(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の青色着色樹脂組成物であって、該青色着色樹脂組成物を用いて得られる厚み0.8μmの薄膜が、透過率が50%となる波長を505乃至515nmの範囲内に有する青色着色樹脂組成物。
請求項8に記載のカラーフィルターであって、青色着色樹脂組成物を基板に塗布する工程、該基板に塗布した青色着色樹脂組成物にプリベーク処理を施して薄膜を得る工程、該薄膜にマスクパターンを通して放射線を照射する工程及び該放射線を照射した薄膜を現像する工程を経て得られるカラーフィルター。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の青色着色樹脂組成物は、ピグメントブルーに分類される有機着色顔料(以下単に「青色顔料」と記載する)及びピグメントバイオレットに分類される有機着色顔料(以下、単に「紫色顔料」と記載する)を含有する。これらの有機顔料としては、カラーフィルターに適した分光特性を有するものが好ましい。
青色顔料の具体例としては、ピグメントブルー1 、1:2 、9、14 、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78及び79等が挙げられる。ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4又はピグメントブルー15:6等が好ましい。
紫色顔料の具体例としては、ピグメントバイオレット1 、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49及び50等が挙げられる。ピグメントバイオレット23等が好ましい。
【0015】
本発明の青色着色樹脂組成物中の有機着色顔料の含有量は、青色着色樹脂組成物中の全固形分(必須成分である青色顔料、紫色顔料、前記式(1)のナフタロシアニン化合物及び光重合性モノマーと、任意成分である分散剤、分散助剤及びバインダー樹脂等、溶媒を除く全ての固形成分)100質量部に対して、通常1乃至60質量部、好ましくは20乃至50質量部である。青色着色樹脂組成物中の有機着色顔料の含有量を前記の範囲とすることにより、凝集等の分散安定性の問題を引き起こすことなく、かつ十分な色純度が得られる。尚、本発明の青色着色樹脂組成物中における青色顔料と紫色顔料の配合比率は、本発明の青色着色樹脂組成物を用いて得られる厚み0.8μmの薄膜の透過率が後述する特定の範囲内にあれば特に限定されない。
また、本発明の青色着色樹脂組成物が含有する青色顔料及び紫色顔料は、微細なものほど好ましい。ハンドリング性等も考慮すると、平均一次粒子径が100nm以下であることが好ましく、5乃至80nmであることがより好ましく、5乃至50nmであることがさらに好ましい。顔料の平均一次粒子径は、例えば、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。
【0016】
本発明の青色着色樹脂組成物は前記式(1)で表されるナフタロシアニン化合物を含有する。
【0017】
式(1)中、R
1乃至R
24はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数6乃至20のアリール基、炭素原子数4乃至20の複素環基、−OR
25または−SR
26を表し、該炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数6乃至20のアリール基及び炭素原子数4乃至20の複素環基は置換基を有していてもよい。R
25及びR
26はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数1乃至20のアルキル基または置換基を有する若しくは無置換の炭素原子数6乃至20のアリール基を表す。
【0018】
式(1)のR
1乃至R
24が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0019】
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基としては、炭素原子数1乃至20からなる飽和の脂肪族炭化水素基であれば特に制限されるものではなく、該アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル基及びシクロペンチルエチル基等が挙げられる。
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1乃至12のアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1乃至8のアルキル基がより好ましい。
【0020】
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルコキシ基(上記した炭素数1乃至20のアルキル基と酸素原子が結合したアルコキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、アミノ基、シアノ基及びニトロ基等が挙げられるが、これらに限定されるモノではない。
尚、本明細書において置換基を有する炭素数1乃至20のアルキル基における「置換基を有する」との語句は、炭素数1乃至20からなる飽和の脂肪族炭化水素基が有する1つ又は2つ以上の水素原子が例えば前記のアルコキシ基、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基で置換されていることを意味し、「無置換の」との語句は、炭素数1乃至20からなる飽和の脂肪族炭化水素基が有する水素原子がアルコキシ基、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基で置換されていないことを意味する。本明細書において、「置換基を有する」及び「無置換の」は、ここで説明したのと同様の意味で用いられる。
【0021】
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数6乃至20のアリール基としては、炭素原子数6乃至20からなる芳香族環から水素原子1つを除いた残基であれば特に制限されるものではない。その具体例としてはフェニル基、フェネチル基、o−、m−若しくはp−トリル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基及びピレニル基等が挙げられる。フェニル基が特に好ましい。
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数6乃至20のアリール基は置換基を有していてもよい。該有していてもよい置換基としては式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0022】
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数4乃至20の複素環基としては、炭素原子数4乃至20からなる複素環から水素原子1つを除いた残基であれば特に制限されるものではない。その具体例としてはピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、プリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基及びフェノチアジニル基等が挙げられる。ピリジル基が特に好ましい。
式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数4乃至20の複素環基は置換基を有していてもよい。該有していてもよい置換基としては式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0023】
式(1)のR
25及びR
26が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基としては、式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基と同じものが挙げられる。
