(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1に、電子部品装着装置10を示す。先ず、電子部品装着装置10の構成について説明する。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、装着機と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0013】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、移動装置と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28、ノズルステーション30を備えている。装着機本体20は、フレーム部32と、そのフレーム部32に上架されたビーム部34とによって構成されている。
【0014】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部32に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図示省略)によって保持される。
【0015】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータの作動によって、フレーム部32上の任意の位置に移動させられる。
【0016】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26の下端面には、吸着ノズル60が設けられている。吸着ノズル60は、
図2に示すように、胴体筒64とフランジ部66と吸着管68と掛止ピン70とによって構成されている。胴体筒64は、円筒状をなし、フランジ部66は、胴体筒64の外周面に張り出すようにして固定されている。吸着管68は、細いパイプ状をなし、胴体筒64の下端部から下方に向かって延び出した状態で、胴体筒64に軸線方向に移動可能に保持されている。掛止ピン70は、胴体筒64の径方向に延びるように、胴体筒64の上端部に設けられている。吸着ノズル60は、掛止ピン70を利用して、装着ヘッド26にワンタッチで着脱可能に取り付けられる。なお、掛止ピン70の図示は、後述する
図5、
図6、
図13乃至
図15では省略される。また、装着ヘッド26には、バネ(図示省略)が内蔵されており、そのバネは、装着ヘッド26に取り付けられる吸着ノズル60の吸着管68に、弾性力を付与する。これにより、その吸着管68は、装着ヘッド26に内蔵されたバネの弾性力によって、胴体筒64の下端部から下方に延び出す方向に付勢されている。また、フランジ部66の上面には、2Dコード74が付されている。2Dコード74には、個別情報として、吸着ノズル60のID(identification )や、後述するエアの吹き付けの態様(例えば、エアの吹き付け方向、エアの吹き付けの時間、エアの吹き付けの繰り返し回数)等が示されている。なお、2Dコード74に代えて、バーコード又はRFタグがフランジ部66の上面に付されてもよい。但し、RFタグがフランジ部66の上面に付される場合には、RFタグから個別情報を取得するためのリーダが、後述するノズル管理装置(
図3参照)80の移載ヘッド(
図4参照)120に取り付けられる。
【0017】
また、吸着ノズル60は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図示省略)に通じている。吸着ノズル60は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド26は、吸着ノズル60を昇降させるノズル昇降装置(図示省略)を有している。そのノズル昇降装置によって、装着ヘッド26は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。
【0018】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、
図1に示すように、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ72は、送り装置(図示省略)によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。
【0019】
ノズルステーション30は、ノズルトレイ76を有している。ノズルトレイ76には、複数の吸着ノズル60が収容されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル60と、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60との交換等が、必要に応じて行われる。また、ノズルトレイ76は、ノズルステーション30に着脱可能であり、ノズルトレイ76に収容された吸着ノズル60の回収や、ノズルトレイ76への吸着ノズル60の補給等を装着機14の外部において行うことが可能である。
【0020】
