【実施例】
【0144】
トロキサシタビンの調製
【0145】
【化16】
【0146】
段階1)((2,2−ジメトキシエトキシ)メチル)ベンゼン(Tr−1)
DMF(200mL)中の2,2−ジメトキシエタノール(50g、0.471mol)の撹拌溶液に、0℃で臭化ベンジル(56.03mL、0.471mol)およびNaOH(20.7g、0.518mol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応終了後(TLC)、飽和塩化ナトリウム溶液(500mL)を加え、反応混合物をDCM(1L)で抽出し、有機相を乾燥(Na
2SO
4)および濃縮し、得られた粗生物をヘキサン中の4〜6%EtOAcとして60〜120シリカ上でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(60g、60%)を液体として得た。
段階2)(5S)−5−((4S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)−3,4−ジヒドロキシフラン−2(5H)−オン(Tr−2)
L−アスコルビン酸(44.9g、0.255mol)を乾燥アセトニトリル(898mL)中の化合物Tr−1(60g、0.306mol)の溶液に加えた後、pTSA一水和物(15.5g、0.076mol)を加え、反応混合物を90℃で1時間加熱した。反応終了後(TLC)、アセトニトリルの体積の半分を留去し、該プロセスを2回繰り返した。溶媒を完全に除去し、立体異性体の混合物としての表題化合物を得た(91g)。生成物を、さらに精製することなく次の段階に直接用いた。
段階3)(2R)−2−((4S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2−ヒドロキシ酢酸(Tr−3)
室温において化合物Tr−2(91.7g、0.297mol)をH
2O(509mL)中のK
2CO
3(86.3g、0.625mol)の撹拌溶液に加えた。H
2O
2(8
0mL、0.71mol、30%v/v)を徐々に加え、溶液を0℃に冷却した後、24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、EtOH(100mL)を加え、混合物を30分間加熱還流した後、濾過した。得られた固体残留物にEtOH(100mL)を加え、混合物を30分間加熱還流した(2回)。収集した濾液を減圧濃縮し、これにより表題化合物(90g)を固体として得た。
段階4)(2S,4S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸(Tr−4a)および(2R,4S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸(Tr−4b)
次亜塩素酸ナトリウム(650mL、0.881mol、水中に9〜10%)を 、水(mL pH=8 室温)中の化合物Tr−3(90g、0.294mol)およびRuCl-
3・xH
2-O(1.22g、0.0058mol)の激しく撹拌している溶液に、30分間かけて滴下して加えた。1M NaOH溶液を加えることによりpHを8に維持した。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、35℃で12時間加熱した。反応終了後(TLC)、0℃において、pH6に達するまで1.5N HClを反応混合物に加え、その後EtOAc(1L)を加えた。有機相をブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた粗生物を石油エーテル中の20%EtOAcとして230〜400シリカ上でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより化合物4a+4bを異性体混合物として得た。その後、異性体を、DCM中の0.9%MeOHおよび0.1%AcOHを溶離液として用いてシリカ230〜400上でのカラムクロマトグラフィーにより分離して、2R異性体を得た(20g、28%)。
段階5)(2S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イルアセテート(Tr−5)
アセトニトリル(660mL)中の化合物Tr−4a(33g、0138mol)の溶液に、ピリジン(13.2mL)および酢酸鉛(79.8g、0.180mol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応終了後(TLC)、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、残渣をEtOAc(500mL)に取り、水(100mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。溶媒の除去後、粗生物を12〜15%EtOAc/石油エーテル勾配として60〜120シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(16g、47%)を液体として得た。
段階6)(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イルアセテート(Tr−6)
乾燥メタノール(160mL)中の化合物Tr−5(16g)の撹拌溶液にPd/C(3.2g、20%w/w)を加え、反応混合物を3時間水素化した。反応終了後(TLC)、反応混合物をセライトに通して濾過した。濾液を減圧濃縮し、得られた粗製表題化合物(10g、97%)を次の段階に直接用いた。
段階7)((2S)−4−アセトキシ−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルアセテート(Tr−7)
ピリジン(107mL)中の化合物Tr−6(5.74g、0.0354mol)の撹拌溶液に、0℃で無水酢酸(8.22mL、0.080mol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応終了後(TLC)、反応混合物を希HCl(10mL)で急冷し、EtOAc(100mL)に抽出した。有機相を分離し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた粗生物を10〜15%EtOAc/石油エーテルの勾配で溶離して230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(4.97g、68%)を液体として得た。
段階8)((2S,4S)−4−(4−(ベンジルアミノ)−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルアセテート(Tr−8a)
N−ベンゾイルシトシン(12.1g、56.3mmol)、硫酸アンモニウム(触媒量)およびヘキサメチルジシラザン(HMDS)(67.4mL、418mmol)の混
合物を1時間還流した。HMDSを40℃で減圧除去し、残渣を乾燥1,2−ジクロロエタン(57mL)に取り、乾燥1,2−ジクロロエタン(57mL)中の化合物Tr−7(5.7g、27.9mmol)の溶液を加えた後、TMSOTf(10.2mL、45.7mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、NaHCO
3水溶液を加え、該混合物を30分間撹拌した。得られた固体をセライトに通して濾過し、濾液をEtOAc(200mL)に取り、水(50mL)で洗浄し、乾燥した(Na
2SO
4)。減圧下で溶媒を除去した後、粗生物を10〜15%EtOAc/石油エーテルの勾配を用いて230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製するとアノマーの混合物が生じ、これをさらにSFC精製により分離して、表題化合物(3g、30%)を白色固体として得た。
段階9)4−アミノ−1−((2S,4S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリミジン−2(1H)−オン(Tr−9)
化合物Tr−8a(3g)、飽和メタノール性アンモニア溶液(180mL)の混合物を、封管中、室温で16時間撹拌した。反応終了後(TLC)、溶媒を減圧除去し、粗生物をDCM中の10〜13%MeOHの勾配で溶離して230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(1.5g、85%)を固体として得た。
1H NMR 400 MHz DMSO-d
6 δ: 3.63-3.65 (2H), 4.04-4.07 (2H), 4.92-4.94 (1H), 5.18-5.21 (1H), 5.72-5.74 (1H), 6.16-6.18 (1H), 7.14 (1H), 7.26 (1H), 7.80-7.82 (1H).
5−F−トロキサシタビンの調製
【0147】
【化17】
【0148】
段階1)((2S,4R)−4−(4−ベンズアミド−5−フルオロ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルベンゾエート(5−F−Tr−1a)および((2S,4S)−4−(4−ベンズアミド−5−フルオロ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルベンゾエート(5−F−Tr−1b)
5−フルオロベンゾイルシトシン(9.1g、39.5mmol)、硫酸アンモニウム(触媒量)およびヘキサメチルジシラザン(140mL)の混合物を14時間還流した。HMDSを40℃で減圧除去し、残渣を乾燥1,2−ジクロロエタン(50mL)に取り、乾燥1,2−ジクロロエタン(50mL)中の化合物((2S)−4−アセトキシ−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルベンゾエート(7g、26.30mmol)の溶液を加えた後、TMS−OTf(11.6g、52.6mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、NaHCO
3水溶液を反応混合物に加え、該混合物をさらに30分間撹拌した。得られた固体をセライトに通して濾過し、濾液をEtOAc(500mL)に取り、水(50mL)で洗浄し、乾燥した(Na
2SO
4)。溶媒を減
圧除去し、粗生物を50〜60%EtOAc/石油エーテル勾配として230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な表題化合物(1.7g、18%)を固体として得た。
段階2)4−アミノ−5−フルオロ−1−((2S,4S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリミジン−2(1H)−オン(5−F−Tr)
化合物5−F−Tr−1b(1.7g)、飽和メタノール性アンモニア溶液(34mL)の混合物を、封管中、室温で16時間撹拌した後、溶媒を減圧除去し、粗生物をDCM中の5%MeOHの勾配として230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.8g、68%)を固体として得た。
【0149】
以下のフェノール類を調製し、本発明の化合物への中間体の調製に用いた:
フェノール1
【0150】
【化18】
【0151】
