(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引戸の下枠は、溝部にゴミなどが溜まりやすく清掃に手間がかかるという問題がある。また、下枠に溝部から戸車が外れることを防止する機構などが設けられている場合も下枠の清掃に手間がかかるという問題がある。特に、食品を扱う空間に設けられる引戸の場合、高い清掃性を望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、清掃を容易にすることができる引戸レール部材、建具、建具の施工方法および建具の改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る引戸レール部材は、障子に設けられた戸車が転動可能な溝部と、前記溝部の側面の上端部の側方に設けられて前記戸車が外れることを防止する外れ防止部と、を有し、
前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、前記溝部上傾斜面から側方に延びる上側水平板面と、前記上側水平板面から下側に延びる鉛直面と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、溝部の側面の上端部の側方に戸車が外れることを防止する外れ防止部が設けられていることにより、万が一、戸車が溝部から外れて溝部の側方に乗り上げた場合でも戸車が外れることを防止できる。このため、溝部の深さを浅くして、戸車が溝部の側方に乗り上げる虞があったとしても、戸車が引戸レール部材から外れて障子が下枠が設けられた枠部から外れることは防止できる。これにより、溝部の深さを浅くすることができるため、溝部の清掃を容易に行うことができる。
本発明では、引戸レール部材が下枠に形成された載置部に載置されて、下枠に形成された一対の当接部に側方から挟まれて当接していることにより、引戸レール部材を持ち上げることで引戸レール部材を下枠から取り外すことができる。これにより、引戸レール部材を下枠から取り外して清掃することができるため、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。特に、引戸レール部材が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠から取り外すことで容易に清掃することができる。また、引戸レール部材が下枠から取り外せることにより、引戸レール部材が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく引戸レール部材のみを交換すればよいため、引戸レール部材が下枠に一体に設けられている場合と比べて、引戸レール部材の交換を容易に行うことができる。また、ネジなどの固定具を使用せずに引戸レール部材を下枠に取り付けることができるため、固定具が設けられていてその固定具が露出している場合と比べて、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明に係る引戸レール部材で
は、前記溝部上水平面と前記溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、万が一、戸車が溝部から外れて溝部上水平面に乗り上げた場合でも、溝部上傾斜面に当接して側方への移動が止まるため、戸車が引戸レール部材から外れて障子下枠が設けられた枠部から外れることを防止できる。
また、溝部上水平面と溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていることにより、この角部が直角や鋭角に形成されている場合と比べて角部を容易に清掃することができる。
本発明に係る引戸レール部材は、障子に設けられた戸車が転動可能な溝部と、前記溝部の側面の上端部の側方に設けられて前記戸車が外れることを防止する外れ防止部と、を有し、前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、を有し、前記溝部上水平面と前記溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されている。
本発明では、溝部の側面の上端部の側方に戸車が外れることを防止する外れ防止部が設けられていることにより、万が一、戸車が溝部から外れて溝部の側方に乗り上げた場合でも戸車が外れることを防止できる。このため、溝部の深さを浅くして、戸車が溝部の側方に乗り上げる虞があったとしても、戸車が引戸レール部材から外れて障子が下枠が設けられた枠部から外れることは防止できる。これにより、溝部の深さを浅くすることができるため、溝部の清掃を容易に行うことができる。本発明では、万が一、戸車が溝部から外れて溝部上水平面に乗り上げた場合でも、溝部上傾斜面に当接して側方への移動が止まるため、戸車が引戸レール部材から外れて障子下枠が設けられた枠部から外れることを防止できる。また、溝部上水平面と溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていることにより、この角部が直角や鋭角に形成されている場合と比べて角部を容易に清掃することができる。
【0009】
また、本発明に係る引戸レール部材では、前記溝部の底面と前記溝部の前記側面とがなす角部が鈍角に形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、底面と側面とがなす角部が直角や鋭角である場合と比べて溝部を容易に清掃することができる。
【0010】
また、本発明に係る引戸レール部材では、前記溝部上水平面は、前記溝部の底面と平行に配置され、前記溝部上傾斜面は、前記溝部の側面と平行に配置されるとともに前記溝部の側面と同じ高さ寸法に形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、溝部の底面および側面と、溝部上水平面および溝部上傾斜面とを同じように清掃することができる。
【0013】
また、本発明に係る引戸レール部材
では、躯体に固定された下枠にネジで固定されてい
てもよい。
