(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906350
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】排泄を予測するための方法及び排泄を予測するための装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/44 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
A61F5/44 S
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-80333(P2017-80333)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2017-189615(P2017-189615A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年9月27日
(31)【優先権主張番号】16165643.4
(32)【優先日】2016年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・クンツェ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ポムプ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フェット
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・レスナー
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−519089(JP,A)
【文献】
特表2015−534153(JP,A)
【文献】
特開2012−105839(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0209193(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつモジュール(2)によっておむつ装着者のおむつ(1)内の排泄を予測するための方法であって、
前記おむつモジュール(2)は、排泄センサ(3)と運動センサ(4)と算術演算装置(5)とを有し、前記おむつモジュール(2)の少なくとも一部が、前記おむつ(1)に配置され、前記運動センサ(4)が、前記おむつ装着者の排泄の直前の体の仕草を運動パターンとして取得し、前記算術演算装置(5)が、前記排泄センサ(3)によって前記運動パターンを前記排泄センサ(3)のデータに関連付け、排泄物が感知されたときに、前記運動パターンが、関連のある運動パターンとして記憶され、当該関連のある運動パターンによってその後に感知される排泄に関連付けされ、
前記算術演算装置(5)が、前記関連のある運動パターンによって1つの運動パターン認識を基準にし、関連のある運動パターンと関連のない運動パターンとを識別することを学習し、
前記複数の運動パターンのうちの幾つかの運動パターンが、前記関連のある運動パターンに割り当てられるように、前記複数の運動パターンが、前記運動パターン認識によって分類され、これによって、間近に迫っている排泄に対する予測が実行され、
前記おむつモジュール(2)が、予測時に、ユーザに警告するための予測信号を送信する当該方法において、
学習段階では、排泄物が存在するか否かを、前記ユーザが、前記予測信号に応じて検査し、これらの検査の結果が、前記運動パターン認識を改良するために前記算術演算装置(5)によって記憶されることを特徴とする方法。
【請求項2】
1つの排泄が感知されたときに、前記おむつモジュール(2)は、前記ユーザに注意を喚起するために排泄信号を送信する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記おむつモジュール(2)が、排泄物を前記おむつ(1)内で感知した場合に、前記排泄物信号をユーザに送信し、このユーザは、複数の排泄信号のうちの幾つかの排泄信号に基づいて、排泄が存在するか否かを検査し、これらの検査の結果が、排泄を感知するための排泄パターン認識を改良するために前記算術演算装置(5)によって記憶される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記おむつモジュール(2)は、予め設定されている