(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906364
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】人のケラチン物質に化粧品を塗布するための器具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
A45D34/04 515Z
A45D34/04 515B
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-97379(P2017-97379)
(22)【出願日】2017年5月16日
(65)【公開番号】特開2018-191887(P2018-191887A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ラメ
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−088516(JP,A)
【文献】
特表2013−541969(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0055678(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0048227(KR,A)
【文献】
特開2002−053165(JP,A)
【文献】
特開2006−081890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D34/00−34/06
B65D51/32
B65D83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人のケラチン物質に化粧品を塗布するための器具(20)であって、
長手方向軸(X)を有するアプリケータ(10)であって、
把持部分(16)、
アプリケータ部材(26)、及び、
前記把持部分(16)を前記アプリケータ部材(26)に接続し、結合部分(64)を備える軸部(6)、
を備えるアプリケータ(10)と、
前記アプリケータ(10)を収容するように構成された容器(12)であって、
本体(2)、及び、
前記本体(2)に取り付けられ、少なくとも1つのロック部材(41)を備えた回転部材(4)であって、前記少なくとも1つのロック部材(41)が前記軸部(6)の前記結合部分(64)と係合することによって前記アプリケータ(10)が前記容器(12)から引き出されるのを阻止するロック位置と、前記アプリケータ(10)と前記容器(12)の分離を可能にするアンロック位置との間で、回転軸(Z)の周りで前記本体(2)および前記結合部分(64)に対して回転可能である回転部材(4)
を備える容器(2)と、
を備える器具(20)。
【請求項2】
前記回転部材(4)が、前記容器(12)のネック(22)に固定された支持要素(5)を介して前記容器(12)に取り付けられ、前記回転部材(4)が、前記支持要素(5)上で軸方向に保持されながら前記支持要素(5)に対して回転可能である、請求項1に記載の器具(20)。
【請求項3】
前記支持要素(5)が、前記容器(12)の前記ネック(22)にスナップ嵌合される、請求項2に記載の器具(20)。
【請求項4】
前記軸部(6)が、前記容器(12)を気密式に閉じるように構成された密閉部分(63)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の器具(20)。
【請求項5】
前記容器(12)のネック(22)に固定された拭き取り部材(3)を備え、前記拭き取り部材(3)が、前記軸部(6)の前記密閉部分(64)を少なくとも部分的に収容するための開口(35)を備える、請求項4に記載の器具(20)。
【請求項6】
密閉部分(63)が前記結合部分(64)の下に据えられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の器具(20)。
【請求項7】
前記軸部(6)が、密閉部分(63)と前記アプリケータ部材(26)との間のその長さの少なくとも一部分に沿って、前記アプリケータ(10)の前記長手方向軸(X)に直交するように切り取られた細長い形状の断面を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の器具(20)。
【請求項8】
前記結合部分(64)が2つのリブ(64)を備え、前記2つのリブ(64)が、前記アプリケータ部材(26)の中央の面に対して対称である、請求項1から7のいずれか一項に記載の器具(20)。