段階a)1−(3−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)エタノン(Ph1−a)
イミダゾール(4.46g、65.5mmol)をDMF(6mL)中の3−ヒドロキシアセトフェノン(4.46g、32.8mmol)の溶液に加えた。5分後、DMF(4mL)中のTBDMS−Cl(4.69g、31.1mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温で90分間撹拌した後、5%EtOAcを含有するヘキサン(200mL)に注ぎ入れ、1M HCl(60mL)、水(60mL)、飽和重炭酸ナトリウム(2×60mL)、水(60mL)およびブライン(60mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、濾過し、濃縮し、得られた残渣を、ヘキサン/EtOAcで溶離するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(5.7g、69%)を得た。
段階b)tert−ブチルジメチル(3−(プロプ−1−エン−2−イル)フェノキシ)シラン(Ph1−b)
メチル(トリフェニルホスホニウム)ブロミド(10.2g、28.4mmol)を窒素下で乾燥THF(30mL)に懸濁させ、懸濁液を0℃に冷却した。n−ブチルリチウム(17.8mL、28.4mmol)を混合物に滴下して加え、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。Ph1−a(5.7g、22.8mmol)を該混合物に加え、反応を室温でそのまま60分間進めさせた。反応物を水性重炭酸ナトリウムで急冷し、ジエチルエーテル(50mL)で抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、ヘキサンでの溶離を用いてシリカゲルのプラグに通して精製し、これにより表題化合物(3.9g、69%)を得た。
段階c)tert−ブチルジメチル(3−(1−メチルシクロプロピル)フェノキシ)シラン(Ph1−c)
ヘキサン中のジエチル亜鉛(439.2mmol)を、窒素下で10分間、1,2−ジクロロエタン(60mL)中のオレフィンPh1−b(3.9g、15.7mmol)の冷却(0℃)溶液に滴下して加えた。ジヨードメタン(6.32mL、78.5mmol)を滴下して加え、得られた混合物を0℃で30分間撹拌した後、一晩放置して室温にした。該混合物を塩化アンモニウムの氷冷溶液に注ぎ入れ、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。
粗生物をヘキサン中に取り、残存するジヨードメタンを廃棄した。ヘキサン層を濃縮して粗生物にし、これを、さらに精製することなく次の段階に用いた。
段階d)3−(1−メチルシクロプロピル)フェノール(フェノール1)
Ph1−c(3.45g、13.1mmol)をTHF(20mL、20mmol)中のテトラブチルアンモニウムフルオリドの1M溶液に取り、得られた溶液を室温で一晩攪拌した。反応物を1M HCl(50mL)で急冷し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層をブライン(2×50mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。残渣を、2−プロパノール、EtOAcおよびヘキサンの混合物で溶離するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(0.56g、29%)を得た。MS 147.1 [M-H]
-。
フェノール2
【0152】
【化19】
【0153】
表題化合物を、フェノール1の調製に関し記載した方法を用いて4−ヒドロキシアセトフェノン(6.0g、44.1mmol)から調製した。収率53%。
フェノール3
【0154】
【化20】
【0155】
段階a)1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロペンタノール(Ph3−a)
マグネシウムと一緒に加温したヨウ素を、乾燥THF(50mL)中のマグネシウム(削り状)(1.29g、52.8mmol)の懸濁液に加えた。混合物を還流し、3−ブ
ロモフェノール(13.9g、52.8mmol)の約5%の溶液を加えた。反応が開始したら臭化物溶液を滴下して加え、その後、混合物をさらに1時間還流した。該混合物を約5℃に冷却し、THF(50mL)中のシクロペンタノン(4.44g、52.8mmol)の溶液を滴下して加えた。該混合物を室温で72時間攪拌した後、反応物を、冷却飽和塩化アンモニウム溶液で急冷し、ジエチルエーテル(×3)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン/EtOAc)により精製し、これにより表題化合物(8.5g、54%)を得た。
段階b)1−(ベンジルオキシ)−3−(シクロペント−1−エン−1−イル)ベンゼン(Ph3−b)
p−トルエンスルホン酸をベンゼン(100mL)中のPh3−a(8.4g、28.2mmol)の溶液に加えた。該混合物をDMFトラップを用いて3時間にわたり還流した後、室温に冷却し、ジエチルエーテルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン/EtOAc)により精製し、これにより表題化合物(6.45g、91%)を得た。MS 249.4 [M-H]
-。
段階c)3−シクロペンチルフェノール(フェノール3)
EtOAc(75mL)およびEtOH(75mL)中のPh3−b(6.4g、26mmol)の溶液を、Parr中、炭素上の10%Pd(1.5g)の存在下、22℃および40PSIにおいて一晩水素化した。触媒を濾過により取り出し、EtOAcおよびEtOHで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン/EtOAc)により単離し、これにより表題化合物(3.6g、82%)を得た。MS 161.2 [M-H]
-。
フェノール4
【0156】
【化21】
【0157】
段階a)tert−ブチル(3−シクロプロピルフェノキシ)ジメチルシラン(Ph4−a)
トルエン(80mL)および水(4mL)中の(3−ブロモフェノキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン(5.46g、19mmol)、シクロプロピルボロン酸(2.12g、24.7mmol)、三塩基性リン酸カリウム(14.1g、66.5mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.53g、1.9mmol)およびPd(OAc)
2(0.21g、0.95mmol)の懸濁液を、110℃で一晩攪拌した。該スラリーをジエチルエーテルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥(MgSO
4)し、濾過し、濃縮した。粗生物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、これにより表題化合物(1.94g、41%)を得た。
段階b)3−シクロプロピルフェノール(フェノール4)
1Mのテトラブチルアンモニウムフルオリド(10.1mL、10.1mmol)を、THF(25mL)中のPh4−a(1.94g、7.81mmol)の溶液に加えた。該溶液を2時間攪拌した後、溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解し、濃NH
4Cl(水性)で2回およびブラインで1回洗浄した。有機相を乾燥(MgSO4)し、濾過し、濃縮した。粗生物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1%イソプロパノールを含む、ヘキサン/酢酸エチル9:1)により精製し、これにより、わずかに不純物を含む表題化合物(1.24g、119%)を得た。
フェノール5
【0158】
【化22】
【0159】
段階a)2−(4−ブロモフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(Ph5−a)
4−ブロモフェノール(3.75g、21.7mmol)を3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(16mL、175mmol)に溶解し、触媒量のp−トルエンスルホン酸(15mg、0.09mmol)を加え、混合物を22℃で45分間撹拌した。該混合物をジエチルエーテルで希釈し、1M NaOH(水性)×2、水で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮し、これにより表題化合物(5.57g、99%)を得た。
段階b)2−(4−シクロプロピルフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(Ph5−b)
THF(6.5mL、3.25mmol)中の0.5Mシクロプロピルマグネシウムブロミドの溶液を、THF(4mL)中のPh5−a(552.5mg、2.15mmol)、ZnBr(144mg、0.64mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロボレート(35.6mg、0.12mmol)およびPd(OAc)
2(29.5mg、0.13mmol)の溶液に15分間加えた。混合物を22℃で90分間撹拌した後、氷浴上で冷却し、氷水(10mL)を加えた。混合物をEtOAc×3で抽出し、抽出物をブラインで洗浄した後、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc)により精製し、これにより表題化合物(292mg、62%)を得た。
段階c)4−シクロプロピルフェノール(フェノール5)
p−トルエンスルホン酸一水和物(18.9mg、0.1mmol)をMeOH(15mL)中のPh5−b(2.28g、10.45mmol)の溶液に加えた。混合物をマイクロ波反応器において120℃で5分間加熱した後、濃縮し、シリカ上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc)により精製した。得られた固体を石油エーテルから結晶化し、これにより表題化合物(1.08g、77%)を得た。
フェノール6
【0160】
【化23】
【0161】
段階a)1−(3−メトキシフェニル)シクロブタノール(Ph6−a)
THF(2.11g、99.8mmol)中の3−メトキシフェニルマグネシウムブロミドの1M溶液を、0〜10℃において、ジエチルエーテル(65mL)中のシクロブタノン(6.66g、95mmol)の攪拌溶液に滴下して加えた。混合物を0〜10℃で3時間攪拌した後、該混合物を飽和NH
4Cl(300mL)および水(300mL)の氷冷溶液に加えた。該混合物を10分間撹拌した後、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン/EtOAc)により精製し、これにより表題化合物(16.9g、86%)を得た。
段階b)1−シクロブチル−3−メトキシベンゼン(Ph6−b)
