特許第6905770号(P6905770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6905770
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】美顔器および美顔器キット
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20210708BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   A61H23/02 386
   A61H23/02 330
   A61H23/02 360
   A45D44/22 Z
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-113915(P2020-113915)
(22)【出願日】2020年7月1日
【審査請求日】2020年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】592116844
【氏名又は名称】アイオニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 満
(72)【発明者】
【氏名】柴田 大輔
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−104505(JP,A)
【文献】 特開2002−325634(JP,A)
【文献】 特開2020−031847(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3187462(JP,U)
【文献】 特表2014−526343(JP,A)
【文献】 特表2009−509643(JP,A)
【文献】 特開2019−013405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に把持される把持部と、
前記把持部から延出された導電性の支軸部と、
前記支軸部によって支持され、口腔内に挿入されるヘッド部と、
を含み、
前記支軸部は、前記把持部に収容される電池の一方の電極と電気的に接続され、
前記把持部は、前記電池の他方の電極と電気的に接続された導電部を有し、
前記ヘッド部は、頬の内側に接触される先端部を有し、
前記ヘッド部には、前記先端部に接触される液体と、前記支軸部と、を導通可能にする開口部が設けられ、
前記先端部は、
第1方向に延びる複数の第1凸部と、
前記第1凸部に接続され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第2凸部と、
を有する、美顔器。
【請求項2】
請求項において、
前記開口部は、2つの前記第1凸部の間に位置している、美顔器。
【請求項3】
請求項またはにおいて、
隣り合う前記第1凸部で形成される第1溝は、少なくとも一方の端部が開放されており、
隣り合う前記第2凸部で形成される第2溝は、少なくとも一方の端部が開放されている、美顔器。
【請求項4】
請求項ないしのいずれか1項において、
前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向からみて、前記第1凸部の外縁および前記第2凸部の外縁は、角を有さない、美顔器。
【請求項5】
請求項ないしのいずれか1項において、
前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向からみて、前記先端部は、前記先端部の外縁に沿って設けられた第3凸部を有し、
前記第3凸部は、前記第1凸部および前記第2凸部と離間し、
前記第3凸部には、切り欠きが設けられ、
前記開口部は、前記切り欠きに位置している、美顔器。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記ヘッド部は、前記把持部に対して、着脱可能である、美顔器。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記把持部に収容され、前記先端部を振動させるモーターを含む、美顔器。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記支軸部は、前記開口部において露出されている、美顔器。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記液体は、口腔用組成物を含み、
前記口腔用組成物は、保湿成分および抗老化成分から選択される1種以上を含む、美顔器。
【請求項10】
請求項に記載の美顔器と、
前記口腔用組成物と、
前記口腔用組成物が収容された容器と、
