(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
設備機器を制御する複数の既設のコントローラと、前記設備機器に関する状態データを取得し前記設備機器に対する制御指示を生成する監視制御装置と、前記複数の既設のコントローラと前記監視制御装置とを接続する監視制御ネットワークと、前記複数の既設のコントローラ同士を接続し前記監視制御ネットワークと異なる通信規格の制御用ネットワークとを備える監視制御システムの更新方法であって、
前記監視制御装置及び前記既設のコントローラと通信する新設のコントローラを前記監視制御ネットワークに接続する第1のステップと、
前記設備機器の制御に関する制御用データ又は前記状態データを前記既設及び新設のコントローラへ送信する際に前記制御用ネットワークと前記監視制御ネットワークとの両方へ送信することを前記複数の既設のコントローラに対して設定する第2のステップと、
前記制御用データ又は前記状態データを前記監視制御ネットワークを介して前記新設のコントローラへ送信する場合と、前記状態データを前記監視制御ネットワークを介して前記監視制御装置へ送信する場合とにおいて異なるマルチキャスト・アドレスを用いることを前記既設及び新設のコントローラに対して設定する第3のステップと、
を有し、
前記複数の既設のコントローラ及び前記新設のコントローラは、
前記制御用データ又は前記状態データを送信する際に、自コントローラに割り当てられたコントローラIDも共に送信する通信部と、
前記複数の既設のコントローラ及び前記新設のコントローラにそれぞれに割り当てられたコントローラIDと、自コントローラにおける記憶領域を示すメモリアドレスとの組み合わせを記憶するテーブルと、を備え、
前記通信部は、前記複数の既設のコントローラ又は前記新設のコントローラから前記制御用データ又は前記状態データを受信した場合、前記制御用データ又は前記状態データと共に受信したコントローラIDと、前記テーブルとに基づいて、前記制御用データ又は前記状態データを記憶させる記憶領域を選択する、
監視制御システムの更新方法。
前記複数の既設のコントローラのうち前記新設のコントローラに置き換えられる前記既設のコントローラが制御していた前記設備機器の接続先を前記新設のコントローラに切り替える第4のステップと、
前記置き換えられる既設のコントローラと、前記監視制御ネットワーク及び前記制御用ネットワークとの接続を解除する第5のステップと、
を更に有する請求項1に記載の監視制御システムの更新方法。
設備機器を制御する複数の既設のコントローラと、前記設備機器に関する状態データを取得し前記設備機器に対する制御指示を生成する監視制御装置と、前記複数の既設のコントローラと前記監視制御装置とを接続する監視制御ネットワークと、前記複数の既設のコントローラ同士を接続し前記監視制御ネットワークと異なる通信規格の制御用ネットワークとを備える監視制御システムであって、
前記監視制御ネットワーク及び前記設備機器は、前記設備機器を制御する一つ又は複数の新設のコントローラに接続可能であり、
前記既設のコントローラは、
前記制御用ネットワークを介して、前記設備機器の制御に関する制御用データ又は前記状態データを他の前記既設のコントローラと送受信する第1の通信部と、
前記監視制御ネットワークを介して、前記制御用データ又は前記状態データを前記新設のコントローラ及び前記監視制御装置と送受信し、前記監視制御装置から前記制御指示を受信する第2の通信部と、
前記制御用データ、前記状態データ又は前記制御指示に基づいて前記設備機器を制御する第1の制御部と、
を備え、
前記新設のコントローラは、
前記監視制御ネットワークを介して、前記監視制御装置及び前記既設のコントローラと前記制御用データ又は前記状態データを送受信し、前記監視制御装置から前記制御指示を受信する第3の通信部と、
前記制御用データ、前記状態データ又は前記制御指示に基づいて前記設備機器を制御する第2の制御部と、
を備え、
前記第2及び第3の通信部は、
前記監視制御装置へ前記状態データを送信する場合と、前記既設及び新設のコントローラへ前記制御用データ又は前記状態データを送信する場合とにおいて異なるマルチキャスト・アドレスを用い、
前記複数の既設のコントローラ及び前記新設のコントローラは、
前記制御用データ又は前記状態データを送信する際に、自コントローラに割り当てられたコントローラIDも共に送信する通信部と、
前記複数の既設のコントローラ及び前記新設のコントローラにそれぞれに割り当てられたコントローラIDと、自コントローラにおける記憶領域を示すメモリアドレスとの組み合わせを記憶するテーブルと、を備え、
前記通信部は、前記複数の既設のコントローラ又は前記新設のコントローラから前記制御用データ又は前記状態データを受信した場合、前記制御用データ又は前記状態データと共に受信したコントローラIDと、前記テーブルとに基づいて、前記制御用データ又は前記状態データを記憶させる記憶領域を選択する、
監視制御システム。
設備機器を制御する複数の既設のコントローラと、前記設備機器に関する状態データを取得し前記設備機器に対する制御指示を生成する監視制御装置と、前記複数の既設のコントローラと前記監視制御装置とを接続する監視制御ネットワークと、前記複数の既設のコントローラ同士を接続し前記監視制御ネットワークと異なる通信規格の制御用ネットワークとを先に備え、前記設備機器を制御する一つ又は複数の新設のコントローラを後に備えた監視制御システムにおける制御方法であって、