炭素上の10%Pd(2.5g)をエタノール(200mL)中のPh6−a(15.4g、86.1mmol)の溶液に加え、混合物をParr中、60psiで水素化した。18時間後、さらに炭素上の10%Pd(1.5g)を加え、混合物を60psiでさらに18時間水素化した。触媒を濾過により取り出し、EtOHおよびEtOAcで洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン/EtOAc)により単離し、これにより表題化合物(14.0g、77%)を得た。
段階c)3−シクロブチルフェノール(フェノール6)
DCM中の1M三臭化ホウ素(18.1g、72.2mmol)の溶液を、0℃において乾燥DCM(65mL)中のPh6−b(10.6g、65.6mmol)の溶液に滴下して加えた。混合物を−5℃で2.5時間攪拌した後、反応物をNH
4Clの冷却飽和溶液で急冷し、DCMで3回抽出した。有機相を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン/EtOAc)により精製し、これにより表題化合物(9.73g、88%)を得た。
フェノール7
【0162】
【化24】
【0163】
段階a)1−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロブタノール(Ph7−a)
ジエチルエーテル:THF 1:1(100mL)中の1−(ベンジルオキシ)−4−ブロモベンゼン(2.63g、100mmol)の溶液を、ジエチルエーテル(50mL)中のマグネシウムチューニング(2.43g)および微量のヨウ素の懸濁液に、還流下で約1時間にわたり滴下して加えた。添加が終了したら混合物を4時間還流し、その後約0℃に冷却した。乾燥THF(50mL)を加えた後、ジエチルエーテル(50mL)中のシクロブタノン(7.01g、100mmol)の溶液を徐々に加え、混合物を放置して室温にした。2時間攪拌後、NH
4Clの冷却飽和溶液(500mL)を加え、混合物を15分間撹拌した後、EtOAcで2回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(12.5g、42%)を得た。
段階b)4−シクロブチルフェノール(フェノール7)
炭素上のPd10%(2.55g、21.5mmol)をアルゴン下で無水EtOH(110mL)中のPh7−a(12.4g、41.4mmol)の溶液に加え、混合物を45psiの室温で18時間水素化した。触媒を濾過により取り出し、エタノールで洗浄し、溶液を濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(イソヘキサン−EtOAc)により精製した。適した画分をプールして濃縮し、残渣を石油エーテルから結晶化させ、これにより表題化合物(3.15g、51%)を得た。
フェノール8
【0164】
【化25】
【0165】
4−(1−メチルシクロペンチル)フェノール(フェノール8)
ペンタン(50mL)中の1−メチルシクロペンタノール(2.00g、20.0mmol)およびフェノール(2.07g、22.0mmol)の溶液を、ペンタン(100mL)中の未処理AlCl
3(1.33g、10mmol)の懸濁液に30分間滴下して加えた。得られた混合物をN
2下の室温で72時間攪拌した後、反応混合物を水/氷およびHCl(12M、20mmol、1.66mL)に注ぎ入れた。有機相を水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。粗生物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(MeOH−DCM)により精製し、これにより表題化合物(426mg、12%)を得た。
フェノール9
【0166】
【化26】
【0167】
段階a)2−(4−ブロモ−3−メチルフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(Ph9−a)
pTs(16mg、0.086mmol)を、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(16mL、175mmol)中の4−ブロモ−3−メチルフェノール(4.0g、21.4mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、ジエチルエーテルで希釈し、1M NaOH(水性)および水で洗浄した。有機相を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。粗生物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)により精製し、これにより表題化合物(3.32g、57%)を得た。
段階b)2−(4−シクロプロピル−3−メチルフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(Ph9−b)
Ph9−a(3.12g、11.5mmol)、ZnBr
2(2.59g、11.5mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロボレート(0.2g、0.69mmol)およびPd(OAc)
2(258mg、1.15mmol)をフラスコに入れ、該フラスコをN
2で2〜3回フラッシュした。攪拌しつつTHF(10mL)を加えた後、THF(35mL、17.4mmol)中の0.5Mシクロプロピルマグネシウムブロミドを5分間滴下して加えた。混合物を室温で一晩攪拌した後、セライトプラグに通して濾過し、MeOHで溶離した。該溶液を濃縮し、粗生物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)により精製し、これにより表題化合物(1.69g、57%)を得た。
段階c)4−シクロプロピル−3−メチルフェノール(フェノール9)
Ph9−b(1.70g、7.30mmol)をMeOH(20mL)に溶解し、pTs×H
2O(318mg、1.67mmol)を加えた。混合物を22℃で30分間撹拌した後、濃縮した。粗生物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)により精製し、これにより表題化合物(704mg、65%)を得た。
フェノール10
【0168】
【化27】
【0169】
段階a)4−シクロプロピル−1−メトキシ−2−メチルベンゼン(Ph10−a)
4−ブロモ−1−メトキシ−2−メチルベンゼン(4.39g、21.9mmol)を、Ph9の段階bに記載した手順に従ってシクロプロピルマグネシウムブロミドと反応させ、これにより表題化合物(1.54g、43%)を得た。
段階b)4−シクロプロピル−2−メチルフェノール(フェノール10)
BBr
3(5mL、5mmol)を、N
2下の0℃において、DCM(7.5mL)中のPh10−a(1.54g、9.49mmol)の溶液に加えた。反応物を2時間攪拌した後、MeOH(3mL)で急冷し、濃縮した。粗生物をEtOAcに溶解し、ブライ
ンで洗浄した。有機相を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(826mg、59%)を得た。MS 147.11 [M-H]
-。
フェノール11
【0170】
【化28】
【0171】
4−シクロプロピル−3−メトキシフェノール(フェノール11)
表題化合物を、フェノール9の調製に関し記載した手順に従って4−ブロモ−3−メトキシフェノール(1.11g、5.49mmol)から調製した。収率40%。
フェノール12
【0172】
【化29】
【0173】
段階a)3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オン(Ph12−a)
数滴のHClを無水EtOH(100mL)中の3−ヒドロキシアセトフェノン(4.08g、30mmol)、パラホルムアルデヒド(4.05g、45mmol)およびジメチルアミン塩酸塩(2.69g、33mmol)の溶液に加え、反応混合物を18時間還流した。追加的なジメチルアミン塩酸塩(0.55当量、1.22g)、パラホルムアルデヒド(0.5当量、1.35g)およびHCl(0.5mL)を加え、反応混合物をさらに4時間還流した後、室温に冷却した。沈殿した白色固体を収集し、冷EtOH(50mL)および冷アセトン(10mL)で洗浄した後、凍結乾燥し、これにより表題化合物(2.59g、38%)を得た。これを、さらに精製することなく次の段階に用いた。
段階b)シクロプロピル(3−ヒドロキシフェニル)メタノン(フェノール12)
NaH(60%鉱油分散物)(1.13g、28.2mmol)を、室温において、DMSO(100mL)中のトリメチルスルホキソニウムヨージド(6.20g、28.2mmol)の攪拌懸濁液に数回に分けて加えた。1時間後、固体Ph12−a(2.59g、11.3mmol)を、攪拌および冷却下で数回に分けて加えた。反応混合物を室温で40時間攪拌した後、冷水(200mL)に注ぎ入れ、DCM(3×100mL)で抽出した。有機相をNH
4Clの飽和水溶液(2×100mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた粗生物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM)により精製し、これにより表題化合物(883mg、48%)を得た。
フェノール13
【0174】
【化30】
【0175】
段階a)シクロプロピル(4−ヒドロキシフェニル)メタノン(Ph13)
p−ヒドロキシ−γ−クロロブチロフェノン(4.95g)をNaOHの溶液(8mL、水性、50%w/w)に数回に分けて約30分間加えた後、NaOH(35mL、水性、25%w/w)を加え、続いてp−ヒドロキシγ−クロロブチロフェノン(4.95g)を1回で加えた。温度を140℃に下げ、NaOH(8g)を加えた。90分後、H
2O(10mL)を加え、さらに60分後、反応混合物を冷却し、H
2Oで希釈し、HOAc(約27〜30mL)でpH=約7に中和した。形成した沈殿物を濾過し、H
2Oで洗浄し、真空乾燥した。固体をCHCl
3(200mL)中、40℃で10分間、続いて室温で一晩粉砕した。スラリーを40℃に30分間加熱した後、濾過した。濾液を乾燥(MgSO
4)し、濾過し、約70mLに濃縮した。ヘキサンを加えるとオイルが形成し、これは最終的には結晶になった。スラリーを濾過し、固体をCHCl
3/ヘキサンで洗浄し、乾燥し、これにより表題化合物(4.15g、51%)を得た。
フェノール14
【0176】
【化31】
【0177】
段階a)3−(1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)フェノール(Ph14−a)
t.Bu−MgBr(1.5当量)を、ジエチルエーテル(20mL)中の3−ヒドロキシベンズアルデヒド(2.00g、16.4mmol)の冷却(−10℃)混合物に30分間滴下して加えた。その添加中に、THF(20mL)を加えた。混合物を23℃に達するまで放置し、6時間攪拌した。さらにt.Bu−MgBr(0.7当量)を加え、混合物をそのまま一晩攪拌した後、冷却し、反応物を水性飽和NH
4Clで急冷した。EtOAcを混合物に加えた後、均質な混合物が得られるまで1M水性HClを加えた。相を分離し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。得られた粗生物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(1.1g、37%)を得た。
