特許第6906032号(P6906032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906032
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】車載工事標識
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/662 20160101AFI20210708BHJP
【FI】
   E01F9/662
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-196953(P2019-196953)
(22)【出願日】2019年10月30日
(65)【公開番号】特開2021-70944(P2021-70944A)
(43)【公開日】2021年5月6日
【審査請求日】2019年10月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 算用子 徹は、展示日 平成31年1月16日、17日 (1)第12回現場力向上フォーラム(2)NTT中央研修センタにて「ロール式工事看板」を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】算用子 徹
【審査官】 柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−246242(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3035255(JP,U)
【文献】 特開2010−230188(JP,A)
【文献】 特開2014−214438(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3170292(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3012291(JP,U)
【文献】 米国特許第03949503(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02275125(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第02063970(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/662
G09F 17/00
G09F 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付ける車載工事標識であって、
前記車両の車幅方向に取り付けられるフレームと、
前記フレームに取り付けられ、巻取り収納可能なロールスクリーンを備え
前記ロールスクリーンには通行可能な方向を示す矢印が描かれており、前記ロールスクリーンは前記フレームにおいて前記矢印の示す方に寄せて取り付けられる
ことを特徴とする車載工事標識。
【請求項2】
前記ロールスクリーンの下端の両端を結ぶワイヤーを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の車載工事標識。
【請求項3】
収納状態の前記ロールスクリーンを覆うカバーを備え、
前記カバーは、前記ロールスクリーンを巻き取る部材の径よりも狭い幅の取り出し口を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車載工事標識。
【請求項4】
前記フレームはコの字型であって、前記フレームを立てた状態でコの字型の両端のそれぞれを別々の側アオリに取り付けられ、
前記ロールスクリーンはコの字型の車幅方向に延びる部分に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車載工事標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載工事標識に関する。
【背景技術】
【0002】
通信線の保守点検作業においては安全に作業をすることが望まれている。架空ケーブルの保守およびマンホール内保守の場合、道路上で作業を行うことがある。この場合、作業車両を道路の端に寄せて駐車し、作業車両および作業場所を安全柵を設置したうえで作業を開始する。安全柵は、例えばカラーコーンとコーンバーを用いて構成したものであり、コーンバーに工事標識を取り付ける。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“工事中看板”、[online]、東京標識株式会社、[2019年10月11日検索]、インターネット〈 URL:http://tokyohyoshiki.co.jp/product09.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工事現場では安全柵を設置しているが、毎年、作業車両に自転車や自動車が衝突する飛び込まれ事故が数件発生している。