次に、装着機14による装着作業について説明する。装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、装着機14の制御装置(図示省略)の指令により、回路基板が、作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置によって保持される。また、テープフィーダ72は、制御装置の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド26が、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル60によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26は、回路基板の上方に移動し、保持している電子部品を回路基板上に装着する。
【0021】
装着機14では、上述したように、テープフィーダ72によって供給された電子部品を、吸着ノズル60によって吸着保持し、その電子部品が回路基板上に装着される。このため、吸着ノズル60に不具合が生じている場合には、装着作業を適切に行うことができない虞があるため、吸着ノズル60を適切に管理する必要がある。そこで、以下に説明するノズル管理装置により、吸着ノズル60の管理が行われる。
【0022】
次に、ノズル管理装置の構成について説明する。ノズル管理装置80は、
図3に示すように、概して直方体形状をなしており、正面に、ノズルトレイ76をノズル管理装置80内に収納、若しくは、ノズル管理装置80からノズルトレイ76を取り出すための扉82が設けられている。その扉82の上方には、各種情報を表示し、各操作が行われるタッチパネル86等が配設されている。
【0023】
ノズル管理装置80は、
図4に示すように、管理装置本体90、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、ノズル乾燥装置100を有している。なお、
図4は、ノズル管理装置80の外殻部材を取り外した状態を示す斜視図であり、ノズル管理装置80の内部構造を示している。また、ノズル管理装置80には、制御装置200が接続されている。さらに、制御装置200は、フラッシュメモリ204を備えている。なお、制御装置200の詳細な説明は、後述する。
【0024】
管理装置本体90は、フレーム部102と、そのフレーム部102に上架されたビーム部104とによって構成されている。フレーム部102は、中空構造とされており、フレーム部102内にパレット収容装置92が配設され、パレット収容装置92の上端部が、フレーム部102の上面に露出している。
【0025】
パレット収容装置92は、複数のパレット載置棚106と、支持アーム108とを含む。パレット載置棚106は、ノズルパレット110を載置するための棚であり、複数のパレット載置棚106が、フレーム部102の内部において、上下方向に並んで配設されている。なお、ノズルパレット110には、複数の吸着ノズル60が収容される。また、支持アーム108は、アーム移動装置(図示省略)の作動により、複数のパレット載置棚106の前方において、上下方向に移動するとともに、パレット載置棚106に接近・離間する。これにより、パレット載置棚106へのノズルパレット110の収納、パレット載置棚106からのノズルパレット110の取出しが、支持アーム108によって行われる。なお、パレット載置棚106から取り出されたノズルパレット110は、支持アーム108が上方に移動することで、フレーム部102の上面側に移動する。
【0026】
ノズル移載装置94は、ノズルトレイ76とノズルパレット110との間で吸着ノズル60を移載するための装置であり、ビーム部104に配設されている。ノズル移載装置94は、移載ヘッド120とヘッド移動装置122とを有している。移載ヘッド120の下端面には、下方を向いた状態のカメラ126と、吸着ノズル60を保持するための保持チャック128と、エア供給装置130とが取り付けられている。
【0027】
保持チャック128は、
図5に示すように、2本の保持爪132を有しており、それら2本の保持爪132を接近させることで、吸着ノズル60を胴体筒64において保持し、2本の保持爪132を離間させることで、保持した吸着ノズル60を離脱する。また、保持チャック128の本体部134には、エア流路136が形成されている。そのエア流路136の下端部は、2本の保持爪132の間に開口しており、上端部は、エア供給装置130に接続されている。このため、保持チャック128が吸着ノズル60を保持した状態において、エア供給装置130によってエア流路136にエアが供給されることで、吸着ノズル60の内部に向かってエアが、エア流路136の下端部から吹き出す。これにより、吸着ノズル60の内部にエアが吹きこまれ、吸着管68の先端部からエアが吹き出す。さらに、保持チャック128は、自身を自転させる自転装置(
図7参照)138を有している。これにより、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が回転する。なお、
図5において、符号Dの方向は、上下方向を示している。この点は、後述する
図6、
図8、
図12乃至
