(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1〜
図6を参照して、第1実施形態のパイプ付継手金具10、およびパイプ・継手金具付ホース1について説明する。
【0013】
図1などに示すパイプ付継手金具10は、筒状のニップル20と、ソケット40と、パイプ30とで構成されたパイプ30付の継手金具である。また、パイプ・継手金具付ホース1は、上記のパイプ付継手金具10に多層ホース70が加締め固定されてなるものである。このパイプ・継手金具付ホース1は、気体や液体などの流体を送るためのものであり、例えば、液圧ブレーキホースなどである。
【0014】
まず、パイプ付継手金具10に加締め固定される多層ホース70について説明する。本実施形態の多層ホース70は、
図6に示すように、最内層71、および最外層75を有し、最内層71と最外層75との間には、径方向R内側から順に、第1補強層72、中間層73、および第2補強層74が設けられている。第1補強層72、および第2補強層74は、例えば、合成繊維からなる層であり、最内層71、最外層75、および中間層73は、例えば、ゴムまたは樹脂からなる層である。
【0015】
なお、本発明において、多層ホース70は、最内層71と最外層75とが、ゴム層または樹脂層であることが好ましいが、最内層71および最外層75の素材は、特に限定されるものではない。最内層71および最外層75は、弾性を有する層(=弾性層)であることが好ましく、ゴム層または樹脂層に代えて、それぞれ、エラストマーを素材とする層であってもよい。また、最内層71と最外層75との間の各層72〜74についても同様であり、これら各層72〜74の素材は、特に限定されるものではない。
【0016】
また、本実施形態の多層ホース70は5層構造であるが、これに限定されることはなく、4層以下の構成の多層ホースでも、6層以上の構成の多層ホースであってもよい。
【0017】
パイプ付継手金具10について説明する。
図1などに示すように、パイプ付継手金具10を構成する前記ニップル20は、多層ホース70に差し込まれる筒状のニップル本体部21と、多層ホース70に差し込まれる側とは反対側の端部に設けられ、ソケット40の内面に加締め固定されるニップル鍔部23と、ニップル鍔部23とニップル本体部21との間に設けられ、径方向R外側に凸形状とされたニップル段差部22と、を備える金属製の部品である。
【0018】
ニップル本体部21の外周面は、本実施形態では、滑らかな曲面とされている。なお、多層ホース70の内周面との間でのシール性を高くするために、ニップル本体部21の外周面には、複数の段差(凹溝や凸山など)が形成されていることが好ましい(不図示)。
【0019】
図6に示すように、ニップル段差部22の軸方向Zの端面22aの径方向Rの高さH1は、多層ホース70の最内層71の厚みh1以上とされている。なお、当該厚みh1は、多層ホース70に外力が加えられていない状態のときの多層ホース70の最内層71の厚みである。
【0020】
次に、ソケット40は、ニップル20およびパイプ30の端部が内側に配置される金属製の部品であって、
図1などに示すように、多層ホース70が差し込まれる筒状のソケット本体部41と、ソケット本体部41の端部に設けられ、径方向R内側に凸形状とされたたソケット段差部42と、を備える。
【0021】
図6に示すように、本実施形態のソケット段差部42の軸方向Zの端面42aの径方向Rの高さH2は、多層ホース70の最外層75の厚みh2以上とされている。なお、当該厚みh2は、多層ホース70に外力が加えられていない状態のときの多層ホース70の最外層75の厚みである。
【0022】
次に、パイプ30は、筒状のパイプ本体部31と、パイプ本体部31の端部に設けられ、ニップル鍔部23に対して軸方向Zで当接されるとともに、ソケット40の内面44に背面32bが加締め固定されるフレア部32(ラッパ状部)と、を備える。
【0023】
ここで、フレア部32の背面32bが加締め固定されるソケット40の上記内面44は、軸方向Zに対して傾斜した面とされており、且つ、
図2、3に示すように、凹凸形状50とされている。この凹凸形状50は、周方向に互いに間隔をあけて配置される複数の凸部50aを有し、これら凸部50aは、径方向Rに直線状に延びる。凹凸形状50(直線状に延びる凸部50a)は、例えばセレーション(溝)加工により形成される。
【0024】
パイプ30およびニップル20をソケット40に固定する方法(パイプ付継手金具10の組立方法)について説明する。
