【文献】
本田美輝 他,家庭内での移動と家電利用のセンシングによる高齢者の生活行動推定,情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2017,No.1 マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウム論文集,一般社団法人情報処理学会,2017年 6月21日,p.1375〜1385
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の間取り選択システムでは、生活情報(ライフスタイル)の情報蓄積が、顧客が回答するアンケート形式で行われており、顧客の要望や理想を極力採り入れた形となっている。
しかしながら、顧客の要望や理想と、実際のライフスタイルとの間に齟齬が生じてしまうと、提案された間取りに従って建物を建築したり、リフォームしたりしても快適な生活環境を形成しにくくなる場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、現在のライフスタイルが反映され、快適な生活環境を形成することが可能な間取りを提案することができる間取り提案システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図6,
図8,
図9に示すように、顧客が現在利用している建物の現在間取り情報8と、顧客への提案候補となる複数の候補間取り情報10と、が記憶された記憶手段(記憶部7)と、
前記現在利用している建物の各部屋のうち顧客の滞在時間の長い部屋を判別する第一判別手段(第一判別プログラム14)と、
前記滞在時間の長い部屋を、現在よりも広くした方が良い部屋として条件付けし、前記記憶手段に記憶された前記複数の候補間取り情報10の中から、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出する間取り選出手段(間取り選出プログラム16)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、間取り選出手段が、滞在時間の長い部屋を、現在よりも広くした方が良い部屋として条件付けし、記憶手段に記憶された複数の候補間取り情報10の中から、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出するので、提案された間取りに従って建物を建築したり、リフォームしたりする場合に、滞在時間の長い部屋を広くすることができる。これにより、現在のライフスタイルが反映され、快適な生活環境を形成することが可能な間取りを提案することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1,
図2,
図5に示すように、請求項1に記載の間取り提案システムにおいて、
前記各部屋での顧客の滞在時間を計測する計測手段(計測プログラム11)を更に備え、
前記計測手段は、前記建物内における顧客の位置を特定する機器(位置情報検知部4)を含んで構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、各部屋での顧客の滞在時間を計測する計測手段が、建物内における顧客の位置を特定する機器を含んで構成されているので、顧客の位置を確実に把握しながら当該位置での顧客の滞在時間を計測することができる。これにより、建物内における顧客の位置ごとの滞在時間を正確に計測することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図2,
図6に示すように、請求項1又は2に記載の間取り提案システムにおいて、
前記各部屋での顧客の滞在時間に基づいて、所定の期間における前記各部屋での顧客の滞在時間率を算出する算出手段(算出プログラム13)を更に備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、各部屋での顧客の滞在時間に基づいて、所定の計測期間における前記各部屋での顧客の滞在時間率を算出する算出手段を備えるので、各部屋における顧客の滞在時間の割合を導き出すことができため、顧客の滞在時間を判別しやすくなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1〜
図4,
図7〜
図9に示すように、
請求項1に記載の間取り提案システムにおいて、
前記現在利用している建物の各部屋のうち顧客が一の部屋と他の部屋との間を移動した回数の多い組み合わせを判別する第二判別手段(第二判別プログラム15)
を更に備えており、
前記間取り選出手段は、前記一の部屋と前記他の部屋との間の移動回数が多い組み合わせを、近接させた方が良い部屋として条件付けし、前記記憶手段に記憶された前記複数の候補間取り情報10の中から、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出す
ることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、間取り選出手段が、現在利用している建物の各部屋のうち一の部屋と他の部屋との間の移動回数が多い組み合わせを、近接させた方が良い部屋として条件付けし、記憶手段に記憶された複数の候補間取り情報10の中から、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出するので、提案された間取りに従って建物を建築したり、リフォームしたりする場合に、顧客の生活動線を考慮に入れることができる。これにより、現在のライフスタイルが反映され、快適な生活環境を形成することが可能な間取りを提案することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1,
図7に示すように、請求項4に記載の間取り提案システムにおいて、
顧客が前記一の部屋と前記他の部屋との間を移動した回数をカウントするカウント手段(カウントプログラム12)を更に備え、
前記カウント手段は、前記建物内における顧客の位置を特定する機器(位置情報検知部4)を含んで構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、顧客が一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントするカウント手段が、建物内における顧客の位置を特定する機器を含んで構成されているので、顧客の位置を確実に把握しながら顧客が一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントすることができる。これにより、移動回数が多い組み合わせを正確に導き出すことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図3,
図4,
図8に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の間取り提案システムにおいて、
前記間取り選出手段(間取り選出プログラム16)は、前記複数の候補間取り情報10の中から、前記現在利用している建物の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が少なくとも近似する候補間取り情報10を選出することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、間取り選出手段は、複数の候補間取り情報10の中から、現在利用している建物の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が近似する候補間取り情報10を選出するので、現在利用している建物と同程度の規模の建物を選出することができる。そのため、現在のライフスタイルを反映させやすい間取りの提案が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、現在のライフスタイルが反映され、快適な生活環境を形成することが可能な間取りを提案することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0021】
本実施形態における間取り提案システムは、ユーザ(顧客)に対して、ユーザが現在居住(使用)している建物の間取りに比して、より快適な生活環境を形成することが可能な間取りの候補を提案するものであり、
図1に示すように、ユーザ側と、ユーザに対して候補となる間取りの情報を提供するサーバ1側との間で、各種データの送受信を行うことによって成立する構成となっている。
このような間取り提案システムは、サーバ1と、現在間取り情報入力部2と、候補間取り情報入力部3と、位置情報検知部4と、を備える。
【0022】
サーバ1は、詳細については後述するが、
図2に示すように、演算部5と、通信部6と、記憶部7と、を有し、記憶部7に記憶された各種データ及び各種プログラムに基づいて演算部5が演算することで、ユーザに対して間取りの候補を提案するために必要な各種処理を実行することができる。そして、各種処理を実行した結果の情報を、通信部6を介してユーザに送信することができる。
なお、サーバ1は、本実施形態においては、設計者(例えば、施工会社、工務店、建築デザイナー)が使用するものであり、設計者が使用する事務所等に設置されているか、クラウドサーバであってもよい。
【0023】
現在間取り情報入力部2は、サーバ1の記憶部7に対して、ユーザが現在居住している建物(以下、ユーザ宅)の間取りの情報(以下、現在間取り情報)を入力するためのものであり、本実施形態においては、パソコンやスマートフォン、タブレット端末等の情報処理端末によって構成されている。