引戸レール部材が下枠にネジで固定されていることにより、ネジを外すことで引戸レール部材を下枠から取り外すことができる。これにより、引戸レール部材を下枠から取り外して清掃することができるため、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。特に、引戸レール部材が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、引戸レール部材が下枠から取り外せることにより、引戸レール部材が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく引戸レール部材のみを交換すればよいため、引戸レール部材が下枠に一体に設けられている場合と比べて、引戸レール部材の交換を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る建具は、躯体に固定された下枠と、前記下枠に着脱可能に構成され障子に設けられた戸車が転動可能な溝部を有する引戸レール部材と、前記溝部の側面の上端部の側方に設けられて前記戸車が前記引戸レール部材から外れることを防止する外れ防止部と、を有し、前記下枠には、前記引戸レール部材が載置される載置部と、前記引戸レール部材を側方から挟んで当接する一対の当接部と、が形成され、
前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、前記溝部上傾斜面から側方に延びる上側水平板面と、前記上側水平板面から下側に延びる鉛直面と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明では、溝部の側面の上端部の側方に戸車が外れることを防止する外れ防止部が設けられていることにより、万が一、戸車が溝部から外れて溝部の側方に乗り上げた場合でも戸車が外れることを防止できる。このため、溝部の深さを浅くして、戸車が溝部の側方に乗り上げる虞があったとしても、戸車が引戸レール部材から外れて障子が下枠が設けられた枠部から外れることは防止できる。これにより、溝部の深さを浅くすることができるため、溝部の清掃を容易に行うことができる。
【0017】
本発明では、引戸レール部材が下枠に形成された載置部に載置されて、下枠に形成された一対の当接部に側方から挟まれて当接していることにより、引戸レール部材を持ち上げることで引戸レール部材を下枠から取り外すことができる。これにより、引戸レール部材を下枠から取り外して清掃することができるため、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。特に、引戸レール部材が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、引戸レール部材が下枠から取り外せることにより、引戸レール部材が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく引戸レール部材のみを交換すればよいため、引戸レール部材が下枠に一体に設けられている場合と比べて、引戸レール部材の交換を容易に行うことができる。また、ネジなどの固定具を使用せずに引戸レール部材を下枠に取り付けることができるため、固定具が設けられていてその固定具が露出している場合と比べて、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。
【0018】
本発明に係る建具
では、前記引戸レール部材は、前記下枠にネジで固定されていてもよい。
引戸レール部材が下枠にネジで固定されていることにより、ネジを外すことで引戸レール部材を下枠から取り外すことができる。これにより、引戸レール部材を下枠から取り外して清掃することができるため、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。特に、引戸レール部材が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、引戸レール部材が下枠から取り外せることにより、引戸レール部材が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく引戸レール部材のみを交換すればよいため、引戸レール部材が下枠に一体に設けられている場合と比べて、引戸レール部材の交換を容易に行うことができる。
【0019】
本発明に係る建具の施工方法は、躯体に枠部の下枠を固定する下枠固定工程と、前記下枠に障子に設けられた戸車が転動可能な溝部を有する引戸レール部材を設置する引戸レール部材設置工程と、前記枠部に前記障子を設置する障子設置工程と、を有し、前記引戸レール部材は、前記溝部の側面の上端部の側方に設けられて前記戸車が外れることを防止する外れ防止部を有し、前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、
前記溝部上傾斜面から側方に延びる上側水平板面と、前記上側水平板面から下側に延びる鉛直面と、を有し、前記溝部上水平面と前記溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明では、躯体に固定された下枠に引戸レール部材を設けるため、建具が施工された後でも引戸レール部材を下枠から取り外すことができる。これにより、引戸レール部材を下枠から取り外して清掃することができるため、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。特に、引戸レール部材が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、引戸レール部材が下枠から取り外せることにより、引戸レール部材が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく引戸レール部材のみを交換すればよいため、引戸レール部材が下枠に一体に設けられている場合と比べて、引戸レール部材の交換を容易に行うことができる。
また、前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、を有し、前記溝部上水平面と前記溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されている。
このような構成とすることにより、万が一、戸車が溝部から外れて溝部上水平面に乗り上げた場合でも、溝部上傾斜面に当接して側方への移動が止まるため、戸車が引戸レール部材から外れて障子下枠が設けられた枠部から外れることを防止できる。
また、溝部上水平面と溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていることにより、この角部が直角や鋭角に形成されている場合と比べて角部を容易に清掃することができる。
【0021】
本発明に係る建具の改修方法は、既設の枠部の下枠に障子に設けられた戸車が転動可能な溝部を有する引戸レール部材を新設する引戸レール部材設置工程と、前記枠部に前記障子を新設する障子設置工程と、を有し、前記引戸レール部材は、前記溝部の側面の上端部の側方に設けられて前記戸車が外れることを防止する外れ防止部を有し、前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、