【請求項9】
前記2つのリブ(64)が、前記2つのリブ(64)の中央の扇形部分(S)に近づくにつれて大きくなり、前記2つのリブ(64)の両端(67)に近づくにつれて小さくなる、前記アプリケータ部材の半径方向に沿って測定された深さ(r)を有する、請求項8
に記載の器具(20)。
【請求項10】
前記アプリケータの前記長手方向軸(X)に直交する方向で見たとき、前記2つのリブ(64)の上面(69)が弓形の外形である、請求項8または9に記載の器具(20)。
【請求項11】
前記回転軸(Z)を中心として互いに対して対称的に配置された2つのロック部材(41)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の器具(20)。
【請求項12】
前記アプリケータ(10)の前記長手方向軸(X)に沿って観察したとき、前記把持部分(16)が平坦な形状を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の器具(20)。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の包装およびアプリケータ器具(20)を用いて人のケラチン物質に化粧品を塗布するための方法であって、
容器(12)の中にアプリケータ(10)を差し込むステップと、
前記容器(12)に対して回転部材(4)を回転させることで、少なくとも1つのロック部材(41)を結合部分(64)と係合させ、前記アプリケータ(10)を前記器具のロック位置にロックするステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品を塗布するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
EP2734080は、液体容器と、液体容器を閉じるためのアプリケータ組立体とを備えるシステムを開示している。このシステムは、アプリケータ組立体の閉鎖要素の上および液体容器の上にそれぞれ配置される保持手段を備える。保持手段は、アプリケータ組立体が液体容器の中に保持されるアクティブ構成と、アプリケータ組立体が弾性要素によって液体容器から押し出される非アクティブ構成の間を移動することが可能である。システムはさらに、その作動によってシステムに非アクティブ構成を採らせる解放デバイスを備える。
【0003】
FR2833818は、その中で液体容器とアプリケータが伝達要素を介して回転可能に結合された本体を備える器具を開示している。アプリケータを緩めて本体から分離させる際、液体容器は開放位置になる。
【0004】
US2015/0250292は、チューブ式の化粧用容器に関し、この中で回転体の回転に従って持ち上げ部材が上下することで、ノズルを隠したり、塗布するために露出させたりする。
【0005】
FR2939287およびCN201192160は、この器具の液体容器に対して高い位置と低い位置の間でアプリケータを移動させるための誘導スロットを備える化粧用器具を開示している。
【0006】
KR20120005363は、複数の液体容器と、対応する液体容器の中に含まれる製品を装填するために液体容器の各々に固定することができるアプリケータとを備えるキットを開示している。
【0007】
EP1800561、FR2968516、KR20150118528およびKR20150087036は、内部でアプリケータを取り外し可能な方法で液体容器に固定することができる器具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP2734080
【特許文献2】FR2833818
【特許文献3】US2015/0250292
【特許文献4】FR2939287
【特許文献5】CN201192160
【特許文献6】KR20120005363
【特許文献7】EP1800561
【特許文献8】FR2968516
【特許文献9】KR20150118528
【特許文献10】KR20150087036
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、迅速かつ確実にアプリケータを容器に装着し、かつそれを解放することができるように化粧品を塗布するための器具をさらに改良することを目指し、また化粧品を塗布するのに役立つアプリケータ部材の設計に関する多くの可能性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によると、本発明は、人のケラチン物質、例えば皮膚またはまつげなどに化粧品を塗布するための器具を提供し、この器具は
