特許第6905880号(P6905880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6905880
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】クロロスルホン化ポリエチレンゴム引布
(51)【国際特許分類】
   B32B 25/10 20060101AFI20210708BHJP
   C08L 23/34 20060101ALI20210708BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20210708BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210708BHJP
   C08K 5/405 20060101ALI20210708BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   B32B25/10
   C08L23/34
   C08L63/00 A
   C08K3/36
   C08K5/405
   B32B27/32 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-125820(P2017-125820)
(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-53235(P2018-53235A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2020年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-186992(P2016-186992)
(32)【優先日】2016年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 博
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−012326(JP,A)
【文献】 特開昭61−000252(JP,A)
【文献】 特開昭52−029845(JP,A)
【文献】 特開2000−327868(JP,A)
【文献】 特開2001−329119(JP,A)
【文献】 特開平08−302116(JP,A)
【文献】 特開平03−139545(JP,A)
【文献】 特開2015−145443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、エポキシ化合物を20〜60重量部、シリカを15〜80重量部含有してなるクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有してなるクロロスルホン化ポリエチレンゴム引布
【請求項2】
クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、チオ尿素系加硫促進剤を0.5〜5重量部含有してなる請求項1記載のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有してなるクロロスルホン化ポリエチレンゴム引布
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明性に優れたクロロスルホン化ポリエチレンゴム引布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロロスルホン化ポリエチレンゴムは、耐寒性、耐候性、耐熱性、耐油性、耐オゾン性、耐薬品性に優れたゴムであり、これらの特性を生かして、ゴム引布、ホース、電線被覆、パッキン、ロール、ライニング、エスカレータの手摺、ゴムボート、自動車用ベルト、建材用目地材など様々な用途で使用されている。
【0003】
一般にゴム製品は、架橋(加硫)によって着色するため、透明のゴムを製造することは困難である。クロロスルホン化ポリエチレンゴムも同様であり、架橋に際して脱塩酸が生じて黒色を帯びるため、透明性の高いゴムは得られなかった。また、マトリックスが着色してしまうことから、隠蔽性の高い顔料による着色は可能であるが、蛍光色、淡色、透明のメタリック調など繊細な色味を付与することも困難であった。
したがって、合成樹脂成形品に対して、耐寒性、耐候性等の観点からゴム成形品に置き換える要求があっても、透明性が求められる用途には使用できないほか、色味も制限されるため、代替が困難であった。
【0004】
一般的なゴム組成物中に微粉シリカを多量に添加するとゴム成形品の透明性がある程度維持されることが知られている。クロロスルホン化ポリエチレンゴムの配合においても、微粉シリカを添加することで透明性が改善されることは確認されている。しかしながら、クロロスルホン化ポリエチレンゴムの一般的な架橋剤である金属酸化物を使用すると、黄変現象と曇り現象が生じてしまう問題が発生する。この金属酸化物の一部あるいは全量をエポキシ樹脂に置換すると黄変現象と曇り現象を軽減することは可能であるが、一般的なエポキシ樹脂の添加量(クロロスルホン化ポリエチレンゴム100重量部に対して5〜15重量部)では、得られるゴム成形品が水浸試験において吸水し、強く白濁して透明性を喪失してしまう問題があった。
【0005】
一方で、透明なクロロスルホン化ポリエチレンゴムを提供する方法として、エポキシ化天然ゴムとクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物とを混練加熱してセルフ架橋させる方法が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、加硫剤(架橋剤)や加硫促進剤(架橋促進剤)を添加していないため、透明であって蛍光発色させることが可能であるとされている。
