特許第6906400号(P6906400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906400
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】スイッチギヤの換気装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/56 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   H02B1/56 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-164400(P2017-164400)
(22)【出願日】2017年8月29日
(65)【公開番号】特開2019-47532(P2019-47532A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 紘平
(72)【発明者】
【氏名】宮内 康寿
(72)【発明者】
【氏名】清原 悟
(72)【発明者】
【氏名】石田 諒
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0063052(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/001425(WO,A1)
【文献】 実開昭56−174903(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00−1/38、1/46−7/08
H02B 11/24
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチギヤの筐体に設けられ、換気口が設けられた換気部材と、
第一方向に並べられ、前記第一方向と交差する第二方向に沿った回転中心回りに回転可能に設けられ、前記筐体内の圧力の増加によって、前記換気口を開放する開位置から前記換気口を覆う閉位置に回転する複数のルーバーと、
二つ以上の連動対象の前記ルーバーの前記開位置から前記閉位置への回転を互いに連動させる連動機構と、
を備え
前記連動機構は、
引掛用孔が設けられるとともに前記引掛用孔に面した面を有し前記第一方向に延びた連結部材と、前記連動対象の前記ルーバーごとに設けられ当該ルーバーおよび前記連結部材を連結したロッドと、を有し、前記連動対象の前記ルーバーを互いに連結した連結部と、
前記連結部材に対して前記複数のルーバーの反対側に位置し前記第一方向に延びた第一部分と、前記連動対象の前記ルーバーが前記開位置に位置した状態で、前記第一部分の端部から前記第二方向に延び前記引掛用孔に入れられ前記面が引っ掛けられた第二部分と、を有し、前記連動対象の前記ルーバーの前記閉位置への回転を制限する引掛部と、
を有し、
前記筐体内の圧力の増加によって、前記引掛部が変形して前記第二部分に対する前記面の引っ掛けが外れて、前記連動対象の前記ルーバーが前記開位置から前記閉位置に回転する、スイッチギヤの換気装置。
【請求項2】
前記連結部材には、前記ロッドが挿入された孔が前記連動対象の前記ルーバーごとに設けられ、
複数の前記孔のうち一つ以上は、長手方向が前記第方向に沿った長孔である、請求項に記載のスイッチギヤの換気装置。
【請求項3】
前記ルーバーごとに設けられ、前記開位置から前記閉位置へ回転可能に前記ルーバーを支持したヒンジを備えた、請求項1または2に記載のスイッチギヤの換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチギヤの換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチギヤの筐体内の圧力の増加によって、筐体の換気口を開放する開位置から換気口を覆う閉位置に回転する複数のルーバーを備えた換気装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−116429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の換気装置では、ルーバー同士の位置の違いや形状のばらつき等により、ルーバー同士の動作にばらつきが生じることがある。そこで、この種のスイッチギヤの換気装置では、例えば、ルーバー同士の動作のばらつきが抑制されやすい新規な構成が得られれば、好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のスイッチギヤの換気装置は、換気部材と、複数のルーバーと、連動機構と、を備えている。前記換気部材は、スイッチギヤの筐体に設けられ、前記換気部材には、換気口が設けられている。前記複数のルーバーは、第一方向に並べられ、前記第一方向と交差する第二方向に沿った回転中心回りに回転可能に設けられ、前記筐体内の圧力の増加によって、前記換気口を開放する開位置から前記換気口を覆う閉位置に回転する。