(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る建具カバー材80が取り付けられた建具1を示す正面図である。
図2は、
図1のA−A線に沿った縦断面図である。
図3は、
図1のB−B線に沿った横断面図である。
図4は、本発明の第一実施形態に係る建具カバー材80が取り付けられた建具1を示す拡大横断面図である。
図5は、本発明の第一実施形態に係る建具カバー材80を縦材10に係合する係合金具86及び被係合金具17を示す拡大断面図であり、(a)は、係合金具86と被係合金具17係合とが係合している様子を示す図であり、(b)は、係合金具86と被係合金具17係合との係合が解除されている様子を示す図である。
【0015】
図1に示すように、建具としてのサッシユニット1は、建築物に形成された開口に取り付けられる。
なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物の外壁として納められたサッシユニット1を構成するサッシの横材50(上枠51、下枠61)、方立11の長手方向(すなわち、ガラス70の面内方向)を意味し、「見込方向」とは、屋内外方向(すなわち、奥行き方向)を意味する。
【0016】
枠体2は、横材50としての上枠51と、下枠61と、上枠51から下枠61に至るまで延びる縦材10としての方立11と、を備える。上枠51、下枠61、及び、方立11は、例えば、アルミニウムを押し出し成型することによって形成することができる。枠体2の内側の空間は、方立11によって見付方向に複数の開口部に区画される。区画された開口部にはガラス70が納められる。
【0017】
以下、建具1について詳細に説明する。
【0018】
上枠51は、
図2に示すように、屋内側に配置され中空部を有するホロー構造である上枠本体部52と、上枠本体部52の上部から屋外側に延設され、ガラス70の上端部を保持する溝531を形成する上枠ガラス保持部53と、上枠ガラス保持部53の上側に形成され中空部を有するホロー構造である上枠上側部54と、を有する。上枠51は、例えば、アルミニウムを押し出し成形することにより形成される。
【0019】
下枠61は、屋内側に配置され中空部を有するホロー構造である下枠本体部62と、下枠本体部62から屋外側に延設され、ガラス70の下端部を保持する溝631を形成する下枠ガラス保持部63と、下枠ガラス保持部63の下側に形成され中空部を有するホロー構造である下枠下側部64と、を有する。下枠61は、例えば、アルミニウムを押し出し成形することにより形成される。
【0020】
方立11は、
図3に示すように、方立本体部12と、延出フランジ部13とを有している。方立本体部12は、方立11において屋内側に位置しており、
図4に示す水平面で切った断面である横断面では、屋内側へ突出する室内側中空部121を有する中空のホロー構造の長方形状を有している。方立本体部12の内部には、見込み方向屋内側と屋外側とを仕切る壁部122が設けられている。
【0021】
延出フランジ部13は、方立本体部12から見込み方向における屋外側へ延び、屋外側の先端部において見付方向へ所定の幅で広がるT字形状を有しており、T字形状と方立本体部12の一部とにより見付方向に開口するコの字状のガラス挿入溝131が形成されている。見込み方向において延出フランジ部13に対向する方立本体部12の部分には、中空部を有するホロー構造である方立側ガラス支持部14が配置されている。方立側ガラス支持部14と延出フランジ部13との間には、ガラス70が、シール143材及びバッカー材144を介して配置されている。
【0022】
方立11の方立本体部12の基部には、突起部材及び建具カバー材係合部としてのアングル部材15が固定されている。アングル部材15は、
図4に示すように、横断面で、方立側側壁151と支持部側壁152とを有するL字形状を有するアルミニウム製の金具によって構成されており、建具を構成する各部に対して、独立した別の部材を構成する部品により構成されている。アングル部材15は、改装時に取り付けられた、いわゆる後付けの部材である。方立側側壁151、支持部側壁152は、それぞれ上下方向に延びている。方立側側壁151は、複数のビス153によって方立11の方立本体部12の基端側の部分(見込み方向における屋外側の端部の部分)の側面部124に固定されている。支持部側壁152は、方立側ガラス支持部14に沿って、見付方向へ延びている。支持部側壁152には、突起部155が設けられている。突起部155は、支持部側壁152から屋内側へ突出すると共に上下方向に延びる板状に形成されている。
【0023】
方立11の方立本体部12の先端部には、アングル部材16が固定されている。アングル部材16は、
