特許第6906215号(P6906215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906215
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】ストレプトマイセス属微生物用ベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/74 20060101AFI20210708BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20210708BHJP
   C12P 1/06 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   C12N15/74 ZZNA
   C12N1/21
   C12P1/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-141315(P2016-141315)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2018-11519(P2018-11519A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年6月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 放線菌を宿主とする構成型分泌発現ベクターの機能解析,土屋杏那,橋本義輝,齋藤結希,松本雅子,熊野匠人,小林達彦(筑波大),2016年度日本農芸化学会大会(https://jsbba.bioweb.ne.jp/jsbba2016/)(平成28年3月5日掲載)
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】小林 達彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 義輝
(72)【発明者】
【氏名】熊野 匠人
【審査官】 玉井 真人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−097036(JP,A)
【文献】 特開2007−053994(JP,A)
【文献】 特開2009−065837(JP,A)
【文献】 特開2004−290091(JP,A)
【文献】 特開2005−237233(JP,A)
【文献】 Biotechnol Lett, 2011, Vol.33, pp.253-261
【文献】 2014年度日本農芸化学会大会講演要旨集, 講演番号2A13p03
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(c)の領域を含む構成型分泌発現プラスミドベクターであり、当該ベクターは、Tat分泌経路を用いて目的タンパク質を微生物外へ分泌発現させるためpHSA81に以下の(b)の領域が導入されたものである、構成型分泌発現プラスミドベクター。
(a)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域であり、当該DNA領域は制御タンパク質(NhhC)をコードするDNA配列と転写活性化タンパク質(NhhD)をコードするDNA配列を含む;
(b)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域であり、
当該DNA領域は、シグナルペプチドをコードするDNA配列が、マルチクローニングサイト上流で制限酵素NdeIサイトの制限酵素NdeI処理の切断部分と連結されているものであり、
当該シグナルペプチドが、S. avermitilis由来の、SAV1053、SAV1857、SAV3789、SAV5891、SAV6579、SAV7089、SAV7207、又はSAV7442のいずれか1つである;
(c)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
【請求項2】
以下の(g)〜(j)の領域を含む、Tat分泌経路を用いて目的タンパク質を微生物外へ分泌発現させるための構成型分泌発現シャトルベクターであって、当該ベクターはpHSA81に以下の(h)と(j)の領域が導入されたものである、構成型分泌発現シャトルベクター。
(g)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域であり、当該DNA領域は制御タンパク質(NhhC)をコードするDNA配列と転写活性化タンパク質(NhhD)をコードするDNA配列を含む;
(h)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域であり、
当該DNA領域は、シグナルペプチドをコードするDNA配列が、マルチクローニングサイト上流で制限酵素NdeIサイトの制限酵素NdeI処理の切断部分と連結されているものであり、
当該シグナルペプチドが、S. avermitilis由来の、SAV1053、SAV1857、SAV3789、SAV5891、SAV6579、SAV7089、SAV7207、又はSAV7442のいずれか1つである;
(i)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域;
(j)エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベクターにより、ストレプトマイセス属微生物を形質転換した形質転換体。
【請求項4】
請求項3に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することを含む、目的タンパク質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレプトマイセス属微生物用ベクターに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトマイセス(Streptomyces)属細菌は、抗生物質をはじめとする多様な二次代謝産物を生産する放線菌群として工業的に広く利用されており、極めて重要な菌群である。ストレプトマイセス属細菌での有用物質生産の重要性を鑑みると、ストレプトマイセス属細菌において大量発現系の開発が望まれる。
【0003】
本発明者らは、ストレプトマイセス属細菌を対象とした遺伝子組換え技術の重要性を鑑み、放線菌が持つ高分子型ニトリルヒドラターゼ(H-NHase)の発現機構を応用した非常に強力な発現ベクターである、構成型発現ベクターpHSA81を開発している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−053994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、分泌酵素は工業的な応用に用いられるものが多いため、有用な分泌酵素をより効率的に生産する手法として、分泌発現ベクターの開発が要求され、中でも、Tat分泌経路を用いることで目的タンパク質の大量分泌生産を実現しているベクターが開発されている。
このTat分泌経路はストレプトマイセス属でも機能解析が行われているが、発現のコントロールが厳密にできないなど、その有用性は極めて限られる。
一方で、本発明者らが開発したベクターpHSA81は異種発現の実験ツールとして有用であるが、異種タンパク質は細胞内でのみでしか発現せず、さらに、pHSA81はストレプトマイセス属放線菌でしか複製できず、プラスミドの構築に時間がかかるとの課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ストレプトマイセス属細菌で機能するTat分泌経路を用いることで、目的タンパク質の大量分泌生産を実現することができる、構成型分泌発現ベクターを提供することを目的の一つとしている。
また、本発明は、ベクターpHSA81をエシェリキア属微生物とストレプトマイセス属微生物の両方で複製可能な構成型発現シャトルベクターへと改変することを目的の一つとしている。
更にいえば、ストレプトマイセス属細菌で機能するTat分泌経路を用いることで、目的タンパク質の大量分泌生産を実現するができ、且つ、エシェリキア属微生物とストレプトマイセス属微生物の両方で複製可能な、構成型分泌発現シャトルベクターを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
(a)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域
(b)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域
(c)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
を含む構成型分泌発現ベクターである。
【0008】
また、本発明は、
(d)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域
(e)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
(f)エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
を含む、構成型発現シャトルベクターである。
【0009】
更に、本発明は、
(g)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域
(h)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域
(i)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
(j)エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
を含む、構成型分泌発現シャトルベクターである。
【0010】
また、本発明は、前記(a)〜(c)の領域を含む構成型分泌発現ベクター、前記(d)〜(f)の領域を含む構成型発現シャトルベクター、あるいは、前記(g)〜(j)の領域を含む構成型分泌発現シャトルベクターにより、ストレプトマイセス属微生物を形質転換した形質転換体をも提供する。
【0011】
更に、本発明は、前記形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することを含む、目的タンパク質の製造方法をも提供する。ここで、目的タンパク質とは、例えば、高分子型ニトリルヒドラターゼである。