前記連動機構は、二つ以上の連動対象の前記ルーバーの前記開位置から前記閉位置への回転を互いに連動させる。前記連動機構は、引掛用孔が設けられるとともに前記引掛用孔に面した面を有し前記第一方向に延びた連結部材と、前記連動対象の前記ルーバーごとに設けられ当該ルーバーおよび前記連結部材を連結したロッドと、を有し、前記連動対象の前記ルーバーを互いに連結した連結部と、前記連結部材に対して前記複数のルーバーの反対側に位置し前記第一方向に延びた第一部分と、前記連動対象の前記ルーバーが前記開位置に位置した状態で、前記第一部分の端部から前記第二方向に延び前記引掛用孔に入れられ前記面が引っ掛けられた第二部分と、を有し、前記連動対象の前記ルーバーの前記閉位置への回転を制限する引掛部と、を有し、前記筐体内の圧力の増加によって、前記引掛部が変形して前記第二部分に対する前記面の引っ掛けが外れて、前記連動対象の前記ルーバーが前記開位置から前記閉位置に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態のスイッチギヤの例示的かつ模式的な側面図である。
図2図2は、実施形態の換気装置の例示的かつ模式的な斜視図であって、筐体の外側からの視線での図である。
図3図3は、実施形態の換気装置の例示的かつ模式的な斜視図であって、図2とは異なる視線での図であって、筐体の内側からの視線での図である。
図4図4は、実施形態の換気装置における換気部材の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。
図5図5は、実施形態の換気装置のルーバーを含む部分の例示的かつ模式的な斜視図であって、あって、ルーバーが開位置に位置した状態での図である。
図6図6は、実施形態の換気装置のルーバーを含む部分の例示的かつ模式的な側面図であって、ルーバーが開位置に位置した状態での図である。
図7図7は、実施形態の換気装置のルーバーを含む部分の例示的かつ模式的な側面図であって、ルーバーが閉位置に位置した状態での図である。
図8図8は、実施形態の換気装置のルーバーを含む部分の例示的かつ模式的な背面図であって、ルーバーが閉位置に位置した状態での図である。
図9図9は、実施形態の換気装置の引掛部および連結部材の例示的かつ模式的な断面図であって、ルーバーが開位置に位置した状態での図である。
図10図10は、実施形態の換気装置の引掛部および連結部材の例示的かつ模式的な背面図であって、ルーバーが閉位置に位置した状態での図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、スイッチギヤ1の筐体2の前後方向および水平方向に沿い、Y方向は、筐体2の幅方向および水平方向に沿い、Z方向は、筐体2の上下方向(高さ方向および鉛直方向)に沿っている。また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0008】
図1は、本実施形態のスイッチギヤ1の例示的かつ模式的な側面図である。スイッチギヤ1は、例えば、建物の電気室(不図示)等に設置される。スイッチギヤ1は、金属製の筐体2と、筐体2に取り付けられた複数の換気装置3と、を備えている。スイッチギヤ1は、不図示の遮断器や保護継電器等の収容部品(収容物)が筐体2内に収容された、所謂金属閉鎖形スイッチギヤである。筐体2内には複数の室Rが設けられており、複数の収容部品が複数の室Rに分散して配置されている。筐体2には、例えば、遮断器、計器用変成器等を有し主に電力を受電する受電盤や、遮断器、変流器、零相変流器等を介して負荷供給用のケーブルが引き出されるフィーダ盤、主母線を系統毎に遮断器によって切り分ける母線連絡盤等が含まれる。筐体2は、盤や、閉鎖箱等とも称される。
【0009】
筐体2は、例えば、直方体状の箱型に構成されている。筐体2は、天壁2a、底壁2b、前壁2c、後壁2d、および一対の側壁2e等の複数の壁を有している。図1では、一対の側壁2eのうち一方だけが示されている。天壁2a、底壁2b、前壁2c、後壁2d、および一対の側壁2eは、それぞれ、筐体2の外壁である。
【0010】
天壁2aおよび底壁2bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁2cおよび後壁2dは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の側壁2eは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。天壁2aは、上壁とも称され、底壁2bは、下壁とも称され、前壁2cは、正面壁や周壁とも称され、後壁2dは、背面壁や周壁とも称され、一対の側壁2eは、周壁とも称される。
【0011】
また、筐体2には、扉8が設けられている。扉8は、前壁2cの少なくとも一部を構成している。扉8は、一方の側壁2eに、Z方向に沿って延びる回転中心(回転軸)を有したヒンジ(不図示)を介して、回転可能に支持されている。扉8は、回転中心回りに回転することで、筐体2の内部を覆う閉位置(図1)と、筐体2の内部を開放する開位置(不図示)との間で、移動可能である。
