【文献】
金子 淳,”ICTで現場の実績を簡単記録 「ものづくり力」を強くする!”,IHI技報,株式会社IHI,2015年 6月 1日,第55巻第2号,p.30-33,ISSN:1882-3041
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建設機械に取り付けて建設機械の稼働時のパラメータ又は設定値を含む機械信号を取得して出力する建設機械端末と、建設機械端末が出力する機械信号を携帯電話通信網又はデータ通信網を介して管理サーバに送信する通信手段と、受信した機械信号を保存、分析してユーザ端末に出力する管理サーバと、を有する建設機械稼働状況管理システムであって、
前記管理サーバは、受信した機械信号に基づき、建設機械毎の稼働時間、負荷を算出し、予め定められた項目と判定基準に基づき、前記建設機械の健全性を分析する建設機械情報管理部と、建設機械毎の稼働時間、負荷を累積し、累積した結果に基づきメンテナンスタイミングを更新し、定期的又はメンテナンスタイミングに合わせてメンテナンスタイミングをユーザ端末に送信するメンテナンス情報提供部と、各建設機械の稼働時刻を集約表示し、各建設機械の稼働時刻に基づき施工サイクルを分析し、得られた施工サイクルからボトルネックとなる作業の抽出又は今後の工事進行予測の少なくともいずれか一方を実施する施工サイクル分析部とを有することを特徴とする建設機械稼働状況管理システム。
建設機械に取り付けて建設機械の稼働時のパラメータ又は設定値を含む機械信号を取得して出力する建設機械端末と、建設機械端末が出力する機械信号を携帯電話通信網又はデータ通信網を介して管理サーバに送信する通信手段と、受信した機械信号を保存、分析してユーザ端末に出力する管理サーバと、を有する建設機械稼働状況管理システムによる建設機械稼働状況管理方法であって、
前記建設機械端末が前記建設機械の稼働時のパラメータ又は設定値を含む機械信号を取得して携帯電話通信網又はデータ通信網を介して出力する段階と、
前記管理サーバが受信した機械信号を保存、分析してユーザ端末に出力する段階と、を有し、
前記機械信号を保存、分析してユーザ端末に出力する段階は、
前記管理サーバが受信した機械信号に基づき、建設機械毎の稼働時間、負荷を算出し、予め定められた項目と判定基準に基づき、前記建設機械の健全性を分析する段階と、
前記建設機械毎の稼働時間、負荷を累積し、累積した結果に基づきメンテナンスタイミングを更新し、定期的又はメンテナンスタイミングに合わせてメンテナンスタイミングをユーザ端末に送信する段階と、
各建設機械の稼働時刻を集約表示し、各建設機械の稼働時刻に基づき施工サイクルを分析し、得られた施工サイクルからボトルネックとなる作業の抽出又は今後の工事進行予測の少なくともいずれか一方を実施する段階とを含むことを特徴とする建設機械稼働状況管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る建設機械稼働状況管理システムを実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態による建設機械稼働状況管理システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態による建設機械稼働状況管理システム1はネットワーク5を介して相互に接続される管理サーバ10、建設機械端末20、及びユーザ端末30を含む。
【0019】
建設機械稼働状況管理システム1は、建設現場において使用される建設機械に個別に、建設機械の稼働時のパラメータや設定値などの機械信号を取得して出力する建設機械端末20を取り付け、管理サーバ10にて、それぞれの建設機械端末20から機械信号を受信して、建設機械毎の機械信号に基づき、稼働時間や稼働中の負荷を算出し、それぞれの建設機械が正常に稼働しているかどうか、即ち健全性を分析するとともに、稼働時間や稼働中の負荷を累積し、累積した結果に基づき建設機械のメンテナンスタイミングを更新し、必要な時期に健全性やメンテナンスタイミングをユーザ端末30に送信して通知するシステムである。
【0020】
また建設機械稼働状況管理システム1の管理サーバ10は、受信した機械信号に基づき、各建設機械の稼働時刻を集約表示し、各建設機械の稼働時刻に基づき施工サイクルを分析し、得られた施工サイクルから、計画工程を確保する上でボトルネックとなる作業の抽出や今後の工事進行予測を行う。
【0021】
さらに管理サーバ10は、建設機械の位置を検出する位置検出手段から各建設機械の現状の位置情報を取得し最新の位置情報として更新して管理し、抽出したボトルネックとなる作業に対し、建設機械を置き換えたり追加したりすることで作業改善要因やバックアップとなり得る建設機械又は建設機械用部材が使用可能である場合に、そのリストまたはマップを含む作業改善情報として出力し、リストやマップから建設機械又は建設機械用部材が選択されると、それにより改善又はバックアップした場合の挽回スケジュールをシミュレーションして表示する。
【0022】
このように、建設機械稼働状況管理システム1は、建設現場において使用される建設機械や建設機械用部材が正常に稼働しているか、稼働状況に応じた適正なメンテナンスタイミングはいつか、建設工事に遅れが出た場合はどの作業がボトルネックか、更にはその遅れを挽回するにはどの建設機械を適用すればよいか、その場合にはどれだけ工事の日程挽回が可能かなどの情報をユーザ端末30に提供するものであり、ユーザである工事現場の監督者を始め、建設機械のオペレータやメンテナンス担当者に建設機械稼働状況管理に有力な情報を提供するシステムである。