段階b)1−(3−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(Ph14)
オーブン乾燥した丸底フラスコに、3ÅのMSおよびクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)(1.97g、9.15mmol)、続いて乾燥DCM(5mL)を加えた。混合物を20℃で5分間攪拌し、その後DCM(5mL)中のAA8019(1.10g、6.10mmol)の混合物を徐々に加えた。完全に酸化した後、混合物をセライトのパッドに通して濾過し、該パッドをジエチルエーテルで洗浄した。濾液を濃縮した。粗生物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(402mg、37%)を得た。MS 179.25 [M+H]+。
フェノール15
【0178】
【化32】
【0179】
1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(Ph15)
4−ヒドロキシベンズアルデヒド(3g、24.6mmol)をフェノール14の調製に関し記載した手順に従って反応させ、これにより表題化合物(538mg、17%)を得た。
アミノ酸1
【0180】
【化33】
【0181】
段階a)(S)−(S)−sec−ブチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパノエート(AA1−a)
L−Boc−アラニン(2.18g、11.5mmol)を乾燥DCM(40mL)に溶解し、アルコール(R)−ブタン−2−オール(938mg、12.6mmol)を加えた。混合物を約5℃に冷却し、EDC(3.31g、17.2mmol)を1回で加えた後、DMAP(140mg、1.15mmol)を少しずつ加えた。混合物を放置して室温にし、一晩攪拌した後、酢酸エチル(約300mL)で希釈し、有機相を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で3回およびブラインで1回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物を、イソヘキサンおよび10%酢酸エチルで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより単離し、これにより表題化合物(2.78g、98%)を得た。
段階b)(S)−(S)−sec−ブチル2−アミノプロパノエート(AA1−b)
EtOAc(45mL)中のAA1−a(2.77g、11.3mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(2.15g、11.3mmol)の混合物を65℃で16時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルから結晶化させ、これにより表題化合物(3.20g、89%)を得た。
アミノ酸2
【0182】
【化34】
【0183】
(S)−(R)−ペンタン−2−イル2−アミノプロパノエート(AA2)
AA1の調製に関し記載した手順に従ったが、(R)−ブタン−2−オールの代わりに(R)−ペンタン−2−オールを用い、これにより表題化合物(4.6g)を得た。
アミノ酸3
【0184】
【化35】
【0185】
(S)−(S)−ペンタン−2−イル2−アミノプロパノエート(AA3)
AA1の調製に関し記載した手順に従ったが、(R)−ブタン−2−オールの代わりに(S)−ペンタン−2−オールを用い、これにより表題化合物(8.3g)を得た。
【0186】
以下の中間体を調製した。これらは、本発明の化合物の調製に用いることができる:
中間体1
【0187】
【化36】
【0188】
段階a)(R)−4−フルオロベンジル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパノエート(I−1a)
Boc−L−AlaOH(19.92mmol)、DMAP(1.99mmol)および(4−フルオロフェニル)メタノール(23.9mmol)を、CH
2Cl
2(100mL)に溶解した。この溶液にトリエチルアミン(23.9mmol)、続いてEDCl(23.9mmol)を加え、得られた反応混合物をN
2下の室温で一晩攪拌した。反応混合物をCH
2Cl
2(100mL)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(2×50mL)、飽和NaCl水溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮した。得られた残渣を、n−ヘキサン−EtOAc(95:5〜60:40)で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(4.44g)を白色のワックス状固体として得た。MS: 296 [M-H]
-。
段階b)(R)−4−フルオロベンジル2−アミノプロパノエート(I−1b)
化合物I−1a(14.93mmol)を4M HCl/ジオキサン(40mL)に溶解し、室温で30分間撹拌し、蒸発乾固させ、これにより表題化合物の塩酸塩(3.4g)を白色粉末として得た。MS: 198 [M+H]
+。
段階c)(2R)−4−フルオロベンジル2−((クロロ(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−1)
CH
2Cl
2中の化合物I−5b(4.28mmol)の溶液に、−78℃でPhOPOCl
2(4.28mmol)を滴下して加えた後、トリエチルアミン(8.56mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物をAr下、−78℃で攪拌し、一晩放置して室温にした。反応混合物をシリカゲル上で蒸発させ、クロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc(88:12)〜(0:100))により精製し、これにより表題化合物(769mg)を得た。
31P-NMR (CDCl
3)δ: 7.85 (s)および7.54 (s) (R
pおよびS
pジ
アステレオマー)。
中間体2
【0189】
【化37】
【0190】
段階a)(S)−(R)−sec−ブチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパノエート(I−2a)
L−Boc−アラニン(2.18g、11.5mmol)を乾燥DCM(40mL)に溶解し、アルコール(R)−ブタン−2−オール(938mg、12.6mmol)を加えた。混合物を約5℃に冷却し、EDC(3.31g、17.2mmol)を1回で加えた後、DMAP(140mg、1.15mmol)を少しずつ加えた。混合物を放置して室温にし、一晩攪拌した後、酢酸エチル(約300mL)で希釈し、有機相を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で3回およびブラインで1回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物を、イソヘキサンおよび10%酢酸エチルで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより単離し、これにより表題化合物(2.78g、98%)を得た。
段階b)(S)−(R)−sec−ブチル2−アミノプロパノエート(I−2b)
EtOAc(45mL)中のI−10a(2.77g、11.3mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(2.15g、11.3mmol)の混合物を65℃で16時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルから結晶化させ、これにより表題化合物(3.20g、89%)を得た。
段階c)(2S)−(R)−sec−ブチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−2)
DCM(75mL)中の化合物I−10b(3.15g、9.92mmol)の溶液に−30℃の窒素下でジクロロリン酸フェニル(1当量)を加えた後、トリエチルアミン(2当量)を滴下して加えた。混合物を放置して室温にし、一晩攪拌した後、約5℃に冷却し、4−ニトロフェノール(1当量、15mmol)を固体として加えた後、トリエチルアミン(1当量g、15mmol)を滴下して加え、該混合物を室温で4時間攪拌した後、減圧下で濃縮し、酢酸エチル(40mL)およびエーテル(40mL)で希釈し、室温で一晩放置した。トリエチルアミン−HCl塩を濾過により取り出し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、イソヘキサン−酢酸エチルで溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(4.19g、79%)を得た。
【0191】
以下の化合物を、I−2の調製に関し記載した手順に従い、適したアルコールを用いて調製した:
【0192】
【表1】
【0193】
中間体6、ジアステレオマー−1および−2
化合物I−6の2つのジアステレオマーをSFCにより分離し、これによりI−6−dia−1およびI−6−dia−2を得た。
中間体7
【0194】
【化38】
【0195】
段階a)(S)−シクロオクチル2−アミノプロパノエート(I−7a)
トルエン(100mL)中のL−アラニン(1.7g、19.1mmol)およびシクロオクタノール(25mL、191mmol)のスラリーに、p−トルエンスルホン酸一水和物(3.6g、19.1mmol)を加えた。反応混合物を還流温度で25時間加熱し、Dean−Starkトラップを用いて反応物から水を除去した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を真空下で一晩保持した。残渣(27g)にジエチルエーテル(100mL)を加えた。白色沈殿物を濾過により収集し、ジエチルエーテル(3×50mL)で洗浄し、真空乾燥し、これにより表題化合物(4.84g、68%)を得た。
段階b)(2S)−シクロオクチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−7)
化合物I−7aを、I−2、段階cの調製に関し記載した方法に従って反応させ、これにより表題化合物(4.7g、76%)を得た。
中間体8
【0196】
【化39】
【0197】
(2S)−シクロヘプチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−22)
化合物I−7の調製に関し記載した手順に従ったが、シクロオクタノールの代わりにシクロヘプタノール(27mL、224mmol)を用い、これにより表題化合物(5.72g、55%)を得た。
中間体9
【0198】
【化40】
【0199】
(2S)−シクロヘキシル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−23)
化合物I−2、段階cの調製に関し記載した手順に従ったが、(S)−3,3−ジメチルブチル2−アミノプロパノエートの代わりに(S)−シクロヘキシル2−アミノプロパノエートを用い、これにより表題化合物(10.6g、82%)を得た。
中間体10
【0200】
【化41】
【0201】