を含む、美顔器キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美顔器および美顔器キットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数多くのハンディータイプの美顔器が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、口の中から頬の裏をマッサージしてほうれい線や口元のシワを改善する美顔器が記載されている。特許文献1には、皮下深い部位のマッサージは、肌表面よりも口内の粘膜側からの方が物理的にアプローチしやすく、効果的であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020−31847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような美顔器では、美肌効果を向上させることが望まれている。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、美肌効果を向上させることができる美顔器を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記の美顔器を含む美顔器キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る美顔器の一態様は、
使用者に把持される把持部と、
前記把持部から延出された導電性の支軸部と、
前記支軸部によって支持され、口腔内に挿入されるヘッド部と、
を含み、
前記支軸部は、前記把持部に収容される電池の一方の電極と電気的に接続され、
前記把持部は、前記電池の他方の電極と電気的に接続された導電部を有し、
前記ヘッド部は、頬の内側に接触される先端部を有し、
前記ヘッド部には、前記先端部に接触される液体と、前記支軸部と、を導通可能にする開口部が設けられている。
【0008】
なお、本発明に係る記載では、「電気的に接続」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「A部材」という)に「電気的に接続」された他の特定の部材(以下「B部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A部材とB部材とが、直接接して電気的に接続されているような場合と、A部材とB部材とが、他の部材を介して電気的に接続されているような場合とが含まれるものとして、「電気的に接続」という文言を用いている。
【0009】
前記美顔器の一態様において、
前記先端部は、
第1方向に延びる複数の第1凸部と、
前記第1凸部に接続され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第2凸部と、
を有してもよい。
【0010】
前記美顔器の一態様において、
前記開口部は、2つの前記第1凸部の間に位置していてもよい。
【0011】
前記美顔器のいずれかの態様において、
隣り合う前記第1凸部で形成される第1溝は、少なくとも一方の端部が開放されており、
隣り合う前記第2凸部で形成される第2溝は、少なくとも一方の端部が開放されていてもよい。
【0012】
前記美顔器のいずれかの態様において、
前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向からみて、前記第1凸部の外縁および前記第2凸部の外縁は、角を有さなくてもよい。
【0013】
前記美顔器のいずれかの態様において、
前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向からみて、前記先端部は、前記先端部の外縁に沿って設けられた第3凸部を有し、
前記第3凸部は、前記第1凸部および前記第2凸部と離間し、
前記第3凸部には、切り欠きが設けられ、
前記開口部は、前記切り欠きに位置していてもよい。
【0014】
前記美顔器のいずれかの態様において、
前記ヘッド部は、前記把持部に対して、着脱可能であってもよい。
【0015】
前記美顔器のいずれかの態様において、
前記把持部に収容され、前記先端部を振動させるモーターを含んでもよい。
【0016】
前記美顔器のいずれかの態様において、
前記支軸部は、前記開口部において露出されていてもよい。
【0017】
前記美顔器のいずれかの態様において、
前記液体は、口腔用組成物を含み、
前記口腔用組成物は、保湿成分及び抗老化成分から選択される1種以上を含んでもよい。
【0018】
本発明に係る美顔器キットの一態様は、
前記美顔器の一態様と、
前記口腔用組成物と、
前記口腔用組成物が収容された容器と、
を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る美顔器では、イオン導入によって、液体に含まれる口腔用組成物を、頬の内側から生体内の深部に浸透させることができる。これにより、美肌効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る美顔器を模式的に示す正面図。
図2】本実施形態に係る美顔器を模式的に示す側面図。
図3】本実施形態に係る美顔器を模式的に示す背面図。
図4】本実施形態に係る美顔器を模式的に示す正面図。
図5】本実施形態に係る美顔器の把持部を模式的に示す正面図。