【0012】
すなわち、目的タンパク質をコードするDNA領域を鋳型にして、前記DNA断片を増幅する工程、
前記増幅したDNA断片を、制限酵素処理した構成型分泌発現ベクターに連結する工程、
前記DNA断片が導入されたベクターでストレプトマイセス属微生物に形質転換する工程、及び
前記大腸菌を培養し、得られた培養上清から目的タンパク質を採取する工程、
を含む、目的タンパク質の製造方法が提供できる。
【0013】
また、目的タンパク質をコードするDNA領域を鋳型にして、前記DNA断片を増幅する工程、
前記増幅したDNA断片を、制限酵素処理した構成型発現シャトルベクターに連結する工程、
前記DNA断片が導入されたベクターでストレプトマイセス属微生物に形質転換する工程、及び
前記大腸菌を培養し、得られた培養上清から目的タンパク質を採取する工程、
を含む、目的タンパク質の製造方法が提供できる。
【0014】
更にまた、目的タンパク質をコードするDNA領域を鋳型にして、前記DNA断片を増幅する工程、
前記増幅したDNA断片を、制限酵素処理した構成型分泌発現シャトルベクターに連結する工程、
前記DNA断片が導入されたベクターでストレプトマイセス属微生物に形質転換する工程、及び
前記大腸菌を培養し、得られた培養上清から目的タンパク質を採取する工程、
を含む、目的タンパク質の製造方法が提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ストレプトマイセス属細菌で機能するTat分泌経路を用いることで、目的タンパク質の大量分泌生産を実現することができる。
また、本発明によれば、その構築を培養時間の短い、エシェリキア属微生物で行うことができ、且つ、ストレプトマイセス属微生物を宿主として目的タンパク質を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】構成型分泌発現ベクターpHSA81-ss1053の構成例を示す図である。
図2】msgLAP遺伝子産物が細胞外に分泌されないことを示す電気泳動の結果に係る図面である。
図3】本発明に係る構成型分泌発現ベクターが備えるシグナルペプチドのLAP活性を示すグラフ代用図面である。
図4】シグナルペプチドのmsgLAPの分泌能力に関する電気泳動の結果を示す図である。
図5】本発明に係る構成型分泌発現ベクターの機能解析結果を示す図である。
図6】本発明に係る構成型分泌発現ベクターのプレートアッセイでの機能解析結果を示す図である。
図7】pHSA81由来の構成型発現シャトルベクターの構成を示す図である。
図8】本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターpEHSA81k-ss1053の構築を示す図である。
図9】本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターの機能解析結果を示す図である。
図10】本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターのプレートアッセイでの機能解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.本発明に係る構成型分泌発現ベクター
本発明に係る構成型分泌発現ベクターは、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物(以下、「ストレプトマイセス属微生物」ともいう)を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域と、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域と、ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域と、を含む。すなわち、本発明に係る構成型分泌発現ベクターは、ストレプトマイセス属微生物内において複製可能であり、且つ、目的タンパク質をストレプトマイセス属微生物外へ分泌発現させるのに有効なベクターである。
【0018】
(1)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域
本発明の構成型分泌発現ベクターは、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域を含み、宿主となるストレプトマイセス属微生物に導入することで、発現誘導剤を添加しなくても、目的タンパク質を極めて高効率で生産することができる。
より具体的には、(i)ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)のH-ニトリルヒドラターゼ(H-NHase)遺伝子のプロモーター、(ii)H-ニトリルヒドラターゼ転写調節タンパク質(以下「制御タンパク質」とも言う)(NhhC)をコードする遺伝子、(iii) 転写活性化タンパク質(NhhD)をコードする遺伝子、(iv)マルチクローニングサイト(MCS)、及び(v)ターミネーターを含み、H-NHase発現調節機構を利用するものである。前記発現調節機構を担う遺伝子の塩基配列に関しては、本発明者らが開示の特開2007−053994号公報に記載されている。
【0019】
(i)ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)のH-ニトリルヒドラターゼ遺伝子のプロモーター
本発明において、H-NHase遺伝子のプロモーターは、H-NHase遺伝子を保有する菌体から制限酵素を用いて切り出すことができる。あるいは、適当な制限酵素認識部位を設けたプライマーを設計し、H-NHaseの構造遺伝子の上流領域中の所望のプロモーター領域を鋳型としてPCRにより増幅することにより、得ることができる。また、既に判明しているH-NHase遺伝子プロモーター領域を含む領域の塩基配列情報(例えばGenBankのAccession number:D67027)に基づいて、所望のプロモーター領域を化学合成して用いることも可能である。本発明のベクターに用いるH-NHase遺伝子のプロモーターの配列及び構成に関しては、特開2007−053994号公報に記載されている。
【0020】
(ii)制御タンパク質(NhhC)をコードする遺伝子
本発明における制御タンパク質(NhhC)をコードする遺伝子は、nhhC遺伝子を保有する菌体から、制限酵素を用いて切り出すことができる。あるいは、制限酵素認識部位を設けたプライマーを用い、PCRで所望のnhhC遺伝子領域を増幅することにより得ることができる。また、既に判明しているnhhC遺伝子の塩基配列情報をもとにして、所望のnhhC遺伝子を化学合成することも可能である。この制御タンパク質(NhhC)をコードする遺伝子の配列及び構成に関しては、特開2007−053994号公報に記載されている。
【0021】
(iii)転写活性化タンパク質(NhhD)をコードする遺伝子
本発明における転写活性化タンパク質(NhhD)をコードする遺伝子は、NhhD遺伝子を保有する菌体から、制限酵素を用いて切り出すことができる。あるいは、制限酵素認識部位を設けたプライマーを用い、PCRで所望のNhhD遺伝子領域を増幅することにより得ることができる。また、既に判明しているNhhD遺伝子の塩基配列情報をもとにして、所望のNhhD遺伝子を化学合成することも可能である。この転写活性化タンパク質(NhhD)をコードする遺伝子の配列及び構成に関しては、特開2007−053994号公報に記載されている。
【0022】
(iv)マルチクローニングサイト(MCS)
本発明におけるMCSとしては特に限定されないものの、例えば、NdeI、BamHI、HindIII、NheI、SpeI、XbaIの六つの制限酵素サイトを全て含むものが好ましい。本発明におけるMCSの配列に関しては、特開2007−053994号公報に記載されている。
【0023】
(v)ターミネーター
本発明のベクターはターミネーター領域を必須とし、当該ターミネーター領域は、上記(iv)のMCSの下流に存在させたものであることが好ましい。
このように存在させることにより、H-NHase遺伝子プロモーターからの強力な転写活性が、MCS下流域の他の領域(例えば複製領域など)へ悪影響を及ぼすことを阻止し、ベクターの安定化を図ることができる。この安定化効果は、本発明でいう遺伝子高発現系の発現効率の向上に大きく寄与しているものと考えられる。
【0024】
本発明におけるターミネーターは、所望のターミネーター領域を保有する菌体やファージ等から、制限酵素を用いて切り出すことができる。あるいは、制限酵素認識部位を設けたプライマーを用い、PCRで所望のターミネーター領域を増幅することにより得ることができる。また、既に判明しているターミネーター領域の塩基配列情報をもとにして、所望のターミネーター領域を化学合成することも可能である。
【0025】
更に、本発明に用い得るターミネーターとしては、宿主中で活性を持つものであればいずれの遺伝子に由来するターミネーターを用いてもよく、限定はされないが、例えば、fdファージ由来のターミネーター(fd-ter)、T4ファージ由来のターミネーター(T4-ter)及びT7ファージ由来のターミネーター(T7-ter)等が好ましく挙げられる。中でも、fdファージ由来のターミネーターが、上述した安定化効果がより大きい点で特に好ましい。
【0026】
(2)ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域
本発明に係る構成型分泌発現ベクターは、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域を含み、培養時、目的タンパク質をストレプトマイセス属微生物外へ分泌発現させることができる。ここで、タンパク質の分泌発現を実現するため、本発明のベクターは、所定のシグナルペプチドを含む。
【0027】
このシグナルペプチドとしては特に限定されないものの、所定のレポータータンパク質を用いたスクリーニングにより選定されたシグナルペプチドを用いることが好ましい。このスクリーニング源としては、ストレプトマイセス属微生物であって全ゲノム配列が決定され、全分泌タンパク質の予測が可能なStreptomyces avermitilis K139を用いることが好ましい。更に、S. avermitilis K139からの全分泌タンパク質の中から、Tat分泌経路に依存すると予測されるものを選定し、更にシグナルペプチド予測サーバーSignalP4.0(http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)によって算出されたD値に基づいて選定したものが好ましい。このシグナルペプチドの種類については、後述する。