現在間取り情報入力部2を構成する情報処理端末は、図示しない通信部を備え、通信ネットワークNを通じて、サーバ1との間でデータの送受信ができるようになっている。
なお、現在間取り情報入力部2を構成する情報処理端末は、本実施形態においては、ユーザ宅に設けられているが、その他の場所に設けられていてもよい。また、この情報処理端末は、本実施形態においては、サーバ1からの情報を受信する端末としても機能する。
【0024】
候補間取り情報入力部3は、サーバ1の記憶部7に対して、候補となる間取りの情報(以下、候補間取り情報)を入力するためのものであり、本実施形態においては、パソコンやスマートフォン、タブレット端末等の情報処理端末によって構成されている。
候補間取り情報入力部3を構成する情報処理端末は、図示しない通信部を備え、通信ネットワークNを通じて、サーバ1との間でデータの送受信ができるようになっている。
なお、候補間取り情報入力部3を構成する情報処理端末は、本実施形態においては、サーバ1と同様、設計者が使用するものである。
【0025】
位置情報検知部4は、ユーザ宅に設置され、ユーザ宅内におけるユーザの位置情報を検知・特定するためのものである。すなわち、ユーザ宅内におけるユーザの居場所が分かるようになっている。
本実施形態における位置情報検知部4は、信号を発信する発信機4aと、発信機4aから発信された信号を受信する受信機4bと、を有する。発信機4aから信号が発信される領域内に受信機4bが入ると、受信機4bは、発信機4aからの信号を感知し、その時の発信機4aに対する位置情報をサーバ1に送信するように構成されている。
また、位置情報を受信したサーバ1は、受信機4bに対して各種情報を送信することが可能となっている。
【0026】
発信機4aとしては、ユーザ宅に設置されるアクセスポイントや、ビーコン等を採用することができ、本実施形態においては、ビーコンが採用されている。
ビーコンとは、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)無線技術を用いた無線ID発信機であり、受信機4b側で読み取ることが可能なIDを、数秒に1回、半径数メートルから数十メートルの範囲に発信し続けるものである。ビーコンの場合、当該ビーコンまでの距離が近いと受信電波強度が強く、遠いと弱く受信されるため、電波強度を基にだいたいの距離を算出することができる。このようなビーコンは、ユーザ宅に対して複数設置されており、これら複数のビーコンを、例えばメッシュ状(格子状)に配置することで、ユーザ宅内に仮想的に座標を形成できるようになっている。
【0027】
受信機4bとしては、ユーザが所持するスマートフォン、タブレット端末等の情報処理端末や、専用受信機を採用することができ、本実施形態においては、携帯性に優れ、かつ通信機能を有するスマートフォンが採用されている。
受信機4bであるスマートフォンは、ユーザ宅内に設置された複数の発信機4aから受信した信号に基づく情報を、通信ネットワークNを介してサーバ1に送信することができる。
【0028】
サーバ1における演算部5は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備えており、間取り提案システム用の各種処理プログラムに従って各種処理を行う。
また、通信部6は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークN(コンピュータネットワーク)に対してサーバ1を通信可能に接続するものであり、当該通信部6を介して各種データの送受信ができるようになっている。
【0029】
サーバ1における記憶部7は、例えばRAM、ROM、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブにより構成され、演算部5により実行される各種プログラムと、プログラムの実行に必要なデータを記憶している(すなわち、記憶手段。)。
より詳細に説明すると、記憶部7には、現在間取り情報8、基準値データ9、候補間取り情報10、計測プログラム11、カウントプログラム12、算出プログラム13、第一判別プログラム14、第二判別プログラム15、間取り選出プログラム16が記憶されている。
【0030】
現在間取り情報8は、
図3に示すように、ユーザが現在居住しているユーザ宅の間取りやその面積、間口寸法、奥行き寸法、家族構成、各部屋の広さ・用途等を含むデータであり、現在間取り情報入力部2から入力された情報である。
本実施形態におけるユーザは、夫、妻、子供の3人家族であり、マンションに居住している。ユーザ宅であるマンションは、3LDKであり、専有面積が70.0平方メートル、間口寸法が7.0メートル、奥行き寸法が10.0メートルとなっている。
