特許第6906100号(P6906100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェオブルッグ・アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000002
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000003
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000004
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000005
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000006
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000007
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000008
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000009
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000010
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000011
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000012
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000013
  • 特許6906100-ネット及び/又はロープ構造ブレーキ 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906100
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】ネット及び/又はロープ構造ブレーキ
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   E01F7/04
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-502640(P2020-502640)
(86)(22)【出願日】2018年7月19日
(65)【公表番号】特表2020-527205(P2020-527205A)
(43)【公表日】2020年9月3日
(86)【国際出願番号】EP2018069667
(87)【国際公開番号】WO2019016330
(87)【国際公開日】20190124
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】102017116531.2
(32)【優先日】2017年7月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510301231
【氏名又は名称】ジェオブルッグ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ランター、アンドレアス
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−522978(JP,A)
【文献】 特開2001−114113(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0111310(US,A1)
【文献】 特開2003−148539(JP,A)
【文献】 特開2015−183474(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201554029(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/04
E01F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネット及び/又はロープ構造ブレーキであって、制動ユニット(12a〜d)を備え、前記制動ユニット(12a〜d)が、少なくとも1つの偏向要素(14a〜d)と、前記偏向要素(14a〜d)の周りで少なくとも部分的に延びる少なくとも1つの制動要素(16a〜h)とを含み、少なくとも負荷印加時に運動エネルギーを少なくとも一部吸収及び/又は変換するように構成されており、ネット及び/又はロープ構造ブレーキがさらに、固着ユニット(18a〜d)を備え、前記固着ユニット(18a〜d)が、少なくとも1つの使用場所(40a)に前記制動ユニット(12a〜d)を固定するように構成されており、前記制動要素(16a〜h)が、前記偏向要素(14a〜d)の周りで案内されており、前記制動要素(16a〜h)が、前記偏向要素(14a〜d)の周りで引っ張られてその過程で変形させられるように、負荷印加時に引張応力を受ける、ネット及び/又はロープ構造ブレーキにおいて、
前記制動要素(16a)が、少なくとも1つの第1の制動部分(24a)と、少なくとも1つの第2の制動部分(26a)とを含み、前記第1の制動部分(24a)と前記第2の制動部分(26a)、少なくとも局所負荷耐性の面で異なり、前記第1の制動部分(24a)が、少なくとも1つの材料くり抜き部(28a)を含むことを特徴とする、ネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項2】
前記固着ユニット(18a〜d)が、前記偏向要素(14a〜d)と少なくとも部分的に一部片で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項3】
前記固着ユニット(18a)が、少なくとも1つのボルト(22a)を有する少なくとも1つのシャックル(20a)を含み、前記シャックル(20a)が、前記偏向要素(14a)と少なくとも部分的に一部片で構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項4】
前記第1の制動部分(24a)が、前記第2の制動部分(26a)よりも低い剛性を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項5】
前記第1の制動部分(24a)が、前記偏向要素(14a)の周りで少なくとも部分的に延びることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項6】
前記制動要素(16a〜e)が、一部片の金属バンドとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項7】
前記制動要素(16d)が、少なくとも部分的に丸め上げられている及び/又は巻き上げられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項8】
前記制動ユニット(12a;12b)が、少なくとも1つのハウジング要素(30a;30b)を有し、前記ハウジング要素(30a;30b)が、前記制動要素(16a;16b)及び前記偏向要素(14a;14b)を少なくとも部分的に取り囲むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項9】
前記ハウジング要素(30a;30b)が一部片で構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項10】