しかしながら、セルフ架橋は、架橋が安定しないため量産化には不向きであった。また、添加剤の種類や量が制限されるため、所望の物性のゴム成形品を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−329119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、透明性に優れ、耐水性を有するクロロスルホン化ポリエチレンゴム引布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
(1)クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、エポキシ化合物を20〜60重量部、シリカを15〜80重量部含有してなるクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有してなるクロロスルホン化ポリエチレンゴム引布
(2)クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、チオ尿素系加硫促進剤を0.5〜5重量部含有してなる請求項1記載のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有してなるクロロスルホン化ポリエチレンゴム引布
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物は透明性に優れるため、透明性が要求される用途への展開が可能となるばかりでなく、従来、困難であるとされていた蛍光色、淡色、透明のメタリック調などの繊細な色味を付与することが可能である。
さらに、本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物は、水浸しても白濁することがないため、ゴムボートやエアーテントなどの屋外での使用においても十分に耐えることができる。
また、本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有してなるゴム引布は、ゴム層が透明であるため基布の色彩や絵柄をゴム引布の外観に反映させることができる。そのため、ゴム引布の色彩や絵柄の自由度が格段に増し、意匠性に優れたゴム引布を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明におけるクロロスルホン化ポリエチレンは、ポリエチレンをクロロスルホン化して得られるものの総称であり、その製法は特に制限はなく、公知の方法によって合成される。なお、本明細書において、ポリエチレンは、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等も含むものである。
本発明におけるクロロスルホン化ポリエチレンの塩素量、硫黄量については、特に制限はないが、塩素量15〜45重量%、硫黄量0.3〜2.0重量%であることが好ましい。
【0011】
本発明に使用されるエポキシ化合物は、クロロスルホン化ポリエチレンの架橋剤として作用する化合物であり、架橋反応時に発生する塩化水素等の酸性ガスを捕捉する受酸剤として作用する化合物である。
エポキシ化合物は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の活性基を有する化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって合成される化合物である。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって合成されるエポキシ化合物、ノボラックとエピクロルヒドリンとの反応によって合成されるエポキシ化ノボラック樹脂、エポキシ化クレゾール化合物、エポキシ化アルコール化合物、エポキシ化メタクリル酸化合物、エポキシ化フェニルジアミン化合物等が挙げられるが、ビスフェノールAとエピクロルヒドリドンとの反応によって合成されるエポキシ化合物が好ましい。
また、エポキシ化合物のエポキシ当量(エポキシ基1個あたりの当量:g/eq)は100〜300であることが好ましい。
【0012】
本発明において、エポキシ化合物はクロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対して、20〜60重量部好ましくは、30〜50重量部添加される。
20重量部未満であると、クロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物から得られるゴム成形品が水浸試験において吸水し、強く白濁して透明性を喪失してしまう。反対に、60重量部を超えると、得られるゴム成形品の強度が低下する。
【0013】
本発明に使用されるシリカは、湿式法シリカ、乾式法シリカのいずれを用いてもよい。また疎水化処理したシリカを用いてもよい。かかるシリカの具体例としては、例えば東ソー・シリカ株式会社製のニップシール(Nipsil、登録商標)シリーズの各種非晶質シリカや、あるいは日本アエロジル株式会社製のアエロジル(AEROSIL、登録商標)シリーズの各種非晶質シリカなどが挙げられる。
【0014】
シリカは、クロロスルホン化ポリエチレン100重量部あたり15〜80重量部であることが好ましく、さらに好ましくは20〜80重量部である。
シリカの配合量が15重量部未満であると、透明性を付与する効果が得られない。また、引張強さや破断伸びなどの機械的強度が低下する場合もある。
反対にシリカの配合量が80重量部を超えると、ゴム組成物の粘度が高くなりすぎて成形が困難になる傾向にある。