【0028】
(3)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域 本発明の構成型分泌発現ベクターは、ストレプトマイセス属微生物内において複製可能なDNA領域を含むため、ストレプトマイセス属に属する微生物内で複製することができる。プラスミドがストレプトマイセス属微生物内において複製可能であるためには、ストレプトマイセス属微生物のプラスミド由来の複製領域(ori、rep)を含有していればよい。
【0029】
また、本発明の構成型分泌発現ベクターにおいて、ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域は、複製領域のほか、さらにストレプトマイセス属微生物用抗生物質耐性遺伝子などを含有してもよい。このストレプトマイセス属微生物用抗生物質耐性遺伝子としては、チオストレプトン耐性遺伝子などを選択することができる。
【0030】
(4)構成型分泌発現ベクターの構築
本発明に係る構成型分泌発現ベクターは、前記シグナルペプチドを、ベクターpHSA81(特許文献1)のMCSの上流に導入することにより構築される。本発明に係る構成型分泌発現ベクターの一つである、pHSA81-ss1053の構成例を図1に示す。
【0031】
より具体的には先ず、鋳型としてS. avermitilis K139株のゲノムDNAを用いて、前記シグナル配列断片をPCR反応にて増幅する。その後、GENEARTを用いた組み換え反応により、増幅したDNA断片を、制限酵素(NdeI)で処理したベクターpHSA81に連結する。
更に、各GENEART反応溶液を用いてPEG法によりStreptomyces lividans TK24を形質転換し、コロニーを得る。そして、得られたコロニーをピックし、YEME/tsr 固体培地へ植継ぐ。植継いだYEME/tsr 固体培地上で十分に生育させた菌体を10 ml YEME/tsr液体培地に植菌し、28℃、130rpmで4日間振とう培養を行う。培養溶液から菌体を遠心により回収し、構成型分泌発現ベクターたるプラスミドを抽出する。
この抽出されたプラスミドについて、DNAシークエンス解析を行い、Nde I認識部位を残しながらその上流に目的断片が導入されていること、及び変異が入っていないことを確認する。これにより、構成型分泌発現ベクターが構築されていることが確認できる。
【0032】
(5)形質転換体
本発明の形質転換体は、宿主を本発明の構成型分泌発現ベクターまたは構成型分泌発現ベクターに目的タンパク質遺伝子を導入したプラスミドで形質転換することで作製できる。形質転換を行うには、常法を用いればよく、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法を用いることができる。本発明において用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物である。
【0033】
(6)タンパク質の製造方法
本発明は、目的タンパク質の製造方法も提供することができる。すなわち、上記(5)の形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することにより、目的タンパク質を製造することができる。形質転換体の培養方法は、宿主に用いるストレプトマイセス属微生物に適した方法を適宜選択すればよい。
【0034】
また、本発明に係るタンパク質の製造方法において「培養物」とは、培養液、培養上清、菌体、無細胞抽出液、細胞膜などの培養により得られるものを意味する。無細胞抽出液は、培養後の菌体を、例えばリン酸ナトリウム緩衝液を加えてホモジナイザーなどで物理的に破砕した後、遠心(例えば15,000rpm,10min,4℃)し、破砕できない菌体(細胞)が存在しないように上清を回収して得ることができる。細胞膜は、上記遠心で得られたペレットを溶解バッファーで懸濁することにより得ることができる。
【0035】
目的タンパク質は、培養物をそのまま用いてもよいし、透析や硫安沈殿などの公知の方法、電気泳動、あるいはゲルろ過、イオン交換、アフィニティー等の各種クロマトグラフィーなどの公知の方法を単独又は適宜組み合わせることによって、濃縮、精製したものを用いてもよい。
【0036】
2.本発明に係る構成型発現シャトルベクター
本発明に係る構成型発現シャトルベクターは、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域と、ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域と、エシェリキア(Escherichia)属に属する微生物(以下、「エシェリキア属微生物」ともいう)を宿主として複製可能なDNA領域と、を含む。すなわち、本発明に係る構成型発現シャトルベクターは、ストレプトマイセス属微生物内及びエシェリキア属微生物内のいずれにおいても複製可能な構成型発現シャトルベクタープラスミドである。各DNA領域について、以下に説明する。ここで、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域、及びストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域に関しては、前述の本発明に係る構成型分泌発現ベクターが備えているものと同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0037】
(1)エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
本発明のベクターは、エシェリキア属微生物内において複製可能なDNA領域を含むため、エシェリキア属に属する微生物内で複製することができる。プラスミドがエシェリキア属微生物内において複製可能であるためには、エシェリキア属微生物のプラスミド由来の複製領域(ColEI)を含有すればよい。エシェリキア属微生物内において複製可能なDNA領域としては、pBluescriptII SK(-)(アジレント・テクノロジー株式会社)、pHSG398、pHSG298(Takara Bio Inc.)などのプラスミドを用いることが可能であり、複製領域を有する限り、プラスミド全体であってもよく、あるいは一部分であってもよい。
【0038】
また、本発明の構成型発現シャトルベクターにおいて、エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域は、複製領域のほか、さらにエシェリキア属微生物用抗生物質耐性遺伝子などを含有してもよい。このエシェリキア属微生物用抗生物質耐性遺伝子としては、クロラムフェニコール耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子などを選択することができる。
【0039】
ここで、本発明において、エシェリキア属微生物としては、大腸菌(Escherichia coli)が好ましく、より具体的には、TOP10、DH10B、Stbl2、Stbl3及びStbl4(いずれも、Invitrogen)などが挙げられ、これらの中でも、TOP10及びStbl2を用いることがより好ましい。
【0040】
(2)構成型発現シャトルベクターの構築
本発明に係る構成型発現シャトルベクターの構築方法の一例を説明する。
先ず、大腸菌のプラスミド複製開始起点及びエシェリキア属微生物用抗生物質耐性遺伝子を含むDNA断片を、発現ベクターpBluescriptIIを鋳型にして、PCRにより増幅する。
次に、GENEARTを用いた組み換え反応により、制限酵素(例えばBlpI)で処理したベクターpHSA81に対して、増幅したDNA断片を連結する。更に、各GENEART反応溶液を用いて大腸菌TOP10及び大腸菌stbl2をヒートショック法によりそれぞれ形質転換し、コロニーを得る。
得られたコロニーをピックし、各薬剤を含んだ2YT固体培地へ植継ぐ。さらに、各薬剤を含んだ2YT固体培地上に生育させた各菌体を5 ml各薬剤を含んだ2YT液体培地に植菌し、37 ℃、150 rpmで培地が十分な濁度になるまで(12時間程度)培養を行う。培養後の菌体からプラスミドを抽出し、構成型発現シャトルベクターを得る。
【0041】
(3)プラスミドの安定性試験
このようにして構築された構成型発現シャトルベクターにおいて、シャトル化を確認すべく、プラスミドの安定性を試験する必要がる。本発明に係る構成型発現シャトルベクターにおける安定性試験は、例えば以下のように行うことができる。
前液体培養液から新しい5 ml各薬剤を含んだ2YT液体培地へと1%植菌を行い、再び12時間の培養を行う。これを再び植え継ぎ、3回目の継代培養の後に集菌を行い、プラスミドを抽出する。
一方、各プラスミドを用いてPEG法によりS. lividans TK24を形質転換し、コロニーを得る。
YEME/tsr 固体培地上で十分に生育させた各菌体を10 ml YEME/tsr液体培地に2mm四方分植菌し、28 ℃、130 rpmで4日間振とう培養を行う。次に、新たな10 ml YEME/tsr 液体培地培養溶液に培養溶液を1 %植菌で継代し、計3回の継代培養を行った菌体からプラスミドを抽出する。
大腸菌で3回継代培養後、そして放線菌で3回継代培養後の各プラスミドをそれぞれ制限酵素(例えば、BlpI)で処理し、アガロースゲル電気泳動に供する。そして、DNA断片のバンドのパターンから、プラスミドの安定性を検討する。
【0042】
以上の条件でプラスミドの抽出を行うことによって、目的とする構成型発現シャトルベクターの構築を確認することができ、本発明に係る構成型発現シャトルベクターに関しては、ストレプトマイセス属微生物内においても、エシェリキア属微生物内においても複製することが可能であるといえる。
【0043】
(4)形質転換体