【0023】
図1を参照すると、管理サーバ10は、制御部11、入出力部12、記憶部13、表示部14、建設機械情報管理部15、メンテナンス情報提供部16、施工サイクル分析部17、及び位置情報管理部18を含む。
【0024】
建設機械情報管理部15は、建設機械端末20から受信した機械信号に基づき、建設機械毎の稼働時間、負荷を算出し、予め定められた項目と判定基準に基づき、建設機械や建設機械用部材の健全性を分析する。機械信号の中には建設機械に取り付けられた各種センサの出力や建設機械の操作パネルの設定値などが含まれる。機械信号には例えば、建設機械のメイン電源がオンまたはオフした時刻や、油圧駆動の駆動部を有する建設機械では油圧ポンプの作動または停止した時刻のように、作業に寄与する実稼働部の開始時刻と終了時刻など、稼働時間を把握するのに必要な情報を含む。また、建設機械がドリルジャンボの場合では、ドリフターのトルク、ダンプトラックの場合であれば、エンジン回転数や走行距離というような建設機械の負荷に関する情報も含む。
【0025】
建設機械情報管理部15は、メイン電源がオンになっていた間、作業に寄与する実稼働部がどれだけ稼働したか、その時の負荷は正常な範囲に入っていたかなどの情報を参照して、建設機械や建設機械用部材の健全性を分析する。
健全性の分析は建設機械毎に判断する項目が異なるため、実施形態では、建設機械情報管理部15は、建設機械毎にあらかじめ決められた項目及びその項目に対する上限値、下限値等の判定基準を対応付けた判定基準テーブルを保管しておき、稼働時間や負荷の算出の結果を判定基準テーブルに基づき健全性を分析する。
稼働時間については、決まった作業を繰り返す建設機械の場合、予め作業ごとの標準的な作業時間を設定しておき、この作業時間を逸脱する場合に健全性に異常があったと判断してもよい。
【0026】
建設機械情報管理部15は、建設機械の健全性に異常があると判断すると、その建設機械の関連するユーザのユーザ端末30に健全性に異常が発生したことを通知する異常情報を送信して通知する。建設機械情報管理部15は、こうした異常の有無を含め建設機械毎の現状の状況を判断し、主電源がオフされた状態(休止中)、主電源はオンであるが作業に寄与する実稼働部が稼働していない状態(待機中)、実稼働部が稼働している状態(稼動中)、異常が発生している状態(異常発生)などを区分して出力するようにしてもよい。
【0027】
メンテナンス情報提供部16は、建設機械毎の稼働時間、負荷を累積し、累積した結果に基づきメンテナンスタイミングを再計算・更新し、定期的又はメンテナンスを行うタイミングに合わせてメンテナンスタイミングをユーザ端末30に送信する。このためメンテナンス情報提供部16は、建設機械毎の稼働時間、負荷の累積データを保存しており、建設機械が新たに稼働して、建設機械情報管理部15が建設機械毎の稼働時間、負荷を算出すると、算出された稼働時間、負荷を取得して保存している建設機械毎の稼働時間、負荷の累積データに加えて更新する。
【0028】
負荷については、負荷の大きさによって建設機械への影響度合いが異なり得るため、負荷の大きさに基づいてランク分けを行いランクごとの累積データとしてもよい。例えばドリフターのトルクであれば、トルクの大きさに応じてA〜Cのランク付けを行い、ランクAのトルク範囲で駆動した累積時間、ランクBのトルク範囲で駆動した累積時間、ランクCのトルク範囲で駆動した累積時間を付加の累積データとしてもよい。このようにすることでより実態に即した稼働状況把握が可能となり、例えば負荷の高い状態で使用し続けた建設機械の場合のメンテナンスタイミングを、通常負荷で稼働した場合に比べて早めるなどのメンテナンスタイミングの適正化が可能となる。
【0029】
また、ダンプトラックのような走行が主体となる建設機械では、走行距離と使用燃料量による燃料消費率を負荷データとして含んでもよい。この場合は累積走行距離と累積使用燃料量から累積燃料消費率を求めて保存するとともに、燃料補充時毎に求める燃料消費率を継続的に保存し、負荷の累積データとしてもよい。これにより、燃料消費率が悪化していればメンテナンスタイミングを早めるなどのメンテナンスタイミングの適正化が可能となる。
【0030】
建設機械のメンテナンスタイミングは、累積稼働時間と累積負荷に基づくのが望ましいが、日によって稼働時間も負荷も異なるため、メンテナンスを行う日付を予め定めるのは難しい。そこでメンテナンス情報提供部16は、稼働時間に関しては、建設機械毎の経過日と累積稼働時間に基づきメンテナンスを行う予定日を、日々の作業実績を考慮し、再計算・更新して出力する。この時のメンテナンス予定日の修正は、経過日と累積稼働時間から求めた全体平均稼働時間を基に行ってもよいし、最新の特定期間の稼働時間から求めた平均稼働時間を基に行ってもよい。全体平均稼働時間または平均稼働時間が求まれば、次回メンテナンスを行う累積稼働時間に達する予定日を算出することができる。
【0031】
メンテナンス情報提供部16は、このように累積稼働時間から求めたメンテナンス予定日に累積負荷の影響を加味して、より確度の高いメンテナンス予定日として出力する。累積負荷の影響を加味するのは、例えば負荷を上記の例のように負荷の大きさに応じてA〜Cにランク分けした上で、負荷の大きいランクAにおける累積稼働時間を所定の係数をかけて拡大し、負荷の小さいランクCにおける累積稼働時間を所定の係数をかけて縮小し、いずれも標準的なランクBで稼働した場合の稼働時間に換算してから全ランクの合計累積稼働時間を求め、この値を上記の全体平均稼働時間や平均稼働時間を求める累積稼働時間の代わりに使用する。
