特許第6906101号(P6906101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906101
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/02 20060101AFI20210708BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   F25B39/02 G
   F25B47/02 550Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-506080(P2020-506080)
(86)(22)【出願日】2018年3月16日
(86)【国際出願番号】JP2018010453
(87)【国際公開番号】WO2019176089
(87)【国際公開日】20190919
【審査請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠田 崇史
(72)【発明者】
【氏名】高山 司
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】是澤 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】原瀬 聖史
【審査官】 関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−093453(JP,A)
【文献】 特開昭50−079854(JP,A)
【文献】 特開2012−163319(JP,A)
【文献】 特開2017−194201(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104949318(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/02
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、相互に離間して並んで配置された第1ヘッダおよび第2ヘッダと、
前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダの中心軸方向に間隔を置いて配列され、両端部が前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダの内部に開口する複数の熱交換チューブと、を有し、
前記複数の熱交換チューブは、液相成分が多い気液二相冷媒が流れる第1熱交換チューブと、前記第1熱交換チューブに連通し気相成分が多い気液二相冷媒が流れる第2熱交換チューブと、を有し、
前記第2熱交換チューブは、前記第1熱交換チューブの上方に配置される上方第2熱交換チューブと、前記第1熱交換チューブの下方に配置される下方第2熱交換チューブと、を有し、
前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダは、前記中心軸方向に区分された複数の室を有し、
前記第2ヘッダは、前記複数の室として、一部の前記第1熱交換チューブが開口する第1室と、前記第1室に連通し前記上方第2熱交換チューブが開口する第2室と、前記下方第2熱交換チューブおよび前記下方第2熱交換チューブに最も近い前記第1熱交換チューブの両方が開口する最下方室と、を有し、
前記第1室は、前記第2ヘッダの中心軸方向の高さが等しい複数の第1小室が形成され、
前記第2室は、前記第2ヘッダの中心軸方向の高さが等しくかつ前記第1小室よりも大きい高さからなり、前記第1小室と同数からなる複数の第2小室が形成され、
前記第2ヘッダは、前記複数の第1小室と前記複数の第2小室との間を接続する複数の接続流路を有し、それぞれ接続流路は、前記第1室の上方からn番目(nは自然数)の前記第1小室と、前記第2室の下方からn番目の前記第2小室とを接続する、
熱交換器。
【請求項2】
前記第2ヘッダの前記第2室に開口する前記上方第2熱交換チューブの数は、前記第2ヘッダの前記第1室に開口する前記第1熱交換チューブの数より多い、
請求項に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1ヘッダは、前記複数の室として、前記第1熱交換チューブが開口する第1室と、前記上方第2熱交換チューブが開口する第2室と、前記下方第2熱交換チューブが開口する最下方第2室と、を有し、
前記第1ヘッダの前記最下方第2室は、前記第1ヘッダの前記第2室の下方に連通する、
請求項またはに記載の熱交換器。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記第1ヘッダにおいて前記第1熱交換チューブが開口する第1室の下方の冷媒出入口に配置され、冷媒温度に対応する信号を出力する温度センサと、
前記温度センサの出力信号に基づいて除霜運転を制御する制御部と、を有する、
冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒と外気との熱交換を行う熱交換器が利用されている。冷凍サイクル装置の蒸発器として熱交換器を使用する場合、熱交換器に霜が付着(着霜)する。熱交換器に着霜した場合、冷凍サイクル装置は通常運転を休止して除霜運転を行う。短時間の除霜運転で除霜を完了することができる熱交換器が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−163319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、短時間の除霜運転で除霜を完了することができる熱交換器および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の熱交換器は、第1ヘッダおよび第2ヘッダと、複数の熱交換チューブと、を持つ。第1ヘッダおよび第2ヘッダは、筒状に形成され、相互に離間して並んで配置される。複数の熱交換チューブは、前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダの中心軸方向に間隔を置いて配列され、両端部が前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダの内部に開口する。前記複数の熱交換チューブは、第1熱交換チューブと、第2熱交換チューブと、を持つ。第1熱交換チューブは、液相成分が多い気液二相冷媒が流れる。第2熱交換チューブは、前記第1熱交換チューブに連通し、気相成分が多い気液二相冷媒が流れる。前記第2熱交換チューブは、上方第2熱交換チューブと、下方第2熱交換チューブと、を持つ。上方第2熱交換チューブは、前記第1熱交換チューブの上方に配置される。下方第2熱交換チューブは、前記第1熱交換チューブの下方に配置される。前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダは、前記中心軸方向に区分された複数の室を有する。前記第2ヘッダは、前記複数の室として、第1室と、第2室と、最下方室と、を有する。第1室には、一部の前記第1熱交換チューブが開口する。第2室には、前記第1室に連通し前記上方第2熱交換チューブが開口する。最下方室には、前記下方第2熱交換チューブおよび前記下方第2熱交換チューブに最も近い前記第1熱交換チューブの両方が開口する。前記第1室は、前記第2ヘッダの中心軸方向の高さが等しい複数の第1小室が形成される。前記第2室は、前記第2ヘッダの中心軸方向の高さが等しくかつ前記第1小室よりも大きい高さからなり、前記第1小室と同数からなる複数の第2小室が形成される。前記第2ヘッダは、前記複数の第1小室と前記複数の第2小室との間を接続する複数の接続流路を有する。それぞれ接続流路は、前記第1室の上方からn番目(nは自然数)の前記第1小室と、前記第2室の下方からn番目の前記第2小室とを接続する。

【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】冷凍サイクル装置の概略構成図。
図2】第1の実施形態の熱交換器の正面図。
図3】第1の実施形態の熱交換器の部分斜視図。
図4図2のF4−F4線における部分断面図。
図5】第1の実施形態の熱交換器の概略構成図。
図6】第1の実施形態の変形例の熱交換器の概略構成図。
図7】除霜方法のフローチャート。
図8】第2の実施形態の熱交換器の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の熱交換器および冷凍サイクル装置を、図面を参照して説明する。
本願において、X方向、Y方向およびZ方向は、以下のように定義される。Z方向は、第1ヘッダおよび第2ヘッダの中心軸方向(延在方向)である。例えば、Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向は、熱交換チューブの中心軸方向(延在方向)である。例えば、X方向は水平方向であり、+X方向は第1ヘッダから第2ヘッダに向かう方向である。Y方向は、X方向およびZ方向に垂直な方向である。
【0008】
図1は、冷凍サイクル装置の概略構成図である。
図1に示されるように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器(熱交換器)4と、膨張装置5と、室内熱交換器6と、制御部9と、を有する。冷凍サイクル装置1の構成要素は、配管7によって順次接続されている。各図では、暖房運転時の冷媒の流通方向が破線矢印で、除霜(冷房)運転時の冷媒の流通方向が実線矢印で示される。
【0009】
圧縮機2は、圧縮機本体2Aと、アキュムレータ2Bと、を有する。圧縮機本体2Aは、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。アキュムレータ2Bは、気液二相冷媒を分離して、気体冷媒を圧縮機本体2Aに供給する。
【0010】
四方弁3は、冷媒の流通方向を逆転させ、暖房運転と除霜運転とを切り替える。暖房運転時に冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に流れる。このとき冷凍サイクル装置1は、室内熱交換器6を凝縮器として機能させ、室外熱交換器4を蒸発器として機能させ、室内を暖房する。除霜運転時に冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5及び室内熱交換器6の順に流れる。このとき冷凍サイクル装置1は、室外熱交換器4を凝縮器として機能させ、室内熱交換器6を蒸発器として機能させ、室外熱交換器4を除霜する。
【0011】