図4に示すように、横断面で、方立側面側壁161と正面側側壁162とを有するL字形状を有するアルミニウム製の金具によって構成されている。方立側面側壁161、正面側側壁162は、それぞれ上下方向に延びている。方立側面側壁161は、複数のビス163によって方立11の方立本体部12の基端側の部分(見込み方向における屋外側の端部の部分)の側面部124に固定され、正面側側壁162は、方立本体部12の正面部125に沿って、見付方向へ延びている。方立側面側壁161は、後述するカバー材80の側面カバー部81と方立本体部12の側面部124との間に配置されて、この間の隙間が埋められ、方立本体部12に対してカバー材80が見付方向に動いてガタつくことを防止する。
【0024】
方立本体部12の屋内側の端面を構成する、方立本体部12の正面部125の表面には、被係合部を構成する建具カバー材係合部としての被係合金具17が設けられている。被係合金具17は、
図5に示すように、方立本体部12の側方視で、略Z字形状に折り曲げられた板状に形成されており、先端部171と基部172とを有している。被係合金具17の基部172は、ビス175によって方立本体部12の正面部125に固定されている。
【0025】
方立本体部12の正面部125及び側面部124は、カバー材80(建具カバー材)により覆われている。カバー材80は、それぞれスギ材の集成材により構成された側面カバー部81と、正面カバー部83と、固定部材85と、を備えている。
【0026】
側面カバー部81は、縦材10の方立本体部12の側面部124に対向して配置されて、縦材10の方立本体部12の側面部124を覆う長方形の板状に形成されている。側面カバー部81の基端側の部分、より具体的には、側面カバー部81の基端部(見込み方向における屋外側の端部)には、溝811が形成されている。溝811は、側面カバー部81の厚み方向(
図4における左右方向)における側面カバー部81の中央よりも、縦材10の側面部124の側(方立本体部12の室内側中空部121の内方寄りの側)に配置されている。
【0027】
溝811の最も奥の部分には、シール部材813が配置されている。シール部材813としては、例えば、ゴム等が用いられる。溝811には、アングル部材15の突起部155が差し込まれて係合する。これにより、側面カバー部81の反り、捻れ等の面外方向の変形が突起部155により拘束され、側面カバー部81について強度に優れた構造とされる。また、シール部材813に突起部155の先端部が当接することにより、カバー材80の内部と外部との間が気密にシールされ、カバー材80の内部に結露が生ずることを抑えるとともに、カバー材80を方立11に対して見込み方向屋内側へ押圧して、係合金具86と被係合金具17とが、常時当接している状態とされる。
【0028】
側面カバー部81の先端には、嵌合部としての凸部814が形成されている。凸部814は、側面カバー部81の内面を延長させるように、見込み方向屋内側へ延びるように突出すると共に、上下方向へ延びている。凸部814以外の側面カバー部81の先端の端面は、接着剤によって正面カバー部83の裏面833(見込み方向屋外側の面)に接着されている。
【0029】
正面カバー部83は、縦材10の正面部125に対向して配置されて、縦材10の正面部125、及び、側面カバー部81の見込み方向屋内側の端面を覆う長方形の板状に形成されている。方立本体部12の正面に対向する正面カバー部83の裏面833であって、側面カバー部81の先端の凸部814に対向する位置には、それぞれ被嵌合部としての溝831が形成されている。溝831には、側面カバー部81の先端の凸部814が嵌合する。
【0030】
正面カバー部83の裏面833の部分であって2つの溝831の間の部分には、固定部材85が設けられている。固定部材85は、ヒノキの集成材により構成されており、方立本体部12の正面部125と略同一形状を有する長方形の板状に形成されている。固定部材85の見込み方向屋内側の面851は、正面カバー部83の裏面833に接着材によって接着されて固着されている。従って、固定部材85は、ビスやネジ等の締結具は一切用いられずに、正面カバー部83の裏面833に固着している。
【0031】
固定部材85の見付方向における
図4の左右方向の両端面853は、側面カバー部81の裏面(内面)に接着材によって接着されて固着されている。従って、固定部材85は、3面接着により正面カバー部83及び一対の側面カバー部81に接着されている。固定部材85の見込み方向屋外側の面852には、係合部を構成する係合金具86が設けられている。係合金具86は、
図5に示すように、方立本体部12の側方視で、略Z字形状に折り曲げられた板状に形成されており、先端部861と基部862とを有している。係合金具86の基部862は、締結具の一例としてのネジ865によって固定部材85の見込み方向屋外側の面852にネジ865とともに固定されている。係合金具86は、方立本体部12に固定された被係合金具17に係合する。
【0032】
ガラス70は、
図2〜
