特許第6906275号(P6906275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906275
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】力覚提示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   G06F3/01 514
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-17074(P2016-17074)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-138651(P2017-138651A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年12月14日
【審判番号】不服2020-7681(P2020-7681/J1)
【審判請求日】2020年6月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:CEATEC JAPAN 2015 開催日:平成27年10月7日〜平成27年10月10日 公開場所:幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2−1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
【合議体】
【審判長】 ▲吉▼田 耕一
【審判官】 林 毅
【審判官】 野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−146751(JP,A)
【文献】 特開2015−31976(JP,A)
【文献】 特許第3585498(JP,B2)
【文献】 特開2015−222509(JP,A)
【文献】 特開2013−145589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作によって変位する変位部を有する操作部と、
前記変位部の変位量を検出するための変位量検出部と、
前記変位部の変位動作に連動して回転する回転部を有し、供給される電流の大きさに応じた強さの磁場を内部に封入された磁気粘性流体に付与して、当該電流の大きさに応じた回転抵抗を前記回転部に付与するように構成された回転抵抗発生部と、
予め設定された変位量と電流値の対応情報と、前記変位量検出部が検出する変位量とに基づいて定まる値の電流を前記回転抵抗発生部に供給する制御装置と、
前記変位量検出部が検出する変位量に応じて変形する仮想物体を仮想空間に表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする力覚提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力覚提示装置において、
前記操作部は、前記変位部を複数有しており、
前記変位量検出部は、各変位部毎に設けられており、
前記回転抵抗発生部は、各変位部毎に設けられており、
前記制御装置は、予め設定された変位部毎の変位量と電流値の対応情報と、前記各変位量検出部が検出する変位量とに基づいて定まる値の電流を前記各回転抵抗発生部にそれぞれ供給するものであり、
前記表示装置は、前記各変位量検出部が検出する変位量に応じて、前記各変位部に対応する部位を変形する仮想物体を仮想空間に表示するものである、
ことを特徴とする力覚提示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の力覚提示装置において、
前記表示装置は、前記各変位量検出部が検出する変位量に応じて、前記各変位部に対応する部位を変形する仮想手を前記仮想物体とともに前記仮想空間に表示するものである、
ことを特徴とする力覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像に映し出された仮想物体の力覚を操作者に提示する力覚提示装置に関し、特に、操作者の操作と映像とをリンクさせた力覚提示装置に関する。
【0002】
この種の技術は、例えば特許文献1、2に開示されている。これらの文献に開示された力覚提示装置は、操作部においてセンサにより検出される指先の位置情報と、予め設定された仮想物体の位置情報、仮想物体の形状情報などに基づいて、映像に映し出される仮想物体の力覚を電動モータ等により操作者の指先に提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217260号公報