【0032】
このように、メンテナンス情報提供部16は、累積稼働時間と累積負荷に基づき、メンテナンスタイミングを的確な時期に更新して出力する。これにより高負荷な状況で稼働し続け、予定していたメンテナンスタイミングより早い時期に建設機械が故障するといった想定外の不具合も事前に防止することができる。
【0033】
施工サイクル分析部17は、各建設機械の稼働時刻を集約表示し、各建設機械の稼働時刻に基づき施工サイクルを分析し、得られた施工サイクルから、ボトルネックとなる作業の抽出又は今後の工事進行予測の少なくともいずれか一方を実施する。施工サイクルとは、一連の決まった作業を繰り返して全体の工事を進行するような工事の場合の一連のサイクルを指す。
【0034】
建設機械の稼働時間と、建設機械が適用される作業の稼働時間は必ずしも対応しない。トンネル工事を例にとると、使用される主な建設機械は、発破を行うための削孔を行うドリルジャンボ、浮石落しのためのブレーカー、ずり出しのためのホイールローダーやダンプトラック、コンクリートの吹付け機などであるが、ドリルジャンボは発破を行う削孔装薬作業に限らず、ロックボルト作業におけるロックボルト設置のための削孔にも使用される。一方、ずり出し作業ではホイールローダーとダンプトラックが連携して行われるため、複数の建設機械が1つの作業に適用される。
【0035】
そこで、施工サイクル分析部17は、各建設機械の稼働時刻を集約表示した上、予め設定された施工サイクルに基づき各建設機械の稼働時間を施工サイクルの各作業に振り分け、施工サイクル表を作成する。施工サイクル表は施工サイクルの各作業を施工順にそれぞれの作業に要した時間を把握できるように表示する表である。
【0036】
一連の決まった作業を繰り返して全体の工事を進行するような工事では、工事の内容によっては、従来の工事実績より施工サイクルの各作業に対する標準的な作業時間である標準作業時間を設定することができる。作業ごとの標準作業時間に基づき日毎の着工計画を設定し、それに対する実稼働の作業時間を重ね合わせることで、両者の差分から工事の予定に対する進捗を把握することができる。
【0037】
施工サイクル分析部17は、着工計画と実稼働の作業時間との差分に基づき、施工サイクルが長引き、工事に遅れが発生する場合、どの作業が原因で遅れが出ているか、即ち遅延の原因となるボトルネックの作業を抽出する。また施工サイクルに基づき工事をそのまま継続した場合の全体日程をシミュレーションして求める工事進行予測も行う。ボトルネックとなる作業の抽出、工事進行予測はユーザ端末30からのユーザの選定に基づき選択的に行うことが可能である。
【0038】
施工サイクル分析部17は、ボトルネックとなる作業を抽出すると、抽出されたボトルネックとなる作業に対し、改善要因又はバックアップとなり得る建設機械又は建設機械用部材の位置情報及びその状況を、リスト又はマップを含む作業改善情報として出力し、改善要因又はバックアップとなり得る建設機械又は建設機械用部材がユーザにより選択されると、選択された建設機械又は建設機械用部材で改善又はバックアップした場合の挽回スケジュールをシミュレーションして表示する。
【0039】
施工サイクル分析部17は、ボトルネックとなる作業に使用される建設機械を確認し、バックアップであれば使用中の建設機械と同一機種又は同等の機種を抽出し、能力増強であれば使用中の建設機械より能力の高い上位機種を置き換え候補として、あるいは使用中の建設機械に追加して能力増強を図る場合は併用可能な建設機械を抽出してリストとして出力する。
【0040】
一実施形態では、このようなバックアップや能力増強のための建設機械や建設機械用部材は、予め工事会社が保有する建設機械又は建設機械用部材をリストアップし、その保管場所や整備状況などを対応付けて建設機械メニューリストとして管理サーバ10に保存しておき、ボトルネックとなる作業の抽出時にこの建設機械メニューリストを参照する。このとき利用可能な建設機械レンタル会社やメンテナンス会社が保有する建設機械又は建設機械用部材のリストも入手して建設機械メニューリストに加えておいてもよい。
【0041】
改善要因又はバックアップとなり得る建設機械又は建設機械用部材は、リストとして出力する代わりに工事現場を中心とするマップ上にアイコンとして表示して出力してもよい。この場合、施工サイクル分析部17は、建設機械メニューリストから選択した建設機械又は建設機械用部材の保管場所を抽出し、工事現場を中心とするマップ上の該当する場所に表示する。アイコンはそれぞれの建設機械又は建設機械用部材の詳細情報と関連付け、出力されたマップがユーザ端末30に表示され、ユーザによりアイコンが選択されるとその詳細情報を表示するようにしてもよい。これによりユーザは、工事現場の近くにあり、すぐに改善やバックアップに使えそうな建設機械又は建設機械用部材を視覚的に判断することができる。
【0042】
ボトルネックとなる作業の遅れには建設機械や建設機械用部材そのものに不具合があり、本来の性能が十分に発揮されない場合もあるし、建設機械や建設機械用部材に異常はないものの工事を行う現場の状況、例えば当初想定より地盤の固いエリアに差し掛かった場合など環境的な要因もある。施工サイクル分析部17は、作業の遅れに対する改善要因又はバックアップとなり得る建設機械又は建設機械用部材を建設機械や建設機械用部材の状況に応じ改善用かバックアップ用かを区別して表示する。
【0043】
