(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906051
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】位置決め可能なロボットセル、製造装置及び位置決め可能なロボットセルを有する製造設備、並びにそのような位置決め可能なロボットセルを操作する方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20210708BHJP
B21D 5/02 20060101ALI20210708BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
B25J9/06 A
B21D5/02 P
B21D5/02 U
B25J19/02
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-521100(P2019-521100)
(86)(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公表番号】特表2019-535539(P2019-535539A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017076626
(87)【国際公開番号】WO2018073312
(87)【国際公開日】20180426
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】16195186.8
(32)【優先日】2016年10月21日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シュタイン
【審査官】
松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−313870(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/103304(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0216384(US,A1)
【文献】
特開平10−011146(JP,A)
【文献】
特開平11−058273(JP,A)
【文献】
特開平11−156764(JP,A)
【文献】
特開2000−263382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
G05B 19/18 − 19/416
G05B 19/42 − 19/46
B23Q 15/00 − 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置に配置するための位置決め可能なロボットセルであって、
ロボット(24)を受け入れるフレーム(22)と、
少なくとも1つのワークピース(16)のための少なくとも1つの受取装置(31)と、
前記ロボットセルを再配置するための位置決め装置(41)と
を備え、
前記製造装置に対する前記ロボットセルの位置を検出するために、少なくとも1つの第1センサ装置(61)が設けられており、
少なくとも1つのロボット(24)を有し、ワークピースを取り扱うための少なくとも1つの取扱装置が設けられ、
少なくとも1つの前記第1センサ装置(61)は、前記少なくとも1つの取扱装置に設けられており、
少なくとも1つのワークピースシンギュレーションユニット(81)が設けられ、
前記少なくとも1つのワークピースシンギュレーションユニット(81)は、
ワークピース(16)用の少なくとも1つの第1保持装置(82)と、
別のワークピース(16)用の少なくとも1つの第2保持装置(84)と
を備え、
前記少なくとも1つの第1保持装置(82)と前記少なくとも1つの第2保持装置(84)は、対向していることを特徴とする、位置決め可能なロボットセル。
【請求項2】
少なくとも1つの前記第1センサ装置(61)は、前記製造装置に対するロボットセルの位置の検出を単独で実行する自己検出型であることを特徴とする、請求項1に記載のロボットセル。
【請求項3】
少なくとも前記第1センサ装置(61)は、少なくとも1つの第1センサを備え、
前記少なくとも1つの第1センサは、光学センサ、レーザセンサ、音波センサ、機械センサ、又は磁気センサのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のロボットセル。
【請求項4】
少なくとも前記第1センサ装置(61)は、少なくとも1つの追加センサを備え、
前記少なくとも1つの追加センサは、光学センサ、レーザセンサ、音波センサ、機械センサ、又は磁気センサのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項3に記載のロボットセル。
【請求項5】