図6】本実施形態に係る美顔器を模式的に示す正面図。
図7】本実施形態の変形例に係る美顔器を模式的に示す正面図。
図8】本実施形態に係る美顔器キットを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0022】
1. 美顔器
1.1. 構成
本実施形態に係る美顔器について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る美顔器100を模式的に示す正面図である。図2は、本実施形態に係る美顔器100を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係る美顔器100を模式的に示す背面図である。図4は、本実施形態に係る美顔器100を模式的に示す正面図である。
【0023】
なお、図1図3は、キャップ部40が装着されていない状態の美顔器100を示している。図4は、キャップ部40が装着された状態の美顔器100を示している。また、図1〜4では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0024】
美顔器100は、図1図4に示すように、例えば、把持部10と、支軸部20と、ヘッド部30と、キャップ部40と、を含む。
【0025】
把持部10は、使用者に把持される部分である。把持部10は、例えば、Y軸方向に長手方向を有する形状である。把持部10のY軸方向の大きさは、例えば、ヘッド部30のY軸方向の大きさよりも大きい。
【0026】
把持部10は、図1図3に示すように、例えば、絶縁部11と、導電部12と、電池キャップ13と、を有している。ここで、図5は、絶縁部11を模式的に示す図である。図5では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。絶縁部11は、図5に示すように、導電部12が固定される導電部固定部11aと、電池キャップ13が係合される電池キャップ係合部11bと、を有している。
【0027】
把持部10は、例えば、図5に示すような略棒状の絶縁部11に円環状の導電部12を挿入して導電部固定部11aに導電部12を固定させ、その後、電池キャップ係合部11bに電池キャップ13を係合させて形成される。導電部固定部11aと導電部12との固定方法は、特に限定されないが、例えば、超音波接合が挙げられる。電池キャップ13は、絶縁部11の電池キャップ係合部11bに着脱可能に係合されている。
【0028】
絶縁部11および電池キャップ13の材質は、例えば、絶縁性樹脂である。具体的には、絶縁部11および電池キャップ13の材質は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂である。なお、絶縁部11および電池キャップ13の材質は、ABS樹脂に限定されず、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどであってもよい。
【0029】
導電部12の材質は、例えば、ABS樹脂などの絶縁性樹脂に、ニッケルなどのめっき処理を施した樹脂めっきである。なお、導電部12の材質は、樹脂めっきに限定されず、例えば、金属であってもよい。
【0030】
把持部10の内部には、図1に示すように、例えば、電池14と、発光体15と、モーター16と、が収容されている。把持部10の内部には、例えば、電池14、発光体15、およびモーター16が収容できるような空洞が設けられている。
【0031】
電池14は、例えば、アルカリ乾電池、マンガン乾電池などの乾電池である。電池14は、第1電極(一方の電極)14aと、第2電極(他方の電極)14bと、を有している。第1電極14aは、例えば、マイナスの電極である。第2電極14bは、例えば、プラスの電極である。図示の例では、第1電極14aは、第2電極14bよりも+Y軸方向に位置している。第1電極14aは、支軸部20と電気的に接続される。第2電極14bは、導電部12と電気的に接続される。電池14を交換する場合は、電池キャップ13を絶縁部11から取り外して行う。
【0032】
発光体15は、例えば、電池14の+Y軸方向に設けられている。発光体15は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。発光体15は、電池14の第1電極14aおよび第2電極14bと電気的に接続されて、発光する。発光体15で発せられた光は、把持部10の絶縁部11に設けられた透過部17を透過して、美顔器100の外部に射出される。これにより、使用者は、電池14の残量を知ることができる。
【0033】
モーター16は、例えば、発光体15の+Y軸方向に設けられている。モーター16は、電池14の第1電極14aおよび第2電極14bと電気的に接続されて駆動し、ヘッド部30を振動させる。モーター16は、ヘッド部30を振動させることができれば、特に限定されないが、例えば、偏心モーターである。
【0034】