式(1)のR
25及びR
26が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基は置換基を有していてもよい。該有していてもよい置換基としては式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0024】
式(1)のR
25及びR
26が表す炭素原子数6乃至20のアリール基としては、式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数6乃至20のアリール基と同じものが挙げられる。
式(1)のR
25及びR
26が表す炭素原子数6乃至20のアリール基は置換基を有していてもよい。該有していてもよい置換基としては式(1)のR
1乃至R
24が表す炭素原子数1乃至20のアルキル基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0025】
式(1)におけるR
1乃至R
24としては、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有する若しくは無置換の炭素数6乃至20のアリール基であることが好ましい。R
1乃至R
24の全てが水素原子であるか、又はR
1、R
2乃至R
5、R
7、R
8乃至R
11、R
13、R
14乃至R
17、R
19並びにR
20乃至R
23が水素原子であって、R
6、R
12、R
18並びにR
24が無置換の炭素数6乃至20のアリール基であるか、若しくR
2乃至R
5、R
6、R
8乃至R
11、R
12、R
14乃至R
17、R
18、R
20乃至R
23並びにR
24が水素原子であって、R
1、R
7、R
13並びにR
19が無置換の炭素数6乃至20のアリール基であることがより好ましい。R
1乃至R
24の全てが水素原子であるか、又はR
1、R
2乃至R
5、R
7、R
8乃至R
11、R
13、R
14乃至R
17、R
19並びにR
20乃至R
23が水素原子であって、R
6、R
12、R
18並びにR
24がフェニル基であるか、若しくR
2乃至R
5、R
6、R
8乃至R
11、R
12、R
14乃至R
17、R
18、R
20乃至R
23並びにR
24が水素原子であって、R
1、R
7、R
13並びにR
19がフェニル基であることが更に好ましい。
【0026】
式(1)中、Mは2個の水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表す。Mが2個の水素原子を表す場合、式(1)中のN−M−Nの部分が2つのN−Hとして示される構造が形成される。
式(1)のMが表す金属原子としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム及び錫等が挙げられる。
式(1)のMが表す金属酸化物としては、チタニル及びバナジル等が挙げられる。
式(1)のMが表す金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫(II)、塩化錫(IV)及び塩化珪素等が挙げられる。
式(1)におけるMとしては、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジウム、チタン、塩化インジウム又は塩化錫(II)であることが好ましい。銅、亜鉛、バナジウム又はチタンであることがより好ましく、バナジウムであることが特に好ましい。
【0027】
式(1)で表されるナフタロシアニン化合物は、単独又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらナフタロシアニン化合物の青色着色樹脂組成物中の含有量は、全固形分100質量部に対して通常0.5乃至30質量部、好ましくは1乃至20質量部である。青色着色樹脂組成物中のナフタロシアニン化合物の含有量を前記の範囲とすることにより、可視波長域の透過率の低下や、凝集等の分散安定性に問題を引き起こすことなく、かつ赤外波長域での十分な遮光性が得られる。
【0028】
式(1)で表されるナフタロシアニン化合物としては、750乃至1500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものが好ましく、780乃至1100nmの波長領域に極大吸収波長を有するものがより好ましい。前記の波長領域に極大吸収波長を有するナフタロシアニン化合物を用いることにより、目的の波長領域の光が効率よく吸収される。
尚、本発明における極大吸収波長とは、紫外可視近赤外分光光度計で測定した波長領域において、その吸光度が最大となる波長を指す。
【0029】
また、式(1)で表されるナフタロシアニン化合物が油溶性有機溶媒又は水性媒体に溶解した状態で顔料分散液中に存在する場合、該顔料分散液を含む着色樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下することがある。従って、ナフタロシアニン化合物は油溶性有機溶媒又は水性媒体に分散した状態で顔料分散液中に存在することが好ましい。
【0030】
次に式(1)で表される化合物の製造方法について説明する。式(1)で表される化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができるが、例えば、対応する金属化合物の共存下、ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体(酸無水物、ジアミド、ジニトリル等)から中心に金属を有するナフタロシアニンを直接環化反応により合成することが知られている(例えば、ケミストリー−A・ヨーロピアン・ジャーナル、9巻、5123乃至5134頁(2003年発行)参照)。このとき触媒(例えばモリブデン酸アンモニウム)と尿素を共存させることが好ましい。或いはリチウム化合物を用いて一度ナフタロシアニンの無金属体を合成した後、後述のとおりバナジウム化合物等の金属化合物を用いて合成することもできる。
【0031】
上記環化反応は無溶媒中でも行なえるが、有機溶媒中で行なうことが好ましい。環化反応に用い得る有機溶媒は、出発原料としてのナフタレンジカルボン酸またはその誘導体との反応性の低いものであれば特に限定されないが、反応性を示さない不活性な溶媒であることが好ましい。有機溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、o−クロロトルエン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、エチレングリコール及びベンゾニトリル等の不活性溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノール及び1−オクタノール等のアルコール;ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらのうち、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、1−オクタノール、ジクロロベンゼン、ベンゾニトリル及びスルホランが好ましい。1−オクタノール、ジクロロベンゼン、ベンゾニトリル及びスルホランがより好ましい。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
環化反応に用いるナフタレンジカルボン酸またはその誘導体および金属化合物の使用量は、当該反応が進行しさえすれれば特に限定されるものではない。例えば、有機溶媒100質量部に対して、上記ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体を通常1乃至500質量部、好ましくは10乃至350質量部の範囲で用い、かつ該ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体1モルに対して、金属化合物を通常0.25乃至0.5モル、好ましくは0.25乃至0.4モルの範囲で用いる。また環化反応の条件も特に限定されるものではないが、反応温度は30乃至250℃の範囲であることが好ましく、80乃至200℃の範囲であることがより好ましい。反応時間は1乃至30時間であることが好ましい。また、環化反応は、大気雰囲気中で行なってもよいが、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの流通下)で、行なわれることが好ましい。