【0005】
安全柵の設置の際は、まず作業車両からカラーコーンやコーンバーを取り出し、カラーコーンを並べてコーンバーを取り付け、コーンバーに工事標識を設置する。工事標識の設置に時間がかかると、ドライバーへの注意喚起が遅れてしまう。交通量の多い道路の工事では、迅速に工事標識を設置することが、作業者の安全性の観点から望まれている。
【0006】
また、工事標識のサイズが小さいと、遠くから視認しにくいという問題があった。遠くから視認できる目立つ工事標識を設置できれば、早めにドライバーに対して注意喚起できる。しかしながら、工事標識のサイズを大きくすると、工事標識を設置する際に時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、迅速に設置でき、視認性のよい工事標識を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の車載工事標識は、車両に取り付ける車載工事標識であって、前記車両の車幅方向に取り付けられるフレームと、前記フレームに取り付けられ、巻取り収納可能なロールスクリーンを備え、前記ロールスクリーンには通行可能な方向を示す矢印が描かれており、前記ロールスクリーンは前記フレームにおいて前記矢印の示す方に寄せて取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、迅速に設置でき、視認性のよい工事標識を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の車載工事標識の使用中の様子を示す図である。
図2図2は、本実施形態の車載工事標識の収納時の様子を示す図である。
図3図3は、本実施形態の車載工事標識のカバーを外した様子を示す図である。
図4図4は、カバーの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の車載工事標識の使用中の様子を示す図である。図1は、車両を後方から見た図である。本実施形態の車載工事標識は、車両の後部の車外に取り付けられる。車両は、例えば、工事現場の手前に、車道の左側に寄せられて停車される。
【0013】
図1に示す車載工事標識は、ロールスクリーン10とフレーム20を備える。
【0014】
ロールスクリーン10は、路上を通行する歩行者、自転車、および自動車のドライバーに工事中であることを知らせるための工事標識である。例えば、工事中の文字と通行可能な方向を示す矢印を記載する。ロールスクリーン10の背景を黄色の蛍光色とし、矢印の色を赤色にすることで、注意を喚起できる。ロールスクリーン10に記載する内容および色は、上記に限らず、任意に変更してもよい。ロールスクリーン10に反射素材を用いてもよい。また、ロールスクリーン10に防水素材を用いたり、ロールスクリーン10に撥水スプレーを吹きかけたりすることで、雨や雪に対応できる。
【0015】
フレーム20は、ロールスクリーン10を車両に固定するためのコの字型の金属部材である。フレーム20のコの字型の両端には、フレーム20を車両に固定するための固定部21A,21Bを備える。フレーム20のコの字型の両サイドの棒を立てた状態で、固定部21A,21Bで車両のサイドアオリ51のそれぞれを挟み、車両の後部にフレーム20を車幅方向に固定する。車幅方向とは、車両の進行方向に直交する方向である。固定部21A,21Bは、サイドアオリ51の上面と外側に接触する部分にゴム23を備える。固定部21A,21Bは、サイドアオリ51の内側からゴム足付きボルトなどによりサイドアオリ51を挟んでフレーム20を車両に固定する。
【0016】
フレーム20のコの字型の横棒に沿ってロールスクリーン10が配置される。フレーム20の高さは、フレーム20を車両に固定したときに、ロールスクリーン10が歩行者やドライバーの目線の高さにくる高さであればよい。フレーム20の幅は、車両のサイドアオリ51間の長さであればよい。車両の種類によってサイドアオリ51間の長さが異なるので、フレーム20に振り出し構造20Aを備えて、フレーム20の幅を可変としてもよい。
【0017】
なお、ロールスクリーン10は、フレーム20の一方(車両を後方から見たときの右側)に寄せた位置に配置される。これにより、遠くの位置から、工事中の車両をどの程度避けなければならないのか容易に把握することができる。
【0018】
