特許第6906046号(P6906046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6906046車両の会話情報出力装置、及び会話情報出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906046
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】車両の会話情報出力装置、及び会話情報出力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20210708BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20210708BHJP
   G10L 13/033 20130101ALI20210708BHJP
【FI】
   G06F3/16 610
   G06F3/16 690
   B60R11/02 S
   G10L13/033 102Z
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-512107(P2019-512107)
(86)(22)【出願日】2017年4月12日
(86)【国際出願番号】JP2017015011
(87)【国際公開番号】WO2018189840
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 久之輔
(72)【発明者】
【氏名】榎本 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】河合 大輔
(72)【発明者】
【氏名】市川 和宏
(72)【発明者】
【氏名】衣畑 昌範
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏志
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−259446(JP,A)
【文献】 特開2013−169873(JP,A)
【文献】 特開2002−071379(JP,A)
【文献】 特開2002−304362(JP,A)
【文献】 特開2004−054883(JP,A)
【文献】 特開2006−258428(JP,A)
【文献】 特開平11−259271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
B60R 11/02
G10L 13/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定される人格に応じた会話情報を、車両を運転する運転者に出力する車両の会話情報出力装置であって、
前記運転者による車両の使用状態に関する使用情報を取得する取得部と、
互いに異なる複数の初期人格を記憶する記憶部と、
前記取得部で取得する使用情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記複数の初期人格から選択された人格を変更する変更部と、
前記変更部にて変更される人格に基づいて前記運転者に出力すべき会話情報を作成する作成部と、
前記作成部で作成される会話情報を前記運転者に出力する出力部と、を備え、
前記会話情報は、会話内容及び会話頻度の少なくとも一方を含み、
前記使用情報は、前記運転者の車両運転の使用経験の増加に伴って変化する経験変化情報を含み、
前記変更部は、前記選択された人格を前記経験変化情報に応じて変化させる、車両の会話情報出力装置。
【請求項2】
前記変更部は、予め定められる条件を満たすと人格の変更を停止するように構成されている、請求項1に記載の車両の会話情報出力装置。
【請求項3】
前記経験変化情報は、累計走行エリアを含み、
前記変更部は、前記累計走行エリアにおける、頻繁に走行するエリア、又は、過去に走行したエリアの広さ、に基づいて前記人格を変更する、請求項2に記載の車両の会話情報出力装置。
【請求項4】
前記使用情報は、車体に関する車体情報を含み、
前記車体情報は、構成部品の交換又は点検に関する情報を含む、請求項1乃至の何れか1つに記載の車両の会話情報出力装置。
【請求項5】
前記変更部は、経験変化情報に含まれる累計使用年数が積算されると、それに応じて前記人格の属性の1つである年齢を積み重ねるように、前記年齢を変更する、請求項1乃至4の何れか1つに記載の車両の会話情報出力装置。
【請求項6】
前記変更部は、前記車両の車種に応じて前記人格を変更する、請求項1乃至5の何れか1つに記載の車両の会話情報出力装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記選択された人格を識別情報とともに記憶する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両の会話情報出力装置。
【請求項8】
車両を運転する運転者に会話情報を出力するための会話情報出力方法であって、
前記運転者による車両の使用状態に関する使用情報を取得する取得工程と、
互いに異なる複数の初期人格を記憶する記憶工程と、
前記取得工程にて取得する使用情報に基づいて、前記記憶工程で記憶された前記複数の初期人格から選択された人格を変更する変更工程と、
前記変更工程で変更された人格に基づいて、前記運転者に会話情報を出力する出力工程と、を有し、
前記使用情報は、前記運転者の車両運転の使用経験の増加に伴って変化する経験変化情報を含み、
前記変更工程では、前記選択された人格を前記経験変化情報に応じて変化させる、車両の会話情報出力方法。
【請求項9】
走行中に前記運転者が得た体験に関する体験情報を記憶する体験情報記憶工程と、
前記体験情報記憶工程にて記憶する体験情報を出力する体験情報出力工程と、を有し、請求項に記載の車両の会話情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定される人格に応じた会話情報を、車両を運転する運転者に出力する車両の会話情報出力装置、及び会話情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、騎乗型車両を擬人化してユーザと会話する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−289006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、使用者の意図を考慮して情報を出力する。しかしながら、同じ状況下において同じ情報が繰り返して出力されるので、運転者に飽きを生じさせやすい。
【0005】
そこで、本件発明は、車両から多様な情報を出力することができる車両の会話情報出力装置、及び会話情報出力方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の会話情報出力装置は、予め設定される人格に応じた会話情報を、車両を運転する運転者に出力する車両の会話情報出力システムであって、前記運転者による車両の使用状態に関する使用情報を取得する取得部と、前記取得部で取得する使用情報に基づいて、設定される人格を変更する変更部と、前記変更部にて変更される人格に基づいて運転者に出力すべき会話情報を作成する作成部と、前記作成部で作成される会話情報を運転者に出力する出力部と、を備えるものである。
【0007】
本発明に従えば、運転者による車両の使用状態によって、会話情報出力装置における人格の設定が変わる。人格の変化によって、出力される情報の内容を多様化させることができる。
【0008】
上記発明において、前記使用情報は、前記運転者の使用経験の増加に伴って変化する経験変化情報を含んでもよい。
【0009】