一組の運動パターン及び予め設定されている一組の排泄パターン又は予め設定されている一組の運動パターン若しくは予め設定されている一組の排泄パターンを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記おむつモジュール(2)は、関連のある運動パターン及び関連のある排泄パターン又は関連のある運動パターン若しくは関連のある排泄パターンと、関連のない運動パターン及び関連のない排泄パターン又は関連のない運動パターン若しくは関連のない排泄パターンとの識別を改良するために、予め設定されている一組のフィルタを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
当該複数の運動パターンに関連付けられた前記排泄センサ(3)の複数のデータがそれぞれ、これらの運動パターンに時間的に追従する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記おむつモジュール(2)は、モバイル電子機器(8)と通信するために通信装置(7)を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記排泄センサ(3)は、湿度センサである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記排泄センサ(3)の一部が、前記おむつモジュール(2)に可逆的に又は不可逆的に装着される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記おむつモジュール(2)は、前記おむつ(1)に可逆的に又は不可逆的に固定される請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記おむつモジュール(2)は、前記ユーザによる操作のためのインタフェース(12)をこのおむつモジュール(2)のハウジング(20)に有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記運動センサ(4)は、回転運動及び/又は並進運動を感知する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記算術演算装置(5)は、前記おむつ(1)に配置された前記おむつモジュール(2)の一部に内蔵されているか又は前記おむつ(1)に配置されていない前記おむつモジュール(2)の一部に内蔵されている請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
おむつ装着者のおむつ(1)内の排泄を予測するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法で使用されるおむつモジュール(2)において、
前記おむつモジュール(2)は、排泄センサ(3)と運動センサ(4)と算術演算装置(5)とを有する当該おむつモジュール(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつモジュールによっておむつ装着者のおむつ内の排泄を予測するための方法に関する。この場合、当該おむつモジュールは、1つの排泄センサと1つの運動センサと1つの算術演算装置とを有する。さらに、本発明は、おむつ装着者のおむつ内の排泄を予測するためのおむつモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなおむつモジュールは、独国特許第69930853号明細書から既に公知である。この明細書では、特に排泄センサ及び運動センサが、早期警報測定装置を提供するために提唱される。プロアクティブ型(proaktiv)センサとも称されるこのような予測型(vorhersagenden)センサは、例えば、姿勢、血圧、動作、振動、筋収縮、電位、血流、湿度、体温、酵素、細菌、pH値、導電率、抵抗、静電容量、又はインダクタンス、並びにその他の化学特性、生化学特性、生物学特性、機械特性又は電気特性を感知する。しかしながら、結局、肛門括約筋の筋収縮を感知する運動センサだけが推奨される。したがって、当該肛門括約筋の活動、すなわち間近に迫っている排泄を感知するためには、当該運動センサが、肛門括約筋のすぐ近くに配置される必要がある。この場合、このような筋収縮は、非常に鮮明で且つ明瞭な信号を提供する点に留意する必要がある。その結果、肛門括約筋のすぐ近くに配置された運動センサを使用することで、筋収縮パターンを認識するために当該運動センサの後方に存在するプログラムが、重大な問題に直面しない。当該プログラムは、筋収縮の増大する振幅の平均値を測定することができるだけでよい。このため、当該プログラムは、肛門括約筋の基礎活動の通常の範囲の上にある当該筋収縮の振幅の予め設定された1つの閾値だけを必要とする。