図15においても、同様である。
【0028】
また、ヘッド移動装置122は、
図4に示すように、移載ヘッド120をフレーム部102の上において前後方向、左右方向、上下方向に移動させるXYZ型の移動装置である。なお、フレーム部102の前方側の上面には、ノズルトレイ76をセットするための固定ステージ131が設けられており、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76と、パレット収容装置92の支持アーム108に支持されたノズルパレット110との間で、吸着ノズル60が移載される。
【0029】
ノズル検査装置96は、カメラ140とロードセル142とジョイント146とを有している。カメラ140は、上方を向いた状態でフレーム部102の上面に配設されており、カメラ140を用いて、吸着ノズル60の先端部が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、下方からカメラ140によって撮像される。これにより、吸着ノズル60の先端部の撮像データが得られ、その撮像データに基づいて、吸着ノズル60の先端部の状態が検査される。
【0030】
また、ロードセル142は、カメラ140の隣に配設されており、ロードセル142を用いて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60の先端部がロードセル142に当接される。吸着ノズル60の先端部は、伸縮可能とされており、ロードセル142により測定された荷重に基づいて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。
【0031】
また、ジョイント146は、エア供給装置130の下面に配設され、そのエア供給装置130からエアが供給される。そして、エア供給装置130からジョイント146に供給されるエアを用いて、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。詳しくは、ジョイント146が、ヘッド移動装置122の作動により、後述する洗浄パレット158に載置された吸着ノズル60の上方に移動する。そして、ジョイント146が、検査対象の吸着ノズル60に接続され、エア供給装置130からエアが供給される。この際にエア圧が測定され、そのエア圧に基づいて、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。
【0032】
なお、フレーム部102の上面には、複数の廃棄ボックス148が配設されており、上記検査により不良ノズルと判定された吸着ノズル60は、廃棄ボックス148に廃棄される。また、上記検査により正常なノズルと判定された吸着ノズル60は、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110に戻される。
【0033】
ノズル洗浄装置98は、吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う装置であり、パレット収容装置92の隣に配設されている。ノズル洗浄装置98は、洗浄・乾燥機構150と洗浄パレット移動機構152とを備えている。洗浄・乾燥機構150は、内部において吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う機構である。また、洗浄パレット移動機構152は、洗浄パレット158が露出する露出位置(
図4で洗浄パレット158が図示されている位置)と、洗浄・乾燥機構150の内部との間で、洗浄パレット158を移動させる機構である。
【0034】
ノズル乾燥装置100は、吸着ノズル60の乾燥を行う装置であり、露出位置に位置する洗浄パレット158の隣に配設されている。ノズル乾燥装置100は、
図5に示すように、ハウジング160と第1エアブロー装置164と第2エアブロー装置166を有している。ハウジング160は、概して有底円筒状をなしている。
【0035】
第1エアブロー装置164は、ハウジング160の内部に向かってエアを吹き出す装置である。詳しくは、ハウジング160の側壁には、2つの貫通穴170,172が形成されている。第1の貫通穴170は、ハウジング160の径方向に延びるように、ハウジング160の側壁を貫通している。なお、第1の貫通穴170は、ハウジング160の外壁面から内壁面に向かって斜め上方に貫通している。一方、第2の貫通穴172は、第1の貫通穴170の上方において、ハウジング160の径方向、かつ水平方向に延びるように、ハウジング160の側壁を貫通している。そして、第1の貫通穴170および、第2の貫通穴172に、配管176,178を介して、第1エアブロー装置164が接続されている。これにより、第1エアブロー装置164は、貫通穴170,172を介して、ハウジング160の内部に向かってエアを吹き出す。第2エアブロー装置166は、ハウジング160の内部に向かってエアを吹き出す装置である。詳しくは、ハウジング160の底壁の中央には、1つの貫通穴180が形成されている。そして、その貫通穴180に、配管182を介して、第2エアブロー装置166が接続されている。これにより、第2エアブロー装置166は、貫通穴180を介して、ハウジング160の内部に向かってエアを吹き出す。