本発明の形質転換体は、宿主を本発明の構成型発現シャトルベクターまたは構成型発現シャトルベクターに目的タンパク質遺伝子を導入したプラスミドで形質転換することで作製できる。形質転換を行うには、常法を用いればよく、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法を用いることができる。本発明において用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物、エシェリキア属微生物である。目的タンパク質を分泌発現させるために用いる宿主は、好ましくはストレプトマイセス属微生物である。ベクタープラスミドの増殖、回収に用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物またはエシェリキア属微生物を用いることができるが、好ましくはエシェリキア属微生物である。
【0044】
(5)タンパク質の製造方法
本発明は、目的タンパク質の製造方法も提供することができる。すなわち、上記(4)の形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することにより、目的タンパク質を製造することができる。形質転換体の培養方法は、宿主に用いるストレプトマイセス属微生物に適した方法を適宜選択すればよい。
【0045】
更に、本発明に係るタンパク質の製造方法において「培養物」とは、培養液、培養上清、菌体、無細胞抽出液、細胞膜などの培養により得られるものを意味する。無細胞抽出液は、培養後の菌体を、例えばリン酸ナトリウム緩衝液を加えてホモジナイザーなどで物理的に破砕した後、遠心(例えば15,000rpm,10min,4℃)し、破砕できない菌体(細胞)が存在しないように上清を回収して得ることができる。細胞膜は、上記遠心で得られたペレットを溶解バッファーで懸濁することにより得ることができる。
【0046】
目的タンパク質は、培養物をそのまま用いてもよいし、透析や硫安沈殿などの公知の方法、電気泳動、あるいはゲルろ過、イオン交換、アフィニティー等の各種クロマトグラフィーなどの公知の方法を単独又は適宜組み合わせることによって、濃縮、精製したものを用いてもよい。
【0047】
3.本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクター
本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターは、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域、ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域、エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域を含む。すなわち、本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターは、ストレプトマイセス属微生物内及びエシェリキア属微生物内のいずれにおいても複製可能なシャトルベクタープラスミドであり、目的タンパク質をストレプトマイセス属微生物内で分泌発現させるのに有効なベクターである。
【0048】
ここで、本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターにおいて、前記ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に誘導剤を添加せずに目的タンパク質を発現可能なDNA領域、ストレプトマイセス属微生物を宿主として培養時に目的タンパク質を分泌発現可能なDNA領域、及びストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域に関しては、前述の本発明に係る構成型分泌発現ベクターが備えているものと同一であるため、ここではこれらの説明を省略する。また、エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域は、前述の本発明に係る構成型発現シャトルベクターが備えているものと同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
(1)構成型分泌発現シャトルベクターの構築
本発明の構成型分泌発現シャトルベクターの構築方法としては先ず、前述と同様の方法により、前記シグナルペプチドを、ベクターpHSA81のMCSの上流に導入することにより、本発明に係る構成型分泌発現ベクターを構築する。
その後、本発明に係る構成型発現シャトルベクターの構築方法と同様の方法により、構築された構成型分泌発現ベクターをシャトル化する。
構成型分泌発現ベクターの構築方法及びシャトル化の方法は、前述の方法と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0050】
(2)プラスミドの安定性試験
更に、本発明に係る構成型分泌発現シャトルベクターに関しても、シャトル化を確認すべく、プラスミドの安定性を試験する必要がある。当該安定性試験は、本発明に係る構成型発現シャトルベクターにおける安定性試験と同様の方法により行われる。このため、ここでは本試験の方法説明は省略する。
【0051】
(3)形質転換体
本発明の形質転換体は、宿主を本発明の構成型分泌発現シャトルベクターまたは構成型分泌発現シャトルベクターに目的タンパク質遺伝子を導入したプラスミドで形質転換することで作製できる。形質転換を行うには、常法を用いればよく、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法を用いることができる。本発明において用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物、エシェリキア属微生物である。目的タンパク質を発現させるために用いる宿主は、好ましくはストレプトマイセス属微生物である。ベクタープラスミドの増殖、回収に用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物またはエシェリキア属微生物を用いることができるが、好ましくはエシェリキア属微生物である。
【0052】
(4)タンパク質の製造方法
本発明は、目的タンパク質の製造方法も提供することができる。すなわち、上記(3)の形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することにより、目的タンパク質を製造することができる。形質転換体の培養方法は、宿主に用いるストレプトマイセス属微生物に適した方法を適宜選択すればよい。
【0053】
更に、本発明に係るタンパク質の製造方法において「培養物」とは、培養液、培養上清、菌体、無細胞抽出液、細胞膜などの培養により得られるものを意味する。無細胞抽出液は、培養後の菌体を、例えばリン酸ナトリウム緩衝液を加えてホモジナイザーなどで物理的に破砕した後、遠心(例えば15,000rpm,10min,4℃)し、破砕できない菌体(細胞)が存在しないように上清を回収して得ることができる。細胞膜は、上記遠心で得られたペレットを溶解バッファーで懸濁することにより得ることができる。
【0054】
目的タンパク質は、培養物をそのまま用いてもよいし、透析や硫安沈殿などの公知の方法、電気泳動、あるいはゲルろ過、イオン交換、アフィニティー等の各種クロマトグラフィーなどの公知の方法を単独又は適宜組み合わせることによって、濃縮、精製したものを用いてもよい。
【実施例1】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0056】
4.構成型分泌発現ベクターの構築
(1)シグナルペプチドスクリーニング用レポータープラスミドの構築
タンパク質を分泌発現させるためには、シグナルペプチドというN末端領域が必要となる。このため、まず、より強い分泌能を持つシグナルペプチドのスクリーニングを行った。
スクリーニングのレポータータンパク質としては、Streptomyces griseus由来の分泌酵素である、ロイシンアミノペプチダーゼ(sgLAP)を選択した。本酵素は同属放線菌由来であり、かつSec経路で分泌される分泌酵素であることがわかっていること、及び発色基質を用いることで酵素活性測定が容易に行うことができることから、S. lividans TK24株での異種分泌発現が容易であると考えられる。
【0057】
まず、sgLAPをレポータータンパク質として用いるために、シグナルペプチドをコードしたDNA領域(シグナル配列)を除去し、成熟型として細胞内に発現するように設計したmsgLAP遺伝子と、オリジナルのシグナル配列を持ったsgLAP遺伝子を、構成型発現ベクターpHSA81にそれぞれ導入した。
鋳型としてS. griseus のゲノムを用いてPCR反応を行い、sgLAP遺伝子及びmsgLAP遺伝子断片を増幅した。PCR反応後の溶液の一部をそれぞれアガロースゲル電気泳動に供し、msgLAP及びsgLAP遺伝子断片の増幅を確認した。
【0058】
ここで、遺伝子増幅に用いたプライマーは以下のとおり(配列番号1〜3)である。
【0059】
sgLAP遺伝子断片のフォワードプライマー(pHSA81/spSGLAPct-F:配列番号1)
GATGAAAGGAATGAGCATatgagaccgaaccgcttctccctgc
【0060】
msgLAP遺伝子断片のフォワードプライマー(pHSA81/mSGLAPct-F:配列番号2)
GATGAAAGGAATGAGCATATGgccggcgccgcggcc
【0061】
sgLAP遺伝子断片及びmsgLAP遺伝子断片のリバースプライマー(pHSA81/SGLAPct-R:配列番号3)
CCGCTTTTGCGGGGATCTAGAtcaggtgggcggttcgccgg
【0062】
そして、制限酵素Nde I及びXba I(Takara Bio Inc.)で処理したpHSA81に対して、GENEART(R) Seamless Cloning and Assembly Kit(Life Technologies)を用いた組換え反応により、各増幅断片を連結した。更に、PEG法によりS. lividans TK24を形質転換することでpHSA81-msgLAP及びpHSA81-sgLAPを構築した。
【0063】
(2)分泌発現の確認
前記方法で構築されたpHSA81-sgLAP及びpHSA81-msgLAP、更にコントロールとしてのpHSA81をそれぞれ保持するS. lividans TK24株を、YEME/tsr固体培地で28℃、5日間培養した。更に、菌体を10 mlYEME/tsr液体培地に2mm四方植菌し、28℃、130 rpmで7日間振とう培養を行った。そして、培養液1mlを遠心により集菌し、培養上清を回収した。沈殿した菌体を1ml 10mM KPB(pH7.5)で懸濁後、ハンディソニケーターによって破砕した。破砕液を遠心した上清を無細胞抽出液(CFE)とし、沈殿物を1 ml 10 mM KPB(pH 7.5)に懸濁したものを不溶性画分溶液とした。