前記既設のコントローラが、前記制御用ネットワークを介して前記設備機器の制御に関する制御用データ又は前記状態データを他の前記既設のコントローラと送受信する第1のステップと、
前記既設のコントローラが、前記監視制御ネットワークを介して、前記制御用データ又は前記状態データを前記新設のコントローラ及び前記監視制御装置と送受信する第2のステップと、
前記既設のコントローラが、前記監視制御装置から前記制御指示を受信する第3のステップと、
前記既設のコントローラが、前記制御用データ、前記状態データ又は前記制御指示に基づいて前記設備機器を制御する第4のステップと、
前記新設のコントローラが、前記監視制御ネットワークを介して、前記監視制御装置、他の前記新設のコントローラ及び前記既設のコントローラと前記制御用データ又は前記状態データを送受信する第5のステップと、
前記新設のコントローラが、前記監視制御装置から前記制御指示を受信する第6のステップと、
前記新設のコントローラが、前記制御用データ又は、前記状態データ又は前記制御指示に基づいて前記設備機器を制御する第7のステップと、
を有し、
前記第2及び第5のステップでは、
前記監視制御装置へ前記状態データを送信する場合と、前記既設及び新設のコントローラへ前記制御用データ又は前記状態データを送信する場合とにおいて異なるマルチキャスト・アドレスが用いられ、
前記複数の既設のコントローラ及び前記新設のコントローラは、
前記制御用データ又は前記状態データを送信する際に、自コントローラに割り当てられたコントローラIDも共に送信する通信部と、
前記複数の既設のコントローラ及び前記新設のコントローラにそれぞれに割り当てられたコントローラIDと、自コントローラにおける記憶領域を示すメモリアドレスとの組み合わせを記憶するテーブルと、を備え、
前記通信部は、前記複数の既設のコントローラ又は前記新設のコントローラから前記制御用データ又は前記状態データを受信した場合、前記制御用データ又は前記状態データと共に受信したコントローラIDと、前記テーブルとに基づいて、前記制御用データ又は前記状態データを記憶させる記憶領域を選択する、
制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の監視制御システムの更新方法、監視制御システム及び制御方法を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による監視制御システム1の構成を示すブロック図である。監視制御システム1は、複数のコントローラ10(10−1,10−2,…,10−L)と、複数の監視制御装置20(20−1,20−2,…,20−M)と、データサーバ装置25と、ハブ30、35と、1つ又は複数のコントローラ40(40−1,40−2,…,40−N)と、設備機器50、51(50−1,50−2,…,50−L,51−1,51−2,51−N)とを備える。監視制御システム1は、上下水道などに係る水処理施設や、焼却施設、工場などで用いられるシステムである。以下では、監視制御システム1が水処理施設で用いられる場合を例にして説明する。
図1における監視制御システム1の構成は、既設の複数のコントローラ10を備えたシステムに新設のコントローラ40を追加したシステムの構成である。以下、設備機器50−1,50−2,…,50−L,51−1,51−2,51−Nに関して共通する事項を説明する際には、設備機器50と記載する。
【0008】
複数の設備機器50は、ポンプや、圧縮機、開閉ゲート、水位センサ、温度センサ、流量センサなどの水処理施設に備えられる機器である。設備機器50は、例えば予め定められた周期で又は要求に応じて、状態データをコントローラ10、40へ送信する。設備機器50は、接続されたコントローラ10又はコントローラ40へ状態データを送信する。
図1には、各コントローラ10、40に1つの設備機器50が接続された構成例が示されているが、各コントローラ10、40に複数の設備機器50が接続されていてもよい。状態データは、設備機器50に関する情報である。具体的には、状態データは、状態データを生成した設備機器50を一意に識別する識別情報、設備機器50の動作状態や故障の有無を示す情報、及び当該情報を生成した時刻を示す時刻情報を含む。設備機器50がセンサである場合、当該設備機器50から送信される状態データは、計測により得られた数値を示す情報を含む。
【0009】
コントローラ10、40は、予め定められた手順(プログラム)に基づいて、接続された設備機器50を制御する。コントローラ10、40は、接続された設備機器50から取得する状態データに基づいて、接続された設備機器50を制御する。また、コントローラ10、40は、接続された設備機器50を制御する際に、他のコントローラ10、40において取得された状態データを用いてもよい。コントローラ10、40は、制御用データを他のコントローラ10、40と送受信する。制御用データは、設備機器50を制御に関する情報であって、コントローラ10、40における正常/異常の状況を示す情報や状態データに基づいて生成された情報などを含む。コントローラ10、40は、前述の手順に基づいた制御に加えて、監視制御装置20から送信される制御指示に応じて、設備機器50を制御する。
【0010】
コントローラ10は、コントローラ40より先に監視制御システム1に備えられた、既設のコントローラである。各コントローラ10は、ネットワーク機器としてのハブ30及びハブ35とに接続される。ハブ30は、監視制御装置20、データサーバ装置25及びコントローラ40にも接続される。ハブ30は、監視制御ネットワークを構成する。ハブ35は、複数のコントローラ10に接続される。ハブ35は、コントローラ10同士を接続し、コントローラ10間における通信で用いられる制御用ネットワークを構成する。