【特許文献2】特許第5342354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示された力覚提示装置においては、電動モータにより力覚が提示されるが、電動モータを利用して力覚を提示する場合、モータの制御が複雑になるという問題がある。モータの制御が複雑になる理由はいくつかあるが、例えば、電動モータの回転速度が0rpmの状態で緻密な力覚を提示しなければならないことが挙げられる。つまり、電動モータは、回転速度を0rpmの状態で力を出すときに、ハンチングを起こし易くなるため、ハンチングの発生を防止するために複雑な制御が必要となる。また、電動モータは慣性が大きいため、リヤリティに優れた力覚を提示するためには、慣性を打ち消すための制御も必要となり、更に制御が複雑となる。
【0005】
特に、仮想物体の映像と操作部とリンクさせて仮想物体の力覚を操作部において提示する場合は、映像の動きと操作部において提示される力覚とを高い精度でリンクさせることが求められるため、電動モータを用いて力覚を提示する場合は、電動モータの制御を複雑にせざるを得ない。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みて創案されたものであり、映像に映し出された物体の力覚を操作者に提示する力覚提示装置に関し、複雑な制御を必要とすることなく、映像の動きと操作部において提示される力覚とを高い精度でリンクさせることが可能な力覚提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る力覚提示装置は、操作者の操作によって変位する変位部を有する操作部と、前記変位部の変位量を検出するための変位量検出部と、前記変位部の変位動作に連動して回転する回転部を有し、供給される電流の大きさに応じた強さの磁場を内部に封入された磁気粘性流体に付与して、当該電流の大きさに応じた回転抵抗を前記回転部に付与するように構成された回転抵抗発生部と、予め設定された変位量と電流値の対応情報と、前記変位量検出部が検出する変位量とに基づいて定まる値の電流を前記回転抵抗発生部に供給する制御装置と、前記変位量検出部が検出する変位量に応じて変形する仮想物体を仮想空間に表示する表示装置と、を備えることを特徴としている。
【0008】
かかる構成を備える力覚提示装置によれば、力覚を提示するための回転抵抗発生部が、電動モータとは異なり、回転速度が0近傍であっても安定した反力(力覚)を提示でき、慣性が小さいため、複雑な制御を必要とすることなく、映像の動きと操作部において提示される力覚とを高い精度でリンクさせることが可能となる。
【0009】
好ましくは、上記構成を備える力覚提示装置において、前記操作部は、前記変位部を複数有しており、前記変位量検出部は、各変位部毎に設けられており、前記回転抵抗発生部は、各変位部毎に設けられており、前記制御装置は、予め設定された変位部毎の変位量と電流値の対応情報と、前記各変位量検出部が検出する変位量とに基づいて定まる値の電流を前記各回転抵抗発生部にそれぞれ供給するものであり、前記表示装置は、前記各変位量検出部が検出する変位量に応じて、前記各変位部に対応する部位を変形する仮想物体を仮想空間に表示するもの、とする。
【0010】
好ましくは、前記表示装置は、前記各変位量検出部が検出する変位量に応じて、前記各変位部に対応する部位を変形する仮想手を前記仮想物体とともに前記仮想空間に表示するもの、とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複雑な制御を必要とすることなく、映像の動きと操作部において提示される力覚とを高い精度でリンクさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】力覚提示装置の構成例を示す図である。
図2】力覚提示装置の操作部を示す図である。
図3】変位部およびリンク機構を示す図である。
図4】回転抵抗発生部、変位量検出部等を示す図である。
図5】回転抵抗発生部の構成例を示す断面図である。
図6】仮想物体毎に設定されている変位量と電流値の対応情報の例を示すグラフである。
図7】力覚提示装置を使用している様子を示す図である。
図8】力覚提示装置の表示装置に表示される仮想物体(テニスボール)と仮想手の表示例を示す図である。
図9】力覚提示装置の表示装置に表示される仮想物体(水風船)と仮想手の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る力覚提示装置について図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る力覚提示装置は、図1に示すように、操作部10、回転抵抗発生部20、変位量検出部30、制御装置40、表示装置50等で構成されている。この力覚提示装置では、操作者が操作部10の変位部13を操作することで、表示装置50に表示された仮想物体を疑似的に掴むことができ、仮想物体を掴んだときの力覚(反力等の感触)を体感することができる。以下、各部について詳細に説明する。
