特許第6906095号(P6906095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6906095導電性フィルムの製造方法、及び、樹脂組成物の組成の決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906095
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】導電性フィルムの製造方法、及び、樹脂組成物の組成の決定方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20210708BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20210708BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20210708BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20210708BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20210708BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20210708BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20210708BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20210708BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20210708BHJP
【FI】
   C08L101/00
   B29C48/305
   C08K3/04
   C08L23/00
   C08J5/18CES
   B29C48/08
   B29C48/88
   B29K23:00
   B29L7:00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-157248(P2020-157248)
(22)【出願日】2020年9月18日
(62)【分割の表示】特願2019-229835(P2019-229835)の分割
【原出願日】2019年12月20日
(65)【公開番号】特開2021-98354(P2021-98354A)
(43)【公開日】2021年7月1日
【審査請求日】2020年9月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】礒 健大
(72)【発明者】
【氏名】田中 章博
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−137221(JP,A)
【文献】 特開2012−204292(JP,A)
【文献】 特開2020−087918(JP,A)
【文献】 特開昭63−130643(JP,A)
【文献】 特開昭62−132948(JP,A)
【文献】 特開2005−126510(JP,A)
【文献】 特開2010−070660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00−101/16
C08K3/00−13/08
C08J5/18
B29C48/08
B29C48/305
B29C48/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性フィルムの製造に用いられる樹脂組成物の組成の決定方法であって、
樹脂組成物により構成された柱状の試験片の両端が引っ張られることによって前記試験片に所定の歪み速度による一軸伸長変形が加えられた状態で、前記試験片の伸長粘度の変化の測定を行なうステップと、
前記測定の開始から5(s)経過時点において、前記所定の歪み速度が0.02(/s)である場合の前記伸長粘度の対数の値と、前記所定の歪み速度が0.1(/s)である場合の前記伸長粘度の対数の値との差が0.5(Pa・s)未満となった場合の樹脂組成物の組成を、前記導電性フィルムの製造に用いられる樹脂組成物の組成として決定するステップと
を含む、組成の決定方法。
【請求項2】
導電性フィルムの製造方法であって、
ポリオレフィン系樹脂とカーボンブラックとを含む樹脂組成物により構成された柱状の試験片の両端が引っ張られることによって前記試験片に所定の歪み速度による一軸伸長変形が加えられた状態で、前記試験片の伸長粘度の変化の測定を行なうステップと、
前記測定の開始から5(s)経過時点において、前記所定の歪み速度が0.02(/s)である場合の前記伸長粘度の対数の値と、前記所定の歪み速度が0.1(/s)である場合の前記伸長粘度の対数の値との差が0.5(Pa・s)未満となった場合の樹脂組成物の組成を、前記導電性フィルムの製造に用いられる樹脂組成物の組成として決定するステップと、
決定された前記樹脂組成物の組成に基づいて、前記ポリオレフィン系樹脂と前記カーボンブラックとを含む樹脂組成物を、押出し成形によって導電性フィルムに加工するステップと、
を含む、導電性フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂である、請求項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記カーボンブラックは、ファーネスブラックである、請求項又は請求項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関し、特に、ポリオレフィン系樹脂とカーボンブラックとを含み、押出し成形によって導電性フィルムに加工される樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017−105889号公報(特許文献1)は、ポリオレフィン系化粧シート用基材フィルムを開示する。このポリオレフィン系化粧シート用基材フィルムにおいては、所定条件下において、所定の伸長粘度変化率が300%以上である。