前記溝部上傾斜面から側方に延びる上側水平板面と、前記上側水平板面から下側に延びる鉛直面と、を有し、前記溝部上水平面と前記溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明では、既設の下枠に引戸レール部材を設けるため、建具が改修された後でも引戸レール部材を下枠から取り外すことができる。これにより、引戸レール部材を下枠から取り外して清掃することができるため、引戸レール部材の清掃を容易に行うことができる。
特に、引戸レール部材が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、引戸レール部材が下枠から取り外せることにより、引戸レール部材が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく引戸レール部材のみを交換すればよいため、引戸レール部材が下枠に一体に設けられている場合と比べて、引戸レール部材の交換を容易に行うことができる。
また、既設の下枠を利用できることにより、建具の改修工事を短期間で行うことができる。
また、前記外れ防止部は、前記溝部の前記側面の上端部から側方へ水平に延びる溝部上水平面と、前記溝部上水平面から斜め上方に延びる溝部上傾斜面と、を有し、前記溝部上水平面と前記溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されている。
このような構成とすることにより、万が一、戸車が溝部から外れて溝部上水平面に乗り上げた場合でも、溝部上傾斜面に当接して側方への移動が止まるため、戸車が引戸レール部材から外れて障子下枠が設けられた枠部から外れることを防止できる。
また、溝部上水平面と溝部上傾斜面とがなす角部が鈍角に形成されていることにより、この角部が直角や鋭角に形成されている場合と比べて角部を容易に清掃することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、清掃を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による引戸レール部材、建具および建具の施工方法について、
図1乃至
図5に基づいて説明する。
図1および2に示すように、第1実施形態による下枠引戸レール部材(引戸レール部材)1は、建具11の下枠部2に設けられている。この建具11は、例えば、スーパーマーケットなどにおける食品売り場とその後方の鮮魚などの生鮮食料品を加工する作業室との間や、薬局における接客スペースと薬品保管室との間に設けられた壁部(躯体)12に形成された開口部13に設けられている。
建具11を挟んで配置された2つの室のうち、一方側を第1室14とし、他方側を第2室15とする。また、以下の説明では、各部材は、建具11が壁部12に設けられた姿勢であるものとしている。
【0026】
建具11は、開口部13の縁部に固定された矩形状の枠部16と、枠部16に支持されて枠部16内において見付け方向移動可能な8枚の障子17,17…と、を有している。本実施形態では、障子17,17…はガラス戸で、下端部に下枠引戸レール部材1に沿って転動可能な戸車171,171…が設けられている。
【0027】
枠部16は、見付け方向に延びる下枠部2および上枠部3(
図1参照)と、上下方向に延びて下枠部2および上枠部3それぞれの見付け方向の両端部に連結された一対の縦枠部18,18(
図2参照)と、を有している。本実施形態では、枠部16の第1室14側および第2室15側の両側それぞれに額縁19,19が設けられている。
障子17の面に沿った水平方向を見付け方向とし、障子17の面に直交する方向を見込み方向とする。
下枠部2には4本の溝部51,51…が形成され、上枠部3には4本の溝部81,81…(
図1参照)が形成されており、1つの溝部に対して2つの障子17,17が配置されている。
【0028】
図3に示すように、下枠部2は、壁部12に固定される下枠本体(下枠)4と、下枠本体4に着脱可能に設けられて障子17の戸車171が転動可能な下枠引戸レール部材1と、下枠本体4に設けられて下枠引戸レール部材1を支持する支持部材6と、を有している。
【0029】
下枠本体4は、下枠部2の見付け方向の全体にわたって延びるように配置される長尺の部材で、見付け方向に直交する断面形状が見付け方向全体にわたって略同じ形状となるように形成されている。下枠本体4は、開口部13の縁部に沿って配置され壁部12に固定される固定部41と、固定部41の第1室14側の縁部から上方に突出する第1突出部42と、固定部41の第2室15側の縁部から上方に突出する第2突出部43と、を有している。第1突出部42と第2突出部43とは見込み方向に離間している。
【0030】
固定部41は、上面が略水平面となるよう配置される平板状の固定板部411と、それぞれ固定板部411の上面から上方に突出する第1突出片412および第2突出片413と、を有している。
固定板部411は、スペーサを介してネジなどの固定具で壁部12に固定されている。
第1突出片412および第2突出片413は、互いに見込み方向に間隔をあけて配置されている。第1突出片412が第1室14側に配置され、第2突出片413が第2室15側に配置されている。
【0031】
第1突出部42は、固定板部411の第1室14側の縁部から上方に延びる第1側板部421と、第1側板部421の上縁部から第2室15側に延びる第1上板部422と、第1上板部422の第2室15側の縁部から下側に延びる第1折り返し板部423と、を有している。第1折り返し板部423は、第1突出片412の鉛直方向上側に配置されている。第1折り返し板部の下端部と第1突出片412の上端部とは上下方向に離間している。
【0032】
第2突出部43は、固定板部411の第2室15側の縁部から上方に延びる第2側板部431と、第2側板部431の上縁部から第1室14側に延びる第2上板部432と、第2上板部432の第1室14側の縁部から下側に延びる第2折り返し板部433と、を有している。第2折り返し板部433は、第2突出片413の鉛直方向上側に配置されている。第2折り返し板部の下端部と第2突出片413の上端部とは上下方向に離間している。
【0033】
第1上板部422の上面422aと第2上板部432の上面432aとは、同じ高さに配置されている。
第1側板部421の第1室14側および第2側板部431の第2室15側にはそれぞれ額縁19がネジなどの固定具で固定されている。本実施形態では、額縁19の上面19aは、第1上板部422の上面422aおよび第2上板部432の上面432aと隙間なく面一に設けられている。
【0034】