【0033】
ナフタロシアニンの無金属体と金属化合物を用いて式(1)で表される化合物を合成する際の原料の使用比率は、ナフタロシアニンの無金属体1モルに対して、金属化合物を0.1乃至10モル用いること好ましく、0.5乃至5モル用いることがより好ましく、1乃至3モル用いることが更に好ましい。金属化合物としては無機および有機金属化合物を用いることができる。その具体例としてはハロゲン化物(例えば塩素化物、臭素化物)、オキシハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、金属のアセチルアセトナート体等が挙げられる。好ましくはハロゲン化物、オキシハロゲン化物であり、より好ましくはオキシハロゲン化物である。
上記の反応で得られた化合物には、従来公知の方法に従って、晶析、ろ過、洗浄、乾燥等を施してもよい。
このような操作により、式(1)で表されるナフタロシアニン化合物を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
【0034】
以下に、式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0039】
本発明の青色着色樹脂組成物は光重合性モノマーを含有する。
本発明の青色着色樹脂組成物が含有する光重合性モノマーは光の照射により重合し得る重合性基を有する化合物である。該重合性基は重合に寄与する基であれば特に制限はないが、フォトリソグラフィー法の設計上、アクリレートモノマーが好ましい。アクリレートモノマーとしては特に制限はないが、現像液に対する良好な溶解性及び精細なパターン形成性の点から、分子量が2000以下のアクリレートモノマーがより好ましい。アルキレンオキサイド変性のアクリレートモノマーが特に好ましい。
尚、本発明における「アルキレンオキサイド変性のアクリレートモノマー」とは、その構造中にアルキレンオキサイド構造(アルキレン基と酸素原子が結合した構造)とアクリレート基若しくはメタクリレート基を有する重量平均分子量(ポリスチレン換算;GPCにより測定)が3000以下の化合物を意味する。
【0040】
アクリレートモノマーの具体例としては、アロニックスM−309、M−310、M−321、M−350、M−360、M−313、M−315、M−306、M−305、M−303、M−452、M−450、M−408、M−403、M−400、M−402、M−404、M−406、M−405、M−460、M−510(東亜合成(株)製)、NKエステル、A−9300、A−9300−1CL、A−GLY−3E、A−GLY−9E、A−GLY−20E、TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMM−3LM−N、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−1100H、UA−53H、UA−33H(新中村化学工業(株)製)、カヤラッドTMPTA、TPA−330、D−310、T−1420(T)、GPO−303、DPHA−40H、PET−30、DPEA−12、FM−700、DPHA、THE−330、RP−1040、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60,DPCA−120、CCR−129H、ZAR−1035、ZFR−1491H、ZCR−1569H、UXE−3000、UXE−3024(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
アルキレンオキサイド変性のアクリレートモノマーの具体例としては、アロニックスM−310、M−321、M−350、M−360、M−313、M−315、M−460(東亜合成(株)製)、NKエステル、A−9300、ATM−35E、A−GLY−3E、A−GLY−9E、A−GLY−20E(新中村化学工業(株)製)、カヤラッドTPA−330、GPO−303、THE−330、RP−1040(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0041】
本発明の青色着色樹脂組成物中の光重合性モノマーの含有量は、本発明の着色樹脂組成物を基材に塗布した後に必要により溶剤を除去して得られる着色樹脂組成物膜に、露光を施すことにより硬化膜を形成できさえすれば特に限定なく任意の割合とすることができる。具体的には、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、通常1乃至80質量部、好ましくは10乃至50質量部である。
【0042】
本発明の青色着色樹脂組成物を用いて得られる厚み0.8μmの薄膜は、波長450nmにおいて60%以上、波長700nmにおいて15%以下、かつ波長910nmにいて80%以下の透過率を示す。前記の透過率特性を有することにより、本発明の青色着色樹脂組成物からなる薄膜(青色カラーフィルター)は、赤色カラーフィルターや緑色カラーフィルターとの色分離性に優れる。尚、本発明における透過率は紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定した値を意味する。
本発明の青色着色樹脂組成物を用いて得られる厚み0.8μmの薄膜は、波長450nmにおいて70%以上、波長700nmにおいて12%以下、かつ波長910nmにいて70%以下の透過率を示すことが好ましく、波長450nmにおいて75%以上、波長700nmにおいて10%以下、かつ波長910nmにいて60%以下の透過率を示すことがより好ましい。
【0043】
また、本発明の青色着色樹脂組成物を用いて得られる厚み0.8μmの薄膜は、透過率が50%となる波長を505乃至515nmの範囲内に有することが好ましく、508乃至512nmの範囲内に有することがより好ましく、510nmであることが更に好ましい。
尚、薄膜の厚みが0.8μmでない場合は、以下の計算式
実際の膜厚(μm)/0.8(μm)
で得られた係数を透過率の実測値に掛けることにより0.8μmの薄膜の透過率に換算することができる。具体的には、例えば厚み1.6μmの薄膜の透過率が25%の場合、厚み0.8μmの薄膜に換算した透過率は、1.6μm/0.8μm×25%=50%となる。
【0044】
本発明の青色着色樹脂組成物には油溶性有機溶媒又は水性媒体を併用してもよい。併用し得る油溶性有機溶媒又は水性媒体は特に限定されないが、該着色樹脂組成物を作製する際に分散安定性を保つことができるものが好ましい。
油溶性有機溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等のベンゼン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類、 乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類、 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。ここに挙げた有機溶媒の一部は、油溶性であると同時に水性でもあるため、以下の水性媒体の具体例にも挙げられる。
【0045】
水性媒体の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール及びベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ペンタンジオール及び1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びモルホリン等のアミン類;2−ピロリドン、NMP、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0046】