上記構成に従えば、使用経験に応じて人格を変化させることができ、使用経験が増す毎に出力される情報を多様化させることができる。即ち、運転者の使用経験が増すことによって車両もまたあたかも経験が増して変化しているかのような感覚を運転者に与えることができる。
【0010】
上記発明において、前記経験変化情報は、累計走行距離、累計走行時間、累計使用年数、及び累計走行エリア、予め定められる速度帯にて走行した累計時間のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0011】
上記構成に従えば、運転者の使用経験の増加に伴う変化の履歴の1つである走行履歴等に関連する情報を経験変化情報とし、これに基づいて人格を変化させることによって、運転者の使用経験に応じて人格変化を達成しやすくなる。
【0012】
上記発明において、前記使用情報は、走行時における前記運転者の運転操作の傾向を示す運転傾向情報を含んでもよい。
【0013】
上記構成に従えば、運転者毎に異なる運転傾向情報に基づいて人格を変えることによって、出力する情報を更に多様化させることができる。
【0014】
上記発明において、前記変更部は、予め定められる条件を満たすと人格の変更を停止するように構成されていてもよい。
【0015】
上記構成に従えば、人格の変更を停止する条件を設定することによって、不所望な人格の変更が行われることを止めることができる。
【0016】
上記発明において、前記使用情報は、車体に関する車体情報を含んでもよい。
【0017】
上記構成に従えば、車体情報を考慮することで、車両の使用状態だけでなく車両自体の状態にも応じて人格が変更されるので、出力される情報を更に多様化させることができる。
【0018】
本発明の会話情報出力方法は、車両を運転する運転者に会話情報を出力するための会話情報出力方法であって、運転者による車両の使用状態に関する使用情報を取得する取得工程と、前記取得工程にて取得する使用情報に基づいて、運転者に会話情報を出力する出力工程と、を有し、前記使用情報は、前記運転者の使用経験の増加に伴って変化する経験変化情報を含む方法である。
【0019】
上記構成に従えば、運転者の使用経験に基づいて出力される情報が選択される。それ故、出力される情報を多様化させることができる。
【0020】
上記発明において、走行中に運転者が得た体験に関する体験情報を記憶する体験情報記憶工程と、前記体験情報記憶工程にて記憶する体験情報を出力する体験情報出力工程と、を有していてもよい。
【0021】
上記構成に従えば、走行中に得た体験に関する記憶を共有している印象を与えることができる。これにより、運転者が鞍乗型車両に対する愛着を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両から多様な情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る会話情報出力装置を備える会話情報出力システムの構成を示すブロック図である。
図2】情報出力装置の情報出力処理を行う際の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態の会話情報出力装置13について図面を参照して説明する。また、以下に説明する会話情報出力装置13は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0025】
自動二輪車及び全地形対応車(ATV)等の鞍乗型車両を含む車両では、車両を擬人化して車両を運転する運転者があたかも車両と会話しているかのように感覚を得られるようにしている。本実施形態では、図1に示す自動二輪車2においてそのような感覚を与えるべく会話情報出力システム1が採用されている。以下では、会話情報出力システム1について説明する。
【0026】
<会話情報出力システム>
会話情報出力システム1は、予め設定される人格に基づいて会話情報を出力して運転者Rからの入力情報に対して受け答えを行い、また設定させる人格を種々の情報に基づいて変更するように構成されている。このような機能を有する会話情報出力システム1は、車体側出力器11と、音声装置12と、会話情報出力装置13とを備えている。車体側出力器11は、自動二輪車2の車体に備わっており、音声装置12は、例えば運転者Rが被るヘルメットに取付けられている。また、会話情報出力装置13は、車体から離れた位置にあるサーバ、例えばクラウドサーバ14によって実現される。なお、クラウドサーバ14は、種々のクライアントがインターネットを通じてアクセス可能なクラウド上に構築されたサーバである。このような構成を備える会話情報出力システム1では、車体側出力器11、音声装置12、及び会話情報出力装置13が以下のように構成されている。
【0027】
即ち、車体側出力器11は、制御装置20、スイッチ群21、計器類22、車両センサ群23、及び車体側無線通信部24を有している。制御装置20は、エンジンECU及びブレーキECU等を含んでいる。エンジンECUは、スロットル装置、燃料噴射装置、及び点火装置を電子制御し、更に基本的な電子制御に対して燃料カットや点火カット等の補助的な制御を行うようになっている。また、ブレーキECUは、前輪及び後輪がロックしないようにブレーキ機構の動作を制御し(ABS)、前輪及び後輪に発生させるブレーキ力の配分を制御する(CBS)ようになっている。なお、制御装置20は、必ずしもエンジンECU及びブレーキECUの2つを有している必要はなく、エンジンECUだけを備えていてもよい。このように構成されている制御装置20は、スイッチ群21、計器類22、車両センサ群23、及び車体側無線通信部24に電気的に接続されている。
【0028】
スイッチ群21は、各種機器に対する電力の供給の入切を行う複数のスイッチを有しており、例えば主電源スイッチを含んでいる。主電源スイッチは、それに対する切換操作に応じてオン信号及びオフ信号の何れかを制御装置20に出力する。制御装置20は、オン信号が入力されると各種制御対象機器に対する電子制御を開始し、オフ信号が入力されると各種制御対象機器を停止させる。また、制御装置20は、オン信号が入力されると、計器類22に電力を供給して計器類22を駆動させるようになっている。計器類22は、種々の情報を表示するようになっており、例えば距離計、速度計、回転計、及び時計等を有している。計器類22は、制御装置20から各計器に応じた情報(即ち、累計走行距離、車体の速度、エンジン回転数、及び時刻)を取得し、その情報を表示するようになっている。また、制御装置20は、車両センサ群23に接続されており、車両センサ群23から種々の情報を取得するようになっている。
【0029】
車両センサ群23は、入力系センサ群31と、出力系センサ群32、外部環境系センサ群33と有している。入力系センサ群31は、運転者Rのアクションによって車体側に入力される入力操作を検出するようになっており、例えば運転者Rのアクセル操作、ブレーキ操作、クラッチレバーの操作の有無、運転者Rのシフト操作、運転者Rのステアリング操作、運転者Rの体重移動操作、及び運転者Rのコーナリング操作等を夫々検出する。更に、入力系センサ群31は、検出した入力操作に基づいて入力操作情報を制御装置20に出力し、制御装置20は、入力操作情報に基づいて各種制御対象機器の動作を制御するようになっている。
【0030】
