特許第6906334号(P6906334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6906334監視システム、状態検出ユニット及び監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906334
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】監視システム、状態検出ユニット及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   G06F11/07 151
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-48698(P2017-48698)
(22)【出願日】2017年3月14日
(65)【公開番号】特開2018-151955(P2018-151955A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2019年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝村 桂子
【審査官】 多胡 滋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−156906(JP,A)
【文献】 特開2002−078200(JP,A)
【文献】 特開2006−143473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の状態検出ユニットと、前記状態検出ユニットと接続される監視制御ユニットとを有する監視システムであって、
前記状態検出ユニットは、
当該状態検出ユニットの監視対象に対する階層化された監視項目のうち、最下位層の項目の状態を周期的に検出する最下位層項目状態検出部と、
前記最下位層項目状態検出部が検出した最下位層の前記項目の状態を複数周期分記憶する記憶部と、
周期ごとに、前記周期における最下位層よりも上位階層の前記項目の状態を、当該周期における当該項目よりも下位の階層の前記項目の状態に基づいて判定し、判定結果を前記監視制御ユニットに出力する上位階層項目状態判定部と、
前記上位階層項目状態判定部が異なる周期について判定した上位階層の前記項目の状態を比較して上位階層の前記項目の状態の変化を検出する状態変化検出部と、
前記状態変化検出部が異常状態への変化を検出した場合に、異常状態へ変化した前記周期を含めた所定周期数分の最下位層の前記項目の状態を前記記憶部から読み出して記録媒体又は前記監視制御ユニットに出力する出力部とを備え、
前記監視制御ユニットは、
前記状態検出ユニットの前記上位階層項目状態判定部から上位階層の前記項目の状態を受信し、受信した上位階層の前記項目の状態を表示又は蓄積する警報制御部を備える監視システム。
【請求項2】
前記状態変化検出部は、前記上位階層項目状態判定部が連続した周期について判定した上位階層の前記項目の状態を比較して上位階層の前記項目の状態の変化を検出する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記記録媒体は、前記状態検出ユニットが備える不揮発性メモリであり
前記不揮発性メモリは、前記出力部が出力した所定周期数分の最下位層の前記項目の状態を記憶する、
請求項1又は請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記記憶部は、最下位層の前記項目が正常であるか異常であるかの状態を表す値、又は、最下位層の前記項目の状態を表すアナログ値を記憶する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記状態検出ユニットは、
前記最下位層項目状態検出部が最下位層の前記項目の状態を表すアナログ値を検出した場合に、前記アナログ値をデジタル値に変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記デジタル値と閾値とを比較して最下位層の前記項目が正常であるか異常であるかの状態を判定した結果を前記上位階層項目状態判定部に出力する閾値判定部と、