凝縮器は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒を、外気へ放熱させて凝縮させることにより、高圧の液体冷媒にする。蒸発器は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の液体冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。室外熱交換器4の近傍には、送風ファン4aが設けられている。送風ファン4aは、室外熱交換器4に外気を送風する。
膨張装置5は、凝縮器から送り込まれる高圧の液体冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の液体冷媒にする。
【0012】
制御部9は、圧縮機2、四方弁3、膨張装置5などの動作を制御する。
このように、冷凍サイクル装置1では、作動流体である冷媒が気体冷媒と液体冷媒との間で相変化しながら循環し、気体冷媒から液体冷媒に相変化する過程で放熱し、液体冷媒から気体冷媒に相変化する過程で吸熱する。そして、これらの放熱や吸熱を利用して暖房や除霜などが行われる。
【0013】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態の熱交換器の正面図である。図3は、第1の実施形態の熱交換器の部分斜視図である。実施形態の熱交換器4は、冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4として使用される。実施形態の熱交換器4は、冷凍サイクル装置1の室内熱交換器6として使用されてもよい。以下、実施形態の熱交換器4が冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4として使用される場合を例にして説明する。
【0014】
図2に示されるように、熱交換器4は、第1ヘッダ10と、第2ヘッダ20と、熱交換チューブ30と、フィン40と、を有する。
第1ヘッダ10は、アルミニウムやアルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。第1ヘッダ10は、筒状に形成され、例えば断面が円形状の円筒状に形成される。第1ヘッダ10のZ方向の両端部は閉塞される。第1ヘッダ10の外周面には、熱交換チューブ30が挿入される複数の貫通孔が形成される。
第2ヘッダ20は、第1ヘッダ10と同様に形成される。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、X方向に相互に離間して並んで配置される。
【0015】
熱交換チューブ30は、アルミニウムやアルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。図3に示されるように、熱交換チューブ30は、偏平管状に形成される。すなわち熱交換チューブ30は、Y方向に所定の幅を有し、Z方向に薄く、X方向に長く伸びる。
【0016】
図4は、図2のF4−F4線における部分断面図である。熱交換チューブ30の外形は、長円形状に形成される。熱交換チューブ30の内部には、複数の冷媒流路34がY方向に並んで形成される。隣り合う冷媒流路34の間は、XZ平面と平行な流路壁35により仕切られる。複数の冷媒流路34は、熱交換チューブ30をX方向に貫通する。
【0017】
図2に示されるように、複数の熱交換チューブ30が、Z方向に間隔をおいて配置される。熱交換チューブ30の両端部は、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の外周面に形成された貫通孔に挿入される。これにより、熱交換チューブ30の冷媒流路34の両端部は、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の内部に開口する。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20と熱交換チューブ30との間は、ロウ付け等により封止されて固定される。
【0018】
フィン40は、アルミニウムやアルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。フィン40は、図2および図3に示されるように、平板状に形成されたプレートフィンである。フィン40は、YZ平面と平行に配置される。フィン40のZ方向の長さは、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20のZ方向の長さと同等か、それより少し短い。
【0019】
図4に示されるように、フィン40のY方向の幅は、熱交換チューブ30のY方向の幅より大きい。フィン40の+Y方向の端辺から−Y方向にかけて、切欠き43が形成される。切欠き43には熱交換チューブ30が挿入される。熱交換チューブ30とフィン40との間は、ロウ付け等により固定される。
図2に示されるように、複数のフィン40が、X方向に間隔をおいて配置される。
【0020】
隣り合う熱交換チューブ30の間および隣り合うフィン40の間には、Y方向に伸びる外気流路が形成される。熱交換器4は、送風ファン4a(図1参照)により外気流路に外気を流通させる。熱交換器4は、外気流路を流通する外気と、冷媒流路34を流通する冷媒との間で熱交換させる。熱交換は、熱交換チューブ30およびフィン40を介して、間接的に行われる。フィン40には凹凸が設けられてもよい。凹凸は、外気流路を流通する外気に乱流を発生させ、熱交換効率を向上させる。
実施形態のフィン40はプレートフィンであるが、コルゲートフィンでもよい。コルゲートフィンは波型に形成され、隣り合う熱交換チューブ30の間に配置される。
【0021】