前記ロボットセル(21)を再配置するための再配置装置(23)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のロボットセル。
【請求項6】
前記少なくとも1つの受取装置(31)は、前記受取装置(31)の支え面(32)上に交換可能に配置され得る少なくとも1つの案内要素(34)を備え、
前記少なくとも1つの案内要素(34)の位置は、少なくとも1つの前記第1センサ装置(61)によって検出可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のロボットセル。
【請求項7】
前記ロボットセル(21)は、前記ロボットセル(21)を前記製造装置に接続するための少なくとも1つの接続装置(66)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のロボットセル。
【請求項8】
ワークピース(16)又は加工されたワークピースを把持するために把持装置(76)が設けられ、
前記把持装置(76)は、前記第1センサ装置(61)のうちの少なくとも1つと相互に作用することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のロボットセル。
【請求項9】
前記把持装置(76)によって同時に把持された複数のワークピース(16)を検出するために、少なくとも1つの追加センサ装置(71)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のロボットセル。
【請求項10】
製造装置と、
請求項1から9のいずれか1項に記載の前記位置決め可能なロボットセル(21)と
を有する生産設備。
【請求項11】
製造装置において、請求項1から9のいずれか1項に記載の前記位置決めロボットセル(21)を操作する方法であって、以下のステップ:
a)前記製造装置において前記ロボットセル(21)を位置決めするステップと、
b)少なくとも1つの第1センサ装置(61)を用いて、前記製造装置に対する前記ロボットセル(21)の位置を検出するステップと
によって特徴づけられる方法。
【請求項12】
前記ロボットセル(21)の第1の位置の検出の後に、前記ロボットセル(21)は、少なくとも1つの別の位置に再配置されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ロボットセル(21)は、前記製造装置と通信しており、前記製造装置の制御装置によって制御されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係る製造装置に配置される位置決め可能なロボットセル、特に、ロボット及びロボットを受け入れるためのフレームを有する請求項1の前提部分に係る製造装置に配置される位置決め可能なロボットセル、並びに、製造装置及びそのようなロボットセルを有する請求項12に係る生産設備に関する。さらに、本発明は、製造装置においてそのようなロボットセルを操作する請求項13に係る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造装置、特に板金加工装置は、個々の部品を時々連続して製造するためにしばしば使用される。これらの個々の部品は、しばしば繰り返しの部品であるか又は連続した部品である。
【0003】
例えば、曲げ機械又はプレスブレーキは、ワークピースを曲げるために使用される。特に、一連の製造プロセス中において、機械の作業(attendance)は、高価であるだけでなく、作業者(attendant)にとって非常に疲労するものでもある。
【0004】
他の板金加工装置は、例えば、レーザ切断機械又は流体噴射切断機械である。「製造装置」という用語は、これに関連して、供給されたワークピースの加工に適した基本的にあらゆる機械と理解されるべきである。
【0005】
ワークピースの部品は、製造装置に配置されたロボットによって自動的に製造されてもよく、それにより、一連の製造プロセスの生産コストは、ワークピースを製造装置に手動供給する場合と比較して低いということが知られている。
【0006】
一般的に知られている解決策の欠点は、意図しない侵入を防止するためにロボットの作業区域を遮断しなければならないことである。さらに、ロボットは、製造装置と恒久的に関連付けられており、それは、例えば、生産ホールを再構築する場合に追加的な労働費がかかることを意味し、製造装置の手動操作(manual attendance)を阻害するか又は防止さえする。
【0007】
独国特許出願公開第102011107617号明細書から、製造装置に配置するための位置決め可能なロボットセルが知られている。このロボットセルは、ロボットを受け入れるためのフレームと、少なくとも1つのワークピース用の少なくとも1つの受取装置とを備える。取扱装置としてロボットセルに配置されたロボットによって、ロボットセルの配置後、製造装置へ及び製造装置からワークピースが供給される。