そして、培養上清20 μl、CFE 8 μlをそれぞれSDS-PAGEに供し、発現の有無を検討した。結果を図2に示す。
【0064】
図2に示されるように、pHSA81-sgLAP / S. lividans TK24の培養上清にmsgLAPのバンドが確認できた。これは、sgLAPがシグナルペプチドを持った状態で発現し、分泌経路に認識されることで細胞外に分泌しているものと考えられる。
一方で、pHSA81-msgLAP / S. lividansTK24は培養上清にmsgLAPのバンドはわずかにしか確認できず、CFEにmsgLAPのバンドが確認できた。これは、msgLAPがシグナルペプチドを持たない成熟型の状態で細胞内に発現し、細胞外へ分泌されないことが示唆された。
このように、シグナルペプチドを除去したmsgLAPが細胞外へ分泌されず細胞内に蓄積されたことから、msgLAPがレポータータンパク質として使用可能と考えられた。
【0065】
(3)シグナルペプチドのスクリーニング
前記方法により構築されたシグナルペプチドスクリーニング用レポータープラスミドを用いて、シグナルペプチドのスクリーニングを行った。スクリーニング源としては、ストレプトマイセス属微生物であって全ゲノム配列が決定され、全分泌タンパク質の予測が可能であることから、S. avermitilis K139を用いた。そして、S. avermitilis K139からの全分泌タンパク質の中から、Tat分泌経路に依存すると予測されるものを選定し、更にシグナルペプチド予測サーバーSignalP4.0によって算出されたD値に基づいて、21個のシグナルペプチドを選抜した(表1参照)
【0066】
ここで、表1に示されるように、各シグナルペプチドをコードするDNA配列(シグナル配列)は、ssに続き由来となっているS. avermitilis の予測ORFの番号『SAV-…』に続く4桁の数字を取り、ss####と呼称する。
【0067】
【表1】
【0068】
そして、鋳型としてS. avermitilis K139株のゲノムを用いてPCR反応を行い、21個のシグナル配列断片をそれぞれ増幅した。シグナル配列として増幅した領域は、signalP4.0で予測された配列に加え、Cleavage SiteからさらにC末端側に1残基分のアミノ酸を含んだ領域とした。
【0069】
ここで、各シグナル配列の増幅に用いたプライマーは、表1に示したとおり(配列番号4〜45)である。
【0070】
そして、GENEARTを用いた組換え反応により、増幅した各シグナル配列を含むDNA断片と、制限酵素Nde I(Takara Bio Inc.)で処理したpHSA81-msgLAPとを連結した。これにより、各シグナル配列とmsgLAP遺伝子はin frameで連結するので、各シグナルペプチドとmsgLAPとの融合タンパク質が発現するプラスミドが構築できた。
【0071】
このようにして構築された各プラスミドを用いて、S. lividans TK24を形質転換し、各形質転換体の培養上清中のLAP活性を測定・比較した。
具体的には、各菌体を、YEME/tsr 固体培地上で十分に生育させ、10 ml YEME/tsr液体培地に2 mm四方分植菌し、28℃、130 rpmで7日間振とう培養を行った。培養液1 mlに1 mlの10 mM KPB(pH 7.5)を加えた後、遠心により菌を沈殿させ、培養上清を回収した。1種類の形質転換体につき、それぞれ培養を行った。そして、培養液を遠心することで、培養上清を調製し、LAP活性の測定を行った。その結果を図3に示す。
【0072】
図3に示された結果から、更に、それぞれの試料20 μlをSDS-PAGEに供し、sgLAPのバンドの有無を検討した。具体的には、培養上清中のLAP活性の高かった3つのシグナル配列(ss1053、ss5891、ss1857)と、LAP活性の低かった3つのシグナル配列(ss1807、ss7421、ss6215)の試料をSDS-PAGEに供し、比較を行った。結果を図4に示す。
【0073】
図4に示されるように、各シグナル配列の中でss1053が最も強い活性を示し、その値はオリジナルのsgLAPの活性と同等の値を示した。
この結果から、分泌させたい目的タンパク質とシグナルペプチド間に相性が存在する可能性が考えられた。
【0074】
(4)構成型分泌発現ベクターの構築
図4に示された結果により、分泌させたい目的タンパク質とシグナルペプチド間に相性が存在する可能性が考えられたことから、比活性が比較的高かった8個のシグナルペプチドを、分泌型発現ベクターに使用するシグナルペプチドとして用いて、構成型分泌発現ベクターの構築を行った。
【0075】
具体的には、前記スクリーニングの結果を基に選抜した8個のシグナル配列を、ベクターpHSA81のマルチクローニングサイト上流に導入し、構成型分泌発現ベクターを構築した。
先ず、鋳型としてS. avermitilis K139株のゲノムを用いてPCR反応を行い、8個のシグナル配列断片をそれぞれ増幅した。
【0076】
ここで、8個のシグナル配列の増幅に用いたプライマーは、表2に示すとおり(配列番号46〜61)である。
【0077】
【表2】
【0078】
そして、GENEARTを用いた組換え反応により、それぞれの増幅したDNA断片を、制限酵素Nde I(Takara Bio Inc.)で処理したベクターpHSA81に連結した。
各GENEART反応溶液を用いてPEG法によりS. lividans TK24を形質転換し、コロニーを得た。得られたコロニーをピックし、YEME/tsr固体培地へ植継いだ。植継いだYEME/tsr固体培地上で十分に生育させた菌体を10 ml YEME/tsr液体培地に植菌し、28℃、130 rpmで4日間振とう培養を行った。培養溶液から菌体を遠心により回収し、プラスミドを抽出した。これらについてDNAシークエンス解析を行い、Nde I認識部位を残しながらその上流に目的断片が導入されていること、及び変異が入っていないことを確認し、8個の構成型分泌発現ベクター(pHSA81-ss1053、pHSA81-ss1857、pHSA81-ss3789、pHSA81-ss5891、pHSA81-ss6579、pHSA81-ss7089、pHSA81-ss7207、pHSA81-ss7442)を構築した。
【0079】
例えば、構成型分泌発現ベクターpHSA81-ss1053では、H-NHaseの強力なプロモーターの下にATGから始まるシグナル配列があり、その後ろにNde I認識部位から始まるMCSが配置されている。シグナル配列部分には配列を含まないため、MCS中のNde Iサイトは本分泌発現ベクター中で唯一のサイトである。このNde Iサイトと利用して、目的遺伝子を開始コドンであるATGから導入可能である。
そして、転写・翻訳されると、シグナルペプチドと目的タンパク質の融合タンパク質が発現する。このシグナルペプチドが分泌経路に認識され、目的タンパク質は細胞外に分泌される。シグナルペプチドは分泌の際にプロセシングされ、分泌された目的タンパク質のN末端にはシグナルペプチドのCleavage Siteから1残基C末端側にあるアラニンに加え、Nde I認識部位ATGCAT由来のヒスチジンとメチオニンの計3残基分がN末端に残ると予想される。
【0080】
(5)構成型分泌発現ベクターの機能解析
構築した8個の構成型分泌発現ベクターのうち、ベクターpHSA81-ss1053を用いて機能解析を行った。
具体的には、pulA (Pullulanase)の発現、PP3812 (Esterase)の発現、chiH (Chitinase)の発現、pla2 (Phospholipase A2)の発現、apkA (Amylase)の発現を確認した。各酵素の発現を確認する方法は以下の通りである。
【0081】
(a)pulA (Pullulanase)の発現確認
Klebsiella aerogenes W70のゲノムDNAを由来として、プライマー81ss1053(/Nde)-mpulA_F(下記配列番号62)およびpHSA81(/Xba)-pulA_R(下記配列番号63)を用いてPCRを行った。
更に、増幅したDNA断片を、制限酵素NdeI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で切断したベクターpHSA81-ss1053に連結し、放線菌S. lividans TK24を宿主としてpHSA81-ss1053-pulAを構築した。尚、コントロールとして、ベクターpHSA81-ss1053を用いて、S. lividans TK24を形質転換した。
【0082】
81ss1053(/Nde)-mpulA_F (配列番号62)
TCGGCCGAGGCCGCGCATATGtgtgataacagctcttcctcttctacctctgg
【0083】
pHSA81(/Xba)-pulA_R (配列番号63)
CCGCTTTTGCGGGGATCTAGAttatttactgctcaccggcaggccag
【0084】
各形質転換体を10 ml YEME/Tsr培地を用いて28℃で4日間前培養した後、湿菌体重量2 mg分の培養液を植継ぎ7日間本培養し、遠心により培養上清を調製し、酵素活性を測定した。
酵素活性測定方法としては、基質としてPullulanを用いて40℃、5 minの反応を行い、Pullulanaseによって分解され生じた還元糖量を、Somogyi-Nelson法を用いて定量した結果、pHSA81-ss1053-pulA/S. lividans TK24の比活性は1.36 units/mg、pHSA81-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0.0351 units/mgであった。
【0085】
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供した。その結果を図5に示す。図5に示されるように、pHSA81-ss1053-pulA/S. lividans TK24のみに、117 kDaのバンドが確認できた。また、各形質転換体を用いてプレートアッセイを行った。その結果を図6に示す。プレートアッセイに用いた培地組成は、2YT + Red pullulan (基質)である。図6に示されるように、28℃で、7日間培養した結果、pHSA81-ss1053-pulA/S. lividans TK24のみにハロー形成がみられた。以上より、Pullulanaseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0086】