【0011】
本実施形態では、監視制御ネットワーク及び制御用ネットワークは、ハブ30、35を接続点としたスター型のネットワーク・トポロジーをそれぞれ有するが、他のトポロジーを有していてもよい。監視制御ネットワークの通信規格と制御用ネットワークの通信規格とは異なる。制御用ネットワークには、例えばFL−NETなどの通信規格が用いられる。監視制御ネットワークには、例えば、接続された各ノードに対して順に送信機会が割り当てられるスキャン伝送が用いられる。監視制御ネットワーク及び制御用ネットワークは、通信の信頼性を高めるために、二重化されてもよい。
【0012】
コントローラ10は、他のコントローラ10へ状態データ又は制御用データを送信する場合、制御用ネットワークを介して状態データ又は制御用データを送信する。コントローラ10は、監視制御装置20、データサーバ装置25及びコントローラ40へ状態データを送信する場合、監視制御ネットワークを介して状態データを送信する。
【0013】
コントローラ40は、コントローラ10より後に監視制御システム1に備えられた、新設のコントローラである。各コントローラ40は、前述のように、ハブ30に接続される。コントローラ40は、監視制御ネットワークを介して、他のコントローラ40、監視制御装置20、データサーバ装置25及びコントローラ10へ状態データを送信する。また、コントローラ40は、監視制御ネットワークを介して、他のコントローラ10、40へ制御用データを送信する。コントローラ40は、状態データ又は制御用データを他のコントローラ40及びコントローラ10へ送信する際にも監視制御ネットワークを用いる。一方、コントローラ10は、前述のように、状態データ又は制御用データを他のコントローラ10へ送信する際には制御用ネットワークを用いており、コントローラ10とコントローラ40とは状態データ及び制御用データを送受信する際の通信の方式が異なる。
【0014】
データサーバ装置25は、コントローラ10、40から送信される状態データを受信し、受信した状態データを時系列で記憶する。状態データを時系列で記憶する記憶装置は、データサーバ装置25が備えてもよいし、データサーバ装置25に通信可能に接続された外部の装置であってもよい。データサーバ装置25は、受信した状態データを監視制御装置20へ、監視制御ネットワークで送信する。
【0015】
データサーバ装置25は、監視制御装置20から送信される制御指示を受信し、状態データと同様に時系列で記憶する。制御指示は、制御対象となる設備機器50を一意に識別する識別情報と、設備機器50に対する動作状態の変更や応答を要求する情報とを含む。制御指示は、制御対象となる設備機器50に接続されたコントローラ10、40を一意に識別するコントローラIDを含んでもよい。コントローラIDは、例えばコントローラ10、40それぞれに割り当てられるネットワーク・アドレスであってもよい。データサーバ装置25は、制御指示に含まれる識別情報で示される設備機器50を制御するコントローラ10、40へ、監視制御ネットワークで制御指示を送信する。
【0016】
監視制御装置20は、水処理施設を監視、運用する操作員による操作を受け付け、水処理施設の現在の状態及び状態の時系列を表示する。このとき、監視制御装置20は、データサーバ装置25から送信された状態データに基づいて、操作員に指定された種類の情報又は予め定められた種類の情報を表示する。また、監視制御装置20は、操作員による操作を受け付け、受け付けた操作に基づいて制御指示を生成する。監視制御装置20は、生成した制御指示をデータサーバ装置25へ、監視制御ネットワークで送信する。監視制御装置20は、データサーバ装置25を介して、各コントローラ10、40と状態データ及び制御指示の送受信を行う。
【0017】
監視制御装置20は、予め定められた設定値と状態データに含まれる測定値とを比較し、比較結果に基づいた通知や警告のメッセージを表示する。監視制御装置20は、メッセージをデータサーバ装置25へ送信することで、メッセージをデータサーバ装置25に蓄積させる。監視制御装置20は、操作員による操作を受け付け、状態データ、制御指示及びメッセージに基づいた履歴データの生成をデータサーバ装置25へ要求する。監視制御装置20は、データサーバ装置25で生成される履歴データを表示する。履歴データは、状態データ及び制御指示と同様に、データサーバ装置25に記憶される。履歴データは、帳票データや、メッセージと計測値との時系列を組み合わせたデータ、警報の時系列データなどを含む。
【0018】
図2は、本実施形態における既設のコントローラ10の構成例を示すブロック図である。コントローラ10は、通信部11、12と、メモリ13と、テーブル記憶部14と、制御部15とを備える。第1の通信部としての通信部11は、ハブ30に接続される。通信部11は、監視制御ネットワークを介して、監視制御装置20、データサーバ装置25及びコントローラ40と通信する。第2の通信部としての通信部12は、ハブ35に接続される。通信部12は、制御用ネットワークを介して、他のコントローラ10と通信を行う。
【0019】
