(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るトンネル及びその施工方法について説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本線とランプ(傾斜路)とが分岐・合流する分岐合流部1の平面図であり、
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、分岐合流部1の施工方法を説明するための模式図である。本発明の第1実施形態において、本発明が適用されるトンネルは、分岐合流部1の外殻体10を形成する過程で形成される外殻シールドトンネル11(
図3(a)〜
図3(c)参照)である。
【0016】
図1に示すように、本線シールドトンネル151及びランプシールドトンネル152は、それぞれシールド工法によって地中に掘削された断面が円形のシールドトンネルである。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本線151aとランプ(傾斜路)152aとが分岐・合流する分岐合流部1では、本線151aとランプ152aの外周を覆う外殻体10が設けられる。本実施形態に係る分岐合流部1は、周知の工法(特許文献2参照)により形成される。以下、
図3を参照して、分岐合流部1の施工方法について簡単に説明する。
図3に示すように、分岐合流部1の施工方法は、先行シールドトンネル形成工程(
図3(a)参照)と、後行シールドトンネル形成工程(
図3(b)参照)と、凍土造成工程(
図3(c)参照)と、外殻体形成工程(
図3(d)参照)と、凍土解凍工程(
図3(e)参照)と、外殻体内掘削工程(
図3(f)参照)と、を備える。
【0018】
−先行シールドトンネル形成工程−
図3(a)を参照して、先行シールドトンネル形成工程について説明する。先行シールドトンネル形成工程では、本線シールドトンネル151またはランプシールドトンネル152からシールド掘削機(不図示)を発進させる。シールド掘削機により地中(地山)を掘削することで先行掘削坑161を形成する。シールド掘削機は、掘削した先行掘削坑161の内周面に沿って複数のセグメントピース102を組み立てて周方向に閉合された所定幅(例えば1m)のセグメントリング101(
図5参照)を形成する。シールド掘削機の掘進とセグメントリング101の組立を繰り返して、トンネル軸方向に複数のセグメントリング101を連結することで、外殻シールド100(
図6参照)としての先行シールド100aを形成する。これにより、先行シールドトンネル(外殻シールドトンネル11)が形成される。
【0019】
−後行シールドトンネル形成工程−
図3(b)を参照して、後行シールドトンネル形成工程について説明する。後行シールドトンネル形成工程では、上記先行シールドトンネル形成工程と同様に、シールド掘削機(不図示)により、掘進とセグメントリング101(
図5参照)の組立を繰り返して、外殻シールド100(
図6参照)としての後行シールド100bを形成する。これにより、後行シールドトンネル(外殻シールドトンネル11)が形成される。先行シールド100aと後行シールド100bとは周方向に交互に配置され、複数の先行シールド100aと複数の後行シールド100bとにより環状の外殻枠体10aが形成される。
【0020】
先行シールドトンネル形成工程及び後行シールドトンネル形成工程では、光ファイバケーブルの設置作業が実施される。光ファイバケーブルの設置作業の詳細については、後述する。
【0021】
−凍土造成工程−
図3(c)を参照して、凍土造成工程について説明する。凍土造成工程では、凍結管(不図示)に冷媒を流すことにより、地盤を固める周知の地盤凍結工法(特許文献2参照)により、外殻枠体10aの外側に凍結土壌(凍土)170を造成する。これにより、次の外殻体形成工程(
図3(d)参照)において、外殻シールド100の内部への水の侵入を防止することができる。なお、凍土170の造成が完了したか否かは、光ファイバケーブル141(
図4参照)で検出した温度に基づいて判断する。光ファイバケーブル141による温度検出に基づく凍土170の造成管理の詳細については、後述する。
【0022】
−外殻体形成工程−
図3(d)を参照して、外殻体形成工程について説明する。外殻体形成工程では、外殻シールドトンネル(先行シールドトンネル及び後行シールドトンネル)11の内部において、鉄筋10bを組み立て、コンクリート10cを打設することにより、複数の外殻シールド100が環状に一体とされた外殻体10が形成される。
【0023】
−凍土解凍工程−
図3(e)を参照して、凍土解凍工程について説明する。凍土解凍工程では、凍結管(不図示)内に流れる冷媒の循環を停止し、外殻体10の外側に造成された凍土170の解凍を行う。
【0024】
−外殻体内掘削工程−
