特許第6906319号(P6906319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特許6906319色制御のための基準色値を自動的に生成する方法
<>
  • 特許6906319-色制御のための基準色値を自動的に生成する方法 図000002
  • 特許6906319-色制御のための基準色値を自動的に生成する方法 図000003
  • 特許6906319-色制御のための基準色値を自動的に生成する方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906319
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】色制御のための基準色値を自動的に生成する方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20210708BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20210708BHJP
   B41F 33/02 20060101ALI20210708BHJP
   B41M 1/06 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   B41F33/00 246
   B41J29/393 107
   B41F33/00 238
   B41F33/00 234
   B41F33/02 Z
   B41M1/06
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-17551(P2017-17551)
(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公開番号】特開2017-140835(P2017-140835A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】10 2016 201 543.5
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ウッター
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−229295(JP,A)
【文献】 特開2008−254446(JP,A)
【文献】 特表2004−536730(JP,A)
【文献】 米国特許第06018385(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0145018(US,A1)
【文献】 特開2001−219540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00−33/18
H04N 1/46
B41M 1/00
B41J 29/00−29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ(4)により印刷機(3)の色制御のための基準色値(7)を自動的に生成する方法であって、
前記印刷機(3)の調整の範囲内で、所定の印刷ジョブに対して、第1の印刷プロセスを実施し、分光測色計を用いて、印刷ジョブに存在する各々の印刷インキ(8,9,10,11,12)に対する色彩値(16)を求める、方法であって
前記コンピュータ(4)は、使用される全ての印刷インキ(8,9,10,11,12)に対して、自動的に、所定の印刷インキ(8,9,10,11,12)の、ジョブ開始時に基づく目標色値(15)に対して最小のずれを有する色彩値(16)を選択し、該色彩値(16)を、前記印刷インキ(8,9,10,11,12)のための新たな基準値(7)として記憶する方法において、
前記色彩値(16)に追加して、使用される印刷インキの色濃度値(18)を、分光計により、または択一的に濃度計もしくは分光計と濃度計とを有するコンビネーション測定ヘッドにより求め、
前記分光計が、各々の色ゾーンにおける各々の前記印刷インキ(8,9,10,11,12)に対する色彩値(16)および色濃度値(18)を求め、次いで前記コンピュータ(4)が、前記印刷インキ(8,9,10,11,12)に対して、求められた前記値(16,18)がジョブ開始時に基づく目標色値(15)に対して最小のずれを有する色ゾーンを選択する、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