図2に示すように、パイプ本体部31側からパイプ30をソケット40に差し込むとともに、ニップル20をソケット40に差し込む。すると、パイプ30、ニップル20、およびソケット40の部品配置は、
図4に示すようになる。その後、
図5に示すように、加締め工具C(加締めピン)を用い、ニップル段差部22を避けて、ソケット40内部の被加締め面43(
図4参照)を軸方向Zから加締める。
【0025】
すると、当該被加締め面43は、塑性変形し、軸方向Z奥側に変位するとともに径方向R内側に拡がる。また、ニップル鍔部23の先端のテーパ面23aが、パイプ30のフレア部32の前面32aを軸方向Zに強く押し、ソケット40の内面44の凹凸形状50が、フレア部32の背面32bに転写される(ソケット40の内面44の凸部50aが、フレア部32の背面32bに食い込んだ状態となる)。なお、
図2は、パイプ付継手金具10を製造する際の部品配置工程(加締め固定前)を示す図であるが、
図2中のパイプ30において、フレア部32の背面32bに転写された状態(加締め固定後)の凹凸形状60を二点鎖線で示している。これらの結果、ニップル20のニップル鍔部23、およびパイプ30のフレア部32が、ソケット40の内面に加締め固定されて、パイプ30、ニップル20、およびパイプ30が相互に固定される。また、この加締め工程により、高さH2の端面42aを有するソケット段差部42が形成される。
【0026】
パイプ30のフレア部32の背面32bが加締め固定される、ソケット40の内面44が凹凸形状50にされていることで、当該内面44とフレア部32の背面32bとの間に発生する摩擦力が大きくなり、その結果、パイプ30は回転しにくくなる。これにより、パイプ30とニップル20との接触面(フレア部32の前面32aとニップル鍔部23の先端のテーパ面23aとの接触面)でのシール性が向上する。
【0027】
ここで、前記のとおり、ソケット40の内面44の凹凸形状50が、パイプ30のフレア部32の背面32bに転写される加締め力で、ソケット40内部の被加締め面43が加締められることが好ましい。上記凹凸形状50が、パイプ30のフレア部32の背面32bに転写されなくても、凹凸形状50があることで、パイプ30は回転しにくくなるが、凹凸形状50が転写されると、ソケット40の内面44の凸部50aが、フレア部32の背面32bに食い込んだ状態となり、パイプ30は、より回転しにくくなる。その結果、パイプ30とニップル20との接触面でのシール性がより向上する。
【0028】
また、複数の直線状に延びる凸部50aは、ソケット40の内面44に容易に設けることができるため、比較的安価に、パイプ30の回転を防止することができる。
【0029】
パイプ付継手金具10への多層ホース70の固定方法について説明する。
まず、ソケット本体部41とニップル本体部21との間に多層ホース70を差し込んで、当該ソケット本体部41と当該ニップル本体部21との間に多層ホース70を配置する。この状態で、
図1に示すように、径方向R外側から径方向R内側へ向かってソケット本体部41を加締める。これにより、パイプ付継手金具10に多層ホース70が固定されて、パイプ・継手金具付ホース1が得られる。
【0030】
径方向R外側から径方向R内側へ向かってソケット本体部41が加締められると、ニップル段差部22の端面22aの高さH1が、最内層71の厚みh1以上とされているので、多層ホース70の最内層71の全厚み分の軸方向の変形が、ニップル段差部22の端面22aで拘束される。最内層71の全厚み分の軸方向の変形が、ニップル段差部22の端面22aで拘束されると、最内層71は、軸方向へ変形のしようがないので、軸方向Zに対して直交する方向、すなわち径方向Rにおいて、ニップル本体部21の外周面に強く押し付けられる。その結果、多層ホース70の最内層71の内周面と、ニップル本体部21の外周面とが強く密着し、シール性が向上する。
【0031】
本実施形態では、さらに、ソケット段差部42の端面42aの高さH2が、多層ホース70の最外層75の厚みh2以上とされている。これによると、最内層71側と同様に、最外層75の全厚み分の軸方向の変形が、ソケット段差部42の端面42aで拘束されて、径方向Rにおいて、最外層75は、ソケット本体部41の内周面に強く押し付けられた状態となる。ソケット本体部41の内周面と、多層ホース70の最外層75の外周面との間は、ニップル本体部21の外周面と、多層ホース70の最内層71の内周面との間と同様に、ホース内部を流れる流体の漏れ経路となり得る部分であるので、ソケット本体部41の内周面に最外層75が強く押し付けられると、その最外層75の外周面と、ソケット本体部41の内周面とが強く密着し、シール性が向上する。その結果、パイプ付継手金具10(継手金具付ホース1)のシール性が、より向上する。