をさらに備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記記憶部が最下位層の前記項目の状態を記憶する周期の数は、任意に設定される、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記記憶部が状態を出力する最下位層の前記項目は、任意に設定される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項8】
監視対象に対する階層化された監視項目のうち、最下位層の項目の状態を周期的に検出する最下位層項目状態検出部と、
前記最下位層項目状態検出部が検出した最下位層の前記項目の状態を複数周期分記憶する記憶部と、
周期ごとに、前記周期における最下位層よりも上位階層の前記項目の状態を、当該周期における当該項目よりも下位の階層の前記項目の状態に基づいて判定し、上位階層の前記項目の状態を表示または蓄積する監視制御ユニットに判定結果を出力する上位階層項目状態判定部と、
前記上位階層項目状態判定部が異なる周期について判定した上位階層の前記項目の状態を比較して上位階層の前記項目の状態の変化を検出する状態変化検出部と、
前記状態変化検出部が異常状態への変化を検出した場合に、異常状態へ変化した前記周期を含めた所定周期数分の最下位層の前記項目の状態を前記記憶部から読み出して出力する出力部と、
を備える状態検出ユニット。
【請求項9】
1以上の状態検出ユニットと、前記状態検出ユニットと接続される監視制御ユニットとを有する監視システムが実行する監視方法であって、
前記状態検出ユニットが、
当該状態検出ユニットの監視対象に対する階層化された監視項目のうち、最下位層の項目の状態を周期的に検出する最下位層項目状態検出ステップと、
前記最下位層項目状態検出ステップにおいて検出された最下位層の前記項目の状態を記憶部に複数周期分記憶する記憶ステップと、
周期ごとに、前記周期における最下位層よりも上位階層の前記項目の状態を、当該周期における当該項目よりも下位の階層の前記項目の状態に基づいて判定し、判定結果を前記監視制御ユニットに出力する上位階層項目状態判定ステップと、
前記上位階層項目状態判定ステップにおいて異なる周期について判定した上位階層の前記項目の状態を比較して上位階層の前記項目の状態の変化を検出する状態変化検出ステップと、
前記状態変化検出ステップにおいて異常状態への変化を検出した場合に、異常状態へ変化した前記周期を含めた所定周期数分の最下位層の前記項目の状態を前記記憶部から読み出して記録媒体又は前記監視制御ユニットに出力する出力ステップと、
前記監視制御ユニットが、
前記上位階層項目状態判定ステップにおいて前記状態検出ユニットから出力された上位階層の前記項目の状態を受信し、受信した上位階層の前記項目の状態を表示又は蓄積する警報制御ステップと、
を有する監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視システム、状態検出ユニット及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の監視システムは、複数のユニットと、1台の監視制御ユニットとから構成される。各ユニットは、監視対象システムを構成する各機器を監視し、監視制御ユニットに対して、ユニットトータルの警報状態を接点で出力し、詳細警報をシリアル通信で通知する。
【0003】
監視システムにおける監視項目は、例えば、大項目、中項目、小項目のように階層化される。各ユニットは、複数の小項目の状態を定期的に収集する。各ユニットは、収集した小項目の状態に基づいて中項目の状態を生成し、さらに、複数の中項目の状態に基づいてユニットトータルとなる大項目を生成する。各ユニットは、大項目の状態を接点で出力し、中項目の状態をシリアル通信により監視制御ユニットに通知する。監視制御ユニットは、接続される全てのユニットの状態を蓄積し、状態の変化を検出してパネル表示する処理と、状態の変化があった場合に、シリアル通信で収集した中項目の状態を不揮発性メモリへ保存する処理とを行う。
【0004】