【0036】
次に、吸着ノズル60の洗浄および乾燥について説明する。ノズル洗浄装置98により、吸着ノズル60の洗浄が行われる際には、洗浄対象の吸着ノズル60が、ノズル移載装置94によって、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110から、洗浄パレット158に移載される。そして、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部に移動し、洗浄・乾燥機構150の内部において、吸着ノズル60の洗浄および乾燥が行われる。洗浄・乾燥機構150による吸着ノズル60の洗浄および乾燥が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、露出位置に移動する。
【0037】
この際、吸着ノズル60は、ある程度乾燥しているが、洗浄・乾燥機構150内では、洗浄パレット158に搭載された状態で吸着ノズル60の乾燥が行われるため、吸着ノズル60に水分が残存している虞がある。特に、吸着ノズル60では、上述したように、胴体筒64と吸着管68とが相対移動可能となっており、胴体筒64と吸着管68との間に水が浸入するため、胴体筒64と吸着管68との間に浸入した水が残存している場合がある。このように胴体筒64と吸着管68との間に水分が残存した吸着ノズル60は、上記ロードセル142を用いた検査において、不良ノズルと判定される虞がある。詳しくは、ロードセル142を用いた検査は、上述したように、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態の検査であり、胴体筒64と吸着管68との間に水分が残存した吸着ノズル60では、水分によって胴体筒64と吸着管68との摺動抵抗が大きくなり、ロードセル142により測定される荷重が高くなる。このため、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が適切でないと判定され、その吸着ノズル60は、不良ノズルと判定される虞がある。
【0038】
このようなことに鑑みて、ノズル管理装置80では、洗浄・乾燥機構150による吸着ノズル60の洗浄および乾燥が完了すると、ノズル乾燥装置100を用いて、吸着ノズル60の乾燥が行われる。詳しくは、洗浄・乾燥機構150により洗浄・乾燥された吸着ノズル60が、洗浄パレット158から保持チャック128によって保持される。次に、保持チャック128が、ヘッド移動装置122の作動により、ノズル乾燥装置100の上方に移動し、下降する。これにより、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、
図5に示すように、ノズル乾燥装置100のハウジング160の内部に挿入される。なお、吸着ノズル60のフランジ部66と吸着管68が、貫通穴170,172の横方向に位置する箇所まで、保持チャック128は下降する。これにより、ハウジング160の内部では、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、吸着管68を上下に向けた状態で収納される。
【0039】
その後、ハウジング160の内部において、吸着ノズル60が回転し、エアが、貫通穴170,172,180とエア流路136の少なくとも1つから吹き出す。つまり、保持チャック128が自転装置138の作動により自転することにより、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が回転する。さらに、第1エアブロー装置164が作動されると、貫通穴170,172からハウジング160の内部に向かってエアが吹き出す。これにより、吸着ノズル60の横方から吹き出したエアが、回転中の吸着ノズル60の周囲全体に吹き付けられる。また、エア供給装置130が作動されると、エア流路136から、保持チャック128の2本の保持爪132の間(つまり、ハウジング160の内部)に向かってエアが吹き出す。これにより、吸着ノズル60の上方から吹き出したエアが、回転中の吸着ノズル60の内部に吹き付けられる。このような、吸着ノズル60の上方から内部へのエアの吹き付けによって、吸着管68が胴体筒64に対して下方に向かって相対移動し、下方に延び出す。これにより、胴体筒64の下側において、吸着管68の胴体筒64に対する摺動面が露出し、その摺動面の全周に渡ってエアが吹き付けられる。これに対して、第2エアブロー装置166が作動されると、貫通穴180からハウジング160の内部に向かってエアが吹き出す。これにより、吸着ノズル60の下方から吹き出したエアが、回転中の吸着ノズル60の内部に吹き付けられる。このような、吸着ノズル60の下方から内部へのエアの吹き付けによって、