(S)−2−エチルブチル2−((ビス(4−ニトロフェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−10)
(S)−2−エチルブチル2−アミノプロパノエート(5g、14.49mmol)をDCM(50mL)中のビス(4−ニトロフェニル)ホスホロクロリデート(6.14g、17.1mmol)の溶液に加え、混合物を氷浴中で冷却し、Et
3N(4.77mL、34.2mmol)を滴下して加えた。冷却物を15分後に取り去り、TLCに準じての反応完了まで反応混合物を23℃で攪拌した。その後、ジエチルエーテルを加え、混合物を濾過し、濾液を濃縮し、シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(2.05g、82%)を得た。
中間体11
【0202】
【化42】
【0203】
段階a)(S)−イソプロピル2−アミノプロパノエート(I−11a)
SOCl
2(29mL、400mmol)を、0℃において、イソプロパノール(700mL)中のL−アラニンのHCl塩(17.8g、200mmol)の懸濁液に滴下して加えた。懸濁液を室温で一晩攪拌した後、濃縮し、これにより表題化合物(29.2g、87%)を得た。
段階b)(2S)−イソプロピル2−(((((S)−1−イソプロポキシ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)(4−ニトロフェノキシ)ホスホリル)−アミノ)プロパノエート(I−11)
DCM中の4−ニトロフェニルジクロロホスフェート(1.8g、7mmol)の溶液を、60℃において、DCM中のアミンI−11a(2.35g、14mmol)およびトリエチルアミン(7.7mL、56mmol)の溶液に滴下して加えた。反応混合物を放置して室温にし、一晩攪拌し、濃縮した後、酢酸エチルおよびエーテルで希釈し、室温で一晩放置した。トリエチルアミン−HCl塩を濾過により取り出し、濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、イソヘキサン−酢酸エチルで溶離するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(1.6g、50%)を得た。
中間体12
【0204】
【化43】
【0205】
段階a)(S)−ネオペンチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパノエート(I−12a)
EDACおよびDMAPを、−5℃において、DCM(200mL)中のBoc−アラニン(18.9g、100mmol)およびネオペンチルアルコール(13.0mL、120mmol)の溶液に数回に分けて加えた。反応混合物を放置して室温にし、72時間攪拌した。EtOAc(700mL)を加え、有機相をNaHCO
3の飽和溶液で3回およびブラインで1回洗浄した後、濃縮した。得られた残渣を、ヘキサン−EtOAc 90/10〜80/20で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(21g、81%)を得た。
段階b)(S)−ネオペンチル2−アミノプロパノエート(I−12b)
p−トルエンスルホン酸(15.6g、82.0mmol)を、−65℃において、EtOAc(330mL)中のBoc保護アミンI−12a(21.1g、82.0mmol)の溶液に加えた。反応混合物を−65℃で8時間攪拌した後、一晩放置して室温にした。その後、混合物を濾過し、濃縮し、これにより表題化合物(21g、78%)を得た。
(2S)−ネオペンチル2−(((((S)−1−(ネオペンチルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)(4−ニトロフェノキシ)−ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−12)
4−ニトロフェノールジクロロホスフェートを、−50℃において、DCM(100mL)中のアミンI−12b(3.90g、24.5mmol)の溶液に1時間滴下して加えた。反応混合物を放置して室温にし、一晩攪拌し、濃縮した後、ジエチルエーテルで希釈し、室温で一晩放置した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、イソヘキサン−酢酸エチルで溶離するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製し、これにより表題化合物(4.8g、77%)を得た。
中間体32
【0206】
【化44】
【0207】
(2S)−(R)−sec−ブチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−32)
Et
3N(10.9mL、78.1mmol)を、窒素下の−70℃において、DCM(50mL)中の(S)−(R)−sec−ブチル2−アミノプロパノエート(12.0g、37.7mmol)のpTs塩の攪拌溶液に、15分間滴下して加えた。この混合物に、DCM(50mL)中のジクロロリン酸フェニル(5.61mL、37.7mmol)の溶液を1時間加えた。反応混合物を−70℃でさらに30分間撹拌した後、2時間放置して0℃に温め、1時間攪拌した。DCM(30mL)中のペンタフルオロフェノール(6.94g、37.7mmol)およびEt
3N(5.73mL、41.1mmol)の溶液を、該混合物に20分間加えた。粗製混合物を0℃で18時間そのまま攪拌した後、濃縮した。残渣をTHF(100mL)に取り、不溶物を濾過により取り出し、THFで数回洗浄した。溶媒を蒸発させ、残渣をtert.ブチルメチルエーテルで粉砕した。不溶物を濾過により取り出し、tert.ブチルメチルエーテルで洗浄した。濾液を組み合わせたものを濃縮し、粗製固体をn−ヘキサン/EtOAc(80:20;100mL)と一緒に超音波処理した。固体を濾過し、n−ヘキサン/EtOAc(80:20)で洗浄し、これにより表題化合物の純粋なリン立体異性体を白色固体として得た(2.3g、13%)。
中間体33
【0208】
【化45】
【0209】
(2S)−エチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−33)
表題化合物の純粋なリン立体異性体を、I−32に関し記載した方法に従って、しかし(S)−エチル2−アミノプロパノエートのHCl塩(11.0g、71.1mmol)
から開始して調製した。収量8.56g、27%。
中間体34
【0210】
【化46】
【0211】
(2S)−2−エチルブチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−34)
表題化合物の純粋なリン立体異性体を、I−32に関し記載した方法に従って、しかし(S)−エチルブチル2−アミノプロパノエートのpTs塩(18.8g、54.4mmol)から開始して調製した。収量27.0g、99%。LC-MS 496.44 [M+H]
+。
中間体35
【0212】
【化47】
【0213】
(2S)−ブチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−35)
ジクロロリン酸フェニル(12.4mL、83.1mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中の(S)−ブチル2−アミノプロパノエート(26.4g、83.1mmol)の冷却(−20℃)スラリーに加えた。混合物を10分間撹拌した後、Et
3N(25.5mL、183mmol)を15分間滴下して加えた。該混合物を−20℃で1時間攪拌した後、0℃で30分間撹拌した。混合物を氷浴中で冷却し続け、ペンタフルオロフェノール(15.3g、0.08mol)を加え、続いてEt
3N(11.6mL、0.08mol)を滴下して加えた。混合物を一晩攪拌し、徐々に20℃にした。ジエチルエーテルを加え、混合物をセライトに通して濾過し、濃縮し、石油エーテル/EtOAc(9:1〜>8:2)で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。適した画分をプールし、濃縮し、石油エーテルEtOAc(9:1)から結晶化させ、これにより表題化合物の純粋なリン立体異性体を白色固体として得た(2.23g、5.8%)。
中間体36
【0214】
【化48】
【0215】
段階a)L−アラニンイソプロピルエステルヒドロクロリド(I−36a)
塩化チオニル(80.2g、0.674mol、1.5当量)を、冷却しつつ、−7〜0℃の2−プロパノール(400mL)に30分間かけて加えた後、0℃のL−アラニン(40.0g、0.449mol)を加えた。流量測定器、および27.65%水酸化ナトリウム(228g)と水(225g)の混合物を含むスクラバーを、出口に取り付けた。反応混合物を67℃で2時間撹拌した後、70℃で1時間および20〜25℃で一晩撹拌した。該反応混合物を、60℃の浴から、減圧下(250〜50mBar)、47〜50℃で蒸留した。蒸留が非常に遅くなったらトルエン(100mL)を残留オイルに加え、60℃の浴からの減圧下(150〜50mBar)、48〜51℃での蒸留を、蒸留が非常に遅くなるまで継続した。t−ブチルメチルエーテル(tBME)(400mL)を残留オイルに加え、二相系に、効率的な攪拌下、34〜35℃で種結晶を入れた。結晶化が観察されたら、1時間かけて混合物を23℃に冷却し、沈殿物を濾過により単離した。濾過ケークをtBME(100mL)で洗浄し、加熱することなく減圧下で恒量まで乾燥し、これにより表題化合物(67.7g、90%)を白色固体として得た。
段階b)(S)−イソプロピル2−(((S)−(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−36)
ジクロロリン酸フェニル(62.88g、0.298mol、1.0当量)を、窒素下で、0℃のDCM(310mL)中のL−アラニンイソプロピルエステルヒドロクロリド(50.0g、0.298mol)の溶液に加えた−添加は、DCM(39mL)での洗浄により終了した。混合物を冷却し、トリエチルアミン(63.35g、0.626mol、2.1当量)を、冷却して温度を−14℃以下に維持しつつ70分間かけて加え、添加を、DCM(39mL)での洗浄により終了した。混合物を−15〜−20℃で1時間撹拌した後、−8℃に加熱し、DCM(78mL)中のペンタフルオロフェノール(60.38g、0.328mol、1.1当量)およびトリエチルアミン(33.19g、0.328mol、1.1当量)の溶液を、冷却して温度を0℃以下に維持しつつ、42分間かけて加えた−添加は、DCM(39mL)での洗浄により終了した。混合物を0℃で1時間撹拌した後、+5℃で一晩撹拌した。形成した沈殿物を濾過により除去し、濾過ケークをDCM(95mL)で洗浄した。濾液を組み合わせたものを5℃で水洗した(2×190mL)。有機相を減圧下(650〜600mBar)、32〜38℃で蒸留し、約170mLの残留体積の部分的に結晶化した塊が得られるまで蒸留を継続した。酢酸エチル(385mL)を加え、得られた透明溶液を減圧下(300〜250mBar)、43〜45℃で蒸留した。約345mLの残留体積が得られるまで蒸留を継続した。透明溶液を36℃に冷却し、J.Org.Chem.,2011,76,8311−8319に記載されているように調製した(S)−イソプロピル2−(((S)−(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(20mg)の種結晶を加えることにより、結晶化を誘導した。混合物を1時間かけて27℃に冷却した後、n−ヘプタン(770mL)を47分間かけて加え、該混合物をさらに37分間撹拌した。トリエチルアミン(6.03g、0.2当量)を加え、混合物を23〜25℃で一晩撹拌した。沈殿物を濾過により単離した。濾過ケークを酢酸エチル:n−ヘプタン(1:9、80mL)で洗浄し、加熱することなく減圧下(0.1mBar未満)で恒量まで乾燥し、これにより表題化合物(75.64g、56%)を白色結晶質材料として得た。