【0014】
操作部10は、図2に示すように、ヘッド部11、脚部12、変位部13等を備えている。
【0015】
ヘッド部11は、脚部12上に設けられた略球状の筐体からなり、矩形の第1開口11aおよび第2開口11bを有している。第1開口11aは、操作者の手の人差指から小指に対応する位置に形成されており、第2開口11bは、操作者の親指に対応する位置に1つ形成されている。
【0016】
変位部13は、操作者の指の操作によって変位するものであり、操作者の全指に対応して5つ設けられている。操作者の人差指から小指に対応する4つの変位部13は、ヘッド部11の第1開口11aに配設されており、操作者の親指に対応する変位部13は、ヘッド部11の第2開口11bに配設されている。本実施形態では、各変位部13として、図3および図4に示すように、基部が支軸14に回動自在に支持された湾曲板で構成されており、これがリンク機構15を介して、回転抵抗発生部20の回転軸21に連結されている。各変位部13は、所定範囲内(例えば30度以内)で回動できるようになっている。なお、本実施形態では、変位部13には、リターンスプリング等は設けられておらず、押し込まれた後は、操作者の指先により元の位置に復帰される。そのため、使用に当たっては、例えば図7に示すように、操作者の各指先と変位部13とが面ファスナー付結束具73等により結束される。
【0017】
リンク機構15は、変位部13と回転軸21とを連動させるために設けられており、第1リンク部材17および第2リンク部材18により構成されている。第1リンク部材17は、一端部が変位部13の裏面にピン接合され、他端部が第2リンク部材18の先端部にピン接合されている。第2リンク部材18は、基端部が回転抵抗発生部20の回転軸21に回転一体に連結されている。回転軸21の先端部は、変位量検出部30に接続されており、変位部13が操作者の操作によって変位すると、回転軸16が連動して回動し、回転軸16の変位量(回動量)が変位量検出部30により検出される。
【0018】
変位量検出部30は、変位部13の基準位置からの変位量(回動量)を示す信号を制御部41に送出する。制御部41は変位量検出部30から入力される信号に基づいて変位部13の基準位置からの変位量(回動量)を検出し、検出した変位量(回動量)を表示装置50に提供する。なお、本実施形態では、変位部13が最も外側にあるときの位置(図3において実線で示す変位部13がある位置)を基準位置とする。
【0019】
次に、回転抵抗発生部20の具体的な構成例を図5に基づいて説明する。同図に示す回転抵抗発生部20は、回転軸21、円板22、ヨーク24,25、コイル27、磁気粘性流体28、ケーシング26等で構成されている。
【0020】
回転軸21は、その端部が円板22の裏面22bの中心部に垂直に接続されている。回転軸21はベアリング29を介してヨーク25に設けられた軸穴60に回転自在に支持されている。なお、回転軸21には非磁性体が用いられることが望ましい。
【0021】
円板22は、磁性体からなり、回転軸21と一体に軸線回りに回転可能となっている。これに対し、ケーシング26、ヨーク24,25等はヘッド部11内の所定の位置に固定され回転しないようになっている。
【0022】
ヨークは、第1ヨーク24および第2ヨーク25で構成されており、第1ヨーク24は、円板22の表面22aに対して微小隙間を介して対向する対向面24aを有する円板状のもので構成されている。この第1ヨーク24は、円筒状のケーシング26に嵌め込まれて固定されている。
【0023】
第2ヨーク25は、円板22の裏面22bに対して微小隙間を介して対向する対向面25aを有する。この第2ヨーク25は、回転軸21を通すための軸穴60を有し、コイル27を配設するための環状の溝25bも有している。この第2ヨーク25は、円筒状のケーシング26の内側に嵌め込まれて固定されている。
【0024】
符号61は、非磁性体からなる球体であり、第1ヨーク24の中心部に形成された凹部と、円板22の中心に形成された貫通穴と、回転軸21の端面の中心に形成された凹部とで形成されるスペースに収容されている。この球体61は、第1ヨーク24と円板22との隙間の設定を容易にするためのものであり、球体61の直径によって、当該隙間が定まる。
【0025】
コイル27は、第2ヨーク25に形成された溝25bに沿って配設されている。このコイル27には、制御装置40が備える5つの電流供給部42の何れかより任意値の電流が供給されるようになっている。