更に詳細に説明すると、入力系センサ群31は、例えば、スロットル開度センサ(TH開度センサ)、ブレーキポジションセンサ、クラッチセンサ、ギアポジセンサ、ステアリング角センサ、荷重センサ、ジャイロセンサ等を有している。スロットル開度センサ(TH開度センサ)は、スロットル弁の開度によって運転者Rのアクセル操作量を検出する。ブレーキポジションセンサは、ブレーキレバー及びブレーキペダルのポジションによって運転者Rのブレーキ操作量を検出する。クラッチセンサは、クラッチレバーの操作の有無によって運転者Rのクラッチ操作を検出する。ギアポジセンサは、変速段の変化によって運転者Rのシフト操作を検出する。ステアリング角センサは、ステアリングシャフトの回動角(前輪の操舵角)によって運転者Rのステアリング操作を検出する。荷重センサは、自動二輪車2の前側シート、後側シート、及び左右の足元にあるステップに夫々設けられ、運転者Rの体重、同乗者の体重、並びに運転者Rの左右の体重割合(即ち、左右の体重移動)を夫々検出する。ジャイロセンサは、車体における互いに直交する3軸まわりの加速度、速度又は角変位を検出するようになっている。本実施形態において、ジャイロセンサは、車体のロール角、ピッチ角、及びヨー角を検出しており、例えば運転者Rのコーナリング操作を検出することができる。
【0031】
また、出力系センサ群32は、入力操作に対する車体の各種機器の出力を検出するようになっており、例えば自動二輪車2の車輪速、エンジン回転数、及びステアリングトルクを夫々検出する。更に、出力系センサ群32は、検出した出力に基づいて出力情報を制御装置20に出力し、制御装置20は、出力情報に基づいて計器類22に車輪速及びエンジン回転数を出力して表示させるようになっている。更に詳細に説明すると、出力系センサ群32は、例えば、車輪速センサ、エンジン回転数センサ、及びひずみセンサ等を有している。車輪速センサは、前輪及び後輪の各々の回転速度、即ち車輪速を検出する。エンジン回転数センサは、エンジンの回転数を検出し、ひずみセンサは、ステアリングトルクを検出するべく、ステアリングシャフトの軸線回りの歪み量を検出する。
【0032】
更に、外部環境系センサ群33は、自動二輪車2周辺の環境に関する情報を検出するようになっており、例えば、自動二輪車2の現在位置、自動二輪車2周辺の温度、自動二輪車2周辺の明るさ(即ち、照度)等を夫々検出する。外部環境系センサ群33は、検出した出力に基づいて出力情報を制御装置20に出力する。更に詳細際に説明すると、外部環境系センサ群33は、例えば、GPSセンサ、温度センサ、照度センサを有している。GPSセンサは、自動二輪車2の現在位置を検出し、温度センサは、自動二輪車2周辺の温度を検出し、照度センサは、自動二輪車2周辺の明るさ(即ち、照度)を検出する。
【0033】
このように車両センサ群23は、複数のセンサを有しており、各センサによって検出される種々の情報を制御装置20に出力する。制御装置20は、受信した種々の情報に基づいて各種制御対象機器の動きを制御したり、またそれ以外の各種機器を動かしたりするようになっている。また、制御装置20には、車体側無線通信部24と接続されている。車体側無線通信部24は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって携帯情報端末25と通信可能に構成されている。携帯情報端末25は、受信した情報に基づいてアプリケーション等を実行して種々の情報を表示し、また操作して情報を出力可能に構成されている。また、携帯情報端末25は、図示しない基地局を介してインターネットに接続可能に構成されており、車体側無線通信部24をインターネットに接続すべく中継器の役割も果たしている。従って、車体側無線通信部24は、携帯情報端末25を介してインターネットに接続でき、またインターネットを介して会話情報出力装置13と通信できるようになっている。これにより、制御装置20は、車両センサ群23で検出される情報等を車体側無線通信部24を介して会話情報出力装置13に出力できるようになっている。なお、自動二輪車2では、他の自動二輪車2と識別すべく個々に識別番号が設定されており、車体側無線通信部24は、種々の情報を識別番号車と共に会話情報出力装置13に出力するようになっている。
【0034】
また、車体側無線通信部24には、前述する近距離無線通信によって音声装置12と通信可能に構成されており、音声装置12との間で音声情報(音声信号)の送受信を行うようになっている。音声装置12は、音声装置側無線通信部35、音声出力部36と、音声入力部37とを有している。音声装置側無線通信部35は、車体側出力器11の車体側無線通信部24との間で音声情報を送受信するように構成されている。音声装置側無線通信部35は、音声出力部36及び音声入力部37と接続されている。音声出力部36は、例えばスピーカであり、運転者Rの耳元周辺に位置するようにヘルメット内に取付けられている。なお、音声出力部36は、必ずしもスピーカでなくてもよく、イヤフォンであってもよい。また、音声出力部36は、必ずしも音声出力タイプのものに限定されず、骨伝導タイプのものであってもよい。音声出力部36は、車体側無線通信部24から音声装置側無線通信部35を介して送られてくる音声情報を音声(警告音等の音、及び自然言語による音声)として出力するようになっている。
【0035】
音声入力部37は、例えばマイクロフォンであり、運転者Rの口元周辺に位置するようにヘルメットに取付けられている。なお、音声入力部37もまた、マイクロフォンに限定されず、骨伝導タイプのものであってもよい。音声入力部37は、運転者Rが発する音声を集音する。即ち、運転者Rは、音声入力部37を介して自然言語の音声を入力することができるようになっており、音声入力部37は、入力される音声を音声情報に変換して音声装置側無線通信部35に送るようになっている。また、音声装置側無線通信部35は、音声入力部37から送られてくる音声情報を近距離無線通信で車体側出力器11の車体側無線通信部24に送る。また、送られた音声情報は、車体側無線通信部24及び携帯情報端末25を介して会話情報出力装置13に前述する識別情報に関連付けられて送信される。
【0036】
会話情報出力装置13は、サーバ側無線通信部41及び記憶部42を有している。出力部の一例であるサーバ側無線通信部41は、車体側無線通信部24との間で無線によって情報を送受信し、記憶部42は、受信した情報をそれと共に送信されてくる識別番号毎に分けて記憶している。また、会話情報出力装置13は、使用情報取得部43を有しており、使用情報取得部43は、受信して記憶部42に記憶された情報に基づいて使用情報を取得するようになっている。使用情報は、運転者Rによる車両の使用状態に関する情報であって、経験変化情報が含まれる。また、経験変化情報は、運転者Rの使用経験の増加に応じて変化する情報であり、例えば累計走行距離、累計走行時間、累計使用年数、累計走行エリア、及び走行速度帯の累計時間等を含んでいる。なお、経験変化情報に含まれる情報は、必ずしも前述する情報に限定されず、連続走行速度、平均走行速度、特定位置の到達、車検回数、給油回数、初期設定された場所からの走行エリアの拡大量、ECU乗プロ蔵の有無、及び運転者の運転の上達度等が含まれていてもよい。
【0037】
累計走行距離は、運転者Rが自動二輪車2によって今までに走行した距離の累積値である。使用情報取得部43は、制御装置20から送信され且つ記憶部42に記憶される累計走行距離を取得する。また、累計走行時間は、運転者Rが自動二輪車2によって今までに走行した時間の累積値である。累計走行時間は、例えば以下のように演算される。即ち、制御装置20から送信されて記憶部42に記憶される情報には、クラッチレバーが操作され且つ主電源スイッチからオン信号が出力される旨と共にその時刻が含まれ、また主電源スイッチからオフ信号が出力された旨と共にその時刻が含まれている。使用情報取得部43は、この情報に含まれる2つの時刻の差分を走行時間として演算し、この走行時間を累積したものを累計走行時間として取得する。
【0038】