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ7.38-7.32 (m, 2 H), 7.27-7.24 (m, 2 H), 7.23-7.19 (m, 1 H), 5.10-4.98 (m, 1 H), 4.20-4.08 (m, 1 H), 4.03-3.96 (m, 1 H), 1.46 (dd, 7.2,
0.6 Hz, 3 H), 1.26-1.23 (2xd, 6 H);
13CNMR (CDCl
3, 100 MHz) δ172.7 (d, J = 8.8 Hz), 150.4 (d, J = 7.1 Hz), 143.4-143.0 (m), 141.0-140.2 (m), 140.0-139.8 (m), 137.6-137.2 (m), 136.8-136.2 (m), 130.0 (d, J = 0.82 Hz), 125.8 (d, J = 1.4 Hz), 120.3 (d, J = 5.0 Hz), 69.8, 50.6, (d, J = 1.9 Hz), 21.8 (d, J = 1.9 Hz), 21.2 (d, J = 4.4 Hz);
表題化合物の結晶化特性およびNMRスペクトルデータは、公開されているデータ(J.Org.Chem.,2011,76,8311−8319)と一致しており、したがって、表題化合物のリン原子のS立体化学的構造が裏付けられた。
中間体37
【0216】
【化49】
【0217】
段階a)(S)−シクロヘキシル2−アミノプロパノエート(I−37a)
塩化アセチル(4.2mL、59.3mmol)をシクロヘキサノール(50mL)の撹拌溶液に滴下して加えた後、L−フェニルアラニン(4.0g、24.2mmol)を加えた。反応混合物を100℃に16時間加熱した後、減圧下で濃縮し、ジエチルエーテル/ヘキサン(1:1)で粉砕し、乾燥すると、表題化合物(6g、88%)が白色固体として生じ、これを、さらに精製することなく次の段階に用いた。
段階b)(S)−シクロヘキシル2−(((S)−(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−37)
乾燥DCM(42mL)中の化合物I−37a(7.0g、24.6mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(7.17mL、51.5mmol)を−70℃で30分かけて滴下して加えた後、乾燥DCM(21mL)中のジクロロリン酸フェニル(5.15g、34.5mmol)の溶液を1時間かけて加えた。反応混合物を−70℃でさらに30分間撹拌した後、2時間にわたり放置して0℃に温め、1時間撹拌した。この混合物に、乾燥DCM(28mL)中のペンタフルオロフェノール(4.94g、26.8mmol)およびトリエチルアミン(3.74mL、26.8mmol)の溶液を1時間かけて加えた。混合物をそのまま0℃で4時間撹拌した後、5℃で16時間放置した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。粗製固体をEtOAc(300mL)に溶解し、水(50mL)で洗浄し、乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体をヘキサン中の20%EtOAcで粉砕し、濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、表題化合物を単一ジアステレオマー(3.0g、21%)として、固体として得た。
中間体38
【0218】
【化50】
【0219】
(2S)−イソプロピル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(I−38)
乾燥DCM(40mL)中の4−ニトロフェニルジクロロホスフェート(5g、19.8mmol)の撹拌溶液に、−78℃の乾燥DCM(50mL)中のフェノール(1.86g、19.8mmol)およびトリエチルアミン(3mL、21.8mmol)の溶液を30分間かけて加えた。混合物をこの温度で60分間撹拌した後、−5℃の乾燥DCM(40mL)中の化合物(S)−イソプロピル2−アミノプロパノエート(3.3g、19.8mmol)の溶液を含有する他のフラスコに15分間かけて移した。この混合物に、第2の分量の−5℃のTEA(6mL、43.3mmol)を20分間かけて加えた。該混合物を0℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧除去した。残渣をEtOAc(200mL)に取り、水(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、溶媒を減圧除去すると、粗生成物がオイルとして生じ、これを0〜20% EtOAc/ヘキサン勾配および230〜400メッシュのシリカゲルを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製して、約1:1の比のジアステレオマー混合物を得た。2つのジアステレオマーをSFCにより分離し、これにより、表題化合物、異性体1(1.5g、20%)および異性体2(1.5g、18%)を固体として得た。
【0220】
表1に挙げる化合物を調製し、ジアステレオマーを、適したアミノ酸エステルおよびフェノールを用い、中間体I−38の調製に関し記載した手順に従って分離した。
【0221】
【表2】
【0222】
【表3】
【0223】
実施例1
【0224】
【化51】
【0225】
段階a)((2S,4S)−4−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルアセテート(1a)
化合物Tr−8(0.15g、0.41mmol)、1,2−ジメトキシエタン(1.5mL)および水(0.96mL)の混合物を、封管中、125℃で48時間加熱した。反応終了後(TLC)、反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧除去した。粗製残渣を、3〜7%MeOH/DCM勾配として230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより、化合物1a(0.08g、80%)を固体として、そして化合物1b(0.02g)を固体として得た。
段階b)1−((2S,4S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(1b)
MeOH中のNH
3の飽和溶液(1.6mL)中の化合物1a(0.08g、0.31mmol)を、封管中、室温で4時間撹拌した。反応終了後(TLC)、溶媒を減圧除去し、残渣を、5〜7%MeOH/DCMを用いて60〜120シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.06g、90%)を固体として得た。
段階c)(2S)−イソプロピル2−(((((2S,4S)−4−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(1c)
DMPU(0.6mL)中の化合物1b(60mg、0.28mmol)の撹拌溶液に、−5℃でtert−ブチルマグネシウムクロリド(0.57mL、0.98mmol、THF中に1.7M)を滴下して加えた。混合物を−5℃で30分間撹拌した後、室温で30分間撹拌した。乾燥THF(2.5mL)中のイソプロピル((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−L−アラニネート(0.25g、0.56mmol)の溶液を−5℃で加え、反応混合物を室温で8時間撹拌した。反応終了後(TLC)、水(15mL)を加え、混合物をEtOAc(30mL)で抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮し、得られた粗生物を、4〜5%MeOH/DCM勾配として230〜400シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、これにより、表題化合物(55mg、38%)を固体として得た。MS (ES+) [484.0]
+。
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ1.15-1.20 (10H), 3.73-3.75 (1 H), 4.11-4.27 (4H), 4.84-4.90 (1H), 5.14 (1H), 5.51-5.53 (1H), 6.06-6.12 (1H), 6.26-6.27 (1H), 7.17- 7.23 (3H), 7.36-7.40 (2H), 7.57-7.60 (1H), 11.37 (1H).
実施例2
【0226】
【化52】
【0227】
(2S)−イソプロピル2−(((((2S,4S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(2)
トロキサシタビン(TR−9)(50mg、0.23mmol)を、実施例1の段階cに記載した手順に従ってリン酸化剤I−36(0.26g、0.58mmol)と反応させ、これにより、表題化合物(30mg、26%)を固体として得た。MS (ES+) 483.34 [M+H]
+。
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ1.14-1.24 (9H), 3.32-3.38 (1H), 4.05-4.21 (4H), 4.84-4.26 (1H), 5.14 (1H), 5.68-5.70 (1H), 6.07-6.13 (1H), 6.23-6.25 (1H), 7.16-7.24 (5H), 7.34-7.39 (2H), 7.59-7.61 (1H).
実施例3
【0228】
【化53】
【0229】
(2S)−イソプロピル2−(((((2S,4S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(3)
トロキサシタビン(50mg、0.23mmol)を、実施例1の段階cに記載した手順に従ってリン酸化剤I−38(0.24g、0.58mmol)と反応させ、これにより、表題化合物(40mg、35%)を固体として得た。MS (APCI) 481.0 [M-H]
-。
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ1.14-1.20 (9H), 3.76-3.77 (1H), 4.10-4.18 (2H), 4.22-4.25 (2H), 4.84-4.87 (1H), 5.17-5.186 (1H), 5.69-5.70 (1H), 6.03-6.08 (1H), 6.24-6.26 (1H), 7.17-7.25 (5H), 7.36-7.40 (2H), 7.62-7.64 (1H).