【0012】
また、筐体2内には、複数の仕切壁2hが設けられている。これらの複数の仕切壁2hが、筐体2内を複数の室Rに仕切っている。仕切壁2hは、内壁とも称される。
【0013】
複数の換気装置3は、複数の室Rのうち一つの室R1に設けられている。複数の換気装置3は、後壁2dに設けられた換気装置3Aと、仕切壁2hに設けられた換気装置3Bと、を含む。
【0014】
図2は、本実施形態の換気装置3Aの例示的かつ模式的な斜視図であって、筐体2の外側からの視線での図である。図3は、本実施形態の換気装置3Aの例示的かつ模式的な斜視図であって、筐体2の内側からの視線での図である。換気装置3Aは、換気部材10と、複数のルーバー11と、カバー12と、連動機構13と、を備えている。
【0015】
図4は、本実施形態の換気装置3Aにおける換気部材10の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。図5は、本実施形態の換気装置3Aのルーバー11を含む部分の例示的かつ模式的な斜視図であって、ルーバー11が開位置に位置した状態での図である。図2〜5に示されるように、換気部材10は、一対の壁10a,10bと、筒状部10cと、を有している。換気部材10は、例えば金属材料によって構成されている。
【0016】
壁10aは、筐体2の後壁2dに含まれ、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。図4に示されるように、壁10aには、開口部10dが設けられている。開口部10dは、壁10aの厚さ方向(X方向)に壁10aを貫通した複数の孔10eによって構成されている。
【0017】
図3,5,6に示されるように、壁10bは、筐体2の内部に設けられ、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。壁10bは、壁10aとX方向に間隔をあけて壁10aと平行に設けられている。壁10bには、開口部10fが設けられている。開口部10fは、壁10bの厚さ方向(X方向)に壁10bを貫通した複数の孔10gによって構成されている。一例として、開口部10fは、五つの孔10gによって構成されている。複数の孔10gは、Z方向に互いに間隔を空けて並べられている。各孔10gは、X方向に沿った視線で、Y方向を長手方向とする長方形に形成されている(図8)。
【0018】
図3に示されるように、筒状部10cは、一対の壁10a,10bに渡って設けられている。筒状部10cの内部空間10h(図3,4)を介して壁10aの開口部10dと壁10bの開口部10fが連通している。筒状部10cは、複数の部材で構成されている。なお、筒状部10cは、一つの部材で構成されていてもよい。筒状部10cの内部空間10hは、壁10aの開口部10dおよび壁10bの開口部10fとともに、換気口10iを構成している。
【0019】
図6は、本実施形態の換気装置3Aのルーバー11を含む部分の例示的かつ模式的な側面図であって、ルーバー11が開位置P1に位置した状態での図である。図7は、本実施形態の換気装置3Aのルーバー11を含む部分の例示的かつ模式的な側面図であって、ルーバー11が閉位置P2に位置した状態での図である。図8は、本実施形態の換気装置3Aのルーバー11を含む部分の例示的かつ模式的な背面図であって、ルーバー11が閉位置P2に位置した状態での図である。
【0020】
図5〜8に示されるように、ルーバー11は、壁10bの孔10gごとに設けられている。すなわち、本実施形態では、一例として、五つのルーバー11が設けられている。五つのルーバー11は、Z方向に一例に並べられている。ルーバー11は、ヒンジ14によって換気部材10の壁10bに結合されている。ルーバー11は、換気口10iを開放する開位置P1(図5,6)と、換気口10iを覆う閉位置P2(図7,8)との間で回転可能に、ヒンジ14によって支持されている。詳細には、ルーバー11は、Z方向と交差するY方向に沿った回転中心Ax回りに回転可能に設けられ、開位置P1では壁10bの孔10gを開放し、閉位置P2では壁10bの孔10gを壁10bの壁10aとは反対側から覆う。ルーバー11は、筐体2内の圧力が正常の場合には、開位置P1に位置する。ルーバー11は、フラップとも称される。Z方向(筐体2の上下方向)は、第一方向の一例であり、Y方向(筐体2の幅方向)は、第二方向の一例である。
【0021】
図5,6に示されるように、複数のルーバー11は、互いに同じ形状に形成されている。ルーバー11は、ベース板部11aと、一対の連結板部11bと、を有している。ベース板部11aは、平板状に形成され、ルーバー11が閉位置P2に位置した状態で、壁10bの孔10gを覆う。ベース板部11aの回転中心Ax側の端部(上端部)は、複数のヒンジ14を介して、壁10bに結合されている。複数のヒンジ14は、Y方向に互いに間隔を空けて設けられている。図5等では、一例として、一つのルーバー11に対して二つのヒンジ14が設けられている例が示されているが、ヒンジ14の数は、一つであってよいし、三つ以上であってもよい。ルーバー11およびヒンジ14は、例えば金属材料によって構成されている。