このポリオレフィン系化粧シート用基材フィルムを用いて成形された薄いフィルムにおいては、いわゆるドローレゾナンスの発生が抑制されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−105889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているドローレゾナンスという現象は、たとえば、押出し成形によって導電性フィルムが成形される場合にも発生し得る。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、導電性フィルムに加工した場合にドローレゾナンスの発生を抑制可能な樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂とカーボンブラックとを含み、押出し成形によって導電性フィルムに加工される。この樹脂組成物は、該樹脂組成物により構成された柱状の試験片の両端が引っ張られることによって試験片に所定の歪み速度による一軸伸長変形が加えられた状態で、試験片の伸長粘度の変化の測定が行なわれると、該測定の開始から5(s)経過時点において、所定の歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、所定の歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差が0.5(Pa・s)未満である。
【0007】
たとえば、導電性フィルムの押出し成形においては、ダイの樹脂吐出部付近においてネックインという現象が生じ得る。ネックインが生じている場合には、加工中の導電性フィルムの領域毎に樹脂が通過する長さが異なる。すなわち、加工中の導電性フィルムの幅方向の両端部においては、導電性フィルムの幅方向の中央部と比較して、樹脂が通過する長さが長くなる。そのため、加工中の導電性フィルムの領域毎に樹脂の歪み速度が異なる。このような場合に、歪み速度の変化によって伸長粘度が大きく変化すると、加工中の導電性フィルムの領域毎に樹脂の伸び具合が大きくばらつき、ドローレゾナンスの原因となる。本発明に従う樹脂組成物においては、試験において歪み速度が0.02(/s)と0.1(/s)との間で変更されたとしても、伸長粘度の対数の値の変化が0.5(Pa・s)未満である。したがって、この樹脂組成物によれば、歪み速度の変化による伸長粘度の変化が限定的であるため、たとえば、導電性フィルムの押出し成形時にネックインが生じたとしても、導電性フィルムの領域毎の樹脂の伸び具合が大きくばらつかず、ドローレゾナンスの発生を抑制することができる。
【0008】
上記樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹脂は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂であってもよい。
【0009】
上記樹脂組成物において、カーボンブラックは、ファーネスブラックであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電性フィルムに加工した場合にドローレゾナンスの発生を抑制可能な樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】押出し成形機の一部を示す図である。
図2】測定装置の内部を正面方向から示す模式図である。
図3】測定装置の内部を側面方向から示す模式図である。
図4】実施例1における伸長粘度の測定結果を示す図である。
図5】実施例2における伸長粘度の測定結果を示す図である。
図6】実施例3における伸長粘度の測定結果を示す図である。
図7】比較例における伸長粘度の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[1.概要]
図1は、本実施の形態に従う樹脂組成物を用いて導電性フィルム20を製造するように構成された押出し成形機10の一部を示す図である。図1に示されるように、押出し成形機10は、Tダイ100と、冷却ロール110とを含んでいる。樹脂組成物は、Tダイ100から押し出され、冷却ロール110で冷却されることによって、導電性フィルム20に加工される。
【0014】
たとえば、導電性フィルム20の押出し成形においては、Tダイ100の樹脂吐出部付近においてネックインという現象が生じ得る。ネックインが生じている場合には、加工中の導電性フィルム20の領域毎に樹脂が通過する長さが異なる。たとえば、領域P1において樹脂が通過する長さと、領域P2において樹脂が通過する長さとは異なる。すなわち、加工中の導電性フィルム20の幅方向の両端部においては、導電性フィルム20の幅方向の中央部と比較して、樹脂が通過する長さが長くなる。
【0015】
そのため、加工中の導電性フィルム20の領域毎に樹脂の歪み速度が異なる。このような場合に、歪み速度の変化によって樹脂組成物の伸長粘度が大きく変化すると、加工中の導電性フィルム20の領域毎に樹脂の伸び具合が大きくばらつき、ドローレゾナンスの原因となる。
【0016】
本発明者(ら)は、適切な伸長粘度を有する樹脂組成物を用いて導電性フィルムを生産することによって、導電性フィルムにおける上記ドローレゾナンスの発生を抑制できることを見出した。以下、本実施の形態に従う樹脂組成物について詳細に説明する。
【0017】
[2.樹脂組成物]
本実施の形態に従う樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂とカーボンブラックとを含む。ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、以下のAタイプ又はBタイプが含まれている。
【0018】
Aタイプのポリオレフィン系樹脂は、たとえば、i)分子量分布の異なるポリプロピレン樹脂同士が混合されたもの(たとえば、超高分子成分が添加される等)、ii)電子線照射又は過酸化物との反応等によって部分架橋されたポリプロピレン樹脂、又は、iii)長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂である。
【0019】
Bタイプのポリオレフィン系樹脂は、たとえば、温度230℃、荷重2.16kgという条件下でJIS K7210−1:2014に準拠した方法で測定されたメルトマスフローレート(MFR)が20超のポリプロピレン樹脂である。
【0020】
カーボンブラックとしては、たとえば、ファーネスブラック又はアセチレンブラックが含まれている。
【0021】