【0003】
しかしながら、当該公知のおむつモジュールは、固体の排泄だけを予測し得る。しかし、子供が、ほぼ適切な時期におむつ離れされ、子供用おまるを使用するように、あらゆる排泄、特に液体の排泄が予測され得ることが望ましい。このことは、当該学習過程を著しく早める。これによって、一部の子供のおむつの習慣が、一年程度早く止められる。その結果、おむつの消費が劇的に減少され得、環境がこれに応じてより強固に保護され得る。さらに、運動センサを肛門括約筋のすぐ近くに正確に配置することは困難である。何故なら、小さい子供の部分的に著しい運動欲求に起因して、運動センサが容易に外れるおそれがあり、したがって筋収縮の感知が不可能になり得るからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第69930853号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、本発明の課題は、特に子供の−特に少なくとも液体の−排泄が確実に予測され得る方法を提供することにある。また、本発明は、当該技術課題に基づいて、対応する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術課題を解決するため、本発明は、おむつモジュールによっておむつ装着者のおむつ内の排泄を予測するための方法に関する。この場合、当該おむつモジュールは、排泄センサと運動センサと算術演算装置とを有する。この場合、当該おむつモジュールの少なくとも一部が、当該おむつに配置される。この場合、当該運動センサが、当該おむつ装着者の複数の運動パターンを取得する。この場合、当該算術演算装置が、当該排泄センサによって当該運動パターンを当該排泄センサのデータに関連付ける。この場合、排泄物が感知されたときに、当該運動パターンが、関連のある運動パターンとして記憶され、当該関連のある運動パターンによって好ましくはその後に感知される排泄に関連付けされる。この場合、当該算術演算装置が、当該関連のある運動パターンによって1つの運動パターン認識を基準にし、関連のある運動パターンと関連のない運動パターンとを識別することを学習する。この場合、当該複数の運動パターンのうちの幾つかの運動パターンが、当該関連のある運動パターンに割り当てられるように、当該複数の運動パターンが、当該運動パターン認識によって分類される。これによって、間近に迫っている排泄に対する予測が実行される。この場合、当該おむつモジュールが、予測時に、ユーザに警告するための予測信号を送信する。
【0007】
用語「排泄センサ」は、特に湿度センサ及び/又は温度センサを意味する。当該算術演算装置が、特にプロセッサを有し、特にメモリをさらに有する。表現「おむつの一部に配置」は、当該おむつモジュールが有形に互いに分離された2つ又は複数の部分を有してもよいことを意味する。例えば、−好ましくはハウジング内の−運動センサと、特に排泄センサの一部とだけが、おむつに配置されている。これに対して、当該算術演算装置が、おむつに配置されているのではなくて、外部の機器内に存在してもよい。当該排泄センサと当該運動センサとが、無線を通じて当該算術演算装置と通信することが可能である。別の好適な実施の形態によれば、当該排泄センサの一部と当該運動センサと当該算術演算装置とが、当該おむつに配置されている1つのハウジング内に存在する。
【0008】
用語「運動パターン」は、特に、当該運動センサによって記録され且つさらに処理されるデータセットを意味する。このデータセットは、好ましくは、時間に対する運動振幅の変化を有する。表現「パターン認識」は、特に、特徴抽出法と特徴縮小法と分類とを有する。「特徴抽出法」は、例えば、頻度や振幅分布のような特徴を運動パターンから得る方法と解釈される。「特徴縮小法」は、特に、全ての特徴を重要な特徴に限定する方法と解釈される。この場合、当該重要な特徴は、好ましくは、非常に重要な特徴である。「分類」は、特に、第2運動パターンを当該重要な特徴に基づいて所定の1つの部類(例えば、未排泄、液体の排泄、固体の排泄)に割り当てることと解釈される。
【0009】