内部の各部屋は、現在間取り情報8においては、その広さ(面積)が「畳」単位で示されている。リビングダイニングを除くその他の3つの居室の用途は、それぞれ、寝室、予備室、子供室として利用され、区別されている。
【0031】
基準値データ9は、ユーザに対して提案される候補間取りを選出するための間取り選出プログラム16を実行する際に利用される基準値である(
図6参照)。この基準値データ9は、サーバ1の記憶部7に予め記憶されているものとする。より詳細に説明すると、この基準値データ9は、後述する第一判別プログラム14によって、現在間取り情報8の中からユーザの滞在時間率の高い部屋を判別する際に用いられる比較用のデータである。
【0032】
候補間取り情報10は、ユーザへの提案候補となる複数の候補間取りやその面積、間口寸法、奥行き寸法、各部屋の広さ・用途等を含むデータであり、候補間取り情報入力部3から入力された情報である。サーバ1の記憶部7に記憶された複数の候補間取り情報10は、
図2に示すように、データベース化されており、演算部5によって処理しやすくなっている。
本実施形態においては、
図4に示すように、候補間取り情報10として、形態の異なる3つの候補間取り(候補間取りID1,ID2,ID3)が挙げられている。これら3つの候補間取りは、データベース化された複数の候補間取り情報10のうち、ユーザが現在居住しているユーザ宅の間取りの情報に近似するものである。
なお、候補間取り情報10は、
図4に示す例に限られるものではなく、その他にも様々な候補間取り情報10がデータベース化されて記憶部7に記憶されている。
【0033】
計測プログラム11は、位置情報検知部4から得られたユーザの位置情報を基に、ユーザの各部屋での滞在時間を計測するためのプログラムである。演算部5は、位置情報検知部4から得られたユーザの位置情報を用い、当該計測プログラム11との協働により、ユーザの各部屋での滞在時間を計測する処理を実行する(すなわち、計測手段。)。つまり、このような計測手段は、ユーザ宅内におけるユーザの位置を特定する機器(位置情報検知部4)を含んで構成されていることになる。
より具体的には、位置情報検知部4における受信機4bを各ユーザが所持して生活し、
図5に示すように、日時分ごとに誰がどの部屋にいたかを計測・記録する。なお、
図5に示す例では、1日の計測結果を時間単位で表しているが、1分単位で、かつ1週間程度の計測を続けることによって、より詳細かつ信頼性の高いデータを得ることができるようになっている。
【0034】
カウントプログラム12は、位置情報検知部4から得られたユーザの位置情報を基に、現在利用しているユーザ宅の各部屋のうちユーザが一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントするためのプログラムである。演算部5は、位置情報検知部4から得られたユーザの位置情報を用い、当該カウントプログラム12との協働により、ユーザの、一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントする処理を実行する(すなわち、カウント手段。)。つまり、このようなカウント手段は、ユーザ宅内におけるユーザの位置を特定する機器(位置情報検知部4)を含んで構成されていることになる。
より具体的には、位置情報検知部4における受信機4bを各ユーザが所持して生活し、
図7に示すように、ユーザ(居住者全員)が一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントする。
図7に示す例では、ユーザ(居住者全員)が、リビングダイニングとキッチンとの間を移動した回数が「15回」となっている。この場合、逆順を含むものとする。つまり、リビングダイニングからキッチンへと移動した回数と、キッチンからリビングダイニングへと移動した回数との合計が「15回」となっている。
【0035】
算出プログラム13は、上述の計測手段によって取得したユーザの各部屋での滞在時間に係るデータに基づいて、所定の計測期間における各部屋でのユーザの滞在時間率を算出するためのプログラムである。演算部5は、ユーザの各部屋での滞在時間に係るデータを用い、当該算出プログラム13との協働により、所定の計測期間における各部屋でのユーザの滞在時間率を算出する処理を実行する(すなわち、算出手段。)。
より具体的に説明すると、このような算出手段は、
図6に示すように、ユーザ(居住者全員)の、各部屋における滞在時間が100%のうち、どれだけの割合を占めるかを数値(比率)で導き出すものである。
図6に示す例では、ユーザ(夫、妻、子)がリビングダイニングに1日平均で20時間滞在し、その滞在時間率は「40%」となっている。つまり、ユーザが、例えば1日のうち、どれだけの割合で各部屋に滞在していたか、計測期間中に、どれだけの割合で各部屋に滞在していたかが分かるようになっている。
【0036】