その都度使用される前記印刷インキ(8,9,10,11,12)のCIE−Lab値としての、選択された前記基準色値(7)の他に、被印刷物のCIE−Lab値およびその都度使用される前記印刷インキ(8,9,10,11,12)に対する色濃度値も色セット(19,19’)として記憶する、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記印刷機(3)は、枚葉オフセット印刷機である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータ(4)は、表示機器を介して、ユーザ(1)に、使用される全ての前記印刷インキ(8,9,10,11,12)に対する相応の基準色値(16)と相応の色濃度値(18)とを有する全ての色ゾーンを表示し、選択された前記色ゾーンは、視覚的にマーキングされているとともに、前記ユーザ(1)に、使用される全ての前記印刷インキ(8,9,10,11,12)に対する入力手段を介して、手動で、別の色ゾーンを選択するかつ/または選択された前記色ゾーンに対して求められた基準色値(16)と色濃度値(18)とを変更する可能性を与える、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
色ゾーンの他に、在の印刷ジョブに対するジョブデータを表示し、求められた基準色値(16)と色濃度値(18)とを有する、生成された色セット(19,19’)を、顧客名称またはジョブ番号の下で、局所的に、前記コンピュータ(4)またはデータバンク(5)に記憶する、請求項記載の方法。
【請求項6】
第1の方法ステップで、前記コンピュータ(4)により、使用される前記印刷インキに対する標準基準色値を、データバンクに記憶された色セット(17)から読み出して使用し、次いで、標準基準色値に基づき、新たな基準色値(16)および色濃度値(18)を生成する、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
印刷ジョブに存在する各々の前記印刷インキ(8,9,10,11,12)に対する、基準値を生成するために求められる色彩値(16)および色濃度値(18)を、印刷ジョブを処理するための実際の色制御の間に求められる色値と同一の分光計もしくは濃度計または同一の色測定システムのコンビネーション測定ヘッドを用いて、印刷プロセスの同一の時点で求める、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷物を加工する機械において色制御ための基準色値を自動的に生成する方法に関する。
【0002】
本発明は、電子再現技術の技術分野に位置するものである。
【0003】
各々の印刷プロセスでは、印刷ジョブを実行する前に、色値の調整を較正しなければならない。これは、従来のオフセット印刷からデジタル印刷までの現在のあらゆる種類の印刷プロセスに当てはまる。この場合、色調整の較正は、印刷工により手動で行っても、印刷機における制御コンピュータにより自動的に行ってもよい。この場合、較正の原理は、それ自体の実行の方式にかかわらず常に同じである。しかし、現在の印刷機では、効率化の理由から、較正は、常にコンピュータ制御して行われる。使用される印刷インキの色値を較正するために、各色に対する特性曲線、いわゆるプリセット特性曲線が使用され、その際、これらの特性曲線は、デジタルのデータバンクに記録され、このデータバンクへのアクセスを有する、印刷機の制御コンピュータに提供される。この場合、色プリセット特性曲線は、新たな印刷ジョブが始動するとき、印刷機のインキ装置におけるインキ制御のために必要とされる。印刷ジョブの始動時、通常は、色測定機器により、結果として生じる、つまり印刷済みの印刷基板上の色値が求められ、色測定システムに関して格納された目標色値と比較される。結果として生じる色値と目標色値との間のずれに基づき、制御コンピュータまたは制御コンピュータを操作する印刷工は、相応のずれを認識し、これにより、その都度使用される色プリセット特性曲線の不足を推測することができる。それに基づき、印刷工は、色プリセット特性曲線を修正し、その変化が、結果として生じる印刷済みの色値が目標値に近似するかチェックする。このプロセスは、特性曲線の学習と称される。
【0004】
印刷機において特性曲線を学習するそのような方法の一例は、独国特許出願公開第102008013744号明細書に開示されている。この方法は、検出された測定値を、得ようとする色目標値と比較し、検出された測定値のばらつきを検出し、ばらつきが色目標値付近の許容される許容範囲内にある場合、制御コンピュータが、経過する印刷ジョブために使用される色プリセット特性曲線を適合させるかつ記憶するための信号を生成することを特徴としている。
【0005】