実施例4
【0230】
【化54】
【0231】
(2S)−イソプロピル2−(((((2S,4S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(4)
トロキサシタビン(50mg、0.23mmol)を、実施例1の段階cに記載した手順に従ってリン酸化剤I−37(0.33g、0.58mmol)と反応させ、これにより、表題化合物(30mg、22%)を固体として得た。MS (APCI) 599.47 [M+H]
+。
【0232】
表2に挙げる化合物を、実施例1の段階cに記載した手順に従い、適した中間体I−#dia−1またはI−#dia−2を用いて、純粋なジアステレオマーとして調製した。
【0233】
【表4】
【0234】
同様に、表3に挙げる化合物を、実施例1の段階cに記載した手順に従い、適した中間体を用いて、純粋なジアステレオマーとして調製した。
【0235】
【表5】
【0236】
【表6】
【0237】
NMRおよびMSデータをすべての例示化合物について記録し、それらの構造を確認した。
実施例35
【0238】
【化55】
【0239】
(2S)−イソプロピル2−(((((2S,4S)−4−(2−オキソ−4−パルミタミドピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(35dia1および35dia−2)
化合物2および3を、国際公開WO2008/030373号に記載されている方法に従ってそれぞれパルミチン酸無水物とアシル化し、これにより表題化合物を得た。
実施例36
【0240】
【化56】
【0241】
(2S)−メチル2−(((((2S,4S)−4−(2−オキソ−4−パルミタミドピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(36)
化合物27dia−2を、国際公開WO2008/030373号に記載されている方法に従ってパルミチン酸無水物とアシル化し、これにより表題化合物を得た。
比較例
【0242】
【化57】
【0243】
段階a)(2S)−2−((ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)−N−(2−オキシド−1,3,2−オキサチアホスホラン−2−イル)プロパンアミド
窒素下のジクロロメタン(8mL)中の(S)−2−((ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)プロパンアミド(1.40g、3.58mmol)およびトリエチルアミン(0.60mL、4.30mol)の氷冷溶液に、2−クロロ−1,3,2−オキサチアホスホラン(0.542g、3.80mmol)の溶液を滴下して加えた。反応を放置して室温にし、週末にかけて撹拌した。該溶液を0℃に冷却し、ヘプタン中の(tert−ブチルペルオキシ)トリメチルシラン(1.16g、7.17mmol)の溶液を徐々に加えた。反応混合物を90分間撹拌した後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(10mL)に懸濁させ、塩酸塩を濾過により除去し、溶媒を減圧除去した。残渣を乾燥アセトニトリル(10mL)に溶解し、得られた溶液を、さらに精製することなく次の段階に用いた。定量的収率および
31P−NMRに基づき80%の純度が推測された。
段階b)((2S,4S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル水素((S)−2−((ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)プロパノイル)ホスホロアミデート
DMAP(229mg、1.88mmol)を窒素下で乾燥ピリジン(5mL)中の化合物Tr−9(100mg、0.469mmol)の溶液に加えた後、乾燥アセトニトリル(2mL)中の(2S)−2−((ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)−N−(2−オキソ−1,3,2−オキサチアホスホラニル)プロパンアミド(361mg、0.563mmol)の溶液を徐々に加えた。得られた溶液を窒素下の室温で46時間撹拌した後、濃縮した。残渣を、17分で20%B〜80%Bの勾配および35mL/分の流量を用いてGemini−NX 5m C18(100×30mm)上での分取HPLCにより精製した。溶媒A:95%水、5%アセトニトリル(酢酸アンモニウム中に10mM);溶媒B:10%水、90%アセトニトリル(酢酸アンモニウム中に10mM)。生成物を含有する画分を組み合わせ、凍結乾燥し、これにより表題化合物(80mg、26%)を得た。MS (ES+) 664.26 [M+H]
+。
段階c)((2S,4S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル水素((S)−2−アミノプロパノイル)ホスホロアミデート
水(50mL)をジクロロメタン中の前記段階からの化合物(80.5mg、0.121mmol)の溶液に加えた後、酢酸(500mL)を加えた。溶液を室温で12分間撹拌した後、TFA(75mL)を加え、得られた溶液を室温で5分間撹拌し、トルエン(10mL)で希釈し、乾燥するまで濃縮し、減圧乾燥した。残渣を、10%アセトニトリル(10mL)を含有する水中に取り、10%ヘキサンを含有するtert−ブチルメチルエーテル(2×10mL)で洗浄した。水層を収集し、一晩凍結乾燥して、望ましい生成物を、LC−MSに従って約75%の純度を有するビス−TFA塩(80mg)として得た。得られた残渣を、水中に0%〜35%アセトニトリルの勾配を用いてHypercarb(21.2×100mm、I=271nm)上での分取HPLCによりさらに精製した。生成物を含有する画分を組み合わせ、凍結乾燥した。MS (ES+) 364.10 [M+H]
+。構造を
1Hおよび
13C NMRにより確認した。
【0244】
選択した例示化合物に関するNMRデータ:
化合物8 dia−1
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ0.81-0.84 (6H), 1.20-1.22 (11H), 1.59 (1H), 3.82-3.97 (3H), 4.08-4.16 (2H), 4.22-4.23 (2H), 5.16 (1H), 5.67-5.69 (1H), 6.05-6.10 (1H), 6.23-6.24 (1H),7.16-7.23 (m, 5H), 7.34-7.38 (m, 2H), 7.60-7.62 (m, 1H).
化合物8 dia−2
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ0.81-0.84 (6H), 1.22-1.27 (11H), 1.57 (1H), 3.81-3.89 (2H), 3.95-3.98 (1H), 4.05-4.07 (1H), 4.10-4.20 (3H), 5.128 (1H), 5.68-5.69 (1H), 6.13-6.14 (1H), 6.22-6.24 (1H), 7.16-7.21 (5H), 7.34-7.38 (2H), 7.58-7.60 (1H).
化合物9 dia−1
31P NMR (DMSO-d
6) δ4.354.
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ1.24-1.26 (3H), 3.98-4.01 (1H), 4.12-4.14 (2H), 4.27-4.29 (2H), 5.00-5.08 (2H), 5.16-5.18 (1H), 5.64-5.66 (2H), 6.25-6.27 (1H), 6.34 (1H), 7.17-7.22 (2H), 7.31-7.33 (5H), 7.45-7.46 (2H), 7.55-7.59 (2H), 7.63-7.64 (1H), 7.74-7.77 (1H), 7.95-7.97 (1H), 8.08-8.11 (1H).
化合物9 dia−2
31P NMR (DMSO-d
6) δ4.159.
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ1.25-1.26 (3H), 3.97-4.01 (1H), 4.08-4.16 (2H), 4.23-4.29 (2H), 5.04-5.16 (3H), 5.65-5.66 (1H), 6.26 (1H), 6.36-6.42 (1H), 7.17-7.24 (2H), 7.326 (5H), 7.41- 7.49 (2H),7.57-7.64 (3H), 7.74-7.76 (1H), 7.95-7.97 (1H), 8.10-8.12 (1H).
化合物11−dia−1
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ0.23 (9H), 0.78-0.82 (3H), 1.08-1.12 (3H), 1.20-1.22
(3H), 1.44-1.49 (2H), 3.77-3.79 (1H), 4.09-4.23 (4H), 4.67-4.72 (1H), 5.16-5.16
(1H), 5.69-5.70 (1H), 6.04-6.10 (1H), 6.23-6.25 (1H), 7.15-7.24 (4H), 7.48-7.50
(2H), 7.61-7.63 (1H).
化合物11 dia−2
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ0.22-0.24 (9H), 0.78-0.82 (3H), 1.10-1.11 (3H), 1.22-1.24 (3H), 1.46-1.50 (2H), 4.05-4.07 (1H), 4.11-4.22 (4H), 4.70-4.71 (1H), 5.14 (1H), 5.69-5.71 (1H), 6.07-6.11 (1H), 6.23-6.25 (1H), 7.16-7.24 (4H), 7.49-7.51 (2H), 7.60-7.62 (1H).
肝臓を標的とするプロドラッグでは、プロドラッグの正確な処理が重要である。プロドラッグは腸液中で安定で、初回通過代謝で肝酵素により肝臓で処理されてモノホスフェートを形成するべきである。その後、形成したモノホスフェートは、肝細胞において細胞キナーゼにより活性なトリホスフェート種に同化される。これに加えて、抗癌剤は増殖細胞に対し毒性を示すべきである。これらの性質に関し化合物を評価するのに適した方法は、例えば、以下に示す方法である。
ヒト腸S9画分(HIS9)およびヒト肝S9画分(HLS9)における安定性
各試験化合物の保存溶液(10mM)は、DMSO中で調製し、−20℃で保存した。実験開始に先立ち、試験化合物を、水中の50%アセトニトリル中に500μMに希釈した。反応混合物は、50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に5mM MgCl
2、1mM NADPHおよび5μMの試験化合物を含有し、全体積250μLで調製した。最終濃度0.4mgタンパク質/mLのヒト肝S9画分またはヒト腸S9画分(Xeno Tech)を添加することにより、反応を開始した。反応混合物を37℃のオービタルシェーカー上でインキュベートした。望ましい時間点(0、10、30および60分)において、50μLのアリコートを取り、内部標準を含有する150μLのアセトニトリルと混合することにより反応を停止させた。各試験化合物の標準溶液は、煮沸したヒトS9(0.4mgタンパク質/mL)、5mM MgCl
2および50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に5μMの最終濃度に溶液を希釈することにより、500μM溶液から調製した。標準液および試料を氷上で30分間保持した後、10℃、3000gで20分間遠心分離し、その後、10μLの上澄みを水中の50%アセトニトリル200μLと混合した。LC/MS−MS法を構築するために、水中の50%アセトニトリル中の0.5μMの各試験化合物をLC/MS−MSに注入して、娘イオン、デクラスタリング電位(DP)、コリジョンエネルギー(CE)およびコリジョンセルイグジット電位(CXP)を決定した。化合物は、C18カラムをQTRAP5500システムで用いて分離した。移動相は、溶媒A(98%水、2%アセトニトリル、0.1%酢酸または10mM酢酸アンモニウム)および溶媒B(80%アセトニトリル、20%水、0.1%酢酸または10mM酢酸アンモニウム)から成っていた。化合物の溶離は、0%〜100%の溶媒Bの勾配を用いて実施した。QTRAP5500で分析するために、5μLの標準点および試料を注入した。