図6に示すように、吸着管68が胴体筒64に対して上方に向かって相対移動し、上方に延び出す。これにより、胴体筒64の上側において、吸着管68の胴体筒64に対する摺動面が露出し、その摺動面の全周に渡ってエアが吹き付けられる。このように、ハウジング160の内部に挿入された状態の吸着ノズル60の横方、上方、又は下方から内部(特に、吸着管68)にエアが吹き付けられるとともに、吸着ノズル60が回転することで、胴体筒64と吸着管68との間に残存している水分を好適に除去することが可能となる。なお、ノズル乾燥装置100は、水分以外の付着物、具体的には、例えば、油分、埃、電子部品又はその一部、半田、接着剤等を除去することも可能である。また、第1エアブロー装置164、エア供給装置130、及び第2エアブロー装置166は、上述したエアに代えて、他の気体、具体的には、例えば、窒素等のガスを吹き付けてもよい。
【0040】
そして、ノズル乾燥装置100による乾燥が完了した吸着ノズル60は、ヘッド移動装置122の作動により、ノズルトレイ76とノズルパレット110との何れかに戻される。
【0041】
さらに、ノズル管理装置80は、
図7に示すように、上述した制御装置200を備えている。制御装置200は、コントローラ202と複数の駆動回路206とを備えている。複数の駆動回路206は、パレット収容装置92、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、エア供給装置130、自転装置138、第1エアブロー装置164、第2エアブロー装置166に接続されている。コントローラ202は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路206に接続されている。これにより、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル乾燥装置100等の作動が、コントローラ202によって制御される。また、コントローラ202は、交互エアブロー部210と同期エアブロー部212と同時エアブロー部214と変更エアブロー部216とを有している。交互エアブロー部210は、エア供給装置130の作動によるエアの吹き付けと、第2エアブロー装置166の作動によるエアの吹き付けを交互に行うための機能部である。同期エアブロー部212は、第1エアブロー装置164の作動によるエアの吹き付けを、第2エアブロー装置166の作動によるエアの吹き付けと同期させて行うための機能部である。同時エアブロー部214は、吸着ノズル60の乾燥を開始する時又は終了する時において、エア供給装置130の作動によるエアの吹き付け、第2エアブロー装置166の作動によるエアの吹き付け、及び第1エアブロー装置164の作動によるエアの吹き付けを同時に行うための機能部である。変更エアブロー部216は、カメラ126で2Dコード74から取得した吸着ノズル60の個別情報に応じて、吸着ノズル60の吸着管68にエアを吹き付ける態様を変更するための機能部である。つまり、変更エアブロー部216は、エア供給装置130、第2エアブロー装置166、又は第1エアブロー装置164について、作動の時間、作動の順番、又は同時に作動させる組合せ等を、吸着ノズル60の2Dコード74に示された個別情報に従って変更する。
【0042】
次に、廃棄ボックス148について説明する。
図8に示すように、廃棄ボックス148の上方には、吸着ノズル60を2本の保持爪132で保持した保持チャック128(の本体部134)が、ヘッド移動装置122の作動により移動する。これにより、上記検査により不良ノズルと判定された吸着ノズル60が、廃棄ボックス148に廃棄される。
【0043】
廃棄ボックス148は、枠体300と、スポンジ等のクッション材302とを備えている。枠体300は、上面が開放された箱体である。クッション材302は、枠体300の内部に配置されており、傾斜面304と平面306とを備えている。傾斜面304の下降側では、傾斜面304と平面306とが連続している。
【0044】
傾斜面304は、その全体が緩衝材308で覆われている。緩衝材308には、テープ材又はブラシ材等が使用される。これにより、吸着ノズル60は、緩衝材308を介して傾斜面304に落下するので、傾斜面304に直に落下する場合と比べて、勢いよく転がることが可能である。なお、テープ材には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン製のテープ等がある。また、ブラシ材には、例えば、静電気除去ブラシの毛材等がある。
【0045】
傾斜面304の上端部310においては、傾斜面304から上方に向けて突出した段差部312が設けられている。つまり、段差部312は、クッション材302で形成されている。段差部312の突出高さHは、吸着ノズル60のフランジ部66から吸着管68の先端までの最大長さL以上とされる。ここで、最大長さLとは、吸着ノズル60において、吸着管68が胴体筒64の下端(つまり、フランジ部66の下面)から最大に伸び出した際の、フランジ部66から吸着管68の先端までの長さをいう。
【0046】
次に、
図9のフローチャートを用いて、吸着ノズル管理方法220の制御プログラムについて説明する。