熱交換器4の内部構造について説明する。
図5は、第1の実施形態の熱交換器4の概略構成図である。図5では、熱交換チューブ30がボックスで表される。図5の1つのボックスには、隣り合って配置され同様の機能を有する複数の熱交換チューブ30が含まれる。
【0022】
第1ヘッダ10は、複数の仕切部材を有する。仕切部材は、XY平面と平行に配置され、第1ヘッダ10の内部をZ方向に仕切る。複数の仕切部材は、第1ヘッダ10の内部を複数の室に区分する。複数の仕切部材は、上方仕切部材15Hと、下方仕切部材15Lと、中間仕切部材15sと、を有する。
【0023】
上方仕切部材15Hは上方(+Z方向)に配置され、下方仕切部材15Lは下方(−Z方向)に配置される。第1ヘッダ10の内部において、上方仕切部材15Hと下方仕切部材15Lとの間には、第1室11が形成される。上方仕切部材15Hと第1ヘッダ10の上端部との間には、第2室12が形成される。下方仕切部材15Lと第1ヘッダ10の下端部との間には、最下方第2室12zが形成される。
【0024】
中間仕切部材15sは、上方仕切部材15Hと下方仕切部材15Lとの間の第1室11に配置される。複数の中間仕切部材15sが、第1室11を複数の第1小室11a,11zに区分する。図5の例では、4個の中間仕切部材15sが、第1室11を5個の第1小室11a,11zに区分する。図5の例では、5個の第1小室11a,11zのZ方向の高さは等しい。
【0025】
第2ヘッダ20は、第1ヘッダ10と同様に、複数の仕切部材を有する。複数の仕切部材は、上方仕切部材25Hと、下方仕切部材25Lと、中間仕切部材25sと、を有する。
上方仕切部材25Hは、第1ヘッダ10の上方仕切部材15Hと同じ高さに配置される。下方仕切部材25Lは、第1ヘッダ10の下方仕切部材15Lより上方に配置される。下方仕切部材25Lは、第1ヘッダ10の第1室11の最下方に配置された中間仕切部材15sと同じ高さに配置される。
【0026】
第2ヘッダ20の内部において、上方仕切部材25Hと下方仕切部材25Lとの間には、第1室21が形成される。上方仕切部材25Hと第2ヘッダ20の上端部との間には、第2室22が形成される。下方仕切部材25Lと第2ヘッダ20の下端部との間には、最下方室20zが形成される。
【0027】
中間仕切部材25sは、上方仕切部材25Hと下方仕切部材25Lとの間の第1室21に配置される。複数の中間仕切部材25sが、第1室21を複数の第1小室21aに区分する。図5の例では、3個の中間仕切部材25sが、第1室21を4個の第1小室21aに区分する。図5の例では、4個の第1小室21aのZ方向の高さは等しい。第1ヘッダ10の第1小室11a,11zの高さと、第2ヘッダ20の第1小室21aの高さとは等しい。
【0028】
中間仕切部材25sは、上方仕切部材25Hと第2ヘッダ20の上端部との間の第2室22にも配置される。複数の中間仕切部材25sが、第2室22を複数の第2小室22aに区分する。図5の例では、3個の中間仕切部材25sが、第2室22を4個の第2小室22aに区分する。図5の例では、4個の第2小室22aのZ方向の高さは等しい。第2小室22aの高さは、第1小室21aの高さより大きい。
【0029】
熱交換チューブ30は、第1熱交換チューブ31と、第2熱交換チューブ32と、を有する。第1熱交換チューブ31は、熱交換器4のZ方向の中央から下方寄りに配置される。第2熱交換チューブ32は、上方第2熱交換チューブ32uと、下方第2熱交換チューブ32zと、を有する。上方第2熱交換チューブ32uは、第1熱交換チューブ31の上方に配置される。下方第2熱交換チューブ32zは、第1熱交換チューブ31の下方に配置され、複数の熱交換チューブ30の最下方に配置される。
【0030】
第1熱交換チューブ31の−X方向の第1端部は、第1ヘッダ10の第1室11に開口する。第1室11に形成された複数の第1小室11a,11zには、それぞれ複数の第1熱交換チューブ31が開口する。図5の例では、複数の第1小室11a,11zに対して、それぞれ同数の第1熱交換チューブ31が開口する。複数の第1小室11a,11zのうち最下方に配置された最下方第1小室11zには、最下方第1熱交換チューブ31zが開口する。最下方第1熱交換チューブ31zは、第1熱交換チューブ31の最下方に配置される。そのため最下方第1熱交換チューブ31zは、下方第2熱交換チューブ32zに最も近い。
【0031】
第1熱交換チューブ31の+X方向の第2端部は、第2ヘッダ20の第1室21または最下方室20zに開口する。第1熱交換チューブ31のうち最下方第1熱交換チューブ31zが、最下方室20zに開口する。最下方第1熱交換チューブ31zより上方に配置された上方第1熱交換チューブ31uが、第1室21に開口する。第1室21に形成された複数の第1小室21aには、それぞれ複数の上方第1熱交換チューブ31uが開口する。第1ヘッダ10の第1小室11aに開口する上方第1熱交換チューブ31uの数と、第2ヘッダ20の第1小室21aに開口する上方第1熱交換チューブ31uの数とは同じである。
【0032】
上方第2熱交換チューブ32uの−X方向の第1端部は、第1ヘッダ10の第2室12に開口する。
下方第2熱交換チューブ32zの−X方向の第1端部は、第1ヘッダ10の最下方第2室12zに開口する。
【0033】