図4等に示すように、それぞれ長方形状に形成された屋内側の板ガラス71と、屋外側の板ガラス72と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ73と、を備える複層ガラスである。この複層ガラスで構成されたガラス70は、優れた断熱性を有する。
【0033】
次に、建具カバーの施工方法及び建具カバー材の取付方法について説明する。以下に説明する方法では、既存のサッシユニット1のアルミニウム製の方立11の方立本体部12に対して木製のカバー材80(建具カバー材)を取り付けて改装する。
【0034】
最初に、方立本体部12に取り付けられるカバー材80を組み立てる工程を行なう。この工程は、工場にて予め行なわれ、施工を行う現場では行なわない。
先ず、側面カバー部81の先端の端面(見込み方向における屋内側の端面)、及び/又は、正面カバー部83の裏面833の部分であって、溝831よりも見付方向における端縁に至るまでの部分に、接着材を塗布する。次に、正面カバー部83の溝831に、それぞれ側面カバー部81の先端の凸部814を挿入して嵌合する。これにより、正面カバー部83に側面カバー部81を固定する。
【0035】
次に、正面カバー部83の裏面の部分であって、溝831と溝831との間の部分、及び/又は、固定部材85の見込み方向における屋内側の端面851に、接着材を塗布する。また、固定部材85の見付方向における両端面853(
図4の左右方向における固定部材85の両端面853)に、接着材を塗布する。次に、正面カバー部83の裏面に、固定部材85の見込み方向における屋内側の端面を接着すると共に、固定部材85の見付方向における両端面853を側方カバー部の裏面(内面)に接着して、固定部材85を正面カバー部83及び側面カバー部81に3面接着により固着させて取付ける。この固着は、ビスやネジ等の締結具を一切用いずに行なわれる。次に、ネジ865によって係合金具86を固定部材85に固定する。
【0036】
次に、方立11にアングル部材15を固定する工程を行なう。この工程以降は、改装が施工される現場において行なわれる。
アングル部材15は、既存の建具の方立11に対して、後付けで取付けられる。具体的には、アングル部材15の方立側側壁151をビス153によって、側面部124に固定する。また、アングル部材16を固定する工程を行なう。アングル部材156は、既存の建具の方立11に対して、後付けで取付けられる。具体的には、アングル部材16の方立側面側壁161をビス163によって、側面部124に固定する。また、ビス175によって被係合金具17を正面部125に固定する。
【0037】
次に、側面カバー部81の溝に、アングル部材15の突起部155を差し込み、側面カバー部81にアングル部材15を直接係合させる。これにより側面カバー部81は、方立本体部12のほぼ全体を覆う状態で設置される。そして、
図5(b)に示すような、係合金具86と被係合金具17とが係合していない状態から、固定部材85と方立本体部12とを互いに接近させてゆき、固定部材85を方立本体部12に対して相対的に、見付方向であって下方向へ移動させて、係合金具86を被係合金具17に対してスライドさせて、引っ掛けるようにして、
図5(a)に示すように、係合金具86と被係合金具17とを係合させる。これにより、方立11の方立本体部12に固定部材85が固定される。
【0038】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
屋内側へ突出する室内側中空部121を備えた縦材10としての方立11の方立本体部12の側面部124及び正面部125を覆うカバー材80は、スギ材の集成材により構成され、方立本体部12の側面部124を覆う側面カバー部81と、スギ材の集成材により構成され、方立本体部12の正面部125及び側面カバー部81の先端部の端面を覆う正面カバー部83と、正面部125に対向する正面カバー部83の裏面に固着される締結具を固定可能な固定部材85と、を備える。
【0039】
これにより、ビスやネジや埋め木等が外観上見えないように、スギ材により構成されるカバー材80を方立本体部12に固定することが可能となる。このため、埋め木をしたり、ネジ頭を隠したりする必要がなくなるため、意匠性を高めることができ、また、施工の効率化を図ることができる。また、ヒノキ等と比較して、比較的柔らかいスギ材を強固に方立11に対して固定することが可能となる。
【0040】
また、側面カバー部81の基端側の部分には、縦材10の基端側の部分に設けられた突起部155が差し込まれる溝811が形成されている。
【0041】
これにより、溝811に突起部155が差し込まれて係合することによって、側面カバー部81の反り、捻れ等の面外方向の変形が突起部155により拘束される。この結果、側面カバー部81は強度に優れた構造とされる。
【0042】
また、溝811は、側面カバー部81の厚み方向における側面カバー部81の中央よりも縦材10の側面部124の側に配置されている。