監視対象システムに障害が発生した場合、管理者は、監視制御ユニットのパネル表示により障害発生ユニットを特定し、不揮発性メモリから取得した障害発生時の中項目の状態によりユニットの障害の原因を特定していた。しかし、故障発生後に不揮発性メモリに蓄積された中項目の状態、すなわち、詳細警報の状態を確認しても、障害の発生状況や発生経緯、その他ユニット内の状態を確認することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−173839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、監視対象における障害の発生状況や発生経緯の把握に有用な情報を収集することができる監視システム、状態検出ユニット及び監視方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の監視システムは、1以上の状態検出ユニットと、状態検出ユニットと接続される監視制御ユニットとを持つ。状態検出ユニットは、最下位層項目状態検出部と、記憶部と、上位階層項目状態判定部と、状態変化検出部と、出力部とを持つ。最下位層項目状態検出部は、状態検出ユニットの監視対象に対する階層化された監視項目のうち、最下位層の項目の状態を周期的に検出する。記憶部は、最下位層項目状態検出部が検出した最下位層の項目の状態を複数周期分記憶する。上位階層項目状態判定部は、周期ごとに、前記周期における最下位層よりも上位階層の前記項目の状態を、当該周期における当該項目よりも下位の階層の項目の状態に基づいて判定し、判定結果を監視制御ユニットに出力する。状態変化検出部は、上位階層項目状態判定部が異なる周期について判定した上位階層の項目の状態を比較して上位階層の項目の状態の変化を検出する。出力部は、状態変化検出部が異常状態への変化を検出した場合に、異常状態へ変化した周期を含めた所定周期数分の最下位層の項目の状態を記憶部から読み出して記録媒体又は前記監視制御ユニットに出力する。監視制御ユニットは、警報制御部を持つ。警報制御部は、状態検出ユニットの前記上位階層項目状態判定部から上位階層の項目の状態を受信し、受信した上位階層の項目の状態を表示又は蓄積する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の監視システムを示す全体構成図。
図2】実施形態の状態検出ユニットの構成を示す機能ブロック図。
図3】実施形態の中項目状態出力部の構成を示す機能ブロック図。
図4】実施形態の監視制御ユニットの構成を示す機能ブロック図。
図5】実施形態の状態検出ユニットが出力する状態警報の例を示す図。
図6】実施形態の不揮発性メモリに記憶されるデータの例を示す図。
図7】実施形態の中項目状態出力部の動作を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の監視システム、状態検出ユニット及び監視方法を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、監視システム50の全体構成図である。監視システム50は、n台(nは1以上の整数)の状態検出ユニット10と、1台の監視制御ユニット30とを備える。同図では、n台の状態検出ユニット10をそれぞれ、状態検出ユニット10−1〜10−nと記載している。状態検出ユニット10と監視制御ユニット30とは、接点出力及びシリアル通信により接続される。監視システム50による監視対象は任意である。以下では、監視システム50の監視対象が、放送システム又は通信システムであり、各状態検出ユニット10それぞれの監視対象機器が、放送システム又は通信システムを構成する各機器である場合を例に説明する。放送システムや通信システムは、システム内で信号の送信、受信、中継を行う。監視対象機器は、例えば、信号の変調器、送信器、受信器、復調器などである。状態検出ユニット10は、監視対象機器の内部に備えられてもよく、監視対象機器の外部に備えられてもよい。
【0011】
監視システム50における監視項目は、大項目、中項目、小項目の3階層に階層化される。大項目は中項目の一つ上位階層の項目であり、中項目は小項目の一つ上位階層の項目であり、小項目は最下位層の項目である。大項目は、監視対象機器の状態であり、正常な状態か異常な状態かの2値で表される。状態検出ユニット10は、ユニットトータルとして、大項目の状態を表す信号を監視制御ユニット30に接点出力する。監視制御ユニット30は、大項目の状態をパネル表示する。これにより、例えば、監視対象機器である0系の送信器に異常が発生した場合、1系の送信器に切り替えるなどの対応を取ることが可能となる。
【0012】
中項目は、監視対象機器についての監視項目を表す。中項目は、例えば、監視対象機器に用いられる電源、ファンなどである。中項目の状態は、正常な状態か異常な状態かの2値で表される。状態検出ユニット10は、監視対象機器の中項目の状態に基づいて、大項目の状態、すなわち、監視対象機器の状態が正常であるか異常であるかを判定する。状態検出ユニット10は、大項目の状態が変化した場合に、中項目の状態をシリアル通信で監視制御ユニット30に通知する。これにより、監視対象機器に異常が発生したときの中項目の状態を監視制御ユニット30に蓄積しておき、障害の解析に使用することができる。