メモリ13は、自コントローラ10から送信する状態データ及び制御用データと、他のコントローラ10及びコントローラ40から受信する状態データ及び制御用データと、監視制御装置20から受信する制御指示とを記憶する。メモリ13における記憶領域は、コントローラ10及びコントローラ40それぞれに重複なく割り当てられる部分記憶領域と、自コントローラ10に接続された設備機器50への制御指示を記憶する指示領域とを含む。他のコントローラ10及びコントローラ40から受信した状態データ及び制御用データは、送信元のコントローラ10又はコントローラ40に割り当てられた部分記憶領域に記憶される。自コントローラ10が接続された設備機器50から取得した状態データと、制御用データとは、自コントローラ10に割り当てられた部分記憶領域に記憶される。
【0020】
図3は、メモリ13における部分記憶領域及び指示領域の割り当て例を示す図である。メモリ13には、コントローラ10−1〜10−Lとコントローラ40−1〜40−Nとに対する部分記憶領域M10−1〜M10−L、M40−1〜M40−Nがそれぞれ割り当てられている。メモリ13には、部分記憶領域M10−1〜M10−L、M40−1〜M40−Nと異なる領域に、制御指示を記憶させる指示領域Minstrが割り当てられている。例えば、コントローラ10−1において、他のコントローラ10、40へ送信する状態データが部分記憶領域M10−1に記憶される。他のコントローラ10、40から受信する状態データが部分記憶領域M10−2〜M10−L、M40−1〜M40−Nに記憶される。
図2に戻り、コントローラ10の構成の説明を続ける。
【0021】
テーブル記憶部14には、監視制御ネットワークテーブル141と、制御用ネットワークテーブル142とが記憶されている。監視制御ネットワークテーブル141には、監視制御ネットワークに接続されているコントローラ40−1〜40−Nそれぞれから送信される状態データ及び制御用データを記憶するか否かを示す要否情報と、状態データ及び制御用データを記憶させる部分記憶領域を示すメモリアドレスとが記憶されている。制御用ネットワークテーブル142には、制御用ネットワークに接続されているコントローラ10−1〜10−Lそれぞれから送信される状態データ及び制御用データを記憶するか否かを示す要否情報と、状態データ及び制御用データを記憶させる部分記憶領域を示すメモリアドレスとが記憶されている。監視制御ネットワークテーブル141及び制御用ネットワークテーブル142のいずれにおいても、要否情報及びメモリアドレスは、コントローラ10、40ごとに記憶されている。
【0022】
図4は、監視制御ネットワークテーブル141に記憶されている要否情報及びメモリアドレスの一例を示す図である。監視制御ネットワークテーブル141は、コントローラIDと、記憶の要否と、メモリアドレスとの項目の列を有する。監視制御ネットワークテーブル141における行は、コントローラ40ごとに存在する。各行において、コントローラIDの項目には、コントローラ40を一意に識別するコントローラIDが記憶される。記憶の要否の項目には、同じ行のコントローラIDにて示されるコントローラ40から送信される状態データ及び制御用データを記憶するか否かを示す要否情報が記憶される。メモリアドレスの項目には、同じ行のコントローラIDにて識別されるコントローラ40から送信される状態データを記憶させる部分記憶領域を示すメモリアドレスが記憶される。状態データを記憶する必要がない場合、メモリアドレスの項目には有効なメモリアドレスが記憶されずともよい。
【0023】
図4に示す監視制御ネットワークテーブル141では、コントローラ40−1から送信される状態データ及び制御用データは記憶する必要があり、状態データ及び制御用データを記憶させる部分記憶領域M40−1のメモリアドレスがaddr(M40−1)であることが記憶されている。監視制御ネットワークテーブル141において、コントローラ40自身のコントローラIDに対応するメモリアドレスの項目にも、有効なメモリアドレスが記憶されている。
【0024】
図5は、制御用ネットワークテーブル142に記憶されている要否情報及びメモリアドレスの一例を示す図である。監視制御ネットワークテーブル141と同様に、制御用ネットワークテーブル142も、コントローラIDと、記憶の要否と、メモリアドレスとの項目の列を有する。制御用ネットワークテーブル142における行は、コントローラ10ごとに存在する。各行において、コントローラIDの項目には、コントローラ10を一意に識別するコントローラIDが記憶される。記憶の要否の項目には、同じ行のコントローラIDにて示されるコントローラ10から送信される状態データ及び制御用データを記憶するか否かを示す要否情報が記憶される。メモリアドレスの項目には、同じ行のコントローラIDにて識別されるコントローラ10から送信される状態データを記憶させる部分記憶領域を示すメモリアドレスが記憶される。状態データを記憶する必要がない場合、メモリアドレスの項目には有効なメモリアドレスが記憶されずともよい。
【0025】
図5に示す制御用ネットワークテーブル142では、コントローラ10−Lから送信される状態データ及び制御用データは記憶する必要があり、状態データ及び制御用データを記憶させる部分記憶領域M10−Lのメモリアドレスがaddr(M10−L)であることが記憶されている。制御用ネットワークテーブル142において、コントローラ10自身のコントローラIDに対応するメモリアドレスの項目にも、有効なメモリアドレスが記憶されている。
図2に戻り、コントローラ10の構成の説明を続ける。
【0026】