累計使用年数は、自動二輪車2の初期設定(時計の時刻設定又は後述する人格の初期設定等)が行われた時刻からの経過年数であり、以下のように演算される。即ち、使用情報取得部43は、それ自身が有する時刻情報を参照し、初期設定が行われた年月と現在の年月との差分に基づいて累計使用年数を演算する。また、累計走行エリアは、過去及び現在において運転者Rが自動二輪車2によって走行したエリアに関する情報であり、以下のようにエリア数を累計する。即ち、制御装置20からは、GPSによって得られる走行経験のある位置情報(例えば緯度及び経度)がサーバ側無線通信部41に所定時間毎に出力され、その位置情報が記憶部42に記憶される。また、記憶部42には、走行可能な地域(即ち、陸地)が複数のエリアに分割して記憶されている。使用情報取得部43は、記憶部42に記憶される位置情報と分割されたエリアとに基づいて、過去に走行したエリア及び頻繁に走行するエリアを累計走行エリアとして取得する。
【0039】
また、走行速度帯の累計時間は、予め定められる走行速度帯(例えば、30km/h以上60km/h未満)で走行した累計時間であり、以下のように演算される。即ち、制御装置20からは、所定時間毎に車輪速がサーバ側無線通信部41に出力され、時刻共に車輪速が記憶部42に記憶される。使用情報取得部43は、記憶される車輪速のうち30km/h以上60km/h未満の範囲にある車輪速を選択し、選択された車輪速の時間を累計する。このようにして、使用情報取得部43は、走行速度帯の累計時間を取得する。
【0040】
また、使用情報には、経験変化情報の他に運転傾向情報も含まれている。運転傾向情報は、自動二輪車2に対する運転者Rの運転操作の傾向を示す情報である。運転傾向情報には、例えば走行時における主な使用回転数帯域、主な走行速度帯域、ステアリングトルクの変化率、アクセル操作の態様、ブレーキ操作の態様、ギアチェンジのタイミング、ロール角、及び運転頻度等が含まれる。主な使用回転数帯域は、走行中のエンジン回転数を所定時間毎に取得し、取得した複数のエンジン回転数のうち最も多くのエンジン回転数を含む回転数帯域(例えば、1000rpm毎の帯域)であり、以下のように取得される。制御装置20からは、所定時間毎にエンジン回転数がサーバ側無線通信部41に出力され、そのエンジン回転数が記憶部42に記憶される。使用情報取得部43は、記憶されるエンジン回転数を当てはまる回転数帯域に振り分け、最も多くのエンジン回転数を含む回転数帯域を主な使用回転数帯域として取得する。
【0041】
主な走行速度帯域は、走行中の車輪速(即ち、走行速度)を所定時間毎に取得し、取得した複数の走行速度のうち最も多くの走行速度を含む走行速度帯域(例えば、20km/h毎の帯域)であり、以下のように取得される。制御装置20からは、所定時間毎に車輪速がサーバ側無線通信部41に出力され、その車輪速が記憶部42に記憶される。使用情報取得部43は、記憶される車輪速、即ち走行速度を当てはまる走行速度帯域に振り分け、最も多くの走行速度を含む走行速度帯域を主な走行速度帯域として取得する。
【0042】
ステアリングトルクの変化率は、例えばステアリングシャフトに関する軸線回りの歪み量の変化率であり、制御装置20から所定時間毎に出力されて記憶部42に記憶されるステアリングシャフトの軸線回りの歪み量に基づいて使用情報取得部43によって演算される。アクセル操作の態様は、例えばアクセル操作量の変化率であり、制御装置20から所定時間毎に出力されて記憶部42に記憶されるアクセル操作量に基づいて使用情報取得部43によって演算される。ブレーキ操作の態様は、例えばブレーキレバー及びブレーキペダルの操作量の変化率であり、制御装置20から所定時間毎に出力されて記憶部42に記憶されるブレーキ操作量に基づいて使用情報取得部43によって演算される。ギアチェンジのタイミングは、例えば変速段が変えられたタイミングであり、制御装置20から所定時間毎に出力されて記憶部42に記憶されるエンジン回転数とシフト操作とを関連付けることによって使用情報取得部43が取得する。
【0043】
ロール角は、走行中に自動二輪車2がカーブを曲がる際に車体を左右に倒し込む角度であり、制御装置20から所定時間毎に出力されて記憶部42に記憶されるジャイロセンサのロール角に基づいて使用情報取得部43が取得する。また、運転頻度は、どれぐらいの頻度(例えば、所定期間(一か月、一週間及び一日)当たりの運転回数、運転日数、及び運転時間、並びに使用する時間帯の多さ等)で自動二輪車2を運転するかを示すものであり、制御装置20から出力されて記憶部42に記憶される主電源スイッチからオン信号が出力された旨とその時刻に基づいて使用情報取得部43が演算する。
【0044】
更に、使用情報には、車体情報も含まれており、車体情報は、車体に関する情報である。車体情報には、例えば車体の構成(例えば自動二輪車2の車種、装備品(タイヤ、サスペンション、及びマフラー等)の種類)、構成部品の交換、点検(定期点検及び車検)の時期、及び車体の状態(例えば構成部品の各種設定(車体のジオメトリ及びサスペンションの設定等)等が含まれている。使用情報取得部43は、車体情報を各種の方法で取得可能であり、例えば携帯情報端末25に入力された情報をサーバ側無線通信部41を介して取得することができる。また、購入、交換、及び設定時において販売店等のコンピュータから入力されて取得してもよい。更に、制御装置20に接続される電子部品等の場合には、電子部品から制御装置20に送られてくる信号等に基づいて交換及び装着に関する情報を取得してもよい。
【0045】
このように会話情報出力装置13では、サーバ側無線通信部41が受信する種々の情報に基づいて使用情報取得部43が使用情報を取得する。そして、会話情報出力装置13は、この使用情報に基づいて自動二輪車2に対して人格を設定し、設定される人格に基づいた会話情報を作成するようになっている。即ち、会話情報出力装置13は、自動二輪車2を擬人化して、運転者Rと自動二輪車2との間で会話ができるようにしている。本実施形態において、人格とは、運転者Rとの会話の内容、口調、会話の頻度等を決定する際の基礎(ルール)となり得るものであり、人格が変わることによってそれらが変化する。人格は、複数の属性によって構成されており、例えば、性別、年齢、職業、居住地、経歴、趣向、及び性格によって構成されている。本実施形態において人格の属性には、性別、年齢、職業、居住地、性格、及び趣向が含まれている。会話情報出力装置13は、人が成長すると共にその人格が変化するが如く、自動二輪車2の人格もまた自動二輪車2の使用状態や自動二輪車2自体の状態に応じて変わるようにし、自動二輪車2があたかも運転者Rと共に成長しているように感じさせるようになっている。このような機能を有する会話情報出力装置13は、人格設定部44と、人格変更部45と、作成部46とを更に有している。
【0046】
人格設定部44は、自動二輪車2の人格の初期設定を行うようになっている。例えば、記憶部42には、互いに異なる複数の初期人格が記憶されている。即ち、属性である性別、年齢、職業、居住地、及び性格が色々と変えて組み合わされている複数の人格が初期人格として記憶部42に記憶されている。また、初期人格の各属性は、例えば著名人等の人格を属性毎に分析し、分析した各属性に準えて設定することができる。記憶部42に記憶される複数の初期人格は、前述の通り、自動二輪車2の人格の初期設定を行う際(また、再設定を行う際)に用いられる。
【0047】