図3(f)を参照して、外殻体内掘削工程について説明する。外殻体内掘削工程では、外殻体10の内側が掘削される。この掘削工程では、上部から下部に向かって徐々に掘削を行う。また、掘削作業と平行して、分岐合流部1における褄部(トンネル軸方向端部)においてコンクリートが打設され、褄壁153が形成される。
【0025】
以上の工程を経て、
図1及び
図2に示す分岐合流部1が完成する。
【0026】
凍土造成工程では、凍土170が所定の厚みに到達したことを判断するために凍土170の温度が測定される。また、凍土170の温度は、凍土170が所定の厚みに到達し、凍土造成工程(
図3(c)参照)が完了してから外殻体形成工程(
図3(d)参照)が完了するまでの間、その厚みが適切に維持されていることを判断するためにも用いられる。
【0027】
本実施形態に係る外殻シールドトンネル(先行シールドトンネル及び後行シールドトンネル)11は、凍土170の造成、維持を管理するために、
図4に示す凍土管理システム140を備える。
図4は、凍土管理システム140の構成を示す図である。
【0028】
凍土管理システム140は、外殻シールド100に敷設される光ファイバケーブル141と、制御装置149と、を備える。制御装置149は、光ファイバケーブル141へ光を入射する光源装置142と、光源装置142から出射された光を透過し、光ファイバケーブル141からの散乱光(反射波)を検出器144に向けて反射するビームスプリッタ143と、光ファイバケーブル141からの散乱光(反射波)を受信して温度を検出する検出器144と、光源装置142の動作を制御するとともに、検出器144で検出された温度分布情報が入力されるコントローラ130と、コントローラ130からの信号に基づいて、所定の情報を報知する報知装置139と、を備える。
【0029】
報知装置139は、音声を出力するスピーカや表示画像を表示する表示装置等により構成される。
【0030】
光ファイバケーブル141は、光ファイバを外被で覆った線状部材である。シールド掘削機110内にはケーブル繰出し機172(
図10参照)が設置されており、光ファイバケーブル141はケーブル繰出し機172のドラムに巻回された状態でシールド掘削機110内に収容される。
【0031】
光源装置142は、所定のパルス幅のレーザ光(パルス光)を一定の周期で出力する。光源装置142は、コントローラ130からの制御信号に基づいて制御される。レーザ光は、レンズ145、ビームスプリッタ143及びレンズ146を通って光ファイバケーブル141の光源側端部から光ファイバケーブル141内に進入する。
【0032】
光ファイバケーブル141内に進入した光の一部は、光ファイバを構成する分子により後方散乱される。後方散乱光には、レイリー(Rayleigh)散乱光と、ブリルアン(Brillouin)散乱光と、ラマン(Raman)散乱光とが含まれる。レイリー散乱光は入射光と同一波長の光であり、ブリルアン散乱光及びラマン散乱光は入射波長からシフトした波長の光である。
【0033】
ラマン散乱光には、入射光よりも長波長側にシフトしたストークス光と、入射光よりも短波長側にシフトした反ストークス光とがある。ストークス光及び反ストークス光の強度はいずれも温度により変化する。ストークス光は温度による変化量が小さく、反ストークス光は温度による変化量が大きい。すなわち、ストークス光は温度依存性が小さく、反ストークス光は温度依存性が大きい。
【0034】
後方散乱光は、光ファイバケーブル141を戻って光源側端部から出射される。光ファイバケーブル141から出射された後方散乱光は、レンズ146を透過し、ビームスプリッタ143により反射されて、波長分離フィルタ147に進入する。
【0035】
波長分離フィルタ147は、入力された後方散乱光を反ストークス光とストークス光とに分離する。反ストークス光とストークス光は検出器144に入力され、検出器144において時系列的に記録される。
【0036】
上述したように、反ストークス光とストークス光は、温度感受性が異なる。このため、検出器144は、反ストークス光とストークス光の強度比に基づいて、温度を検出する。検出器144は、光ファイバケーブル141にパルス光を入射してから、後方散乱光が光源側端部に戻ってくるまでの往復時間を測定することにより、散乱光が発生した位置(距離)を演算する。
【0037】
つまり、検出器144は、光ファイバに沿った温度分布を検出することができる。換言すれば、光ファイバケーブル141は、光の反射波に基づいて、線上の任意の位置における温度を検出することができる。
【0038】
コントローラ130は、動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ130は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0039】
コントローラ130は、検出器144で検出された温度に基づいて、凍土170の厚みを推定する厚み推定部131と、推定した凍土170の厚みに基づいて、凍土170の造成が完了したか否かを判定する造成完了判定部132と、推定した凍土170の厚みが維持されているか否かを監視する凍土監視部133と、を備える。