【0245】
親化合物の量は、5μMに設定した標準と比較した各時間点でのピーク面積に基づいて決定した。固有クリアランス(CL
int)および半減期(t
1/2)は、Excelソフトウェアを用いて試験化合物の消失曲線から決定した。
細胞毒性アッセイ
化合物を添加する24時間前に細胞を播種した。各試験化合物(100μMから連続的に希釈したもの)をHuh7(1.5×10
4細胞/ウェル)またはHepG2(1.5×10
4細胞/ウェル)に加え、そのまま37℃で5日間インキュベートした。培地のみの対照を用いて、最小吸光度値および未処理細胞の値を決定した。成長期間の最後に、Polysciences Europe GmbHからのXTT染料を各ウェルに加えた。600nMの参照波長での450nmにおける吸光度を、培地のみの対照ウェルをブランクとして用いてSunrise(Tecan)で読み取った。化合物濃度に対しプロットした阻害の程度を比較することにより(細胞対照と比較)、50%阻害値(CC
50)を決定した。希釈系列からの結果をS字形の用量反応曲線に適合させた。
【0246】
本発明の化合物をこれらのアッセイで評価して、ヒト腸S9画分(HIS9)およびヒト肝S9画分(HLS9)における安定性、ならびにHUH7、HEP3BおよびHEP
G2細胞における細胞毒性を評価した。結果を表B1にまとめる。
【0247】
【表7】
【0248】
【表8】
【0249】
【表9】
【0250】
トリホスフェート形成アッセイ
該アッセイでは各化合物を3回繰り返して試験した。
12ウェルプレート中にプレーティングされた未使用のヒト肝細胞(Biopredic、フランス)を用いた。各ウェルに0.76×10
6細胞をプレーティングし、CO
2インキュベーター中、37℃で、1mLのインキューベーション媒体中の化合物の10μM DMSO溶液(0.1% DMSO)と一緒に8時間インキュベートした。抗生物質および10%ウシ胎仔血清を含むDMEM中で成長させたHuh7細胞を、12ウェルプレートに、2×10
5細胞/ウェルで播種した。24時間後、媒体中の10μMの化合物を1ml加え、細胞をさらに6〜8時間インキュベートした。
【0251】
各ウェルを1mLのpH7.2の氷冷ハンクス平衡溶液(Hank's balanced solution)で2回洗浄した後、0.5mLの氷冷70%メタノールを加えることにより、インキュベーションを停止させた。メタノールを加えた直後に、細胞層をセルスクレーパーによりウェル底部から引き離し、自動ピペットで5〜6回吸い上げて下ろした。細胞懸濁液をガラスバイアルに移し、−20℃で一晩保存した。
【0252】
その後、それぞれさまざまなレベルのプロドラッグ、遊離ヌクレオシド、ならびにモノ−、ジ−およびトリホスフェートからなる試料をボルテックスし、Eppendorf centrifuge 5417Rにおいて10℃、14000rpmで10分間遠心分
離した。上澄みを2mLのガラス製インサートバイアルに移し、以下のように生物分析に付した:
内部標準(インジナビル)を各試料に加え、試料(注入体積10μL)を、QTRAP5000質量分析計に連結した2つのカラムシステムで分析した。2つのカラムシステムは、2つのバイナリーポンプXおよびY、2つの切替弁ならびにオートサンプラーからなっていた。用いた2つのHPLCカラムは、Synergy POLAR−RP 50
*4.6mm、4μm粒子およびBioBasic AX 50
*2.1mm 5μm粒子であった。LC流速は0.4〜0.6mL/分であった(リコンディショニング段階では、より速い流速を用いた)。
【0253】
POLAR−RPカラム用のHPLC移動相は2%アセトニトリル中の10mmol/L酢酸アンモニウム(移動相A)および90%アセトニトリル中の10mmol/L酢酸アンモニウム(移動相B)からなり、BioBasic AXカラム用のHPLC移動相は2%アセトニトリル中の10mmol/L酢酸アンモニウム(移動相C)および2%アセトニトリル中の1%水酸化アンモニウム(移動相D)からなっていた。ポンプYのHPLC勾配は0%移動相Bで開始し、2分間保持した。相を供給する間に、移動相はPOLAR−RPおよびBioBasic AXカラムを通過し、プロドラッグ、ヌクレオシドおよび内部標準はPOLAR−RPカラムで捕捉され;ヌクレオチド(モノ−、ジ−およびトリホスフェート)はBioBasic AXカラムで溶離され、そこで捕捉された。
【0254】
次の段階で、流れをPOLAR−RPカラムからMSに切り替え、移動相CをポンプXからBioBasic AXカラムに切り替えた。POLAR−RPカラム上の化合物を約2分間で0%Bから最大100%Bの勾配で溶離し、多重反応モニタリングモード(MRM)を用いて正または負モードで分析した。最後の段階において、BioBasic AXカラムからの流れをMSに切り替え、ホスフェートを約7分で最大50%Dの勾配で溶離し、MRMを用いて正または負モードで分析した。最後の段階の間に、両方のカラムのリコンディショニングを行った。
【0255】
その後、各化合物のトリホスフェート濃度を、既知濃度のトリホスフェートを有する標準試料を分析することにより作製した標準曲線と比較することにより決定した。標準物質を試験試料と同じマトリックスに流した。肝細胞供与体によってリン酸化レベルにばらつきがあるため、さまざまな試験からの結果を互いにランク付けすることができるように、アッセイの各試験において内部標準化合物が必要である。
【0256】
明細書および以下の特許請求の範囲の全体にわたり、文脈上そうでないことが必要にならない限り、‘含む’ という語ならびに‘含む(単数形)’および‘含んでいる’など
の変化形は、提示する整数、段階、整数の群または段階の群を包含することを示唆しているが、他の整数、段階、整数の群または段階の群を除外することを示唆するわけではないことは、理解されるであろう。
【0257】
発明の態様
態様1
式I:
【化58】
[式中:
R1は、OR11またはNR5R5’であり;
R2は、HまたはFであり;
R5は、H、C1−C6アルキル、OH、C(=O)R6、O(C=O)R6またはOC(=O)OR6であり;
R5’は、HまたはC1−C6アルキルであり;
R6は、C1−C22アルキルまたはC3−C7シクロアルキルであり;
R11は、HまたはC1−C6アルキルであり;
R13は、H、フェニル、ピリジル、ベンジル、インドリルまたはナフチルであり、ここにおいて、該フェニル、ピリジル、ベンジル、インドリルおよびナフチルは、1、2または3個のR22で置換されていてもよく;
R15は、H、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7シクロアルキルC1−C3アルキル、フェニル、ベンジルまたはインドリルであり;
R15’は、HまたはC1−C6アルキルであり;または
R15およびR15’は、それらが付着している炭素原子と一緒になって、C3−C7シクロアルキレン基を形成し、ここにおいて、各C1−C6アルキルは、ハロ、OR18およびSR18から選択される基で置換されていてもよく、各C3−C7シクロアルキル、C3−C7シクロアルキレン、フェニルおよびベンジルは、C1−C3アルキル、ハロおよびOR18から独立して選択される1または2個の基で置換されていてもよく;
R16は、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7シクロアルキルC1−C3アルキル、ベンジルまたはフェニルであり、そのいずれもが、ハロ、OR18およびN(R18)2からそれぞれ独立して選択される1、2または3個の基で置換されていてもよく;
各R18は、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキルまたはC3−C7シクロアルキルであり;
各R22は、独立して、ハロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C1−C6ハロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、フェニル、ヒドロキシC1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキルカルボニル、C3−C6シクロアルキルカルボニル、カルボキシC1−C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、CNおよびNO2から選択されるか、または隣接する環炭素原子に付着している任意の2個のR22基が結合して、−O−(CR23R23’)1−6−O−を形成することができ;
R23およびR23’は、独立してHまたはC1−C3アルキルである]
によって表される化合物、または医薬的に許容しうるその塩および/もしくは溶媒和物。
態様2
R1がNH2またはNHC(=O)C1−C6アルキルである、態様1に記載の化合物。
態様3
R1がNH2で、R2がHである、態様1に記載の化合物。
態様4
R15’がHで、R15がC1−C3アルキルである、態様1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
態様5
R15がメチルである、態様4に記載の化合物。
態様6
R16がC3−C10アルキルである、態様1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
態様7
R16が2−プロピルペンチルまたは2−エチルブチルである、態様1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
態様8
R16がベンジルである、態様1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
態様9
R16がC3−C7シクロアルキルである、態様1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
態様10
R13がフェニルまたはナフチルであり、そのいずれもが1または2個のR22で置換されていてもよい、態様1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
態様11
R13がフェニルである、態様1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
態様12
医薬として用いるための、態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
態様13
癌の処置で用いるための、態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
態様14
肝癌の処置で用いるための、態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
態様15
治療的に有効な量の態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物を、医薬的に許容しうるアジュバント、希釈剤またはキャリヤーと共同して含む、医薬組成物。
態様16
癌の処置に用いるための、態様15に記載の医薬組成物。
態様17
癌が肝癌である、態様15に記載の使用。
態様18
癌が肝細胞癌である、態様15に記載の使用。
態様19
治療的に有効な量の態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬的組み合わせであって、さらに、化学療法薬、多剤耐性克服剤および生体応答修飾物質からなる群より選択される1種類以上の追加的治療薬を含む、前記医薬的組み合わせ。
態様20
追加的治療薬が化学療法薬である、態様19に記載の医薬的組み合わせ。
態様21
態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、癌の処置方法。
態様22
癌の処置のための医薬の製造における、態様1〜11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
特許および特許出願を含め、本明細書中で参照するすべての文書を、その全体として参考として援用する。