しかし、この開示された、特性曲線を学習する方法から、直接に、以下の認識が導き出される。すなわち、色プリセット特性曲線の最適な経過に対する、はじめに使用される色プリセット特性曲線の間隔が大きいほど、目標色値に対してできるだけ小さな間隔を達成するために、はじめに使用される色プリセット特性曲線をより大きく修正しなければならない。それゆえ、特性曲線学習プロセスもより長くなり、ひいては損紙に関する材料消費もより増える。
【0006】
公知先行技術において、この観点から、公知先行技術に従って最適化された色プリセット特性曲線が未だ存在しない新しい印刷インキの特性曲線学習の開始時、いわゆるグリーンポイント−特性曲線が使用されることが知られている。このグリーンポイント−特性曲線は、新しい印刷インキに適合されていない、かつ多くの場合には使用される固有の印刷機にも適合されていない初期設定−特性曲線である。このグリーンポイント−初期設定−特性曲線の使用により、公知先行技術において、損紙が大幅に増加するより遅い色調整の結果を伴う、新しい印刷インキに対する長い特性曲線学習−プロセスの問題が生じる。
【0007】
実際に、印刷工にとって色基準値の記憶は面倒で煩雑であるという問題が生じる。というのも、記憶は、たいてい手動で各色に対して個別に行わなければならないからである。これにより、色基準値が、印刷開始時、印刷条件に適合されていなおらず、それが、損紙の増加および所要時間の増加に関する前述の問題をもたらしてしまう。
【0008】
さらに操作が、極めて複雑である。所望の色彩が得られると、印刷工は、最良の色彩を有する色ゾーンを記憶または記録しなければならない。その後で、印刷工は、操作面から離れて、サービスメニューで、色アーカイブを開いて、基準値セットを新たに作成し、そこで色を新たに測定しなければならない。紙色で始まり、その後で印刷インキに関して行われる。この作業方式を使いこなすには、印刷工の広範囲で面倒な訓練が必要である。別の問題は、色彩が、吸収特性および乾燥特性により、記憶された値が濡れた状態の印刷インキの結果にもはや対応しなくなるまで変化することである。これにより、その値は、限定的にしか使用できない。
【0009】
この時点で、印刷工は、印刷プロセスに注意を払うことができない、またはわずかに注意を払うことしかできない。したがって、印刷工は、プロセス監視がおろそかになるリスクを冒さなければならない、または、印刷工は、生産を中断しなければならない。したがってその両方を回避するために、多くの場合、新しい色を用いた印刷の開始前の基準値の適合が断念され、印刷条件に対する適合が不足した状態で、適切に適合された特性曲線または色基準値の場合に当てはまるよりも極めて高い調整の手間(相応の所要時間および損紙発生を伴う)をもって運転しなければならない印刷機の色制御があてにされる。
【0010】
さらに、これまで印刷所における色測定システムは、新しい基準値が、専ら手動で先行する測定から引き継がれることができるように働く。そのために、個々の色を同じく手動で特定しなければならない。印刷工は、どの色ゾーンに最適な色彩が得られるのか記録しなければならない。そのために、印刷工は、様々な色ゾーンおよび色ゾーンの色彩値の選択により、数値的な表示に基づく最良の結果を検証しなければならない。
【0011】
基準値を対応する箇所で手動で入力するまたは読み込む他の可能性が存在するが、その基準値は、実際に印刷されたインキに対応しない。この基準値は、まず印刷所の色彩特性に適合させなければならない近似値を成すだけである。パントンおよびHKSの色アーカイブならびに包装印刷で一般的な数値設定も知られている。
【0012】
測色値に基づいてしか、ISO12647−2などの国際規格や部門を越える色基準の情報伝達を満たすことができないことも重要である。しかし多くの場合、公知先行技術では、色制御のために色濃度値しか使用されない。情報伝達および品質保証にとって必須である、測色値に基づく、説得力のある色基準の記憶は、そのようなシステムでは、追加的な手間をかけて行うことしかできない。
【0013】
加えて、手動の操作ステップにより、全てのシステムにおいてエラーが極めて生じやすい。事後の測定、名称の追加および被印刷物の追加は、誤った入力が行われ、これにより基準値セットが後でもはや見つからなくなるおそれを高める。さらに、印刷インキは、その時点まで変化し、これが、後の利用に際して同様に印刷に問題を生じさせる。したがって、特性曲線および色基準値を有する相応に作成された色アーカイブの色セットに対する、顧客名称またはジョブ番号や紙パラメータなどの顧客固有のデータの自動的な割当てが、印刷機の設定プロセスの効率も高めるであろう。
【0014】
したがって本発明の課題は、相応の多くの損紙を伴う、被印刷物を加工する機械の長い手動の調整プロセスを必要としない、被印刷物を加工する機械における色制御のための基準色値を自動的に生成する方法を開示することにある。
【0015】