【0015】
本発明においては、エポキシ化合物に加え、加硫促進剤を用いることが好ましい。加硫促進剤は、チオ尿素系、チウラム系、グアニジン系などが挙げられるが、本発明においてはチオ尿素系であることが好適である。チオ尿素系加硫促進剤をエポキシ化合物と組み合わせて用いると、加硫時における着色(変色)が十分に抑制されるため、より透明性の高いゴム成形品が得られる。
チオ尿素系加硫促進剤の配合量は、クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対して、0.5〜5重量部である。0.5重量部未満であると、加硫速度が著しく遅くなるため、成形上不都合が生じる。反対に5重量部を超えると、混練り時のスコーチの危険性が高まるとともに、透明性が低下する傾向にある。
なお、架橋を安定させるために、チオ尿素系加硫促進剤に加えて他の加硫促進剤を用いることもできる。加硫促進剤の総量は、クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
【0016】
本発明においては、上記クロロスルホン化ポリエチレン、エポキシ化合物、シリカ、加硫促進剤に加え、必要に応じて、加工助剤、顔料、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等を配合することも可能である。しかしながら、充填剤、補強剤の配合は、得られるゴム成形品の透明性を損なう傾向にあるため、充填剤や補強剤の種類および配合量は慎重に選定する必要がある。
【0017】
加工助剤は、パラフィン・ワックス、ポリエチレン・ワックス、マイクロクリスタリン・ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等が挙げられる。
加工助剤の添加量は、クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、0.5〜10重量部程度である。
【0018】
可塑剤は、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のエステル系可塑剤、ナフテン系プロセス油、アロマ系プロセス油、塩素化パラフィン等が挙げられる。
可塑剤の添加量は、クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、1〜50重量部程度である。
なお、本発明においては、クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、エポキシ化合物を20〜60重量部を添加してなるものであり、エポキシ化合物は架橋剤としての役割だけでなく可塑化効果も有するため、可塑剤の添加量を減らすあるいは可塑剤の添加を不要とすることができる。可塑剤の添加量を減らすあるいは可塑剤の添加を不要とできることにより、可塑剤のブリードアウトを抑制する、あるいは可塑剤のブリードアウトがなくなるため、可塑剤のブリードアウトによる経時での透明性の低下という問題を回避することができる。
【0019】
老化防止剤は、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、フェノール系、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
老化防止剤の添加量はクロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対し、0.5〜5重量部用いられる。
【0020】
本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物は、ミキシングロールやバンバリーミキサー等を用いて常法により混合される。そして金型に充填し架橋成形することにより、透明性に優れた成形品を得ることができる。
また、本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物は、カレンダーや押出成形によって、所定厚みの透明性に優れたゴムシートを得ることもできる。
【0021】
ゴムシートの透明性の評価方法は、全光線透過率(JIS-K7105に基づく)、ヘイズ(JIS-K7105に基づく)を測定する方法が挙げられる。
本発明における透明性に優れたゴムシートとしては、全光線透過率が70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、かつ、ヘイズが60%以下が好ましく、より好ましくは40%以下であり、、更に好ましくは30%以下である。
【0022】
本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物から得られる成形品、ゴムシートは、マトリックスの透明性が非常に高いため、添加する顔料あるいは染料の色味が鮮明に発現する。したがって、従来、困難であるとされていた有色透明や、蛍光色、淡色、透明のメタリック調など、さまざま色味のゴム成形品、ゴムシートの提供が可能となる。
【0023】
さらに本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物は、ゴム引布のゴム層として使用することができる。本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有するゴム引布は、ゴム層が高い透明性を有するため、基布の色彩や絵柄が明瞭に現れる。
一般にゴム引布はゴム層に顔料を添加することで色彩を発現させているが、ゴム層が成形時の加硫工程で着色してしまうため、淡い色味にしたり、ゴム層に絵柄を付与させたりすることは困難であった。また、ゴム層は印刷適性が優れないため、ゴム層に絵柄を印刷することも困難であった。