更に詳細に説明すると、人格設定部44は、自動二輪車2の人格に関する初期設定又は再設定を行わせるべく、記憶部42に記憶される複数の初期人格のうちの何れかを運転者Rに選択させる。例えば、人格設定部44は、記憶部42に記憶される複数の初期人格をサーバ側無線通信部41を介して携帯情報端末25に送信し、複数の初期人格を携帯情報端末25に表示させる。更に、携帯情報端末25にて運転者Rに複数の初期人格のうち1つを選択させ、選択された初期人格を携帯情報端末25からサーバ側無線通信部41に送信させる。送信された初期人格は、自動二輪車2の人格として(つまり、識別情報と共に)記憶部42に記憶させる。なお、初期の人格設定に関しては、上述するような方法の他、携帯情報端末25に運転者R自身に関する質問を表示して回答させ、その回答に基づいて適した人格を設定するようにしてもよい。また、自動二輪車2の人格に関する質問を携帯情報端末25を介して運転者Rに回答させ、運転者Rの好みの人格を作り上げられるようにしてもよい。このように記憶部42に記憶された人格は、人格変更部45によって使用情報に基づいて変更されるようになっており、以下に一例を示す。
【0048】
前述の通り、記憶部42に記憶される使用情報には、経験変化情報、運転傾向情報、及び車体情報が含まれており、人格変更部45は、各情報に基づいて人格、より詳細には人格の属性を変更する。即ち、人格変更部45は、記憶部42に記憶される経験変化情報に基づいて以下のように人格を変更する。例えば、人格変更部45は、経験変化情報に含まれる累計使用年数が積算されると、それに応じて人格の属性の1つである年齢を積み重ねるようにする。また、人格変更部45は、累計走行距離及び累計走行時間が積算されると、それに応じて運転者Rと自動二輪車2との関係性が「知り合い」から「友達」に変化するように性格を変化させる(例えば、性格を「親しみやすい」にする)。更に、人格変更部45は、累計走行エリアにおける頻繁に走行するエリアに応じて居住地を設定し、また過去に走行したエリアの広さから「社交性」の度合いを大きくする性格を変化させる。更に、過去に走行したエリアが居住地から遠い場所にも数多く存在している場合、人格の属性の1つである趣向において「旅行好き」とする。更に、人格変更部45は、走行速度帯の累計時間が積算されると、「落ち着き」の度合いを大きくするように性格を変化させる。
【0049】
また、人格変更部45は、記憶部42に記憶される運転傾向情報に基づいて以下のように人格を変更する。例えば、人格変更部45は、主な使用回転数帯域が高回転である場合に「気が強い」性格となるようにし、主な使用回転数帯域が低回転である場合に「気が弱い」性格となるようにする。また、人格変更部45は、主な走行速度帯域が高速である場合に「短気」な性格となるようにし、主な走行速度帯域が低速である場合に「気長」な性格となるようにする。また、人格変更部45は、ステアリングトルクの変化率、アクセル操作の態様、ブレーキ操作の態様、ギアチェンジのタイミング、及びロール角等によって運転者Rの運転技術及び運転操作の傾向を判断し、それらに基づいて「忍耐強さ」、「飽き性」、「臆病」、及び「計画的」等の性格を変更する。また、人格変更部45は、運転頻度によって職業を変更するようになっている。即ち、人格変更部45は、毎日というように頻繁に運転している場合、職業経験としてベテランとし、週末だけというように時々しか運転しない場合、職業経験として新米とする。
【0050】
また、人格変更部45は、記憶部42に記憶される車体情報に基づいて以下のように人格を変更する。即ち、人格変更部45は、自動二輪車2の車種に応じて職業を決定するようになっており、例えば高級タイプでは「執事」、レーサータイプでは「スポーツ選手」、スクータタイプでは「学生」というように設定する。また、人格変更部45は、装備品(タイヤ、サスペンション、及びマフラー等)の種類に応じて職業を変更させ、また部品交換及び点検の時期に基づいて「神経質」又は「無神経」な性格に変更する。更に、人格変更部45は、構成部品の各種設定に応じても性格を変更する。
【0051】
なお、人格変更部45は、必ずしも前述のように使用情報の各種情報と変化させる属性とが一対一で対応している必要はなく、使用情報の複数の情報に基づいて属性を変化させるようにしてもよい。例えば、運転傾向情報に含まれる複数の情報に基づいて運転者Rの技術を判断する。人格変更部45は運転者Rのアクセル操作及びブレーキ操作が緩やかである場合に運転技術が初心者と判断すると、職業を「教師」とし、またアクセル操作及びブレーキ操作の変化が激しい場合には上級者と判断して職業を「営業」とする。他方、人格変更部45が丁寧・スムーズな運転であると判定すると、職業を「執事」とする。また、人格変更部45を例えばニューラルネットワーク、エキスパートシステム及びランダムフォレスト等の情報処理を実行することによって実現してもよく、この場合には使用情報の各種情報を取得するとそれらに基づいて複数の属性を複合的に変化させるようになっていてもよい。
【0052】
このように、人格変更部45は、使用情報に基づいて自動二輪車2の人格の各属性を変更し、変更された人格の各属性を自動二輪車2の識別番号に対応付けて記憶部42に記憶する。記憶される人格の各属性は、前述の通り、会話情報における会話内容、口調、及び会話の頻度等を決定する際の基礎(ルール)となり得るものであり、作成部46は、運転者Rとコミュニケーションを行うべく会話情報を人格の各属性に基づいて作成する。
【0053】
更に詳細に説明すると、作成部46は、例えばニューラルネットワーク、エキスパートシステム及びランダムフォレスト等の情報処理を実行することによって実現される。作成部46には、多数の人々(例えば、著名人等)の発言が学習させられている。即ち、作成部46には、学習させる人物の人格(即ち、複数属性の組み合わせ)とその人物の発言とが対応付けて入力される。この作業を多数の人物に対して行うことによって、作成部46において、各人格に対して発せられる会話内容、口調及び頻度が学習される。この学習内容と記憶される人格とを基に作成部46は、会話情報(即ち、会話内容及び口調)を作成する。それ故、人格の属性の1つである年齢に応じて口調及び会話内容が変わり、また居住地に応じて会話情報に方言が含まれるようになる。また、職業及び性格に応じても口調及び会話内容が変わる。更に、作成部46は、人格の各属性に応じて会話情報の作成する頻度、及びタイミングを変える。なお、作成部46は、前述するような情報処理を実行することなく、設定される人格毎に定められた会話情報を作成するように構成されていてもよい。
【0054】
このように、会話情報出力装置13では、人格変更部45によって自動二輪車2の人格を変更し、変更される人格に応じて会話情報を作成する。また、会話情報出力装置13では、人格変更部45による人格の変更を停止させることができる機能を有している。例えば、携帯情報端末25において所定の操作を行ったり、所定の走行エリア(例えば、サーキット等)を走行したりする等の予め定められた条件を満たし、条件を満たしたことが会話情報出力装置13に送信されると、会話情報出力装置13は、人格変更部45の変更機能を停止し、記憶部42に記憶される人格を維持する。これにより、不所望な人格の変更が行われることを止めることができ、好みの人格に維持しておくことが可能である。
【0055】
また、会話情報出力装置13にて作成される会話情報は、音声装置12の音声出力部36で自然言語の音声として出力するための情報である。従って、作成部46は、テキストデータである会話情報をアナログ音声信号に変換する音声合成ソフト(例えば、IBM(登録商標)社のViaVoice(登録商標)、富士通(登録商標)社のFineSpeech(登録商標)等)によって音声情報に変換する。作成された音声情報は、作成部46からサーバ側無線通信部41に送られ、更に携帯情報端末25及び車体側無線通信部24を介して音声装置12に無線で送信される。そして、音声装置12は、音声装置側無線通信部35から会話情報を取得し、音声出力部36から自然言語の音声として出力する。これにより、会話情報が音声として運転者Rに伝えられる。なお、会話情報は、必ずしもそこに含まれるテキストの全てが音声情報に変換される必要はなく、主な内容、特に運転に関する内容に関してテキストデータから音声情報に変換して音声で運転者Rに伝えるようにしてもよい。