(b)PP3812 (Esterase)の発現確認
Pseudomonas putida KT2440のゲノムDNAを由来として、プライマー81ss1053(/Nde)-mPP3812_F(下記配列番号64)およびpHSA81(/Xba)-PP3812_R(下記配列番号65)を用いてPCRを行った。
更に、増幅したDNA断片を、制限酵素NdeI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で切断したpHSA81-ss1053に連結し、放線菌S. lividans TK24を宿主としてpHSA81-ss1053-PP3812を構築した。コントロールとして、pHSA81-ss1053を用いて、S. lividans TK24を形質転換した。
各形質転換体を10 ml YEME/Tsr培地を用いて28℃で4日間前培養した後、湿菌体重量2 mg分の培養液を植継ぎ7日間本培養し、遠心により培養上清を調製し、酵素活性を測定した。酵素活性測定方法は、基質としてp-Nitrophenyl acetateを用いて30℃で反応を行い、2 secごとの405 nmでの吸光を60 secまで測定し、生成したp-Nitrophenolをp-Nitrophenolのモル吸光係数から定量した。
その結果、pHSA81-ss1053-PP3812/S. lividans TK24の比活性は0.489 units/mg、pHSA81-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0 units/mgであった。
【0087】
81ss1053(/Nde)-mPP3812_F (配列番号64)
TCGGCCGAGGCCGCGCATATGgcaggcagccctggtgtcgaac
【0088】
pHSA81(/Xba)-PP3812_R (配列番号65)
CCGCTTTTGCGGGGATCTAGAtcactgcagatgcactttaagttcgttgcc
【0089】
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供したところ、pHSA81-ss1053-PP3812/S. lividans TK24のみに、34.1 kDaのバンドが確認できた(図5参照)。以上より、Esteraseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0090】
(c)chiH (Chitinase)の発現確認
Streptomyces coelicolor A3(2) のゲノムDNAを由来として、プライマー81ss1053(/Nde)-mchiH_F(下記配列番号66)およびpHSA81(/Xba)-chiH_R(下記配列番号67)を用いてPCRを行った。
更に、増幅したDNA断片を、制限酵素NdeI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で切断したpHSA81-ss1053に連結し、放線菌S. lividans TK24を宿主としてpHSA81-ss1053-chiHを構築した。コントロールとして、pHSA81-ss1053を用いて、S. lividans TK24を形質転換した。
各形質転換体を10 ml YEME/Tsr培地を用いて28℃で4日間前培養したのち、湿菌体重量2 mg分の培養液を植継ぎ7日間本培養し、遠心により培養上清を調製し、酵素活性を測定した。
酵素活性測定方法は、基質として4-Methylumbelliferyl-(GlcNAc)3を用いて37℃、10 minの反応を行い、生成した4-Methylumbelliferoneの蛍光を測定し(励起:360 nm、計測:450 nm)定量した。
その結果、pHSA81-ss1053-chiH/S. lividans TK24の比活性は4.24 units/mg、pHSA81-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0.181 units/mgであった。
【0091】
81ss1053(/Nde)-mchiH_F (配列番号66)
TCGGCCGAGGCCGCGCATATGgcgaccccgctgccgga
【0092】
pHSA81(/Xba)-chiH_R (配列番号67)
CCGCTTTTGCGGGGATCTAGAtcagcaggcgccgaggtcct
【0093】
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供したところ、pHSA81-ss1053-chiH/S. lividans TK24のみに、49.5 kDaのバンドが確認できた(図5参照)。
また、各形質転換体を用いてプレートアッセイを行った。プレートアッセイに用いた培地組成は、Colloidal chitin単一炭素源培地である。図6に示すように、28℃で、7日間培養した結果、pHSA81-ss1053-chiH/S. lividans TK24のみにハロー形成がみられた。以上より、Chitinaseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0094】
(d)pla2 (Phospholipase A2)の発現確認
S. coelicolor A3(2) のゲノムDNAを由来として、プライマー81ss1053(/Nde)-mplaA2_F(下記配列番号68)およびpHSA81(/Xba)-plaA2_R(下記配列番号69)を用いてPCRを行った。
更に、増幅したDNA断片を、制限酵素NdeI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で切断したpHSA81-ss1053に連結し、放線菌S. lividans TK24を宿主としてpHSA81-ss1053-pla2を構築した。コントロールとして、pHSA81-ss1053を用いて、S. lividans TK24を形質転換した。
各形質転換体を10 ml YEME/Tsr培地を用いて28℃で4日間前培養したのち、湿菌体重量2 mg分の培養液を植継ぎ7日間本培養し、遠心により培養上清を調製し、酵素活性を測定した。酵素活性測定方法は、sPLA2Assay Kit (Cayman Chemical Company) を用いて行った。
その結果、pHSA81-ss1053-pla2/S. lividans TK24の比活性は8.13 units/mg、pHSA81-ss1053/S. lividans TK24においては活性は認められなかった。
【0095】
81ss1053(/Nde)-mplaA2_F (配列番号68)
TCGGCCGAGGCCGCGCATATGgctcccgccgacaaggcaca
【0096】
pHSA81(/Xba)-plaA2_R (配列番号69)
CCGCTTTTGCGGGGATCTAGAtcagccgaacaccttcacggcct
【0097】
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供したところ、pHSA81-ss1053-pla2/S. lividans TK24のみに、14 kDaのバンドが確認できた(図5参照)。以上より、Phospholipase A2の細胞外への分泌発現が確認できた。
【0098】
(e)apkA (Amylase)の発現確認
Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムDNAを由来として、プライマー81ss1053(/Nde)-mapkAH_F(下記配列番号70)およびpHSA81(/Xba)-apkA_R(下記配列番号71)を用いてPCRを行った。
更に、増幅したDNA断片を、制限酵素NdeI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で切断したpHSA81-ss1053に連結し、放線菌S. lividans TK24を宿主としてpHSA81-ss1053-apkAを構築した。コントロールとして、pHSA81-ss1053を用いて、S. lividans TK24を形質転換した。
各形質転換体を10 ml YEME/Tsr培地を用いて28℃で4日間前培養したのち、湿菌体重量2 mg分の培養液を植継ぎ7日間本培養し、遠心により培養上清を調製し、酵素活性を測定した。酵素活性測定方法は、基質としてStarchを用いて40℃、5 minの反応を行い、Amylaseによって分解され生じた還元糖量を、Somogyi-Nelson法を用いて定量した。
その結果、pHSA81-ss1053-apkA/S. lividans TK24の比活性は5.32 units/mg、pHSA81-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0.172 units/mgであった。
【0099】
81ss1053(/Nde)-mapkA_F (配列番号70)
TCGGCCGAGGCCGCGCATATGgcaaagtattccgaactcgaagaaggcgg
【0100】
pHSA81(/Xba)-apkA_R (配列番号71)
CCGCTTTTGCGGGGATCTAGAtcatccaaccccgcagtagctccag
【0101】
また、各形質転換体を用いてプレートアッセイを行った。プレートアッセイに用いた培地組成は、2YT + Starch培地である。図6に示すように、28℃で、7日間培養したプレートを60℃で約3時間インキュベートしたのち希釈したヨウ素液をプレートに直接撒き、ヨウ素デンプン反応をおこなった。その結果pHSA81-ss1053-apkA/S. lividans TK24のみハロー形成がみられた。以上より、Amylaseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0102】
5.構成型発現シャトルベクターの構築
(1)構成型発現シャトルベクターの構築
先ず、大腸菌のプラスミド複製開始起点及びエシェリキア属微生物用抗生物質耐性遺伝子(カナマイシン耐性遺伝子Km、クロラムフェニコール耐性遺伝子Cm、アンピシリン耐性遺伝子Ap)を含むDNA断片を、PCRにより増幅した。