前記ハウジング要素(30a;30b)が、負荷印加時に、少なくとも部分的に前記制動要素(16a;16b)を案内するように構成されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項11】
前記偏向要素(14a)が、前記ハウジング要素(30a)に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項12】
前記制動ユニット(12a)が、前記偏向要素(14a)に対して移動可能な案内要素(32a)を有し、前記案内要素(32a)が、前記制動要素(16a)を少なくとも一部案内するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキを製造するためのキットであって、固着ユニット(18a)と、異なる制動特性の少なくとも2つの制動ユニット(12a、36a)とを備え、前記制動ユニット(12a、36a)が、それぞれ前記固着ユニット(18a)と接続可能である、キット。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのネット及び/又はロープ構造ブレーキを備えるネット及び/又はロープ構造。
【請求項15】
請求項13に記載のキット(34a)によって、請求項1〜12のいずれか一項に記載のネット及び/又はロープ構造ブレーキを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の安全ネット及び/又はロープ構造用のエネルギー吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)から、ロープ構造の衝突減衰のための装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2274353号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に、構造の面で改良された特性を有する上記のような装置を提供することである。また、本発明の目的は、特に、高い費用効率を達成することである。さらに、本発明の目的は、特に、制動挙動の面で有利な特性を達成することである。この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴によって達成され、本発明の有利な形態及び発展形態は、従属請求項から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、安全ネット用及び/又はロープ構造用のエネルギー吸収装置、特に衝撃減衰装置及び/又は衝突吸収装置及び/又は牽引ロープブレーキ装置であって、制動ユニットを備え、制動ユニットが、少なくとも1つの偏向要素と、偏向要素の周りで少なくとも部分的に延びる少なくとも1つの制動要素とを含み、少なくとも負荷印加時に、特に衝撃時に運動エネルギーを少なくとも一部吸収及び/又は変換するように構成されており、エネルギー吸収装置がさらに、固着ユニットを備え、固着ユニットが、少なくとも1つの使用場所に制動ユニットを固定するように構成されている、エネルギー吸収装置に関する。
【0006】
本発明による形態により、有利な構成及び/又は設計を有するエネルギー吸収装置を提供することができる。特に、高い費用効率は、特に部品点数の削減により実現することができる。さらに、有利には、特に偏向領域の偏心がないコンパクトな設計を実現することができる。さらに、有利な制動挙動を有するエネルギー吸収装置を提供することができる。特に、負荷印加時に発生する衝撃エネルギーを継続的に吸収することができる。有利には、負荷印加時に線形応答挙動及び/又は一定の応答力を実現することができ、特に有利には、発生する力のピークを少なくともほぼ回避することができる。さらに、制動要素は、有利には、制御することができ、及び/又は振動なく偏向することができ、及び/又は偏向要素の周りで引っ張ることができる。
【0007】
特に、エネルギー吸収装置は、ネット及び/又はロープ構造ブレーキ及び/又はUブレーキとして、好ましくはネット及び/又はロープ構造用のUブレーキとして構成されている。ロープとして、ここでは特にワイヤロープが考慮に入れられ、他の材料のロープも考えられる。安全ネットとしては、ここでは特にワイヤメッシュが考慮に入れられ、任意の他のネットも考えられる。エネルギー吸収装置は、例えば、斜面を横切って延びるロープ、例えば、支持ロープ及び/又はブレーキロープ及び/又はUブレーキロープ及び/又は保定ロープに固着するように構成することができる。有利には、それぞれ少なくとも2つの、特に同一のエネルギー吸収装置が、対応するロープの端部に配置されており、好ましくは床及び/又は支持要素などに固着されている。特に、制動ユニットは、例えば、エネルギー吸収装置を含む落石ネット設備での落石の場合、雪崩の場合、保護フェンス(例えばレーストラック保護フェンス、道路保護フェンス、防眩フェンスなど)での車両及び/又は破片衝突の場合における衝撃エネルギーを、有利には偏向要素の周りで制動要素を引っ張ることによって変形エネルギーに変換するように構成されている。有利には、制動要素は、偏向要素の周りでU字形に案内される。特に有利には、制動要素は、負荷印加時に、特に制動要素が偏向要素の周りで引っ張られ、その際に好ましくは変形されるように、引張応力を受ける。しかし、基本的には、圧力負荷及び/又はねじり負荷及び/又は異なる力の組合せも考えられる。「構成される」とは、特に特別に設計及び/又は装備されていることを意味するものとする。「物体が特定の機能のために構成される」とは特に、その物体が少なくとも使用状態及び/又は動作状態でこの特定の機能を実現及び/又は実施することを意味するものとする。
【0008】
有利には、偏向要素は、円錐状、及び/又はボルト状、及び/又は少なくとも実質的に円柱形及び/又は円筒形に構成されている。好ましくは、制動要素は、制動要素の内側曲率半径が少なくとも実質的に偏向要素の外側半径に対応するように、偏向要素の周りに配置されている。好ましくは、制動ユニットは、負荷印加時に制動要素のみが変形され、特に偏向要素は変形しない、特に少なくとも実質的には変形しないように構成されている。有利には、制動要素は、バンド状に形成されている。特に、制動要素は、バンドとして形成されている。好ましくは、制動要素は一部片で構成され、及び/又は少なくとも1つの、特に一部片のバンド要素を含む。制動要素がいくつかの、特に隣接するバンド要素からなることも考えられ、これらの要素は、例えば互いに同一でも異なっていてもよい。制動要素は、任意の長さを有することができ、例えば、1m、2m、3m、4m、又は5mの長さが好適と思われる。しかし、特にエネルギー吸収装置の使用目的に応じて、特に実質的により短い又はより長い長さも考えられる。有利には、偏向要素の長手方向軸は、制動要素の長手方向軸に対して少なくとも実質的に垂直に配置されている。
【0009】
基本的には、制動ユニットが複数の偏向要素を備えることが考えられ、偏向要素は、特に同一の構成でも、異なる構成でもよい。ここで、偏向要素は、その配置が制動要素のための偏向軌道を指定するように配置することができ、偏向軌道は、特に円弧形に、しかしまた任意の他の湾曲形、例えば楕円形に形成することもできる。さらに、偏向要素は、特にそれらの位置に応じて、直径及び/又は表面状態及び/又は断面が異なることがある。いくつかの偏向要素を使用することにより、特に、制動ユニットの制動挙動及び/又は力特性曲線の正確な設定が可能になる。同様に、偏向要素が円筒形とは異なる断面を有することも考えられる。例えば、偏向要素は、様々な曲線及び/又は直線の部分軌道から構成される偏向軌道を画定する断面を有することができる。例えば、偏向要素の周りを回るとき、制動要素の曲率がまず増加し、特に再び減少することが考えられる。ここで、制動要素は、例えば、主曲率半径を有する主曲率部と、それに続く、主曲率部から延びる、あまり曲率が大きくない部分とを有することができる。