施工サイクル分析部17は、工事進行予測又は挽回スケジュールのシミュレーションが行われると、当初の着工計画と比較して参照できるように並置して出力する。工事進行予測と挽回スケジュールのシミュレーションを続けて行った場合はこれらの結果を当初の着工計画と比較して参照できるようにさらに並置して出力してもよい。
【0044】
位置情報管理部18は、建設機械又は建設機械端末20に備えられた位置検出手段から各建設機械の現状の位置情報を取得して最新の位置情報として更新して管理する。位置情報の取得は、そのインターバルを短くすることで建設機械がどの方向にどれだけの速度で移動しているかを求めることができる。そこで位置情報管理部18が管理する最新の位置情報には、建設機械の位置情報と共に、移動の有無、移動している場合の向きと速度などを含めてもよい。
【0045】
位置情報管理部18が管理する最新の位置情報は、管理サーバ10に保存する建設機械メニューリストの保管場所に情報を引き渡して更新、保存するようにしてもよい。これにより位置検出手段によって位置検出が可能な建設機械については、建設機械メニューリストの保管場所を常に最新の情報に維持することが可能となる。
位置検出手段は、電波の使用に制約の無い環境ではGNSS(全球測位衛星システム)を利用したものでよく、トンネル内などのようにGNSSが使用できない環境では、ビーコンや固定基地局などを設置して位置情報を検出する方式でもよい。
【0046】
位置情報管理部18が管理する最新の位置情報は、建設機械情報管理部15が出力する建設機械毎の現状の状況と関連付けられ、出力されるようにしてもよい。この場合、例えば建設工事の現場の見取り図上に、最新の位置情報に基づき建設機械をアイコンにより該当する位置に表示し、現状の状況に基づき色を変えるなどしてマップとして表示するようにしてもよい。例えば稼動中は緑色のアイコン、異常発生時は赤のアイコンのようにマップ表示すれば、工事関係者はユーザ端末30を通じて、建設工事現場に適用した建設機械の現状の位置と状況を一目で把握することができる。さらに建設機械情報管理部15は、ユーザが各アイコンを選択するとその建設機械の詳細の稼働状況を表示するように情報を提供してもよい。
【0047】
管理サーバ10の入出力部12は、キーボードやマウスなど管理サーバ10に直接コマンドやデータを入力するための入力装置の他、ネットワーク5を介して建設機械端末20から機械信号を受信したり、建設機械端末20やユーザ端末30に情報を提供したりする通信手段などを含む。
記憶部13は、管理サーバ10自身を制御するためのプログラムを保存する他、受信した機械信号やそれに基づき求められた稼働時間、負荷、メンテナンスタイミングなどの関連情報を保存する。また建設機械メニューリストも記憶部13に保存される。記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどにより具現化される。
【0048】
表示部14は、必要により管理サーバ10自身を制御するためのプログラムを表示したり、記憶部13に保存された建設機械の稼働時間や負荷をはじめとする各種情報を表示したりする。表示部14は、液晶ディスプレイなどの表示装置で具現化される。
制御部11は制御プログラムに従い、管理サーバ10の動作を制御し、各構成要素が上記の機能を果たすよう制御する。
【0049】
一方、建設機械端末20は制御部21、入出力部22、記憶部23、機械信号取得部24、機械信号集積部25、及び位置情報管理部26を含む。
機械信号取得部24は、建設機械に取り付けられた各種センサから得られる建設機械の稼働状況のパラメータや制御パネルの設定情報などの各種信号を取得して機械信号として保存する。各種センサは建設機械によりパラメータが異なるため、建設機械毎に様々であり、圧力センサ、加速度センサ、トルクセンサなど特に種類に限定はない。
【0050】
各種信号の多くは電圧・電流として検出されるので、機械信号取得部24は、検出された各種信号を経過時間とともに保存する。建設機械によりセンサの種類ばかりでなく、センサの数も異なってもよく、センサの数が複数ある場合、機械信号取得部24は、各種信号を受信した時刻に応じて一つの基準となる時間軸上で複数のセンサからの信号を対応させて機械信号として保存する。
【0051】
機械信号取得部24は、センサの数が少なかったり、機械信号取得のインターバルが広かったりして信号の容量が少ない場合は、保存した機械信号を入出力部22、ネットワーク5を介して管理サーバ10に送信する。
【0052】
機械信号集積部25は、機械信号取得部24の保存する機械信号の容量が大きい場合、機械信号を所定の時間単位で集約してバッチデータ化し、記憶部23に保存するとともにバッチデータ化した機械信号を入出力部22、ネットワーク5を介して管理サーバ10に送信する。このようにバッチ化することにより通信の負荷を減らすことができる。
【0053】
位置情報管理部26は、建設機械の位置検出手段から現状の位置情報を取得し、当該位置情報を取得した時刻と関連して記憶する。位置情報についても機械信号を管理する基準となる時間軸上に対応させることで機械信号と位置情報を関連付けることができる。これにより、機械信号取得部24または機械信号集積部25が管理サーバ10に出力する機械信号に対応した位置情報を付加して送信するようにしてもよい。
【0054】
建設機械の位置検出手段は前述のようにGNSSなどを備え、位置情報検出手段が取り付けられた建設機械の位置を出力するものであるが、位置検出手段は建設機械端末20と独立して建設機械に取り付けられる機器でもよいし、位置情報管理部26が位置検出手段を備える構成としてもよい。位置検出手段が建設機械端末20と独立して建設機械に取り付けられる機器の場合は、検出した位置情報を建設機械端末20または管理サーバ10に送信する通信手段を備える。