【0026】
磁気粘性流体28は、円板22と、第1ヨーク24および第2ヨーク25との隙間に封入されている。この磁気粘性流体28は、磁性粒子を分散媒に分散させてなる液体であり、特にその磁性粒子がナノサイズの金属粒子(金属ナノ粒子)からなるものが使用できる。磁性粒子は磁化可能な金属材料からなり、金属材料に特に制限はないが軟磁性材料が好ましい。軟磁性材料としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル及びパーマロイ等の合金が挙げられる。分散媒は、特に限定されるものではないが、一例として疎水性のシリコーンオイルを挙げることができる。磁気粘性流体における磁性粒子の配合量は、例えば3〜40vol%とすればよい。磁気粘性流体にはまた、所望の各種特性を得るために、各種の
添加剤を添加することも可能である。
【0027】
上記構成を備える回転抵抗発生部20において、コイル27に電流が印加されると、矢印Pに示す方向に沿って円板22、第1ヨーク24、第2ヨーク25内に磁路が形成される。この磁路は、円板22の表面22aと第1ヨーク24の対向面24aとの隙間や、円板22の裏面22bと第2ヨーク25の対向面25aとの隙間に介在する磁気粘性流体28を貫通する。これにより、磁気粘性流体28には、磁場の強さに応じた粘度(ずり応力)が発現し、円板22とヨーク24,25との間での伝達トルクが磁場の強さに応じて大きくなり、その結果、回転軸21の回転抵抗もコイル27に印加される電流値に応じて大きくなる。
【0028】
次に、制御装置40および表示装置50について説明する。図1に示すように、制御装置40は、マイクロコンピュータ等により構成される制御部41と、電源回路等で構成される5つの電流供給部42とを備えている。制御部41は、仮想物体の種類毎に、変位部13の変位量と回転抵抗発生部20に供給すべき電流値との対応情報を記憶しており、変位量検出部30を介して検出される変位量に対応付けられた値の電流を電流供給部42を介して各回転抵抗発生部20のコイル27に供給する。
【0029】
本実施形態では、制御部41は、変位量と電流値との対応情報として、「テニスボール」の力覚情報43a、「水風船」の力覚情報43b、「電気ボール」の力覚情報43cを記憶している。「テニスボール」の力覚情報43aとして、例えば図6(a)に示すように、変位量[θ]の増加に伴って電流値[A]も増加するような対応関係が各変位部13毎に記憶されている。また、「水風船」の力覚情報43bとして、例えば図6(b)に示すように、変位量[θ]の増加に伴ってある値θ1まで電流値[A]も増加し、変位量がθ1以上で電流値[A]がゼロとなるような対応関係が各変位部13毎に記憶されている。また、「電気ボール」の力覚情報43cとして、例えば図6(c)に示すように、変位量[θ]の増加に伴ってある値θ2まで電流値[A]も増加し、変位量がθ2以上で電流値[A]が変位量[θ]の増加に伴ってON・OFFの矩形波を形成するような対応関係が各変位部13毎に記憶されている。
【0030】
なお、本実施形態では、変位部13の変位量が減少すると、制御部41は、これを検知して、上記対応関係にかかわらず、回転抵抗発生部20への電流供給を停止する。これにより、操作者が手を開く際に変位部13が元の位置に容易に復帰できるようになっている。
【0031】
表示装置50は、変位量検出部30により検出される変位部13の変位量に応じて変形する仮想物体71および仮想手72を画面51上に表示する(図7参照)。本実施形態では、表示装置50は、所定のCG画像アプリケーションプログラムがインストールされたノートPCによって構築されている。
【0032】
表示装置50は、制御装置40と接続されており、表示装置50においてユーザに選択された仮想物体の種別情報、CG画像アプリケーションプログラムの開始/終了を示す情報等を送信する。一方、表示装置50は、制御装置40の制御部41から、各変位部13の変位量に関する情報を取得し、各変位部13の変位量に応じてあらかじめ設定された仮想物体71および仮想手72のCG画像を画面51の仮想空間上に表示する。
【0033】
表示装置50において、CG画像アプリケーションプログラムが起動され、操作者が所定操作を行うことにより、仮想物体の種類が選択されると、図7に示すように、表示装置50の画面51に仮想物体71および仮想手72が表示される。また、選択された仮想物体の種別情報が制御部41に送信され、制御部41は、選択された仮想物体に関する変位量と電流値との対応情報を自身が記憶している多数の対応情報の中から選出する。
【0034】