この課題の本発明による解決手段によれば、コンピュータにより印刷機の色制御のための基準色値を自動的に生成する方法であって、この方法は、印刷機の調整の範囲内で、所定の印刷ジョブに対して、第1の印刷プロセスを実施し、分光測色計を用いて、印刷ジョブに存在する各々の印刷インキの色彩値を求める、方法において、コンピュータは、使用される全ての印刷インキに対して、自動的に、所定の印刷インキの、ジョブ開始時に基づく目標色値に対して最小のずれを有する色彩値を選択し、色彩値を、印刷インキのための新たな基準値として記憶することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る方法の核心は、印刷機の調整時、新しい、以前に使用されなかった色を用いた印刷プロセスに対して、標準−基準色値が使用されることにある。この場合、標準−基準色値は、新しい色に対する標準の較正特性曲線から生じる。次いで、試し刷りに際して、分光測色計を介して求められる、この色に対する色彩値が、印刷前段階から知られた目標色値または目標値と比較される。前段階から知られた目標色値に最も近似する色彩値が引き継がれる。この場合、引き継がれた色彩値は、この色に対する新しい基準値とみなされ、新しい基準値を用いて、色制御または色調整が実施される。
【0017】
方法の有利であり、したがって好適な改良態様は、付属の従属請求項と、付属の図面に関する記述とから明らかである。
【0018】
この場合、本発明に係る方法の好適な改良態様によれば、色彩値に追加して、使用される印刷インキの色濃度値も、分光計により、または択一的に濃度計もしくは分光計と濃度計とを有するコンビネーション測定ヘッドにより求める。
【0019】
最適な色制御のために、使用されるインキの色濃度値も必要であるので、CIE L***などの測色値の他に、追加的に色濃度値が使用される。この場合、色濃度値の検出は、同様に分光計により行ってもよく;分光計が色濃度値を検出することができない場合、択一的に濃度計の使用または分光計と濃度計とを有するコンビネーション測定ヘッドの使用も可能である。
【0020】
この場合、本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、選択される基準色値は、被印刷物のCIE−Lab値と、その都度使用される印刷インキのCIE−Lab値と、その都度使用される印刷インキに対する色濃度値とから成る。
【0021】
印刷機の完全なプリセットのために、使用される印刷インキの色彩値だけではなく、その都度使用される被印刷物の色彩値も必要である。というのも、理論上、結果として生じる色彩値は、インキ+被印刷物の両方の色彩値だけから形成することができるからである。前述の色濃度値も、基準色値または記憶されるべき色セットの一部である。色セットとは、ここでは印刷プロセスにおける所望の色彩を得るための基準値のまとまりと解される。
【0022】
この場合、本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、印刷機は、枚葉オフセット印刷機である。
【0023】
本発明に係る方法の主要使用範囲は、オフセット印刷機、特に枚葉オフセット印刷機である。
【0024】
この場合、本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、分光測色計が、各々の色ゾーンにおける各々の印刷インキに対する色彩値および色濃度値を求め、次いでコンピュータが、印刷インキに対して、求められた値がジョブ開始時に基づく目標色値に対して最小のずれを有する色ゾーンを選択する。
【0025】
分光測色計または濃度計もしくはコンビネーション測定ヘッドを用いて求められる色彩値および色濃度は、一度テーマごとに検出されるだけではなく、各々の色ゾーンに対してデータセットが求められ、次いでそれぞれ、各々の色ゾーンの、目標色値に最も近似する色彩値が、新しい印刷インキに対して引き継がれる。
【0026】
この場合、本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、コンピュータは、表示機器を介して、ユーザに、使用される全ての印刷インキに対する相応の基準色値を有する全ての色ゾーンを表示し、その際、選択された色ゾーンは、視覚的にマーキングされているとともに、ユーザに、使用される全ての印刷インキに対する入力手段を介して、手動で、別の色ゾーンを選択するかつ/または選択された色ゾーンに対して求められた基準色値を変更する可能性を与える。
【0027】
各々の色ゾーンに対して求められた色彩値は、印刷工に、表示機器上で相応に処理されて表示される。この場合、目標色値に最も近似する、色ゾーンの、自動的に求められた色彩値は、視覚的にマーキングされる。印刷工は、自動的に求められた色彩値を引き継ぐかまたは別の色ゾーンの色彩値を使用するのか決定することができる。印刷工は、数値の入力により、色彩値を、完全に新しい色彩値に変えることもできる。印刷工が方法により自動的に求められる色彩値を信頼する場合、この方法ステップが選択的であることも考えられる。