第一判別プログラム14は、算出プログラム13によって取得したユーザの各部屋での滞在時間率に基づいて、現在間取り情報8の中からユーザの滞在時間率の高い部屋を判別するためのプログラムである。演算部5は、各部屋でのユーザの滞在時間率に係るデータと、サーバ1の記憶部7に予め記憶された上述の基準値データ9とを用い、当該第一判別プログラム14との協働により、現在間取り情報8の中からユーザの滞在時間率の高い部屋を判別する処理を実行する(すなわち、第一判別手段。)。
より具体的に説明すると、このような第一判別手段は、
図6に示すように、算出プログラム13によって取得したユーザの各部屋での滞在時間率と、基準値データ9とを比較して、基準値データ9を上回った滞在時間率の部屋を導き出すものである。
図6に示す例では、基準値データ9を上回った滞在時間率の部屋の、滞在時間率を示す項目が網掛け表示されている。
図6に示す例では、リビングダイニングと、主寝室として使用される居室(1)と、風呂が、ユーザの滞在時間率の高い部屋として判別されている。
【0037】
第二判別プログラム15は、カウントプログラム12によってカウントされた移動回数の多い一の部屋と他の部屋との組み合わせを判別するためのプログラムである。演算部5は、カウントプログラム12によってカウントされた移動回数に係るデータを用い、当該第二判別プログラム15との協働により、移動回数の多い一の部屋と他の部屋との組み合わせを判別する処理を実行する(すなわち、判別手段。)。
より具体的に説明すると、このような第二判別手段は、
図7に示すように、カウントプログラム12によってカウントした一の部屋と他の部屋との移動回数から、移動回数の多い一の部屋と他の部屋との組み合わせを判別するものである。
図7に示す例では、リビングダイニングとキッチンとの間、リビングダイニングと子供部屋として使用される居室(3)との間、キッチンと洗面所との間が、移動回数の多い組み合わせとして判別されている。
【0038】
間取り選出プログラム16は、記憶部7に記憶された複数の候補間取り情報10の中から、設定された条件に合致する候補間取り情報10を選出するためのプログラムである。演算部5は、間取り選出プログラム16との協働により、記憶部7に記憶された複数の候補間取り情報10の中から、設定された条件に合致する候補間取り情報10を選出する処理を実行する(すなわち、間取り選出手段。)。
より具体的に説明すると、間取り選出プログラム16に基づく処理は、設定される条件に応じた複数のパターンで実行される。本実施形態においては、第一パターンと、第二パターンとがあり、これらのパターンのうち、少なくとも一方のパターンを採用して、ユーザに対して候補間取りを提供することができる。本実施形態においては、両方のパターンを採用して候補間取りを選出している。
第一パターンは、滞在時間率の高い部屋を、現在よりも広くした方が良い部屋として条件付けし、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出するものである。
第二パターンは、一の部屋と他の部屋との間の移動回数が多い組み合わせを、近接させた方が良い部屋として条件付けし、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出するものである。
さらに、演算部5は、間取り選出プログラム16との協働により、複数の候補間取り情報10の中から、現在利用しているユーザ宅の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が近似する候補間取り情報10を選出する処理を実行する。すなわち、現在間取り情報8と、差一周的に選出される候補間取り情報10の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が近似することになる。
【0039】
図8に示す例では、現在間取り情報8で「現在よりも広くした方が良い部屋」、「近接させた方が良い部屋」という条件に合致する項目に「○」が施されている。一方、候補間取り情報10では、上記の条件に合致する項目が網掛けされている。そして、間取り選出手段は、合致している項目をポイント化し、当該ポイントの多い候補間取りをユーザに対して提供する。
なお、本実施形態においては、合致数で6ポイント獲得した候補間取りID3が、ユーザに対して提供される候補間取りとして選出されている。すなわち、候補間取りID3は、現在利用しているユーザ宅の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が近似している。さらに、現在間取り情報8よりも、リビングダイニングが「0.6畳」、居室(1)が「1.5畳」、風呂が「0.3畳」広くなり、かつ、リビングダイニングとキッチンとが近接し、リビングダイニングと居室(3)とが近接し、キッチンと洗面所とが近接している。
【0040】
なお、
図4〜