引き出されたロールスクリーン10は、ロールスクリーン10の下端のウエイトバー12に取り付けたワイヤー11により車両に固定される。ワイヤー11をロールスクリーン10の幅よりも長くしておき、ワイヤー11の両端のそれぞれをウエイトバー12の両端を結ぶ。ワイヤー11を引けば、ロールスクリーン10が引き出される。ロールスクリーン10を引き出した状態で、ワイヤー11を車両に固定する。例えば、車両後部下の複数個所にロープ(ワイヤーでもよい)を取り付けておき、そのロープのそれぞれにワイヤー11をカラビナで固定する。ウエイトバー12の両端のそれぞれが車両に固定されるとよい。ウエイトバー12の両端を結ぶワイヤー11を備えることで、ロールスクリーン10の下端を車両にしっかりと固定できるので、ロールスクリーン10が強風に耐える効果がある。
【0019】
収納状態のロールスクリーン10を覆うカバー31を取り付けてもよい。フレーム20にカバー31を取り付けるための支持部33を備えて、支持部33にカバー31を固定する。
【0020】
図2は、本実施形態の車載工事標識の収納時の様子を示す図である。図2に示すように、本実施形態の車載工事標識は、ロールスクリーン10をカバー31内に収納することができる。車両は、ロールスクリーン10を巻取り収納した状態で走行可能である。ロールスクリーン10を収納した状態では、ロールスクリーン10が邪魔にならないので、リヤアオリ52を開けることができ、荷台から荷物を取り出すことも容易である。図1,2では、車両の荷台に何も載せていないが、高所作業のためのバケットを載せた車両に本実施形態の車載工事標識を取り付けてもよい。
【0021】
固定部21A,21Bは、金属部材をコの字型にしたものである。前述したように、固定部21A,21Bは、サイドアオリ51の上面と外側に接触する部分にゴム23を備える。また、固定部21A,21Bは、サイドアオリ51の内側に配置される金属部材にゴム足付きボルト22を備える。本実施形態では、固定部21A,21Bのそれぞれに4本のゴム足付きボルト22を2列で配置した。ゴム足付きボルト22は、先端にゴム足22Aがついたボルトである。固定部21A,21Bの奥行き(サイドアオリ51に沿った方向)は、フレーム20をしっかりと立てて取り付けられる長さにするとよい。
【0022】
車載工事標識を取り付ける際、まず、フレーム20の横幅が車両の横幅に合うように振り出し構造20Aを調整する。続いて、固定部21A,21Bそれぞれの2つの金属部材の間にサイドアオリ51を挟みこむ。固定部21A,21Bの上部の金属部材の内側をサイドアオリ51の上面に密接させる。ゴム足22Aと外側の金属部材のゴム23とでサイドアオリ51をしっかりと挟むようにゴム足付きボルト22を締める。
【0023】
なお、バンなどのサイドアオリ51がない車両については、ルーフキャリアにフレーム20を固定してもよい。この場合、固定部21A,21Bをルーフキャリアにしっかりと固定できる形状とする。フレーム20をルーフに固定する場合は、ロールスクリーン10がルーフから車両の下部までを覆う程度となるように、フレーム20の高さを低くしてもよい。
【0024】
次に、本実施形態の車載工事標識のロールスクリーンとカバーについて説明する。
【0025】
図3は、本実施形態の車載工事標識のカバー31を外した様子を示す図である。
【0026】
ロールスクリーン10は、フレーム20に取り付けられた背面板32に固定される。背面板32は、ロールスクリーン10の幅よりも少し長い、L字型に折り曲げられた金属板である。背面板32は、図上でフレーム20の右側に寄せた位置に固定されている。
【0027】
ロールスクリーン10は、収納時、工事標識が描かれた面を内側にして巻取りパイプ13に巻き取られる。巻取りパイプ13は、保持部14に回転可能に保持される。保持部14が背面板32のL字型の内側に固定される。
【0028】
巻取りパイプ13の筒の内側にスプリングを備えて、ロールスクリーン10が自動で巻き取られるようにしてもよい。例えば、ロールスクリーン10に取り付けられたワイヤー11を下に引くことで、巻取りパイプ13に巻き取られたロールスクリーン10が広げられる。ワイヤー11から手を離すと、ロールスクリーン10が広げられたままの状態で停止する。ロールスクリーン10が広げられた状態で、ワイヤー11を軽く下に引いて手を離すと巻取りパイプ13がロールスクリーン10を巻き上げる。
【0029】
ロールスクリーン10、巻取りパイプ13、および保持部14には、一般的なロールスクリーンの構造を用いることができる。ロールスクリーン10を自動で巻き取る機構を備えずに、チェーンなどを用いて手動でロールスクリーン10を巻き取るようにしてもよい。
【0030】