かかる際、プライマーとしては、pHSA81(BlpI)-ori_F(下記配列番号72)及びpHSA81(BlpI)-ori_KmR(F)_R(下記配列番号73)を用い、カナマイシン耐性遺伝子KmはH-NHase遺伝子プロモーターと同一方向に導入するDNA断片ori_Km(F)を増幅した。
また、プライマーとしては、pHSA81(BlpI)-ori_KmR(R)_F(下記配列番号74)及びpHSA81(BlpI)-ori_R(下記配列番号75)を用い、カナマイシン耐性遺伝子KmはH-NHase遺伝子プロモーターと逆方向に導入するDNA断片ori_Km(R)を増幅した。
また、プライマーとしては、pHSA81(BlpI)-ori_F(下記配列番号72)及びpHSA81(BlpI)-ori_CmR(F)_R(下記配列番号76)を用い、クロラムフェニコール耐性遺伝子CmはH-NHase遺伝子プロモーターと同一方向に導入するDNA断片ori_Cm(F)を増幅した。
また、プライマーとしては、pHSA81(BlpI)-ori_CmR(R)_F(下記配列番号77)及びpHSA81(BlpI)-ori_R(下記配列番号75)を用い、クロラムフェニコール耐性遺伝子CmはH-NHase遺伝子プロモーターと逆方向に導入するDNA断片ori_Cm(R)を増幅した。
また、プライマーとしては、pHSA81(BlpI)-ori_ampR(F)_F(下記配列番号78)及びpHSA81(BlpI)-ori_R(下記配列番号75)を用い、アンピシリン耐性遺伝子ApはH-NHase遺伝子プロモーターと同一方向に導入するDNA断片ori_Ap(F)を増幅した。
また、プライマーとしては、pHSA81(BlpI)-ori_F(下記配列番号72)及びpHSA81(BlpI)-ori_ampR(R)_R(下記配列番号79)を用い、アンピシリン耐性遺伝子ApはH-NHase遺伝子プロモーターと逆方向に導入するDNA断片ori_Km(R)を増幅した。
ここで、DNA断片の増幅に用いたプライマー、伸長したDNA断片は、以下の通りである(配列番号72〜79)。また、各DNA断片の増幅に用いた鋳型は、下表3に示すとおりである。
【0103】
pHSA81(BlpI)-ori_F(配列番号72)
CCCAGTCGCAACCGGGCTCAGCacatgtgagcaaaaggccagcaaaaggc
【0104】
pHSA81(BlpI)-ori_KmR(F)_R(配列番号73)
GGTCCGCCCACTGCGCTGAGCtcgatttattcaacaaagccgccgtccc
【0105】
pHSA81(BlpI)-ori_KmR(R)_F(配列番号74)
CCCAGTCGCAACCGGGCTGAGCtcgatttattcaacaaagccgccgtccc
【0106】
pHSA81(BlpI)-ori_R(配列番号75)
GGTCCGCCCACTGCGCTCAGCacatgtgagcaaaaggccagcaaaaggc
【0107】
pHSA81(BlpI)-ori_CmR(F)_R(配列番号76)
GGTCCGCCCACTGCGCTGAGCtcgaatttctgccattcatccgcttattatcacttattcag
【0108】
pHSA81(BlpI)-ori_CmR(R)_F(配列番号77)
CCAGTCGCAACCGGGCTGAGCtcgaatttctgccattcatccgcttattatcacttattcag
【0109】
pHSA81(BlpI)-ori_ampR(F)_F(配列番号78)
CCCAGTCGCAACCGGGCTGAGCgacgtcaggtggcacttttcgggg
【0110】
pHSA81(BlpI)-ori_ampR(R)_R(配列番号79)
GGTCCGCCCACTGCGCTGAGCgacgtcaggtggcacttttcgggg
【0111】
【表3】
【0112】
次に、GENEARTを用いた組換え反応により、制限酵素BlpI(Takara Bio Inc.)で処理したベクターpHSA81に対して、増幅したDNA断片を連結した。更に、各GENEART反応溶液を用いてE. coli TOP10及び大腸菌stbl2をヒートショック法によりそれぞれ形質転換し、コロニーを得た。得られたコロニーをピックし、各薬剤を含んだ2YT固体培地へ植継いだ。
前培養として、 2YT固体培地上に生育させた各菌体を5 ml 2YT液体培地に植菌し、37℃、150 rpmで培地が十分な濁度になるまで(12時間程度)培養を行った。培養後の菌体からプラスミドを抽出した。
前培養から新しい5 ml 2YT液体培地へと1 %植菌を行い、再び12時間の培養を行った。これを再び植え継ぎ、3回目の継代培養の後に集菌を行い、プラスミドを抽出した。
【0113】
各プラスミドを用いてPEG法によりS. lividans TK24を形質転換し、コロニーを得た。
YEME/tsr 固体培地上で十分に生育させた各菌体を10 ml YEME/tsr液体培地に2mm四方分植菌し、28 ℃、130 rpmで4日間振盪培養を行った。新しい10 ml YEME/tsr 液体培地培養溶液に培養溶液を1 %植菌で継代し、計3回の継代培養を行った菌体からプラスミドを抽出し、構成型発現シャトルベクター(pEHSA81k、pEHSA81k(r)、pEHSA81c、pEHSA81c(r)、pEHSA81a、pEHSA81a(r))を得た。各構成型発現シャトルベクターの構成を図7に示す。
尚、図7中、pHSA81に対して、DNA断片ori_Km(F)を連結したベクターがpEHSA81k、DNA断片ori_Km(R)を連結したベクターがpEHSA81k(r)、DNA断片ori_Cm(F)を連結したベクターがpEHSA81c、DNA断片ori_Cm(R)を連結したベクターがpEHSA81c(r)、DNA断片ori_Ap(F)を連結したベクターがpEHSA81a、DNA断片ori_Ap(R)を連結したベクターがpEHSA81a(r)で示されている。
【0114】
(2)各構成型発現シャトルベクターの安定性試験
大腸菌で3回継代培養後、または放線菌で3回継代培養後の各プラスミドをそれぞれ制限酵素BlpIで処理し、アガロースゲル電気泳動に供した。そして、DNA断片のバンドのパターンから、プラスミドの安定性を検討した。
その結果、pHSA81aおよびpHSA81a(r)においては大腸菌stbl2、TOP10を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。ベクターが欠損すること無く安定的に保持される宿主であれば、これら菌株に限定されない。
pHSA81cおよびpHSA81c(r)においては大腸菌TOP10を宿主とした場合には欠損したが、大腸菌stbl2を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。ベクターが欠損すること無く安定的に保持される宿主であれば、これら菌株に限定されない。
pHSA81kおよびpHSA81k(r)においては大腸菌stbl2を宿主とした場合には欠損したが、大腸菌TOP10を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。ベクターが欠損すること無く安定的に保持される宿主であれば、これら菌株に限定されない。
また、大腸菌における1回目の液体培養後の各プラスミド(pEHSA81k、pEHSA81k(r)、pEHSA81c、pEHSA81c(r)、pEHSA81a、pEHSA81a(r))では、大腸菌stbl2、TOP10のどちらを宿主にした場合でも欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。
一方、S. lividans TK24での3回の継代培養後のプラスミドについては、目的以外のバンドは見られず、S. lividans TK24内で安定に保持されることが確認された。
S. lividans TK24では全てのプラスミドについて安定的に保持されることが確認できたため、これらのプラスミドは構成型発現シャトルベクターとしての機能を持っていると推認できる。
【0115】
(3)構成型発現シャトルベクターの機能解析
次に、前記構成型発現シャトルベクターpEHSA81k、pEHSA81c及びpEHSA81aに、Green Fluorescent Protein(GFP)、をレポーター遺伝子として組込み、S. lividans TK24における発現をSDS-PAGEで確認することでその機能性の検討を行った。尚、コントロールとして、ベクターpHSA81に、各レポーター遺伝子を組み込み、比較した。
また、構成型発現シャトルベクターpEHSA81kに、S. griseus由来の分泌酵素である、ロイシンアミノペプチダーゼ(sgLAP)、及びPseudomonas putida由来のカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子(xylE)をレポーター遺伝子として組込み、S. lividans TK24における発現をSDS-PAGEで確認することでその機能性の検討も行った。尚、コントロールとして、ベクターpHSA81に、各レポーター遺伝子を組み込み、比較した。
【0116】
(a)GFPを含むベクターの構築及び発現結果
先ず、pAcGFP(Takara Bio Inc.)を鋳型にして、GFPをPCRにより増幅した。次に、PCRによって得られたDNA断片を、XbaI及びSacI(Takara Bio Inc.)で制限酵素処理した各構成型発現シャトルベクター及びベクターpHSA81にIn-Fusion HD Cloning Kit (Takara Bio Inc.)を用いて連結し、pEHSA81k-GFP、pEHSA81c-GFP、pEHSA81a-GFPはE. coli TOP10を宿主として、pHSA81-GFPはS. lividans TK24を宿主として構築した。
【0117】
そして、構築したプラスミドを用いてS. lividans TK24をそれぞれ形質転換した。培養後、無細胞抽出液を調製し、蛍光測定器でGFPの蛍光を測定した。その結果、培養液10 mL分菌体中の総蛍光強度は、pHSA81-GFP/S. lividans TK24が34700、pEHSA81k-GFP/S. lividans TK24が9160、pEHSA81c-GFP/S. lividans TK24が13500、pEHSA81a-GFP/S. lividans TK24が9600であった。すべてのベクターでGFPの発現が確認された。
【0118】
