特許第6906104号(P6906104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906104
(24)【登録日】2021年6月30日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】医療用チューブ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20210708BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20210708BHJP
   A61B 5/0215 20060101ALN20210708BHJP
【FI】
   A61M25/09
   A61B5/01 250
   !A61B5/0215 B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-517668(P2020-517668)
(86)(22)【出願日】2018年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2018017886
(87)【国際公開番号】WO2019215827
(87)【国際公開日】20191114
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】杉田 秀次
(72)【発明者】
【氏名】澤井 陽
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−323090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
A61B 5/01
A61B 5/0215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部と、記基端部の外径よりも小さい外径を有し、表面に複数の第1スリットが、第1の方向に沿って断続的に形成された先端部と、を有する第1中空シャフトと、
前記第1中空シャフトの前記先端部の外周を覆い、表面に前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2スリットが形成された第2中空シャフトと、
を備えたことを特徴とする医療用チューブ。
【請求項2】
前記第2中空シャフトの表面に複数の前記第2スリットが、第2の方向に沿って断続的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項3】
前記第2中空シャフトは、単一または複数の素線を撚って形成された中空撚線で形成されていることを特徴とする請求項に記載の医療用チューブ。
【請求項4】
前記第1中空シャフトの前記先端部の外周を覆った状態における前記第2中空シャフトの先端の外径は、前記第1中空シャフトの前記基端部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の医療用チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野で使用される医療用チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、治療や検査のために、血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入して使用されるカテーテル等を案内する種々のガイドワイヤが提案されてきた。ガイドワイヤには、一般に、ガイドワイヤを患者の湾曲した血管に追従させる際の血管追従性(followability)、ガイドワイヤの先端を患者の血管内でスムーズに回転させる際のトルク伝達性(torquability)、さらに、患者の血管を傷つけない為の先端柔軟性(flexibility)が要求される。
【0003】
ガイドワイヤの中でも、特に、患者の血管内圧を測定する為の圧力センサーを搭載したガイドワイヤにおいては、ガイドワイヤの内部に、圧力センサー及びそのリード線を通す為のルーメンを形成する必要があることから、中空管状体構造において、上記性能を満たす必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、患者の血管内圧を測定する為の圧力センサーを搭載した圧力センサー付きガイドワイヤが記載されている(図1等参照)。
【0005】
特許文献1に記載された圧力センサー付きガイドワイヤ10は、近位部12、中間部14、センサーハウジング部15及び先端部16とから構成されており、圧力センサー34は、センサーハウジング部15の内部において、センサーハウジング部15に形成された開口30の近傍に配置されている。
【0006】
また、圧力センサー付きガイドワイヤ10の中間部14には、螺旋状の切り込みパターンが形成されており、中間部14の内部には、螺旋状の切り込みパターンをオーバーラップするように、内側ハイポチューブ20が挿入されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された圧力センサー付きガイドワイヤは、中間部に螺旋状の切り込みパターンが形成されていることにより柔軟になっているものの、中間部の内部に挿入された内側ハイポチューブによって結果的に柔軟性が損なわれるという問題があり、特許文献1に記載された圧力センサー付きガイドワイヤを、曲率を大きくして湾曲させた場合に破断する可能性があった。
【0008】
そこで、内側ハイポチューブにも切り込みパターンを形成してガイドワイヤの柔軟性を確保するという案もあるが、適当にスリットを形成した場合には、ガイドワイヤを湾曲させた場合に、外側及び内側の一方のスリットに他方の桁が入り込む場合があり、手技中に患者の体内でガイドワイヤが操作不能になるという問題があった。