【0010】
さらに、偏向要素が、特に摩擦特性の所期の調整のために、コーティング及び/又は表面構造などを有し、例えば、負荷印加時の偏向要素と制動要素との摩擦を減少するための層、又は例えばノブ及び/又はリブ及び/又は溝などを有することが考えられ、特にこの場合、偏向要素は、自由に回転可能に支持されており、制動要素が引っ張られるときに制動要素が偏向要素を通り過ぎるのに従って一緒に回転することが考えられる。
【0011】
特に有利には、制動要素は、偏向要素の周りで延び、制動要素の第1の(特により短い)部分が、偏向要素の第1の側に配置され、制動要素の第2の(特により長い)部分が、偏向要素の第2の(特に反対の)側に配置されている。好ましくは、第1の部分と第2の部分とは、互いに平行に、特に互いに離間されて、有利には少なくとも実質的に偏向要素の直径に相当する間隔を空けて延びる。有利には、第2の部分は、第1の部分の少なくとも2倍、特に有利には少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍の長さである。制動要素は、特に偏向要素の周りで湾曲して延びる少なくとも1つの接続区分を含み、この接続区分は、第1の部分を第2の部分と接続する。
【0012】
有利には、負荷印加時に引張力が第1の部分に作用し、第1の部分は、第2の部分が短縮されて制動要素が偏向要素の周りで引っ張られる一方で伸長される。ここで、第2の部分の特定の区分は、制動要素の引っ張り中、特にまず接続区分になり、その後、第1の部分の一部になる。制動要素、特に第1の部分に、少なくとも1つの接続要素、特にシャックルが固定されており、接続要素は、制動すべきロープと接続するように構成されている。特に、制動要素の長手方向軸は、制動要素、特に第2の部分の主延在方向に少なくとも実質的に垂直に配置されている。物体の「主延在方向」とは、ここでは特に、物体を完全に取り囲む最小の想像上の直方体の最長の縁部に平行に延びる方向を意味するものとする。「少なくとも実質的に垂直」とは、ここでは特に、ある方向と基準方向が直角から特に8°未満、有利には5°未満であり、特に有利には2°未満の角度を成すような、特に基準面内での基準方向に対する上記方向の整列を意味するものとする。これに関連して、「少なくとも実質的に」は、特に、所定値からの偏差が特に所定値の15%未満、好ましくは10%未満、及び特に好ましくは5%未満に相当することを意味するものとする。「少なくとも実質的に円柱形/円筒形」の物体とは、ここでは特に、その物体と、その物体を取り囲む及び/又は収容する最小の円柱/円筒との体積差が、円柱/円筒の体積の最大30%、有利には最大20%、特に有利には最大10%、好ましくは最大5%である物体を意味するものとする。
【0013】
有利には、制動ユニットは、特に制動要素の断裂なく、少なくとも20kN、有利には少なくとも30kN、特に有利には少なくとも50kN、好ましくは少なくとも80kN、特に好ましくは少なくとも100kN、又は少なくとも120kNの力を吸収するように構成されている。特に、作用する力は、ここでは制動要素の変形と共に吸収され、ここで好ましくは、制動要素の変形過程にわたって、制動要素の変形により生成される反力は、まず有利には線形に上昇し、好ましくはその後、少なくとも実質的に一定の値に向かう。特に、制動ユニットは、負荷印加時の反力の一定値が、少なくとも0.1秒、有利には少なくとも0.2秒、特に有利には少なくとも0.5秒、好ましくは少なくとも0.8秒の期間にわたって維持されるように構成されている。この期間は、特に、制動要素の長さ及び/又は厚さ及び/又は断面及び/又は一般に幾何形状の適切な選択によって指定可能である。ここで、当然ながら、より大きい又は明らかに大きい期間も考えられ、これは、例えば、非常に長い制動要素を使用することによって実現可能である。負荷印加時、期間の長さは、当然ながら、衝撃エネルギーにも依存する。「少なくとも実質的に一定の値」とは、これに関連して、特に、最大で20%、有利には最大で15%、特に有利には最大で10%、好ましくは最大で5%変化する値を意味するものとする。
【0014】
有利には、制動ユニットは、少なくとも1つのハウジング要素を有する。ハウジング要素は、好ましくは、固着ユニットの少なくとも一部を構成する。固着ユニットは、有利には、少なくとも1つの固着要素、特にシャックルを有し、固着要素は、固定ロープ、固定釘、固定具、支持体などに固着するように構成されている。固着要素は、有利には、ハウジング要素に固定されている。特に、固着ユニットは、使用場所、特に安全ネットの設置場所で、ハウジング要素及び特にエネルギー吸収装置を定置に固定するように構成されている。ここで、エネルギー吸収装置は、床に固定することができるが、例えば、ネット設備に組み込む、例えば鋼支持体に固定することもできる。有利には、偏向要素は、負荷印加時、固着ユニット、特に固着要素に対して定置にある。特に有利には、固定要素は、負荷印加時、偏向要素に対して、特に偏向要素から離れるように、及び/又は接続要素に対して、特に接続要素から離れるように、有利には制動要素の長手方向軸に沿って、及び/又は偏向要素の長手方向軸に垂直に移動する。
【0015】
本発明の有利な形態では、固着ユニットが偏向要素と少なくとも部分的に一部片で構成されることが提案される。有利には、固着ユニットは、偏向要素を有する。特に、固着要素は、偏向要素を有する。好ましくは、偏向要素は、ハウジング要素への固着要素の固定を成す。有利には、固着要素は、接続要素よりも高い負荷耐性、特に高い引張負荷耐性を有する。これにより、高い負荷耐性を実現することができる。さらに、コンパクトな設計、特に偏向領域を有するエネルギー吸収装置を提供することができる。
【0016】
本発明の特に有利な形態では、接続ユニットが、少なくとも1つのボルトを有する少なくとも1つのシャックルを備え、シャックルが、偏向要素と少なくとも部分的に一部片で形成されることが提案される。好ましくは、シャックルは、広口シャックルとして形成される。特に、シャックルは、少なくとも2トン、有利には少なくとも5トン、特に有利には少なくとも8.5トンの耐荷重性を有する。好ましくは、シャックルのボルトは、特に少なくとも1つの固定ピンによって、好ましくは少なくとも1つのナットと組み合わせて、ねじ係合の外れ及び/又は回転による外れを防止されている。好ましくは、ハウジングは、ボルトが通過する少なくとも1つの通過ガイドを有する。特に、固着要素はシャックルである。好ましくは、偏向要素は、シャックルのボルトである。有利には、固着要素は、固着ユニット及び偏向要素を形成する。有利には、固着要素及び接続要素はそれぞれシャックルとして構成されており、好ましくは、固着要素は、より大きなシャックルとして構成され、接続要素は、より小さなシャックルとして構成されている。しかし、逆の場合も同様に考えられる。これにより、有利には、制動要素とは異なる偏心のない構成要素のコンパクトな設計を達成することができる。さらに、高い信頼性及び/又は部品点数の削減を実現することができる。
【0017】
さらに、ハウジング要素が、制動要素及び偏向要素を少なくとも部分的に取り囲むことも提案されている。好ましくは、ハウジング要素は、偏向要素の周りでの偏向領域において制動要素を取り囲む。有利には、ハウジング要素は、管片として形成されている。特に、制動要素の第1の部分及び第2の部分は、固着要素とは反対のハウジングの側から、ハウジングから出て延びている。有利には、ハウジング要素は、固着要素に向けて、及び制動要素の端部に向けて開いている。