【0055】
建設機械端末20の入出力部22は、建設機械の各種センサや制御パネルの設定情報などの各種信号を入力するための入力端子を備え、管理サーバ10に機械信号を送信するための通信手段を含む。センサが複数ある時はそれに応じて入力端子も複数を備える。各種センサや制御パネルからの出力は配線を通じて入力されるようにしてもよいし、各種センサと建設機械端末20との間の情報の授受は近距離無線通信などの無線通信によって行ってもよい。
【0056】
このため、入出力部22の通信手段は携帯通信、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信に対応した通信手段を含む。
記憶部23は、建設機械端末20自身を制御する制御プログラムや、機械信号や位置情報などのデータを保存する。記憶部23は、半導体メモリで具現化される。
制御部21は制御プログラムに従い、建設機械端末20の動作を制御し、各構成要素が上記の機能を果たすよう制御する。
【0057】
建設機械端末20の主要部は、1つのCPUチップと半導体メモリなどを含む周辺回路とを配線基板に実装した形態で具現化でき、縦横50mm、厚さ20mm程度の筐体に収まる機器として実現可能である。このため建設機械端末20は建設機械に後付けで取り付けることも可能である。
【0058】
ユーザ端末30は、制御部31、入出力部32、記憶部33、及び表示部34を備える。
入出力部32は管理サーバ10から建設機械の稼働状況に関する情報を受信したり、管理サーバ10に処理を要求する信号を送信したりするための通信手段とユーザ端末30を操作するためのキーボード、マウスなどを含む。
記憶部33は、ユーザ端末30を操作するためのアプリケーションプログラムなどの制御プログラムや、必要に応じ建設機械や建設工事に関する情報などのデータを保存する。記憶部23は、半導体メモリやハードディスクなどで具現化される。
【0059】
表示部34は、管理サーバ10から受信した建設機械毎の現状の状況やメンテナンスタイミング、ボトルネックとなる作業の情報など各種データを表示する。表示部34は液晶ディスプレイなどで具現化される。表示部34がタッチパネル付きの液晶ディスプレイの場合は、キーボード、マウスの機能を兼ねることが可能である
制御部31は制御プログラムに従い、ユーザ端末30の動作を制御し、各構成要素が上記の機能を果たすよう制御する。
ユーザ端末30はパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどのデータ通信が可能な電子機器で具現化される。
ネットワーク5は携帯電話通信網又はインターネットのような広域なネットワークである。
【0060】
図2は本発明の実施形態による管理サーバから出力される各建設機械の稼働時刻集計とそれに伴うメンテナンス予定の表示データ例を示す図面である。
図2を参照すると、各建設機械の稼働時刻集計の表示データ200には、建設機械の種類を示す建設機械欄210、着目する日付を示す日付欄220、稼働時間欄230、メンテナンス予定欄240を含む。
【0061】
図2の表示データ200はトンネル工事の事例であり、建設機械欄210にはドリルジャンボ、ブレーカー、ホイールローダー、ダンプトラック、吹付け機を例示している。日付欄220には2時間ごとの時刻が補助目盛で示され、管理サーバ10が建設機械端末20から受信した機械信号に基づいて求めたそれぞれの建設機械の稼働時間が棒グラフ250の形態で該当する時間帯に表示される。
【0062】
一実施形態では、工事の着工計画に基づき、当初の着工予定、即ち各装置の稼働すべき時間帯が破線の棒グラフ260の形態で重ねて表示される。このように各建設機械の稼働時刻を集約表示することにより、各建設機械が予定通り稼働したかどうかが一瞥して確認できる。
図2の例では14時には終了予定であったブレーカーの作業が予定通りに終了せず約1時間延長され、それに伴いホイールローダーとダンプトラックによる作業も延長され、その結果、吹付け機の作業開始が遅れ、それ以降の作業が遅延したり、この日に予定していた作業ができなかったりしたことが示されている。
【0063】
稼働時間欄230には、本日、即ち日付欄220に示した日付に行われた建設機械の稼働時間と、本日を含め本日までに稼働した累積稼働時間とが表示される。累積稼働時間はメンテナンス予定日を求めるのに使用するが、前述のように建設機械の稼働時の負荷によってメンテナンス予定日が調整されるので、稼働時間欄230に表示する累積稼働時間は標準負荷に換算した稼働時間の累積値であってもよい。
【0064】
メンテナンス予定欄240には、累積稼働時間と累積負荷とから求めたメンテナンス予定が重点的にメンテナンスを行う重点メンテナンス予定日と、部品交換を行う予定の交換予定日との2項目で表示される。
表示データ200は1例であって表の構成や含まれるデータの内容はこれに限らないことは言うまでもない。
【0065】
図3は、本発明の実施形態による管理サーバから出力される各建設機械の稼働時刻に基づく施工サイクル分析結果の表示データ例を示す図面である。
図3を参照すると、施工サイクル分析結果の表示データである施工サイクル表300は、
図2に示す各建設機械の稼働状況を基に作業単位で時間を算出したものであり、作業欄310、日付欄320、稼働時間欄330を含む。
【0066】
作業欄310には、