【0032】
なお、ニップル段差部22の端面22aの高さH1が、多層ホース70の最内層71の厚みh1以上とされていることのみでも、シール性は十分向上するので、ソケット段差部42の端面42aの高さH2は、多層ホース70の最外層75の厚みh2未満であってもよい。
【0033】
なお、ソケット本体部41とニップル本体部21との間に、多層ホース70を配置する際には、ニップル段差部22の端面22a、およびソケット段差部42の端面42aのいずれにも、多層ホース70の先端面70a(
図1参照)を突き合わせておくことが好ましい。このようにしておくと、その後のソケット本体部41の加締めにより、ニップル本体部21の外周面と多層ホース70の最内層71の内周面との密着性、およびソケット本体部41の内周面と多層ホース70の最外層75の外周面との密着性のいずれも、より高めることができる。
【0034】
(ニップル段差部22の端面22aの位置)
多層ホース70を側方から視たとき、多層ホース70の先端面70aは、軸方向Zに対してほぼ直交する面であるため、多層ホース70の最内層71側(ニップル段差部22側)、および多層ホース70の最外層75側(ソケット段差部42側)のいずれにおいても密着性を向上させるには、ニップル段差部22の端面22aの軸方向Z位置と、ソケット段差部42の端面42aの軸方向Z位置とが、
図6などにおいて図示したように、同じ位置であることが好ましい。
【0035】
ニップル段差部22の端面22aが、ソケット段差部42の端面42aよりも、多層ホース70が差し込まれる側(
図6における右側)に離れすぎると、ソケット本体部41を加締めた時、多層ホース70の最外層75の軸方向Zへの変形量が大きくなって、当該最外層75の外周面と、ソケット本体部41の内周面との間の密着性が低下する場合がある。逆に、ニップル段差部22の端面22aが、ソケット段差部42の端面42aよりも、多層ホース70が差し込まれる側とは反対側(
図6における左側)に離れすぎると、ソケット本体部41を加締めた時、多層ホース70の最内層71の軸方向Zへの変形量が大きくなって、当該最内層71の内周面と、ニップル本体部21の外周面との間の密着性が低下する場合がある。
【0036】
一方、ニップル段差部22の端面22aの軸方向Z位置と、ソケット段差部42の端面42aの軸方向Z位置とを、完全一致させることは製造上、難しい。部品(ニップル20およびソケット40)の機械加工誤差もあるが、端面22a、42a間の軸方向Zの位置ずれは、ソケット40の内面へのニップル鍔部23およびフレア部32の加締め固定に起因する影響が大きい。そのため、ソケット段差部42の軸方向Zの端面42aから、ニップル段差部22の軸方向Zの端面22aまでの軸方向Zの距離を、ずれGとし、多層ホース70が差し込まれる側を+としたとき、ずれGは、多層ホース70の最内層71の厚みh1の、−60%から+115%までの範囲内とされていることが好ましい(
図7、8参照)。例えば、最内層71の厚みh1が約0.85mmの場合、ずれGは、−0.5mmから+1.0mmまでの範囲内とされていることが好ましい。
【0037】
さらには、ずれGは、多層ホース70の最内層71の厚みh1の、0%から+115%までの範囲内とされていることが好ましい。この場合、例えば、最内層71の厚みh1が約0.85mmの場合、ずれGは、0mmから+1.0mmまでの範囲内ということになる。
【0038】
ソケット本体部41の内周面と多層ホース70の最外層75の外周面との間のシール部(外側シール部)よりも、ニップル本体部21の外周面と多層ホース70の最内層71の内周面との間のシール部(内側シール部)のシールを優先させた方が、流体の漏れをより確実に防ぐことができる。そのため、ニップル段差部22の端面22aの軸方向Z位置と、ソケット段差部42の端面42aの軸方向Z位置とを、完全一致させることが製造上、難しいことを考慮すると、ずれGは、多層ホース70が差し込まれる側に+であること、すなわち、ずれGは、多層ホース70の最内層71の厚みh1の、0%から+115%までの範囲内とされていることが、より好ましい。
【0039】
(第2実施形態)
図9を参照して、第2実施形態のパイプ付継手金具210、およびパイプ・継手金具付ホース201について、主に第1実施形態との相違点を説明する。なお、これら第2実施形態のうち、第1実施形態との共通点については、第1実施形態と同一の符号を付し、説明を省略した(後述する他の実施形態についても同様)。