用語「予測信号」は、例えば、音響信号及び/又は光学信号及び/又は触覚信号と解釈される。当該信号は、例えば、より明るい色調、発光ダイオードの明滅又は振動でもよい。好ましくは、当該予測信号は、−例えば−無線又は赤外線によって外部の機器に転送され、この外部の機器で音響信号/光学信号/触覚信号に変換される。
【0010】
本発明は、乳児及び幼児が排泄の直前に固有の種類の運動パターンを実行するという認識に基づく。この場合、複数の子供の運動パターンは、部分的に著しく相違する。幾人かの子供は、寝返る傾向にある一方で、別の子供は、例えば手足をばたばた動かすか又は所定の期間に1つの姿勢をとり続ける。したがって、当該対象となる運動パターンの幅は、まず個々の子供に依存し、それぞれの排泄の種類にも依存する。それ故に、確実な予測を規定の一組の運動パターンによって実行し得ることは不可能である。しかし、学習可能な運動パターン認識が、確実な予測を非常に良好に実行することができることが発見された。当該学習可能性は、特に排泄センサの測定に基づく。当該運動パターン認識によって実行される予測が、当該排泄センサの測定によって検査され得る。当該おむつモジュールによるおむつごとの当該予測が、確実に改良される。すなわち、当該おむつモジュールが、その学習段階を数週間後に終了する前に、顕著な学習成果が、数日後に既に現れる。その後は、排泄の予測が、大きい確率で規則的に実行される。当該学習能力のさらに大きい利点は、その子供の運動パターンが時間の経過中にさらに変化してもよいことである。このような変化でも、数日内に当該おむつモジュールによって把握され、新たに実行される予測に変更される。一貫して使用する場合、ほとんどの子供が、生後一年以内におむつの習慣を止めている。このことは、消費者にとって著しい経済的な利点につながる。さらに、こうして、非常に大量の合成樹脂のごみが節減され得る。
【0011】
非常に好適な実施の形態によれば、複数の予測信号のうちの幾つかの予測信号が、ユーザによって検査され、これらの検査の結果が、運動パターン認識を改良するために算術演算装置によって記憶される。特に、当該運動パターン認識の改良に関する当該ユーザの検査は、排泄センサのデータに対して優先される。例えば、正確な予測又は間違った予測が、当該予測に基づく運動パターンの精度を向上又は低下させる。
【0012】
当該おむつモジュールが、当該排泄センサのデータを排泄の種類に関して識別することが可能である。好ましくは、当該おむつモジュールは、湿度センサ及び/又は温度センサを有する。当該排泄の種類が、第1の関連のある運動パターンと第2の関連のある運動パターンと特にその他の関連のある運動パターンとに関連付けされることが好ましい。好ましくは、第2運動パターンが、当該第1の関連のある運動パターンと当該第2の関連のある運動パターンと特に関連のある運動パターンとに割り当てられる。当該おむつモジュールが、当該排泄の種類に相当する予測信号を出力することが好ましい。
【0013】
好適な1つの実施の形態によれば、1つの排泄が感知されたときに、当該おむつモジュールが、ユーザに注意を喚起するために排泄信号を送信する。当該1つの排泄信号又は複数の排泄信号は、例えば音響信号及び/又は光学信号及び/又は触覚信号を有する。例えば、明るい色調若しくはメロディー、発光ダイオードの明滅又は振動が考慮される。好ましくは、当該1つの排泄信号又は複数の排泄信号は、通信装置によって、例えば無線又は赤外線を通じてモバイル電子機器に送信される。当該排泄信号は、このモバイル電子機器で音響信号/触覚信号に変換される。当該1つの排泄信号又は複数の排泄信号と、当該1つの予測信号及び/又は複数の予測信号とが区別されることが好ましい。好ましくは、当該排泄の種類が、ユーザによって識別されるように、これらの排泄信号は相違する。
【0014】
ユーザが、特にどちらの排泄が存在するのかを複数の排泄信号のうちの幾つかの排泄信号に基づいて検査することが好ましい。この場合、これらの検査の結果が、排泄を感知するための排泄パターン認識を改良するために算術演算装置によって記憶される。これは、学習可能な排泄パターン認識が、複数の排泄のうちの1つの排泄又はその種類を確実に把握するという認識に基づく。
【0015】
当該おむつモジュールが、予め設定されている一組の運動パターン及び/又は排泄パターンを有することが、本発明の範囲内にある。用語「予め設定されている」は、特に、運動パターン又は排泄パターンが工場渡しで又は小売前に又は後のアップグレードとして当該おむつモジュール内に記憶されることを意味する。その結果、運動パターン認識又は排泄パターン認識のために必要な運動パターン又は排泄パターンが、初めから存在するので、学習能力が向上され得る。