【0018】
好ましくは、ハウジング要素は、制動要素の長手方向軸に沿って、特に第1の部分の長手方向軸に沿って及び/又は第2の部分の長手方向軸に沿って見て、制動要素、特に制動要素の第1の部分及び第2の部分を完全に取り囲む。これにより、有利には、偏向領域を汚染、特に閉塞から保護することができる。さらに、高い堅牢性を実現することができる。
【0019】
制動要素は、少なくとも第1の制動部分及び少なくとも第2の制動部分を含み、これらの制動部分は、少なくとも局所負荷耐性が異なる。局所負荷耐性は、ここでは例えば、局所引張負荷耐性、曲げ剛性、圧縮強度、ねじり強度、硬度、融解温度、相転移温度などであり得る。制動要素の局所負荷耐性が、少なくとも制動要素の特定の区分にわたって連続的に変化することも考えられる。突然の変化も考えられる。さらに、異なる局所負荷耐性を有するいくつかの異なる制動部分も考えられる。ここでは、そのような制動部分の間で、それぞれ連続的な遷移と急激な遷移との両方が考えられる。第1の制動部分と第2の制動部分とは、ここでは、少なくとも1つの微視的性質(例えば粒状性及び/又は合金組成及び/又は組織)に関しても、少なくとも1つの巨視的性質(例えば幾何形状学、特に材料厚さ、断面、個々のバンド要素などの構造、材料、又はその他の特性)に関しても区別することができる。好ましくは、負荷印加時、まず第1の制動部分が偏向要素の周りで引っ張られ、その後、第2の制動部分が偏向要素の周りで引っ張られる。これにより、制動特性曲線の適応性の面で高い融通性を実現することができる。さらに、制動過程において低レベルの引張力での始動を実現することができる。
【0020】
本発明の有利な形態では、第1の制動部分が、第2の制動部分よりも小さい曲げ慣性モーメント、好ましくは低い剛性に関して、より低い局所負荷耐性を有することが提案される。有利には、特に、エネルギー吸収装置が例えば意図通りに取り付けられて設置されている負荷印加前の初期状態では、第1の制動部分は、第2の制動部分よりも偏向要素の近くに配置されている。特に、第1の制動部分は、初期状態で、偏向要素の領域内に配置されている。特に、制動ユニットは、負荷印加時に、始動後よりも始動中の方が低い力を吸収するように構成されている。好ましくは、異なる局所負荷耐性の制動部分が構成されており、制動ユニットは、例えば特定の高さ(例えば数メートルの)からの試験重量(例えば数トン)の衝撃時に、連続的な上昇と、それに続く特に力のピークがない平坦部、好ましくは一定の力の平坦部とを含む力特性曲線を示す。これにより、有利には、特に、負荷ピークの発生によるエネルギー吸収装置の制御不能な損傷を回避することができるので、固定の際に高い信頼性を実現することができる。
【0021】
本発明の特に有利な形態では、第1の制動部分が、特に初期状態において、偏向要素の周りで少なくとも部分的に延びることが提案される。好ましくは、第1の制動部分は、特に初期状態で接続部を形成する。これにより、有利には、制御下で始動するエネルギー吸収装置を提供することができる。
【0022】
第1の制動部分は、少なくとも1つの材料くり抜き部、特に穴、有利には細長い穴又は少なくとも1つの長手方向溝を含む。これにより、有利には、安価な製造可能性及び/又は制動特性の適合の面での高い融通性を特に達成することができる。好ましくは、材料くり抜き部の長手方向軸は、制動要素の長手方向軸に少なくとも実質的に平行に延びる。特に、材料くり抜き部は、特に材料くり抜き部の長手方向軸に垂直な幅を有し、この幅は、制動要素、特に第1の制動部分の幅の少なくとも30%、有利には少なくとも40%、特に有利には少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%に相当する。材料くり抜き部が、制動要素の長手方向軸に沿って変化する断面を有することが考えられる。有利には、例えば、材料くり抜き部は、第1の制動部分から第2の制動部分に向かって特に連続的に先細りしていてよい。しかし、特に容易な製造可能性の観点から、材料くり抜き部が少なくとも部分的に一定の幅を有することも考えられる。特に、材料くり抜き部が細長い穴として形成されている場合、丸みの付いた端面を有することができる。
【0023】
制動要素が一部片の金属バンド、特に鋼バンドとして形成されているとき、有利には低い材料コスト及び/又は製造コストと組み合わせて高い負荷耐性を特に実現することができる。好ましくは、制動要素は、例えば長方形の断面を有する平坦な鋼バンドである。ここで、制動要素の幅を例えば60mmにし、厚さを8mmにすることができ、特に所望の負荷耐性及び/又は所望の制動挙動に応じて任意の他の値が考えられる。特に、比較的小さい力の発生が予想される場合、制動要素の厚さは、特に少なくとも2mm、有利には少なくとも3mm、特に有利には少なくとも4mm、及び/又は最大8mm、有利には最大7mm、特に有利には最大6mmである。さらに、特に、比較的大きい力の発生が予想される場合、制動要素の厚さは、特に少なくとも4mm、有利には少なくとも5mm、特に有利には少なくとも6mm、及び/又は最大12mm、有利には最大10mm、特に有利には最大9mmである。制動要素の幅は、特に少なくとも20mm、有利には少なくとも30mm、特に有利には少なくとも40mm、及び/又は最大120mm、有利には最大100mm、特に有利には最大80mmにすることができる。好ましくは、制動要素の幅は、45mm〜60mmの間である。さらに、好ましくは、制動要素の厚さは、5mm〜12mmの間である。当然ながら、別の金属の使用も考えられる。特に、制動要素に関する耐食性材料及び/又は材料の組合せを考慮することができる。例えば、ステンレス鋼バンドも考えられる。さらに、制動要素は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの防食層を備えることができる。
【0024】
さらに、特に高いコンパクト性を達成するために、制動要素が、特に偏向要素の長手方向軸に少なくとも実質的に平行に配置されている巻取軸の周りに、少なくとも部分的に丸め上げられる及び/又は巻き上げられることが考えられる。例えば、制動要素を部分的に渦巻として丸めることができる。特に、制動要素の第2の部分の少なくとも一部が丸め上げられる及び/又は巻き上げられる。また、このようにして、数メートルの長さの制動要素を有するエネルギー吸収装置は、有利には、特に床の上の支持体などに設置する場合、よりわずかなスペースしか要さずに設置すること及び/又は安全ネット設備に組み込むことができる。
【0025】
本発明のさらなる形態では、ハウジング要素が一部片で形成されていることが提案される。有利には、ハウジングは一定の断面を有する。特に、ハウジング要素は、一部片の管片、特に鋼管、好ましくは角管として形成されている。これにより、高レベルの堅牢性を実現することができる。さらに、管片の使用は、簡単な切断及び特に簡単に実施できる横方向の穴開けによってハウジングを製造可能であるため、費用効率が高い。
【0026】
本発明の有利な形態では、ハウジング要素が、負荷印加時に、少なくとも部分的に、制動要素を案内するように構成されていることが提案される。特に、制動要素、特に第2の部分の下側は、負荷印加時に、ハウジングの少なくとも1つの内縁部及び/又は内面に沿って延びる。内縁部は、ここで有利には、固着要素とは反対のハウジング要素の側に配置されている。内面の主延在面は、有利には、制動要素、特に第1の部分及び/又は第2の部分の主延在面に少なくとも実質的に平行に配置されている。
【0027】