長手方向軸を有するアプリケータであって、
把持部分、
アプリケータ部材、及び、
把持部分をアプリケータ部材に接続し、結合部分を備える軸部、
を備えるアプリケータと、
アプリケータを収容するように構成された容器であって、
化粧品を中に含むための本体、及び、
本体に取り付けられ、少なくとも1つのロック部材を備えた回転部材であって、少なくとも1つのロック部材が軸部の結合部分と協働することによってアプリケータが容器から引き出されるのを阻止するロック位置と、アプリケータと容器の分離を可能にするアンロック位置との間で、回転軸の周りで本体および結合部分に対して回転可能である回転部材
を備える容器と、を備える。
【0011】
本発明は、器具を容易に開閉することを実現するためにコンパクトな構造を提供することを可能にする。器具は、所望であれば、片手だけで容易に開封し、ロックされるように構成されてよい。
【0012】
さらに、アプリケータの軸部に結合部分を設けることによって、本発明は、把持部分に対して設計のより大きな自由度を提供し、把持部分は、少なくとも1つのロック部材との直接的な相互作用を全く持たない場合もある。
【0013】
例えば、平坦で比較的薄い把持部分を有することが可能である。
【0014】
回転部材は、例えば容器のネックに固定された支持要素を介して容器に取り付けられてよい。支持要素は、本体に対して可動でなくてよく、例えばネックにスナップ嵌合される。回転部材は、支持要素上で軸方向に保持されながら、回転軸の周りで支持要素に対して回転可能であってよい。
【0015】
軸部は結合部分の下に、アプリケータが容器に係合され、回転部材がロック位置にあるときに、容器を気密式に閉じるように構成された密閉部分を備えてよい。
【0016】
器具は、容器のネックに固定された拭き取り部材を備えてよい。拭き取り部材は、軸部の密閉部分を少なくとも部分的に収容するように構成された上部を有する開口を備えてよい。密閉部材は好ましくはエラストマー材料で作製される。
【0017】
開口の上部の最大の横方向の寸法は、アプリケータの長手方向軸に沿って観察したとき、密閉部分の最大の横方向の寸法と等しいか、またはそれよりわずかに小さい場合がある。
【0018】
結合部分は、少なくとも1つの、より好適には2つのリブを備えてよく、これらは軸部の中央の面を中心に他方に対して対称的なものであってよい。少なくとも1つのロック部材は、回転部材がロック位置に近づくとき、対応するリブの上面を押圧するように構成されてよい。
【0019】
好ましくは、各々のリブは、アプリケータ部材の中央の面に対して対称である。
【0020】
好ましくは、各々のリブは、アプリケータの半径方向に沿って測定された深さを有し、これはリブの中心部に近づくにつれて大きくなり、リブの両端に近づくにつれて小さくなる。リブの深さはその端部においてゼロである場合もある。
【0021】
各々のリブの上面が、1つの面内に含まれない場合もある。例えばロック部材がロック位置に近づくとき、それが密閉部分をさらに拭き取り部材に当たるように押すように、リブの上面は傾斜路を形成することができ、これにより密閉の緊密性を高めることができる。そのうえ、このような構成のおかげで、ロック部材がアンロック位置に達したとき、密閉部材が拭き取り部材に対して押し当てられるときに拭き取り部材内に生じる弾性の拘束の解放の作用の下にアプリケータが容器から部分的に引き出される。それ故、器具のエルゴノミクスが改善される。
【0022】
各々のロック部材は、回転軸に向かって内向きに向けられた突出部によって構成されてよい。
【0023】
軸部は、密閉部分とアプリケータ部材の間のその長さの少なくとも一部分に沿って、アプリケータの長手方向軸に直交するように切り取られた断面を有してよく、これは非円形形状、好ましくは伸長軸に沿って細長い形状、例えば矩形または楕円形を有する場合がある。
【0024】
拭き取り部材は、拭き取りスロットを画定する下部を有してよい。これにより、アプリケータ部材がそれに対応する平坦な形状の断面を有する場合、より適切な拭き取り作業を実現することが可能になる。
【0025】
別の態様において、本発明は、上記で定義したように本発明による包装およびアプリケータ器具を用いて、人のケラチン物質に化粧品を塗布するための方法を提供し、この方法は、容器の中にアプリケータを差し込むステップと、容器に対して回転部材を回転させることで、器具のロック位置においてロック部材を結合部分と係合させるステップとを含む。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照してその実装形態の非制限的な例の以下の記載を読むことからよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1(a)】ロック位置にある本発明による器具を示す図である。