【0016】
当該おむつモジュールが、関連のある運動パターン及び/又は排泄パターンと、関連のない運動パターン及び/又は排泄パターンとの識別を改良するために、予め設定されている一組のフィルタを有することが好ましい。特に、フィルタリングされた運動パターンは、運動パターン認識の学習のために使用されない。当該フィルタは、例えば極端な運動パターンを分類し得る。当該フィルタが、例えば複数の運動振幅の複数の閾値を確定することが好ましい。この場合、運動振幅が、これらの閾値の上にあると、これらの運動振幅に属する運動パターンが、当該運動パターン認識の学習に使用されない。当該フィルタが、運動振幅の値の上限及び/又は値の下限を規定することが好ましい。こうして、極端な運動が、初めから選び捨てられる。その結果、例えば、子供の飛び跳ね又はおむつ交換台上での寝返りが、当該学習に最初から全く使用されない。
【0017】
著しく好適な1つの実施の形態によれば、複数の運動パターンに関連付けられた排泄センサの複数のデータがそれぞれ、これらの運動パターンに時間的に追従する。好ましくは、排泄センサの後続するデータが、予め設定されている期間内にこれらの運動パターンの後方に存在する。当該期間は、例えば1分である。
【0018】
非常に好適な1つの実施の形態によれば、当該おむつモジュールが、モバイル電子機器と通信するために通信装置を有する。この通信装置は、例えば無線信号を送信し、受信することができる。例えば、WLAN、ブルートゥース又はGSM無線信号が考慮される。しかし、この通信装置は、赤外線を送信し受信することも可能である。「通信装置」は、特に、付随する電子装置を伴うアンテナと解釈される。当該おむつモジュールが、タイマーを有することが、本発明の範囲内にある。このタイマーは、好ましくは算術演算装置内に存在し、さらに、特にこの算術演算装置の周辺に存在する。
【0019】
好ましくは、当該排泄センサは、湿度センサである。好ましくは、当該排泄センサは、扁平な要素である。この場合、特に、この扁平な要素の第1縁面は、第2縁面よりも長い。好ましくは、複数の電線が、この扁平な要素に配置されている。この場合、これらの電線は、これらの電線間の抵抗又は静電容量を検出する。好ましくは、これらの電線のうちの少なくとも1つの電線が、この扁平な要素の長さの少なくとも半分にわたって延在する。
【0020】
当該排泄センサの一部が、おむつモジュールに可逆的に及び/又は不可逆的に装着されることが好ましい。特に、当該排泄センサの一部、特に扁平な要素が、押圧接触部によって、特にばね挟持部によってこのおむつモジュールのハウジングに固定される。好ましくは、この排泄センサを衛生的に洗浄することができるように、この排泄センサは構成されている。
【0021】
非常に好適な1つの実施の形態によれば、当該おむつモジュールが、例えばフック要素によって、特にフックテープによっておむつに可逆的に及び/又は不可逆的に固定される。別の実施の形態によれば、当該おむつモジュールが、おむつモジュールを吊り下げるための挟持部によっておむつの縁部に固定される。
【0022】
好ましくは、当該おむつモジュールが、その操作のためにインタフェースを有する。第1の実施の形態によれば、このインタフェースは、その操作のためにハウジングに配置されていて、例えばディスプレイ及び/又は発光ダイオード及び/又はボタンのような特に少なくとも1つの入力要素及び/又は出力要素を有する。別の実施の形態によれば、このインタフェースは、その操作のためにモバイル電子機器上に配置されていて、したがってこのモバイル電子機器の全ての操作要素を使用し得る。特に、当該おむつモジュールは、当該ハウジングで操作するためのインタフェースと、当該モバイル電子機器で操作するためのインタフェースとを有する。
【0023】
好適な1つの実施の形態によれば、当該運動センサが、回転運動及び/又は並進運動を感知する。当該運動センサは、加速度センサ及び/又は磁場センサ及び/又はジャイロスコープを有してもよい。好適な1つの実施の形態によれば、当該運動センサは、慣性センサである。
【0024】
当該算術演算装置が、おむつに配置されたおむつモジュールの一部に内蔵されていること、及び/又はおむつに配置されていないおむつモジュールの一部に内蔵されていることが可能である。当該算術演算装置は、おむつだけに配置されてもよく、モバイル電子機器だけに配置されてもよく、又は−分割して−双方の要素に配置されてもよい。