【0028】
本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、色ゾーンの他に、顧客名称、ジョブ番号、使用される紙種および紙等級などの現在の印刷ジョブに対するジョブデータを表示し、生成された基準色値を、顧客名称またはジョブ番号の下で、局所的に、コンピュータまたはデータバンクに記憶する。
【0029】
方法を効率的に管理しかつ処理するために、使用される紙種および紙等級などの現在の印刷ジョブに対するジョブデータが印刷工に表示され、生成された基準色値が、顧客名称またはジョブ番号の下に記憶される。これは、局所的に制御コンピュータで行っても、制御コンピュータに提供されるデータバンクで行ってもよい。後者では、生成された基準色セットが、同一の種類の別の色測定システムにも提供される。
【0030】
この場合、本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、第1の方法ステップで、コンピュータにより、使用される印刷インキに対する標準基準色値を、データバンクに記憶された色セットから読み出して使用し、次いで、標準基準色値に基づき、新たな基準色値を生成する。
【0031】
総じてまず印刷機の調整に対して最初の試し刷りを行うために、初期設定値を、グリーン−ポイント−特性曲線と称される基準色値に対して使用しなければならない。これは、データバンクから読み出され、その際、常に、標準色セットを、局所的に、コンピュータに設けておかなければならない。択一的に、初期設定値は、もちろんリモートで記憶された色アーカイブに起源してもよい。
【0032】
この場合、本発明に係る方法の別の好適な改良態様によれば、印刷ジョブに存在する各々の印刷インキに対する、基準値を生成するために求められる色彩値および色濃度値を、印刷ジョブを処理するための実際の色制御の間と同一の分光計もしくは濃度計または同一の色測定システムのコンビネーション測定ヘッドを用いて、印刷プロセスの同一の時点で求める。
【0033】
実際の色制御のためにも使用される色測定システム、ここでは好適には分光測色計の使用は、一方では、手持ち式分光計または手持ち式濃度計などの追加的な測定機器を使用しなくてよいという利点を有する。他方では、色は、測定の時点で、正に、たとえば色彩値に関して、今後の全ての測定および調整が実際の色制御の範囲内で行われる状態にある。これは、色が後で再測定され、既に紙に拡散されているまたは酸化乾燥されている場合には得られない。
【0034】
本発明に係る方法および方法の機能的に好適な改良態様を、以下、付属の図面に関して、少なくとも1つの好適な実施の形態に基づいて詳しく説明する。図面において、互いに対応する要素には、それぞれ同一の符号を設けてある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】生成される色基準値に関するGUIの概要を示す図である。
図2】本発明に係る方法が用いられる印刷機システムの概略図である。
図3】本発明に係る方法の経過の概略図である。
【0036】
本発明に係る方法は、その好適な実施の態様において、図2に略示された印刷機システム2に使用される。この印刷機システム2は、存在する印刷ジョブに関して較正されるべき印刷機3から成る。印刷機3は、制御コンピュータ4により監視される。制御コンピュータ4は、データバンク5へのアクセスを有する。データバンク5には、これまで使用された色の色セット6が記憶されている。
【0037】
所望の準備時間最適化をはかるために、一方では、最適に調整された印刷機3が重要であり、他方では、色測定システムに、使用されるインキ−紙−コンビネーションに適合された目標色彩が、CIE L***値16および濃度18のスペクトルの形で基準値6として必須である。しかし実際には、正にそのデータが不足する。というのも、印刷工1にとって入力が多くの場合複雑すぎて、容易には理解できず、不透明であり、かつ極めて面倒な訓練を伴うからである。その結果、印刷シート上に所望の色彩結果15を得るために、依然として多すぎる損紙および時間が必要になる。
【0038】
したがって、一度得られた最適な色彩を、このジョブについてだけではなく、同一の目標色彩を有する全ての別のジョブにとっても、簡単で、煩雑でなく、容易に再び見つけ出すことができるように記憶する可能性を印刷工1に与えることが切に必要となっている。そのために、本発明に係る方法が有用である。その方法は、図3に、その経過に関して略示されている。