下枠引戸レール部材1は、下枠部2の見付け方向の全体にわたって延びるように配置される長尺の部材で、見付け方向に直交する断面形状が見付け方向全体にわたって略同じ形状となるように形成されている。下枠引戸レール部材1は、幅寸法(見込み方向の寸法)が下枠本体4の第1突出部42と第2突出部43との間の寸法と略同じ寸法に形成されている。下枠引戸レール部材1は、高さ寸法が後述する下枠引戸レール部材用凹部44の深さ寸法(支持部材6の上板部61の上面から下枠本体4の第1突出部42の第1上板部422および第2突出部43の第2上板部432の上面までの寸法)と略同じ寸法となるように形成されている。
【0035】
下枠引戸レール部材1は、それぞれ上方に開口し障子17の戸車171が転動可能な4つの溝部51,51…が形成された溝部形成部52と、溝部形成部52の第1室14側に連続して設けられて下枠引戸レール部材1から障子17が外れることを防止する第1障子外れ防止部53と、溝部形成部52の第2室15側に連続して設けられて下枠引戸レール部材1から障子17が外れることを防止する第2障子外れ防止部54と、を有している。
【0036】
図4に示すように、溝部形成部52は、それぞれ溝部51が1つずつ形成され見込み方向に配列された4つの溝板部521〜524と、見込み方向に隣り合う溝板部の間に配置される3つの連結板部525〜527と、を有している。
溝板部521〜524は、見付け方向に延在し断面形状が上方に開口するC字形に形成され、それぞれの上面に溝部51が形成されている。
【0037】
溝部51は、底面511と、底面511の第1室14側の縁部から上方に延びる第1側面512と、底面511の第2室15側の縁部から上方に延びる第2側面513と、を有している。底面511は、略水平面となるように形成されている。第1側面512は、底面511の第1室14側の縁部から上方に向かって漸次第1室14側に向かうように斜めに傾斜している。第2側面513は、底面511の第2室15側の縁部から上方に向かって漸次第2室15に向かうように斜めに傾斜している。
このため、底面511と第1側面512とがなす第1角部514が鈍角となり、底面511と第2側面513とがなす第2角部515が鈍角となっている。第1側面512と第2側面513とは、見込み方向に対称に形成されていて、第1角部514と第2角部515とが同じ角度に形成されている。
4つの溝板部521〜524を見込み方向の第1室14側から第2室15側に向かって第1〜第4溝板部521〜524とする。
【0038】
3つの連結板部525〜527は、板面が水平面となる板状に形成されている。3つの連結板部525〜527は、それぞれ見込み方向の寸法が略同じ寸法に形成されている。3つの連結板部525〜527を見込み方向の第1室14側から第2室15側に向かって第1〜第3連結板部525〜527とする。第1連結板部525は、第1溝板部521と第2溝板部522とを連結している。第2連結板部526は、第2溝板部522と第3溝板部523とを連結している。第3連結板部527は、第3溝板部523と第4溝板部524とを連結している。
【0039】
第1障子外れ防止部53は、第1溝板部521の第1室14側の側面の上縁部から第1室14側に向かって延びる第1溝部上水平板部531と、第1溝部上水平板部531の第1室14側の縁部から上方に向かって漸次第1室14に向かうように傾斜する第1溝部上傾斜板部532と、第1溝部上傾斜板部532の上縁部から第1室14側に水平に延びる第1上側水平板部533と、第1上側水平板部533の第1室14側の縁部から下側に延びる第1鉛直板部534と、を有している。
【0040】
第1溝部上水平板部531の上面には、水平面となる第1溝部上水平面535が形成されている。第1溝部上水平面535は、3つの連結板部525〜527それぞれと見込み方向の寸法が略同じ寸法となるように形成されている。
第1溝部上傾斜板部532の上面には、上方に向かって漸次第1室14側に向かうように傾斜する第1溝部上傾斜面536が形成されている。第1溝部上傾斜面536は、溝部51の第1側面512と略平行で略同じ高さ寸法となるように形成されている。このため、第1溝部上水平面535と第1溝部上傾斜面536とがなす第3角部537は、鈍角となっている。
第1上側水平板部533は、上面が水平面に形成されている。第1鉛直板部534は、下端部が溝部形成部52の下端部と略同じ高さに配置されている。
【0041】
第2障子外れ防止部54は、第4溝板部524の第2室15側の側面の上縁部から第2室15側に向かって延びる第2溝部上水平板部541と、第2溝部上水平板部541の第2室15側の縁部から上方に向かって漸次第2室15に向かうように傾斜する第2溝部上傾斜板部542と、第2溝部上傾斜板部542の上縁部から第2室15側に水平に延びる第2上側水平板部543と、第2上側水平板部543の第2室15側の縁部から下側に延びる第2鉛直板部544と、を有している。
【0042】
第2溝部上水平板部541の上面には、水平面となる第2溝部上水平面545が形成されている。第2溝部上水平面545は、3つの連結板部525〜527それぞれと見込み方向の寸法が略同じ寸法となるように形成されている。
第2溝部上傾斜板部542の上面には、上方に向かって漸次第2室15側に向かうように傾斜する第2溝部上傾斜面546が形成されている。第2溝部上傾斜面546は、溝部51の第2側面513と略平行で略同じ高さ寸法となるように形成されている。このため、第2溝部上水平面545と第2溝部上傾斜面546とがなす第4角部547は、鈍角となっている。
第2上側水平板部543は、上面が水平面に形成されている。第1上側水平板部533の上面と、第2上側水平板部543の上面とは略同じ高さに配置されている。
第2鉛直板部544は、下端部が溝部形成部52の下端部および第1鉛直板部534の下端部と略同じ高さに配置されている。
【0043】
図3に戻り、支持部材6は、下枠本体4の固定部41の固定板部411の上に載置され、第1突出部42と第2突出部43との間に配置されている。支持部材6は、ネジなどの固定具で固定板部411に固定されている。本実施形態では、複数の支持部材6が見付け方向の所定の長さごとに、見込み方向に間隔をあけて2つずつ配置されている。
支持部材6は、断面形状がC字形状の長尺の部材で、見付け方向に延びて下側に開口する向きで配置されている。支持部材6は、上側に配置され板面が水平面となる上板部61と、上板部61の見込み方向の両縁部からそれぞれ下側に延びる一対の側板部62,62と、を有している。
【0044】