さらに、偏向要素が、ハウジング要素に対して、特に少なくとも45°、有利には少なくとも90°、特に有利には少なくとも120°に回転可能に取り付けられることも提案される。偏向要素は、完全に自由に回転可能に取り付けることができる。特に、偏向要素がシャックルのボルトである場合、特にハウジングでのシャックルの少なくとも1つのストッパ、特にハウジングの両側での2つのストッパが、偏向要素の最大回転角度を定義することも考えられる。偏向要素が、特に調整可能な力に反して回転可能であることが考えられる。例えば、少なくとも1つのねじ及び/又はナットなどによって、偏向要素をハウジングに対して部分的に締め付けることができる。これにより、負荷印加時でも一様な始動を実現することができる。さらに、制動ユニットの制御不能な損傷を回避することができる。
【0028】
さらに、制動ユニットが、偏向要素に対して移動可能な案内要素を有し、案内要素が、制動要素を少なくとも一部案内するように構成されることが提案される。好ましくは、案内要素は、第1の部分に固定されている。特に、案内要素は、接続要素によって制動要素に固定されている。好ましくは、負荷印加時、案内要素は、制動要素に沿って接続要素と共に移動される。好ましくは、案内要素は、負荷印加時、特に制動要素の長手方向軸に沿ってハウジング要素から離れる。案内要素は、有利には、特に、制動要素、特に第1の部分及び/又は第2の部分の主延在面に垂直な方向で、第1の部分と第2の部分との間で最大の間隔を画定する。好ましくは、案内要素は、好ましくは鋼製の管片、特に角管片として形成されている。案内要素の断面がハウジング要素の断面に対応することが考えられ、異なる断面も考えられる。有利には、案内要素の断面は、ハウジング要素の断面よりも大きい。1つの可能性は、片側にある案内要素をロープ、特に支持ロープに結合することである。特に、案内要素は、この場合、ロープガイドを備えることができ、ロープガイドによって案内要素をロープに沿って案内可能である。これにより、有利には、負荷印加時の制動要素の制御されない動き、特に制御されない衝撃を回避することができる。そのような動きは、特に制動要素が引っ張られたときに力のピークをもたらす。
【0029】
例えば、安全ネットの異なる位置で、異なる使用場所で、及び/又は予想される負荷に応じて、制動特性の適合に関する有利な特性は、特に本発明によるエネルギー吸収装置を製造するためのキットによって達成することができ、キットは、固着ユニットと、異なる制動特性を有する少なくとも2つの制動ユニットとを備え、制動ユニットはそれぞれ固着ユニットと接続可能である。特に、このキットは、少なくとも2つの異なる制動要素を含み、それらの制動要素は、例えば、材料くり抜き部の存在若しくは幾何形状、材料、幾何形状、又は材料厚さなどが異なる。また、制動ユニットが偏向挙動の面で異なることも考えられる。例えば、制動ユニットは、異なる偏向要素、特に異なる直径及び/又は異なる表面特性を有する偏向要素、及び/又は異なる数及び/又は配置の偏向要素を有することができる。
【0030】
本発明による少なくとも1つのエネルギー吸収装置を備えた、特にネット及び/又はロープ構造、特に安全ネットを用いて、衝撃時の高い安全性及び/又は有利な挙動を達成することができる。好ましくは、ネット及び/又はロープ構造は、ワイヤネット及び/又はワイヤロープ構造である。ネット及び/又はロープ構造は、例えば、落石保護設備、モータースポーツフェンス、安全フェンス、道路及び/又は線路の安全ネット、雪崩ネット、発射物捕捉フェンス、車両の安全フェンス、特に航空機の安全フェンス設備、テストトラック保護ネットなどでよい。本発明によるエネルギー吸収装置は、有利には、ネット及び/又はロープ構造でのブレーキ、特にUブレーキとして使用可能である。好ましくは、ネット及び/又はロープ構造は、複数のエネルギー吸収装置を含み、そのうちの特に少なくともいくつかは、それぞれ、牽引ロープ、特にワイヤロープを介して互いに接続されている。基本的には、さらに、いくつか、例えば2つ又は3つ又は4つ又は5つ以上のエネルギー吸収装置の並列接続及び/又は直列接続も考えられる。ここで、並列及び/又は直列に接続されるエネルギー吸収装置が、少なくとも実質的に互いに同一の構成であることが考えられる。また、並列及び/又は直列に接続されるエネルギー吸収装置が、異なる構成であり、特に異なる制動力を生成するように構成されていることも考えられる。例えば、これにより、複数のエネルギー吸収装置を適切に接続することによって、全体的な制動特性を正確に及び/又は用途に合わせて調整することができる。
【0031】
本発明は、さらに、特に本発明によるキットによって本発明によるエネルギー吸収装置を製造するための方法を含み、ここで、有利には、少なくとも1つの制動ユニットが、少なくとも1つの固着ユニットに接続されている。ここで当然ながら、制動ユニット及び/又は固着ユニットは、それらが接続されて初めて完成すると考えられる。
【0032】
本発明によるエネルギー吸収装置は、ここでは、上述した用途及び実施形態に限定されるべきではない。特に、本発明によるエネルギー吸収装置は、本明細書で述べる機能を果たすために、本明細書に記載する個々の要素、構成要素、及びユニットの数とは異なる数、及び/又はそれらの任意の有意な組合せを有することができる。さらに、本開示で提示する値範囲に関し、上記の限度内にある値も開示されているものと見なされ、任意に使用可能であるものとする。以下の図面の説明から、さらなる利点が明らかになる。図面には、本発明の例示的実施形態が示されている。
【0033】
図面、本明細書、及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含んでいる。当業者はまた、好適には、それらの特徴を個別に考慮して、有用なさらなる組合せにまとめるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】エネルギー吸収装置を備えるネット及び/又はロープ構造を示す概略図である。
図2】エネルギー吸収装置の概略斜視図である。
図3】エネルギー吸収装置の概略側面図である。
図4】エネルギー吸収装置の概略平面図である。
図5図4の切断線V−Vに沿った、エネルギー吸収装置の一部の概略断面図である。
図6】エネルギー吸収装置を製造するためのキットの概略図である。
図7】第1の代替のエネルギー吸収装置の概略斜視図である。
図8】第2の代替のエネルギー吸収装置の概略斜視図である。
図9】第3の代替のエネルギー吸収装置の概略斜視図である。
図10】第1の代替の制動要素の概略図である。
図11】第2の代替の制動要素の概略図である。
図12】第3の代替の制動要素の概略図である。
図13】第4の代替の制動要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、ネット及び/又はロープ構造38aを概略図で示す。ネット及び/又はロープ構造38aは、落石保護設備として構成されている。しかし、上述したように、ネット及び/又はロープ構造38aは、モータースポーツ保護ネット、雪崩安全フェンス、テストトラック保護フェンス、発射物捕捉ネットなどとして構成することもできる。ネット及び/又はロープ構造38aは、この場合は、使用場所40a、例えば山の斜面に設置されている。ネット及び/又はロープ構造38aは、少なくとも1つのエネルギー吸収装置10aを備える。この場合、エネルギー吸収装置10aは、ブレーキとして、特にUブレーキとして使用される。エネルギー吸収装置10aは、例えば、少なくとも1つの牽引ロープ42aを介してネット及び/又はロープ構造38aに一体化することができる。特に、それぞれ2つのエネルギー吸収装置10aが、少なくとも1つの牽引ロープ42a、特に支持ロープを介して互いに接続されている。ここで、エネルギー吸収装置10aは、床に固定及び/又は設置することができるが、代替として又は追加として、例えばネット及び/又はロープ構造38aの支持体に固定及び/又は設置することもできる。
