(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906276
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】電気駆動式圧縮機用空気軸受装置
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-118130(P2016-118130)
(22)【出願日】2016年6月14日
(65)【公開番号】特開2017-15254(P2017-15254A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】62/185,572
(32)【優先日】2015年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ダヒンテン
【審査官】
中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−072919(JP,A)
【文献】
特開2014−119095(JP,A)
【文献】
特表2008−519662(JP,A)
【文献】
米国特許第04795274(US,A)
【文献】
特開2011−208785(JP,A)
【文献】
特開昭59−093515(JP,A)
【文献】
米国特許第04153315(US,A)
【文献】
米国特許第04300806(US,A)
【文献】
特開2003−278751(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0011211(US,A1)
【文献】
米国特許第05584582(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 21/00− 27/08
F16C 17/00− 17/26
F16C 33/00− 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォイル軸受であって、
軸方向孔を有するブッシュ(3)、
軸の回転方向に前縁(4a)と後縁とを有し、これら前縁と後縁との間に波形部分を有するバンプフォイル(4)であって、当該波形部分は半径方向幅を有するとともに波長を有しており、前記前縁で前記ブッシュ(3)に固定される少なくとも1つのバンプフォイル(4)、及び
軸の回転方向に前縁と後縁(5a)とを有し、前記後縁(5a)で前記ブッシュ(3)に固定される、各バンプフォイル用のトップフォイル(5)を含み、
前記トップフォイル(5)は非緊張状態で軸径よりも大きな直径を有し、
前記フォイル軸受の組み立て後に前記トップフォイルが緊張状態になり、
一つのトップフォイルのみある場合には、前記トップフォイル(5)の前縁とその後縁との間に、または二つ以上のトップフォイルがある場合には、前記トップフォイル(5)の前縁と上流トップフォイルの後縁(5a)との間に、円周方向隙間(8)が形成され、
当該隙間は半径方向に通じ、
前記トップフォイルの前縁に曲げ部が形成され、
前記曲げ部の円周方向長さは前記波長の10分の1以上であり、かつ、
半径方向において、前記曲げ部は前記バンプフォイルの半径方向の厚さの5分の1以上に延びている、フォイル軸受。
【請求項2】
フォイル軸受であって、
軸方向孔を有するブッシュ(3)、
軸の回転方向に前縁(4a)と後縁とを有し、これら前縁と後縁との間に波形部分を有し、前記前縁で前記ブッシュ(3)に固定される少なくとも1つのバンプフォイル(4)、及び
軸の回転方向に前縁と後縁(5a)とを有し、前記後縁(5a)で前記ブッシュ(3)に固定される、各バンプフォイル(4)に対するトップフォイル(5)を含み、
前記トップフォイル(5)は非緊張状態で軸径よりも大きな直径を有し、
前記フォイル軸受の組み立て後に前記トップフォイルが緊張状態になり、
前記トップフォイル(5)の前縁と上流トップフォイルの後縁(5a)との間に、円周方向隙間(8)が形成され、当該隙間は、前記トップフォイル後縁(5a)から前記バンプフォイルまでの半径方向に通じ、かつ
前記トップフォイルの前縁にベベル部またはステップ部が形成され、前記半径方向へと延び、
前記ベベル部またはステップ部は階段形状である、フォイル軸受。
【請求項3】
前記曲げ部が凸状または凹状をなす曲面形状である、請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項4】
前記トップフォイル(5)には乾式潤滑剤表面コーティングが設けられている請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項5】