図8に示すような表は、ユーザが使用する情報処理端末である現在間取り情報入力部2又はユーザが所持する情報処理端末である受信機4bの表示部(図示せず)で表示することができるものとする。
【0041】
次に、
図9等を参照して、以上のように構成された間取り提案システムによってユーザに対して候補間取り情報を提案する流れについて説明する。
【0042】
事前に行われる工程として、まず、
図4に示すような多数の候補間取り情報10をデータベース化して記憶部7に登録・記憶させる(ステップS1)。
多数の候補間取り情報10をデータベース化して記憶部7に登録・記憶する際は、候補間取り情報入力部3によって行われる。また、多数の候補間取り情報10のそれぞれには、間取りやその面積、間口寸法、奥行き寸法、各部屋の広さ、各部屋の用途等の項目が含まれており、上述の情報処理端末によって項目ごとに検索したり、項目に応じてソートして上述の情報処理端末の表示部に表示したりすることができる。
【0043】
続いて、ユーザからサーバ1に送信された現在間取り情報8を記憶部7に登録・記憶させる(ステップS2)。すなわち、住宅の新築やリフォームを希望するユーザが、候補間取り情報10を確認するために、
図3に示すような、自身が現在利用している住宅の間取り等に係る情報を現在間取り情報入力部2から入力し、通信ネットワークNを通じてサーバ1に送信する。
【0044】
続いて、位置情報検知部4によって、ユーザ宅内におけるユーザの位置情報(例えば
図5参照。)を逐一検知・特定し、その情報を、通信ネットワークNを通じて、サーバ1に送信する。すなわち、予め発信機4aをユーザ宅に設置しておき、その環境の中でユーザは、受信機4bを常時所持しながら、所定の期間に亘って普段の生活を送るようにする(ステップS3)。
【0045】
ユーザが受信機4bを所持しながら普段の生活を送る最中、サーバ1は、
図6,
図7に示すように、位置情報検知部4から入力された情報の集計を行う(ステップS4)。すなわち、サーバ1は、現在利用しているユーザ宅の各部屋でのユーザの滞在時間を計測するとともに、現在利用しているユーザ宅の各部屋のうちユーザが一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントする。そして、所定期間分の情報の集計を行う。さらに、所定の期間が終了したら、ユーザ宅の各部屋でのユーザの滞在時間に基づいて、所定の計測期間における各部屋でのユーザの滞在時間率を算出する。
【0046】
続いて、サーバ1は、
図6に示すように、ステップS4にて集計した各情報に基づき、現在間取り情報8の中からユーザの滞在時間率の高い部屋がどこであるかを判別し、候補間取り情報10を選出する際の、現在よりも広くした方が良い部屋という条件として抽出する(ステップS5)。
さらに、サーバ1は、
図7に示すように、ステップS4にて集計した各情報に基づき、移動回数の多い一の部屋と他の部屋との組み合わせを判別し、候補間取り情報10を選出する際の、近接させた方が良い部屋という条件として抽出する(ステップS6)。
【0047】
続いて、サーバ1は、複数の候補間取り情報10の中から、現在利用しているユーザ宅の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が近似する候補間取り情報10をいくつか絞り込んで選出する(ステップS7)。
【0048】
続いて、サーバ1は、
図8に示すように、現在間取り情報8の各部屋の広さと、いくつか絞り込まれて選出された候補間取り情報10の各部屋の広さの差を算出する(ステップS8)。
ステップS8に続いて、サーバ1は、広くした方が良い部屋という条件と、近接させた方が良い部屋という条件に合致する候補間取り情報10の選出を行う(ステップS9)。すなわち、絞り込まれた複数の候補間取りID1,ID2,ID3の中から、上記2つの条件に合致する数の多い候補間取りを、ポイント上位の候補間取り情報10として選出する。本実施形態においては、合致数で6ポイント獲得した候補間取りID3が、ポイント上位の候補間取り情報10として選出されている。
【0049】
続いて、サーバ1は、ポイント上位の候補間取り情報10を、ユーザが使用する情報処理端末である現在間取り情報入力部2又はユーザが所持する情報処理端末である受信機4bへと送信し、提示する(ステップS10)。
ユーザは、自身が使用・所持する情報処理端末の表示部に、サーバ1から送信されたポイント上位の候補間取り情報10を表示させて確認することができる。
【0050】
以上のようにして、間取り提案システムによってユーザに対して候補間取り情報10を提案することができる。
【0051】