図2の建設機械欄210に示した各建設機械が適用された作業の名称が表示され、具体的にドリルジャンボに対応する削孔装薬作業、ブレーカーに対応するコソク作業、ホイールローダー及びダンプトラックに対応するずり出し作業、吹付け機に対応する吹付け作業、及びロックボルト作業が表示されている。
日付欄320には、それぞれの作業の行われた時間帯が棒グラフ350の形態で表示される。また表示データ200と同様に、当初の着工予定に対応した作業時間帯が破線の棒グラフ360の形態で重ねて表示される。
【0067】
稼働時間欄330には、それぞれの作業の本日行われた稼働時間と、従来実績に基づき標準的な作業が行われた場合の当該作業の平均の稼働時間とが表示される。事前の着工計画はこの平均の稼働時間を基に設定され、本日の稼働時間と平均の稼働時間との間に乖離が大きいと問題が発生したことが読み取れる。
管理サーバ10は、施工サイクル表300に示すような施工サイクル分析の結果から、施工サイクルの中でボトルネックとなる作業の抽出を行う。ボトルネックとなる作業の抽出は施工サイクル分析の実施に伴い、それに続けて自動的に実施するようにしてもよいし、ユーザ端末30からのユーザ要求により実施するようにしてもよい。
【0068】
図3からは、本日の稼働時間と平均の稼働時間との間の差分が最も大きいのは、ずり出し作業であるので、ボトルネックとなる作業はずり出し作業であるとしてもよい。このように本日の稼働時間と平均の稼働時間との間の差分が最も大きい作業をボトルネックとなる作業として抽出してもよいが、
図3の施工サイクル表300は、
図2で説明したようにブレーカーによるコソク作業が遅延したために、その影響を受けてずり出しの時間が延長された結果が反映されたデータを示している。そこで実施形態では、管理サーバ10は、遅延の原因となったコソク作業をボトルネックとなる作業として抽出する。このように、実施形態では連続する作業の内で最初に遅延を発生させた作業をボトルネックとなる作業として抽出する。
【0069】
また他の実施形態では、連続する作業で相次いで遅延が発生する場合、後の作業の遅延時間が最初の作業の遅延時間の2倍を超える場合に後の作業をボトルネックとなる作業として抽出する。例えば最初の作業で1時間の遅延が発生し、次の作業で2時間半の遅延が発生した場合、次の作業の遅延の内1時間は最初の作業の影響による遅延と考えられるが、残りの1時間半は次の作業起因の遅延と考えられ、結果的に次の作業の遅延が全体の遅延に影響すると判断できるからである。
【0070】
さらに他の実施形態では、予め設定した閾値を超える遅延が発生した作業すべてをボトルネックとなる作業として抽出する。例えば上記のように連続する作業の内、先の作業起因で1時間、後の作業起因で1時間半の遅延が発生した場合、ボトルネックとなる作業として後の作業のみを抽出すると、先の作業の1時間の遅延を見過ごすおそれがあるからである。
【0071】
図4は、本発明の実施形態による管理サーバから出力されるボトルネックとなる作業とその改善のためのリストの表示データ例を示す図である。
図4は、
図3の表示データでボトルネックとなる作業として抽出されたコソク作業に関する表示データ例であり、
図4を参照すると、ボトルネックとなる作業の表示データ400は、ボトルネックとなる作業を示すボトルネック作業欄410、ボトルネックとなる作業に適用される建設機械又は建設機械用部材を示す建設機械欄420、現状稼働時間と稼働の平均時間を示す稼働時間欄430、及び改善又はバックアップとなる建設機械又は建設機械用部材を示す対応リスト欄440を含む。
【0072】
ボトルネック作業欄410のコソクは現状の工事における遅延のボトルネックとなっている作業がコソク作業であることを示し、建設機械欄420のブレーカーA001−3号機は現在コソク作業に適用中の建設機械を示し、稼働時間欄430では平均的な稼働時間の3時間に対し現状稼働時間が3.8時間と0.8時間長くかかっている状態であることを示す。
【0073】
対応リスト欄440には、この遅延に対して適用中の建設機械と同一性能でバックアップとなるか、より高性能な建設機械への置き換えとなるか適用中の建設機械に追加となるかという区分(区分欄441)と共に、それぞれに対応して適用可能な建設機械又は建設機械用部材(建設機械・部材欄442)、それぞれの建設機械又は建設機械用部材の現状の位置(位置情報欄443)、及び状況(状況欄444)がリスト形式で示される。
【0074】
例えばブレーカーA001−3号機の調子が悪く遅れが発生しているときは、バックアップとなり得る同型のブレーカーA001−2号機や、5号機を適用すれば本来の能力で稼働し、これ以上の遅延が発生しないように対策することが可能である。また、ブレーカーA001−3号機の能力不足で着工計画からの遅れが発生する場合は、より能力の高い
ブレーカーB021−1号機やブレーカーC008−4号機などで置き換えることで能力増強が可能となる。またブレーカーA001−3号機に加えブレーカーA001−2号機や、ブレーカーB021−1号機を追加して能力増強も可能である。
【0075】
位置情報に関しては、位置検出手段を備える建設機械や建設機械用部材に関しては、管理サーバ10は位置検出手段からの信号により最新の位置を把握することが可能であることから、把握した最新の位置情報を更新して管理することで現在の位置情報として利用が可能である。また建設機械端末20を備える建設機械や建設機械用部材に関しては、管理サーバ10は建設機械端末20から受信する機械信号により、建設機械や建設機械用部材の状況を把握することが可能であるので、把握した建設機械の状況を対応リスト欄440に利用することが可能である。