前記トップフォイル(5)の前記後縁は保持ラグ(5a)を形成し、前記ブッシュ(3)には少なくとも1つのスロットが設けられており、前記トップフォイルの保持ラグ(5a)が前記ブッシュ(3)内のスロットに挿入される請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項6】
前記トップフォイル(5)の前記後縁がブッシュにスポット溶接される請求項1に記載のフォイル軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンプライアントフォイルガス軸受に関し、より具体的には、電気駆動式圧縮機用空気軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気軸受は、円筒状ブッシュ、前縁で前記ブッシュ内のスロットに固定される少なくとも1つの波形に曲げられた金属シート(バンプフォイル)と、回転軸の外径より若干大きな円筒状に曲げられて後縁で前記ブッシュ内のスロットに固定される少なくとも1つの実質的に滑らかな金属シート(トップフォイル)とを有する。作動中に、回転子とトップフォイルとの間に空気潤滑層が形成されるが、空気膜により、回転子とトップフォイルとの間の摺動が可能になり、また軸受は高い軸受荷重を効果的に支持することができる。空気軸受は、本質的に潤滑油システムをなくしてシールガスシステムと制御システムを簡略化して摩擦による動力損失をより小さくし、また機械の設置に対するコンプライアント性をより大きくすることから、ターボチャージャにおいて特に魅力的である。
【0003】
このような装置は、米国特許第3,893,733号、第4,133,585号、第4,167,295号、第4,262,975号、及び第4,300,806号に示されている。米国特許第4,549,821号によれば(従来技術の
図1を参照)、静止状態の回転軸(1)がフォイル軸受におけるトップフォイル(5)の内面によって形成される軸方向孔の内部に位置すると、回転軸の中心軸線がトップフォイルの軸線から若干偏心される。トップフォイルの内面と回転軸の外面との間の狭い空間にくさび状隙間が形成される。回転軸が動くと、収斂型チャネル内の流体(空気)に粘性抗力が加えられ、該チャネルの大部分にわたり流体圧力の増加が生じる。くさび状空間の狭い端部に近くなるほど空気の圧力は高くなる。回転軸はこのより高い気圧によってトップフォイルの中心軸線に戻される。したがって、回転軸が高速回転した場合、そのような力が作用して常に回転軸をトップフォイルの中心軸線に戻すようになる。空気フォイルは緩衝及び減衰効果を提供し、相対運動可能な要素の相対運動における偏心、振れ及び他の不均一を収容する機能をする。
【0004】
空気軸受は1つ、2つまたはそれ以上のトップフォイルまたは「パッド」を含んでもよいが、例えば、パッドが3つである場合、各パッドは円周の120°分をそれぞれ覆い、各パッドがくさび状の流体力学的くさびチャネルを形成して、3つの側から軸をセンタリングするようになる。
【0005】
連続的なトップフォイル(5)間には小さい円周方向隙間(8)が形成される。理想的には、「上流」トップフォイル(5)から出る空気が、円周方向隙間(8)を通り回転軸(1)と次のまたは「下流」パッドのトップフォイル(5)との間の半径方向隙間(7)の中に入り、気圧を生じさせて軸をセンタリングする。しかし、真っすぐな前縁(5d)を有する従来のトップフォイル(5)の場合には(上述のUS 4,549,821号から得られる従来技術の
図1を参照)、上流の先行パッドから出る空気がパッド間の円周方向隙間(8)の中に流入してトップフォイル(5)とバンプフォイル(4)との間の半径方向隙間(7)の中に入り、バンプフォイル(4)とトップフォイル(5)との間で圧力を生じさせることができる。その結果、トップフォイル(5)が回転子(1)に強く接触して回転子(1)とトップフォイルとの間の隙間で吸入効果が引き起されるが、この吸入効果によって接触がより強くなり、トップフォイル(5)の激しい摩耗及び荷重支持能力の損失が生じて、結局軸受の破損が起こり得る。
【発明の概要】
【0006】