【0056】
また、音声装置12は、運転者Rの要望及び会話情報に対する回答等を音声入力部37から音声によって入力することができ、入力された音声情報は、音声装置側無線通信部35、車体側無線通信部24、及び携帯情報端末25を介して会話情報出力装置13に無線で送られる。会話情報出力装置13では、サーバ側無線通信部41が音声情報を取得し、作成部46は、この音声情報を前述するソフトなどによってテキストデータ化する。その後、作成部46は、テキストデータと記憶される人格とに基づいて新たな会話情報を作成し、再び会話情報出力装置13から携帯情報端末25及び車体側無線通信部24を介して音声装置12に無線で送り、音声装置12によって新たな会話情報が音声情報として運転者Rに伝えられる。このようにしてあたかも自動二輪車2と会話しているかのような感覚を運転者Rに与えることができる。
【0057】
また、記憶部42に走行中に運転者Rが得た体験に関する体験情報が記憶されており、体験情報として累計走行エリアが記憶部42に記憶されている。作成部46は、サーバ側無線通信部41にて走行エリアを受信した際に記憶部42に記憶される累計走行エリアに含まれている場合、過去に今のエリアを走行した旨の内容の会話情報を作成する。
【0058】
以下では、会話情報出力装置13において設定された人格に基づいて会話情報を作成して、音声装置12の音声出力部36から自然言語の音声で出力する手順(情報出力処理)について図2のフローチャートを参照しながら説明する。まず、自動二輪車2の主電源スイッチが操作されて、会話情報出力装置13が車体側無線通信部24を介して主電源スイッチからオン信号が出力された旨を識別情報と共に取得すると、会話情報出力処理が開始されてステップS1に移行する。
【0059】
設定可否判定工程であるステップS1では、記憶部42において識別情報に対応付けられて人格が設定されているか否かを人格設定部44が判定する。記憶部42では、初期設定がなされていない場合において識別情報に対応付けて人格が記憶されていない。また、会話情報出力装置13では、携帯情報端末25等によって人格の再設定を行うことができるようになっており、再設定を行う操作がなされた場合、記憶部42において識別情報に対応付けて記憶された人格が消去される。このような場合において、人格設定部44は、人格が設定されていないと判定し、ステップS2に移行する。
【0060】
初期設定工程であるステップS2では、記憶部42に記憶される複数の初期人格をサーバ側無線通信部41を介して携帯情報端末25に送信し、複数の初期人格を携帯情報端末25に表示させる。そして、運転者Rに複数の初期人格のうち1つを選択させ、選択された初期人格を前述する識別情報に対応付けて記憶部42に記憶する。このように選択された人格を識別情報に対応付けて記憶されたり、またステップS1において記憶部42に記憶されていると人格設定部44によって判定されたりすると、ステップS3に移行する。
【0061】
情報取得工程であるステップS3では、運転者Rによる自動二輪車2の使用状態に関する情報、即ち使用情報を取得する。即ち、車体側出力器11では、入力系センサ群31、出力系センサ群32、及び外部環境系センサ群33に夫々含まれるセンサから検出した情報が制御装置20に入力されている。制御装置20は、検出される種々の情報を自動二輪車2の識別情報と共に会話情報出力装置13に送信し、その送信は所定間隔で行われる。会話情報出力装置13では、送信される種々の情報を記憶部42が記憶し、記憶される種々の情報に基づいて使用情報取得部43が使用情報を取得する。即ち、使用情報取得部43は、使用情報である経験変化情報、運転傾向情報、及び車体情報を取得し、それらを記憶部42に記憶する。このように、使用情報を記憶部42に記憶すると、ステップS4に移行する。
【0062】
人格変更工程であるステップS4では、記憶部42に記憶される使用情報が所定の条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たしている場合には記憶部42に記憶される人格を人格変更部45が変更する。前述の通り、人格変更部45は、記憶部42に記憶される使用情報及び車体情報に応じて設定される人格の属性(即ち、年齢、職業、居住地、経歴、趣向、及び性格)を変更する。例えば、記憶部42に記憶される累計使用年数が所定年数を超えると、人格の属性の1つとして記憶される年齢を増加させる。また、職業も、設定される職業と取得する運転傾向情報に含まれる何れか情報が予め定められる条件を満たしたり(例えば、予め定められた閾値を新たに超える、又は予め定められた範囲に新たに含まれるようになる)、車体情報に含まれる情報が書き換えられたりして、運転傾向情報及び車体情報に応じて決められる職業が変わった場合には、記憶される職業を変更する。このようにして、人格変更部45は、記憶部42に記憶される人格の各属性を使用情報に基づいて変更する。他方、人格変更部45では、経験変化情報、運転傾向情報、及び車体情報が所定の条件を満たしていない場合には、記憶部42の人格を変更せずにそのまま維持する。このようにして、人格変更の有無の判断がなされると、ステップS5に移行する。
【0063】
会話情報出力工程であるステップS5では、作成部46が記憶部42に記憶される人格、及び音声装置12の音声入力部37に入力されて取得する音声情報に基づいて例えばニューラルネットワーク等の情報処理を実行して、会話情報を作成する。作成された会話情報は、作成部46が記憶される42の人格に応じて決めたタイミングで会話情報出力装置13から携帯情報端末25及び車体側無線通信部24を介して音声装置12に会話情報が送られる。そして、この会話情報を音声出力部36から音声情報として運転者Rに出力する。運転者Rに音声情報を出力するとステップS3に戻るようになっており、会話情報出力処理は、自動二輪車2の主電源スイッチが操作されて主電源スイッチからオフ信号が出力された旨が会話情報出力装置13に送信されるまで繰り返される。
【0064】
このように会話情報出力装置13では、自動二輪車2を擬人化すべく人格を設定し、設定される人格に基づいて会話情報を作成するようになっている。即ち、運転者Rにあたかも自動二輪車2と会話しているかのような感覚を与えることができる。また、人格は、運転者Rによる自動二輪車2の使用状態に応じて変わり、人格の変化によって作成させる会話情報が変化する。従って、会話情報出力装置13における会話情報の多様化を図ることができ、運転者Rは、あたかも同乗者と会話しているような感覚で自動二輪車2を運転することができる。
【0065】
また、会話情報出力装置13によって人格を変更する際、経験変化情報を用いているので、使用経験の増加に応じて人格を変化させることができる。これにより、使用経験の増加に応じて出力される会話情報を多様化させることができる。即ち、運転者Rの使用経験が増すことによって、自動二輪車2もまたあたかも経験が増して変化しているかのような感覚を運転者Rに与えることができる。また、運転者Rの運転傾向は、運転者R毎に異なっており、そのような運転傾向に関する情報である運転傾向情報を会話情報出力装置13によって人格を変更する際に採用しているので、会話情報の更なる多様化を図ることができる。更に、会話情報出力装置13では、人格を変更する際に車体情報も考慮されている。即ち、自動二輪車2の使用状態だけでなく自動二輪車2自体の状態にも応じて人格が変更されるようになっており、会話情報更に多様化させることができる。なお、車体情報を用いることで、運転者Rは、自動二輪車2の使用される状態に寄らずに自動二輪車2の人格を任意に変更することができ、利便性が向上する。
【0066】