【0022】
図5に示されるように、一対の連結板部11bは、ベース板部11aのY方向の端部およびY方向の反対方向の端部に設けられている。連結板部11bは、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びている。詳細には、連結板部11bは、ベース板部11aから、ベース板部11aの壁10bとは反対側に延びており、ルーバー11が閉位置P2(図7)に位置した状態では、ベース板部11aからX方向の反対方向に延びた姿勢となる。
【0023】
図3,7に示されるように、カバー12は、換気部材10の壁10bの壁10aとは反対側に設けられている。カバー12は、複数のルーバー11の上方、下方、および側方を囲んだ枠状(環状)に構成されている。詳細には、カバー12は、天壁12a、底壁12b、および一対の側壁12cを有している。カバー12は、例えば金属材料によって構成されている。
【0024】
天壁12aおよび底壁12bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。天壁12aは、複数のルーバー11の上方に設けられ、底壁12bは、複数のルーバー11の下方に設けられている。すなわち、天壁12aおよび底壁12bの間に複数のルーバー11が配置されている。一対の側壁12cは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の側壁12cは、複数のルーバー11の両側方に設けられている。すなわち、一対の側壁12cの間に複数のルーバー11が配置されている。天壁12a、底壁12b、および一対の側壁12cは、壁とも称される。
【0025】
図5〜7に示される連動機構13は、連動させる対象である連動対象のルーバー11の開位置P1(図5,6)から閉位置P2(図7)への回転を互いに連動させる。本実施形態では、連動機構13の連動対象は、一例として、全て(五つ)のルーバー11である。連動機構13は、連結機構とも称される。
【0026】
図5,6に示されるように、連動機構13は、複数のルーバー11を互いに連結した連結部15と、引掛部16と、を有している。
【0027】
連結部15は、一対の連結部材17と、複数のロッド18と、を有している。連結部材17およびロッド18は、例えば金属材料によって構成されている。連結部材17は、ルーバー11の連結板部11bごとに設けられている。一対の連結部材17の間に複数のルーバー11が配置されている。連結部材17は、Z方向に延びた帯板状に形成され、厚さ方向がY方向に沿う姿勢で設けられている。連結部材17は、ルーバー11の連結板部11bにY方向に重ねられている。連結部材17には、ルーバー11ごとに孔17aが設けられている。すなわち、連結部材17には、複数(五つ)の孔17aが設けられている。孔17aは、連結部材17の厚さ方向、すなわち回転中心Axの軸方向(Y方向)に沿って連結部材17を貫通している。また、図6に示されるように、複数の孔17aのうち、一列に並べられた複数のルーバー11のうち両端(上端、下端)に位置するルーバー11に対応して設けられた二つの孔17aA,17aBは、回転中心Axの軸方向からの視線で円状に構成されている。また、一列に並べられた複数のルーバー11のうち両端以外のルーバー11に対応して設けられた各孔17aCは、長手方向が方向に沿った長孔である。すなわち、複数の孔17aのうち一つ以上は、長孔である。
【0028】
また、図5,6に示されるように、連結部材17には、引掛用孔17cが設けられている。引掛用孔17cは、複数の孔17aの上方に設けられている。引掛用孔17cは、孔とも称される。
【0029】
図5に示されるように、ロッド18は、ルーバー11および連結部材17を連結している。詳細には、ロッド18は、軸部18aと、頭部18bと、を有している。軸部18aは、Y方向に延び、ルーバー11の連結板部11bの孔17aに入れられている。頭部18bは、軸部18aの端部に接続され、軸部18aの径方向に広がっている。頭部18bは、連結部材17の連結板部11bとは反対側に重ねられている。ロッド18は、連結板部11bの孔17aから抜け止めされた状態で、連結板部11bに取り付けられている。一例として、軸部18aは、連結板部11bに固定されることにより抜け止めがされている。別例として、軸部18aの頭部18bとは反対側の端部がかしめられることにより抜け止めがされていてもよい。かしめの場合は、軸部18a、ひいてはロッド18を連結板部11bに対して回転可能とすることができる。ロッド18は、軸部材とも称される。
【0030】
図5に示されるように、引掛部16は、連結部15の連結部材17ごとに設けられている。すなわち、引掛部16および連結部材17の組が二つ(複数)設けられている。引掛部16は、固定板19を介してカバー12の側壁12cに固定されている。