様々なトップフォイルの設計、バンプフォイルの設計及びトップフォイルとバンプフォイルの設計の組み合わせで行われた広範囲な実験の末、本発明者らは、トップフォイルの一部の修正された設計によって一部の作動パラメータ(リフトオフ速度、動力損失、安定性、最大速度、摩耗)においては改善がなされたが、他の作動パラメータにおいては性能が悪化し、バンプフォイルの一部の修正された設計によって一部の作動パラメータにおいては改善がなされたものの、他の作動パラメータにおいては性能が悪化したことを発見したが、ほぼ均一な波形部分を有し、前縁でブッシュ内に固定されるバンプフォイルと、前縁で曲げられてランプ(ramp)部またはステップ部を形成し(すなわち、円周方向隙間(8)の領域で)、後縁でブッシュ内に固定されるトップフォイルとを共に使用することによって、すべての作動状態での全体的な改善が効果的になされ得ることを発見した(前記トップフォイルは、静止状態で、軸直径よりも大きな直径を持つようになるので、軸受ハウジングの中に軸が案内されるときに、トップフォイルは曲げられ、かつ事前緊張(pre−tension)を導かなければならない)。トップフォイルの事前緊張と前縁の曲げとの組み合わせによって、良好なリフトオフ速度、低い摩耗、高い荷重能力及び耐久性を表す前負荷(pre−load)を有するフォイル軸受装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
ここに、添付の図面を参照して本発明について以下に説明する。
【
図1】
図1は従来技術の単一パッドコンプライアントフォイルガス軸受の断面図である。
【
図2a】
図2aはブッシュ、トップフォイル、及びバンプフォイルが分解された状態にあるフォイルガス軸受の主な機能部品の立面斜視図を示す。
【
図2b】
図2bはブッシュ、3つのトップフォイルのうちの1つ、及び3つのうちのバンプフォイルの1つが部分的に組み立てられた状態におけるフォイルガス軸受を示す。
【
図3】
図3は軸の挿入前に3つのトップフォイル及び3つのバンプフォイルが組み立てられた状態にある
図2のブッシュを示す。
【
図5a】
図5aは本発明によるトップフォイルの前縁の修正された形状における4つの変形例を追加拡大の部分断面図で示したものである。
【
図5b】
図5bは本発明によるトップフォイルの前縁の修正された形状における4つの変形例を追加拡大の部分断面図で示したものである。
【
図5c】
図5cは本発明によるトップフォイルの前縁の修正された形状における4つの変形例を追加拡大の部分断面図で示したものである。
【
図5d】
図5dは本発明によるトップフォイルの前縁の修正された形状における4つの変形例を追加拡大の部分断面図で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
3−ローブコンプライアントフォイルガス軸受の重要な構成要素が
図2aに示されている。これらの構成要素は、軸の回転方向の上流にある前縁(5a)とアンカーを有する後縁(5a)とを有するトップフォイル(5)、アンカーを有する前縁(4a)と自由な後縁とを有するバンプフォイル(4)、及びフォイルを固定させるための3つのスロットを有するブッシュ(3)を含む。
【0009】
図2bに示されるように、トップフォイル(5)、及び好ましくはバンプフォイル(4)も軸(1)またはブッシュの孔よりも大きな半径を有するので、組み立て中に弾性変形が必要とされる。
【0010】
図2bに示されるように、軸が案内される前縁の状態において、例示的な実施形態である3つのトップフォイル及びバンプフォイルがブッシュ内に組み立てられると、トップフォイル(5)の前縁は弾性的緊張状態で上流バンプフォイル(4)の後縁に接するようになる。この組み立て時点でトップフォイルとバンプフォイルとは完全にではなく部分的に圧縮され、ブッシュとバンプフォイル(4)との間及びバンプフォイルとトップフォイル(5)との間には明確な空気隙間が存在する。軸を収容するための変形された状態が
図3に示されている。
【0011】
軸(1)がフォイル軸受の中に案内された後、フォイルがさらに圧縮されたことにより、トップフォイル(5)が緊張状態で軸(1)に接触するようになる。このようにトップフォイルが弾性的にさらに曲げられることにより、トップフォイルは上流トップフォイルとの後縁の接触から若干離れて、円周方向隙間(8)が生じるようになる。上流トップフォイルから出る空気は、作動時に下流トップフォイルと軸との間の空間(7)に流れるだけでなく、半径方向に流れてトップフォイルとバンプフォイルとの間の隙間(7b)の中にも流入できる。
【0012】
3−ローブコンプライアントフォイル軸受は、互いに120度で作用して軸受ブッシュ(3)の中に軸(1)を安定させてセンタリングする3つのガス圧力を提供する。同様に、トップフォイルの後端部または下流端部及びバンプフォイルの前縁は、固定される縁をブッシュ内のスロットの中に挿入するための保持ラグの形で成形すること、スポット溶接、接着などを含んだ任意の適切な手段によってブッシュ(3)またはジャーナルスリーブに固定される。トップフォイルの前縁とバンプフォイルの後縁とは自由である。