【0009】
また、特許文献1に記載された圧力センサー付きガイドワイヤは、中間部と内側ハイポチューブとが別体であることから、ガイドワイヤを種々操作する間に双方にズレが生じ、トルク伝達性(torquability)が損なわれる可能性があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第5866371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、ガイドワイヤを含む医療器具に使用可能であって、トルク伝達性を確保し、柔軟性を向上させるとともに、湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を分散させて破断を防止することが可能な医療用チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様の医療用チューブは、基端部と、記基端部の外径よりも小さい外径を有し、表面に複数の第1スリットが、第1の方向に沿って断続的に形成された先端部と、を有する第1中空シャフトと、前記第1中空シャフトの前記先端部の外周を覆い、表面に前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2スリットが形成された第2中空シャフトと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の医療用チューブにおいて、第2中空シャフトの表面に複数の第2スリットが、第2の方向に沿って断続的に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第の態様は、第の態様医療用チューブにおいて、前記第2中空シャフトは、単一または複数の素線を撚って形成された中空撚線で形成されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の第の態様は、第1の態様乃至第の態様の何れかの医療用チューブにおいて、前記第1中空シャフトの前記先端部の外周を覆った状態における前記第2中空シャフトの先端の外径は、前記第1中空シャフトの前記基端部の外径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様の医療用チューブによれば、本発明の第1の態様の医療用チューブは、基端部と、端部の外径よりも小さい外径を有し、表面に複数の第1スリットが、第1の方向に沿って断続的に形成された先端部と、を有する第1中空シャフトと、第1中空シャフトの先端部の外周を覆い、表面に第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2スリットが形成された第2中空シャフトと、を備えたので、トルク伝達性を確保し、柔軟性を向上させることに加え、医療用チューブが湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を第1中空シャフト及び第2中空シャフトに分散させ、医療チューブの破断を防止することができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、第1の態様の医療用チューブにおいて、第2中空シャフトの表面に複数の第2スリットが、第2の方向に沿って断続的に形成されているので、第1の態様の医療用チューブの効果に加え、柔軟性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、本発明の第の態様によれば、第の態様医療用チューブにおいて、第2中空シャフトは、単一または複数の素線を撚って形成された中空撚線で形成されているので、第の態様医療用チューブの効果に加え、医療用チューブの先端部の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明の第の態様によれば、第1の態様乃至第の態様の何れかの医療用チューブにおいて、第1中空シャフトの先端部の外周を覆った状態における第2中空シャフトの先端の外径は、第1中空シャフトの基端部の外径よりも小さいので、第1の態様乃至第の態様の何れかの医療用チューブの効果に加え、先端部の柔軟性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態の医療用チューブを備えたセンサー付きガイドワイヤの概略図である。
図2図1のA部を拡大した第1実施形態の医療用チューブの外観図である。
図3】第1実施形態の医療用チューブを構成する外管シャフト(第2中空シャフト)の外観図及びB−B断面図である。
図4】第1実施形態の医療用チューブを構成する内管シャフト(第1中空シャフト)の外観図及びC−C断面図である。
図5】第1実施形態の医療用チューブの縦断面図である。
図6】第2実施形態の医療用チューブを構成する外管シャフト(第2中空シャフト)の外観図及びD−D断面図である。
図7】第2実施形態の医療用チューブの外観図である。
図8】第3実施形態の医療用チューブを構成する外管シャフト(第2中空シャフト)の外観図及びE−E断面図である。
図9】第3実施形態の医療用チューブの外観図である。
図10】第4実施形態の医療用チューブの外観図である。
図11】第5実施形態の医療用チューブの外観図である。