【0040】
図9に示すパイプ付継手金具210(パイプ・継手金具付ホース201)は、第1実施形態とは異なる形状の、ニップル鍔部223、およびフレア部232を備える。
【0041】
第1実施形態では、ニップル20のニップル鍔部23の先端側はテーパ面23aとされている。これに対して、本実施形態では、
図9に示すように、ニップル220のニップル鍔部223の先端側の面223aは、径方向Rに一致する方向に延びる、換言すれば、軸方向Zに直交する面とされている。
【0042】
同様に、パイプのフレア部が加締め固定される、本実施形態のソケット240の内面244は、径方向Rに一致する方向に延びる、換言すれば、軸方向Zに直交する面とされている。なお、径方向Rに直線状に延びる凸部50aが内面244に形成されて、これにより、内面244が凹凸形状50にされることは、第1実施形態の場合と同じである。
【0043】
また、第1実施形態では、パイプ30のフレア部32の前面32aおよび背面32bは、径方向Rに対して傾斜した面とされた。これ対して、本実施形態では、パイプ230のフレア部232の前面232aおよび背面232bは、径方向Rに一致する方向に延びる、換言すれば、軸方向Zに直交する面とされている。
【0044】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態のパイプ付継手金具310、およびパイプ・継手金具付ホース301を示す。
図10に示すパイプ付継手金具310(パイプ・継手金具付ホース301)は、第1実施形態とは異なる形状の、ニップル鍔部323、およびフレア部332を備える。
【0045】
第1実施形態では、ニップル20のニップル鍔部23の先端側の外周面側がテーパ面23aとされている。これに対して、本実施形態では、
図10に示すように、ニップル320のニップル鍔部323の先端側の内周面側がテーパ面323aとされている。
【0046】
そして、パイプ330のフレア部332の前面332aは、ニップル鍔部323の上記テーパ面323aと面接触するようなテーパ面とされている。
【0047】
パイプ330のフレア部332の背面332b、および当該背面332bが加締め固定される、ソケット340の内面344は、第2実施形態の場合と同様に、径方向Rに一致する方向に延びる、換言すれば、軸方向Zに直交する面とされている。なお、径方向Rに直線状に延びる凸部50aが内面344に形成されて、これにより、内面344が凹凸形状50にされることは、第1実施形態の場合と同じである。
【0048】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態のパイプ付継手金具410、およびパイプ・継手金具付ホース401を示す。第4実施形態は、
図9に示した第2実施形態の変形例であり、パイプ230のフレア部232と、ニップル鍔部223との間に、断面矩形のシールリング60が挟み込まれている。
【0049】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態のパイプ付継手金具510、およびパイプ・継手金具付ホース501を示す。
図12に示すパイプ付継手金具510(パイプ・継手金具付ホース501)は、第1実施形態とは異なる形状の、ニップル鍔部523、およびフレア部532を備える。
【0050】
本実施形態において、パイプ530のフレア部532の背面532b、および当該背面532bが加締め固定される、ソケット540の内面544が、径方向Rに対して傾斜した面とされているのは、第1実施形態の場合と同じである。また、径方向Rに直線状に延びる凸部50aが内面544に形成されて、これにより、内面544が凹凸形状50にされることは、第1実施形態の場合と同じである。
【0051】
本実施形態では、パイプ530のフレア部532の先端部に凹部532aが形成されており、この凹部532aと、ニップル鍔部523の先端側の内周面側に形成されたテーパ面523aとの間に、断面円形のシールリング61が挟み込まれている。シールリング61は、例えば、金属製またはゴム製のOリングである。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態を複数例示したが、前記した複数の実施形態は、それぞれ、様々に変形されてもよい。例えば、各部の配置や形状は、図示した通りでもよく、図示したものと異なってもよい。また、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。さらには、実施形態の構成要素の一部が設けられていなくてもよい。