上方第2熱交換チューブ32uの+X方向の第2端部は、第2ヘッダ20の第2室22に開口する。第2室22に形成された複数の第2小室22aには、それぞれ複数の上方第2熱交換チューブ32uが開口する。図5の例では、4個の第2小室22aに対して、それぞれ同数の上方第2熱交換チューブ32uが開口する。第2小室22aに開口する上方第2熱交換チューブ32uの数は、第1小室21aに開口する上方第1熱交換チューブ31uの数より多い。
下方第2熱交換チューブ32zの+X方向の第2端部は、第2ヘッダ20の最下方室20zに開口する。下方第2熱交換チューブ32zの数は、最下方第1熱交換チューブ31zの数と同じか、それより多い。
【0034】
第1ヘッダ10は、第1冷媒ポート17と、第2冷媒ポート18と、温度センサ14と、を有する。
第1冷媒ポート17は、第1室11を構成する複数の第1小室11aにそれぞれ形成された第1冷媒ポート17aと、最下方第1小室11zに形成された最下方第1冷媒ポート17zにより構成されている。熱交換器4の第1冷媒ポート17を構成する第1冷媒ポート17aと最下方第1冷媒ポート17zは、接続配管17bにより合流されて冷凍サイクル装置1の同じ構成部材に接続される。図1の例において、室外熱交換器4の第1冷媒ポート17は、膨張装置5に接続される。
【0035】
第2冷媒ポート18は、第2室12の上方(上半部)に形成された第2冷媒ポート18aと、最下方第2室12zに形成された最下方第2冷媒ポート18zにより構成されている。熱交換器4の第2冷媒ポート18を構成する第2冷媒ポート18aと最下方第2冷媒ポート18zは、接続配管18bにより合流されて冷凍サイクル装置1の同じ構成部材に接続される。図1の例において、室外熱交換器4の第2冷媒ポート18は、四方弁3に接続される。
【0036】
温度センサ14は、第1冷媒ポート17を構成する最下方第1冷媒ポート17zに接続される。温度センサ14は、第1冷媒ポート17を流通する冷媒の温度に対応する信号を、冷凍サイクル装置1の制御部9に出力する。制御部9は、温度センサ14から入力される信号に基づいて、第1冷媒ポート17を流通する冷媒の温度を検出する。
【0037】
第2ヘッダ20は、接続流路26を有する。接続流路26は、第1室21と第2室22との間を接続する。第1室21に形成された複数の第1小室21aと、第2室22に形成された複数の第2小室22aとの間には、それぞれ接続流路26aが形成される。図5の例では、接続流路26aが、第1室21の上方からn番目(nは自然数)の第1小室21aと、第2室22の下方からn番目の第2小室22aとを接続する。これにより、複数の接続流路26の交差が回避され、レイアウトが単純化される。接続流路26aは、第1小室21aと第2小室22aとを上記以外の組み合わせで接続してもよい。
【0038】
図6は、第1の実施形態の変形例の熱交換器104の概略構成図である。変形例の構成のうち、以下に説明する構成以外の構成については、第1の実施形態の構成と同様である。
熱交換器104は、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20に中間仕切部材15s,25sを有しない。すなわち第1ヘッダ10の第1室11は、複数の第1小室に区分されない。第2ヘッダ20の第1室21も、複数の第1小室に区分されない。第2ヘッダ20の第2室22も、複数の第2小室に区分されない。
【0039】
第1冷媒ポート17は、第1ヘッダ10の第1室11の下方に形成される。接続流路26は、第2ヘッダ20の第1室21の上方と、第2室22の下方とを接続する。これにより、液相成分の多い気液二相冷媒を下方から流出入させ、気相成分の多い気液二相冷媒を上方から流出入させる。したがって、冷媒の滞留に伴う冷媒不足を抑制することができる。
変形例の熱交換器104も、第1の実施形態の熱交換器4と同様の作用効果を有する。
【0040】
第1の実施形態の熱交換器4における冷媒の流通経路について説明する。
前述したように、図5では、暖房運転時の冷媒の流通方向が破線矢印で、除霜運転時の冷媒の流通方向が実線矢印で示される。
【0041】
冷凍サイクル装置1が暖房運転を行う場合の冷媒の流通経路について説明する。
図1に示される冷凍サイクル装置1が暖房運転を行うとき、室外熱交換器4は蒸発器として機能する。このとき、膨張装置5から流出した液体冷媒が、冷媒分配機構(不図示)により均等に分配され、接続配管17bを介して図5に示される熱交換器4の第1冷媒ポート17を構成する第1冷媒ポート17a及び最下方第1冷媒ポート17zに流入する。
【0042】
冷媒は、第1冷媒ポート17aから、第1ヘッダ10の第1室11を構成する第1小室11aに流入するとともに、最下方第1冷媒ポート17zから最下方第1小室11zに流入する。
【0043】
冷媒は、第1小室11aから上方第1熱交換チューブ31uに流入し、最下方第1小室11zから最下方第1熱交換チューブ31zに流入する。第1熱交換チューブ31を流通する過程で、冷媒は外気から吸熱する。これにより、液体冷媒は、液相成分の多い気液二相冷媒に変化する。すなわち第1熱交換チューブ31には、液相成分の多い気液二相冷媒が流通する。
【0044】
冷媒は、上方第1熱交換チューブ31uから第1小室21aに流入し、最下方第1熱交換チューブ31zから最下方室20zに流入する。
冷媒は、第1小室21aから接続流路26aを流通して第2小室22aに流入する。
【0045】
冷媒は、第2小室22aから上方第2熱交換チューブ32uに流入し、最下方室20zから下方第2熱交換チューブ32zに流入する。第2熱交換チューブ32を流通する過程で、冷媒は外気から吸熱する。これにより、液相成分の多い気液二相冷媒は、気相成分の多い気液二相冷媒に変化する。すなわち第2熱交換チューブ32には、気相成分の多い気液二相冷媒が流通する。