これらは単独もしくは2種以上組み合わせて使用してもよい。油溶性有機溶剤又は水性媒体の使用量は、青色着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して通常10000質量部以下、好ましくは50乃至1000質量部である。
【0047】
本発明の青色着色樹脂組成物には、光重合開始剤を併用してもよい。光重合開始剤を併用することは、本発明の着色樹脂組成物を基材に塗布した後に溶剤を除去して得られた着色樹脂組成物膜に露光を施すことにより容易に硬化膜を形成できる点で好ましい態様である。併用し得る光重合開始剤は特に限定されないが、アミノアルキルフェノン系光重合開始剤又はオキシム系光重合開始剤が好ましい。アミノアルキルフェノン系光重合開始剤の具体例としては、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、4,4’−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、IRGACURE 369、379、379EG、907、KAYACURE EPA(日本化薬(株)製)、EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。オキシム系光重合開始剤の具体例としては、IRGACURE OXE−01、OXE−02、PAG103、PAG121、PAG203(BASF製)等が挙げられる。
本発明の青色着色樹脂組成物中のこれら光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは0.5乃至25質量部である。
【0048】
本発明の青色着色樹脂組成物には、分散剤を併用してもよい。分散剤を併用することにより顔料の分散性が向上する。分散剤としては、顔料に対して良好な吸着性を有する色素系分散剤、樹脂系分散剤及び界面活性剤等が挙げられる。
色素系分散剤の使用法としては、例えば有機顔料のスルホン化物、カルボン酸化物あるいはその金属塩を顔料と混和する方法や置換アミノメチル誘導体を顔料と混和する方法等が公知の技術として知られている。
樹脂系分散剤としては、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、等のカチオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、W004、W005 、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルテイケミカル社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤、また、アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk101、103、106、108、109、111、112、116、130、140、142、162、163、164、166、167、170、171、174、176、180、182、2000、2001、2050、2150(ビックケミー(株)社製)、アジスパーPB711、PB411、PB111、PB814、PB821、822、824、881(味の素ファインテクノ製)、ソルスパース5000、13240、20000、24000、26000、28000、71000(アビシア製)が挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
本発明の青色着色樹脂組成物中のこれら分散剤の含有量は特に制限されないが、全固形分100質量部に対して通常70質量部以下、好ましくは3乃至40質量部である。
【0049】
本発明の青色着色樹脂組成物には、バインダー樹脂を併用してもよい。バインダー樹脂としては、本発明のカラーフィルターを作製するために利用するフォトリソグラフィー法の設計上、現像処理工程において用いられるアルカリ性現像液に可溶であることが望ましい。さらに、バインダー樹脂としては、良好な微細パターンを形成するために光重合開始剤、光重合性モノマー等との十分な硬化特性を有しているものが望ましい。
【0050】
バインダー樹脂としては公知の樹脂を使用することができる。バインダー樹脂として、より好ましくは以下に挙げられる1個以上のカルボキシル基、または水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーあるいは他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマー等の共重合体であることが望ましい。また、これらの側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したもの、さらにアクリレートを付加させたエポキシアクリレート樹脂も使用できる。これらのモノマー等は単独でも2種以上組み合わせても良い。
【0051】
本発明で使用できる前記のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類、3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
本発明で使用できる前記の水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシ−3−メチル−ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチル(メタ) アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
また、前記の他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートヒドロキシエチル化物、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルノルボニル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル=(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル=(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環骨格類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(メタ)アクリロイルフタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、マレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類、1, 3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
また、共重合体の側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体も有用である。例えば、無水マレイン酸と共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物の無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、およびアクリル酸、アクリル酸エステルとヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基にアクリル酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。また、ウレタン樹脂やポリアミド、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、市販のACA−200M(ダイセル社製)、ORGA−3060(大阪有機化学製)、AX3−BNX02(日本触媒製)、UXE−3024(日本化薬製)、UXE−3000(日本化薬製)、ZGA−287H(日本化薬製)、TCR−1338H(日本化薬製)、ZXR−1722H(日本化薬製)、ZFR−1401H(日本化薬製)、ZCR−1642(日本化薬製)も使用することができる。