図3では、工事標識をロールスクリーン10の内側に描き、ロールスクリーン10の内側面が表示されるようにロールスクリーン10を背面板32に取り付けたが、ロールスクリーン10の外側に工事標識を描き、ロールスクリーン10の外側面が表示されるようにロールスクリーン10を背面板32に取り付けてもよいし、ロールスクリーン10の両面に工事標識を描いてもよい。また、ロールスクリーン10を保持部14ごと交換できるようにして、工事の内容に応じたロールスクリーン10を背面板32に取り付けられるようにしてもよい。
【0031】
カバー31は、ロールスクリーン10の上面、前面、および側面を覆う部材である。カバー31は、フレーム20の上面に固定された支持部33にねじ止めされる。
【0032】
カバー31の下面は、ロールスクリーン10が引き出せるように開口されている。図4の断面図に示すように、本実施形態では、カバー31の下面と背面板32との間にロールスクリーン10を引き出すための取り出し口34を設けた。カバー31内には、ロールスクリーン10とウエイトバー12が収納される。ワイヤー11を取り出し口34から露出させる。
【0033】
取り出し口34の幅は、ウエイトバー12の径よりも広く、巻取りパイプ13の径よりも狭くしている。これにより、ロールスクリーン10を引き出した際に、巻取りパイプ13が保持部14から外れても、巻取りパイプ13が道路上に転げ落ちることがなくなる。
【0034】
次に、本実施形態の車載工事標識を用いたときの安全柵の設置について説明する。
【0035】
まず、本実施形態の車載工事標識を取り付けた車両を工事現場のそばに停車させる。例えば、マンホール内で工事を行う場合、マンホールの手前に車両を停車させる。なお、車載工事標識は、ロールスクリーン10が巻き取られて収納された状態である。車両は、車載工事標識を固定し、ロールスクリーン10を収納した状態で走行可能である。
【0036】
続いて、作業者が車両から降りて、車両の後方に移動し、ワイヤー11を引いてロールスクリーン10を引き出す。これにより、工事標識が設置される。ワイヤー11から手を離しても、ロールスクリーン10は引き出されたまま停止する。風などによってロールスクリーン10がめくれたり、ロールスクリーン10が勝手に巻き取られたりしないように、ワイヤー11を車両に固定する。
【0037】
その後、作業者は、車両からカラーコーンおよびコーンバーを取り出して、安全柵を設置する。安全柵の設置時には、工事標識が掲げられているので、工事現場に近づく自動車のドライバーへ注意喚起でき、飛び込まれ事故の発生を抑制できる。
【0038】
安全柵の設置が終わると、工事を開始する。
【0039】
工事終了後、安全柵を片付ける。ワイヤー11の固定を解除し、ワイヤー11を軽く下に引くことで、ロールスクリーン10が巻き取られて収納される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、車載工事標識が、車両の後部の車外に車幅方向に取り付けられるフレーム20と、フレームに取り付けられ、巻取り収納可能なロールスクリーン10を備えることにより、ロールスクリーン10を引き出すだけで、迅速に工事標識を設置できる。また、ロールスクリーン10を引き出すだけでよいので、工事標識であるロールスクリーン10を大きくしても設置にかかる時間はほとんど変わらないので、視認性のよい工事標識を提供できる。
【0041】
本実施形態によれば、ロールスクリーン10の下端のウエイトバー12の両端を結ぶワイヤー11を備えることで、ロールスクリーン10の下端を車両に固定できるので、強風などにより、ロールスクリーン10がめくれたり、ロールスクリーン10が巻き取られたりすることを抑止できる。
【0042】
本実施形態によれば、収納状態のロールスクリーン10を覆うカバー31を備え、カバー31は、ロールスクリーン10を巻き取る巻取りパイプ13の径よりも幅の狭い取り出し口34を備えることで、車両の走行中やロールスクリーン10を引っ張ったときに、保持部14から巻取りパイプ13が外れてしまっても、ロールスクリーン10および巻取りパイプ13が路上に放り出されることがない。
【0043】
本実施形態によれば、ロールスクリーン10をフレーム20の一方に寄せて取り付けることで、どこまで道路を占拠しているのかを遠くから認識できる。例えば、複数の走行車線がある道路で工事を行うとき、工事現場を通過する自動車のドライバーは、車線変更する必要があるのか、少し避ければ通過できるのかを遠くから認識できる。
【符号の説明】
【0044】
10…ロールスクリーン
11…ワイヤー
12…ウエイトバー
13…巻取りパイプ
14…保持部
20…フレーム
20A…振り出し構造
21A,21B…固定部
22…ボルト
22A…ゴム足
23…ゴム
31…カバー
32…背面板
33…支持部
34…取り出し口
図1
図2
図3
図4