【0046】
冷媒は、上方第2熱交換チューブ32uから第2室12に流入し、下方第2熱交換チューブ32zから最下方第2室12zに流入する。
冷媒は、第2冷媒ポート18aおよび最下方第2冷媒ポート18zから、熱交換器4の外部に流出する。図1に示される室外熱交換器4から流出した気体冷媒は、四方弁3を介して圧縮機2に流入する。
【0047】
以上のように冷媒は、第1ヘッダ10の第1小室11a、上方第1熱交換チューブ31u、第2ヘッダの第1小室21a、接続流路26a、第2ヘッダの第2小室22a、および上方第2熱交換チューブ32uを流通する。また冷媒は、第1ヘッダ10の最下方第1小室11z、最下方第1熱交換チューブ31z、第2ヘッダの最下方室20z、下方第2熱交換チューブ32z、および第1ヘッダ10の最下方第2室12zを流通する。これらの冷媒の流通経路は、モジュールを構成する。熱交換器4には、複数のモジュールが並列に配置される。
【0048】
冷凍サイクル装置1が除霜運転を行う場合の冷媒の流通経路について説明する。
除霜運転を行う場合の冷媒は、暖房運転を行う場合とは逆に流通する。図1に示される冷凍サイクル装置1が除霜運転を行うとき、室外熱交換器4は凝縮器として機能する。このとき、圧縮機2から四方弁を介して流出した気体冷媒が、図5に示される熱交換器4の第2冷媒ポート18に流入する。
【0049】
冷媒は、第2冷媒ポート18a,18zから、第1ヘッダ10の第2室12および最下方第2室12zに流入する。冷媒は、第2室12および最下方第2室12zから、第2熱交換チューブ32に流入する。第2熱交換チューブ32を流通する過程で、冷媒は外気に放熱する。これにより、気体冷媒は、気相成分の多い気液二相冷媒に変化する。すなわち第2熱交換チューブ32には、気相成分の多い気液二相冷媒が流通する。
【0050】
冷媒は、第2熱交換チューブ32から、第2ヘッダ20の第2室22および最下方室20zに流入する。冷媒は、第2室22から、接続流路26を流通して、第1室21に流入する。
【0051】
冷媒は、第2ヘッダ20の第1室21および最下方室20zから、第1熱交換チューブ31に流入する。第1熱交換チューブ31を流通する過程で、冷媒は外気に放熱する。これにより、気相成分の多い気液二相冷媒は、液相成分の多い気液二相冷媒に変化する。すなわち第1熱交換チューブ31には、液相成分の多い気液二相冷媒が流通する。
【0052】
冷媒は、第1熱交換チューブ31から、第1ヘッダ10の第1室11に流入する。冷媒は、第1室11から、第1冷媒ポート17に流入する。冷媒は、第1冷媒ポート17から、熱交換器4の外部に流出する。図1に示される室外熱交換器4から流出した液体冷媒は、膨張装置5に流入する。
【0053】
このように、暖房運転および除霜運転のいずれの場合でも、第1熱交換チューブ31には液相成分の多い気液二相冷媒が流通し、第2熱交換チューブ32には気相成分の多い気液二相冷媒が流通する。すなわち、第1熱交換チューブ31には、第2熱交換チューブ32より液相成分の多い気液二相冷媒が流通する。第2熱交換チューブ32には、第1熱交換チューブ31より気相成分の多い気液二相冷媒が流通する。
【0054】
除霜運転時に、第2熱交換チューブ32には、気相成分の多い気液二相冷媒が流入する。第2熱交換チューブ32を流通する過程で、冷媒は外気に放熱するので、気液二相冷媒の液相成分が増加する。第2熱交換チューブ32の大部分を占める上方第2熱交換チューブ32uは、第1熱交換チューブ31の上方に配置される。そのため冷媒の液相成分は、重力に従って上方第2熱交換チューブ32uから第1熱交換チューブ31に流通する。これにより、冷媒の滞留に伴う冷媒不足を抑制することができる。
【0055】
実施形態の熱交換器4の除霜方法について説明する。
図7は、除霜方法のフローチャートである。冷凍サイクル装置1の制御部9は、暖房運転を実施する(S02)。制御部9は、四方弁3を切り替えて、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に冷媒を流通させる。
【0056】
冷凍サイクル装置1が暖房運転を行うとき、室外熱交換器4は蒸発器として機能する。このとき、熱交換チューブ30を流通する冷媒は、外気流路を流通する外気から吸熱する。そのため、外気流路を構成するフィン40および熱交換チューブ30に結露水が付着する。結露水は、プレート状のフィン40を伝って下方に流れ、熱交換器4の最下方に滞留する。外気温度が低い場合には、結露水が凍結して霜が付着する。そのため、熱交換器4の最下方には霜が付着しやすい。
【0057】
熱交換器4の外気流路に着霜すると、冷媒が外気から吸熱し難くなり、熱交換効率が低下する。冷媒の温度が外気より低くなれば、冷媒が外気から吸熱し易くなり、熱交換効率が向上する。そこで制御部9は、膨張装置5を絞ることにより、冷媒の温度を低下させる。熱交換器4の外気流路に着霜した場合には、冷媒温度が0℃未満まで低下する。
制御部9は、温度センサ14からの信号に基づいて検出した冷媒温度Teが、0℃未満であるか判断する(S04)。
【0058】
S04の判断がYESの場合に制御部9は、Te0にTeを代入する(S06)。制御部9は、前回検出した冷媒温度Te0と、新たに検出した冷媒温度Teとの差分ΔTeが、所定値αを超えるか判断する(S08)。所定値αは、例えば3~10℃に設定される。差分ΔTeが所定値αを超える場合には、冷媒温度が急激に低下している。熱交換器4の外気流路に着霜した場合には、制御部9が冷媒温度を急激に低下させる。