【0008】
欠点は、製造装置にロボットセルを配置した後、ロボットセル又はロボットは、製造装置に対して明確な関係で方向付けられなければならないことである。
【0009】
欧州特許第0636435号明細書から、製造装置に配置するための位置決め可能なロボットセルが知られている。製造装置は、板金加工装置であり、具体的には、曲げ機械又はプレスブレーキである。このロボットセルは、ロボットを受け入れるためのフレームと、少なくとも1つのワークピースを受け入れるための少なくとも1つの受取装置とを備える。フレームには、ロボットセルの再配置のための位置決め装置としてホイールが設けられている。
【0010】
製造装置の前の床には、複数のセンタリングブロックが設けられている。ロボットセルのフレームには、センタリングブロックに差し込まれるか又は引き抜かれ得る複数のセンタリングヘッドが設けられている。これにより、ロボットセルは、製造装置に対して明確な位置で方向付けられる。
【0011】
この既知の解決策の欠点は、センタリングブロックは、床に設けられなければならず、従って、ロボットセル用にただ1つの決まった位置グリッドしか存在しないことである。
欧州特許第0462286号明細書は、ロボット掴み具と成形装置の工具との間の距離を決定するセンサを開示している。
【0012】
本発明が解決することを提案する問題は、したがって、製造装置、特に曲げ機械やプレスブレーキのような板金加工装置に配置するための位置決め可能なロボットセルであって、前述した欠点を有さず、具体的には柔軟に位置決め可能なロボットセルを創作することである。さらに、本発明が解決することを提案する問題は、製造装置、特に、曲げ機械又はプレスブレーキのような板金加工装置と、そのようなロボットセルを有する生産設備を創作すること、並びに、そのような位置決め可能なロボットセルを操作する方法を提供することである。
【0013】
この課題は、独立請求項の特徴によって解決される。有利な改変は、図面及び従属請求項に提示される。
【0014】
本発明によれば、製造装置に対するロボットセルの位置を検出するために、少なくとも第1センサ装置が設けられている。好ましくは、ロボットセルは、少なくとも1つのロボットと、ロボットを受け入れるためのフレームとを備える。
【0015】
この少なくとも1つの第1センサ装置は、位置検出装置の一部であるか、又はそのような装置を構成している。位置決め可能なロボットセルを製造装置に位置決めした後は、少なくとも1つの第1センサ装置は、それに対する位置決め可能なロボットセルの位置を検出するために使用される。少なくとも1つの第1センサ装置は、有利には、制御ユニットを介して制御される。さらに、少なくとも1つの第1センサ装置は、位置決め可能なロボットセルに配置されたロボットの要素のような少なくとも1つの移動可能な要素に配置されている。この少なくとも1つの移動可能な要素を用いて、少なくとも1つの第1センサ装置は、空間で適切に移動され、所望の活動を実行できる。
【0016】
これに関連にして、「位置決め装置」という用語は、例えば、ホイール、ローラ、レールだけでなく、パレットトラック、フォークリフトトラック、クレーン又は同種のもののような補助手段、又は、ガイド、ホック、アイレット又は同種のもののような外部の又は自律的な再配置装置の意味として受け取られる。
【0017】
好ましくは、少なくとも第1センサ装置は、自己検出型であり、それによって、生産設備に対するロボットセルの位置の検出を単独で実行する。
【0018】
有利には、少なくとも第1センサ装置は、自動自己検出型であるので、ロボットセルの位置決めの後、生産設備に対するロボットセルの位置の検出は、自動的に行われ、有利には、完全に係員の関与なしに行われる。
【0019】
好ましくは、少なくとも第1センサ装置は、位置の検出及び/又は測定のための少なくとも1つの第1センサを備え、生産設備に対するロボットセルの位置の検出を容易にできる。
【0020】
少なくとも1つの第1センサは、例えば、光学センサ、有利には、レーザセンサであり、それによって、生産設備に対するロボットセルの位置の検出は、光学検出及び/又は測定によって、容易に行われうる。
【0021】
他の実施形態では、少なくとも1つの第1センサは、音波センサであり、有利なことには超音波センサであり、これにより、生産設備に対するロボットセルの位置の検出は、音波検出によって、又は超音波検出によって、容易に行われうる。
【0022】
さらに他の実施形態では、少なくとも1つの第1センサは、機械センサであり、これにより、生産設備に対するロボットセルの位置の検出は、センシングのような機械検出によって、容易に行われうる。
【0023】
さらに他の実施形態では、少なくとも1つの第1センサは、磁気センサであり、これにより、生産設備に対するロボットセルの位置の検出は、磁気検出によって、容易に行われうる。磁気センサは、例えば、永久磁石又は電磁気センサである。
【0024】