【0036】
図2は、エネルギー吸収装置10aを概略斜視図で示す。図3は、エネルギー吸収装置10aを概略側面図で示す。図4は、エネルギー吸収装置10aを概略平面図で示す。図5は、図4での切断線V−Vに沿った概略断面図におけるエネルギー吸収装置10aの一部を示す。この場合、エネルギー吸収装置10aは、安全ネット及び/又はロープ構造用のブレーキとして、特にUブレーキとして使用するように構成されている。特に、エネルギー吸収装置10aは、ネット及び/又はロープ構造ブレーキである。特に、エネルギー吸収装置10aは、衝撃減衰装置及び/又は衝突吸収装置及び/又は牽引ロープブレーキ装置である。エネルギー吸収装置10aは、制動ユニット12aを備える。制動ユニット12aは、少なくとも1つの偏向要素14aを有する。さらに、制動ユニット12aは、少なくとも部分的に偏向要素14aの周りで延びる少なくとも1つの制動要素16aを有する。制動ユニット12aは、少なくともネット及び/又はロープ構造38aへの負荷印加時、特に衝撃時、例えば落石時に、運動エネルギーを少なくとも一部吸収及び/又は変換するように構成される。さらに、エネルギー吸収装置10aは、使用場所40aに制動ユニット12aを固定するように構成されている固着ユニット18aを有する。
【0037】
この場合、制動要素16aは、偏向要素14aの周りにU字形に位置されている。偏向要素14aは、筒形、特に円筒形に構成されている。特に、偏向要素14aは、少なくとも実質的に円形の断面を有する。負荷印加時、運動エネルギーは、制動要素16aの変形エネルギーに変換される。制動要素16aは、負荷印加時に偏向要素14aの周りで引っ張られ、その際に変形させられる。したがって、ネット及び/又はロープ構造38aのネット部分は、衝撃時に補償運動を行い、例えば衝撃を及ぼす岩塊の力で部分的に撓むことができ、その結果、地面の固定点、例えばアンカへの支持ロープの直接固着の場合ほど突然には岩が制動されない。
【0038】
制動ユニット12aは、制動すべき要素、特に牽引ロープ42a、例えばワイヤロープに接続するように構成されている接続要素44aを有する。接続要素44aは、制動要素16aに固着されている。負荷印加時、制動要素16aは、接続要素44aに作用する引張力により、偏向要素14aの周りで引っ張られる。接続要素44aは、この場合、シャックルとして構成されている。例えば、接続要素44aは、1.91cm(3/4インチ)のシャックルとして構成することができる。しかし、エネルギー吸収装置10aの大きさ及び/又は負荷耐性及び/又は使用目的に応じて、別の接続要素、特に別の大きさのシャックルも考えられる。好ましくは、接続要素44aは鋼から作製されている。
【0039】
この場合、エネルギー吸収装置10aは、約17.5kgの重量を有する。さらに、エネルギー吸収装置10aは、約3mの長さを有する。制動ユニット12aは、制動要素16aを断裂することなく約80kNの力を吸収するように構成されている。特に、制動ユニット12aは、負荷印加時、衝撃を及ぼす物体に制動力を与え、この制動力は、制動要素16aが偏向要素14aの周りで引っ張られる間に、まず上昇し、有利には力のピークを生じずに例えば80kNの一定値の前後で変動する。好ましくは、制動ユニット12aは、力のピークのない特性曲線を有する。特に、制動ユニット12aは、負荷印加時に、まず特に線形に増加する反力を生成し、この反力は、約0.1秒〜0.2秒の始動段階後、少なくとも実質的に一定の値、例えば80kNの値に向かう。反力は、有利には、例えば0.5秒の制動期間にわたってこの値の前後で変動し、有利には±30kN未満、特に有利には±20kN未満、好ましくは±10kN未満で変動する。当然ながら、制動期間の長さは、例えばそれに対応して長い又は短い制動要素16aを使用することによって、ほぼ任意に選択することができる。さらに、制動期間の長さは、特に負荷印加に、例えば衝撃の大きさに依存する。
【0040】
固着ユニット18aは、偏向要素14aと少なくとも部分的に一部片で構成されている。固着ユニット18aは、制動ユニット12aと少なくとも部分的に一部片で構成されている。偏向要素14aは、固着ユニット18aと制動ユニット12aとに共通の要素である。固着ユニット18aは、少なくとも1つのボルト22aを有する少なくとも1つのシャックル20aを有し、ボルト22aは、偏向要素14aと少なくとも部分的に一部片で構成されている。この場合、ボルト22aは、偏向要素14aを構成する。固着ユニット18aのシャックル20aは、この場合、広口シャックルである。固着ユニット18aのシャックル20aは、有利には、約8.5トンの耐荷重性を有し、ここで当然ながら、予想し得る負荷、取付け位置、利用可能な取付けスペース、設置位置などに応じて、別の値及び/又はシャックルの種類も考えられる。好ましくは、シャックル20aは、鋼から作製されている。シャックル20aは、この場合、少なくとも1つの固定ピン46aを含み、固定ピン46aは、例えば負荷印加時にねじが外れることによる固定ナットの喪失を防ぐ。
【0041】
しかし、基本的には、偏向要素が固着ユニットの固着要素とは別個に構成されていることも考えられる。特に、固着ユニットは、偏向要素から離間して配置されている少なくとも1つの固着シャックルを有することができる。このとき、対応する偏向要素は、例えば少なくとも1つのボルトとして構成することができる。基本的には、複数部片の偏向要素が考えられ、及び/又は制動要素に関する任意の偏向軌道を定義する偏向要素の配置が考えられる。さらに、ボルトとは異なる偏向要素が固着要素と一部片で接続されることが考えられ、ここで、固着要素はシャックルとは異なっていてよい。例えば、固着要素として、リング、管、フックなどを使用することもできる。
【0042】
制動要素16aは、少なくとも1つの第1の制動部分24aと、少なくとも1つの第2の制動部分26aとを含み、これらは、少なくとも局所負荷耐性が異なる。有利には、第1の制動部分24aは、第2の制動部分26aよりも低い局所負荷耐性を有する。この場合、第1制動部分24aは、第2制動部分26aよりも低い剛性を有する。偏向要素14aの周りで第1の制動部分24aを曲げる及び/又は引っ張るのに必要な力は、特に、第2の制動部分26aに関する対応する力よりも小さい。特に、第1の制動部分24aは、第2の制動部分26aよりも小さい力を用いて、特に制動要素16aの主延在方向48aに垂直な湾曲軸の周りで湾曲可能である。この場合、第1の制動部分24aは、第2の制動部分26aとは反対の第1の制動部分24aの側面56aに配置された接続部50a内に移る。接続要素44aは、接続部50aに固定されている。接続部50aと第2の制動部分26aとは、この場合、少なくとも実質的に同一の局所負荷耐性を有する。
【0043】
第1の制動部分24aは、偏向要素14aの周りで少なくとも部分的に延びている。負荷印加時、まず第1の制動部分24aが偏向要素14aの周りで引っ張られ、その後、特に第1の制動部分24aに直に隣接する第2の制動部分26aも偏向要素14aの周りで引っ張られる。この場合、第1の制動部分24aは、偏向要素14aの周りで制動要素16aのU字形の湾曲部52aを形成する。負荷印加時、制動要素16aは、第1の制動部分24aによって一様に始動し、特に力のピークの生成が回避されるように反力が連続的に蓄積する。
【0044】