【0013】
従来の各トップフォイルの前縁が該フォイルの他の部分と実質的に連続している従来技術とは異なり、本発明においては前縁が曲げられてベベル部またはランプ部またはステップ部の形状が設けられる。ベベル部は、
図5aに示されるようなスロープ形状、
図5bに示されるような階段形状、
図5cに示されるような曲面形状、または
図5dに示されるような逆曲面形状のような任意の形状であってもよい。
【0014】
この修正された前縁は従来技術の空気フォイル軸受に共通の課題を解決するが、従来技術の空気フォイル軸受においては、トップフォイルの後縁から流れ出る空気が半径方向に円周方向隙間(8)を介して流れてバンプフォイルとトップフォイルとの間の空間(7a)の中に入り、トップフォイル(5)を回転軸(1)に押し付け、トップフォイルが回転子に接触して吸入効果が起きるようになり、この吸入効果によって接触がより強くなってトップフォイルの激しい摩擦摩耗及び荷重の支持能力の損失が起きるようになる。
【0015】
トップフォイルの自由な前縁のランプ部またはステップ部は、空気が次のパッドのトップフォイルとバンプフォイルとの間の隙間(半径方向隙間の外側領域(7b))の中に流入するのを抑制しながら、上流パッドから空気を次の下流パッドのトップフォイルと回転軸との間の空間(半径方向隙間の内側領域(7a))の中に送る空気ガイドとしての役割をする。回転速度が小さいとき、前記ランプ部またはステップ部はターボチャージャの始動中にトップフォイルが早く離れるようにして、空気フォイルの耐久性と寿命がさらに改善される。
【0016】
前記ベベル部またはランプ部またはステップ部の形状と円周方向長さは、非常に大量の空気がトップフォイル(5)と軸(1)との間の隙間の中に流入するほどには大きくなく、トップフォイルとバンプフォイルとの間の隙間(7b)の中に入る空気流を減少させ、またトップフォイルと回転軸との間の隙間(7a)の中に潤滑空気が送られる限り、前記ベベル部またはランプ部またはステップ部の形状は自由に選択できる。
【0017】
トップフォイルのこの修正された前縁が本発明の一特徴であり、よって
図2a〜4に表しているが、これはこれらの図中に示されるには非常に小さいため、
図5a〜5dに拡大した形態で表している。
【0018】
前記ステップ部またはランプ部の円周方向長さは、好ましくはバンプフォイルにおけるバンプの波長の半分以下であり、半径方向には、好ましくはバンプフォイルの半径方向隙間幅の半分以下で延びている。さらに好ましくは、ステップ部またはランプ部の円周方向長さはバンプフォイルにおけるバンプの波長の1/3以下であり、半径方向にはバンプフォイルの半径方向隙間幅の1/3以下で延びている。最も好ましくは、ステップ部またはランプ部の円周方向長さはバンプフォイルにおけるバンプの波長の1/4以下であり、半径方向ではバンプフォイルの半径方向隙間幅の1/4以下で延びている。
【0019】
前記ステップ部またはランプ部の円周方向長さは、好ましくはバンプフォイルにおけるバンプの波長の1/10以上であり、半径方向においては好ましくはバンプフォイルの半径方向隙間幅の1/10以上で延びている。さらに好ましくは、ステップ部またはランプ部の円周方向長さはバンプフォイルにおけるバンプの波長の1/8以下であり、半径方向にはバンプフォイルの半径方向隙間幅の1/8以下で延びている。
また、ステップ部またはランプ部の円周方向長さはバンプフォイルにおけるバンプの波長の1/5以下であり、半径方向ではバンプフォイルの半径方向隙間幅の1/5以上で延びている。
【0020】
トップフォイル(5)の自由な前縁が自由に動くことができることによる利点として、トップフォイルは軸の如何なる動きにも迅速に従うことができるので、自由に動くトップフォイルが軸に対する高いガス流体圧力を保持して、軸とトップフォイルとが同軸性を失うとより迅速に補正することができる。逆に、軸がパッドから遠ざかるように動くと、圧力が減少し、空気フォイルにおける弾性的緊張によって軸が再びパッド側に加圧されるようにすることができる。
【0021】
ミシガン州ポートヒューロン所在のAcheson Colloids Companyによって供給されるEmalon 333のような表面コーティングを滑らかなトップフォイルに提供することが当業界に知られている。軸速度がその軸を支持するのに十分に強いガス膜を生じさせるには余りにも低い場合、前記コーティングが始動及び稼動停止の間に乾式潤滑剤を提供するようになる。
【0022】