【0031】
図9は、本実施形態の換気装置3Aの引掛部16および連結部材17の例示的かつ模式的な断面図であって、ルーバー11が開位置P1に位置した状態での図である。図10は、本実施形態の換気装置3Aの引掛部16および連結部材17の例示的かつ模式的な背面図であって、ルーバー11が閉位置P2に位置した状態での図である。なお、図9,10では、引掛部16および連結部材17の二つの組のうちの一つが示されている。
【0032】
図5,6,9に示されるように、引掛部16には、ルーバー11が開位置P1に位置した状態で、連結部材17が引っ掛けられている。詳細には、図9に示されるように、引掛部16は、複数の板部16a〜16cを有している。板部16aは、固定板19の下端部から下方に延びている。板部16bは、板部16aの下端部から略水平方向に延びて、連結部材17の引掛用孔17cに入れられている。板部16bは、連結部材17における引掛用孔17cに面した面17dの上端部17eを支持している。すなわち、引掛部16では、板部16bに連結部材17の面17dが引っ掛けられている。板部16cは、板部16bの板部16aとは反対側の端部から斜め下方かつ板部16bの下方に向けて延びている。引掛部16は、例えば金属材料によって構成されている。板部16a〜16cは、それぞれ、部分や延部とも称される。
【0033】
上記構成の引掛部16では、ルーバー11が開位置P1に位置した状態で、板部16bに連結部材17の面17dが引っ掛けられている(図9)。この状態では、引掛部16は、ルーバー11の閉位置P2への回転を制限している。この状態から、図10に示されるように、連結部材17が下方に移動すると、板部16bが連結部材17の面17dによって下方に押されて引掛部16が変形して、板部16b,16cが連結部材17の引掛用孔17cから抜ける。すなわち、引掛部16に対する連結部15の引っ掛けが外れる。このときの引掛部16の変形は、塑性変形であってもよいし、弾性変形であってもよい。弾性変形の場合、すなわち引掛部16が弾性部材(ばね部材)として構成された場合には、連結部材17を引掛用孔17cに戻しやすいとともに、塑性変形に比べて連結部材17の繰り返しの使用回数の増大化を図ることができる。
【0034】
上記構成の換気装置3Aでは、スイッチギヤ1が正常の場合には、ルーバー11が開位置P1に位置した状態で引掛部16に連結部材17が引っ掛けられている(図5,6)。この場合、引掛部16が、連結部15を介してルーバー11の閉位置P2への回転を制限している。この状態では、換気口10iを介して、筐体2の換気(通気)が行われたり、筐体2内の熱が筐体2外に放出される。
【0035】
一方、スイッチギヤ1の異常等によって筐体2内で高温や高圧のガスが生じて筐体2内の圧力が増加した場合には、当該筐体2内の圧力の増加によって、開位置P1から閉位置P2に回転させる方向にルーバー11を押す押圧力が、各ルーバー11に作用する。この押圧力は、ルーバー11を介して連結部材17に伝達され、連結部材17を下方に押す。これにより、引掛部16に対する連結部材17の引っ掛けが外れて、ルーバー11が開位置P1から閉位置P2に回転する。このとき、ルーバー11を回転させる力は、ルーバー11に作用する筐体2内の圧力である押圧力や重力を含む。このように、連動機構13は、引掛部16に対する連結部材17の引っ掛けを外すことにより、全てのルーバー11の開位置P1から閉位置P2への回転を互いに連動させる。すなわち、各ルーバー11の動作が同期する。
【0036】
また、複数のルーバー11に均等に押圧力が作用せず、ある一つのルーバー11に他のルーバー11よりも大きい押圧力が作用し、当該押圧力によって引掛部16に対する連結部材17の引っ掛けが外れた場合には、例えば、以下のように各部が動作する。引掛部16に対する連結部材17の引っ掛けが外れると、ある一つのルーバー11は、当該ルーバー11に作用する押圧力や重力によって、開位置P1から閉位置P2に回転する。そして、他のルーバー11には、ある一つのルーバー11に作用する押圧力が連結部材17およびロッド18を介して伝達される。したがって、他のルーバー11は、当該ルーバー11に直接作用する押圧力や重力と、ある一つのルーバー11から伝達された押圧力とによって、開位置P1から閉位置P2に回転する。このようにして、全てのルーバー11の開位置P1から閉位置P2への回転が互いに連動する。すなわち、各ルーバー11の動作が同期する。
【0037】
このように各ルーバー11が閉位置P2に位置して換気口10iを覆うことにより、筐体2内で発生したガスが、換気口10iから筐体2の外部に噴出するのが抑制される。
【0038】
換気装置3Bの構成は、換気装置3Aの構成と同様である。
【0039】