監視制御ネットワークテーブル141及び制御用ネットワークテーブル142に記憶される前述の情報は、通信部11、12が使用する。具体的には、通信部11は、他のコントローラ40から状態データ又は制御データを受信した場合、受信したデータの送信元を示すコントローラIDが含まれる行の情報を監視制御ネットワークテーブル141から読み出す。読み出した情報に含まれる要否情報が「必要」である場合、通信部11は、読み出した情報に含まれるメモリアドレスで示されるメモリ13の部分記憶領域に状態データ又は制御用データを記憶させる。要否情報が「不要」である場合、通信部11は、メモリ13に状態データを記憶させてもよいし、記憶させなくてもよい。
【0027】
通信部12は、他のコントローラ10から状態データ又は制御用データを受信した場合、受信したデータの送信元を示すコントローラIDが含まれる行の情報を制御用ネットワークテーブル142から読み出す。読み出した情報に含まれる要否情報が「必要」である場合、通信部12は、読み出した情報に含まれるメモリアドレスで示されるメモリ13の部分記憶領域に状態データ又は制御用データを記憶させる。要否情報が「不要」である場合、通信部12は、メモリ13に状態データ又は制御用データを記憶させてもよいし、記憶させなくてもよい。
【0028】
通信部11、12は、状態データ又は制御用データを受信した場合、受信したデータの送信元と、監視制御ネットワークテーブル141又は制御用ネットワークテーブル142とに基づいて、受信したデータを記憶させる部分記憶領域を選択する。
【0029】
通信部11は、受信した制御指示が自コントローラ10を宛先とする場合、又は受信した制御指示が自コントローラ10に接続された設備機器50の識別情報を含む場合、メモリ13における指示領域に記憶させる。通信部11は、制御指示の宛先が自コントローラ10でなく、且つ自コントローラ10に接続された設備機器50の識別情報を制御指示が含まない場合、受信した制御指示をメモリ13の指示領域に記憶させない。
【0030】
第1の制御部としての制御部15は、自コントローラ10に接続された設備機器50から状態データを取得し、取得した状態データをメモリ13に記憶させる。また、制御部15は、状態データ又は自コントローラ10の状態に基づいて、制御用データを生成し、制御用データをメモリ13に記憶させる。状態データ及び制御用データを記憶させる領域は、メモリ13において自コントローラ10に割り当てられた部分記憶領域である。制御部15は、メモリ13における指示領域から制御指示を読み出し、読み出した制御指示に基づいて設備機器50を制御する。制御部15は、予め定められた手順(プログラム)とメモリ13に記憶されている状態データとに基づいて、設備機器50を制御する。
【0031】
自コントローラ10に割り当てられた部分記憶領域に記憶される状態データ及び制御データは、通信部12により他のコントローラ10へ送信され、通信部11によりコントローラ40へ送信される。また、状態データは、通信部11により監視制御装置20及びデータサーバ装置25へ送信される。通信部11は、監視制御装置20及びデータサーバ装置25へ状態データを送信する場合と、コントローラ40へ状態データ及び制御データを送信する場合とにおいて異なるマルチキャスト・アドレスを用いる。コントローラ40と共有する状態データ及び制御用データの送信には、コントローラ40を含むマルチキャスト・アドレスが用いられる。監視制御装置20及びデータサーバ装置25宛の状態データの送信には、監視制御装置20及びデータサーバ装置25を含み、かつコントローラ40を含まないマルチキャスト・アドレスが用いられる。通信部11、12は、自コントローラ10に割り当てられた部分記憶領域に記憶される状態データが更新された後に送信権を獲得すると、状態データ及び制御用データの送信を行う。
【0032】
図6は、本実施形態における新設のコントローラ40の構成例を示すブロック図である。コントローラ40は、通信部41と、メモリ43と、監視制御ネットワークテーブル44と、制御部45とを備える。通信部41は、ハブ30に接続される。第3の通信部としての通信部41は、監視制御ネットワークを介して、監視制御装置、データサーバ装置25、コントローラ10及び他のコントローラ40と通信する。
【0033】
メモリ43は、コントローラ10におけるメモリ13と同様に、自コントローラ40から送信する状態データ及び制御用データと、コントローラ10及び他のコントローラ40から受信する状態データ及び制御用データと、監視制御装置20から受信する制御指示とを記憶する。メモリ43における記憶領域は、コントローラ10及びコントローラ40それぞれに重複なく割り当てられる部分記憶領域と、自コントローラ40に接続された設備機器50への制御指示を記憶する指示領域とを含む。コントローラ10及び他のコントローラ40から受信した状態データ及び制御用データは、送信元のコントローラ10又はコントローラ40に割り当てられた部分記憶領域に記憶される。自コントローラ40が接続された設備機器50から取得した状態データは、自コントローラ40に割り当てられた部分記憶領域に記憶される。自コントローラ40において生成される制御用データも、自コントローラ40に割り当てられた部分記憶領域に記憶される。メモリ43における各コントローラ10、40に対する部分記憶領域と指示領域との割り当ては、
図3に示したメモリ13における部分記憶領域と指示領域との割り当てと同様である。
【0034】