【0013】
小項目は、監視対象機器についての最小の監視単位である。状態検出ユニット10が周期的に収集する小項目の状態は、正常であるか異常であるかの2値で表される場合と、アナログ値で表される場合とがある。小項目の状態がアナログ値で表される場合、状態検出ユニット10は、中項目の状態の判定前にそのアナログ値に対して閾値判定を行い、小項目の状態が正常であるか異常であるかの2値に変換する。状態検出ユニット10は、中項目の状態を、その中項目の配下の小項目の状態に基づいて判定する。
【0014】
例えば、監視対象機器が3つの電源装置A〜Cを使用する場合、中項目「電源」の配下には、電源装置A〜Cのそれぞれに対応した3つの小項目がある。状態検出ユニット10が収集するこれら小項目の状態は、例えば、電源の状態が正常であるか異常であるかを表す2値でもよく、電源の電圧を表すアナログ値でもよい。アナログ値の場合は、閾値判定により正常か異常かの2値に変換される。状態検出ユニット10は、それら3つの小項目の状態のうち少なくとも1項目が異常である場合、中項目「電源」の状態を異常と判定する。なお、アナログ値で表される他の小項目の例として、ファンの回転数が挙げられる。
【0015】
状態検出ユニット10は、中項目の状態が変化したときの周期を含んだ複数周期の小項目の状態を不揮発性メモリに記憶する。これにより、監視対象機器に異常が発生したときの小項目の状態を状態検出ユニット10に蓄積しておき、障害の発生状況や発生経緯の解析など、障害についての詳細な解析に使用することができる。
【0016】
図2は、状態検出ユニット10の構成を示す機能ブロック図である。状態検出ユニット10は、m個(mは1以上の整数)の中項目状態出力部11と、大項目状態出力部13(上位階層項目状態判定部)と、シリアル通信部15とを備える。同図では、m個の中項目状態出力部11をそれぞれ、中項目状態出力部11−1〜11−mと記載している。中項目状態出力部11は、1以上の小項目の状態を収集する。中項目状態出力部11は、収集した小項目の状態に基づいて中項目の状態を判定し、中項目状態警報を出力する。中項目状態警報は、判定された中項目の状態が正常であるか異常であるかを表す2値の信号である。大項目状態出力部13は、m個の中項目状態出力部11から入力した中項目状態警報の論理和に基づいて大項目の状態を判定し、大項目状態警報を監視制御ユニット30に接点出力する。大項目状態警報は、大項目の状態が正常であるか異常であるかを表す2値の信号である。シリアル通信部15は、m個の中項目状態出力部11のそれぞれが出力した中項目状態警報をシリアル通信により監視制御ユニット30に出力する。
【0017】
図3は、図2に示す中項目状態出力部11の構成を示す機能ブロック図である。中項目状態出力部11は、k個(kは1以上の整数)の小項目の状態を取得する。中項目状態出力部11−1〜11−mそれぞれが状態を取得する小項目の数kは任意である。中項目状態出力部11は、入出力部(I/O)111と、アナログデジタル変換部(A/D)112と、閾値判定部113と、メモリ114と、世代管理用メモリ115(記憶部)と、中項目状態判定部116(上位階層項目状態判定部)と、状態変化検出部117と、遅延付与部118と、論理積算出部119(出力部)と、不揮発性メモリ120とを備える。
【0018】
入出力部111は、状態収集周期毎に小項目の状態を検出し、小項目状態警報を中項目状態判定部116に出力する。小項目状態警報は、検出した状態が正常であるか異常であるかを表す2値の信号である。アナログデジタル変換部112は、状態収集周期毎に小項目の状態を表すアナログ値を検出する。アナログデジタル変換部112は、検出したアナログ値をデジタル値に変換し、変換したデジタル値を閾値判定部113に出力する。閾値判定部113は、アナログデジタル変換部112から入力したデジタル値と予め設定された閾値とを比較し、小項目の状態が正常であるか異常であるかを判定する。閾値判定部113は、判定結果を表す2値の小項目状態警報を中項目状態判定部116に出力する。
【0019】
同図では、小項目1を入出力部111が検出し、小項目2をアナログデジタル変換部112が検出する場合を例に示しているが、小項目1〜kの状態をそれぞれ、入出力部111が検出するか、アナログデジタル変換部112が検出し、閾値判定部113により閾値判定するかは任意とすることができる。入出力部111、アナログデジタル変換部112及び閾値判定部113は、最下位層の項目の状態を周期的に検出する最下位層項目状態検出部として動作する。