また、会話情報出力装置13では、大きな処理能力が求められる人格変更部45及び作成部46が自動二輪車2から離れたクラウドサーバ14に配置されている。自動二輪車2では、多数の構成部品が所狭しと配置しているため全ての構成に対する設計の自由度が高くなく、大きな処理能力の演算処理機器を採用することができない場合がある。他方、クラウドサーバ14に配置すると、自動二輪車2に比べて構成部品に対する設計の自由度が高いので、人格変更部45及び作成部46を実現する演算処理機器に対する設計の自由度を高くすることができる。それ故、例えば、演算処理能力が高い演算処理機器を採用し、それによって人格変更部45及び作成部46を実現することができる。
【0067】
また、会話情報出力装置13では、記憶部42において人格が識別情報と共に記憶されている。それ故、識別情報を自動二輪車2ではなく運転者R毎に対応付け、運転者Rが自動二輪車2を乗り換えた後も乗り換えた自動二輪車2に人格を引き継げるようにすることも可能である。なお、運転者Rが自動二輪車2を乗り換えた後、人格が必ずしも引き継がれなくてもよく、即ち、設定される人格を削除できるようにしてもよい。また、削除できる情報は、人格の全てでなく、識別情報に対応付けられている複数の情報のうちの一部(特定のキーワードや特定期間に記憶された情報)だけであってもよい。また、自動二輪車2の所有者が運転者Rから他の人に変更した場合、識別情報に対応付けられている全ての情報を削除するようにすることが好ましい。自動二輪車2の所有者の変更は、例えば運転者の声紋によって判別することができる。
【0068】
また、会話情報出力処理では、体験情報記憶工程でもあるステップS3にて、使用情報として累計走行エリアを記憶部42に記憶させている。更に、サーバ側無線通信部41から受信する走行エリアが累計走行エリアに含まれている場合、体験情報出力工程でもあるステップS5にて、作成部46が過去に走行したエリアである旨の会話情報を作成して出力するようになっている。これにより、走行中に得た体験に関する記憶を共有している印象を与えることができ、運転者Rが鞍乗型車両に対する愛着を向上させることができる。また、体験情報記憶工程でもあるステップS3では、過去の運転操作と現在の運転操作とを比較した感想のような内容を会話情報に含めるようにしてもよい。
【0069】
[その他の実施形態]
本実施形態の会話情報出力装置13では、使用情報が主に人格の変更に用いられているが、会話情報を作成するに際しても使用情報が用いられてもよい。また、会話情報の作成に使用情報を用いる場合、必ずしも人格を作成する必要はなく、使用情報に基づいて直接会話情報における会話内容、会話情報の出力のタイミング、出力の頻度を変化させてもよい。また、本実施形態の会話情報出力装置13では、人格に加えて感情の要素を加えてもよい。感情は、人格という会話情報のルールに従いつつ、使用情報等によって会話情報に一時的に会話情報のルールの変化(いわゆる、喜怒哀楽のような感情の起伏のような変化)をもたらすものである。なお、本実施形態の会話情報出力装置13では、上述するような人格に代えて感情の要素を用い、感情の要素によって会話情報に多様性を持たせるようにしてもよい。
【0070】
また、会話情報出力装置13では、単位期間当りの乗車時間に基づいて出力される会話情報が変化してもよい。例えば、単位時間あたりの乗車時間が多いほど、機嫌が良い感情において発するような会話内容及び口調を含む会話情報を出力する。即ち、定期的に運転される場合には機嫌が良いことを意味する会話情報を出力し、長期間運転されない場合には、相手にされていないとして不機嫌であることを意味する会話情報を出力する。更に走行時間の傾向(即ち、長時間運転が多い傾向及び短時間運転が多い傾向等)に応じて出力される会話情報が変化してもよい。また、従前までの運転傾向に対して、運転者Rが異なる運転を行っている場合にも出力される会話情報が変化してもよい。更に、より広い走行エリアを走行することで開放的な人格が設定され、その際にいつもと違う走行エリアを走ると機嫌が良いことを意味する会話情報が出力されるようにする。他方、同じ走行エリアばかり走行することで伸張派の人格が設定され、その際にいつもと違う走行エリアを走ると緊張しているような内容及び口調の会話情報が出力されるようにする。また、自動二輪車2の整備、消耗品の交換、及び洗車等が行われている頻度が高い場合、機嫌が良いことを意味する会話情報が出力される。他方、自動二輪車2の整備、消耗品の交換、及び洗車等が行われている頻度が低く、制御装置20が判断した警告状態のまま走行されている場合、機嫌が良くないことを意味する会話情報が出力される。なお、制御装置20が判断した警告状態が解除されると、機嫌が良いことを意味する会話情報が出力される。
【0071】
また、会話情報出力装置13は、最高速度で走行している際、最高加速度で走行しているとき、最大バンク時において、ドキドキした感情が表すような会話情報を出力する。また、走行時に青信号が続くとき、渋滞がないとき、滑らかな路面を運転しているとき、目的地に早く到着したとき、計器類22に表示される累計走行距離がキリのいい数字であるとき、及び同じメーカ/車種と一緒に走行するときには、会話情報出力装置13は、うれしい感情を表すような会話情報を出力する。逆に、走行時に赤信号が続くとき、渋滞しているとき、凸凹な路面を走行しているとき、及び目的地に遅れて到着したときには、会話情報出力装置13は、悲しい感情を表すような会話情報を出力する。その他、ABS動作時、トラクション制御時、ウィリー抑制時、スリップ判断時、リンプホーム時、タンデム時、タンデム解消時、特殊走行時(サーキット、峠道、山林道)、迷子になったとき、他車両を抜いたとき、抜かれたとき、追いついたとき、ツーリングの有無、他車とはぐれたとき、トンネル走行時、いつもの走行傾向と異なるとき、車検又は整備が終了して帰ってきたとき、携帯情報端末25の電波が届く範囲外(即ち、圏外)を走行するとき、自動二輪車2からのアドバイス通りに運転できたとき、自動二輪車2に対する変速操作を失敗したとき、変速操作スムーズにできたとき、及び運転スキルの上達が判断されたとき等においても、何らかの感情を表すような会話情報を出力する。
【0072】
本実施形態の会話情報出力装置13において、初期設定された走行エリア、又は走行頻度の高い走行エリアに基づいて人格を設定するようにしてもよい。例えば、走行エリアに応じて居住地の属性を設定するようにし、設定される居住地の属性に基づいて人格を決めるようにする。これによって、走行エリアの違いによって異なる人格を設定され、多様な応答を実現しやすい。
【0073】
本実施形態の会話情報出力装置13において、車体情報には、装備品の装着状態だけでなく、アクセサリ等の付属部品の取付状態も含まれてもよい。例えば、付属部品に対して人格に影響を与える因子を設定し、それを取付けること人格を変えることができるようにする。例えば、走行性能を向上させる因子が付与された部品が取付けられると、体力に自信がある性格を有する人格にする。また、ツーリングに好適に用いられる因子が付与された付属部品が取付けられると、趣向を旅行好きとする。
【0074】
また、本実施形態の会話情報出力装置13では、経験変化情報に含まれる情報の変化に応じて人格が変化し、自動二輪車2があたかも運転者Rと共に成長しているように感じで人格を変更するようになっている。しかし、会話情報出力装置13が必ずしもそのように構成されている必要はない。即ち、経験変化情報に応じて人格が変化すればよい。例えば、運転者が、ある程度の使用経験を得るまで(例えば、累積値が所定の値になるまで)は、会話情報として初歩的な操作案内や走行支援情報を頻繁に出力させるように人格を設定してもよい。他方、使用経験を十分に得たと判断された場合には、会話情報としてより高度な操作案内や走行支援情報を、使用経験が少ない場合に比べて頻度を抑えて出力させるように人格を設定する。また、使用経験が少ない場合には、無感情であったり会話の頻度が少なくなるようにしたりしてもよい。他方、使用経験等、その他の使用情報に含まれる情報が多くなるにつれて、増加する情報に応じて人格を変化させてもよい。このように、使用経験が少ない状態において、基本的な人格の設定、即ち人格の初期設定を行い、取得する使用情報が増加するにつれて取得した使用情報に基づいて人格を形成又は変更されるようにしてもよい。これにより、経験変化に応じた会話情報を多様に変化させることができる。