監視制御ネットワークテーブル44は、コントローラ10における監視制御ネットワークテーブル141及び制御用ネットワークテーブル142と同様に、要否情報とメモリアドレスとが記憶されている。監視制御ネットワークテーブル44には、要否情報及びメモリアドレスがコントローラ10、40ごとに記憶されている。コントローラ40に備えられる監視制御ネットワークテーブル44と、コントローラ10に備えられる監視制御ネットワークテーブル141との差は、コントローラ10に対するコントローラID、記憶の要否、メモリアドレスの有無である。
【0035】
通信部41は、他のコントローラ10、40から状態データ又は制御用データを受信した場合、状態データ又は制御用データの送信元を示すコントローラIDが含まれる行の情報を監視制御ネットワークテーブル44から読み出す。読み出した情報に含まれる要否情報が「必要」である場合、通信部41は、読み出した情報に含まれるメモリアドレスで示されるメモリ43の部分記憶領域に状態データ又は制御用データを記憶させる。要否情報が「不要」である場合、通信部41は、メモリ43に状態データ又は制御用データを記憶させてもよいし、記憶させなくてもよい。
【0036】
通信部41は、受信した制御指示が自コントローラ40を宛先とする場合、又は受信した制御指示が自コントローラ40に接続された設備機器50の識別情報を含む場合、メモリ43における指示領域に記憶させる。通信部41は、制御指示の宛先が自コントローラ40でなく、且つ自コントローラ40に接続された設備機器50の識別情報を制御指示が含まない場合、受信した制御指示をメモリ43の指示領域に記憶させてもよいし、記憶させなくてもよい。
【0037】
第2の制御部としての制御部45は、自コントローラ40に接続された設備機器50から状態データを取得し、取得したデータをメモリ43に記憶させる。また、制御部45は、状態データ又は自コントローラ40の状態に基づいて、制御用データを生成し、制御用データをメモリ13に記憶させる。状態データ及び制御用データを記憶させる領域は、メモリ43において自コントローラ40に割り当てられた部分記憶領域である。制御部45は、メモリ43における指示領域から制御指示を読み出し、読み出した制御指示に基づいて設備機器50を制御する。制御部45は、予め定められた手順(プログラム)とメモリ43に記憶されている状態データとに基づいて、設備機器50を制御する。
【0038】
自コントローラ40に割り当てられた部分記憶領域に記憶される状態データ及び制御データは、通信部41によりコントローラ10及び他のコントローラ40へ送信される。また、状態データは、通信部41により監視制御装置20及びデータサーバ装置25へ送信される。通信部41は、監視制御装置20及びデータサーバ装置25へ状態データを送信する場合と、コントローラ10、40へ状態データ及び制御用データを送信する場合とにおいて異なるマルチキャスト・アドレスを用いる。通信部41が用いる2つのマルチキャスト・アドレスは、通信部11が用いる2つのマルチキャスト・アドレスと同じである。通信部41は、自コントローラ40に割り当てられた部分記憶領域に記憶される状態データ及び制御用データが更新された後に送信権を獲得すると、状態データの送信を行う。
【0039】
新設のコントローラ40を備えた監視制御システム1において、既設のコントローラ10に備えられる通信部11が、監視制御ネットワークで新設のコントローラ40へ状態データ及び制御用データを伝送する。一方で、通信部12が、制御用ネットワークで既設のコントローラ10への状態データ及び制御用データを伝送する。既設のコントローラ10に備えられる通信部11、12がこのように動作することにより、監視制御システム1に新設のコントローラ40を追加しても、コントローラ10とコントローラ40とを接続するゲートウェイ装置を備える必要がない。本実施形態によれば、ゲートウェイ装置の追加を省くことができ、ゲートウェイ装置の設置に伴う工数の増加、装置数の増加に伴う故障発生確率の増加及びコスト増加を抑えることができる。
【0040】
また、既設のコントローラ10は、互いに状態データ及び制御用データを共有する際に制御用ネットワークを用いるため、新設のコントローラ40が追加されたとしても、追加前の動作を継続できる。すなわち、既設のコントローラ10に対する変更を抑えることができ、新設のコントローラ40の追加により生じる監視制御システム1全体における変更、変更に伴うコストの増加を抑えることができる。
【0041】
また、コントローラ10、40が、監視制御ネットワークで状態データ又は制御用データを送信する際に、宛先に応じてマルチキャスト・アドレスを使い分けることにより、コントローラ10、40は、受信した状態データ又は制御用データに対する処理を軽減することができる。2つのマルチキャスト・アドレスが使い分けられることにより、通信部11、41の負担が軽減される。この通信負荷の軽減により、既設のコントローラ10における通信部11の処理能力が低い場合においても、コントローラ40の追加が可能になる。また、マルチキャスト・アドレスを使い分けることにより、ゲートウェイ装置の追加を行わずとも、監視制御ネットワークを介した既設のコントローラ10と新設のコントローラ40とにおける通信と、監視制御ネットワークを介したコントローラ10、40と監視制御装置とにおける通信とが可能になる。
【0042】
以下、既設のコントローラ10を新設のコントローラ40にて置き換える際の工程について説明する。