第1の制動部分24aは、少なくとも1つの材料くり抜き部28aを含む。材料くり抜き部28aは、この場合、細長い穴として構成されている。第2の制動部分26aは、この場合、材料くり抜き部を有さない。材料くり抜き部28aの領域で、制動要素16aは、剛性が低減される。材料くり抜き部28aは、この場合、約300mmの長さを有し、任意の他の長さも考えられる。さらに、材料くり抜き部28aは、約30mmの幅を有し、ここでも任意の他の値が考えられる。適切な幅を選択することによって、第1の制動部分24aと第2の制動部分26aとの局所負荷耐性の差を設定可能である。細長い穴の代わりに、くぼみなども考えられる。さらに、例えば平行に配置された複数の材料くり抜き部が提供されることも考えられる。同様に、第1の制動部分24aが、少なくとも部分的に、第2の制動部分26aとは異なる材料、例えば異なる合金から作製されることも考えられる。同様に、材料くり抜き部28aが、例えば別の金属及び/又はプラスチック及び/又はゴムで少なくとも部分的に充填されていることも考えられる。この場合、材料くり抜き部28aは、平行な側面を有する細長い穴として構成されている。しかし、特に図10図13に関連して示されるように、任意の別の幾何形状も考えられる。さらに、この場合、第1の制動部分24aと第2の制動部分26aとの間で局所負荷耐性が比較的急激に変化する。ここで、局所負荷耐性が、制動要素16aのより大きい長手方向部分にわたって及び/又は完全に連続的に、例えば線形に増加して変化することも考えられる。特に、制動ユニット12aの始動挙動は、局所負荷耐性を変えることによって設定可能である。
【0045】
制動要素16aは、この場合、一部片で構成されている。さらに、制動要素16aは、金属バンド、特に鋼バンドとして構成されている。制動要素16aは、この場合、長方形の断面を有する。制動要素16aの断面積は、例えば約60mm×8mmであり、任意の他の寸法も考えられる。制動要素16aの幅は、それに対応して約60mmである。制動要素16aの厚さは、それに対応して約8mmである。特に、その長手方向軸54aに沿った制動要素16aの幅及び/又は材料厚さは、少なくとも実質的に一定である。特に、制動要素16aの長手方向軸54aは、この場合、第2の制動部分26aの長手方向軸に対応する。さらに、制動要素16aの長さは、この場合、約3mである。当然ながら、特に任意の他の制動特性を達成するために、他の寸法も考えられる。さらに、少なくとも制動要素16aの幅及び/又は厚さ及び/又は輪郭などがその長手方向軸54aに沿って変化することも考えられる。
【0046】
制動ユニット12aは、少なくとも1つのハウジング要素30aを有する。ハウジング要素30aは、この場合、一部片で構成されている。ハウジング要素30aは、制動要素16a及び偏向要素14aを少なくとも部分的に取り囲む。ハウジング要素30aは、鋼から形成されている。ハウジング要素30aは、管片、特に角管片及び/又は鋼管片として形成されている。固着ユニット18aのシャックル20aは、ハウジング要素30aに固定されている。偏向要素14aは、ハウジング要素30aを横切って延びる。特に、ハウジング要素30aは、偏向要素14aのための通過ガイドを有し、通過ガイドを通って偏向要素14aが通過可能であり固定される。制動要素16aは、ハウジング要素30aの特に開いている側56aでハウジング要素30aに入り、偏向要素14aの周りを回った後に再び出る。制動要素16aの湾曲部52aは、ハウジング要素30aの内側に配置されている。
【0047】
この場合、ハウジング要素30aは、特に制動要素16aの長手方向軸54aに平行な長さが約150mmである。さらに、ハウジング要素30aは、特に制動要素16aの長手方向軸54aに垂直な断面が約80mm×80mmである。さらに、ハウジング要素30aは、この場合、材料厚さが約8mmである。特に、ハウジング要素30aの材料厚さは、制動要素16aの材料厚さよりも大きい。しかし、同様に、同じ材料厚さも考えられる。さらに、ハウジング要素30aが制動要素16aよりも小さい材料厚さを有することも考えられる。有利には、制動要素16aは、ハウジング要素30aに直接は接触されず、ハウジング要素30a内で特定の遊びを有して配置されている。基本的には、ハウジング要素30aの任意の他の寸法も考えられ、特に制動要素16a及び/又は偏向要素14aの寸法に適合される。さらに、ハウジング要素30aが例えば20cm又は30cm又は40cmの明確に大きい長さを有し、それに対応して、制動要素16aのより長い区分がハウジング要素30a内に配置されていることが考えられる。代替として、ハウジング要素が、特に明確に短い長さを有することも考えられる。
【0048】
偏向要素14aは、ハウジング要素30aに対して回転可能に取り付けられている。特に、偏向要素14aは、少なくとも、連結ユニット18aのシャックル20aがハウジング要素30a及び/又は制動要素16aに当たるまで回転可能である。代替として、ハウジング要素30aに対して偏向要素14aを固定する、例えば溶接することも考えられる。同様に、偏向要素14aは、固着ユニット18aのシャックル20aの少なくとも1つのナットを締めることによって、ハウジング要素30aに回転不能に固定することができる。
【0049】
ハウジング要素30aは、負荷印加時に、少なくとも部分的に制動要素16aを案内するために提供されている。有利には、ハウジング要素30aは、制動要素16aが偏向要素14aから側方に滑り落ちるのを防ぐ。特に、ハウジング要素30aは、偏向要素14aの周りでの少なくとも150°、有利には180°の制動要素16aの偏向を実現及び/又は保証するように構成されている。さらに、ハウジング要素30aの開いた側面56aの内面58a及び内縁部60aは、負荷印加時に、特に制動要素16aを通すときに、制動要素16a、特に第2の制動部分26aを案内する。
【0050】
制動ユニット12aは、少なくとも、偏向要素14aに対して移動可能な案内要素32aを有し、案内要素32aは、制動要素16aを少なくとも部分的に案内するように構成されている。この場合、案内要素32aは、制動要素16aの接続部50aに固定されている。特に、案内要素32aは、接続要素44aによって制動要素16aに固定されている。制動要素16aは、偏向要素14aの周りを回った後、案内要素32aを通過する。負荷印加時、案内要素32aは、制動要素16aに沿ってハウジング要素30aから引き離される。その際、制動要素16aは、案内要素32aの内部を通して引っ張られ、有利には安定化及び/又は案内される。この場合、案内要素32aは、管片、特に鋼管片及び/又は角管片として形成されている。案内要素32aは、例えば、約100mm×100mmの断面を有することができる。さらに、案内要素32aは、約6mmの厚さを有することができる。特に、案内要素32aの材料厚さは、制動要素16aの材料厚さに対応する。この場合、案内要素32aは、ハウジング要素30aとは異なる断面を有する。しかし、ハウジング要素30aと案内要素32aとが同一の断面を有すること、特に共通の管の管片であることも考えられる。
【0051】
代替又は追加として、案内要素32aが、ネット及び/又はロープ構造38aの少なくとも1本のロープ、特に支持ロープに固着され、及び/又はそれに沿って案内されて移動可能であることも考えられる。好ましくは、案内要素32aは、この場合、制動要素16aをロープに平行に案内し、及び/又はロープに対する制動要素16aの振れを少なくとも部分的に止めるように構成することができる。
【0052】