モーター16および発光体15は、把持部10の絶縁部11に設けられたスイッチ18が押されることによってON状態となるように構成されている。具体的には、スイッチ18が押されることより、モーター16は、第1電極14aおよび第2電極14bと電気的に接続されて駆動し、発光体15は、第1電極14aおよび第2電極14bと電気的に接続されて発光する。さらに、スイッチ18が押されることにより、美顔器100は、第1電極14aと支軸部20とが電気的に接続されるように構成されている。
【0035】
モーター16および発光体15は、ON状態から再度スイッチ18が押されることによってOFF状態となるように構成されている。具体的には、スイッチ18が押されることより、モーター16は、第1電極14aおよび第2電極14bとの電気的接続が解除されて駆動が停止され、発光体15は、第1電極14aおよび第2電極14bとの電気的接続が解除されて発光が停止する。さらに、スイッチ18が押されることにより、美顔器100は、第1電極14aと支軸部20との電気的接続が解除される。
【0036】
なお、美顔器100は、スイッチ18の押下に関わらず、常に、第1電極14aと支軸部20とが電気的に接続されている構成を有していてもよい。
【0037】
把持部10のヘッド部30と接続される側には、第1係合部19が設けられている。第1係合部19は、ヘッド部30の第2係合部39と係合可能である。第1係合部19は、第2係合部39と係合することができれば、その形状は特に限定されない。
【0038】
支軸部20は、把持部10から延出している。具体的には、支軸部20は、図1に示すように、把持部10の+Y軸方向の端部から、ヘッド部30の先端部31まで、延出して
いる。支軸部20は、例えば、棒状の形状である。支軸部20は、導電性である。支軸部20の材質は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)である。支軸部20および把持部10は、特に限定されないが、例えば、インサート成形によって形成される。
【0039】
ヘッド部30は、支軸部20によって支持されている。ヘッド部30の材質は、例えば、シリコーン樹脂、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)などである。ヘッド部30がシリコーン樹脂であれば、ヘッド部30は、適度な柔らかさを有することができる。ヘッド部30の材質がEPDMまたはTPUであれば、射出成形によってヘッド部30を形成することができる。
【0040】
ヘッド部30は、美顔器100の使用時に、口腔内に挿入される。ヘッド部30は、口腔内に挿入されて、頬の内側に接触される先端部31を有している。ここで、図6は、美顔器100を模式的に示す正面図であって、先端部31近傍を示す図である。図6では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0041】
先端部31の外縁は、図6に示すように、Z軸方向からみて、角を有さない。そのため、使用者は、痛みを感じることなく、先端部31を頬の内側に接触させることができる。なお、「角」とは、2つの線分が交わって構成される部分のことである。
【0042】
先端部31は、第1方向に延びる複数の第1凸部32と、第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第2凸部33と、を有している。第1方向は、Z軸方向からみて、X軸方向およびY軸方向に対して傾いた方向である。第2方向は、Z軸方向からみて、X軸方向およびY軸方向に対して傾いた方向である。複数の第1凸部32および複数の第2凸部33によって、先端部31の表面31aは、凹凸形状を有している。
【0043】
先端部31の表面31aにおいて、複数の第1凸部32は、例えば、所定の間隔で配列されている。複数の第2凸部33は、例えば、所定の間隔で配列されている。図示の例では、複数の第1凸部32のうちの第1凸部32aに、複数の第2凸部33が接続されている。複数の第2凸部33のうちの第2凸部33aに、複数の第1凸部32が接続されている。
【0044】
先端部31の表面31aには、隣り合う第1凸部32によって、第1溝34が形成されている。第1溝34は、第1凸部32の延出方向である第1方向に沿って形成されている。第1溝34の少なくとも一方の端部は、開放されている。具体的には、第2凸部33aに接続された第1凸部32によって形成される第1溝34では、一方の端部34aは、開放されており、他方の端部34bは、第2凸部33aによって塞がれている。第2凸部33aと離間している第1凸部32によって形成される第1溝34では、両方の端部が開放されている。
【0045】
先端部31の表面31aには、隣り合う第2凸部33によって、第2溝35が形成されている。第2溝35は、第2凸部33の延出方向である第2方向に沿って形成されている。第2溝35の少なくとも一方の端部は、開放されている。具体的には、第1凸部32aに接続された第2凸部33によって形成される第2溝35では、一方の端部35aは、開放されており、他方の端部35bは、第1凸部32aによって塞がれている。先端部31の表面31aには、第1凸部32および第2凸部33によって囲まれる空間が形成されていない。