【0020】
メモリ114は、入出力部111が出力した2値の小項目状態警報及びアナログデジタル変換部112が出力したデジタル値を記憶する。メモリ114は、同一の状態収集周期において収集した1世代分の小項目状態警報及びデジタル値を、世代管理用メモリ115に出力する。世代管理用メモリ115は、メモリ114から1世代分ずつ入力した小項目状態警報及びデジタル値を、新しい世代のものから複数世代分記憶する。世代管理用メモリ115が小項目状態警報及びデジタル値を記憶する状態収集周期の世代数を蓄積世代数とする。蓄積世代数は、ユーザにより設定可能である。
【0021】
中項目状態判定部116は、状態収集周期毎に小項目1〜kそれぞれの状態を表す小項目状態警報を入力する。中項目状態判定部116は、入力した同一状態収集周期の小項目状態警報の論理和を算出し、算出結果から中項目の状態が正常であるか異常であるかを判定する。中項目状態判定部116は、判定した中項目の状態を表す2値の中項目状態警報を状態変化検出部117及び大項目状態出力部13に出力する。状態変化検出部117は、中項目状態判定部116から入力した中項目状態警報と、入力した中項目状態警報よりも1世代前の状態収集周期における中項目状態警報とを比較し、状態変化があるか否かを判断する。状態変化検出部117は、状態変化有りと判断した場合、入力した中項目状態警報を遅延付与部118に出力する。
【0022】
遅延付与部118は、入力した中項目状態警報を、状態変化有りと判定された状態収集周期から、所定の遅延世代数の状態収集周期が経過した後に、論理積算出部119に出力する。遅延世代数は、世代管理用メモリ115の蓄積世代数よりも小さい値である。遅延世代数を「0」とした場合、遅延付与部118は、中項目状態警報を遅延させることなく、状態変化有りと判定された状態収集周期に論理積算出部119に出力する。
【0023】
論理積算出部119は、遅延付与部118から中項目状態警報を入力する。論理積算出部119は、世代管理用メモリ115に記憶される情報と中項目状態警報との論理積を不揮発性メモリ120に出力する。つまり、論理積算出部119は、中項目状態警報が異常状態を表す場合、世代管理用メモリ115に記憶される複数世代数の小項目状態警報及びデジタル値を読み出し、不揮発性メモリ120に出力する。不揮発性メモリ120は、論理積算出部119から入力した複数世代分の小項目状態警報及びデジタル値を記憶する。なお、状態検出ユニット10が十分な速度のシリアル通信を行える場合、論理積算出部119は、複数世代分の小項目状態警報及びデジタル値をシリアル通信により出力してもよい。
【0024】
図4は、監視制御ユニット30の構成を示す機能ブロック図である。監視制御ユニット30は、状態検出ユニット10ごとに警報制御部301を有する。警報制御部301は、大項目状態変化検出部31と、パネル表示部32と、中項目状態蓄積部33と、中項目状態記憶部34と、中項目状態変化検出部35と、演算部36と、不揮発性メモリ37とを備える。
【0025】
大項目状態変化検出部31は、状態検出ユニット10−i(iは1以上n以下の整数)から接点により出力された大項目状態警報を入力する。大項目状態変化検出部31は、入力した大項目状態警報と、入力した大項目状態警報よりも1世代前の大項目状態警報とを比較して、大項目の状態が変化したか否かを判断する。大項目状態変化検出部31は、大項目の状態が変化したと判断した場合、状態検出ユニット10−iから入力した大項目状態警報をパネル表示部32及び演算部36に出力する。パネル表示部32は、大項目状態変化検出部31から入力した大項目状態警報が示す大項目の状態をパネル表示する。
【0026】
中項目状態蓄積部33は、状態検出ユニット10からシリアル通信により受信した中項目状態警報を受信し、例えば、1秒などの1世代分の状態収集周期の期間保持する。中項目状態蓄積部33は、現在の状態収集周期が終了すると、保持していた中項目状態警報を中項目状態記憶部34及び中項目状態変化検出部35に出力する。中項目状態記憶部34は、1世代前の状態収集周期における中項目状態警報を記憶する。中項目状態変化検出部35は、中項目状態蓄積部33から入力した中項目状態警報と、中項目状態記憶部34に記憶される1世代前の状態取集周期の中項目状態警報とを比較し、中項目の状態変化の有無を判断する。中項目状態変化検出部35は、中項目の状態に変化有りと判断した場合、入力した中項目状態警報を演算部36に出力する。