また、少なくとも第1センサ装置は、少なくとも1つの第1センサを備え、様々な種類の測定及び/又は検出が可能になる。これは、特に、生産設備に対するロボットセルの位置の検出が、現在の状況において最も有利な種類の測定及び/又は検出によって行われる、非常に柔軟な位置決めロボットセルを作り出す。
【0025】
有利には、少なくとも1つの第1センサは、センサによって提供された計測データ、特に数学モデルを用いてロボットセルの位置を評価するとともに製造装置に対する位置を決定する評価ユニットに関連付けられている。これにより、製造装置に対するロボットセルの特に正確な位置決めが可能になる。
【0026】
前述の説明に関連して、位置の測定とは、少なくとも2つの位置パラメータの関連付けを意味しており、検出とは、少なくとも1つの位置パラメータの認識を意味している。
【0027】
好ましくは、少なくとも第1センサ装置は、少なくとも1つの追加センサを備えており、少なくとも1つの追加センサは、光学センサ、好ましくはレーザセンサ、及び/又は音波センサ、好ましくは超音波センサ、及び/又は機械センサ及び/又は磁気センサである。これにより、非常に柔軟な位置決め可能なロボットセルが同様に作り出され、生産設備に対するロボットセルの位置の検出は、現在の状況で最も有利な種類の測定を用いて行われる。
【0028】
好ましくは、位置決め装置に加えて、ロボットセルの再配置を単純にする再配置装置は、ロボットセルの再配置のために設けられる。再配置装置は、例えば、案内路、ホック、アイレット又は同種のもの、有利には、パレットトラック、フォークリフトトラック、クレーン、又は同種のもののような、外部の又は自律式の再配置装置を備える。
【0029】
有利には、再配置装置は、少なくとも1つの第1センサ装置と相互に作用するか、又は、ロボットセルの再配置を検出する。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの受取装置は、受取装置の支え面上に交換可能に配置されうる少なくとも1つの案内要素を備え、少なくとも1つの案内要素の位置は、センサ装置によって検出されてもよい。この受取装置は、曲げ加工部品のようなワークピース及び/又は加工済みワークピースに柔軟に取り付けられてもよい。センサ装置を用いた少なくとも1つの案内要素の位置の検出は、ロボットのような取扱装置がワークピースを安全に動かすことを保証する。
【0031】
有利には、少なくとも1つの案内要素の位置は、少なくとも第1センサ装置によって検出され、その結果、追加のセンサ装置は必要なく、したがって、位置決め可能なロボットセルの製造コストを低く維持できる。
【0032】
好ましくは、ロボットセルは、ロボットセルを製造装置に接続するための少なくとも1つの通信接続装置を備えるため、それらの間の通信が可能になる。有利には、ロボットセルと製造装置との間の通信は、無線通信及び/又はWLAN及び/又はGPS及び/又はブルートゥース(登録商標)による。追加的に又は代替的に、ロボットセルと製造装置との間に、少なくとも1つのケーブル接続が設けられていてもよい。
【0033】
好ましくは、同時に把持された複数のワークピースを検出するために少なくとも1つの追加のセンサ装置が設けられており、これにより、信頼性のある、有利には、自動的な連続生産を保証する。少なくとも1つの追加のセンサ装置は、取扱装置が1つよりも多いワークピースを偶発的に把持した時を認識する。そのような場合では、誤った加工を防止するためにワークピースの加工は始まらない。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのワークピースシンギュレーションユニットが設けられており、これを用いて、互いにくっついたり横になったりしており、取扱装置によって把持されたワークピースは、互いに分離される。この少なくとも1つのワークピースシンギュレーションユニットは、ワークピース用の少なくとも1つの第1保持装置、並びに、別のワークピース用の少なくとも1つの別の保持装置を備え、くっついたり横になったりしているワークピースを容易に分離できる。
【0035】
有利には、少なくとも1つの第1保持装置、及び少なくとも1つの第2保持装置は、互いに対向しているため、くっついたり横になったりしているワークピースは、特に容易に互いに分離される。
【0036】
有利には、少なくとも1つの保持装置及び/又は少なくとも1つの第2保持装置は、例えば、空気圧式又は磁気式に設計されている。
【0037】
好ましくは、ワークピースまたは加工済みワークピースを把持するために1つの把持装置が設けられており、これにより、加工されたワークピースの製造において容易な取り扱いを保証する。例えば、ワークピースは、製造装置によって加工され、把持装置を用いて把持され、さらなる加工のために製造装置の異なる方向で供給されてもよい。把持装置は、有利には、把持ステーションの少なくとも一部であり、把持ステーションもまたロボットセル内又はロボットセルに有利には配置される。