【0076】
位置検出手段や建設機械端末20を備えない建設機械や建設機械用部材に関しては、建設機械のオペレータやメンテナンス担当者が適宜ユーザ端末30などから入力して管理サーバ10に提供するようにしてもよい。一実施形態では建設機械のオペレータやメンテナンス担当者が、関連する建設機械や建設機械用部材のメーカー、レンタル業者が保有する建設機械や建設機械用部材についても位置や状況に関する情報を定期的に入手し、ユーザ端末30などから入力して管理サーバ10に提供することで、建設機械欄420に表示するメニューを増やして対応の可能性を広げている。
【0077】
またボトルネックとなる作業の表示データ400には、
図4の左下に示すように、作業の遅延の原因が想定される場合、建設機械不調や建設機械能力不足などを選択するラジオボタンなどを設け、ユーザが選択すると選択した項目に該当する候補だけが対応リスト欄440に表示されるようにしてもよい。
【0078】
建設機械・部材欄442の各建設機械または建設機械用部材は、ユーザ端末30の画面上で選択可能に表示され、例えばユーザがマウスやなどでダブルクリックすると、選択された建設機械または建設機械用部材の情報が管理サーバ10に送信され、管理サーバ10は選択された建設機械または建設機械用部材を適用した場合の挽回スケジュールをシミュレーションしてユーザ端末30に表示するように送信する。
【0079】
図4に示した対応リスト欄440は作業改善情報をリストとして出力した場合であるが、改善要因又はバックアップとなり得る建設機械又は建設機械用部材を、工事現場を中心とするマップ上にアイコンとして表示して出力してもよい。その場合はアイコンをユーザがマウスやなどでダブルクリックすることで、選択された建設機械または建設機械用部材の情報が管理サーバ10に送信され、上記のリストとしての出力の場合と同様に、管理サーバ10は挽回スケジュールをシミュレーションしてユーザ端末30に表示するように送信する。
【0080】
図5は、本発明の実施形態による管理サーバから出力される挽回スケジュールのシミュレーション結果を例示する図である。
図5を参照すると、シミュレーション結果500は、当初の着工計画510、工事進行予測520、挽回スケジュール530を含む。
図5の例は当初の着工計画510に対し、現状の工事の遅延が発生した状態でそのまま工事を続けた場合の工事進行予測520と、遅延に対する対策を行う場合の挽回スケジュール530を共に求めた場合の事例であり、どちらか一方のみを行う場合は、当初の着工計画510と工事進行予測520、または当初の着工計画510と挽回スケジュール530が並置して表示される。
【0081】
図5の挽回スケジュール530は、
図4で置き換え用の建設機械としてブレーカーC008−4号機を選択した場合の挽回スケジュールを示す。現状のブレーカーA001−3号機では工事進行予測520より約1か月の遅延が発生するが、ブレーカーを高能力のタイプに置き換えることにより、当初の着工計画510より1週間ほど前倒しして工事が完成することが読み取れる。
【0082】
尚、ブレーカーを高能力のタイプに置き換えることに伴い、搬送やレンタル費用など当初の着工計画には無い追加費用が発生する。また工期が変更になればそれに伴い人件費などの工事費用にも変更が生ずる。
一実施形態では管理サーバ10はこうした工事費用についても事前に登録した人件費や各建設機械の稼働に伴う費用、運搬費用などの基本費用を組み合わせて、バックアップや改善を行った場合の工事費用の変更見積を算出して挽回スケジュール530と合わせて表示させるように構成される。
【0083】
このように現状の工事の遅延が発生した場合、工事関係者などのユーザは現状の稼働実績を維持した場合、当初着工計画510に対しどれだけの遅延が発生するかを工事進行予測520により容易に把握することができ、また
図4に示すボトルネックとなる作業の表示データ400から工事日程の挽回に有効な建設機械又は建設機械用部材を選択してシミュレーションすることにより挽回スケジュール530を確認して対応策を的確に選択することができる。このとき上記のように挽回スケジュール530に応じた費用を併せて表示することにより、ユーザはより総合的に対応策を選択することが可能となる。
【0084】
図6は、本発明の実施形態による建設機械の稼働状況をマップ上に表示する例を示す図である。
図6は、管理サーバ10からユーザ端末30に送信されるデータの1表示形態であり、トンネル工事を例にとり、トンネル工事に適用される建設機械に対し、建設機械端末20から送信される各建設機械の機械信号及び位置検出手段から送信される各建設機械の位置情報などから得られる各建設機械の位置と稼働状況とを一目で分かり易く表示する表示例を示す。
【0085】
図6を参照すると、工事現場マップ600には、工事中のトンネル610及びトンネル工事に適用されるドリルジャンボ620、ブレーカー630、ホイールローダー640が工事現場のマップとして表示される。トンネル610は坑口611から切羽612まで工事が進展した状態を示す。
【0086】
各建設機械はアイコンとして表示され、位置情報から得られる各建設機械の位置に対応してマップ上の該当位置に表示される。また移動中の場合は移動方向を示す三角形の移動表示631により移動表示631の方向に移動中であることが表示される。三角形の移動表示631の数を変えることで移動速度を表示するようにしてもよい。また稼働中、移動中、調整中、停止中などのそれぞれの建設機械の稼働状況に応じて、各アイコンの色を変えて表示するようにしてもよい。