【0025】
技術的な問題を解決するため、本発明は、おむつ装着者のおむつ内の排泄を予測するためのおむつモジュール、特に本発明の方法によるおむつモジュールを提唱する。この場合、当該おむつモジュールは、排泄センサと運動センサと算術演算装置とを有する。
【0026】
特に、当該おむつモジュールは、おむつの少なくとも一部に配置され得る。当該算術演算装置が、排泄センサを使用することで、運動センサによって取得された運動パターンを、当該排泄センサのデータに関連付け得るように、当該算術演算装置は構成されていることが可能である。この場合、排泄が感知されたときに、当該運動パターンが、関連のある運動パターンとして記憶され、好ましくはその後に感知される排泄に関連付けされる。好ましくは、当該算術演算装置が、当該関連のある運動パターンによって1つの運動パターン認識を基準でき、関連のある運動パターンと関連のない運動パターンとを識別し得るように、当該算術演算装置は構成されている。好ましくは、当該複数の運動パターンのうちの幾つかの運動パターンが、当該関連のある運動パターンに割り当てられるように、当該複数の運動パターンが、当該運動パターン認識によって分類され得る。これによって、間近に迫っている排泄に対する予測が実行され得る。当該おむつモジュールが、予測時に、ユーザに警告するための予測信号を送信し得る。
【0027】
以下に、本発明をただ1つの実施の形態を示す図面に基づいて詳しく説明する。この実施の形態は概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】おむつに装着された本発明のおむつモジュールの投影図である。
【
図2】
図1のおむつモジュールを前側から見たときの投影図である。
【
図3】
図1及び2のおむつモジュールを後側から見たときの投影図である。
【
図4】
図1〜3のおむつモジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、おむつ1が示されている。本発明のおむつモジュール2が、図示されていない面ファスナーによってこのおむつ
1に装着されている。おむつモジュールは、特に吸収力のある縦長に形成され且つ扁平な要素9によって形成される排泄センサ3を有する。この実施の形態では、当該扁平な要素9は、おむつモジュール2のハウジング20からおむつ1の上縁部を超え、このおむつ1の内面に沿って当該上縁部からこのおむつ1の二股領域21まで延在する。このため、当該扁平な要素9は、その片面に図示されていないフック要素を有する。
【0030】
図2には、おむつモジュール2が、おむつ1なしに示されている。ハウジング20が、1つのオン/オフスイッチ16と、おむつモジュール2を操作するためのインタフェース12とを有する。扁平な要素9が、2つの電線14,15を有する。この場合、電線14が、電線15を包囲している。この実施の形態では、排泄センサ3は、湿度センサである。この湿度センサは、これらの電線14,15間の湿度に依存する抵抗器22の抵抗を測定することによっておむつ1内の湿度を測定することができる。これらの電線14,15間の電気抵抗値が、当該抵抗器22の周囲の湿度の上昇に起因して低下する。したがって、これらの電線14,15間に電圧を印加したときに測定される当該抵抗値の低下は、おむつ1内の湿度の上昇に起因する。
【0031】
図3には、おむつモジュール2を後側から見たときのこのおむつモジュール2のハウジング20だけが示されている。おむつ1を安定に保持するフックテープ17を認識することができる。さらに、凹部18が見て取れる。扁平な要素9の端部が、この凹部18内に滑り込まれ得る。この場合、扁平な要素9の電線14,15が、押圧接触部19によって、特にばね挟持部によってハウジング20に接合される。
【0032】
図4には、おむつモジュール2が、ブロック図で具体的に示されている。ハウジング20は、排泄センサ3と操作のためのインタフェース12とに加えて、運動センサ4と算術演算装置5と通信装置7と電源13とをさらに有する。運動センサ4は、慣性センサである。この慣性センサは、回転運動と並進運動との双方を認識することができる。これにより、排泄前にありがちな寝返り動作と手足をばたばた動かす動作との双方が把握され得る。算術演算装置5が、プロセッサ10とメモリ11とタイマー6とを有する。この場合、プロセッサ10は、タイマー6をさらに有する。
【0033】