【
図1(b)】アンロック位置にある本発明による器具を示す図である。
【
図1(c)】器具をアンロックした後の
図1(a)および
図1(b)の器具を示す図である。
【
図1(d)】本発明によるアプリケータを示す図である。
【
図2】ロック位置にある本発明による器具の概略断面図である。
【
図4(b)】面IVに沿った
図4(a)の断面斜視図である。
【
図6】
図4(b)と同じ見方における、回転要素の回転運動の終わりにおける
図4(a)および
図5(a)の回転要素と支持要素の協働を示す図である。
【
図7】アプリケータの長手方向軸に沿って観察した
図2のアプリケータ部材を示す図である。
【
図8(a)】アプリケータの長手方向軸の周りで切り取った結合部分の拡大図である。
【
図8(b)】アプリケータの長手方向軸の周りで切り取った結合部分の拡大図である。
【
図8(c)】アプリケータの長手方向軸の周りで切り取った結合部分の拡大図である。
【
図9】
図2のアプリケータおよび回転部材を分離した図である。
【
図10】本発明による器具の一変形形態の分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による人のケラチン物質に化粧品を塗布するための器具20の一例が
図1(a)から
図1(d)に示されている。
【0029】
器具20は、塗布すべき製品を中に含む容器12と、保管される間容器12内に収容されるように構成されたアプリケータ10と、を備える。
【0030】
アプリケータ10は、
図1(d)に示されるように、近位側に把持部分16を備え、遠位側にアプリケータ部材26を備える。アプリケータ部材26は、アプリケータ10の長手方向軸Xに沿って延在する軸部6を介して把持部分16に接続される。
【0031】
アプリケータ部材26は、軸部6にオーバーモールドされる、またはそれ以外の方法でそこに固定されてよい。
【0032】
アプリケータ部材26は、
図1(d)に示されるように、例えば平坦な形状のマスカラブラシである1つの塗布面27を有してよい。
【0033】
軸部6は、
図2に示されるように、把持部分16の対応する筐体に挿入されるように構成された端部部分を介して把持部分16に接続されてよい。
【0034】
容器12は、本体2と、開口を画定するネック22と、を備える。容器の本体2は、ネックと共に1つの部品に成型される場合もある。
【0035】
容器12はさらに、拭き取り部材3、支持要素5、および回転部材4を備える。
【0036】
拭き取り部材3は、ネックの軸を囲んで配向されるように固定され、例えばネック22にスナップ嵌合される。拭き取り部材3は、2つの対向するタブ33を備え、これらは、ネック22上に設けられた平行なリブ24と、軸部を本体2の中に差し込むための開口35を画定する主本体30との間に形成された対応する筐体に挿入される。
【0037】
図3に見ることができるように、開口35は、円形の上部38と、内側リップ37を備える下部とを有してよく、この内側リップは、
図2に見ることができるように、アプリケータの長手方向軸Xに少なくとも一部が平行に延在して拭き取りスロット39を画定している。
【0038】
図4(a)および
図4(b)に示されるように回転部材4は、管状スカート40を備え、これは回転軸Zの周りで回転可能であり、かつその頂端部において半径方向内向きに延在する上部鍔43を有する。スカート40は、ロック部材41を構成する2つの正反対に対向する突出部を担持している。ロック部材41は、上部鍔43の軸方向下方に配置され、回転軸Zに向かって半径方向内向きに突出する。それらは、上部鍔43の内側縁部49の半径に近い軸Zからある半径方向距離のところに据えられる。
【0039】
支持要素5は
図5(a)に示されるように、管状スリーブ50を備える。環状ビード51が管状スリーブ50の下方端部付近にその外側面上に配置される。支持要素5は、
図2に図示されるように容器12のネック22にスナップ嵌合される。
図4(a)および
図4(b)に図示されるように回転部材4は、内側面46上に、環状ビード51にスナップ嵌合される弓形の歯44を備える。
【0040】
図5(a)に示されるように、支持要素5は、半径方向内向きに延在する横方向の壁53を備える。内側の隆起部52が横方向の壁53から上向きに突き出し、回転軸Zに平行に延在している。