次に、図7に示すように、操作者が操作部10上に手75を置いて指先の掴み動作により各変位部13を変位させると、各変位部13の動作は、リンク機構15を介して回転抵抗発生部20の回転軸21に伝達される。このとき、変位量検出部30により変位部13の変位量(回動量)が検出され、上記対応情報において、検出された変位量に対応する値の電流が回転抵抗発生部20に供給される。このため、操作者の手には、掴み量に応じた力覚が提示される。
【0035】
例えば仮想物体71として「テニスボール」が選択されている場合には、図6(a)に示すように、変位量に応じて回転抵抗発生部20に供給される電流値が大きくなるため、掴み量に応じて反力が大きくなる力覚が操作者の手に提示される。同時に、表示装置50の画面51には、「テニスボール」が手で掴まれた状態を模擬した映像が映し出される(図7参照)。例えば、操作者がヘッド部11に手を載せるだけで、変位部13を殆ど押し込んでいない状態では、図8(a)に示すように、「テニスボール」を手で軽く掴んでいる様子が表示装置50の画面51に映し出される。ここから、操作者が指先で変位部13を押し込むにつれて、図8(a)に示す映像から図8(b)に示す映像へと、「テニスボール」を手で掴んだ状態の映像が連続的に変化する。
【0036】
また、例えば仮想物体71として「水風船」が選択されている場合には、図6(b)に示すように、変位量[θ]の増加に伴ってある値θ1まで電流値[A]も増加し、変位量がθ1以上で電流値[A]がゼロとなる。このため、ある程度のところまで、掴み量に応じて変位部13からの反力が大きくなり、ある程度以上の掴み量になると、突然反力がゼロになる感触、つまり、水風船が破裂する際の力覚、が操作者の手に提示される。一方、表示装置50の画面51では、例えば、操作者がヘッド部11に手を載せるだけで、変位部13を殆ど押し込んでいない状態では、図9(a)に示すように、「水風船」を手で軽く掴んでいる様子が映し出され、この状態から、操作者が指先で変位部13を押し込むにつれて、図9(a)に示す映像から図9(b)に示す映像へと、「水風船」を手で掴んだ状態の映像が連続的に変化する。更に、変位量[θ]がθ1になると、図9(b)に示す状態から突然図9(c)に示す状態、つまり、水風船が破裂した状態へと変化し、このとき、変位部13からの反力も突然ゼロとなる。その後は、「水風船」が変位部13の変位量とは無関係に小さく萎んで手から落下する様子が映し出される。なお、本実施形態では、5つの変位部13のうち、少なくとも1つの変位部13の変位量[θ]がθ1以上になれば、他の変位部13の変位量[θ]がθ1未満であっても、全ての回転抵抗発生部20への電流供給が停止されるようになっている。
【0037】
また、例えば仮想物体71として「電気ボール」が選択されている場合には、図6(c)に示すように、変位量[θ]の増加に伴ってある値θ2まで電流値[A]も増加し、変位量がθ2以上で、変位量[θ]の増加に伴って電流値[A]がON・OFFの矩形波を形成する。このため、ある程度のところまで、掴み量に応じて変位部13からの反力が大きくなり、ある程度以上の掴み量になると、突然パルス波振動からなる力覚が操作者の手に提示される。「電気ボール」の映像例は特に図示しないが、仮想物体であるため、様々なシチュエーションの設定が可能である。例えば、掴み量(変位部13の変位量)に比例して明るく光を放つような映像にすることや、パルス波振動が提示されているときに、パルスは振動が提示されていないときよりも、明るく光を放つような映像にすることなどが考えられる。
【0038】
以上に説明した本発明の実施の形態に係る力覚提示装置によれば、力覚を提示するための回転抵抗発生部20が、電動モータとは異なり、回転速度が0近傍であっても安定した反力(力覚)を提示でき、電動モータと比較して慣性が小さいため、複雑な制御を必要とすることなく、映像の動きと操作部において提示される力覚とを高い精度でリンクさせることが可能となる。
【0039】
<他の実施形態>
既述の実施形態において、変位部13をリターンスプリング等で復帰位置へ付勢することにより、操作者が操作部10から手を離したときに、押し込まれていた変位部13が自動的に元の位置に復帰するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えば、映像に映し出された仮想物体の力覚を操作者に提示する力覚提示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 操作部
13 変位部
20 回転抵抗発生部
21 回転軸(回転部)
28 磁気粘性流体
30 変位量検出部
40 制御装置
41 制御部
42 電流供給部
50 表示装置
71 仮想物体
72 仮想手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9