【0027】
演算部36は、大項目状態変化検出部31から入力した大項目状態警報と、中項目状態変化検出部35から入力した中項目状態警報との論理積を算出した結果を不揮発性メモリ37に書き込む。これにより、演算部36は、大項目状態警報が異常の状態を示す場合に、中項目状態警報を不揮発性メモリ37に蓄積する。
【0028】
図5は、状態検出ユニット10が出力する状態警報の例を示す図である。同図では、状態検出ユニット10の中項目状態判定部116に入力される小項目1の小項目状態警報が、小項目2の小項目状態警報より先に正常状態を示す値から異常状態を示す値に変化している。中項目状態判定部116は、小項目1〜kの小項目状態警報の論理和を中項目状態警報とする。そのため、小項目1の小項目状態警報が異常状態を示す値となったときに、中項目状態警報が異常状態を示す値に変化する。また、状態検出ユニット10の大項目状態出力部13は、中項目1〜mの中項目状態警報の論理和を大項目状態警報として接点出力する。従って、中項目状態警報が異常状態を示す値となったときに、大項目状態警報も異常状態を示す値となる。
【0029】
図6は、監視制御ユニット30の不揮発性メモリに記憶されるデータの例を示す図である。同図では、状態の収集周期が1秒の場合を示している。監視制御ユニット30の中項目状態蓄積部33は、中項目状態警報を例えば1秒間保持する。この間に中項目状態警報が異常状態を表す値となり、かつ、大項目の状態が異常に変化した場合、不揮発性メモリ37にはその周期については異常を表す値の中項目状態警報が記憶される。
【0030】
図7は、状態検出ユニット10の中項目状態出力部11の動作を示すフロー図である。蓄積世代数をP、遅延世代数をQとして説明する。
【0031】
状態収集周期Tにおいて、状態検出ユニット10は監視対象機器の小項目の状態を収集する(ステップS105)。具体的には、入出力部111は、監視対象機器の小項目の状態を収集し、収集した状態を表す2値の小項目状態警報を出力する。また、アナログデジタル変換部112は、アナログ値の小項目の状態を検出し、アナログ値をデジタル信号に変換して出力する。閾値判定部113は、アナログデジタル変換部112から入力したデジタル値を閾値判定した結果に基づく2値の小項目状態警報を出力する。
【0032】
メモリ114は、入出力部111が出力した小項目状態警報と、アナログデジタル変換部112が出力したデジタル値とを記憶する。メモリ114は、状態収集周期Tの小項目状態警報及びデジタル値を世代管理用メモリ115に出力する。世代管理用メモリ115は、メモリ114から出力された状態収集周期Tの小項目状態警報及びデジタル値を蓄積する(ステップS110)。
【0033】
中項目状態判定部116は、状態収集周期Tにおける小項目1〜kの小項目状態警報を入力する。中項目状態判定部116は、入力した小項目状態警報の論理和により、中項目の状態を表す中項目状態警報を算出する(ステップS115)。状態変化検出部117は、中項目状態判定部116から入力した状態収集周期Tの中項目状態警報と、記憶していた状態収集周期(T−1)の中項目状態警報とを比較して、状態収集周期Tにおける中項目の状態変化の有無を検出する(ステップS120)。状態変化検出部117は、状態変化有りを検出した場合(ステップS125:YES)、中項目状態警報を遅延付与部118に出力する(ステップS130)。
【0034】
状態検出ユニット10は、状態変化検出部117が状態変化なしと判断した場合(S125:NO)、又は、ステップS130の処理の後、ステップS135からの処理を行う。すなわち、状態検出ユニット10はQ世代前に中項目の状態変化があった場合(ステップS135:YES)、世代管理用メモリ115に記憶されているP世代分のデータを、不揮発性メモリ120に保存する(ステップS140)。具体的には、遅延付与部118は、状態収集周期(T−Q)に中項目の状態変化があり、中項目状態警報を保持していた場合、その保持していた中項目状態警報を出力する。論理積算出部119は、中項目状態警報と、世代管理用メモリ115に記憶される状態収集周期T〜(T−P+1)までのP世代分の小項目状態警報及びデジタル値との論理積を不揮発性メモリ120に保存する。
【0035】