しかしながら、本発明のゴム引布のゴム層は高い透明性を有するため、ゴム層の下層の基布の色彩や絵柄が鮮明に現れる。そのため、意匠性を有する生地をゴム引布の基布として用いれば、従来にない意匠性を有するゴム引布を得ることができる。
もちろん、基布の色彩や絵柄を発現させず、ゴム層に顔料や染料を添加して、ゴム層に任意の色味を付与することも可能である。なお、上記のように、従来、困難とされていた有色透明や、蛍光色、淡色、透明のメタリック調など、さまざま色味のゴム引布の提供も可能である。
【0024】
基布は、木綿、絹、麻、ウール、レーヨン、ビニロン、ビニリデン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、アラミド、炭素繊維、ガラス繊維、ロックウール、金属繊維等のあらゆる繊維からなる織布あるいは編布を用いることができる。
【0025】
ゴム層の厚みは0.05〜1.0mmである。0.05mm未満であると、基布にゴム層を設けた効果が発現しにくいばかりが、均一な層とすることが困難となる。反対に1.0mmを超えると、ゴム層の透明性が悪化し、基布の色彩や絵柄が鮮明に現れなくなる傾向にある。
【0026】
ゴム層には、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤が含有されていると、ゴム層自体の耐候性が向上するだけでなく、基布の色彩や絵柄の退色を防止することが可能となる。すなわち、ゴム層に紫外線吸収剤を添加することによって、長期に亘って鮮明な色味、絵柄のゴム引布が提供される。
【0027】
ゴム層の積層方法は通常のゴム引布の製造方法において行われている方法が採用できる。すなわち、カレンダー加工や、押出機による押出加工等により分出した未加硫のゴムシートを基布にトッピングする方法や、ゴム層を形成する組成物を溶剤で希釈したゴム溶液を基布の表面にコーティングし、乾燥、成膜する方法が採用できる。
なお、前者の未加硫のゴムシートを基布にトッピングする方法においては、基布と未加硫のゴムシートの接着性を向上させるために、接着層を設けるとよい。接着層は、予めゴム層を形成するゴム組成物あるいはゴム層と同種のゴム組成物を溶剤で希釈して適当な粘度に調整し、基布に塗布することで形成される。
接着層を形成するゴム組成物中には、基布との接着強度を上げるためにイソシアネートを添加してもよい。
接着層の厚みは特に限定されないが、固形分として10〜100g/m程度であることが好ましい。
【0028】
本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有するゴム引布は、耐寒性、耐候性に優れ、水浸しても白濁することがないため、ゴムボートやエアーテントなどの屋外での使用においても十分に耐えることができる。
【実施例】
【0029】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0030】
<実施例1〜7、比較例1〜3>
表1に記載の配合のゴム組成物をミキシングロールで混合し、まず、約1mm厚の未加硫ゴムシートを作成した。この未加硫のゴムシートを裁断してキャビティ厚0.7mmのプレス用金型に仕込み、150℃で20分プレス加硫して、厚さ0.7mmのゴムシートを得た。
表中の配合成分は以下のとおりである。
・クロロスルホン化ポリエチレン 東ソー株式会社製、TS−530
・エポキシ化合物 新日鉄住金化学株式会社製、エポトートYD128
・金属酸化物 酸化マグネシウム 協和化学工業社製 キョーワマグ#150
・シリカ 東ソー・シリカ社製、ニップシールVN3
・可塑剤 DOP(ジオクチルフタレート)
・紫外線吸収剤 BASF社製、チヌビン571
・安定剤 日本合成化学社製、ノイライザーP
・チオ尿素系加硫促進剤 川口化学工業社製、アクセルEUR
・チウラム系加硫促進剤 三新化学工業社製、サンセラーTS
・チウラム系加硫促進剤 三新化学工業社製、サンセラーTRA
【0031】
【表1】
【0032】
各実施例、比較例で得られたゴムシートについて、以下の項目について評価した。
【0033】
<全光線透過率>
JIS−K7105に基づき測定した。
【0034】
<ヘイズ>
JIS−K7105に基づき測定した。
【0035】
<水浸試験>
各実施例、比較例で得られたゴムシートを常温下で水に含浸させ、24時間後の様子を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○・・・変化なし
×・・・白濁している
【0036】
実施例1に記載の配合からなるゴム層を有するゴム引布を製造した。
基布厚0.42mm、重量240g/mの迷彩柄プリントの綿織布からなる基布の上に、実施例1に記載のゴム配合をトルエンで50%に希釈し、さらにイソシアネート(住化バイエルウレタン社製、デスモジュールRFE)を固形分に対して3%加えたゴム溶液をドクターナイフで50g/m(固形分)コーティングして接着層を設け、接着層上に実施例1記載のゴム組成物をカレンダーで混練して0.15mm厚でトッピングして未加硫ゴム層を形成し、150℃のギアオーブンにて、20分加硫してゴム引布を得た。
得られたゴム引布は基布の迷彩柄が鮮明であり、用いた基布の色味がそのまま発現していた。
また、このゴム引布について、サンシャインウェザーメーターにより、温度63℃、60分当たり12分の水噴射の条件下、2000時間経過した後の様子を観察したところ、色相の変化は見られず、基布の迷彩柄が鮮明であった。
以上の結果から、本発明のクロロスルホン化ポリエチレンゴム組成物からなるゴム層を有してなるゴム引布は、従来にない意匠性を有し、屋外での使用においても十分に耐えら
れることがわかる。