図9のフローチャートで示された制御プログラムは、制御装置200が備えているフラッシュメモリ204に記憶されており、オペレータがタッチパネル86で所定の操作を行うと、コントローラ202のCPUにより実行される。
【0047】
吸着ノズル管理方法220が実行されると、先ず、洗浄処理S10が行われる。この処理では、ノズル洗浄装置98において、上述したようにして、吸着ノズル60の洗浄および乾燥が行われる。
【0048】
続いて、流量検査処理S12が行われる。この処理では、ノズル検査装置96において、上述したようにして、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。なお、この検査において不良ノズル(つまり、不合格)と判定された吸着ノズル60は、洗浄パレット158から保持チャック128で保持され、後述する回収処理S30と同様にして、廃棄ボックス148に廃棄される。
【0049】
続いて、乾燥処理S14が行われる。この処理では、ノズル乾燥装置100において、上述したようにして、吸着ノズル60の乾燥が行われる。なお、吸着ノズル60の乾燥が行われるために、洗浄パレット158上の吸着ノズル60が移載ヘッド120の保持チャック128で保持される際には、吸着ノズル60の2Dコード74が移載ヘッド120のカメラ126で撮像される。これにより、2Dコード74に示された吸着ノズル60の個別情報が取得される。さらに、その取得された個別情報に対応した態様で、交互エアブロー部210、同期エアブロー部212、同時エアブロー部214、又は変更エアブロー部216が機能することによって、吸着ノズル60の乾燥が行われる。なお、吸着ノズル60の乾燥は、吸着ノズル60のフランジ部66の上面が最初に乾燥される態様で行われてもよい。
【0050】
続いて、荷重検査処理S16が行われる。この処理では、ノズル検査装置96において、上述したようにして、ロードセル142を用いた検査が行われる。その後は、第1判定処理S18が行われる。この処理では、ロードセル142を用いた検査において、検査対象の吸着ノズル60が正常ノズル(つまり、合格)であるか否かが判定される。
【0051】
検査対象の吸着ノズル60が不良ノズル(つまり、不合格)である場合には(S18:NO)、第2判定処理S20が行われる。この処理では、ロードセル142を用いた検査について、検査対象の吸着ノズル60の不合格回数がN+1回であるか否かが判定される。ここで、Nとは、予め設定された所定回数であり、フラッシュメモリ204に記憶されている。なお、所定回数Nは、オペレータがタッチパネル86で操作することによって、吸着ノズル管理方法220が実行される前に変更することが可能である。
【0052】
検査対象の吸着ノズル60の不合格回数がN+1回でない場合には(S20:NO)、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60について、上述した乾燥処理S14、荷重検査処理S16、及び第1判定処理S18が繰り返される。
【0053】
これに対して、検査対象の吸着ノズル60が正常ノズル(つまり、合格)である場合には(S18:YES)、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60について、画像検査処理S22が行われる。この処理では、ノズル検査装置96において、上述したようにして、カメラ140を用いた検査が行われる。その後は、第3判定処理S24が行われる。この処理では、カメラ140を用いた検査において、検査対象の吸着ノズル60が正常ノズル(つまり、合格)であるか否かが判定される。
【0054】
検査対象の吸着ノズル60が正常ノズル(つまり、合格)である場合には(S24:YES)、記憶処理S26が行われる。この処理では、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60について、そのIDと、上述した乾燥処理S14(、荷重検査処理S16、及び第1判定処理S18)が繰り返された回数(以下、繰返回数と称す)とが関連付けて記憶される。
【0055】
具体的には、例えば、
図10に示すデータテーブル208のように、吸着ノズル60のIDの1001に対しては、繰返回数の2が関連付けられ記憶され、吸着ノズル60のIDの1002に対しては、繰返回数の1が関連付けられ記憶され、吸着ノズル60のIDの1003に対しては、繰返回数の3が関連付けられ記憶される。なお、データテーブル208は、フラッシュメモリ204に記憶されている。また、データテーブル208においては、繰返回数に加えて、上述した流量検査処理S12、荷重検査処理S16、及び画像検査処理S22の各検査結果が、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60のIDに関連付けて記憶されてもよい。
【0056】
続いて、第4判定処理S28が行われる。この処理では、洗浄パレット158に搭載された全ての吸着ノズル60について、ノズル乾燥装置100による乾燥が終了したか否かが判定される。
【0057】