【0055】
本発明で用いられるバインダー樹脂(共重合体)を製造する場合は、重合開始剤を使用する。ここで共重合体を合成するときに使用される重合開始剤の具体例としては、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド過酸化ベンゾイルメチルエチルケトンパーオキシド等を挙げることができる。重合開始剤の使用割合は、共重合体の合成に使用する全ての単量体の合計に対して、通常0.01乃至25質量部である。また、共重合体を合成する場合は、下記で説明する有機溶剤を使用するのが好ましいが、使用する単官能のモノマーや重合開始剤等に対して十分な溶解力を有するものを使用することができる。共重合体を合成するときの反応温度は50乃至120℃であることが好ましく、特に好ましくは80乃至100℃である。また、反応時間は1乃至60時間であることが好ましく、より好ましくは3乃至20時間である。共重合体の好ましい酸価は10乃至300(mgKOH/g)であり、好ましい水酸基価は10乃至200(mgKOH/g)である。酸価もしくは水酸基価が10以上であることによって、現像性が適切に保持されうる。共重合体の重量平均分子量(Mw)は2000乃至400000が好ましく、3000乃至100000がより好ましい。この重量平均分子量が2000以上かつ400000以下であることによって、感度および現像性等が適切に保持されうる。
【0056】
本発明において、前記バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明におけるバインダー樹脂の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、通常、0.5乃至99質量部、好ましくは5乃至50質量部である。この場合、バインダー樹脂の含有量が0.5質量部以上であることによって、アルカリ現像性が適切に保持され得、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残り等の問題の発生可能性が抑制され得る。
【0057】
本発明の青色着色樹脂組成物には、更に必要に応じて界面活性剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の各種添加物を併用することが出来る。併用し得る添加剤は本発明の青色着色樹脂組成物の効果を損なわない限り特に限定されるものではない。添加剤として、例えば下記一般式(a)で表されるジピロメテン系化合物が、ホウ素原子、ホウ素化合物、金属原子、又は金属化合物に配位したジピロメテン系錯体化合物又はその互変異性体を併用すると、青色着色樹脂組成物とした際の保存安定性が低下するため好ましくない。
【0059】
式(a)中、R
31乃至R
36はそれぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表し、R
37は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
【0060】
本発明の青色着色樹脂組成物の調製方法は、必須成分であるピグメントブルーに分類される有機顔料、ピグメントバイオレットに分類される有機顔料、上記式(1)で表されるナフタロシアニン化合物及び光重合性モノマーと、任意成分である油溶性有機溶媒若しくは水性媒体、光重合開始剤、分散剤及びバインダー樹脂等を均一に混合出来さえすれば特に限定されない。調製方法として、例えばディゾルバーやホモミキサー等の装置を用いて混合、分散する方法が挙げられる。
また、ピグメントブルーに分類される有機顔料、ピグメントバイオレットに分類される有機顔料及び上記式(1)で表されるナフタロシアニン化合物と、分散剤及び油溶性有機溶媒若しくは水性媒体を、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル又は超音波分散機等を用いて、0.01乃至1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで予め微分散処理を行なうことにより顔料分散液を調製した後に、該顔料分散液に光重合性モノマーや各種任意成分を加えて青色着色樹脂組成物を得る方法は好ましい態様の一つである。
更には、前記のビーズ分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練及び分散処理を行なうことは、顔料分散液を得るための好ましい態様である。
混練及び分散処理の時間は、特に限定されないが、一般的には1時間以上が好ましい。なお、混練及び分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等の記載を参酌できる。
前記の方法等により得られた青色着色樹脂組成物に、必要に応じて異物等を取り除くためのフィルター等による精密濾過処理を施すことも出来る。
【0061】
次に、本発明の青色着色樹脂組成物からなるカラーフィルターを調製する典型的な方法について説明する。先ず、本発明の青色着色樹脂組成物をガラス基板、シリコン基板等の基板上に、スピンコート法、ロールコート法、スリットアンドスピン法、ダイコート法、バーコート法等の方法で、膜厚が約0.1乃至20μm、より好ましくは0.5乃至5μmになるように塗布し、必要に応じて、減圧チャンバー内で、乾燥条件、温度23乃至150℃下で時間1乃至60分間、より好ましくは温度60乃至120℃下で時間1乃至10分間で減圧乾燥を行い、さらにホットプレートもしくはクリーンオーブン等でプリベーク処理を行い製膜することができる。次に一般的なフォトリソグラフィー法により所定のマスクパターンを通して放射線(例えば電子線や紫外線が挙げられるが、紫外線が好ましい。)を照射した後、界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液、又は界面活性剤とアルカリ剤の混合水溶液で現像することができる。現像方式には、ディップ法、スプレー法、シャワー法、パドル法、超音波現像法等があるが、これらのいずれかを組み合わせても良い。現像により未照射部を取り除き、水でリンスした後にポストベーク処理を行ってよい。ポストベーク処理は例えば、温度130乃至300℃下で時間1乃至120分間、より好ましくは温度150乃至250℃下で時間1乃至30分間の条件で行うことができる。このようにして、本発明の青色着色樹脂組成物からなるカラーフィルターを得ることができる。
【0062】
上記において界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が使用出来る。また、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が使用される。本発明においては、アルカリ剤と界面活性剤の両方を含む水溶液の使用が好ましい。現像は、通常10乃至50℃ 、好ましくは20乃至40℃ の処理温度下で、通常30乃至600秒、好ましくは30乃至120秒の処理時間で行われる。
【0063】
本発明の青色着色樹脂組成物からなるカラーフィルターは、デジタルカメラ等に使用される固体撮像素子に好適な薄膜化された青色カラーフィルター機能、および近赤外線カット機能をともに有するものである。該カラーフィルターを含んでなる本発明の固体撮像素子は、一度の現像工程で製膜した青色カラーフィルターと近赤外線カットフィルターの両方の機能を有するフィルターを設けて構成されたものであり、軽量で、ノイズが低減された優れた画質を有する。
【0064】
なお、本発明の青色着色樹脂組成物からなるカラーフィルターは、青色カラーフィルター機能と近赤外線カット機能の両方の機能を有するため、好ましくは固体撮像素子において従来の2層構造とする必要がなく、薄膜化された単一層とすることができる。しかし一実施形態において、そのような従来の2層構造のうちの1層の代替として本発明のカラーフィルターを用いることも可能である。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中、「部」は他に特定しない限り「質量部」を意味する。