なお、候補間取り情報10として挙げられた候補間取りID3は、広くした方が良い部屋については、その他の候補間取りID1,ID2と比較して広くなっているが、その他の部屋(例えばキッチンや廊下等)については、その他の候補間取りID1,ID2と比較して狭くなっている可能性がある。そのため、ユーザに提示する候補間取り情報10には、第2候補、第3候補として、候補間取りID1,ID2を一緒に提示してもよいものとする。
【0052】
また、本実施形態においては、住宅のリフォームを行う際について説明しているが、これに限られるものではなく、住宅を新築する際の間取り提案を行う場合にも適用することができる。すなわち、滞在時間が長く、広くした方が良い部屋や、近接させた方が良い部屋を含んだ候補間取り情報10をユーザに提示することで、ユーザは、候補間取り情報10を加味した新築住宅の設計が可能となる。
【0053】
さらに、本実施形態における間取り提案システムは、ユーザが居住する住宅をリフォームしたり、新築したりする場合に適用することができるとしたが、これに限られるものではなく、例えばオフィスや工場等を始めとする住宅以外の建物におけるリフォームや新築の場合にも適用できる。すなわち、ユーザが内部に入ることができ、かつ、内部に受信機4bを持ち込める空間のある建物であればよい。
【0054】
また、本実施形態における間取り提案システムは、ユーザ側と、ユーザに対して候補となる間取りの情報を提供するサーバ1側との間で、各種情報等の授受を行うことによって成立する構成となっているが、これに限られるものではない。すなわち、ユーザが使用する情報処理端末である現在間取り情報入力部2又はユーザが所持する情報処理端末である受信機4bのような、一つの情報処理端末によって各種処理を行うような構成であってもよいものとする。
【0055】
さらに、本実施形態においては、位置情報検知部4を含んで構成された計測手段及びカウント手段によって滞在時間の計測、各部屋間移動回数のカウントを行うものとしたが、これに限られるものではなく、ユーザ自身が時計やストップウォッチを使って滞在時間を計測し、部屋間の移動回数を数えて、その情報を間取り選出に用いてもよい。
【0056】
また、間取り選出プログラム16に基づく処理は複数のパターンで実行できるものとされており、本実施形態においては、両方のパターンを採用して候補間取りを選出しているものとしたが、これに限られるものではない。すなわち、上述の第一パターンと第二パターンのうち、いずれか一方のパターンを採用して間取りを選出してもよいものとする。
第一パターンを採用して間取りの選出を行った場合、サーバ1は、滞在時間率の高い部屋を、現在よりも広くした方が良い部屋として条件付けして間取りを選出する処理を実行する。
第二パターンを採用して間取りの選出を行った場合、サーバ1は、一の部屋と他の部屋との間の移動回数が多い組み合わせを、近接させた方が良い部屋として条件付けして間取りを選出する処理を実行する。
【0057】
本実施の形態によれば、演算部5と間取り選出プログラム16との協働により、滞在時間率の高い部屋を、現在よりも広くした方が良い部屋として条件付けし、記憶部7に記憶された複数の候補間取り情報10の中から、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出するので、提案された間取りに従って建物を建築したり、リフォームしたりする場合に、滞在時間の長い部屋を広くすることができる。
また、演算部5と間取り選出プログラム16との協働により、現在利用しているユーザ宅の各部屋のうち一の部屋と他の部屋との間の移動回数が多い組み合わせを、近接させた方が良い部屋として条件付けし、記憶部7に記憶された複数の候補間取り情報10の中から、当該条件に合致する候補間取り情報10を選出するので、提案された間取りに従って建物を建築したり、リフォームしたりする場合に、ユーザの生活動線を考慮に入れることができる。
これにより、現在のライフスタイルが反映され、快適な生活環境を形成することが可能な間取りを提案することができる。
【0058】
さらに、演算部5と間取り選出プログラム16との協働により、複数の候補間取り情報10の中から、現在利用しているユーザ宅の面積と、間口寸法と、奥行き寸法と、が近似する候補間取り情報10を選出するので、現在利用しているユーザ宅と同程度の規模の建物を選出することができる。そのため、現在のライフスタイルを反映させやすい間取りの提案が可能となる。
【0059】
また、計測手段は、ユーザ宅内におけるユーザの位置を特定する機器を含んで構成されているので、ユーザの位置を確実に把握しながら当該位置でのユーザの滞在時間を計測することができる。これにより、ユーザ宅内におけるユーザの位置ごとの滞在時間を正確に計測することができる。
さらに、カウント手段は、ユーザ宅内におけるユーザの位置を特定する機器を含んで構成されているので、ユーザの位置を確実に把握しながらユーザが一の部屋と他の部屋との間を移動した回数をカウントすることができる。これにより、移動回数が多い組み合わせを正確に導き出すことができる。