S08の判断がYESの場合に制御部9は、熱交換器4に着霜したと判定する(S10)。このとき制御部9は、圧縮機2の運転を停止する。制御部9は、熱交換器4の送風ファン4aの運転を停止する。
【0059】
制御部9は、除霜運転を実施する(S12)。制御部9は、四方弁を切り替えて、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5及び室内熱交換器6の順に冷媒を流通させる。制御部9は、圧縮機2の運転を開始する。制御部9は、送風ファン4aを運転しない。
【0060】
除霜運転において、圧縮機2から流出した高温の気体冷媒が、熱交換器4の第2熱交換チューブ32に流入する。気体冷媒は、第2熱交換チューブ32を流通する過程で放熱する。実施形態の熱交換器4は、第2熱交換チューブ32として、上方第2熱交換チューブ32uに加えて、下方第2熱交換チューブ32zを有する。高温の気体冷媒が、下方第2熱交換チューブ32zを流通する過程で、熱交換器4の最下方に付着した霜を溶かす。熱交換器4の最下方に多量の霜が付着している場合でも、熱交換器4の下方に下方第2熱交換チューブ32zが配置されるので、効率的な除霜ができる。これにより、短時間の除霜運転で除霜を完了することができる。霜が溶けた水は熱交換器4の下方に落下するので、霜の再付着が防止される。
【0061】
下方第2熱交換チューブ32zに流入した冷媒は、最下方室20zから最下方第1熱交換チューブ31zに流入し、最下方第1冷媒ポート17zから流出する。除霜が完了すると、最下方第1冷媒ポート17zから流出する冷媒の温度が上昇する。制御部9は、冷媒温度が所定値βを超えたか判断する(S14)。所定値βは、例えば3~15℃に設定される。温度センサ14は、第1ヘッダ10の第1室11の下方の最下方第1冷媒ポート17zに接続される。そのため制御部9は、熱交換器4の最下方での除霜完了を正確に判断できる。
S14の判断がYESの場合に制御部9は、除霜が完了したと判定する(S16)。このとき制御部9は、圧縮機2の運転を停止する。
【0062】
制御部9は、暖房運転を再開する(S18)。このとき制御部9は、四方弁3を切り替えて、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に冷媒を流通させる。
以上により、除霜方法の処理が完了する。
【0063】
以上に詳述したように、実施形態の熱交換器4は、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20と、複数の熱交換チューブ30と、を持つ。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、筒状に形成され、X方向に相互に離間して並んで配置される。複数の熱交換チューブ30は、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の中心軸方向(Z方向)に間隔を置いて配列され、両端部が第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の内部に開口する。複数の熱交換チューブ30は、第1熱交換チューブ31と、第2熱交換チューブ32と、を持つ。第1熱交換チューブ31は、液相成分が多い気液二相冷媒が流れる。第2熱交換チューブ32は、第1熱交換チューブ31に連通し、気相成分が多い気液二相冷媒が流れる。第2熱交換チューブ32は、上方第2熱交換チューブ32uと、下方第2熱交換チューブ32zと、を持つ。上方第2熱交換チューブ32uは、第1熱交換チューブ31の上方に配置される。下方第2熱交換チューブ32zは、第1熱交換チューブ31の下方に配置される。
【0064】
熱交換器4の最下方には霜が付着しやすい。第2熱交換チューブ32には、気相成分が多い気液二相冷媒が流れる。第2熱交換チューブ32は、下方第2熱交換チューブ32zを有する。そのため熱交換器4は、最下方に付着した霜を効率的に除霜できる。したがって、短時間の除霜運転で除霜を完了することができる。
【0065】
第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、Z方向に区分された複数の室を有する。第2ヘッダ20は、複数の室として、第1室21と、第2室22と、最下方室20zと、を持つ。第1室21は、一部の第1熱交換チューブ31である上方第1熱交換チューブ31uが開口する。第2室22は、第1室21に連通し、上方第2熱交換チューブ32uが開口する。最下方室20zは、下方第2熱交換チューブ32zおよび下方第2熱交換チューブ32zに最も近い第1熱交換チューブ31である最下方第1熱交換チューブ31zの両方が開口する。
【0066】
最下方室20zには、下方第2熱交換チューブ32zおよび最下方第1熱交換チューブ31zの両方が開口する。そのため、下方第2熱交換チューブ32zと最下方第1熱交換チューブ31zとを接続する接続流路が不要である。これにより、熱交換器4の製造コストが抑制される。
【0067】
第2ヘッダ20の第2室22に開口する上方第2熱交換チューブ32uの数は、第2ヘッダ20の第1室21に開口する上方第1熱交換チューブ31uの数より多い。