尚、実施例におけるマススペクトルはLC−MS(Agilent 6100;アジレントテクノロジー(株)製)により、極大吸収波長は紫外可視近赤外分光光度計(UV−3150;(株)島津製作所製)によりそれぞれ測定した。
【0066】
合成例1(バナジル2,3−ナフタロシアニン(上記具体例のNo.2で表される化合物)の合成)
2000mLの四つ口フラスコに、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物70部、尿素125部、モリブデン酸アンモニウム1.8部、三塩化酸化バナジウム(V)15.3部及びスルホラン450mLを入れて、室温で10分間攪拌した後、内温195乃至205℃で6時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却して純水400mLを加え、析出した固体をろ取した。この固体を1000mLの四つ口フラスコに入れて、更に500mLのN,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)を加えて懸濁させ、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、内温を50℃まで冷却し、固体をろ取した。得られた固体を乾燥して上記具体例のNo.2で表される化合物68.8部を得た。得られた化合物のマススペクトル及び極大吸収波長の測定結果は以下の通りであった。
マススペクトル M+=779
極大吸収波長 792nm(N−メチル−2−ピロリドン)
【0067】
合成例2(チタニル2,3−ナフタロシアニン(上記具体例のNo.3で表される化合物)の合成)
500mLの四つ口フラスコに、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物25部、尿素38部、モリブデン酸アンモニウム0.2部、塩化チタン(IV)8.4部及びスルホラン200mLを入れて、室温で10分間攪拌した後、内温195乃至205℃で6時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却して純水100mLを加え、析出した固体をろ取した。この固体を500mLの四つ口フラスコに入れて、更に150mLのN,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)を加えて懸濁させ、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、内温を50℃まで冷却し、固体をろ取した。得られた固体を乾燥して上記具体例のNo.3で表される化合物19.1部を得た。得られた化合物のマススペクトル及び極大吸収波長の測定結果は以下の通りであった。
マススペクトル M+=776
極大吸収波長 791nm(N−メチル−2−ピロリドン)
【0068】
合成例3(バナジル−1−フェニル−2,3−ナフタロシアニン(上記具体例のNo.10で表される化合物)の合成)
500mLの四つ口フラスコに、1−フェニル−2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物10部、尿素13部、モリブデン酸アンモニウム0.2部、三塩化酸化バナジウム(V)1.6部及びスルホラン100mLを入れて、室温で10分間攪拌した後、内温195乃至205℃で6時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却して純水100mLを加え、析出した固体をろ取した。この固体を500mLの四つ口フラスコに入れて、更に150mLのN,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)を加えて懸濁させ、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、内温を50℃まで冷却し、固体をろ取した。得られた固体を乾燥して上記具体例のNo.10で表される化合物9.9部を得た。得られた化合物のマススペクトル及び極大吸収波長の測定結果は以下の通りであった。
マススペクトル M+=1084
極大吸収波長 808nm(N−メチル−2−ピロリドン)
【0069】
合成例4(亜鉛2,3−ナフタロシアニン(上記具体例のNo.5で表される化合物)の合成)
500mLの四つ口フラスコに、2,3−ジシアノナフタレン18部、塩化亜鉛(II)9.4部及びキノリン150mLを入れて、室温で10分間攪拌した後、内温195乃至205℃で2時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却して純水200mLを加え、析出した固体をろ取した。この固体を300mLの四つ口フラスコに入れて、更に100mLのN,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)を加えて懸濁させ、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、内温を50℃まで冷却し、固体をろ取した。得られた固体を乾燥して上記具体例のNo.5で表される化合物5.2部を得た。得られた化合物のマススペクトル及び極大吸収波長の測定結果は以下の通りであった。
マススペクトル M+=778
極大吸収波長 759nm(N−メチル−2−ピロリドン)
【0070】
合成例5(マグネシウム2,3−ナフタロシアニン(上記具体例のNo.41で表される化合物)の合成)
2000mLの四つ口フラスコに、2,3−ジシアノナフタレン18部、酢酸マグネシウム(II)4水和物9.4部及びイソアミルアルコール500mLを入れて、室温で10分間攪拌した後、還流下で10時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却して純水500mLを加え、析出した固体をろ取した。この固体を300mLの四つ口フラスコに入れて、更に100mLのN,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)を加えて懸濁させ、100℃で1時間加熱攪拌した。その後、内温を50℃まで冷却し、固体をろ取した。得られた固体を乾燥して上記具体例のNo.41で表される化合物5.5部を得た。得られた化合物のマススペクトル及び極大吸収波長の測定結果は以下の通りであった。
マススペクトル M+=737
極大吸収波長 750nm(N−メチル−2−ピロリドン)
【0071】
配合例1(顔料分散液1の調製)
各成分をC.I.ピグメントブルー15:6/ピグメントバイオレット23/合成例1で得られた具体例のNo.2で表される化合物/Disperbyk−2001/ソルスパース5000/PGMEA=11.4/2.9/0.75/6.0/1.0/78.0(質量比)の組成比で混合した後、0.3mmジルコニアビーズで分散し顔料分散液1を得た。顔料分散液1は23℃で1週間保管しても沈殿物は生じず、分散安定性は良好であった。
【0072】
配合例2(顔料分散液2の調製)
合成例1で得られた化合物No.2の代わりに合成例2で得られた化合物No.3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、化合物No.3、ピグメントブルー及びピグメントバイオレットを含む顔料分散液2を得た。顔料分散液2は23℃で1週間保管しても沈殿物は生じず、分散安定性は良好であった。
【0073】
配合例3(顔料分散液3の調製)
合成例1で得られた化合物No.2の代わりに合成例3で得られた化合物No.10を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、化合物No.10、ピグメントブルー及びピグメントバイオレットを含む顔料分散液3を得た。顔料分散液3は23℃で1週間保管しても沈殿物は生じず、分散安定性は良好であった。
