を考えることができる。しかし、これとは別に、速さセンサー4a、4bが検出する速さが所定の速さしきい値を超えないときに、第2の光源構成7の光源又は光源群のいくらかのみを活性化させることもできる。
【0038】
向きないし傾き検出器を、図3a〜3cを参照しながら下で説明するように、ポテンシオメーター5a及び/又は磁力計5b及び/又は傾斜計5c及び/又は加速度計5c及び/又はジャイロメーター5cによって形成することができる。
【0039】
図2は、アクティブ型の照光デバイス1の2つの光学的システムA及びBの2つの光源構成の少なくともいくらかの活性化された光源を備える、道路50又は経路上にある自転車100を概略的に示している。自転車の速さが所定の速さしきい値を超え周囲光強度が不十分であるときに、これらの2つの光源構成が活性化される。周囲光強度が不十分でなければ、光学的システムBの第2の光源構成のみが活性化される。このように、光学的システムAの選択された光源の光強度ILUM(v, IAMB)は、自転車であることができる自転車100の速さv、そして、周囲光強度IAMBに依存する。光学的システムBの選択された光源の光強度ILUM(IAMB)は、周囲光強度IAMBのみに依存する。
【0040】
また、図2に示しているように、自転車の速さが大きいほど、光学的システムAの第1の光源構成が発生させる中程度の光線の光強度を多く増加させることができる。また、第1の光源構成の中程度の光線の向きを定めるように光学的システムAのいくらかの光源を選択して、これによって、特定の鉛直方向のアジマス角度まで上方向にさらに遠くに照光することができる。この角度は、ゼロに近づく傾向にある。光源の光強度を、通常、周囲光強度に逆に対応して変化するように、又は段階的に、変化させることができる。
【0041】
図3a、3b及び3cは、アクティブ型の照光デバイス1の光学的システムA及びBの選択された光源が発生させる中程度の光線の向きを定めるように曲線路を走行している、道路50又は経路上の自転車100を概略的に示している。各光学的システムA、Bを、例えば、自転車100のハンドルバーに、取り付けることができる。前記の一又は複数の向きないし傾き検出器は、例えば、磁力計5b、傾斜計5c、加速度計5c、ジャイロメーター5c、ポテンシオメーター5a又はこれらの検出器の組み合わせである。
【0042】
向きないし傾き検出器は、自転車100のユーザーEのヘルメットのような支持体上にマウントされることができ、自転車100のハンドルバー上に配置された制御ユニットへと双方向無線通信によって向き信号を供給することができる。このことによって、光学的システムA及びBの選択された光源によって発生する中程度の光線の向きを自転車100のユーザーEの頭部の運動によって制御することができる。
【0043】
図3aにおいて、照光デバイス1の光学的システムA及びBの2つの光源構成が活性化されている。選択された光源が発生させる中程度の光線の向きは、道路50における走行する曲線路に応じて角度βでなければならない。
【0044】
図3bにおいて、制御ユニットは、後輪の方向Fに対する、自転車の前輪Dの回転角度γ、そして、自転車のユーザーEの頭部の角運動εを考慮に入れる。
【0045】
図3cにおいて、ユーザーEが乗っている自転車の傾きは、道路50に対して角度δであり、これも光源の向きを定めるために考慮に入れることができる。
【0046】
上の説明に従って、下に記載されている請求の範囲によって定められる本発明の範囲を逸脱せずに、携行可能な又は自転車に設けられるアクティブ型の照光デバイスの複数の代替的な実施形態が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 照光デバイス
2 制御ユニット
3 光センサー
6、7 駆動手段
8、9 スイッチ
10、11 レギュレーター
12、13 光強度調整ユニット
16、17 光源
50 道路
100 自転車
4a、4b 速さセンサー
5a、5b、5c 向き検出器
A、B 光学的システム
E ユーザー
Vdd パワー供給源
図1
図2
図3