【0046】
先端部31の表面31aをZ軸方向からみて、第1凸部32の外縁および第2凸部33の外縁は、角を有さない。図示の例では、第1凸部32の外縁および第2凸部33の外縁は、直線と、円弧と、で構成されている。
【0047】
先端部31には、開口部36が設けられている。図示の例では、先端部31は、開口部36の−Y軸方向の端部36aよりも+Y軸方向に位置する部分(ヘッド部30の部分)である。開口部36は、複数の第1凸部32のうちの2つの第1凸部32b,32cの間に設けられている。図示の例では、開口部36は、第1凸部32および第2凸部33と離間している。支軸部20は、開口部36において露出されている。開口部36は、先端部31に接触される液体と、支軸部20と、を導通可能にする。
【0048】
ヘッド部30は、図1に示すように、先端部31から一体的にくびれて延出しているシャンク部37を有している。シャンク部37には、支軸部20が挿入される支軸部挿入孔38が設けられている。支軸部挿入孔38は、開口部36と連通している。シャンク部37の把持部10と接続される側には、把持部10に設けられた第1係合部19と係合する第2係合部39が設けられている。第2係合部39は、第1係合部19と係合することができれば、その形状は特に限定されない。第2係合部39によって、ヘッド部30は、把持部10に対して、着脱可能である。
【0049】
キャップ部40は、図4に示すように、把持部10の絶縁部11、およびヘッド部30を覆って設けられている。図示に示す例では、キャップ部40は、把持部10の導電部12および電池キャップ13を覆っていない。キャップ部40は、把持部10に対して、着脱可能である。キャップ部40の材質は、例えば、絶縁部11と同じである。
【0050】
1.2. 液体
液体は、美顔器100を使用する際に、先端部31に接触される。液体は、例えば、使用者の唾液のみでも構わないが、口腔用組成物を含むことが好ましい。美顔器100を使用する際に、先端部31に液体を接触させながら頬の内側をマッサージすることにより、頬の内側からのイオン導入性が向上する。また、前記液体が、保湿成分や抗老化成分が配合された口腔用組成物を含む場合、マイナスイオン導入による相乗効果により口腔内の内側からこれらの成分を効果的に吸収させて皮膚の状態を健やかに保つことができる。すなわち、人間の頬の内側は通常マイナスにチャージしており、そこに先端部31を接触させてマイナスイオンを導入させると、静電反発力が生じることで保湿成分や抗老化成分を頬の内側から浸透させようとする作用が生じるのである。なお、「先端部31に接触される液体」は、流動性を有している状態であってもよいし、高い粘性を持って流動性を失ったジェル状の状態であってもよい。
【0051】
かかる口腔用組成物は、主要な液状媒体として水を含有する。水の含有量は、口腔用組成物100質量%中に、50〜99質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましい。
【0052】
かかる口腔用組成物は、抗老化(抗シワ、抗たるみ、抗糖化等)成分を含有することが好ましい。抗老化成分としては、ビタミンC誘導体、L−オキシプロリン、N−アセチル−L−ヒドロキシプロリン、N−アセチルグルコサミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、アーチチョークエキス、アスタキサンチン、アマチャエキス、イチョウ葉エキス、ウコンエキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、オタネニンジン根エキス、オリーブ葉エキス、加水分解コラーゲン(液)、加水分解コンキオリン(液)、加水分解卵黄膜、カッコンエキス、カニナバラ果実エキス、紅茶エキス、サンショウエキス、シャクヤクエキス、スイカズラエキス、スギナエキス、スターフルーツ葉エキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、ダイズエキス、チャ葉エキス、チョウウジエキス、ツボクサエキス、トウキエキス、トコトリエノール、ドクダミエキス、トマトエキス、ナイアシンアミド、ニコチン酸アミド、ニンジンエキス、ノバラエキス、パルミチン酸レチノール、ブドウ種子エキス、プラセンタエキス、ベニバナエキス、
マツエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、ユーカリエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス等が挙げられる。これらの抗老化成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。抗老化成分の含有量は、口腔用組成物100質量%中に、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。
【0053】