一方、Q世代前に中項目の状態変化がなかった場合(ステップS135:NO)、又は、ステップS140の処理の後、状態検出ユニット10は、メモリ114の世代管理を行う(ステップS145)。つまり、状態検出ユニット10は、メモリ114に記憶される状態収集周期Tの小項目状態警報及びデジタル値を消去する。状態収集周期(T+1)になると、状態検出ユニット10はステップS105からの処理を繰り返す。
【0036】
なお、蓄積世代数Pと遅延世代数Qは、ユーザにより設定可能である。蓄積世代数Pと遅延世代数Qを設定することにより、中項目状態が正常から異常に変化した場合に不揮発性メモリ120に保持しておく小項目の状態の世代の範囲を変更することができる。つまり、状態収集周期Tにおいて中項目状態が正常から異常に変化した場合、状態収集周期(T+Q)〜(T+Q−P+1)までの小項目の状態を不揮発性メモリ120に保持しておくことができる。また、不揮発性メモリ120に出力する小項目についてもユーザにより設定が可能である。メモリ114や世代管理用メモリ115には、不揮発性メモリ120に出力する対象ではない小項目の小項目警報又はアナログ値を記憶しなくてもよい。
【0037】
上述した監視システム50は、監視対象システムを構成する各機器の小項目の状態を状態収集周期毎に、複数周期に渡って状態検出ユニット10内の世代管理用メモリ115に蓄積する。状態検出ユニット10は、状態が正常か異常かの2値を収集する小項目については、その状態を世代管理用メモリ115に蓄積する。一方、状態検出ユニット10は、小項目の状態を表すアナログ値を収集する小項目については、アナログデジタル変換部112により変換されたデジタル値を世代管理用メモリ115に蓄積する。このデジタル値は、閾値判定部113により閾値判定され、状態が正常か異常かの2値に変換される。状態検出ユニット10は、同一周期の小項目の状態に基づき小項目よりも上位の項目である中項目の状態を判定する。状態検出ユニット10は、連続した周期の中項目の状態を比較して異常状態への変化を検出すると、中項目を構成する小項目の状態を、異常状態への変化を検出した前後の周期も含めた所定周期数分、不揮発性メモリ120に保存する。
【0038】
上記では、監視項目が3階層である場合を例に説明したが、階層の数は任意とすることができる。この場合、状態検出ユニット10は、最下位層よりも上位階層の項目の状態を、同一周期における当該項目よりも下位の階層の項目の状態に基づいて判定する。状態検出ユニット10は、上位階層の項目の状態の判定結果を監視制御ユニット30に出力する。状態検出ユニット10は、連続した周期の上位階層の項目の状態を比較して異常状態への変化を検出すると、その項目の下位にある最下位層の項目の状態を、異常状態への変化を検出した前後の周期も含めた所定周期数分、不揮発性メモリに保存する。
【0039】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、状態検出ユニット10が、世代管理用メモリ115、状態変化検出部117、論理積算出部119及び不揮発性メモリ120を持つことにより、監視対象機器側において、障害が発生したとき状態監視周期を含めた複数周期数分の各小項目の状態を保持することができる。状態検出ユニット10に保持された各小項目の状態の情報と、監視制御ユニット30に蓄積された中項目の状態の情報とを合わせて解析を行うことにより、障害発生時に要因となる主障害と、主障害の影響で2次的に発生する障害との切分けが可能となる。また、警報が発生するまでの経緯が分かるため、故障要因の解明の助けになる。また、経年で部品の状態を表すアナログ値が変化する場合、障害発生時のその部品の状態を表す小項目のアナログ値の統計を利用して、部品の修理や交換を行う時期の判断に用いることも可能である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
10…状態検出ユニット、30…監視制御ユニット、50…監視システム、11…中項目状態出力部、13…大項目状態出力部、15…シリアル通信部、31…大項目状態変化検出部、32…パネル表示部、33…中項目状態蓄積部、34…中項目状態記憶部、35…中項目状態変化検出部、36…演算部、37…不揮発性メモリ、111…入出力部、112…アナログデジタル変換部、113…閾値判定部、114…メモリ、115…世代管理用メモリ、116…中項目状態判定部、117…状態変化検出部、118…遅延付与部、119…論理積算出部、120…不揮発性メモリ、301…警報制御部
図1
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図7