図12】第6実施形態の医療用チューブの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。特に、後述するスリットの形状は、理解を容易にする為に特に大きく記載されている。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態の医療用チューブを備えたセンサー付きガイドワイヤの概略図であり、図2は、図1のA部を拡大した第1実施形態の医療用チューブの外観図であり、図3は、 第1実施形態の医療用チューブを構成する外管シャフト(第2中空シャフト)の外観図及びB−B断面図であり、図4は、第1実施形態の医療用チューブを構成する内管シャフト(第1中空シャフト)の外観図及びC−C断面図であり、図5は、第1実施形態の医療用チューブの縦断面図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のセンサー付きガイドワイヤ1は、長尺状の医療用チューブ3と、その医療用チューブ3の先端部に形成された開口部9と、その開口部9の近傍であって、医療用チューブ3の内部に配置されたセンサー(図示せず)とから構成されている。センサー付きガイドワイヤ1は、例えば、血管内に挿入されて使用される。そして、上記センサーとしては、例えば、血液の温度、血液中の酸素濃度、または血圧を測定するセンサー等が採用される。
【0025】
医療用チューブ3は、図2乃至図5に示すように、基端部8と、その基端部8の先端側に形成された先端部4とから構成された内管シャフト2(本発明の「第1中空シャフト」に相当する)と、内管シャフト2の先端部4の外周にS方向(図4参照)に挿入された外管シャフト5(本発明の「第2中空シャフト」に相当する)とから構成されている。
【0026】
内管シャフト2は、長尺の中空円筒部材であり、基端部8と、その基端部8の先端側に形成された先端部4とから構成され、先端部4の外径は、基端部8の外径よりも小さく、先端部4の表面には、先端に向かって右回りの螺旋状に複数のスリット6(本発明の「第1スリット」に相当する)が形成されている。また、内管シャフト2は、基端部8及び先端部4に連通するルーメン4aを有する。
【0027】
なお、本実施形態において、スリット6が延びる方向は、図4に示すように、医療用チューブ3の長軸方向に対してθ2の方向(本発明の「第1の方向」に相当する)である。
【0028】
外管シャフト5は、内管シャフト2と同様、長尺の中空円筒部材であり、その外径は、内管シャフト2の基端部8の外径と同一である。また、外管シャフト5は、その表面に、医療用チューブ3の長軸方向に対して垂直の方向θ1(図3参照、本発明の「第2の方向」に相当する)に延びる複数のスリット7(本発明の「第2スリット」に相当する)が形成されている。また、外管シャフト5は、その内部に内管シャフト2の先端部4を挿入可能なルーメン5aを有する。
【0029】
内管シャフト2及び外管シャフト5を構成する材料は、例えば、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金、タングステン、金、プラチナ、イリジウム、コバルトクロム合金等の金属若しくは金属化合物、または、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴム類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチック等の可撓性材料であって、生体適合性を有する材料であれば、特に限定されずに使用可能であり、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0030】
本実施形態の医療用チューブ3によれば、基端部8と、その基端部8の先端側に形成され、基端部8の外径よりも小さい外径を有し、表面に医療用チューブ3の長軸方向に対してθ2の方向に延びるスリット6が形成された先端部4と、を有する内管シャフト2と、内管シャフト2の先端部4の外周を覆い、表面にθ2方向と交差するθ1方向に延びるスリット7が形成された外管シャフト5と、を備えたので、内管シャフト2の基端部8と先端部4とが一体的に形成されることによりトルク伝達性を確保し、内管シャフト2の先端部4及び外管シャフト5にスリット6及びスリット7を形成することによって柔軟性を向上させ、スリット6とスリット7の延びる方向を交差させることによって、医療用チューブ3が湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を内管シャフト2及び外管シャフト5に分散させ、医療チューブ3の破断を防止することができる。
【0031】
なお、本実施形態において、スリット6は、医療用チューブ3の長軸方向に対してθ2の方向に延び、スリット7は、医療用チューブ3の長軸方向に対して垂直のθ1の方向に延びるように記載したが、この実施形態に限らず、スリット6とスリット7とが交差する方向に形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
【0032】
例えば、スリット6を、医療用チューブ3の長軸方向に対して垂直のθ1の方向に延びるようにし、スリット7を、医療用チューブ3の長軸方向に対してθ2の方向に延びるようにしても良い。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。特に、後述するスリットの形状は、理解を容易にする為に特に大きく記載されている。
【0034】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、センサー付きガイドワイヤの全体図については、図1と同様であり、内管シャフト2については、図4と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0035】
図6は、第2実施形態の医療用チューブを構成する外管シャフト(第2中空シャフト)の外観図及びD−D断面図であり、図7は、第2実施形態の医療用チューブの外観図である。