本実施の形態に従う樹脂組成物は、該樹脂組成物により構成された柱状の試験片の両端が引っ張られることによって該試験片に所定の歪み速度による一軸伸長変形が加えられた状態で、試験片の伸長粘度の変化の測定が行なわれると、該測定の開始から5(s)経過時点において、所定の歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、所定の歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差が0.5(Pa・s)未満であるという特徴を有している。好ましくは、該測定の開始から5(s)経過時点において、所定の歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、所定の歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差は、0.42(Pa・s)以下である。なお、伸長粘度の測定方法については、後程詳しく説明する。
【0022】
この樹脂組成物によれば、歪み速度の変化による伸長粘度の変化が限定的であるため、たとえば、導電性フィルム20の押出し成形時にネックインが生じたとしても、導電性フィルム20の領域毎の樹脂の伸び具合が大きくばらつかず、ドローレゾナンスの発生を抑制することができる。
【0023】
また、樹脂組成物に含まれるフィラー量(たとえば、カーボンブラックの量)が増加すると、該樹脂組成物を用いて生成された導電性フィルム20においてドローレゾナンスが発生しやすくなる。フィラーの多くは成形加工中の導電性フィルム20において塑性変形する量が極めて小さいため、樹脂組成物に含まれるフィラー量が多い場合には、導電性フィルム20において塑性変形可能な樹脂部分が小さく分断されるためである。樹脂組成物に含まれるフィラー量が多い場合には、生成された導電性フィルム20におけるドローレゾナンスの発生が顕著となる。本実施の形態に従う樹脂組成物によれば、たとえば、フィラーの質量%濃度が23wt%以上であっても、生成される導電性フィルム20におけるドローレゾナンスの発生を抑制することができる。
【0024】
[3.伸長粘度の測定方法]
樹脂組成物の伸長粘度の測定は、測定装置30を用いることによって行なわれる。まず、測定装置30について説明し、その後、測定装置30を用いた伸長粘度の測定方法について説明する。
【0025】
図2は、測定装置30の内部を正面方向から示す模式図である。図3は、測定装置30の内部を側面方向から示す模式図である。矢印X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2の各々が示す方向は、図2及び図3において共通である。
【0026】
図2及び図3に示されるように、測定装置30は、オイルバス31と、複数(2つ)のロール300Aと、複数(2つ)のロール300Bと、光源320と、光ファイバ330と、複数(2つ)の光照射部340Aと、鏡350A,350Bと、カメラ360とを含んでいる。
【0027】
オイルバス31には、シリコンオイルが充填されている。複数のロール300A、複数のロール300B及び鏡350A,350Bの各々は、シリコンオイルに浸漬されている。
【0028】
試験片40は、測定対象の樹脂組成物によって構成されている。試験片40の形状は、たとえば、円柱形状又は角柱形状である。
【0029】
矢印X1方向寄りのロール300A,300B、及び、矢印X2方向寄りのロール300A,300Bの各々は、試験片40の端部を保持するように構成されている。ロール300A,300Bの各々は、一定速度で回転し、試験片40を矢印X1方向又は矢印X2方向に引っ張るように構成されている。
【0030】
矢印X1方向寄りのロール300A,300B、及び、矢印X2方向寄りのロール300A,300Bの少なくとも一方は、ロードセルを含み、試験片40に加えられた荷重を検出するように構成されている。試験片40の両端がロール300A,300Bによって引っ張られることによって、試験片40には一軸伸長変形が加えられる。なお、一軸伸長変形とは、最初L0だけ離れていた2点間の距離が以下の式(1)に従って変化する変形のことをいう。
【0031】
【数1】
ε:歪み速度(sec-1)、t:時間(sec)
光源320は発光するように構成されており、光ファイバ330は光源320が発した光を伝達するように構成されている。光照射部340A,340Bは、鏡350A,350Bにそれぞれ光を照射するように構成されている。鏡350A,350Bの各々は光を反射し、反射した光は試験片40に照射される。カメラ360は、試験片40によって反射された光を撮影するように構成されている。
【0032】
上述の一軸伸長変形が試験片40に加えられた場合、試験片40の断面積S(t)は、断面積の初期値がS0である場合に、以下の式(2)に従って減少する。
【0033】
【数2】
本実施の形態における伸長粘度の測定においては、ロール300A,300Bによって試験片40に一軸伸長変形が加えられ、その際に試験片40に加えられる荷重がロードセルを含むロール300A,300Bによって検出される。さらに、一軸伸長変形が加えられている状態においてカメラ360によって撮影された画像に基づいて、試験片40の直径が検出される。検出された直径のデータ及び上記式(2)に基づいて、試験片40が受けている歪み速度が算出される。断面積、算出された歪み速度及び検出された荷重のデータ、並びに、以下の式(3)に基づいて伸長粘度が算出される。
【0034】
【数3】
ηE:伸長粘度(Pa・s)、F:荷重(N)、S:断面積(m2)、ε:歪み速度(sec-1
以上の方法によって、樹脂組成物の伸長粘度が測定される。
【0035】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂とカーボンブラックとを含み、押出し成形によって導電性フィルム20に加工される。この樹脂組成物は、該樹脂組成物により構成された柱状の試験片40の両端が引っ張られることによって試験片40に所定の歪み速度による一軸伸長変形が加えられた状態で、試験片40の伸長粘度の変化の測定が行なわれると、該測定の開始から5(s)経過時点において、所定の歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、所定の歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差が0.5(Pa・s)未満である。