図7は、コントローラ置き換えの対象となる監視制御システム1aの構成例を示すブロック図である。監視制御システム1aは、監視制御装置20−1、20−2と、データサーバ装置25と、コントローラ10−1〜10−3と、ハブ30、35と、設備機器50−1〜50−3とを備える。コントローラ10−1〜10−3には、設備機器50−1〜50−3がそれぞれ接続されている。新設のコントローラ40には、設備機器51−1が接続されている。既設のコントローラ10−2が新設のコントローラ40により置き換えられる。
【0043】
図8は、既設のコントローラ10−2が新設のコントローラ40−1により置き換えられた後の監視制御システム1aの構成を示すブロック図である。監視制御システム1aには、コントローラ40−1が追加され、コントローラ10−2が撤去されている。以下、
図7に示した監視制御システム1aの構成を
図8に示した監視制御システム1aの構成に変更する工程を説明する。
【0044】
図9は、監視制御システム1aの構成を変更する工程を示すフローチャートである。コントローラの置き換えが開始されると、新設のコントローラ40−1が所定の位置に設置され、新設のコントローラ40−1がハブ30に接続される(ステップS101)。置き換えの対象となるコントローラ10−2に対して割り当てられているコントローラIDがコントローラ40−1に対して割り当てられる(ステップS102)。コントローラ40−1は、コントローラIDの重複による不具合の発生を避けるために、コントローラ10−2が存在する期間において送信は行わない。
【0045】
各コントローラ10が状態データを他のコントローラ10と共有する際に、制御用ネットワークと監視制御ネットワークとの両方に状態データを送信するようにコントローラ10の動作が変更される(ステップS103)。具体的には、通信部12が制御用ネットワークに状態データを送信する際に、通信部11も監視制御ネットワークに状態データを送信する動作を行うように、通信部11の設定が変更される。状態データ及び制御用データを共有するための送信において、通信部11は、コントローラ40のネットワーク・アドレスを含み、監視制御装置20及びデータサーバ装置25のネットワーク・アドレスを含まないマルチキャスト・アドレスを用いる。
【0046】
コントローラ10−2が、ハブ30及びハブ35との接続を解除される(ステップS104)。コントローラ10−2が制御していた設備機器50−2の接続先をコントローラ40−1へ切り替える(ステップS105)。この時点において、コントローラ40−1は、送信を行うようにしてもよい。コントローラ10−2は、ハブ30及びハブ35と設備機器50−2との接続が解除された後、監視制御システム1aから撤去され(ステップS106)、コントローラの置き換えが終了する。
【0047】
本実施形態の監視制御システムによれば、既設のコントローラ10が新設のコントローラ40に置き換えられる場合、置き換えの対象以外のコントローラ10において通信部11の動作のみを変更すればよい。また、コントローラ10−2のコントローラIDをコントローラ40−1に割り当てることにより、コントローラ10のメモリ13における部分記憶領域を新たに割り当てるなどの変更を加える必要がない。このように、コントローラ10における変更を少なくすることにより、監視制御システムの安定性を維持しつつ、短い工期でコントローラの置き換えを行うことができる。また、本実施形態の監視制御システムは、既設のコントローラ10と通信の方式が異なるコントローラ40を追加する場合において、コントローラ10とコントローラ40とを接続するゲートウェイ装置を設ける必要がないため、コントローラ40の追加に伴う故障発生確率及びコストの増加を抑えることができる。
【0048】
図10、
図11は、
図7に示した監視制御システム1aの構成を
図8に示した監視制御システム1aの構成に変更した際の監視制御ネットワークテーブル141、制御用ネットワークテーブル142の変更例を示す図である。
図10、
図11に示す監視制御ネットワークテーブル、制御用ネットワークテーブルは、コントローラ10−1及びコントローラ10−3に備えられるテーブル記憶部14に記憶されているテーブルである。
図10に示す監視制御ネットワークテーブル141は、変更後の状態である。新たに備えられた新設のコントローラ40−1に割り当てられたコントローラ10−2のIDと、要否情報と、メモリアドレスとが記憶されている。変更前の状態は、監視制御ネットワークテーブル141には、何も記憶されていない状態である。
図11に示す制御用ネットワークテーブル142は、変更後の状態である。撤去されたコントローラ10−2に関する情報が削除されている。
【0049】
このように、コントローラ10−1、10−3に備えられる監視制御ネットワークテーブル141、制御用ネットワークテーブル142に記憶される情報が更新されることにより、コントローラ10−2に対して割り当てられていた部分記憶領域を、コントローラ40−1から受信する状態データ及び制御用データの記憶に用いることができる。部分記憶領域の新たな割り当てや、割り当ての変更を行う必要がないため、コントローラ10−1、10−3に対する設定の変更を削減することができる。
【0050】
なお、