【0039】
第1のステップで、印刷工1は、常に、総じて印刷工が印刷することができる標準−基準色値を必要とする。そこから印刷工1は、特殊色アーカイブまたはいわゆる標準色セット17を取り出す。これについては、公知先行技術に相応する。そこでは、所望の基準色彩が得られた後で、印刷工1は、手動で、得られた基準色彩16,18が所望の結果15に適合するのかチェックする。これが当てはまらない場合、印刷工1は、印刷結果が印刷工1にとって良好に見えるまたは所定のパターンと一致するまで、手動の変更を行う。これは、通常は、印刷機3の色調整において目標値の変更により行われる。
【0040】
図1には、本発明に係る方法に対する制御コンピュータ4のグラフィック操作面14として好適な実施の態様が示されている。
【0041】
このプロセスは、ここでは他の方式で経過する。試し刷りの後、全ての色ゾーンに対して、基準色値16が、分光測色計を用いて測定される。基準色値16は、この場合、印刷機3の制御装置のディスプレイにおいて、印刷工1に、グラフィック操作面14に表示される。図1に示された好適な実施の態様では、基準色値16は、オレンジ8、ブラック9、シアン10、マゼンタ11およびイエロー12の色である。この場合、色彩の一覧は、常に、目標色彩15に対して定められているとともに、いつこれが得られるのか表示している。そこで制御コンピュータ4は、自動的に、目標色彩15に最も近似して対応する、色ゾーンの値7を選択し、その際同時に、選択された値7が、操作面にマーキングされる。図1の好適な実施の態様では、これが、色基準値7として示されている。しかも追加的に、このプロセスは、同等の方法で、測定された色濃度値18に対しても実施される。
【0042】
印刷工1に、選択された色基準値および基準濃度値が表示された後で、印刷工1は、さらに手動の変更19’を行ってもよい。これは、たとえば、色彩目標15の特定の色ゾーン16に近似する測定された色基準値がないときに望まれる可能性がある。この場合、印刷工1の手動の変更が必要である。その一例は、図1において、オレンジ8の印刷インキに対する測定された色基準値16である。そこでは、全ての色ゾーンに対する測定された色基準値16は、目標色値15から大きくずれている。そこで印刷工1が「変更」ボタン13を作動させると、印刷工1は、一覧における他の色ゾーンの色基準値16をクリックするまたは値16を手動で入力することができる。印刷工1が濃度値18を変更すると、色基準値16は、相応に変化するにちがいなく、またその逆も当てはまる。同様に、印刷工1は、名称を変更する。その後で、色セット19’が記憶され、あらゆる測定システムに対して提供される。次いで、選択された基準色値7が、色セット6として記憶され、しかもそれぞれ変更された形19’または変更されない形19で記憶される。次いで、その基準色値7は、印刷ジョブのために使用され、追加的に相応の色を次に使用するためにデータバンク5に記憶される。
【0043】
そのために、全ての測定システムに対して、直接に操作面14上にボタン「目標値記憶」13が設けられてもよい。
【0044】
加えて、ジョブデータから自動的に顧客名称および紙が読み出され、一覧に追加される。これにより、色セット6を後で明確にデータバンク5において再び見つけ出して、オーダーに割り当てることができる。後で、記憶された紙とは別の紙が使用されると、印刷工1は、直ちに、場合により新たな色セット6を生成しなければならないことを知る。
【0045】
顧客名称および/または紙の種類が記載されなかったまたは存在しない場合には、ジョブ番号および紙等級が表示される。明確にするために、字体および色が変更される。
【0046】
この方法の大きな利点は、簡単であることの他に、とりわけ色が、測定の時点で、正に、通常の色調整の今後の全ての測定および調整が行われる状態であったことである。これは、色が後で再測定され、既に紙に拡散されているまたは酸化乾燥されている公知先行技術では得られない。
【符号の説明】
【0047】
1 ユーザ
2 印刷機システム
3 印刷機
4 制御コンピュータ
5 データバンク
6 色基準値および基準濃度値を有する、データバンクに記憶されたデータセット
7 選択された色基準値
8 使用される印刷インキ「オレンジ」
9 使用される印刷インキ「ブラック」
10 使用される印刷インキ「シアン」
11 使用される印刷インキ「マゼンタ」
12 使用される印刷インキ「イエロー」
13 選択されたインキ基準値を記憶するためのボタン
14 グラフィック操作面
15 目標色値
16 測定された色基準値
17 標準色セット
18 測定された色濃度値
19 選択された色基準値および基準濃度値を有する色セット
20 手動で変更された色基準値および基準濃度を有する色セット
図1
図2
図3