【0038】
有利には、把持装置は、上述のセンサ装置の別の又は少なくとも1つと相互に作用しているので、ワークピースの種類、製造装置に対するそれらの位置、及び/又は、同時のいくつかのワークピースの複数の把持が検出され、例えば、それによって有利な連続生産が可能になる。
【0039】
好ましくは、ワークピースの取り扱いのために少なくとも1つの取扱装置が設けられているので、コンパクトで多様化した位置決め可能なロボットセルが作り出される。
【0040】
有利には、少なくとも1つの取扱装置は、有利には多軸ロボットである少なくとも1つのロボットを備える。
【0041】
有利には、少なくとも1つのセンサ装置は、少なくとも1つの取扱装置に設けられており、これによりデータが容易に取得される。特に有利には、第1センサ装置は、製造装置に対するロボットセルの位置が容易に検出できるように、少なくとも1つの取扱装置に設けられている。
【0042】
少なくとも1つのセンサ装置は、有利には取り外し可能に少なくとも1つの取り扱い装置に設けられているので、必要なデータを取得した後に少なくとも1つの取扱装置から取り外されることができ、取扱装置又は製造装置のその後の運動を阻害しない。
【0043】
好ましくは、本発明に係る生産設備は、製造装置、特に曲げ機械又はプレスブレーキのような板金加工装置と、前述の特徴の少なくとも1つを有する位置決めロボットセルとを備える。ロボットセルは、コンピュータプログラムによって制御されてもよい。このため、コンピュータプログラムは、製造装置に対する第1センサの配置を介してロボットセルの位置を検出する。
【0044】
コンピュータプログラムは、ロボットセルの自動位置決めに役に立つ。好ましくは、製造装置、(特定の)製造装置の選択、又はすべての製造装置のための準備段階で作成された位置決めのための規則を考慮に入れてもよい。これゆえ、制御プロセスは、一貫して、かつ特定の製造装置又は製造装置群に特化して実行されてもよい。
【0045】
前述の特徴の少なくとも1つを有する位置決め可能なロボットセルを、製造装置、特に曲げ機械又はプレスブレーキのような板金加工装置のために又は当該製造装置において操作するための本発明に係る方法では、ロボットセルは、製造装置に配置される。その後、製造装置に対するロボットセルの位置は、少なくとも1つの第1センサ装置を用いて検出される。本方法は、好ましくは、コンピュータプログラムによって自動的に実行される。
【0046】
それゆえ、この課題は、コンピュータプログラムセクションを有するコンピュータプログラムによって、さらに解決され、コンピュータプログラムセクションは、コンピュータプログラムがコンピュータユニット(コンピュータ、コンピュータネットワーク、ロボットセルのプロセッサなど)上で起動した時に、前述した全ての方法ステップの実行のために機械可読データ記憶媒体上に格納されている。
【0047】
このように、ロボットセルの正確な位置は、製造装置に対して既知であり、ワークピースの製造において考慮に入れられてもよい。
【0048】
取得されたデータを用いて、例えば、基準が決定され、取扱装置(例えばロボット)の運動は、この基準に対して生じる。取扱装置の運動は、有利には、常に同じであり、基準のみが変化する。取扱装置の基礎は、有利には、座標系の零点位置である。それゆえ、零点位置に関する位置、角度、及び/又は方向は、決定され、有利には、取扱装置、特にロボットの(グローバル)座標系に関する。
【0049】
例えば、取扱装置上、例えばロボットアーム上に取り外し可能に配置された少なくとも1つのセンサによって、線が横断され、それらに対応する距離が計測される。この工程が2つの線に対して実行された場合、製造装置に対するロボットセルの回転が、これにより容易に決定される。
【0050】
代替的には、対応する距離を決定するために、少なくとも2点が選択され検出される。
【0051】
取得されたパラメータ、例えば距離パラメータに基づいて、例えば、グラフがプロットされる。
【0052】
好ましくは、ロボットセルの第1位置を検出した後に、ロボットセルは、少なくとも1つの別の位置に再配置される。第1の計測中に、要求された製造ステップの全てが実行できるわけではない、又はこれらのステップの全てが実行できないことが認識されると、ロボットセルは、要求された製造ステップが実行されうる位置に、有利には再配置装置によって、再配置される。生産が始まるまえに、製造装置に対するロボットセルの位置を検出するために繰り返し計測が行われる。
【0053】
好ましくは、ロボットセルは、製造装置と通信しているため、ロボットセルと製造装置とが互いに通信する。
【0054】
有利には、ロボットセルは、製造装置の制御装置と通信している。より有利には、ロボットセルの操作は、製造装置のオペレータユニットによって起こる。
【0055】
しかしながら、特に有利には、製造装置は、ロボットセルによって制御され、製造装置を用いたワークピースの意図しない加工を防止する。