図8に示す監視制御システム1aの構成において、更に、コントローラ10−1を破線にて示すコントローラ40−2に置き換える場合には、制御用ネットワークと監視制御ネットワークとの両方に状態データを送信するように既設のコントローラ10の動作が既に変更されているので、ステップS103の工程を省いてもよい。この場合、コントローラ10−1のIDをコントローラ40−2に割り当てることにより、コントローラ40−1は、コントローラ40−2から受信する状態データ及び制御用データを、コントローラ10−1に割り当てられていた部分記憶領域へ記憶させる。このように、既設のコントローラ10−1のコントローラIDを新設のコントローラ40−2へ割り当てることにより、コントローラ40−1に備えられるメモリ43における部分記憶領域の割り当て変更が不要である。また、コントローラ40−1に備えられる監視制御ネットワークテーブル141における変更も不要である。すなわち、コントローラ10−1をコントローラ40−2へ置き換える場合において、コントローラ40−1に変更を加える必要がない。したがって、置き換えにより備えられたコントローラ40−1における変更が不要であり、工数の増加を抑えることができる。また、コントローラ40−2に備えられるメモリ43における部分記憶領域の割り当ては、コントローラ10−1に備えられるメモリ13における部分記憶領域の割り当てと同じ割り当てを用いることができ、新たな設定などの検討が不要である。
【0051】
次に、
図7に示した監視制御システム1aの構成に新設のコントローラ40及び設備機器51を追加する際の工程について説明する。
図12は、新設のコントローラ40−1及び設備機器51−1が追加された後の監視制御システム1aの構成を示す図である。以下、
図7に示した監視制御システム1aの構成を
図12に示した監視制御システム1aの構成に変更する工程を説明する。
【0052】
図13は、監視制御システム1aにコントローラ40及び設備機器51を追加する工程を示すフローチャートである。コントローラ及び設備機器の追加が開始されると、コントローラ40−1及び設備機器51−1が所定の位置にそれぞれ設置される(ステップS201)。設備機器51−1は、コントローラ40−1に接続される。コントローラ40−1は、ハブ30に接続される。
【0053】
コントローラ40−1に対してコントローラ10−1〜10−3と重複しないコントローラIDが割り当てられる(ステップS202)。各コントローラ10が状態データを他のコントローラ10と共有する際に、制御用ネットワークと監視制御ネットワークとの両方に状態データを送信するように各コントローラ10の動作が変更される(ステップS203)。ステップS203における変更は、
図9におけるステップS103と同じである。各コントローラ10の動作が変更されることにより、コントローラ40−1は、コントローラ10−1〜10−3から送信される状態データを記憶して共有することが可能になる。
【0054】
コントローラ10−1〜10−3において、監視制御ネットワークテーブル141にコントローラ40−1に対応する行を加える変更が行われる(ステップS204)。監視制御ネットワークテーブル141の変更は、具体的には、監視制御ネットワークテーブル141に加えられた行の各項目に次の情報が記憶される。コントローラIDの項目にはコントローラ40−1のコントローラIDが記憶される。記憶の要否の項目にはコントローラ40−1から送信される状態データの要否に応じて「必要」又は「不要」が記憶される。メモリアドレスの項目にはコントローラ40−1の状態データを記憶する部分記憶領域を示すメモリアドレスが記憶される。
【0055】
監視制御ネットワークテーブル141の変更が完了することにより、コントローラ10−1〜10−3は、コントローラ40−1から送信される状態データを記憶して共有することが可能になり、コントローラ40及び設備機器51の追加が終了する。
【0056】
本実施形態の監視制御システムによれば、新たにコントローラ40及び設備機器51を追加する場合、既設のコントローラ10間において状態データ及び制御用データを共有するための動作及び設備機器50との接続などに変更を加える必要がない。このように、既設のコントローラ10における変更を少なくすることにより、監視制御システムの安定性を維持しつつ、短い工期でコントローラ及び設備機器の追加を行うことができる。
【0057】
なお、
図12に示す監視制御システム1aの構成においてコントローラ40及び設備機器51を更に追加する際には、ステップS204の工程において、コントローラ40−1における監視制御ネットワークテーブル44にも追加されるコントローラ40に対応する行を加える変更が行われる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の監視制御システムによれば、既設のコントローラ10及びハブ30(監視制御ネットワーク)において、追加されるコントローラ40に関係する変更を行えばよい。すなわち、コントローラ10間の通信やコントローラ10と監視制御装置20との通信などの既存の部分に対して、変更を加える必要がない。監視制御システム1は、コントローラ40及び設備機器51の追加に際して変更が必要となる部分の増加を抑えることができるので、コントローラ40の追加に伴う工期を短縮でき、故障発生確率及びコストの増加を抑えることができる。
【0059】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、監視制御ネットワークで新設のコントローラ40へ状態データを伝送する通信部11と、制御用ネットワークで既設のコントローラ10への状態データを伝送する通信部12とをコントローラ10が持つことにより、新設のコントローラ40の追加に際してコントローラ10とコントローラ40とを接続するゲートウェイ装置を備える必要がなくなり、故障発生確率の増加及びコスト増加を抑えることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。