【0074】
配合例4(顔料分散液4の調製)
合成例1で得られた化合物No.2の代わりに合成例4で得られた化合物No.5を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、化合物No.5、ピグメントブルー及びピグメントバイオレットを含む顔料分散液4を得た。顔料分散液4は23℃で1週間保管しても沈殿物は生じず、分散安定性は良好であった。
【0075】
配合例5(顔料分散液5の調製)
合成例1で得られた化合物No.2の代わりに合成例5で得られた化合物No.41を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、化合物No.41、ピグメントブルー及びピグメントバイオレットを含む顔料分散液5を得た。顔料分散液5は23℃で1週間保管しても沈殿物は生じず、分散安定性は良好であった。
【0076】
合成例6(バインダー樹脂(共重合体(A))の合成)
500mLの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン160部、メタクリル酸10部、ベンジルメタクリレート33部及びα ,α ’−アゾビス(イソブチロニトリル)1部を仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入させた。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、共重合体(A)を得た。得られた共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
【0077】
実施例1(本発明の青色着色樹脂組成物の調製)
バインダー樹脂として合成例6で得た共重合体(A)を3.0部、光重合性モノマーとしてカヤラッドRP1040(日本化薬製)を6.0部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(BASF製)を1.0部、イルガキュアーOXE−02(BASF製)を1.0部、顔料分散液として配合例1で得られた顔料分散液1を50部及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを39部混合し、本発明の青色着色樹脂組成物1を得た。該青色着色樹脂組成物1は23℃で一週間保管しても増粘や沈殿物を生じず、安定性は良好であった。
【0078】
実施例2(本発明の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例2で得られた顔料分散液2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明の青色着色樹脂組成物2を得た。該青色着色樹脂組成物2は23℃で一週間保管しても増粘や沈殿物を生じず、安定性は良好であった。
【0079】
実施例3(本発明の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例3で得られた顔料分散液3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明の青色着色樹脂組成物3を得た。該青色着色樹脂組成物3は23℃で一週間保管しても増粘や沈殿物を生じず、安定性は良好であった。
【0080】
実施例4(本発明の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例4で得られた顔料分散液4を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明の青色着色樹脂組成物4を得た。該青色着色樹脂組成物4は23℃で一週間保管しても増粘や沈殿物を生じず、安定性は良好であった。
【0081】
実施例5(本発明の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例5で得られた顔料分散液5を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明の青色着色樹脂組成物5を得た。該青色着色樹脂組成物5は23℃で一週間保管しても増粘や沈殿物を生じず、安定性は良好であった。
【0082】
配合例6(顔料分散液6の調製)
合成例1で得られた化合物No.2を用いなかったこと以外は配合例1と同様の方法で、ピグメントブルー及びピグメントバイオレットを含む比較用の顔料分散液6を得た。
【0083】
比較例1(比較用の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例6で得られた顔料分散液6を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、比較用の青色着色樹脂組成物6を得た。
【0084】
配合例7(顔料分散液7の調製)
各成分をC.I.ピグメントブルー15:6/ピグメントバイオレット23/特開2015−163955号公報に記載の下記化合物I−17/Disperbyk−2001/ソルスパース5000/PGMEA=11.4/2.9/0.75/6.0/1.0/78.0(質量比)の組成比で混合した後、0.3mmジルコニアビーズで分散し、ピグメントブルー、ピグメントバイオレット及び化合物I−17を含む顔料分散液7を得た。
【0085】
【化7】
【0086】
比較例2(比較用の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例7で得られた顔料分散液7を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、比較用の青色の着色樹脂組成物7を得た。
【0087】
配合例8(顔料分散液8の調製)
配合例7で用いた特開2015−163955号公報に記載の化合物I−17の代わりに特開2015−163955号公報に記載の下記化合物D−10を用いたこと以外は配合例7と同様の方法で、顔料分散液8を得た。
【0088】
【化8】
【0089】
比較例3(比較用の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例8で得られた顔料分散液8を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、比較用の青色の着色樹脂組成物8を得た。
【0090】
配合例9(顔料分散液9の調製)
各成分をC.I.ピグメントブルー15:6/ピグメントバイオレット23/合成例1で得られた化合物No.2/Disperbyk−2001/ソルスパース5000/PGMEA/特開2012−77153号公報に記載の下記化合物A−33=11.4/1.5/0.75/6.0/1.0/78.0/1.4(質量比)の組成比で混合した後、0.3mmジルコニアビーズで分散し、化合物No.2、ピグメントブルー、ピグメントバイオレット及び化合物A−33を含む顔料分散液9を得た。顔料分散液9は23℃で1週間保管するとゲル化し、分散安定性は不良であった。
【0091】
【化9】
【0092】
配合例10(顔料分散液10の調製)
配合例7で用いた特開2015−163955号公報に記載の化合物I−17の代りに特開2003−337410号公報に記載の下記の具体例化合物R13を用いたこと以外は配合例7と同様の方法で、顔料分散液10を得た。
【0093】
【化10】
【0094】
比較例4(比較用の青色着色樹脂組成物の調製)
配合例1で得られた顔料分散液1の代わりに配合例10で得られた顔料分散液10を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、比較用の青色の着色樹脂組成物9を得た
【0095】
<分光スペクトル、膜厚評価>
実施例1乃至5及び比較例1乃至4で得られた青色着色樹脂組成物1乃至9をガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、80℃×100秒間の条件でプレベークを施した後、高圧水銀ランプにより、紫外線を1000mJ/cm