支持部材6は、一対の側板部62,62の下端部が下枠本体4の固定板部411の上面と当接するように下枠本体4に固定されている。また、複数の支持部材6のうち、見込み方向の第1室14側に配置された支持部材6は、第1室14側の側板部62が下枠本体4の第1折り返し板部423および第1突出片412それぞれの第2室15側の面と当接するように下枠本体4に固定されている。複数の支持部材6のうち、見込み方向の第215側に配置された支持部材6は、第2室15側の側板部62が下枠本体4の第2折り返し板部433および第2突出片413の第1室14側の面と当接するように下枠本体4に固定されている。
【0045】
支持部材6の高さ寸法は、下枠本体4の固定板部411の上面から第1上板部422および第2上板部432の上面までの高さ寸法より小さく設定されている。このため、支持部材6が下枠本体4に固定されると、支持部材6の上板部61の上面が、下枠本体4の第1上板部422および第2上板部432の上面よりも下側に配置される。
下枠本体4の第1突出部42および第2突出部43の間における複数の支持部材6の上板部61よりも上側の部分を下枠引戸レール部材用凹部44とする。下枠引戸レール部材用凹部44には、下枠引戸レール部材1が配置されるように構成されている。
本実施形態では、支持部材6の上板部61が本発明の載置部に相当し、第1突出部42の第1折り返し板部423および第2突出部43の第2折り返し板部433が本発明の当接部に相当している。
【0046】
下枠引戸レール部材1が下枠引戸レール部材用凹部44に配置されると、下枠引戸レール部材1は、支持部材6の上板部61に載置され、第1折り返し板部423と第2折り返し板部433とに見込み方向から挟まれて、第1折り返し板部423および第2折り返し板部433と当接する。具体的には、下枠引戸レール部材1の下端部(溝部形成部52の第1〜第4溝板部521〜524の下端面、第1障子外れ防止部53の第1鉛直板部534の下端部、第2障子外れ防止部54の第2鉛直板部544の下端部)が支持部材6の上板部61の上面と当接する。また、下枠引戸レール部材1の第1室14側の端面(第1障子外れ防止部53の第1鉛直板部534の第1室14側の端面)が下枠本体4の第1突出部42と当接し、下枠引戸レール部材1の第2室15側の端面(第2障子外れ防止部54の第2鉛直板部544の第2室15側の端面)が下枠本体4の第2突出部43と当接する。
本実施形態では、支持部材6の上板部61の上面に両面テープ63が設けられていて、下枠引戸レール部材1の下面が両面テープ63に接着されている。本実施形態では、下枠引戸レール部材1は、下枠引戸レール部材用凹部44に嵌合している。なお、下枠本体4に取り付けられた下枠引戸レール部材1を使用者が上方に引き上げることで、下枠引戸レール部材1は、両面テープ63から剥がれて下枠引戸レール部材用凹部44から外れるように構成されている。
【0047】
下枠引戸レール部材1が下枠引戸レール部材用凹部44に配置されると、下枠引戸レール部材1の第1障子外れ防止部53の第1上側水平板部533および第2障子外れ防止部54の第2上側水平板部543それぞれの上面は、下枠本体4の第1突出部42の第1上板部422および第2突出部43の第2上板部432それぞれの上面と同じ高さに配置される。そして、第1上側水平板部533の上面と第1上板部422の上面とが略隙間なく連続して配置され、第2上側水平板部543の上面と第2上板部432の上面とが略隙間なく連続して配置されている。
【0048】
図1に戻り、上枠部3は、壁部12に固定される上枠本体7と、上枠本体7に固定されて障子17の上縁部が入り込んで移動する上枠引戸レール部材8と、を有している。
上枠本体7は、上枠部3の見付け方向の全体にわたって延びるように配置される長尺の部材で、見付け方向に直交する断面形状が見付け方向全体にわたって略同じ形状となるように形成されている。上枠本体7は、開口部13の縁部に沿って配置され壁部12に固定される固定部71と、固定部41の第1室14側の縁部から下方に突出する第1突出部72と、固定部71の第2室15側の縁部から下方に突出する第2突出部73と、を有している。第1突出部72と第2突出部73とは見込み方向に離間している。
【0049】
固定部71は、下面が略水平面となるよう配置される固定板部711と、それぞれ固定板部711の上面から下方に突出する第1突出片712および第2突出片713と、を有している。
固定板部711は、スペーサを介してネジなどの固定具で壁部12に固定されている。
第1突出片712と第2突出片713とは、見込み方向に間隔をあけて配置されている。第1突出片712が第1室14側に配置され、第2突出片713が第2室15側に配置されている。
【0050】
第1突出部72は、固定部71の第1室14側の縁部から下方に延びる第1側板部721と、第1側板部721の下縁部から第2室15側に延びる第1下板部722と、第1下板部722の第2室15側の縁部から下側に延びる第1折り返し板部723と、を有している。第1折り返し板部723は、第1突出片712の鉛直方向下側に配置されている。第1折り返し板部の上端部と第1突出片712の下端部とは上下方向に離間している。
【0051】
第2突出部73は、固定部41の第2室15側の縁部から下方に延びる第2側板部731と、第2側板部731の上縁部から第1室14側に延びる第2下板部732と、第2下板部732の第1室14側の縁部から上側に延びる第2折り返し板部733と、を有している。第2折り返し板部733は、第2突出片713の鉛直方向下側に配置されている。第2折り返し板部の上端部と第2突出片713の上端部とは上下方向に離間している。
【0052】
第1下板部722の下面722aと第2下板部732の下面732aとは、同じ高さに配置されている。
第1折り返し板部723の第1室14側および第2折り返し板部733の第2室15側にはそれぞれ額縁19がネジなどの固定具で固定されている。本実施形態では、額縁19の下面は、第1下板部722の下面722aおよび第2下板部732の下面732aと隙間なく面一に設けられている。
上枠本体7の固定部71、第1突出部72および第2突出部73の内側の部分を上枠引戸レール部材用凹部74とする。上枠引戸レール部材用凹部74には、上枠引戸レール部材8が配置されるように構成されている。
【0053】
上枠引戸レール部材8は、幅寸法(見込み方向の寸法)が上枠本体7の第1突出部72と第2突出部73との間の寸法と略同じ寸法に形成されている。上枠引戸レール部材8は、高さ寸法が後述する上枠引戸レール部材用凹部74の深さ寸法(上枠本体7の固定部71の下面から第1突出部72の第1下板部722および第2突出部73の第2下板部732の下面までの寸法)と略同じ寸法となるように形成されている。
【0054】
図5に示すように、上枠引戸レール部材8は、それぞれ下方に開口し障子17(