【0043】
これにより、溝811よりも、見付方向であってカバー材80の外方の側面カバー部81の部分の厚みを、十分に確保することができる。側面カバー部81には直接ビスやネジを打たないため、側面カバー部81にキズがついた場合には、鉋で側面ガハー部の表面を削ってキズを削り取ることが可能である。そのため、側面カバー部81は、所定年数耐えるような厚さに設定されているが、前述のように溝811は側面カバー部81の板厚方向において側面カバー部81の内側寄りに位置しているため、側面カバー部81の表面を鉋で削ってゆき溝811に到達することを防ぐことができる。
【0044】
また、側面カバー部81の先端には、正面カバー部83の裏面833の溝831に嵌合する嵌合部としての凸部814が形成されている。これにより、溝831に凸部814が嵌合することにより、正面カバー部83に対して側面カバー部81を容易に位置決めすることができ、このように位置決めされた状態で、強固に正面カバー部83に対して側面カバー部81を固定することが可能となる。
【0045】
また、固定部材85には、縦材10としての方立11の方立本体部12の正面部125に設けられた被係合金具17と係合する係合金具86が形成されている。これにより、正面カバー部83に固着した固定部材85を方立11に対して固定することが容易となる。特に、係合金具86と被係合金具17とが、略Z字形状に折り曲げられた板状の金具により構成されているため、係合金具86を被係合金具17に対してスライドさせて引っ掛けるようにして、係合金具86と被係合金具17とを容易に係合することが可能となる。
【0046】
また、屋内側に突出する室内側中空部121を備えた建具の縦材11の方立本体部12の正面部125を覆う正面カバー部83と側面部124を覆う側面カバー部81とを備えたコの字状の建具カバー材内に取付けられた固定部材85と、固定部材85に締結具865で固定される係合部86と、を備えた建具用カバー材の施工方法は、建具の縦材11に係合部86に係合可能な被係合部17を取付ける工程と、被係合部17と係合部86を係合させて建具カバー材80を建具の縦材11に取付ける工程と、を備える。
【0047】
これにより、被係合部17と係合部86を係合させる建具カバー材80を建具の縦材11に容易に取付けることができ、且つ、ビスやネジや埋め木等が外観上見えない意匠性の高いカバー材80を、容易に方立11に対して容易に固定することが可能となる。
【0048】
また、屋内側へ突出する室内側中空部121を備えた建具の縦材10の方立本体部12の側面部124をカバーする側面カバー部81と、方立本体部12の正面部125及び側面カバー部81の先端部とを覆う正面カバー部83とを備えたカバー材80の建具への取付構造は、建具カバー材80に直接係合する突起部155を備えた突起部材としてのアングル部材15を有する。
【0049】
これにより、既存のサッシユニット1のアルミニウム製の方立11に対して、アングル部材15を容易に取り付けることが可能となる。この結果、既存のサッシユニット1のアルミニウム製の方立11に対して、木製のカバー材80(建具カバー材)を、容易に取り付けて改装することが可能となる。
【0050】
また、縦材10を有する建具としてのサッシユニット1の室内側の部分に、突起部155を有する突起部材としてのアングル部材15を固定する工程と、カバー材80を構成し縦材10の方立本体部12の正面部125を覆う正面カバー部83に、カバー材80を構成し方立本体部12の側面部124を覆う側面カバー部81が固定され、正面カバー部83又は側面カバー部81に、締結具865が締結可能な固定部材85が固着されて取付けられる工程と、カバー材80の、側面カバー部81を、突起部155に係合させる工程と、を備える建具カバーの施工方法である。
【0051】
これにより、側面カバー部81の反り、捻れ等の面外方向の変形を拘束する突起部155を有するアングル部材15を、既存のサッシユニット1のアルミニウム製の方立11に対して容易に取り付けることが可能となり、且つ、ビスやネジや埋め木等が外観上見えない意匠性の高いカバー材80を、容易に方立11に対して固定することが可能となる。即ち、木製のカバー材80(建具カバー材)を、建具としてのサッシユニット1に取り付けるための専用の構成をサッシユニット1が有していなくても、サッシユニット1に容易に取り付けて改装することが可能となる。
【0052】
また、屋内側に突出する室内側中空部121を備えた建具の方立11の方立本体部12の正面部125を覆う正面カバー部83と側面部124を覆う側面カバー部81とを備えた建具カバー材80で覆う建具カバー材の施工方法は、建具の屋内側に建具カバー材係合部としてのアングル部材15を固定する工程と、アングル部材15と側面カバー部81とを直接係合させる工程と、を備える。これにより、方立11の方立本体部12に対して取付けたアングル部材15に対して建具カバー材80を容易に取り付けることが可能となる。