【0036】
したがって、この樹脂組成物によれば、歪み速度の変化による伸長粘度の変化が限定的であるため、たとえば、導電性フィルム20の押出し成形時にネックインが生じたとしても、導電性フィルム20の領域毎の樹脂の伸び具合が大きくばらつかず、ドローレゾナンスの発生を抑制することができる。
【0037】
[5.実施例及び比較例]
(5−1.実施例1)
実施例1における樹脂組成物は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂と、ファーネスブラックとを含んでいた。この樹脂組成物において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の質量パーセント濃度は73wt%であり、ファーネスブラックの質量パーセント濃度は27wt%であった。
【0038】
図4は、実施例1における伸長粘度の測定結果を示す図である。図4を参照して、横軸は時間(s)を示し、縦軸は伸長粘度の対数値(Pa・s)を示す。実施例1においては、伸長粘度の測定開始から5(s)経過時点において、歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差は、0.00であった。
【0039】
(5−2.実施例2)
実施例2における樹脂組成物は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂と、ファーネスブラックとを含んでいた。この樹脂組成物において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の質量パーセント濃度は70wt%であり、ファーネスブラックの質量パーセント濃度は30wt%であった。
【0040】
図5は、実施例2における伸長粘度の測定結果を示す図である。図5を参照して、横軸は時間(s)を示し、縦軸は伸長粘度の対数値(Pa・s)を示す。実施例2においては、伸長粘度の測定開始から5(s)経過時点において、歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差は、0.02であった。
【0041】
(5−3.実施例3)
実施例3における樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgという条件下でJIS K7210−1:2014に準拠した方法で測定されたメルトマスフローレート(MFR)が20超のポリプロピレン樹脂と、アセチレンブラックとを含んでいた。この樹脂組成物において、上記MFRが20超のポリプロピレン樹脂の質量パーセント濃度は75wt%であり、アセチレンブラックの質量パーセント濃度は25wt%であった。
【0042】
図6は、実施例3における伸長粘度の測定結果を示す図である。図6を参照して、横軸は時間(s)を示し、縦軸は伸長粘度の対数値(Pa・s)を示す。実施例3においては、伸長粘度の測定開始から5(s)経過時点において、歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差は、0.42であった。
【0043】
(5−4.比較例)
比較例における樹脂組成物は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂と、ケッチェンブラックとを含んでいた。この樹脂組成物において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の質量パーセント濃度は70wt%であり、ケッチェンブラックの質量パーセント濃度は30wt%であった。
【0044】
図7は、比較例における伸長粘度の測定結果を示す図である。図7を参照して、横軸は時間(s)を示し、縦軸は伸長粘度の対数値(Pa・s)を示す。比較例においては、伸長粘度の測定開始から5(s)経過時点において、歪み速度が0.02(/s)である場合の伸長粘度の対数の値と、歪み速度が0.1(/s)である場合の伸長粘度の対数の値との差は、1.42であった。実施例1−3及び比較例についてまとめたものが以下の表1である。
【0045】
【表1】
(5−5.ドローレゾナンスに関する評価結果)
実施例1−3及び比較例の各々の樹脂組成物を用いて導電性フィルムを作成し、各導電性フィルムに関しドローレゾナンスの評価を行なった。具体的には、以下の方法によって、ドローレゾナンスの評価を行なった。
【0046】
樹脂組成物をフルフライト単軸押出し機(40mmφ、L/D=29)、550mm幅コートハンガーダイ(リップ開度0.8mm)、シリンダ温度180−230℃、ダイ温度215℃で押し出し、冷却ロールを備えた巻取り機(ロール温度30℃)にて巻き取ることによって製膜した。
【0047】
各実施例の全試験区において樹脂吐出量が常に一定となるように調整し、同一樹脂組成における厚み水準の変更は巻取り速度の変更のみによって行なった。フィルム厚みは、フィルム中央と、中央から両側15cmの各々の位置とのTD方向3点を、MD方向に1cm間隔で100箇所、計300点測定した。
【0048】
ドローレゾナンスの発生評価は、下記式(4)で表される変動幅を用いて行なった。
均値 ・・・(4)
変動幅が10%以下の場合に「エクセレント」と評価し、変動幅が15%以下の場合に「グッド」と評価し、変動幅が15%超の場合に「バッド」と評価した。評価結果をまとめたものが以下の表2である。
【0049】
【表2】
表2に示されるように、実施例1,2については、全フィルム厚みにおいて「グッド」と評価された。実施例3については、フィルム厚みが200μmの場合には「エクセレント」と評価され、フィルム厚みが50μm、100μmの場合には「グッド」と評価された。一方、比較例については、フィルム厚みが200μmの場合には「グッド」と評価されたものの、フィルム厚みが50μm、100μmの場合には「バッド」と評価された。
【符号の説明】
【0050】
10 押出し成形機、20 導電性フィルム、30 測定装置、31 オイルバス、40 試験片、100 Tダイ、110 冷却ロール、300A,300B ロール、320 光源、330 光ファイバ、340A,340B 光照射部、350A,350B 鏡、360 カメラ、P1,P2 領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7