【0011】
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図2は、この発明の一実施形態に係る三叉状のカット刃10を示す斜視図である。カット刃10は、ボディ軸11の先端が縮径するテーパ12に加工され、テーパ12の先端から軸芯13方向に直線状に突出している。カット刃10は、ボディ軸11との一体成形品である。カット刃10は、
図3(B)の正面図に示すように。軸芯13の回りに、120°の角度をあけて三叉状に3等配された3つのカット刃10a、10b及び10cを含んでいる。各カット刃10a、10b、10cは、相互に等しい形態であり、
図3(B)に示すように、刃径(半径)はa、
図3(A)に示すように、刃先端部角度はe、各カット刃とカット刃とのなす刃先角度はdとされている。
【実施例】
【0014】
[実施例及び比較例の構成]
実施例1として、ハイス鋼で、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=22°の三叉状カット刃を作った。
実施例2として、ハイス鋼で、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=18°の三叉状カット刃を作った。
実施例3として、超微粒子超硬合金で、カッター刃(径半)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=24°の三叉状カット刃を作った。
【0015】
実施例4として、ハイス鋼で、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=160°、刃先端部角度eがe=24°の三叉状カット刃を作った。
実施例5として、超微粒子超硬合金で、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=160°、刃先端部角度eがe=22°の三叉状カット刃を作った。
実施例6として、超微粒子超硬合金で、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=160°、刃先端部角度eがe=18°の三叉状カット刃を作った。
また、実施例と比較する比較例の三叉状カット刃は、すべて、ハイス鋼で作成した。
【0016】
比較例1は、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=75°、刃先端部角度eがe=24°とした。
比較例2は、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=200°、刃先端部角度eがe=24°とした。
比較例3は、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=26°とした。
【0017】
比較例4は、カッター刃径(半径)aがa=1.0mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=15°とした。
比較例5は、カッター刃径(半径)aがa=0.8mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=24°とした。
比較例6は、カッター刃径(半径)aがa=1.2mm、刃先角度dがd=90°、刃先端部角度eがe=24°とした。
【0018】
[評価方法]
(1)実施例1〜6及び比較例1〜6の各カット刃で、
図1に示すゴム製弁1の弁体部2に、天面5から中央部を貫通させるようにスリットを形成した。
そして、形成されたスリットの長さをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製 型式:VHX−900、測定倍率:100倍)にて測定した。
測定値は、ゴム製弁10個を測定した際の平均値を記載した。
なお、スリットを見やすくするために、スリットにインクを染み込ませてから測定を行った。
(2)カット初期(スリット形成初期)のスリットの長さ(c)に対して、25万カット後のスリットの長さ(c ’)との比率(c/c’ )を算出し、c/c’ が0.95以上が耐久性◎、0.90〜0.95が耐久性○、0.90未満を耐久性Δと判定した。
(3)カット刃の干渉によって、ゴム製弁の穴部が損傷したサンプルが見つかった場合、外観検査をΔと判定した。
実施例1〜6及び比較例1〜6の構成とその評価結果を下記表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1において、比較例1は、刃先角度dが狭く、スリット長cが不十分である。比較例2は、刃先角度dが広く、刃の耐久性が良くない。比較例3は、刃先端部角度eが広く、カット時にゴムが逆げ、スリット長cが不十分である。比較例4は、刃先端部角度eが狭く、刃の耐久性が良くない。比較例5は、カッター刃径(半径)aが細く、スリット長cが不十分である。比較例6は、カッター刃径(半径)aが太く、ゴム製弁の穴部に損傷が生じた。
【0021】
実施例1〜6は、いずれも、性能的に満足のいく三叉状カット刃となった。
そして、この発明の実施例1〜6に係るカット刃を用いてスリットが形成された医療用ゴム製弁は、同じカッターの刃径(半径)aに対して、スリットの長さcをより長くすることができた。具体的には、0.6≦c/a≦0.9とすることができた。