【0036】
図6及び図7において、医療用チューブ13は、基端部8と、その基端部8の先端側に形成された先端部4とから構成された内管シャフト2(本発明の「第1中空シャフト」に相当する)と、内管シャフト2の先端部4の外周に挿入された外管シャフト15(本発明の「第2中空シャフト」に相当する)とから構成されている。
【0037】
外管シャフト15は、内管シャフト2と同様、長尺の中空円筒部材であり、その外径は、内管シャフト2の基端部8の外径と同一である。また、外管シャフト15は、その表面に、先端に向かって右回りの螺旋状に複数のスリット17(本発明の「第2スリット」に相当する)が形成されている。
【0038】
なお、スリット17が延びる方向は、医療用チューブ13の長軸方向に対してθ3の方向(図6参照、本発明の「第2の方向」に相当する)であり、スリット6のθ2の方向とは異なる。また、外管シャフト15は、その内部に内管シャフト2の先端部4を挿入可能なルーメン15aを有する。
【0039】
また、外管シャフト5を構成する材料は、内管シャフト2及び外管シャフト5と同様の材料が使用可能である。
【0040】
本実施形態の医療用チューブ13によれば、内管シャフト2に形成されたスリット6及び外管シャフト15に形成されたスリット17はともに螺旋状に延びているので、医療チューブ13を簡単に製造することができ、内管シャフト2の基端部8と先端部4とが一体的に形成されることによりトルク伝達性を確保し、内管シャフト2の先端部4及び外管シャフト15にスリット6及びスリット17を形成することによって柔軟性を向上させ、スリット6とスリット17の延びる方向を交差させることによって、医療用チューブ13が湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を内管シャフト2及び外管シャフト15に分散させ、医療チューブ13の破断を防止することができる。
【0041】
なお、本実施形態において、スリット6は、医療用チューブ13の長軸方向に対してθ2の方向に延び、スリット17は、医療用チューブ13の長軸方向に対して垂直のθ3の方向に延びるように記載したが、この実施形態に限らず、スリット6とスリット17とが交差する方向に螺旋状に形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。特に、後述するスリットの形状は、理解を容易にする為に特に大きく記載されている。
【0043】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、センサー付きガイドワイヤの全体図については、図1と同様であり、内管シャフト2については、図4と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0044】
図8は、第3実施形態の医療用チューブを構成する外管シャフト(第2中空シャフト)の外観図及びE−E断面図であり、図9は、第3実施形態の医療用チューブの外観図である。
【0045】
図8及び図9において、医療用チューブ23は、基端部8と、その基端部8の先端側に形成された先端部4とから構成された内管シャフト2(本発明の「第1中空シャフト」に相当する)と、内管シャフト2の先端部4の外周に挿入された外管シャフト25(本発明の「第2中空シャフト」に相当する)とから構成されている。
【0046】
外管シャフト25は、内管シャフト2と同様、長尺の中空円筒部材であり、その外径は、内管シャフト2の基端部8の外径と同一である。また、外管シャフト25は、その表面に、先端に向かって左回りの螺旋状に複数のスリット27(本発明の「第2スリット」に相当する)が形成されている。
【0047】
なお、スリット27が延びる方向は、医療用チューブ23の長軸方向に対してθ4の方向(図8参照、本発明の「第2の方向」に相当する)であり、スリット6のθ2の方向とは反対螺旋方向である。また、外管シャフト25は、その内部に内管シャフト2の先端部4を挿入可能なルーメン25aを有する。
【0048】
また、外管シャフト25を構成する材料は、内管シャフト2、外管シャフト5及び外管シャフト15と同様の材料が使用可能である。
【0049】
本実施形態の医療用チューブ23によれば、外管シャフト25に形成されたスリット27の螺旋方向を、内管シャフト2に形成されたスリッ6の螺旋方向に対して反対方向としたので、医療用チューブ23の基端を時計周り及び反時計周りの何れの方向に回転させた場合においても、外管シャフト25または内管シャフト2が締まる方向に回転し、医療用チューブ23のトルク伝達性を向上させることができる。
【0050】
また、内管シャフト2の基端部8と先端部4とが一体的に形成されることによりトルク伝達性を確保し、内管シャフト2の先端部4及び外管シャフト25にスリット6及びスリット27を形成することによって柔軟性を向上させ、スリット6とスリット27の延びる方向を交差させることによって、医療用チューブ23が湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を内管シャフト2及び外管シャフト25に分散させ、医療チューブ23の破断を防止することができる。
【0051】
なお、本実施形態において、スリット6は、医療用チューブ23の長軸方向に対してθ2の方向に延び、スリット27は、医療用チューブ23の長軸方向に対して垂直のθ4の方向に延びるように記載したが、この実施形態に限らず、スリット6とスリット27とが反対螺旋方向に形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0053】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、センサー付きガイドワイヤの全体図については、図1と同様であり、内管シャフト2については、図4と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0054】