【0075】
また、自動二輪車2の人格の初期設定に関しては、運転者Rが選択するようになっているが、以下のように設定されてもよい。即ち、人格の初期設定に関して、自動二輪車2の車種、新旧の状態(即ち、新車か否か)、セッティング、及びジオメトリ、並びに以前に運転していた自動二輪車の車種の情報等を参照してもよい。
【0076】
更に、本実施形態の会話情報出力装置13では、車体情報に含まれる車体の状態の一例として、車体のジオメトリ及びサスペンションの設定等を挙げたが、それ以外の情報を含んでもよい。例えば、ハンドルの位置、スイングアームの位置、キャスターの角度、前後ホイール長、車高、シートの高さ、サスペンションの初期位置、及びステップの位置等が車体の状態として車体情報に含まれてもよく、これらの情報に基づいて人格が変更されてよい。また、車体情報には、前述するような具体的なものだけでなく、車体の挙動に影響する各部寸法・可動位置を示す幾何学的設定が変更可能な場合には、その車体の幾何学設定情報の何れを含んでもよい。更に、エンジン制御条件、並びにブレーキ、及びサスペンション等の車体制御条件等の制御態様が変更可能な場合には、設定された制御態様情報が車体情報に含まれてもよく、それらの情報に基づいて人格を変更してもよい。
【0077】
また、本実施形態の会話情報出力装置13では、作成部46は、例えばニューラルネットワーク、エキスパートシステム及びランダムフォレスト等の情報処理を実行して会話情報を作成しているが、以下のような情報を参照しながら会話情報を作成してもよい。即ち、作成部46は、外部環境系センサ群33によって検出される外気温度、路面温度、及び照度、インターネットを介して携帯情報端末25が取得可能な湿度、天候、走行時間帯(日時及び曜日も含む)、風速、及び渋滞状況、並びに各種のセンサ群31,32からの検出結果に基づいて求められる路面の摩擦係数μ及び路面状態に基づいて、会話情報を作成してもよい。
【0078】
また、本実施形態の会話情報出力装置13において、人格変更部45は、予め定められるエリアに到着すると人格を変更させるようにしてもよい。また、作成部46は、予め定められるエリアに到着すると、特定の場所に向かう動機を与えるような内容の会話情報を作成するようにしてもよい。
【0079】
更に、本実施形態の会話情報出力装置13において、経験変化情報に給油回数が含まれる旨を前述したが、給油頻度を含めるようにしてもよい。含める場合、例えば、給油頻度が少ないすなわち燃料残量が比較的少なくなるまで給油されない場合には、大胆な性格を有する人格となる。逆に給油頻度が多い場合には、慎重な性格を有する人格となる。
【0080】
更に、本実施形態の会話情報出力装置13では、運転者が人格の変化度合いを予め選択できるようにしてもよい。例えば、運転者が人格変化の変化速度を設定したり、人格の変化を停止したり、更には人格のリセットをできるようにしてもよい。また、会話情報出力装置13から出力される会話情報の内容を、あたかも同乗者と会話しているかのような内容とするか、又は運転操作の教官と会話しているかのような内容とするか等、運転者の望む傾向にて人格が変更されるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施形態の会話情報出力装置13では、人格の属性に性別、年齢、職業、居住地、性格、及び趣向が含まれている。各属性は、前述するように設定されているが、あくまで一例であって以下のように設定してもよい。例えば、年齢は、運転者Rの運転スキルの上達と共に増加させてもよい。また、年齢として、運転者Rの運転傾向から運転者の年齢を判断して判断された年齢を設定したり、自動二輪車2の車種の購買層に応じた年齢を設定したりしてもよい。更に、製造年度から経過して年数を年齢として設定してもよい。なお、年齢は、正規店で定期点検、車検、又は部品交換を行うと若返るようにしてもよい。
【0082】
また、職業に関しては、例えば毎日運転している場合や頻繁に運転している場合には、落ち着いた性格の職人のような職業を設定し、週末しか運転しない場合や時々しか運転しない場合には、テンションが高く新しい物好きの子供(又は子犬)のような職業を設定してもよい。また、初心者が行うような運転である場合には、教え好きな教師のような職業を設定し、上級者が行う運転である場合には、よく褒める営業のような職業を設定し、丁寧でスムーズな運転である場合には、丁寧な執事のような職業を設定してもよい。
【0083】
更に、居住地に関しては、主な走行エリアが市街地である場合には市街地を設定し、主な走行エリアが地方である場合には地方を設定する。また、年齢と同様に自動二輪車2の車種の購買層に応じた居住地を前述する居住地として設定してもよい。また、性格に関しても、例えばじゃじゃ馬をならすように、時間経過と共に従順になるように設定してもよく、過去の運転傾向及び経験に応じて性格(例えば、忍耐強い、飽き性、わがまま、臆病、大胆、及び責任感が強い等)が設定されてもよい。また、人格を運転傾向に応じて設定してもよく、ツーリングする傾向がある場合、気長な性格とし、スポーツドライビングをする傾向がある場合、短気な性格とする。更に、自動二輪車2に対する整備、及び洗車の頻度が多い場合、きれい好きな性格とし、タイヤの車種に応じて性格を設定するようにしてもよい。更に、ジオメトリや車種に応じて性格を設定するようにしてもよく、例えば高級な自動二輪車2の場合にはプライドが高い性格とし、オフロードタイプの自動二輪車2の場合には、我慢強いタフな性格とする。更に、主な走行エリアに応じて、その地域の人間性を性格に組み込むように設定してもよい。
【0084】
また、本実施形態の会話情報出力装置13では、過去に共有した走行時における苦労があるとその際の走行体験に関連する内容の会話情報を作成したり、長い間乗らずに放置されたり運転者R以外の人が乗る頻度が多い場合、嫉妬しているような内容の会話情報を作成したりする。また、人間と同様に自動二輪車2の状態(故障だけでなく良好な状態)を報告するような内容の会話情報を作成してもよい。
【0085】
更に、本実施形態の会話情報出力装置13がクラウドサーバ14によって実現されているが、会話情報出力装置13が自動二輪車2に備わっていてもよい。この場合、車体側出力器11と会話情報出力装置13とが1つの電子機器によって構成されてよく、また別々の電子機器によって構成され且つ互いに有線で接続されるようにしてもよい。また、会話情報出力装置13は、携帯情報端末25によって実現されてもよい。
【0086】
更に、本実施形態の会話情報出力装置13では、使用情報取得部43が受信する各種情報に基づいて演算を行って使用情報を取得するようになっているが、制御装置20及び携帯情報端末25が各種情報に基づいて使用情報を作成してもよい。この場合、サーバ側無線通信部41が取得部としての役割を果たす。本実施形態の会話情報出力装置13は、自動二輪車2を運転する運転者Rに会話情報を出力しているが、四輪自動車を運転する運転者Rに会話情報を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
2 自動二輪車(車両)
13 会話情報出力装置
41 サーバ側無線通信部(出力部)
43 使用情報取得部
45 人格変更部
46 作成部
図1
図2