洗浄パレット158に搭載された全ての吸着ノズル60について、ノズル乾燥装置100による乾燥が終了していない場合には(S28:NO)、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60がノズルトレイ76又はノズルパレット110に戻された後において、洗浄パレット158から吸着ノズル60が保持チャック128で保持される。さらに、保持チャック128に保持された吸着ノズル60について、上述した乾燥処理S14が行われる。なお、洗浄パレット158に搭載された全ての吸着ノズル60について、ノズル乾燥装置100による乾燥が終了した場合には(S28:YES)、吸着ノズル管理方法220は終了する。
【0058】
これに対して、ロードセル142を用いた検査が連続して不合格となった回数がN+1回となる場合や(S20:YES)、カメラ140を用いた検査が不合格となった場合には(S24:NO)には、回収処理S30が行われる。
図11に示すように、回収処理S30は、移動処理S32と離脱処理S34を有する。
【0059】
回収処理S30が実行されると、先ず、移動処理S32が実行される。この処理では、
図12に示すように、吸着ノズル60(の胴体筒64)を2本の保持爪132で保持した保持チャック128(の本体部134)が、ヘッド移動装置122の作動により、廃棄ボックス148の上方にまで移動する。その際、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60の姿勢については、吸着ノズル60の吸着管68が廃棄ボックス148の傾斜面304の(緩衝材308の)上方において上下に向いた状態にあり、さらに、吸着ノズル60のフランジ部66の少なくとも一部が廃棄ボックス148の段差部312の上方に位置する状態にある。そのため、廃棄ボックス148の段差部312において傾斜面304側の端から伸び出した垂線Aは、保持チャック128に保持されている吸着ノズル60のフランジ部66と交わる関係にある。
【0060】
次に、離脱処理S34が行われる。この処理では、
図13に示すように、2本の保持爪132が離間することによって、保持チャック128から吸着ノズル60を離脱させる。これにより、
図14に示すように、吸着ノズル60が廃棄ボックス148に向けて落下し、吸着ノズル60のフランジ部66が廃棄ボックス148の段差部312に当たる状態になる。そのため、
図15に示すように、吸着ノズル60は、その(吸着管68の)向きが変化した後に、廃棄ボックス148の傾斜面304(の緩衝材308)上に落ちて転がることによって、廃棄ボックス148に回収される。その後は、上述した第4判定処理S28が行われる。
【0061】
なお、上述したノズル荷重は、荷重検査処理S16において、ロードセル142により測定される。
【0062】
以上より、本実施形態のノズル管理装置80では、コントローラ202によって吸着ノズル管理方法220が行われると、乾燥処理S14と荷重検査処理S16が行われる。そして、コントローラ202は、荷重検査処理S16の検査結果が合格となるまで、予め設定された所定回数Nを限度として、乾燥処理S14と荷重検査処理S16を繰り返す(S18,S20)。これにより、本実施形態のノズル管理装置80と吸着ノズル管理方法220は、乾燥された吸着ノズル60のノズル荷重を検査した後で吸着ノズル60を再び乾燥させる際において、ヒューマンエラーの発生を防止する。
【0063】
ちなみに、本実施形態において、2Dコード74は、識別媒体の一例である。ノズル管理装置80は、吸着ノズル管理装置の一例である。ノズル検査装置96は、荷重検査部の一例である。ノズル洗浄装置98は、洗浄部の一例である。ノズル乾燥装置100は、乾燥部の一例である。カメラ126は、リーダの一例である。第1判定処理S18と第2判定処理S20を行う際のコントローラ202は、リトライ制御部の一例である。フラッシュメモリ204は、記憶部の一例である。予め設定された所定回数Nは、予め設定された回数の一例である。洗浄処理S10は、洗浄工程の一例である。乾燥処理S14は、乾燥工程の一例である。荷重検査処理S16は、荷重検査工程の一例である。第1判定処理S18と第2判定処理S20は、リトライ制御工程の一例である。
【0064】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、所定回数Nは、吸着ノズル60に付された2Dコード74等で示されることによって、吸着ノズル60(の大きさ又は種類)毎に変更可能なようにしてもよい。あるいは、所定回数Nは、2Dコード74等で示されたIDと関連付けられた状態でフラッシュメモリ204等に予め記憶されることによって、吸着ノズル60(の大きさ又は種類)毎に変更可能なようにしてもよい。
【0065】
また、吸着ノズル60は、吸着管68が装着ヘッド26に内蔵されたバネの弾性力で付勢されるものに代えて、吸着管68が吸着管68と胴体筒64との間に設けられたバネの弾性力によって付勢されるものでもよい。但し、そのような場合には、乾燥処理S14において、第2エアブロー装置166が作動しても、吸着管68が胴体筒64に対して上方に向かって相対移動し難く、そのため、吸着管68が胴体筒64の上端部から上方に延び出し難い。