かかる口腔用組成物は、保湿成分を含有することが好ましい。保湿成分としては、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、D−マンニット、DL−アラニン、L−アスパラギン酸、L−アラニン、L−アルギニン、L−イソロイシン、L−オキシプロリン、L−スレオニン、L−セリン、L−チロシン、L−バリン、L−ヒスチジン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−リジン液、L−ロイシン、γ−アミノ酪酸、アシタバエキス、アスパラギン酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸誘導体、アロエエキス、エクトイン、塩酸リジン、オウバクエキス、オウレンエキス、オクラエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、加水分解エラスチン、加水分解シルク(液)、キウイエキス、グルコース、グルタミン、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グレープフルーツエキス、コメヌカエキス、コレステロール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サイシンエキス、サイタイエキス、サクシノイルアテロコラーゲン(液)、サンザシエキス、ジオウエキス、シソエキス、シラカバエキス、水溶性コラーゲン、水溶性プロテオグリカン、セラミド、セリシン、セリン、タイソウエキス、タウリン、デキストラン、トウニンエキス、トリメチルグリシン、トレオニン、トレハロース、乳酸ナトリウム、乳糖、尿素、ニンニクエキス、パセリエキス、ハトムギ種子エキス、ハチミツ、バリン、ビオチン、プロポリスエキス、プロリン、メチルグルセス−10、メチルグルセス−20、ユズエキス、ユビキノン、ユビデカレノン、リンゴエキス、レイシエキス、レシチン、レモンエキス、ローヤルゼリーエキス等が挙げられる。これらの保湿成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。保湿成分の含有量は、口腔用組成物100質量%中に、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。
【0054】
かかる口腔用組成物は、有効成分をさらに含有してもよい。口腔用組成物に使用される有効成分としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β−グリチルレチン酸、ハッカ油、ユーカリ油、ヒノキチオール、酢酸DL−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール、dl−メントール等が挙げられる。これらの有効成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。有効成分は、口腔用組成物の医薬部外品における承認基準内の量を配合することができる。
【0055】
かかる口腔用組成物は、口腔内での潤いを保つために、湿潤剤をさらに含有してもよい。このような湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ラクトール等が挙げられる。これらの湿潤剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。湿潤剤の含有量は、口腔用組成物100質量%中に、5〜40質量%であることが好ましく、8〜35質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
【0056】
かかる口腔用組成物は、口腔内で唾液により希釈されたときの粘度低下を低減するために、水溶性高分子をさらに含有してもよい。このような水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等が挙げら
れる。これらの水溶性高分子は、1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。水溶性高分子の含有量は、口腔用組成物100質量%中に、0.1〜3質量%であることが好ましく、0.3〜2質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが特に好ましい。
【0057】
かかる口腔用組成物の25℃での粘度は、好ましくは500〜30,000mPa・sであり、より好ましくは1,000〜20,000mPa・sであり、特に好ましくは2,000〜15,000mPa・sである。口腔用組成物の粘度が前記範囲にあると、先端部31から口腔用組成物が垂れ落ちにくくなるので使用性が向上する。また、口腔内で唾液により希釈されても粘度低下を低減でき、口腔内での滞留性も向上する。口腔用組成物の粘度は、温度を25℃に制御した、B型粘度計を用いて測定することができる。
【0058】