【0053】
次に、本発明の第二実施形態について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、本発明の第二実施形態に係る建具カバー材80が取り付けられた建具を示す拡大横断面図である。
第二実施形態は、建具としてのサッシユニットが方立11に代えて縦枠11Aを有する点、及び、突起部155が縦枠11Aとは独立した別体(別の部品により構成された別の部材)で構成された縦材12Aと一体成形されて構成されている点において、第一実施形態とは異なる。第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0054】
図6に示すように、縦枠11Aは、内部に中空の空間を有する中央部13Aが一体に形成されている。中央部13Aは、見込み方向における屋内端部と屋外端部とがそれぞれ拡径されて形成されている。中央部13Aの屋外側の端部は、見付方向へ所定の幅で広がるフランジ状に形成されている。中央部13Aの屋内側の端部には、断面L字状のL字係合部131Aが設けられており、L字係合部131Aには、ガラス支持部14Aの屋内側の端部に形成された、断面L字状のL字被係合部141Aが係合している。なお、ガラス等については、便宜上、本実施形態以降の実施形態においては、図示を省略する。
【0055】
縦材12Aは、
図6に示す水平面で切った断面である横断面では、室内側中空部121Aを有する中空のホロー構造の長方形状を有している。見込み方向における屋外側の縦材12Aの壁部(以下、「被固定壁120A」と言う)の部分であって、見付方向における
図6の左右方向の中央部13Aには、見込み方向における屋外側へ一段飛び出た被固定部126Aが形成されている。被固定部126Aは、見込み方向における中央部13Aの屋内側の端部に、ビス133Aによって固定されている。即ち、縦材12Aは、後付けで縦枠11Aに固定され建具に取り付けられている。
【0056】
見付方向における
図6の左右方向の被固定壁120Aの端部は、縦材12Aの側面部124Aよりも見付方向であって
図6の左右方向へ延びて突出しており、被固定壁120Aの突出端部には、見込み方向の屋内側へ突出し、第一実施形態における突起部155と同一形状の突起部155が、被固定壁120Aの突出端部と一体成形されて設けられている。突起部155は、側面カバー部81の溝811に挿入される。
【0057】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
縦材12Aは、建具とは別の部材により構成され、建具の屋内側(室内側)に取付けられる。このため、方立本体部12を有していないサッシユニットに対して、木製のカバー部材を容易に取り付けて改装をすることが可能である。
【0058】
次に、本発明の第三実施形態について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第三実施形態に係る建具カバー材80が取り付けられた建具を示す拡大横断面図である。
第三実施形態は、縦材12Bを縦枠11Aに固定するためのアタッチメント110Bに突起部155が設けられている点において、第二実施形態とは異なる。第一実施形態、第二実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0059】
見付方向であって
図7の左右方向におけるアタッチメント110Bの中央の部分は、ビス133Aによって、見込み方向における中央部13Aの屋内側の端部に固定されており、被固定部1101Bを構成する。被固定部1101Bから、見付方向における
図7の左右方向(カバー材80の外方)においてそれぞれ隣接するアタッチメント110Bの位置には、見込み方向屋内側(
図7における上側)へ窪んだ係合金具取り付け部1102Bを有している。係合金具取り付け部1102Bには、固定部材85に固定されている係合金具86と同一の係合金具86が、ビス865Bによって固定されている。係合金具取り付け部1102Bから、見付方向における
図7の左右方向(カバー材80の外方)においてそれぞれ隣接するアタッチメント110Bの位置には、係合金具取り付け部1102Bに対して、見込み方向屋外側(
図7における下側)へ窪んだアタッチメント端部1103Bを有している。アタッチメント端部1103Bの先端部には、見込み方向の屋内側へ突出し、第一実施形態における突起部155と同一形状の突起部155が、アタッチメント110Bと一体成形されて設けられている。突起部155は、側面カバー部81の溝811に挿入される。
【0060】
見込み方向の屋外側の縦材12Bの壁部(以下、「屋外側壁部120B」と言う)には、屋外側へ突出する被係合金具取り付け部1201Bが、屋外側壁部120Bと一体成形されて設けられている。被係合金具取り付け部1201Bは、