【0041】
図6に示されるように内側の隆起部52は、2つの対向する高くなった部分58を備え、これらは、回転部材4の回転運動が、器具をロック位置またはアンロック位置のいずれかに動かすとき、ロック部材41を停止させるように構成される。
【0042】
管状スリーブ50は、環状ビード51より上に、各々が突起56を備えた2つの対向する可撓性のタブ77を備える。
図6に見ることができるように、回転部材4には、管状スカート40の内側面の周りに規則的に離間された4つの軸方向のリブ42が内側に備わっている。アプリケータがロック位置、アンロック位置にそれぞれ近づくとき、突起56は、ロック部材41がそれぞれの高くなった部分58に当接する前に、タブ77の弾性の変形のおかげで対応するリブ42を通り抜けるように構成される。このようにして、回転部材4をロック位置またはアンロック位置に安定して維持するクリップ作用がもたらされる。
【0043】
タブ77は、スリーブ50の残りの部分と共にU字型スロット55を画定する。
【0044】
図4(a)に示されるように、管状スカート40は、断面が細長い形状であり、その細長い両端に近づくにつれて厚さが増大する壁を有する。管状スカート40は、厚さが最大である対向する壁部分それぞれの中に2つの内側の空洞45を備える、
【0045】
管状スリーブ50はさらに、その下方端部付近に、
図3に見ることができる容器12の肩部25に設けられた対応する突起29の上を摺動するように構成されたノッチ59を備える。これにより支持要素5の容器12に対する回転運動を阻止する。
【0046】
管状スリーブ50はまた、
図5(b)に示されるように、横方向の壁53の下面に、支持要素5がネック22に取り付けられる際にネック22のリブ24のそれぞれの側面に当接するように構成された4つの当接部54を備える。
【0047】
図2に図示されるように、軸部6は、器具がロック位置にあるとき、拭き取り部材3の開口35の中に少なくとも一部が載る密閉部分63を備える。密閉部分63は、
図7に示されるようにアプリケータ10の長手方向軸Xに沿って観察したとき、円形の断面を有してよい。密閉部分63は、開口35の上部38の直径と等しいかまたはそれよりわずかに大きな直径を有することで、閉鎖構成における器具の適切な気密式の密閉作用を保証することができる。密閉部分63は、アプリケータ部材26に向かってわずかに先細になることで、使用後にアプリケータ10が容器12に再度差し込まれる際にアプリケータが開口35に入り易くし、閉鎖構成における器具の緊密性を改善する。
【0048】
密閉部分63とアプリケータ部材26の間の少なくともその長さの一部にわたって、軸部6は
図7に図示されるように伸長軸Yに沿って細長い形状の断面、好ましくは開口35の下部39と同じ形状の断面を採ることができる。これは、回転要素4が作動する間、アプリケータ10の回転を阻止するのに役立つ。
【0049】
容器12の本体2および回転部材4は共に、軸部と同一の伸長軸に沿って細長くなった外側断面を有してよい。
【0050】
回転要素4の環状スカート40は、
図1(a)から
図1(c)の実施形態に図示されるように、細長い、例えば楕円形の断面を有する場合がある。
【0051】
容器12の本体2は、回転部材4と同一の形状の断面を有することで、アプリケータがロック位置にあるとき、本体2が環状スカート40の継続部の中に延出することができる。非円形の断面の回転部材4は、器具がロック位置にあるかアンロック位置にあるかをユーザが容易に特定できるようにするという利点を有する。これはまた、ユーザが回転部材4を回転し易くもする。
【0052】
軸部の把持部分16は、
図1(a)から
図1(d)の実施形態に図示されるように非円形の形状を有してよい。例えば把持部分16は、平坦な形状を有し、軸部6の伸長軸Yに直交する軸Qに沿って細長い形状の断面を有する。これにより、製品を塗布するためにアプリケータ10を把持し易くすることができる。
【0053】
軸部6はさらに、密閉部分63より上に据えられた結合部分64を備える。結合部分64は2つのリブを備える。
【0054】
図7に図示されるようにリブ64は、軸部6の伸長軸Yに平行なアプリケータ部材26の中央の面に対して対称である。各々のリブ64は、軸部6の伸長軸Yに直交するアプリケータ部材26の中央の面に対して対称である。
【0055】