かかる口腔用組成物は、上記成分以外の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、細胞賦活成分、エモリエント成分、抗炎症成分、血行促進成分、収れん成分、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤、香料、甘味剤、着色剤、保存剤等が挙げられる。
【0059】
かかる口腔用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば真空撹拌装置を用いて上記成分を適宜混合撹拌すればよい。
【0060】
1.3. 使用方法
美顔器100の使用方法としては、まず、使用者は、上記の口腔用組成物が収容された容器から、口腔用組成物を取り出し、美顔器100の先端部31に接触させる。次に、使用者は、スイッチ18を押して、モーター16を駆動させ、さらに、支軸部20と電池14の第1電極14aとを電気的に接続される。そして、使用者は、導電部12に手を触れながら把持部10を把持し、ヘッド部30を口腔内に挿入させて、先端部31を頬の内側に接触させる。これにより、第2電極14b、導電部12、使用者の手、体、頬、先端部31に接触されている液体、開口部36に溜まった液体、支軸部20、および第1電極14aという経路で電流が流れる。この電流によって、液体に含まれる口腔用組成物を、頬の内側から生体内の深部に浸透させることができる。
【0061】
このように、美顔器100では、イオン導入によって、口腔用組成物を、頬の内側から生体内の深部に浸透させることができる。さらに、美顔器100では、モーター16によって、複数の第1凸部32および複数の第2凸部33が設けられた先端部31を振動させて、頬の内側をマッサージすることができる。
【0062】
1.4. 作用効果
美顔器100では、支軸部20は、把持部10に収容される電池14の第1電極14aと電気的に接続され、把持部10は、電池14の第2電極14bと電気的に接続された導電部12を有し、ヘッド部30は、頬の内側に接触される先端部31を有し、ヘッド部30には、先端部31に接触される液体と、支軸部20と、を導通可能にする開口部36が設けられている。そのため、美顔器100では、上記のように、イオン導入によって、液体に含まれる口腔用組成物を、頬の内側から生体内の深部に浸透させることができる。これにより、美顔器100では、美肌効果を向上させることができる。
【0063】
美顔器100では、先端部31は、第1方向に延びる複数の第1凸部32と、第1凸部32に接続され、第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第2凸部33と、を有する。このように美顔器100では、2つの異なる方向に延びる複数の凸部を有しているため、美顔器100を使用する際に、液体を容易に先端部31に留めておくことができる。例えば1つの方向に延びる凸部しか先端部に設けられていない場合は、凸部の延出方向に沿って先端部から液体が流れてしまい、頬の内側と液体との導通をとることが難しくなる。
一方、3つ以上の異なる方向に延びる複数の凸部が先端部に設けられている場合、使用者は、ザラザラした不快感を覚える場合ある。美顔器100では、2つの異なる方向に延びる複数の凸部によって、使用者に不快感を与えることなく、使用者の頬と液体との導通を確保することができる。
【0064】
美顔器100では、開口部36は、2つの第1凸部32の間に位置している。そのため、美顔器100では、2つの第1凸部32の間を流れる液体を、開口部36に導くことができる。そのため、使用者の頬と液体との導通を確保し易い。
【0065】
美顔器100では、隣り合う第1凸部32で形成される第1溝34は、少なくとも一方の端部が開放されており、隣り合う第2凸部33で形成される第2溝35は、少なくとも一方の端部が開放されている。そのため、先端部31には、第1凸部32および第2凸部33によって囲まれる空間が形成されていない。これにより、使用者の頬と支軸部20とを電気的に接続し易い。例えば第1凸部および第2凸部によって囲まれる空間が形成されると、該空間に液体が溜まり、該空間に溜まった液体は、開口部に流れ込まなくなる。そのため、使用者の頬と支軸部とを電気的に接続できない場合がある。
【0066】
美顔器100では、第1方向および第2方向と直交する第3方向(Z軸方向)からみて、第1凸部32の外縁および第2凸部33の外縁は、角を有さない。そのため、使用者は、痛みを感じることなく、先端部31を頬の内側に接触させることができる。
【0067】
美顔器100では、ヘッド部30は、把持部10に対して、着脱可能である。そのため、美顔器100では、例えば、開口部36に流れ込んで支軸部20に付着した液体を、把持部10からヘッド部30を外して洗浄することができる。さらに、例えば、親子などで、把持部10を共通として、別々のヘッド部30を使用することができる。
【0068】
美顔器100では、把持部10に収容され、先端部31を振動させるモーター16を含む。そのため、美顔器100では、先端部31を振動させて、頬の内側をマッサージすることができる。
【0069】