図1参照)の上縁部が入り込んで見付け方向に移動可能な4つの溝部81,81…が形成された溝部形成部82と、溝部形成部82の第1室14側に連続する第1側部83と、溝部形成部82の第2室15側に連続する第2側部84と、を有している。
溝部形成部82は、板面が水平面となる上板部821と、それぞれ上板部821から下側に突出し見込み方向に間隔をあけて配置された5枚の鉛直板部822〜826と、を有している。5枚の鉛直板部822〜826は、それぞれ板面が見込み方向を向く向きに平行に配置されている。5枚の鉛直板部822〜826を第1室14側から第2室15側に向かって第1〜第5鉛直板部822〜826とする。
【0055】
第1鉛直板部822は、上板部821の第1室14側の縁部から下側に延びていて、第2〜第4鉛直板部223〜225は上板部821見込み方向の中間部から下側に延びていて、第5鉛直板部826は、上板部821の第2室15側の縁部から下側に延びている。上板部821の下側で見込み方向に隣り合う鉛直板部の間に、それぞれ下側に開口する溝部81が形成されている。
本実施形態では、第1〜第5鉛直板部822〜826は、それぞれ上板部821から鉛直方法下側に延びていて、それぞれが上板部821となす角部は略直角となっている。
【0056】
第1側部83は、第1鉛直板部822の下縁部から第1室14側に延びる第1下板部831と、第1下板部831の第1室14側の縁部から上側に延びる第1側板部832と、を有している。
第2側部84は、第5鉛直板部826の下縁部から第2室15側に延びる第2下板部841と、第2下板部841の第1室14側の縁部から上側に延びる第2側板部842と、を有している。
【0057】
上枠引戸レール部材8が上枠引戸レール部材用凹部74(
図1参照)に設置されると、上枠引戸レール部材8は、上枠引戸レール部材用凹部74に嵌合している。そして、上枠引戸レール部材8の上端部(上板部821、第1側板部832、および第2側板部842それぞれの上端部が上枠本体7の固定板部711の下面と当接する。また、上枠引戸レール部材8の第1室側の端面(第1側板部832の第1室14側の面)が上枠本体7の第1突出部72と当接し、第2室15側の端面(第2側板部842の第2室15側の面)が上枠本体7の第2突出部73と当接する。
本実施形態では、上枠引戸レール部材8は、ネジなどの固定具で上枠本体7に固定されている。
【0058】
上枠引戸レール部材8が上枠引戸レール部材用凹部74に設置されると、上枠引戸レール部材8の第1下板部831および第2下板部841の下面は、上枠本体7の第1下板部722および第2下板部732の下面と略同じ高さに配置される。そして、上枠引戸レール部材8の第1下板部831の下面と、上枠本体7の第1下板部722の下面とが略隙間なく連続して配置され、上枠引戸レール部材8の第2下板部841と上枠本体7の第2下板部732の下面とが略隙間なく連続して配置されている。
【0059】
次に、本実施形態による建具の施工方法について説明する。
まず、壁部12の開口部13に枠部16を固定する(枠部固定工程)。
枠部固定工程のうち、下枠部2の下枠本体4を壁部12の開口部13に固定する下枠固定工程では、まず、下枠本体4を壁部12にネジなどの固定具で固定する。続いて、支持部材6をネジなどの固定具で下枠本体4に固定する。本実施形態では、支持部材6を下枠本体4に固定するとともに壁部12にも固定する。支持部材6を下枠本体4に固定することで下枠引戸レール部材用凹部44が形成される。
【0060】
続いて、下枠引戸レール部材用凹部44に下枠引戸レール部材1を設置する(下枠引戸レール部材設置工程)。
下枠引戸レール部材1を支持部材6の上板部61に載置し、第1折り返し板部423および第2折り返し板部433に見込み方向から挟まれて、第1折り返し板部423および第2折り返し板部433と当接した状態とする。このとき、下枠引戸レール部材1の下端面を支持部材6の上板部61の上面に両面テープ63で接着する。
【0061】
このように、下枠引戸レール部材1を下枠引戸レール部材用凹部44に配置すると、下枠引戸レール部材1の第1障子外れ防止部53の第1上側水平板部533および第2障子外れ防止部54の第2上側水平板部543それぞれの上面は、下枠本体4の第1突出部42の第1上板部422および第2突出部43の第2上板部432それぞれの上面と同じ高さに配置される。そして、第1上側水平板部533の上面と第1上板部422の上面とが略隙間なく連続して配置され、第2上側水平板部543の上面と第2上板部432の上面とが略隙間なく連続して配置されている。
【0062】
下枠引戸レール部材固定工程と前後して、既設の上枠部3Bに上枠引戸レール部材8を固定する(上枠引戸レール部材設置工程)。
上枠引戸レール部材8を、上端部を上枠本体7の固定板部711の下面と当接させ、第1室側の端面を上枠本体7の第1突出部72と当接させ、第2室15側の端面を上枠本体7の第2突出部73と当接させる。そして、上枠引戸レール部材8をネジなどの固定具で上枠本体7に固定する。これにより、上枠引戸レール部材8が上枠引戸レール部材用凹部74に設置される。
【0063】
このように、上枠引戸レール部材8を上枠引戸レール部材用凹部74に設置すると、上枠引戸レール部材8の第1下板部831および第2下板部841の下面が上枠本体7の第1下板部722および第2下板部732の下面と略同じ高さに配置される。また、上枠引戸レール部材8の第1下板部831の下面と、上枠本体7の第1下板部722の下面とが略隙間なく連続して配置され、上枠引戸レール部材8の第2下板部841と上枠本体7の第2下板部732の下面とが略隙間なく連続して配置される。
【0064】
続いて、枠部16に(下枠引戸レール部材1と上枠引戸レール部材8の間に)新設の障子17を設置する障子設置工程を行う。
これにより、建具11が施工される。
【0065】
次に、上述した本実施形態による下枠引戸レール部材1、建具11および建具の施工方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による下枠引戸レール部材1は、第1障子外れ防止部53および第2障子外れ防止部54が設けられている。そして、第1障子外れ防止部53は、第1溝板部521の溝部51の第1側面512の上端部から側方へ見込み方向の第1室14側に水平に延びる第1溝部上水平面535と、第1溝部上水平面535から斜め上方に延びる第1溝部上傾斜面536と、を有し、第2障子外れ防止部54は、第4溝板部524の溝部51の第2側面513の上端部から見込み方向の第2室15側に水平に延びる第2溝部上水平面545と、第2溝部上水平面545から斜め上方に延びる第2溝部上傾斜面546と、を有している。
【0066】