制動要素16aは、後部ストッパ62aを有し、後部ストッパ62aは、ハウジング要素30aから制動要素16aが引き出されるのを防止する。負荷印加時、制動要素16aは、ストッパ62aまでのみ偏向要素14aの周りで引っ張られる。この場合、制動要素16aは、後端で折り返されてストッパ62aを形成する。しかし、ストッパは、追加のシャックル及び/又はねじ及び/又はボルトなどを取り付けることによって実現することもできる。
【0053】
図6は、エネルギー吸収装置10aを製造するためのキット34aを概略図で示す。キット34aは、固着ユニット18aと、制動特性が異なる2つの異なる制動ユニット12a、36aとを含む。この場合、制動ユニット12a、36aは、異なる制動要素16a、64aを有する。エネルギー吸収装置10aを製造するために、固着ユニット18aは、例えば制動ユニット12a、36aの一方に接続可能である。
【0054】
図7図13に、本発明の7つのさらなる例示的実施形態が示されている。以下の説明は、実質的に、例示的実施形態間の相違点に限定する。同じ構成要素、特徴、及び機能に関しては、図1図6の例示的実施形態の説明を参照することができる。例示的実施形態を区別するために、図1図6の実施形態の参照符号における文字aが、図7図13の例示的実施形態の参照符号では文字b〜hに置き換えられている。同様に表された構成要素、特に同じ参照符号の構成要素に関しては、基本的には、図1図6の例示的実施形態の図面及び/又は説明を参照することができる。
【0055】
図7は、第1の代替のエネルギー吸収装置10bを概略斜視図で示す。第1の代替のエネルギー吸収装置10bは、少なくとも1つの偏向要素14bと、偏向要素14bの周りで少なくとも部分的に延びる少なくとも1つの制動要素16bとを有する制動ユニット12bを備える。制動ユニット12bは、少なくとも負荷印加時に運動エネルギーを少なくとも一部吸収及び/又は変換するように構成されている。第1の代替のエネルギー吸収装置10bは、さらに固着ユニット18bも備え、固着ユニット18bは、少なくとも1つの使用場所に制動ユニット12bを固定するように構成されている。固着ユニット18bは、少なくとも1つのボルト22bを有する少なくとも1つのシャックル20bを備え、ボルト22bは、偏向要素14bを構成する。
【0056】
第1の代替のエネルギー吸収装置10bは、特に追加の案内要素を有さないという点で、図1図6の例示的実施形態のエネルギー吸収装置10aとは異なる。第1の代替エネルギー吸収装置10bは、制動要素16bを案内するためのただ1つのハウジング要素30bを備える。
【0057】
図8は、第2の代替のエネルギー吸収装置10cを概略斜視図で示す。第2の代替のエネルギー吸収装置10cは、少なくとも1つの偏向要素14cと、偏向要素14cの周りで少なくとも部分的に延びる少なくとも1つの制動要素16cとを有する制動ユニット12cを備える。制動ユニット12cは、少なくとも負荷印加時に運動エネルギーを少なくとも一部吸収及び/又は変換するように構成されている。第2の代替のエネルギー吸収装置10cは、さらに固着ユニット18cも備え、固着ユニット18cは、少なくとも1つの使用場所に制動ユニット12cを固定するように構成されている。固着ユニット18cは、少なくとも1つのボルト22cを有する少なくとも1つのシャックル20cを備え、ボルト22cは、偏向要素14cを構成する。
【0058】
制動要素16cは、材料くり抜き部及び/又は細長い穴を有さない。制動要素16cは、一定の断面を有する。制動要素16cは、その全長に沿って一定の断面を有する金属バンド、特に鋼バンドとして構成されている。
【0059】
図9は、第3の代替のエネルギー吸収装置10dを概略斜視図で示す。第3の代替のエネルギー吸収装置10dは、少なくとも1つの偏向要素14dと、偏向要素14dの周りで少なくとも部分的に延びる少なくとも1つの制動要素16dとを有する制動ユニット12dを備える。制動ユニット12dは、少なくとも負荷印加時に運動エネルギーを少なくとも一部吸収及び/又は変換するように構成されている。第3の代替のエネルギー吸収装置10dは、さらに固着ユニット18dも備え、固着ユニット18dは、少なくとも1つの使用場所に制動ユニット12dを固定するように構成されている。固着ユニット18dは、少なくとも1つのボルト22dを有する少なくとも1つのシャックル20dを備え、ボルト22dは、偏向要素14dを構成する。
【0060】
制動要素16dは、少なくとも部分的に丸め上げられる及び/又は巻き上げられる。制動要素16dは、渦巻72dとして巻かれている。制動要素16dは、数回丸め上げられている。負荷印加時、制動要素16dは巻き解かれ、偏向要素14dの周りで引っ張られる。第3の代替のエネルギー吸収装置10dは、制動要素16dのための少なくとも1つのガイドを備えることができ、ガイドは、例えば、巻付け及び/又は巻解き領域内で制動要素16dを案内する。さらに、制動要素16dがドラム及び/又はシリンダなどに巻き付けられており、その位置が特に偏向要素14dに対して固定されており、負荷印加時に制動要素16dがドラム及び/又はシリンダなどから巻き解かれることも考えられる。
【0061】
図10図13は、例えば上記の例示的実施形態のエネルギー吸収装置10a〜dで使用することができる異なる代替の制動要素を示す。図10は、第1の代替の制動要素16eを概略図で示す。第1の代替の制動要素16eは、先細りの材料くり抜き部28eを備える。特に、材料くり抜き部28eは、先細りの細長い穴として構成されている。当然ながら、先細りのくぼみも考えられる。材料くり抜き部28eは、特に偏向要素(図示せず)から見て、第1の代替の制動要素16eの後端に向けて先細りしている。第1の代替の制動要素16eの局所負荷耐性、特に剛性は、材料くり抜き部28eの先細りと共に連続的に増加する。したがって、負荷印加時に、有利には反力も連続的に増加する。第1の代替の制動要素16eの力特性曲線は、材料くり抜き部28eの幾何形状によって設定することができる。
【0062】
図11は、第2の代替の制動要素16fを概略図で示す。第2の代替の制動要素16fは、図11では側面図で示されている。第2の代替の制動要素16fは、変化する材料厚さを有する。この場合、第2の代替の制動要素16fの厚さは連続的に増加する。それに対応して、第2の代替の制動要素16fは、変化する負荷耐性、特に剛性を有する。
【0063】
図12は、第3の代替の制動要素16gを概略図で示す。第3の代替の制動要素16gは、段階的に変化する厚さを有する。この場合、第3の代替の制動要素16gは、複数のバンド要素66g、68g、70gから構成されている。バンド要素66g、68g、70gは、この場合、鋼バンドである。しかし、他の材料、及び/又は異なる材料のバンド要素の組合せも考えられる。例として、図12には3つのバンド要素66g、68g、70gが示されている。当然ながら、任意の他の数も考えられる。
【0064】
図13は、第4の代替の制動要素16hを概略図で示す。第4の代替の制動要素16hは、この場合、緩く重ね合わされた2つのバンド要素66h、68hを含む。バンド要素66h、68hは、例えば鋼バンドとして形成することができる。バンド要素66h、68hは、偏向要素14hの周りで異なる湾曲で延びる。負荷印加時、例えば、まず第1のバンド要素66hを曲げることができ、第2のバンド要素68hは、まず引張力によって偏向要素14hに当接され、その後、負荷印加のさらなる過程で同様に曲げられて、偏向要素14hの周りで引っ張られる。したがって、負荷印加の開始時に、発生される反力はまず減少されており、その後、両方のバンド要素66h、68hが同時に通されるときに増加する。当然ながら、任意の他の数のバンド要素も同様に考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13