図7に示すように、見込み方向屋外側へ突出し、突出端において互いに見付方向において接近するように延びている。被係合金具取り付け部1201Bには、正面部125Bに固定されている被係合金具17と同一の被係合金具17が、ビス175Bによって固定されている。
【0061】
縦材12Bに固定された被係合金具17と、アタッチメント110Bに固定された係合金具86とは、固定部材85に固定された係合金具86と、正面部125Bに固定された被係合金具17とが係合することと同様の構成により係合する。これにより、縦材12Bは、アタッチメント110Bを介して縦枠11Aに固定される。
【0062】
次に、本発明の第四実施形態について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本発明の第四実施形態に係る建具カバー材80が取り付けられた建具を示す拡大横断面図である。
第四実施形態は、アタッチメント110Cが小型に形成されている点、突起部155が縦材12Cと一体成形されて設けられている点において、第三実施形態とは異なる。第一実施形態〜第三実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0063】
アタッチメント110Cは、見付方向における
図8の左右方向において、縦材12Cの幅よりも短く形成されている。アタッチメント110Cは、ビス133Aによって、見込み方向における中央部13Aの屋内側の端部に固定されている。アタッチメント110Cには、固定部材85に固定されている係合金具86と同一の係合金具86が、ビス865Bによって固定されている。
【0064】
縦材12Cの側面部124Cは、屋外側壁部120Cよりも見込み方向の屋外側へ延びて突出しており、縦材12Cの側面部124Cの突出端から直角に折れ曲がり、見付方向であって左右方向に互いに離れるように延びて
図8の左右の両端部に至る。そして両端部には、第一実施形態における突起部155と同一形状の突起部155が、縦材12Cの側壁の両端部と一体成形されて設けられている。突起部155は、側面カバー部81の溝811に挿入される。
【0065】
次に、本発明の第五実施形態について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本発明の第五実施形態に係る建具カバー材80Dを示す拡大横断面図である。
第五実施形態においては、固定部材85Dの形状や材質等の構成が、第一実施形態〜第四実施形態における固定部材85の構成とは異なる。第一実施形態〜第四実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0066】
固定部材85Dは、ヒノキ材ではなく、アルミニウム製で構成されている。見込み方向の屋内側における固定部材85Dの端部は、見付方向であって左右方向へ広がる拡張部855Dを有している。拡張部855Dは、正面カバー部83の裏面833Dと、見込み方向の屋内側における側面カバー部81Dの端面812Dとにより構成される溝部834Dに挿入されており、正面カバー部83Dの裏面833Dと、見込み方向の屋内側における側面カバー部81の端面812Dとにより挟まれた状態となっている。これにより、固定部材85Dは、正面カバー部83Dに対して、ビスやネジ等の締結具が用いられないのみならず、接着材さえも用いられずに、固着されている。
【0067】
次に、本発明の第六実施形態について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、本発明の第六実施形態に係る建具カバー材80Eが取り付けられた建具を示す拡大横断面図である。
第六実施形態においては、建具カバー材80Eの構成が、第一実施形態〜第五実施形態における建具カバー材80、80Dの構成とは異なる。第一実施形態〜第五実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0068】
図10に示すように、一対の側面カバー部81Eの上側の部分の内側には、切欠き816Eが形成されている。切欠き816Eは、略直方体形状に形成されており、固定部材85Eと同一の形状に形成されている。切欠き816Eには、固定部材85Eが嵌められており、ビスやネジ等の締結具が用いられずに、接着剤によって側面カバー部81Eと正面カバー部83Eとに、それぞれ接着されて固着されている。
【0069】
係合金具86Eの基部862Eは、
図10に示す水平面で切った断面である横断面では、コの字形状に形成されている。当該コの字形状が、一対の見込み方向壁部8621Eとその間に位置する見付方向壁部8622Eと、により構成されていると考えた場合の、一対の見込み方向壁部8621Eは、ネジ865によって固定部材85Eにそれぞれ固定されている。
【0070】