このため、万が一、戸車171が溝部51から外れて第1溝部上水平面535または第2溝部上水平面545に乗り上げた場合でも、第1溝部上傾斜面536または第2溝部上傾斜面546に当接して側方への移動が止まるため、戸車171が下枠引戸レール部材1から外れて障子17が枠部16から外れることを防止できる。このように障子17が枠部16から外れることを防止するために第1溝部上水平面535、第1溝部上傾斜面536、第2溝部上水平面545および第2溝部上傾斜面546が設けられている場合でも、第1溝部上水平面535と第1溝部上傾斜面536とがなす第3角部537、および第2溝部上水平面545と第2溝部上傾斜面546とがなす第4角部547が鈍角に形成されていることにより、この第3角部537および第4角部547が直角や鋭角に形成されている場合と比べて角部を容易に清掃することができる。
【0067】
また、下枠引戸レール部材1は、溝部51の底面511と第1側面512とがなす第1角部514が鈍角に形成され、底面511と第2側面513とがなす第2角部515が鈍角に形成されている。これにより、溝部51の底面511と第1側面512および第2側面513とがなす角部が直角や鋭角である場合と比べて溝部51を容易に清掃することができる。
【0068】
また、第1溝部上水平面535および第2溝部上水平面545は、溝部51の底面511と平行に配置され、第1溝部上傾斜面536は、溝部51の第1側面512と平行に配置されるとともに溝部51の第1側面512と同じ高さ寸法に形成され、第2溝部上傾斜面546は、溝部51の第2側面513と平行に配置されるとともに溝部51の第2側面513と同じ高さ寸法に形成されている。これにより、溝部51の底面511、第1側面512および第2側面513と、第1溝部上水平面535、第2溝部上水平面545、第1溝部上傾斜面536および第2溝部上傾斜面546と、を同じように清掃することができる。
【0069】
また、下枠引戸レール部材1は、下枠本体4に設けられると、支持部材6の上板部61に載置され、第1折り返し板部423と第2折り返し板部433とに見込み方向から挟まれて、第1折り返し板部423および第2折り返し板部433と当接した状態となり、上側に引き上げられることで下枠本体4から取り外すことができる。これにより、下枠引戸レール部材1を下枠本体4から取り外して清掃することができるため、下枠引戸レール部材1の清掃を容易に行うことができる。特に、下枠引戸レール部材1が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠本体4から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、下枠引戸レール部材1が下枠本体4から取り外せることにより、下枠引戸レール部材1が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠部2全体ではなく下枠引戸レール部材1のみを交換すればよいため、下枠引戸レール部材1が下枠本体4と一体に設けられている場合と比べて、下枠引戸レール部材1の交換を容易に行うことができる。
【0070】
また、下枠引戸レール部材1が下枠部2に形成された下枠引戸レール部材用凹部44に嵌合可能に構成されていることにより、下枠引戸レール部材1を下枠部2に対して容易に着脱することができる。また、ネジなどの固定具を使用せずに下枠引戸レール部材1を下枠部2に取り付けることができるため、固定具が設けられていてその固定具が露出している場合と比べて、下枠部2の清掃を容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態による建具11の施工方法では、壁部12に固定された下枠本体4に下枠引戸レール部材1を設けるため、建具11が施工された後でも下枠引戸レール部材1を下枠本体4から取り外すことができる。これにより、下枠引戸レール部材1を下枠本体4から取り外して清掃することができるため、下枠引戸レール部材1の清掃を容易に行うことができる。特に、下枠引戸レール部材1が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠本体4から取り外すことで容易に清掃することができる。
また、下枠引戸レール部材1が下枠本体4から取り外せることにより、下枠引戸レール部材1が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠部2全体ではなく下枠引戸レール部材1のみを交換すればよいため、下枠引戸レール部材1が下枠本体4に一体に設けられている場合と比べて、下枠引戸レール部材1の交換を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、壁部12に固定された下枠本体4および支持部材6に下枠引戸レール部材1を取り付けているため、下枠本体4および支持部材6を壁部12に固定するための固定具を覆うように下枠引戸レール部材1を下枠本体4および支持部材6に取り付けることができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
図6および
図7に示す第2実施形態では、下枠引戸レール部材1(
図6参照)および上枠引戸レール部材8(
図7参照)を建具11の改修工事の際に用いている。第2実施形態では、建具11の改修方法について説明する。
建具11の改修方法では、下枠引戸レール部材1を既設の下枠部2Bに取り付け、上枠引戸レール部材8を既設の上枠部3Bに取付けている。
【0073】
本実施形態では、既設の下枠部2Bは、障子17の戸車171が転動する溝部を有しておらず、平坦面に形成された上面21を障子17の戸車171を転動するように構成されている。下枠引戸レール部材1は、既設の下枠部2Bの上面21の上に載置され、第1上側水平板部533および第2上側水平板部543がネジなどの固定具で既設の下枠部2に固定されている。
既設の上枠部3Bは、下面31の少なくとも一部が平坦面に形成されている。上枠引戸レール部材8は、既設の上枠部3Bの下面31の下に設置され、上板部821がネジなどの固定具で既設の上枠部3の下面31の平坦面に固定されている。
この建具11の改修工事では、既設の建具11の障子17撤去し、既設の建具11の枠部16Bをそのまま利用して、既設の枠部16Bに新たに下枠引戸レール部材1および上枠引戸レール部材8を取り付けて、下枠引戸レール部材1と上枠引戸レール部材8との間に新設の障子17を設けている。
【0074】
建具11の改修方法について説明する。
まず、既設の障子17を撤去する既設障子撤去工程を行う。
続いて、既設の下枠部2Bに下枠引戸レール部材1を固定する下枠引戸レール部材設置工程を行う。