(b)sgLAPを含むベクターの構築及び発現結果
先ず、S. griseusを鋳型にして、sgLAPをPCRにより増幅した。次に、PCRによって得られたDNA断片を、XbaI及びSacI(Takara Bio Inc.)で制限酵素処理した構成型発現シャトルベクターpEHSA81k及びベクターpHSA81にIn-Fusion HD Cloning Kit (Takara Bio Inc.)を用いて連結し、pEHSA81k-sgLAPはE. coli TOP10を宿主として、pHSA81-sgLAPはS. lividans TK24を宿主として構築した。
【0119】
そして、構築したプラスミドを用いてS. lividans TK24をそれぞれ形質転換した。培養後、培養上清のロイシンアミノペプチダーゼを測定した。その結果、pHSA81-gLAP /S. lividans TK24が647 units/mg、pEHSA81k-gLAP /S. lividans TK24が502 units/mgであり、両者の発現量はほぼ同等であった。
【0120】
(c)xylEを含むベクターの構築及び発現結果
先ず、Pseudomonas putida(Nakai et al. 1983, Worsey and Williams. 1975)を鋳型にして、xylEをPCRにより増幅した。
次に、PCRによって得られたDNA断片を、XbaI及びSacI(Takara Bio Inc.)で制限酵素処理したベクターpEHSA81k及びベクターpHSA81にIn-Fusion HD Cloning Kit (Takara Bio Inc.)を用いて連結し、pEHSA81k-xylEはE. coli TOP10を宿主として、pHSA81-xylEはS. lividans TK24を宿主として構築した。
そして、構築したプラスミドを用いてS. lividans TK24をそれぞれ形質転換した。培養後、無細胞抽出液を調製し、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ活性を測定した。その結果、pHSA81-xylE /S. lividans TK24が0.56 units/mg、pEHSA81k-xylE /S. lividans TK24が1.93 units/mgであり、今回構築した構成型発現シャトルベクターpEHSA81k の方が、pHSA81より発現量が多かった。
【0121】
6.構成型分泌発現シャトルベクターの構築
(1)構成型分泌発現シャトルベクターの構築方法
先ず、上記「4.構成型分泌発現ベクターの構築」で述べた方法と同様の方法で、8個の構成型分泌発現ベクター(pHSA81-ss1053、pHSA81-ss1857、pHSA81-ss3789、pHSA81-ss5891、pHSA81-ss6579、pHSA81-ss7089、pHSA81-ss7207、pHSA81-ss7442)を構築した。
次に、上記「5.構成型発現シャトルベクターの構築」で述べた方法と同様の方法により、大腸菌のプラスミド複製開始起点及びカナマイシン耐性遺伝子Kmを含むDNA断片を、発現ベクターpHSA81を鋳型にして、PCRにより増幅した。
そして、In-Fusion HD Cloning Kit (Takara Bio Inc.)を用いた組換え反応により、PCRで増幅した複製領域とカナマイシン耐性遺伝子Kmを持つDNA断片ori-rep-KmR(F)と、制限酵素BlpI(Takara Bio Inc.)で処理した各構成型分泌発現ベクターとを連結し、構成型分泌発現シャトルベクター(pEHSA81-ss1053、pEHSA81-ss1857、pEHSA81-ss3789、pEHSA81-ss5891、pEHSA81-ss6579、pEHSA81-ss7089、pEHSA81-ss7207、pEHSA81-ss7442)を得た。図8に、構成型分泌発現シャトルベクターpEHSA81-ss1053の構成を示す。
【0122】
ここで、前記構成型発現シャトルベクター(pEHSA81k、pEHSA81k(r)、pEHSA81c、pEHSA81c(r)、pEHSA81a、pEHSA81a(r))では、プラスミドの安定性が確認されたことから、得られた各構成型分泌発現シャトルベクター(pEHSA81-ss1053、pEHSA81-ss1857、pEHSA81-ss3789、pEHSA81-ss5891、pEHSA81-ss6579、pEHSA81-ss7089、pEHSA81-ss7207、pEHSA81-ss7442)に関しても、プラスミドの安定性を持っていると示唆できる。
【0123】
(2)構成型分泌発現シャトルベクターの機能解析
構築した8個の構成型分泌発現シャトルベクターのうち、ベクターpEHSA81-ss1053を用いて機能解析を行った。
具体的には、pulA (Pullulanase)の発現、PP3812 (Esterase)の発現、chiH (Chitinase)の発現、pla2 (Phospholipase A2)の発現、apkA (Amylase)の発現を確認した。尚、各酵素の発現を確認する方法は、大腸菌TOP10を宿主としてプラスミドを構築し、構築したプラスミドを用いてS. lividans TK24を形質転換した以外は、前述の本発明に係る構成型分泌発現ベクターの機能解析方法と同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0124】
(a)pulA (Pullulanase)の発現結果
pulAの酵素活性を測定した結果、pEHSA81k-ss1053-pulA/S. lividans TK24の比活性は1.23 units/mg、pEHSA81k-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0.0754 units/mgであった。尚、pEHSA81k-ss1053-pulAは、pulAが導入されたpEHSA81k-ss1053-を示す。
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供した。その結果を図9に示す。図9に示されるように、pEHSA81k-ss1053-pulA/S. lividans TK24のみに、117 kDaのバンドが確認できた。
また、形質転換体を用いてプレートアッセイを行った。その結果を図10に示す。尚、プレートアッセイに用いた培地組成は、2YT + Red pullulan (基質)である。
図10に示されるように、28℃で、7日間培養した結果、pEHSA81k-ss1053-pulA/S. lividans TK24のみにハロー形成がみられた。以上より、Pullulanaseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0125】
(b)PP3812 (Esterase)の発現結果
PP3812の酵素活性を測定した結果、pEHSA81k-ss1053-PP3812/S. lividans TK24の比活性は0.816 units/mg、pEHSA81k-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0 units/mgであった。尚、pEHSA81k-ss1053-PP3812は、PP3812が導入されたpEHSA81k-ss1053-を示す。
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供したところ、pEHSA81k-ss1053-PP3812/S. lividans TK24のみに、34.1 kDaのバンドが確認できた(図9参照)。以上より、Esteraseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0126】
(c)chiH (Chitinase)の発現結果
chiHの酵素活性を測定した結果、pEHSA81k-ss1053-chiH/S. lividans TK24の比活性は7.89 units/mg、pEHSA81k-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0.321 units/mgであった。尚、pEHSA81k-ss1053-chiHは、chiHが導入されたpEHSA81k-ss1053を示す。
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供したところ、pEHSA81k-ss1053-chiH/S. lividans TK24のみに、49.5 kDaのバンドが確認できた(図9参照)。
また、プレートアッセイを行った結果、pEHSA81k-ss1053-chiH/S. lividans TK24のみにハロー形成がみられた(図10参照)。以上より、Chitinaseの細胞外への分泌発現が確認できた。
【0127】
(d)pla2 (Phospholipase A2)の発現結果
pla2の酵素活性を測定した結果、pEHSA81k-ss1053-pla2/S. lividans TK24の比活性は6.06 units/mgであったが、pEHSA81k-ss1053/S. lividans TK24では酵素活性が認められなかった。尚、pEHSA81k-ss1053-pla2は、pla2が導入されたpEHSA81k-ss1053を示す。
更に、調製した培養上清をSDS-PAGEに供したところ、pEHSA81k-ss1053-pla2/S. lividans TK24のみに、14 kDaのバンドが確認できた(図9参照)。
以上より、Phospholipase A2の細胞外への分泌発現が確認できた。
【0128】
(e)apkA (Amylase)の発現結果
apkAの酵素活性を測定した結果、pEHSA81k-ss1053-apkA/S. lividans TK24の比活性は1.54 units/mg、pEHSA81k-ss1053/S. lividans TK24の比活性は0.141 units/mgであった。尚、pEHSA81k-ss1053-apkAは、apkAが導入されたpEHSA81k-ss1053を示す。
更に、プレートアッセイを行った結果、pEHSA81k-ss1053-apkA/S. lividans TK24のみハロー形成がみられた(図10参照)。以上より、Amylaseの細胞外への分泌発現が確認できた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]