【0087】
また各アイコンはユーザがユーザ端末30で選択すると、当該建設機械の詳細状況、例えば処理能力などの仕様、稼働中であれば現状の油圧や負荷などの各パラメータなどのデータを表示するようにしてもよい。また工事現場にライブカメラを設置しておき、アイコンが選択されると当該建設機械の詳細状況とライブ映像とを選択的にユーザ端末30に表示するようにしてもよい。
【0088】
さらに管理サーバ10は、工事現場で稼働中の建設機械の稼働状況に応じて、現在どの工事が行われているかまたは現状の工事現場の工事進捗状況を区分けして表示する。即ち
図6の例ではドリルジャンボ620が切羽612に向かって削孔中であることから、ドリルジャンボ620が稼働する所定のエリアを削孔装薬エリア616として表示する。また例えばドリルジャンボ620の稼働前の時間帯で、坑口611から吹付け機がコンクリートを吹付けた部分までを覆工コンクリートエリア615として工事現場マップ600上に表示する。このような区分けした表示は、予め施工サイクルとそれぞれの作業に適用される建設機械を対応付けて保存しておくとともに、建設機械の稼働する位置と稼働状況により表示するエリア範囲と区分けを対応させて保存しておくことにより実現可能である。
【0089】
このように管理サーバ10は各建設機械の機械信号及び位置情報などの情報に基づき、工事現場の全体状況が一目で把握できるように出力するため工事の監督者などのユーザは最新の情報の基づく的確な判断、指示ができるようになる。また工事現場マップ600を大型のディスプレイなどに表示すれば、工事現場の作業者に全体の稼働状況が共有され、例えば次の作業の段取りなども的確なタイミングで行うことができるようになる。
【0090】
図7は、本発明の実施形態による建設機械稼働状況管理方法を説明するためのフローチャートである。
図7を参照すると、段階S100にて各建設機械に取り付けられた建設機械端末20が建設機械から機械信号を取得して管理サーバ10に出力する。各建設機械端末20は通信手段を備えており、個別に携帯通信回線やインターネットなどの通信回線を介して機械信号を管理サーバ10に出力する。建設機械端末20の数が多く通信回線の混雑が発生する場合、一実施形態では工事現場に各建設機械端末20からの出力を一端集約する取りまとめ用の端末機をさらに設け、取りまとめ用の端末機で集約した機械信号や位置情報をまとめて管理サーバ10に送信するようにする。
【0091】
建設機械又は建設機械端末20に位置検出手段を備える場合は、建設機械端末20が建設機械から機械信号を取得するときと同時もしくはその前後に位置検出手段により建設機械の位置を検出し、建設機械端末20が取得した機械信号を管理サーバ10に出力する際に建設機械の位置情報を併せて送信するようにする。
【0092】
機械信号を受信した管理サーバ10は、段階S110にて受信した機械信号を保存し、受信した機械信号に基づき建設機械の稼働時間や稼働中の負荷を算出し、その健全性を分析する。
次いで段階S120にて管理サーバ10は、建設機械毎の稼働時間、負荷を累積し、累積した結果に基づきメンテナンスタイミングを再計算・更新し、修正したメンテナンスタイミングをユーザ端末30に送信する。メンテナンスタイミングの送信は定期的に行ってもよいし、メンテナンスが必要なタイミングで送信してもよい。
【0093】
管理サーバ10は、各建設機械の稼働時刻を集約表示した上、予め設定された施工サイクルに基づき施工サイクルの分析を行う(段階S130)。施工サイクルの分析により施工サイクルを求めた結果はユーザ端末30に送信され、どの作業がどの時間帯に行われたか、また当初の計画通りに行われたかどうかを把握しやすいように表示される。このとき施工サイクルの分析結果に対し、特に遅延が発生していなければ分析処理を終了する終了ボタンをユーザ端末30に表示してユーザの選択により分析処理を終了するようにしてもよいが、遅延が発生している場合は、次に遅延に対するボトルネックとなる作業の抽出を行うのか、現状の稼働状況を継続する場合の今後の工事進行予測を行うかの選択ボタンをユーザ端末30に表示し、ユーザの選択を待つようにする。
【0094】
ユーザが選択した結果がボトルネックとなる作業の抽出かどうかを判別し(段階S140)、ボトルネックとなる作業の抽出が選択された場合、管理サーバ10は、ボトルネックとなる作業を抽出し、その作業を改善するための情報である改善又はバックアップとなりうる建設機械又は建設機械用部材を抽出し、抽出した建設機械又は建設機械用部材の位置情報及びその状況をリストまたはマップを含む作業改善情報として出力しユーザ端末30に送信する(段階S150)。この時の位置情報には管理サーバ10が機械信号とともに受信した位置情報が利用される。
【0095】
段階S160でユーザにより作業改善情報から改善又はバックアップとなる建設機械又は建設機械用部材が選択されると、管理サーバ10は、選択された建設機械又は建設機械用部材を適用した場合の工事の挽回スケジュールをシミュレーションしてユーザ端末30に表示するように送信する(段階S170)。
また段階S140でユーザが選択した結果が今後の工事進行予測であった場合、管理サーバ10は、段階S155にて今後の工事進行予測を実行し、今後の工事進行予測を当初の着工計画と比較可能なように併記して表示するようにユーザ端末30に送信する。
【0096】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。