図10は、第4実施形態の医療用チューブの外観図である。
【0055】
図10において、医療用チューブ33は、基端部8と、その基端部8の先端側に形成された先端部4とから構成された内管シャフト2(本発明の「第1中空シャフト」に相当する)と、内管シャフト2の先端部4の外周に巻回された、単一または複数の素線を撚って形成された中空撚線35(本発明の「第2中空シャフト」に相当する)とから構成されている。
【0056】
中空撚線35の外径は、内管シャフト2の基端部8の外径と同一であり、中空撚線35の表面には、先端に向かって左回りの螺旋状に複数の凹み37(本発明の「第2スリット」に相当する)が形成されている。
【0057】
なお、スリット37が延びる方向は、医療用チューブ33の長軸方向に対してθ5の方向(図10参照、本発明の「第2の方向」に相当する)であり、スリット6のθ2の方向とは異なる。また、中空撚線35は、その内部に内管シャフト2の先端部4を挿入可能なルーメン(図示せず)を有する。
【0058】
また、中空撚線35を構成する材料は、内管シャフト2及び外管シャフト5と同様の材料が使用可能である。
【0059】
本実施形態の医療用チューブ33によれば、中空撚線35は、単一または複数の素線を撚って形成された中空撚線で形成されているので、医療用チューブ33の先端部の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0060】
また、内管シャフト2の基端部8と先端部4とが一体的に形成されることによりトルク伝達性を確保し、内管シャフト2の先端部4及び中空撚線35にスリット6及び凹み37を形成することによって柔軟性を向上させ、スリット6と凹み37の延びる方向を交差させることによって、医療用チューブ33が湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を内管シャフト2及び中空撚線35に分散させ、医療チューブ33の破断を防止することができる。
【0061】
なお、本実施形態において、スリット6は、医療用チューブ33の長軸方向に対してθ2の方向に延び、凹み37は、医療用チューブ33の長軸方向に対して垂直のθ5の方向に延びるように記載したが、この実施形態に限らず、スリット6と凹み37とが交差する方向に螺旋状に形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
【0062】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。特に、後述するスリットの形状は、理解を容易にする為に特に大きく記載されている。
【0063】
以下、本発明の第5実施形態を説明するが、センサー付きガイドワイヤの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0064】
図11は、第5実施形態の医療用チューブの外観図である。
【0065】
図11において、医療用チューブ43は、基端部48と、その基端部48の先端側に形成された先端部(図示せず)とから構成された内管シャフト42(本発明の「第1中空シャフト」に相当する)と、内管シャフト42の先端部の外周に挿入された外管シャフト45(本発明の「第2中空シャフト」に相当する)とから構成されている。
【0066】
内管シャフト42は、長尺の中空円筒部材であり、基端部48と、その基端部48の先端側に形成された先端部(図示せず)とから構成され、先端部の外径は、基端部48の外径よりも小さく、先端部の表面には、先端に向かって右回りの螺旋状に複数のスリット46(図示しないが、スリット6と同じ形態のスリットであり、本発明の「第1スリット」に相当する)が形成されている。また、内管シャフト42は、基端部48及びその先端部に連通するルーメンを有する。
【0067】
なお、本実施形態において、スリット46が延びる方向は、θ2の方向(図4参照、本発明の「第1の方向」に相当する)である。
【0068】
外管シャフト45は、内管シャフト42と同様、長尺の中空円筒部材であり、その外径D2は、内管シャフト42の基端部48の外径D1よりも細い。また、外管シャフト45は、その表面に、先端に向かって左回りの螺旋状に複数のスリット47(本発明の「第2スリット」に相当する)が形成されている。
【0069】
なお、スリット47が延びる方向は、医療用チューブ43の長軸方向に対してθ4の方向(図8参照、本発明の「第2の方向」に相当する)であり、スリット6のθ2の方向とは反対螺旋方向である。また、外管シャフト45は、その内部に内管シャフト42の先端部を挿入可能なルーメン(図示せず)を有する。
【0070】
また、内管シャフト42及び外管シャフト45を構成する材料は、内管シャフト2及び外管シャフト5と同様の材料が使用可能である。
【0071】
本実施形態の医療用チューブ43によれば、内管シャフト42の先端部の外周を覆った状態における外管シャフト45の先端の外径は、内管シャフト42の基端部の外径よりも小さいので、医療用チューブ43の先端部の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0072】
また、内管シャフト42の基端部48と先端部とが一体的に形成されることによりトルク伝達性を確保し、内管シャフト42の先端部及び外管シャフト45にスリット46及びスリット47を形成することによって柔軟性を向上させ、スリット46とスリット47の延びる方向を交差させることによって、医療用チューブ43が湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を内管シャフト42及び外管シャフト45に分散させ、医療チューブ43の破断を防止することができる。