各々のリブ64は、アプリケータ部材の半径方向に測定された深さrを有し、これは最大値に達するまでリブ64の一端67から増大し、その後他端67に向かって小さくなる。深さrは、10度から50度、さらに適切には5度から25度まで変動する角度αにわたって延在するリブ64の中央の角度を成す扇形部分Sにわたって一定のままである。
【0056】
図示される実施形態において、回転部材のロック位置とアンロック位置とは、90度の角度だけずらされている。
【0057】
好ましくはリブ64の両端67は、
図7に図示されるように軸部6の伸長軸Yに沿って据えられる。
【0058】
リブ64の上面69は、
図8(a)から
図8(c)に示されるように、アプリケータ10の長手方向軸Xを囲んで弓形の外形を呈する場合がある。突出部41がロック位置に近づくとき、リブ64の上面69の傾斜がアプリケータ10を容器の底部に向けて押す。
【0059】
軸部6はさらに、リブ64より上に縁65を備える。縁65の下面70とリブ64の上面69の間の距離dは、ロック部材41の高さhより大きい。
【0060】
縁65は好ましくは、
図7に図示されるように、アプリケータ10の長手方向軸Xに沿って観察したとき、円形の輪郭を有する。縁65は、一定の深さRを有してよい。好ましくはリブ64の最大の深さr
maxは、縁65の深さRと等しい。
【0061】
図1(a)に図示されるように、アプリケータ10が容器12内に収容される際、アプリケータ10は、器具20のロック位置において、回転軸Zに沿った並進に関して回転部材4によって阻止される。
【0062】
この位置において、ロック部材41は環状の扇形部分Sの範囲内でリブ64に当接する。このような扇形部分Sの範囲内では、リブ64の深さrは、リブ64がロック部材41と係合することを可能にするのに十分な大きさであるため、
図9に図示されるようにアプリケータ10が容器12から引き出されるのを阻止する。
【0063】
器具をアンロックするには、
図1(b)に図示されるように、ユーザは回転部材4を90度だけ回転軸Zの周りで回転させる。アプリケータ10はもはや回転部材4によって阻止されず、密閉部材が拭き取り部材に対して押しつけられる際、拭き取り部材内に生じる弾性の拘束の解放によって、
図1(b)に図示されるようにアプリケータを部分的に容器から引き出す。アプリケータはその後、
図1(c)に図示されるように容器12からさらに引き出すことができる。回転軸Zは、図示される実施形態では容器12の長手方向軸Xである。
【0064】
アンロック位置において、リブ64の深さrはゼロ、またはロック部材41と係合するには小さすぎる深さである。アプリケータはその結果、回転軸Zに沿って自由に並進する。
【0065】
図6に関して上記で説明したように、対向する高くなった部分58が、ロック部材41の最大の角度移動を規定する。
【0066】
図10に図示される変形形態では、把持部分16は、容器12の回転要素4のスカート40のような円形形状を有する。
【0067】
容器12のネック22は、例えばスナップ嵌合を介して本体2に組み付けられる。
【0068】
リブの上面69は、アプリケータ10の長手方向軸Xに直交する面内に含まれる。
【0069】
本発明は、図示される実施形態に限定されない。
【0070】
アプリケータ部材は、2つの対向する塗布面を有する場合がある。
【0071】
軸部6の結合部分64は、上記に記載したものとは別の形状を採る場合もある。
【0072】
軸部および/または把持部分は、他の形状、例えば多角形の断面を有する場合がある。
【0073】
アプリケータ部材は、成型される場合があり、または発泡材、ペンシル、もしくは植毛されたアプリケータ部材を備える場合がある。例えばアプリケータは、マスカラブラシ、あるいはファンデーション、リップグロス、アイライナー、またはネイルポリッシュを塗布するためのアプリケータであってよい。
【符号の説明】
【0074】
2 本体
3 拭き取り部材
4 回転部材
5 支持要素
6 軸部
10 アプリケータ
12 容器
16 把持部分
20 器具
22 ネック
24 リブ
26 アプリケータ部材
27 塗布面
33 タブ
35 開口
37 内側リップ
38 上部
39 拭き取りスロット、下部
40 管状スカート、環状スカート
41 ロック部材
42 リブ
43 上部鍔
50 管状スリーブ
51 環状ビード
52 隆起部
53 横方向の壁
54 当接部
55 スロット
56 突起
58 高くなった部分
59 ノッチ
63 密閉部分
64 結合部分
65 縁
67 端
69 上面
77 タブ
d 距離
h 高さ
r 深さ
r
max 最大の深さ
α 角度
Q 軸
R 深さ
S 扇形部分
X 長手方向軸
Y 伸長軸
Z 回転軸