この実施の形態では、通信装置7は、WLANインタフェースであり、したがって、例えばスマートフォン又はタブレットのようなモバイル電子機器に容易に接続され得る。この実施の形態では、おむつモジュール2が、スマートフォンとしてのモバイル電子機器8上にプログラムを有してもよく、モバイル電子機器8自体を有してもよい。当該プログラムが、このスマートフォンの通信装置とハウジング20内の通信装置7とを通じて算術演算装置5と通信する。この実施の形態では、モバイル電子機器8は、おむつモジュール2の構成要素であるが、ハウジング20に内蔵されていない。この状況が、破線で示されている。
【0034】
おむつ1をおむつ装着者に装着した場合、同時に、ハウジング20も、新規に適用される扁平な要素9と一緒にフックテープ17によっておむつ1に固定される。当該扁平な要素9は、おむつ1の上縁部に沿わせて曲げられ、下方の二股領域21までにわたってこの扁平な要素9のフック要素によっておむつ1の内壁に固定される。したがって、おむつモジュール2が、おむつ1を装着し、オン/オフスイッチ16を操作することによって正常に動作する。
【0035】
おむつモジュール2は、運動センサ4とタイマー6とによって当該おむつ装着者の連続する運動パターンを記録する。排泄センサ3が、電気抵抗器22の抵抗値の突然の低下を感知した直後に、こうして感知された排泄が、先行する関連のある運動パターンに関連付けられる。このような多数の関連付けが、時間の経過中に実行される。
【0036】
排泄が、固体の排泄か又は液体の排泄であるか否かを、算術演算装置5が、当該抵抗値の低下の速度によって評価する。この場合、特に、当該固体の排泄又は液体の排泄に先行する運動パターンが、関連のある運動パターンとして記憶される。当該関連のある運動パターンは、運動パターン認識のための基準として使用される。当該運動パターン認識のプログラムが、算術演算装置5のメモリ11内に存在する。
【0037】
最初に、それぞれの運動パターンの、例えば頻度及び振幅分布のような様々な特徴が、当該記憶された多数の運動パターンと、時間に対する運動振幅の変化とから特徴抽出法で算出される。その後に、それぞれの排泄の種類に非常に強く相関する最も重要な複数の特徴が、特徴縮小法で選択される。
【0038】
短い学習時間の後に、当該運動パターン認識が、当該最も重要な複数の特徴の結合を編集するために十分に多い運動パターンを収集する。したがって、これらの運動パターンが、当該最も重要な複数の特徴に基づいて当該排泄の種類に関して分類され得る。例えば、間近に迫っている液体の排泄の典型的な複数の特徴を含む1つの運動パターンが取得されると、算術演算装置5が、通信装置7を通じてモバイル電子機器8に信号を送信する。これによって、当該ユーザが、間近に迫っている液体の排泄の前に警告される。したがって、当該ユーザは、おむつ装着者、例えば子供を子供用おまる上に座らせ得る。これによって、当該子供のおむつ1の習慣が、時間の経過と共に非常に早く止められ、おむつの消費が劇的に減少され、環境が適切に保護される。
【0039】
特に学習段階では、排泄物が存在するときに、どんな排泄物が存在するかを、ユーザが予測信号に応じて検査することが有益である。その後に、当該ユーザは、そのユーザのモバイル電子機器8を用いてこの検査の結果を入力し得る。これによって、おむつモジュール2によって実行される当該予測の信憑性が確認又は否定される。当該信憑性が確認された場合には、1つの運動パターン又はこの運動パターンの所定の特徴の信憑性が向上される。こうして、当該運動パターン認識の学習能力がさらに向上される。
【0040】
さらに、おむつモジュール2は、排泄物をおむつ1内で感知した場合に、排泄物信号を送信する。この排泄物信号は、予測信号と相違するので、ユーザは、即座に情報を提供される。さらに、ユーザは、感知された排泄の種類の信憑性も確認又は否定し得るので、おむつモジュール2は、排泄パターン認識に関しても学習可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 おむつ
2 おむつモジュール
3 排泄センサ
4 運動センサ
5 算術演算装置
6 タイマー
7 通信装置
8 移動電子機器
9 扁平な要素
10 プロセッサ
11 メモリ
12 インタフェース
13 電源
14 電線
15 電線
16 オン/オフスイッチ
17 フックテープ(ベルクロ・テープ(商標))
18 凹部
19 押圧接触部
20 ハウジング
21 二股領域
22 電気抵抗器