【0056】
本発明のさらなる利点、特徴、及び詳細は、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を記載している以下の発明の詳細な説明から明らかになる。
【0057】
参照番号のリスト、並びに、特許請求の範囲及び図面の技術的な内容は、開示の一部である。図面は、互いに関連して記載されている。同一の参照番号は、同一の構造部品を示し、異なる指数を有する参照番号は、類似のまたは機能的に一致する構造部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】製造装置と、本発明に係る位置決め可能なロボットセルとを有する本発明に係る生産設備の一実施形態を透視投影法で示す図。
【
図4】本発明に係るロボットセルのロボットの詳細な斜視図。
【
図5】本発明に係るロボットセルの受取装置の詳細な斜視図。
【
図7】本発明に係るロボットセルのワークピースシンギュレーションユニットの斜視図。
【
図8】本発明に係るロボットセルの位置決め装置の第1位置での側面図。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1から
図4に示す製造設備11は、製造装置、ここでは曲げ機械14と、位置決め可能なロボットセル21とを備える。ロボットセル21は、曲げ機械14の前に配置され、次いで曲げ機械14を自動的に操作(attend)する。
【0060】
ロボットセル21は、ロボット24と、ロボット24を収容するフレーム22とを備える。ロボットセル21は、ロボットセル21の再配置のための位置決め装置41を更に備える。ここで、位置決め装置41は、4つのローラ42を備え、4つのローラ42のすべては、有利には、回転装置43によってフレーム22に回転可能に接続されている。特に
図8及び
図9にさらに示すように、有利には、それらのローラ42のそれぞれに、フレーム22又は位置決め可能なロボットセル21のための支持装置46が設けられている。支持装置46は、支承要素47と作動装置48とを備え、作動装置48は、支承要素47を下げるための第1昇降機構49と、支承要素47を上げるための第2昇降機構50とを有する。第1昇降機構49を作動する場合、支承要素47は、ベース面18を押しつけるようになり、さらにフレーム22が上がるので、ローラ42は、もはやベース面18と接触しない(
図9参照)。第2昇降機構50を作動することで、支承要素47は、再度上昇し、ローラ42とベース面18との間の接触が戻るので、位置決め可能なロボットセル21は、容易に再配置される(
図8参照)。
【0061】
ロボット、特に多軸ロボット24は、ワークピースを取り扱うための取扱装置としてフレーム22に設けられている。さらに、ワークピース16及び/又は加工済みワークピースを支持するための2つの支え面32を有する受取装置31がフレーム22に設けられている。
【0062】
ロボット24は、可動ロボットアーム25を備え、可動ロボットアーム25は、その自由端において、ワークピース16又は加工済みワークピースの把持、保持、及び輸送のためのグリップ形式の操作装置26を備える。操作装置26は、有利には、手動クイックチェンジシステムによって固定されており、それによって部品特有の操作装置を必要に応じて容易に配置できる。
【0063】
曲げ機械14に対するロボットセル21の位置を検出するための第1センサ装置61がロボットアーム25に取り外し可能に設けられている。第1センサ装置61は、自己検出型であり、有利には自動自己検出型である。第1センサ装置61は、光学センサ、ここでは、レーザセンサを備える。
【0064】
代替的に又は追加的に、第1センサ装置61は、音波センサ、有利には超音波センサ、及び/又は機械センサ及び/又は磁気センサを備える。
【0065】
代替的に又は追加的に、第1センサ装置61は、少なくとも1つの追加センサを備え、少なくとも1つの追加センサは、光学センサ、好ましくはレーザセンサ、及び/又は音波センサ、好ましくは超音波センサ、及び/又は機械センサ及び/又は磁気センサである。
【0066】
有利には、支持装置46の位置センサ44は、第1センサ装置61と相互に作用するので、例えば、曲げ機械14の加工プロセスは、
図8で示される一方の位置では始まらない。位置センサ44は、例えば、圧力センサを備えており、圧力センサは、非作動状態では、曲げ機械14の加工プロセスを中断し、及び/又はこの加工プロセスの開始を防止する。このようにして、曲げ機械14での制御されていない加工プロセスが防止され、ワークピースの排出が少なくなる。
【0067】
フレーム22の下側では、再配置装置23として2つの案内路が設けられている。この再配置装置23は、例えば、自律再配置装置としてのフォークリフトトラック又はペレットトラックのフォークによって係合されることができ、ロボットセル21を容易に再配置できる。代替的には、例えば、ベルト、ロープ、及び/又はチェーンもまたこの再配置装置23に沿って案内されて、ロボットセル21の再配置のための自律再配置装置のクレーンホック又は他のホックに取り付けられてもよい。