美顔器100では、支軸部20は、開口部36において露出されている。そのため、美顔器100では、開口部36に流れ込んだ液体を、より確実に支軸部20に接触させることができる。
【0070】
美顔器100では、先端部31に接触される液体は、口腔用組成物を含み、口腔用組成物は、保湿成分および抗老化成分から選択される1種以上を含むことが好ましい。これにより、美顔器100では、皮膚に有効な成分を、頬の内側から生体内の深部に浸透させることができる。
【0071】
1.5. 変形例
次に、本実施形態の変形例に係る美顔器について、図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の変形例に係る美顔器200を模式的に示す正面図である。図7では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。以下、本実施形態の変形例に係る美顔器200において、上述した本実施形態に係る美顔器100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0072】
上述した美顔器100では、図6に示すように、先端部31は、第1凸部32と、第2凸部33と、を有していた。
【0073】
これに対し、美顔器200は、図7に示すように、さらに、第3凸部230を有してい
る。第3凸部230は、第1凸部32および第2凸部33と離間している。第3凸部230は、Z軸方向からみて、先端部31の外縁に沿って設けられている。図示の例では、第3凸部230は、先端部31の外縁と接触している。なお、図示はしないが、第3凸部230は、先端部31の外縁と離間していていもよい。
【0074】
第3凸部230には、切り欠き232が設けられている。開口部36は、切り欠き232に位置している。すなわち、Z軸方向からみて、開口部36は、切り欠き232と重なっている。
【0075】
美顔器200では、第3凸部230によって、先端部31に接触された液体を開口部36に導くことができる。そのため、美顔器200では、先端部31に接触される液体と、支軸部20と、の導通を、より確実に確保することができる。
【0076】
2. 美顔器キット
次に、本実施形態に係る美顔器キットについて、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る美顔器キット300を模式的に示す図である。
【0077】
美顔器キット300は、図8に示すように、上述した美顔器100と、口腔用組成物310と、口腔用組成物310が収容された第1容器320と、美顔器100および第1容器320が収容された第2容器330と、を含む。なお、便宜上、図8では、第2容器330を透視して図示している。また、図示はしないが、美顔器キット300は、美顔器100の代わりに上述した美顔器200を含んでもよい。
【0078】
口腔用組成物310については、上述した「1.2. 液体」で記載した口腔用組成物の説明を適用することができる。第1容器320の大きさおよび形状は、口腔用組成物310を収容することができれば、特に限定されない。第2容器330の大きさおよび形状は、美顔器100および第1容器320を収容することができれば、特に限定されない。また、第1容器320および第2容器330の材質についても、特に限定されない。
【0079】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0080】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0081】
10…把持部、11…絶縁部、11a…導電部固定部、11b…電池キャップ係合部、12…導電部、13…電池キャップ、14…電池、14a…第1電極、14b…第2電極、15…発光体、16…モーター、17…透過部、18…スイッチ、19…第1係合部、20…支軸部、30…ヘッド部、31…先端部、31a…表面、32,32a,32b,32c…第1凸部、33,33a…第2凸部、34…第1溝、34a,34b…端部、35…第2溝、35a,35b…端部、36…開口部、36a…端部、37…シャンク部、38…支軸部挿入孔、39…第2係合部、40…キャップ部、100,200…美顔器、230…第3凸部、232…切り欠き、300…美顔器キット、310…口腔用組成物、320…第1容器、330…第2容器
【要約】
【課題】美肌効果を向上させることができる美顔器を提供する。
【解決手段】本発明に係る美顔器100は、使用者に把持される把持部10と、把持部10から延出された導電性の支軸部20と、支軸部20によって支持され、口腔内に挿入されるヘッド部30と、を含み、支軸部20は、把持部10に収容される電池14の一方の電極14aと電気的に接続され、把持部10は、電池14の他方の電極14bと電気的に接続された導電部12を有し、ヘッド部30は、頬の内側に接触される先端部31を有し、ヘッド部30には、先端部31に接触される液体と、支軸部20と、を導通可能にする開口部36が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8