以上のように、本実施形態では、換気装置3は、換気部材10と、複数のルーバー11と、連動機構13と、を備えている。換気部材10は、スイッチギヤ1の筐体2に設けられ、換気部材10には、換気口10iが設けられている。ルーバー11は、換気部材10に支持され、筐体2内の圧力の増加によって換気口10iを開放する開位置P1から換気口10iを覆う閉位置P2に回転する。連動機構13は、連動対象のルーバー11の開位置P1から閉位置P2への回転を互いに連動させる。このような構成によれば、例えば、連動機構13が、連動対象のルーバー11の開位置P1から閉位置P2への回転を互いに連動させるので、複数のルーバー11の開位置P1から閉位置P2への動作のばらつきが抑制されやすい。よって、換気口10iを安定的に閉じることができる。
【0040】
また、本実施形態では、連動機構13は、連結部15と、引掛部16と、を有している。連結部15は、連動対象のルーバー11を互いに連結している。すなわち、連動対象のルーバー11は、連結部15(連動機構13)の連結対象でもある。また、引掛部16には、連動対象のルーバー11が開位置P1に位置した状態で連結部15が引っ掛けられ、引掛部16は、連動対象のルーバー11の閉位置P2への回転を制限する。そして、筐体2内の圧力の増加によって、引掛部16に対する連結部15の引っ掛けが外れて、連動対象のルーバー11が開位置P1から閉位置P2に回転する。このような構成によれば、例えば、筐体2内の圧力の増加によって、引掛部16に対する連結部15の引っ掛けが外れるので、引掛部16に対する連結部15の引っ掛けを外すための駆動装置を設ける必要がない。
【0041】
また、本実施形態では、複数のルーバー11は、Z方向(第一方向)に並べられている。また、各ルーバー11は、Z方向と交差するY方向(第二方向)に沿った回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。また、連結部15は、連結部材17と、ロッド18と、を有している。連結部材17は、Z方向に延びている。ロッド18は、連動対象のルーバー11ごとに設けられ当該ルーバー11および連結部材17を連結している。このような構成によれば、例えば、連結部材17およびロッド18という比較的簡素な構成で、複数のルーバー11を連結することができる。
【0042】
また、本実施形態では、連結部材17には、ロッド18が挿入された孔17aが連動対象のルーバー11ごとに設けられている。複数の孔17aのうち一つ以上は、長手方向が方向に沿った長孔である。このような構成によれば、例えば、複数の孔17aのうち一つ以上が長孔であるので、ルーバー11や連結部材17、ロッド18の形状誤差を当該長孔によって吸収することができる。よって、ルーバー11に対する連結部15の組み付けがしやすい。
【0043】
また、本実施形態では、ヒンジ14が、ルーバー11ごとに設けられ、開位置P1から閉位置P2へ回転可能にルーバー11を支持している。このような構成によれば、例えば、ルーバー11が比較的スムーズに回転しやすい。また、本実施形態では、ルーバー11に作用する重力が、ルーバー11を開位置P1から閉位置P2に回転させるように、ルーバー11が配置されているので、引掛部16に対する連結部15の引っ掛けが外れると、ルーバー11が、重力を含む力によって、下方に向けて回転する。
【0044】
なお、本実施形態では、連動機構13の連動対象が全てのルーバー11である例が例示されたが、これに限られない。例えば、連動機構13の連動対象は、五つのルーバー11のうち二つ〜四つのルーバー11であってもよい。すなわち、連動機構13の連動対象は、二つ以上のルーバー11であればよい。
【0045】
また、本実施形態では、複数のルーバー11が、Z方向に並べられ、各ルーバー11の回転中心AxがY方向に沿った例が例示されたが、これに限られない。例えば、複数のルーバー11が、Y方向やX方向(第一方向)に並べられ、各ルーバー11の回転中心Axが、Z方向(第二方向)に沿った構成であってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、一列に並べられた複数のルーバー11のうち両端以外のルーバー11に対応して設けられた各孔17aCが長孔である例が例示されたが、これに限られない。複数の孔17aのうち任意の孔17aが長孔であってよい。
【0047】
また、本実施形態では、ルーバー11がヒンジ14によって回転可能に支持された例が例示されたが、これに限られない。例えば、ヒンジ14に変えて変形可能な板状部材によってルーバーを回転可能に支持する構成であってもよい。この場合、板状部材は、ルーバー11と一体形成されていてもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1…スイッチギヤ、2…筐体、3…換気装置、10…換気部材、10i…換気口、11…ルーバー、13…連動機構、14…ヒンジ、15…連結部、16…引掛部、16a…板部(第一部分)、16b…板部(第二部分)、17…連結部材、17a…孔、17c…引掛用孔、17d…面、18…ロッド、Ax…回転中心、P1…開位置、P2…閉位置。
図1
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