【0068】
また代替的には、操作員(attendant)による手動の再配置のためにフレーム22にハンドルが設けられてもよい。
【0069】
有利には、再配置装置23の位置センサ54は、第1センサ装置61と相互に作用している。ロボットセル21の再配置が実行されると、次いで製造装置又はその他の基準源に対するロボットセル21の新しい位置は、第1センサ装置1によって取得される。位置センサ54は、例えば、圧力センサを備え、圧力センサは、作動状態では、ロボットセル21、特に第1センサ装置61の動作を停止させる。これにより、再配置中に、ロボットセル21の制御されていない動作が起こらないようになる。
【0070】
ロボットセル21は、接続装置66を介して、曲げ機械14に接続されている。ここで、接続は無線である。接続装置66は、ロボットセル21に位置している第1送受信装置67と、曲げ機械14に位置している第2送受信装置68とを備え、これらは、有利には、曲げ機械14でのロボットセル21の位置決め中または位置決め後に、互いを自動的に認識し接続する。
【0071】
ロボットセル21は、同時に把持された複数のワークピース16を検出するための別のセンサ装置71を備える。この別のセンサ装置71は、互いに対向し、間隔を開けて配置された2つのセンサ72,74を備える(
図7参照)。有利には、2つのセンサ72,74は、同じ種類であり、ここでは、光学センサ、すなわちレーザセンサである。ワークピース16がこれら2つのセンサ72,74の間に位置するとすぐに、各表面からセンサ72又は74までの距離は、両方のセンサ72,74によって検出される。間隔Aから、両方のセンサ72,74によって検出された距離の合計を引いた差が、ワークピース16の厚さをもたらす。ワークピース16のこの厚さがわかるので、1つ以上のワークピース16が把持されているときが容易に決定される。
【0072】
1つより多いワークピース16が同時に把持されている場合に、製造プロセスを不必要に遅らせないように、ワークピースシンギュレーションユニット81が設けられている。
ワークピースシンギュレーションユニット81は、ワークピース16用の第1保持装置82と、もう1つのワークピース16用の別の保持装置84とを備える。第1保持装置82及び第2保持装置84は、互いに向き合っている。両方の保持装置82,84は、吸引装置をそれぞれ備え、くっついているワークピース16は、吸引装置によって容易に互いに分離され得る。吸引装置の代替的に又は追加的に、保持装置82,84の1つ又は両方は、クランプ装置を備えてもよい。
【0073】
さらに、把持装置76はワークピース16又は加工済みワークピースを把持するために設けられている。ここで、把持装置76が、必要に応じてワークピース16又は加工済みワークピースを把持する2つのグリップ部77を備えることで、ロボット24は、それを異なる方向からまた把持できる。把持装置76は、プロセスチェーンの中でワークピース16又は加工済みワークピース用の一時的なストレージとして機能してもよい。把持装置76は、また、有利には、別の又は前述したセンサ装置のうちの1つと相互に作用してもよい。
【0074】
図5及び
図6に詳細に示す受取装置31は、2つの支え面32を備える。各支え面32は、格子状に配置された複数の穴33を備える。さらに、受取装置31は、複数の案内要素34を備え、複数の案内装置34は、支え面32に交換可能に配置されてもよい。案内要素34は、ワークピース16又はワークピースのスタックが所望の方向で支え面に置かれるように配置されている。受取装置31は、対応するワークピースが(例えば、あらかじめ定められた曲げ計画に従って)装着され、様々な形状のワークピースでもそのように配置することができる。受取装置31上にワークピースの複数のスタックを配置することが考えられる。
【0075】
案内要素34の位置は、センサデバイス61、例えば、位置センサ、例えば、距離センサによって検出されてもよい。
ロボット24は、そのようにして得られた値に基づいて制御され、対応するワークピース16を意図した曲げプロセスで把持できる。
【0076】
ロボットセル21は、曲げ機械14に位置決めされ、支持装置46によって固定されている。第1センサ装置61は、あらかじめロボットアーム25に配置されているか、又はこれからそのように配置される。第1センサ装置61を用いて、曲げ機械14に対するロボットセル21の位置が取得される。ロボット24の制御システムは、今やロボットセル21の取得位置に適合される。
【0077】
ロボットセル21の位置が、意図した製造プロセスに役立つすべての点又は位置にロボット24が到達できないように偶然なった場合、ロボットセル21は、再配置されて、その後セルの再配置された位置は、再度取得される。有利には、ロボットセル21は、それ自身の駆動装置を有しているので、特に有利には、自律的に再配置されてもよい。