上方第2熱交換チューブ32uには、気相成分の多い気液二相冷媒が流通する。上方第2熱交換チューブ32uの数が上方第1熱交換チューブ31uの数より多いので、冷媒の流通過程における圧力損失が抑制される。一方、上方第1熱交換チューブ31uには、液相成分の多い気液二相冷媒が流通する。このとき、気液二相冷媒の気相成分のみが熱交換チューブの上部を流通(ガス抜け)し、液相成分が熱交換チューブの下部に滞留(液溜まり)するおそれがある。上方第1熱交換チューブ31uの数が上方第2熱交換チューブ32uの数より少ないので、上方第1熱交換チューブ31uの流路断面積は小さい。そのため、上方第1熱交換チューブ31uでは気液二相冷媒が一体となって流通する。これにより、液溜まりが抑制されて冷媒が循環するので、冷媒不足を抑制できる。
【0068】
冷凍サイクル装置1は、熱交換器4と、温度センサ14と、制御部9と、を持つ。温度センサ14は、第1ヘッダ10において第1熱交換チューブ31が開口する第1室11の下方の最下方第1冷媒ポート17zに接続され、冷媒温度に対応する信号を出力する。制御部9は、温度センサ14の出力信号に基づいて除霜運転を制御する。
熱交換器4の最下方に付着した霜の除霜が完了すると、第1ヘッダ10の第1室11の下方の第1冷媒ポート17から流出する冷媒の温度が上昇する。温度センサ14は、第1室11の最下方の最下方第1冷媒ポート17zに接続される。そのため制御部9は、温度センサ14の出力信号に基づいて、熱交換器4の最下方での除霜完了を正確に判断できる。したがって、短時間の除霜運転で除霜を完了することができる。
【0069】
第1の実施形態の熱交換器4において、温度センサ14は最下方第1冷媒ポート17zに接続される。除霜運転時に、最下方第1冷媒ポート17zと隣り合う最下方第2冷媒ポート18zには、高温の気体冷媒が流入する。そのため、最下方第1冷媒ポート17zに接続された温度センサ14は、最下方第2冷媒ポート18zの冷媒温度の影響を受ける可能性がある。この場合に温度センサ14は、最下方第1冷媒ポート17z以外の、第1ヘッダ10の第1室11の下方(下半部)の第1冷媒ポート17aに接続されてもよい。例えば温度センサ14は、最下方第1小室11zの上方で隣り合う第1小室11aの第1冷媒ポート17aに接続されてもよい。これにより温度センサ14は、最下方第2冷媒ポート18zの冷媒温度の影響を受け難くなる。
【0070】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態の熱交換器204の概略構成図である。図8に示される第2の実施形態の熱交換器204は、連結流路19を有する点で、図5に示される第1の実施形態の熱交換器4と異なっている。第2の実施形態の構成のうち、以下に説明する構成以外の構成については、第1の実施形態の構成と同様である。
【0071】
連結流路19は、第1ヘッダ10の最下方第2室12zと第2室12とを連通させる。連結流路19は、第2室12の下方に接続される。
冷凍サイクル装置1を流通する冷媒には、圧縮機2の潤滑油(圧縮機油)が混入する。暖房運転において、上方第2熱交換チューブ32uを流通する過程で、気液二相冷媒の気相成分が増加する。気体冷媒が上方第2熱交換チューブ32uから第2室12に流入すると、冷媒に混入していた液体の圧縮機油が第2室12の下方に落下して滞留する。そのため、圧縮機2において圧縮機油が不足する可能性がある。
【0072】
第2の実施形態の熱交換器204は、第1ヘッダ10の最下方第2室12zと第2室12の下方とを連通させる連結流路19を有する。これにより、最下方第2室12zから流出する気体冷媒が、連結流路19を流通して第2室12の下方に流入する。このとき気体冷媒は、第2室12の下方に滞留する圧縮機油を噴き上げて、第2冷媒ポート18から流出させる。これにより、圧縮機油が圧縮機に戻るので、圧縮機2における圧縮機油の不足を抑制できる。
【0073】
前述した実施形態の熱交換器4は、冷媒が第1ヘッダ10に流入し、第2ヘッダ20で折り返し、第1ヘッダ10から流出する構成である。これに対して熱交換器は、冷媒が各ヘッダで複数回の折り返しをする構成でもよい。
実施形態の熱交換器4は、第2ヘッダ20に形成された複数の第2小室22aに対して、それぞれ同数の上方第2熱交換チューブが開口する構成である。これに対して熱交換器は、複数の第2小室22aに対して、それぞれ異なる数の上方第2熱交換チューブが開口する構成でもよい。
【0074】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、熱交換器4は、気相成分が多い気液二相冷媒が流れる第2熱交換チューブ32を有する。第2熱交換チューブ32は、第1熱交換チューブ31の下方に配置される下方第2熱交換チューブ32zを有する。これにより、短時間の除霜運転で除霜を完了することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…冷凍サイクル装置、4…熱交換器、9…制御部、10…第1ヘッダ、11…第1室、12…第2室、12z…最下方第2室、14…温度センサ、17…第1冷媒ポート(冷媒出入口)、20…第2ヘッダ、20z…最下方室、21…第1室、22…第2室、30…熱交換チューブ、31…第1熱交換チューブ、31u…上方第1熱交換チューブ(一部の第1熱交換チューブ)、31z…最下方第1熱交換チューブ、32…第2熱交換チューブ、32u…上方第2熱交換チューブ、32z…下方第2熱交換チューブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8