下枠引戸レール部材固定工程と前後して、既設の上枠部3Bに上枠引戸レール部材8を固定する上枠引戸レール部材設置工程を行う。
続いて、枠部16に(下枠引戸レール部材1と上枠引戸レール部材8の間に)新設の障子17を設置する障子設置工程を行う。
【0075】
第2実施形態では、建具11の改修工事において既設の下枠部2Bおよび上枠部3Bを利用することができる。このため、建具11の改修工事を短期間で容易に行うことができる。
また、既設の下枠部2Bに下枠引戸レール部材1を設けるため、建具11が改修された後でも下枠引戸レール部材1を下枠部2Bから取り外すことができる。これにより、下枠引戸レール部材1を下枠部2から取り外して清掃することができるため、下枠引戸レール部材1の清掃を容易に行うことができる。特に、下枠引戸レール部材1が掃除しにくい場所にある場合でも、下枠部2Bから取り外すことで容易に清掃することができる。
また、下枠引戸レール部材1が下枠部2Bから取り外せることにより、下枠引戸レール部材1が汚れたり破損したりして交換が必要となった場合に、下枠全体ではなく下枠引戸レール部材1のみを交換すればよいため、下枠引戸レール部材1が下枠に一体に設けられている場合と比べて、下枠引戸レール部材1の交換を容易に行うことができる。
【0076】
以上、本発明による下枠引戸レール部材の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、下枠引戸レール部材1は、下枠本体4に対して着脱可能で、かつ第1障子外れ防止部53および第2障子外れ防止部54を有しているが、下枠本体4に対して着脱可能であれば、第1障子外れ防止部53および第2障子外れ防止部54を有していなくてもよいし、第1障子外れ防止部53および第2障子外れ防止部54を有していれば、下枠引戸レール部材1が下枠本体4に対して固定されていたり、下枠本体4と一体に設けられていたりしてもよい。
【0077】
また、下枠引戸レール部材1には、上記の実施形態の第1障子外れ防止部53および第2障子外れ防止部54に代わる障子17の戸車171が外れることを防止する機構が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、第1障子外れ防止部53および第2障子外れ防止部54は、溝部形成部52と一体に設けられているが、溝部形成部52と別体に設けられていてもよいし、障子17が枠部16から外れることを防止する機構が下枠本体4に設けられていてもよい。
【0078】
また、上記の実施形態では、溝部51の第1角部514および第2角部515がそれぞれ鈍角に形成されているが直角や鋭角に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、第1障子外れ防止部53の第1溝部上水平面535と第1溝部上傾斜面536とがなす第3角部537、および第2障子外れ防止部54の第2溝部上水平面545と第2溝部上傾斜面546とがなす第4角部547がそれぞれ鈍角に形成されているが直角や鋭角に形成されていてもよい。
【0079】
また、上記の実施形態では、第1溝部上水平面535および第2溝部上水平面545は、溝部51の底面511と平行に配置されている。第1溝部上傾斜面536は、溝部51の第1側面512と平行に配置され、かつ溝部51の第1側面512と同じ高さ寸法に形成されている。第2溝部上傾斜面546は、溝部51の第2側面513と平行に配置され、かつ溝部51の第2側面513と同じ高さ寸法に形成されている。これに対し、第1溝部上水平面535、第2溝部上水平面545、第1溝部上傾斜面536および第2溝部上傾斜面546は、上記以外の形状に形成されていてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態では、下枠部2に下枠引戸レール部材用凹部44が形成されているが、下枠本体4に下枠引戸レール部材1を着脱可能であれば、下枠部2に下枠引戸レール部材用凹部44が形成されていなくてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、下枠本体4の第1突出部42と第2突出部43との間に支持部材6が設けられて、支持部材6の上に下枠引戸レール部材1が設けられるように構成されているが、支持部材6が設けられず、下枠本体4が直接下枠引戸レール部材1を支持可能に構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、支持部材6は、断面形状がC字形状の長尺の部材で、見付け方向に延びて下側に開口する向きで配置され、複数の支持部材6が見付け方向の所定の長さごとに、見込み方向に間隔をあけて2つずつ配置されているが、支持部材の形状や配置は適宜設定されてよい。
【0082】
また、上記の実施形態では、支持部材6の上板部61の上面に両面テープ63が設けられていて、下枠引戸レール部材1の下面が両面テープに接着されているが、支持部材6の上板部61の上面に両面テープ63が設けられておらず、下枠引戸レール部材1が支持部材6の上板部61の上面に接着されずに載置されていてもよい。また、下枠引戸レール部材1が下枠本体4や支持部材6にネジなどの固定具で固定されていてもよい。また、下枠引戸レール部材1が下枠本体4や支持部材6にネジなどの固定具で固定されている場合は、下枠引戸レール部材1が下枠本体4や支持部材6から取り外しできるように固定されていてもよいし、下枠引戸レール部材1が下枠本体4や支持部材6から取り外しできないように固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、上枠部3は、上枠本体7と、溝部81が形成されて上枠本体7と別体に形成された上枠引戸レール部材8とを有する構成であるが、上枠本体7に溝部81が形成されている構成であってもよく、上枠部3の形態は適宜設定されてよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、壁部12に固定された下枠本体4および支持部材6に下枠引戸レール部材1を取り付けているが、下枠本体4および支持部材6に下枠引戸レール部材1を取り付けてから、下枠本体4、支持部材6および下枠引戸レール部材1を壁部12に固定するようにしてもよい。
【0084】
また、上記の第2実施形態では、既設の下枠部2Bには、障子17の戸車171が転動する溝部が形成されておらず、平坦面に形成された下枠部2Bの上面21に下枠引戸レール部材1を設けている。これに対して、既設の下枠部2Bに、障子17の戸車171が転動する溝部が形成されていて、下枠部2Bの溝部を覆うように下枠引戸レール部材1を設けてもよい。