バンプフォイルとトップフォイルは、Inconelという商品名で販売されているニッケル合金で作製でき、一般的に約0.002〜0.012インチの厚さを有する。
【0023】
バンプフォイルの波形は上述したように、好ましくは比較的均一であるが、本発明は均一な波形に限定されない。米国特許第4,549,821号に教示しているように、ダンプ(damp)フォイルの耐荷重性の剛性の強さは、ダンプフォイルの円周方向に沿って変わり得る。すなわち、回転軸の回転方向に沿って所定の圧力変形を生じさせるために、ダンプフォイルのサイクルとして、加えられる比較的高い荷重を支持できる部分と加えられる比較的低い荷重のみを支持できる他の部分とがダンプフォイルに形成される。そして、加えられる荷重に対する前述の剛性的な部分と可撓的な部分とからなる少なくとも3つのサイクルがダンプフォイルの円周方向に沿ってダンプフォイルに形成される。各サイクルにおける前述の部分は回転軸の回転方向に沿ってそれぞれ異なる耐荷重性を有する。
【0024】
例えば、ダンプフォイルは断面から見るとほぼ波形に形成され、これらの波形部分のそれぞれの曲率半径は回転軸の回転方向に進むにつれ徐々に減少または増加し得る。または、前記波形ダンプフォイルの波形部分の幅は変わり得る。例えば、最初に、広い波形部分(それぞれ大きい曲率半径を有する)がダンプフォイルに形成されてから、前記広い波形部分の次にある狭い波形部分(それぞれ小さい曲率半径を有する)がダンプフォイルに形成される。よって、広い波形部分及びこれに連結されている狭い波形部分がダンプフォイルのサイクルとして、ダンプフォイルに形成されることができ、これらの部分からなる少なくとも3つのサイクルがダンプフォイルの円周方向に沿ってダンプフォイルに形成される。
【0025】
小さい曲率半径を有する前記狭い波形部分には、加えられる荷重を支持する支持点(トップフォイルと接触することになる点の数)が、ダンプフォイルの円周方向における所定の角度範囲内で、大きい曲率半径を有する広い波形部分に形成されている支持点よりも非常に多く形成される。その結果、ダンプフォイルの耐荷重性がダンプフォイルの前記狭い波形部分でさらに増大する。したがって、回転軸が高速回転するときに、トップフォイルと回転軸との間の空間内の空気が回転軸の回転方向に吸入され、その中に気圧を生じさせるようになり、よって、トップフォイルの断面が丸い円形であっても、そのように生じた空気の圧力によってトップフォイルがその遠心方向に力を受けることになる。その結果、トップフォイルはその耐荷重性の差異により弾性的に変形し、そしてトップフォイルは実質的に丸い円形とならずほぼ丸い円形に変わる。したがって、少なくとも3つのくさび状空間がトップフォイルと回転軸との間に形成される。
【0026】
代案的に、波形ダンプフォイルの各波形部分の曲率半径はダンプフォイルの円周方向に沿って所定の変化率で規則的に変わり得る。すなわち、ダンプフォイルの各波形部分の曲率半径は、所定の変化率で規則的に、ダンプフォイルの所定の第1部分で減少し、次の所定の第2部分では増加し、そしてさらに次の所定の第3部分で再び減少する。その結果、ダンプフォイルにある少なくとも3つの前記サイクルに基づいて、少なくとも3つの弧状部分がトップフォイルに形成され、それぞれの弧状部分はほぼ同じ大きさの曲率半径を有する。
【0027】
前記の波形部分のそれぞれの曲率半径の変化率は変わり得る。
【0028】
静止状態の回転軸がブッシュの軸方向孔内部に位置すると、重力によってその回転軸の中心軸線がブッシュの軸線から若干偏心される。回転軸(1)が
図5aに示されるように矢印(a)方向へ加速されて高速回転するとき、軸(1)とトップフォイル(5)との間に形成された空間内の空気が前記回転方向に吸入される(この現象を「スクイズ膜効果」という)。その結果、軸(1)の軸心が前記の静止中の軸に比べて上方に移動するようになる。バンプフォイル(4)が弾性を有し、またバンプ間の空間に対してある程度の空気が横方向に出入するので、ショックアブソーバ効果のような減衰効果が提供され得る。
【0029】
本発明をその好適な実施形態に関して説明したが、添付された請求の範囲に提示されている本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更と修正が可能であることは当業者にとって明らであろう。例えば、本発明を特定の用途に適合させるために、上記の実施形態に示されている構造の組み合わせ及び変更を行うことができる。フォイルアセンブリに対するシート型フォイルの数は上記の実施形態に限定されず、本発明は他の種類のフォイルにも適用できる。