【0078】
ロボットセル21と曲げ装置14との間の通信リンクを通じて、曲げ機械14は、ロボットセル21によって制御される。この場合のロボットセル21の操作(attending)は、タッチスクリーンとして設計された曲げ機械14のオペレータユニット15によって行われる。したがって、位置決め可能なロボットセル21は、それ自身のオペレータユニットを備える必要がない。
【0079】
曲げ部分を組み立てるため、ロボット24は、受取装置31からワークピース16を掴み取る。ロボット24は、同時に複数のワークピース16が把持されているかを確かめるために、ワークピース16を別のセンサ装置71に運ぶ。仮にそのような場合には、複数のワークピース16は、ワークピースシンギュレーションユニット81によって、互いに分離される。
【0080】
そして、ロボット24は、単一のワークピース16を曲げ機械14に運び、おそらくは曲げ機械のバックストップ(back stops)を用いて、曲げ計画に従って配置する。そして、曲げプロセスが開始する。ワークピース16は、すべての曲げプロセスの間、ロボット24によって保持されていてもよい。
【0081】
曲げプロセスを完了した後、曲がったワークピースは、ロボット24に保持されており、例えば傾斜台36を介して受取容器38に運ばれる。
【0082】
代替的には、ロボット24は、加工済みの曲がったワークピースを直接受取容器38に配置してもよい。
【0083】
仮に曲げ計画がさらなる曲げプロセスを更に含み、例えば、すでに実行された曲げ工程のために、ワークピースをロボット24によって曲げ機械14に直接供給できない場合、ロボット24は、さらなる加工ステップに有利な方向で、このワークピースを把持装置76に渡し、ワークピースを再び検出する。
【0084】
ロボットセル21は、そのように位置決めされた状態で曲げ機械14に対向する側、及び/又は、その側に隣接する側に安全扉39を備える。これらの安全扉39は、ロボット24の作業区域に直接アクセスできないように、曲げ機械14に対して位置決めされている。さらに、ロボットセル24の対応する側は、閉鎖されていてもよく、これは、ロボットセル21の再配置の間、特に有利である。少なくとも、安全扉39の一部は、透明であるので、作業区域は、外部から観察できる。有利には、ロボットセル21は、その全周にロボットセル21を有する。
【0085】
位置決め可能なロボットセル21は、移動式ロボット曲げユニットを形成し、製造装置に少ない位置決め工程によって配置されてもよい。位置決め可能なロボットセル21を用いると、作業シフト操作中でさえ、連続して製造された部品が、自動的に又は操作(attend)なしで、それらの製造装置上で加工されるので、適用領域は、より小さな製造装置まで拡大され得る。このようにして、一方で、曲げ機械の耐用年数は、増加し、特に一連の製造部品では、生産コストが減少する。
【0086】
本発明の特定の利点は、ただ1つではなく、以下の通りである。
【0087】
ロボットセル21は、曲げ機械14の前に正確に位置決めされる必要がなく、ほぼその位置に位置決めされればよい。第1センサ装置61を使用して、ロボットセル21の曲げ機械14に対する精密な位置が特定される。
【0088】
曲げ機械14とのインターフェイスは、例えば、2つのイーサネットケーブルに跨がる無線又は有線であり、それらのうちの一方は、データ送信に役立ち、もう一方は、安全信号の送信に役立つ。
【0089】
曲げ機械のフットペダルのような製造装置の安全制御ユニットは、ロボットセルに直接接続されてもよく、手動操作よりも早い速度での製造装置の操作を可能にする。
【0090】
製造装置及び位置決め可能なロボットセルのプログラミングは、完全にオフラインで行われてもよい。それらを互いに接続したとき、それらは互いに調整され、遅くともセットアップ(工具、ロボットグリップ、回路、パレット)後には、生産が開始する。数分の校正期間の後、自動生産が可能になる。
【符号の説明】
【0091】
11 生産装置
14 曲げ機械
15 操作ユニット
16 ワークピース
18 ベース面
21 ロボットセル
22 フレーム
23 再配置装置
24 ロボット
25 ロボットアーム
26 操作装置
31 受取装置
32 支え面
33 32における穴
34 31の案内要素
36 傾斜台
38 受取容器
39 安全扉
41 位置決め装置
42 ローラ
43 回転装置
44 47の位置センサ
46 支持装置
47 支承要素
48 作動装置
49 第1昇降機構
50 第2昇降機構
54 23の位置センサ
61 第1センサ装置(位置検出装置)
66 接続装置
67 第1送受信装置
68 第2送受信装置
71 追加のセンサ装置(2つのワークピースの認識)
72 センサ
74 センサ
A 72と74との間の空間
76 把持装置
77 グリップ部
81 ワークピースシンギュレーションユニット
82 第1保持装置
84 第2保持装置