アングル部材15Eについては、第1実施形態と同様に、方立11Eの方立本体部12Eに対して、後付けで取付けられている。具体的には、建具カバー材80Eが取り付けられる施工現場において、アングル部材15Eの方立側面側壁151Eは、ビス153によって側面部124Eの下部に固定され、これにより、アングル部材15Eが方立本体部12Eに対して、後付けされている。
【0071】
次に、本発明の第七実施形態について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本発明の第七実施形態に係る建具カバー材80Fが取り付けられた建具を示す拡大横断面図である。
第七施形態においては、建具カバー材80Fの構成が、第一実施形態〜第六実施形態における建具カバー材80、80Dの構成とは異なる。また、係合金具86、被係合金具17が固定される位置が、第一実施形態〜第六実施形態における位置とは異なる。第一実施形態〜第六実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0072】
図11に示すように、固定部材85Fは、例えば側面カバー部81の裏面(内面)の全面に接着材によって接着されて固着されている。そして、係合金具86の基部862は、ネジ865によって固定部材85の裏面(内面)に固定されている。また、被係合金具17の基部172は、ビス175によって方立本体部12の側面部124に固定されている。この構成により、カバー材80Fの施工方法においては、被係合金具17は、係合金具86及び固定部材85Fを介して側面カバー部81に間接に係合される。これら係合金具86、被係合金具17は、当該形状に限定されることなく、例えば嵌め合わされる形状とし、数も左右それぞれ1つでなく、左右にそれぞれ2つ設けて嵌合させるようにしてもよい。また、係合金具、被係合金具の位置も方立の形状に応じて変更してもよい。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、側面カバー部81の溝811は、側面カバー部81の厚み方向(
図4における左右方向)における側面カバー部81の中央よりも、方立本体部12の側面部124の側(室内側中空部121の内方寄りの側)に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、側面カバー部81の厚みが十分に確保できれば、溝811を、側面カバー部81の厚み方向(
図4における左右方向)における側面カバー部81の中央に位置させてもよい。
また、方立11の方立本体部12や縦材12A、縦材12B、縦材12Cは、中空のホロー構造に構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、特開2014−145151号公報に記載されているように、方立や縦材は、分割可能なに半割れに構成されていてもよい。
【0074】
また、建具カバー材や建具の各部の構成は、本実施形態におけるカバー材80やサッシユニット1の各部の構成に限定されない。例えば、側面カバー部、正面カバー部、固定部材、係合部、被係合部、方立、縦材等の構成は、本実施形態における、側面カバー部81、正面カバー部83、固定部材85、係合金具86、被係合金具17、方立11、縦材12A、縦材12B、縦材12C等の構成に限定されない。従って例えば、見込み方向における方立11の寸法についても様々な値を採ることができる。
また、ガラスとしては、例えば、網入り板ガラスを、屋外側のガラスに用いたり、外観意匠を考慮して屋内側のガラスに用いたりしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、既存の建具としてのサッシユニット1に対して、突起部155を有するアングル部材15等の部材を取り付けて、木製のカバー材80を取り付けたが、この構成に限定されない。例えば、新築の場合において、予め方立11に木製のカバー材80を取り付けることが確定しているのであれば、突起部155を有するアングル部材15という部品で構成するのではなく、当初から建具の一部に突起部が一体成形されて設けられている建具の当該突起部を、カバー材80の側面カバー部81の溝に挿入して、カバー材80を建具に取り付けるようにしてもよい。即ち、突起部を有するアングル部材15等を、建具に対して後付けしなくてもよい。
また、本実施形態においては、建具カバー材の施工方法は、改装において実施されたが、改装に限定されない。建具カバー材の施工方法は、新築の場合に実施されてもよい。
【0076】
なお、側面カバーの基端側に溝811は必ずしも形成しなくてもよく、アングル部材15に嵌合する嵌合部材を側面カバーに取付けてもよい。また、本実施形態では、正面カバー部83の裏面に固定部材85を取り付けているが、固定部材85がなくてもアングル部材15と側面カバーに取付けた嵌合部材による嵌合だけで、カバー材を方立11に固定するようにしてもよい。これにより、見付方向において十分な幅を方立の方立本体が有する構成とすることが可能となる。