【0073】
なお、本実施形態において、スリット46は、医療用チューブ43の長軸方向に対してθ2の方向に延び、スリット47は、医療用チューブ43の長軸方向に対してθ4の方向に延びるように記載したが、この実施形態に限らず、スリット46とスリット47とが交差する方向に形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
【0074】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。特に、後述するスリットの形状は、理解を容易にする為に特に大きく記載されている。
【0075】
以下、本発明の第6実施形態を説明するが、センサー付きガイドワイヤの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0076】
図12は、第6実施形態の医療用チューブの外観図である。
【0077】
図12において、医療用チューブ53は、基端部58と、その基端部58の先端側に形成された先端部(図示せず)とから構成された内管シャフト52(本発明の「第1中空シャフト」に相当する)と、内管シャフト52の先端部の外周に挿入された外管シャフト55(本発明の「第2中空シャフト」に相当する)とから構成されている。
【0078】
内管シャフト52は、長尺の中空円筒部材であり、基端部58と、その基端部58の先端側に形成された先端部(図示せず)とから構成され、先端部の外径は、基端部58の外径よりも小さく、先端部の表面には、先端に向かって右回りの螺旋状に複数のスリット56(図示しないが、スリット6と同じ形態のスリットであり、本発明の「第1スリット」に相当する)が形成されている。また、内管シャフト52は、基端部58及びその先端部に連通するルーメンを有する。
【0079】
なお、本実施形態において、スリット56が延びる方向は、θ2の方向(図4参照、本発明の「第1の方向」に相当する)である。
【0080】
外管シャフト55は、外形が先細りテーパ形状であって、長尺の中空部材であり、その先端の外径D4は、内管シャフト52の基端部58の外径D3よりも細い。また、外管シャフト55は、その表面に、先端に向かって左回りの螺旋状に複数のスリット57(本発明の「第2スリット」に相当する)が形成されている。
【0081】
なお、スリット57が延びる方向は、医療用チューブ53の長軸方向に対してθ4の方向(図8参照、本発明の「第2の方向」に相当する)であり、スリット6のθ2の方向とは反対螺旋方向である。また、外管シャフト55は、その内部に内管シャフト52の先端部を挿入可能なルーメン(図示せず)を有する。
【0082】
また、内管シャフト52及び外管シャフト55を構成する材料は、内管シャフト2及び外管シャフト5と同様の材料が使用可能である。
【0083】
本実施形態の医療用チューブ53によれば、内管シャフト52の先端部の外周を覆った状態における外管シャフト55の先端の外径は、内管シャフト52の基端部の外径よりも小さいので、医療用チューブ53の先端部の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0084】
また、内管シャフト52の基端部58と先端部とが一体的に形成されることによりトルク伝達性を確保し、内管シャフト52の先端部及び外管シャフト55にスリット56及びスリット57を形成することによって柔軟性を向上させ、スリット56とスリット57の延びる方向を交差させることによって、医療用チューブ53が湾曲した場合にも、操作不能となることなく、応力を内管シャフト52及び外管シャフト55に分散させ、医療チューブ53の破断を防止することができる。
【0085】
なお、本実施形態において、スリット56は、医療用チューブ43の長軸方向に対してθ2の方向に延び、スリット57は、医療用チューブ53の長軸方向に対してθ4の方向に延びるように記載したが、この実施形態に限らず、スリット56とスリット57とが交差する方向に形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
【0086】
以上、本発明の各種実施形態の医療用チューブについて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0087】
例えば、各種実施形態におけるスリットの形状は、説明の都合上、誇張して大きく記載されており、これに限らず、スリットの幅及び長さについては任意に設定することが可能である。
【0088】
また、第4実施形態の中空撚線35を構成する素線の線径についても任意に設定することが可能である。
【0089】
また、上記の各種実施形態では、内管シャフト及び/または外管シャフトの外周面に、複数のスリットが螺旋状に延びるように形成された構成が記載されているが、この構成に限らず、例えば、一本のスリットが螺旋状に延びるように形成された構成(スパイラルカット)としても良い。
【符号の説明】
【0090】
1・・・センサー付きガイドワイヤ
2,42,52・・・内管シャフト
3,13,23,33,43,53・・・医療用チューブ
4・・・先端部
5,15,25,45,55・・・外管シャフト
4a,5a,15a,25a・・・ルーメン
6,7,17,27,37,47,57・・・スリット
8,48,58・・・基端部
9・・・開口
35・・・中空撚線
37・・・凹み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12