2照射して硬化させた後、200℃で加熱しカラーフィルターを得た。得られたカラーフィルターの400乃至2000nmの範囲の分光透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製、紫外可視分光光度計UV−3150)を用いて1nmのサンプリングピッチで測定した。得られた測定値に基づいて、各カラーフィルターの分光特性を下記の基準で評価した。また、各カラーフィルターの膜厚を触針式段差計で測定した。これらの結果を表1に示した。
【0096】
<評価基準1>
○;厚み0.8μmの薄膜の値に換算した420乃至500nmにおける分光透過率の最大値が60%以上、600乃至750nmにおける分光透過率の最小値が20%以下であり、かつ750乃至2000nmにおける分光透過率の最小値が80%以下である。
×;上記の○条件を満たさない。
【0097】
【表1】
【0098】
<評価基準2>
可視部の青色の分光特性(青色の高い分光透過率)と赤外部の分光特性(900nm以上の長波長領域の高い吸収能力)との両立を評価するため、より好ましい下記の条件で評価した。これらの結果を表2に示した。
[450nm分光透過率評価]
○:厚み0.8μmの薄膜の値に換算した450nmにおける分光透過率が60%以上である。
△;上記○の条件を満たさない。
[700nm分光透過率評価]
○:厚み0.8μmの薄膜の値に換算した700nmにおける分光透過率が15%以下である。
△;上記○の条件を満たさない。
[910nm分光透過率評価]
○:厚み0.8μmの薄膜の値に換算した910nmにおける分光透過率が80%以下である。
△;上記○の条件を満たさない。
[50%透過率波長]
○:厚み0.8μmの薄膜の値に換算した分光透過率が50%となる波長が505乃至515nmの範囲内である。
△;上記○の条件を満たさない。
[総合判定]
○:厚み0.8μmの薄膜の値に換算した450nmにおける分光透過率が60%以上、700nmにおける分光透過率が15%以下、910nmにおける分光透過率が80%以下であり、かつ厚み0.8μmの薄膜の値に換算した分光透過率が50%となる波長が505乃至515nmの範囲内である。
△;上記○の条件を満たさない。
【0099】
【表2】
【0100】
<耐熱性評価>
実施例1乃至3及び比較例1乃至4で得られた青色着色樹脂組成物1乃至3及び6乃至9を用いて上記の<分光スペクトル、膜厚評価>で得られた各カラーフィルターを230℃で60分間加熱し、加熱前後のカラーフィルターの400乃至2000nmの範囲の分光透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製、紫外可視分光光度計UV−3150)を用いて1nmのサンプリングピッチで測定した。230℃で60分間の加熱の前後に得られた各波長域の分光透過率に基づいて、各光学フィルターの耐熱特性を下記の評価基準で判断した。加熱前(耐熱性評価前)のカラーフィルターの分光特性の結果を表3に、加熱後のカラーフィルターの分光特性(耐熱性評価)の結果を表4に示した。
なお、表3に示されるように、耐熱性評価前の比較例1、2および4のカラーフィルターの分光特性は、910nmに吸収を持たないために評価×と判定される。
【0101】
<青色カラーフィルターの評価基準>
[450nm分光透過率評価]
○:加熱後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した450nmにおける分光透過率が60%以上である。
×;上記○の条件を満たさない。
[700nm分光透過率評価]
○:加熱後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した700nmにおける分光透過率が15%以下である。
×;上記○の条件を満たさない。
[910nm分光透過率評価]
○:加熱後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した910nmにおける分光透過率が80%以下である。
×;上記○の条件を満たさない。
[50%透過率波長]
○:加熱後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した分光透過率が50%となる波長が505乃至515nmの範囲内である。
×;上記○の条件を満たさない。
[総合判定]
○;加熱後の耐熱性試験後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した450nmにおける分光透過率が60%以上、700nmにおける分光透過率が15%以下、910nmにおける分光透過率が80%以下であり、かつ厚み0.8μmの薄膜の値に換算した分光透過率が50%となる波長が505乃至515nmの範囲内である。
×;上記の○条件を満たさない。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
<耐光性評価>
実施例1乃至3及び比較例1乃至4で得られた青色着色樹脂組成物1乃至3及び6乃至9を用いて上記の<分光スペクトル、膜厚評価>で得られた各カラーフィルターを耐光試験機(キセノンアーク灯、100W/m
2)中で300時間放置し、照射後のカラーフィルターの400乃至2000nmの範囲の分光透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製、紫外可視分光光度計UV−3150)を用いて1nmのサンプリングピッチで測定した。照射前後に得られた各波長域の分光透過率に基づいて、各光学フィルターの耐光特性を下記の評価基準で評価した。照射前(耐光性評価前)のカラーフィルターの分光特性の結果を表5に、照射後のカラーフィルターの分光特性(耐光性評価)の結果を表6に示した。
なお、表5に示されるように、耐光性試験前の比較例1、2および4のカラーフィルターの分光特性は、910nmに吸収を持たないために評価×と判定される。
【0105】
<青色カラーフィルターの評価基準>
[450nm分光透過率評価]
○:照射後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した450nmにおける分光透過率が60%以上である。
×;上記○の条件を満たさない。
[700nm分光透過率評価]
○:照射後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した700nmにおける分光透過率が15%以下である。
×;上記○の条件を満たさない。
[910nm分光透過率評価]
○:照射後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した910nmにおける分光透過率が80%以下である。
×;上記○の条件を満たさない。
[50%透過率波長]
○:照射後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した分光透過率が50%となる波長が505乃至515nmの範囲内である。
△;上記○の条件を満たさない。
[総合判定]
○;照射後の厚み0.8μmの薄膜の値に換算した450nmにおける分光透過率が60%以上、700nmにおける分光透過率が15%以下、910nmにおける分光透過率が80%以下であり、かつ厚み0.8μmの薄膜の値に換算した分光透過率が50%となる波長が505乃至515nmの範囲内である。
×;上記の○条件を満たさない。
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
<パターニング評価>
実施例1乃至5で得られた着色樹脂組成物を有機下地膜(日本化薬製UC−2L)付きシリコン基板上にスピンコーターにより塗布し、80℃×100秒間の条件でプレベークした後、レチクルを介してi線ステッパーにより、紫外線を1000mJ/cm
2照射して硬化した。その後、界面活性剤を含有するアルカリ水溶液で現像し、水でリンス後、200℃にて加熱し着色パターンを得た。得られた着色パターンは、ラインアンドスペースにて4μm角の解像性を持ち、残渣、画素の剥がれ等は確認されなかった。