【0040】
光ファイバケーブル141は、外殻シールド100の外周側の表面(以下、外周面と記す)に沿って敷設される。本実施形態では、光ファイバケーブル141は、トンネル軸方向(延在方向)に沿って敷設され、トンネル覆工体としての外殻シールド100の温度を検出する。なお、光ファイバケーブル141は、先行シールド100a及び後行シールド100bに同様に敷設される。
【0041】
本実施形態では、凍土170の厚みを精度良く推定するために、トンネルの径方向の温度分布を測定する高精度測温部141aが複数設けられる。複数の高精度測温部141aは、トンネルの軸方向(延在方向)に所定の間隔で設置される。高精度測温部141aは、棒状部材に光ファイバケーブル141を螺旋状に巻回させることにより形成される。なお、高精度測温部141aは、筒状部材に螺旋状に巻回した光ファイバケーブル141を収納することにより形成してもよい。螺旋状に光ファイバケーブル141を巻回することにより、光ファイバケーブル141による温度検出の分解能を高くすることができる。高精度測温部141aは、外殻シールド100の外周面から径方向外方に向かって延在する。
【0042】
高精度測温部141aは、トンネル軸方向に敷設される光ファイバケーブル141を用いて形成してもよいし、トンネル軸方向に敷設される光ファイバケーブル141とは別の光ファイバケーブルを用いて形成してもよい。
【0043】
厚み推定部131は、高精度測温部141aの設置点Pにおけるトンネル径方向の温度分布に基づいて、設置点Pにおける凍土170の厚み(トンネル径方向の厚み)を推定する。高精度測温部141aの設置点Pにおける外殻シールド100の外表面の温度と、設置点Pにおける凍土170の厚みは、コントローラ130の記憶装置に記憶される。
【0044】
厚み推定部131は、高精度測温部141aの設置点P間の外殻シールド100の外周面の温度と、設置点Pにおける外殻シールド100の温度と設置点Pにおける凍土170の厚みとの関係と、に基づき、設置点P間の凍土170の厚みを推定する。
【0045】
造成完了判定部132は、予め設定される所定の判定範囲において、厚み推定部131により推定された凍土170の厚みが、所定厚み以上になっているか否かを判定する。凍土170の厚みが、所定厚み以上になっている場合、造成完了判定部132は、造成が完了したことを表す第1報知信号を報知装置139に出力する。報知装置139は、第1報知信号に基づいて、凍土170の造成が完了したことを報知する。
【0046】
凍土監視部133は、凍土170の造成が完了した後、凍土170の厚みが所定の厚み以上に維持されているか否かを判定する。凍土170の厚みが所定の厚み未満となった場合、凍土監視部133は、凍土170の厚みが所定の厚みよりも小さくなったことを表す第2報知信号を報知装置139に出力する。報知装置139は、第2報知信号に基づいて、凍土170の厚みが所定の厚みよりも小さくなったことを報知する。
【0047】
凍土170の厚みが所定の厚みよりも小さくなった場合、作業員は、凍結管(不図示)に流れる冷媒の流量等を制御し、凍土170の厚みが所定の厚み以上となるように、維持作業を行う。なお、コントローラ130が、凍土監視部133の判定結果に基づいて、冷媒の流量等を自動で制御するようにしてもよい。
【0048】
図5は外殻シールド100を構成するセグメントリング101の正面図であり、
図6は外殻シールド100を構成するセグメントリング101の展開図である。
図6には、複数のセグメントリング101の展開図が図示されている。すなわち、
図6には、外殻シールド100の展開図が図示されている。
図5及び
図6に示すように、外殻シールド100は、複数のセグメントリング101がトンネル軸方向に連結されることで構成される。
【0049】
セグメントリング101は、鉛直上方に配置される1つのK型セグメントピース102kと、K型セグメントピース102kを挟むように配置される一対のB型セグメントピース102bと、一対のB型セグメントピース102b間に配置される複数のA型セグメントピース102aと、を有する。各セグメントピース102は、周方向に隣接するセグメントピース102に連結される。A型セグメントピース102a,B型セグメントピース102b,K型セグメントピース102kはそれぞれが、セグメントリング101を構成する鋼製のセグメントピース102となる。
【0050】
図6に示すように、A型セグメントピース102aは、周方向の長さ(弧長)が一定である。K型セグメントピース102kは、周方向の長さ(弧長)がトンネルの切羽側(図示左方)から坑口側(図示右方)に向けて漸減する。B型セグメントピース102bは、周方向の長さ(弧長)がトンネルの切羽側(図示左方)から坑口側(図示右方)に向けて漸増する。
【0051】
図7AはA型セグメントピース102aの横断面図であり、
図7BのVIIa−VIIa線に沿う断面を示す。
図7Bは、
図7AのVIIb方向から見たA型セグメントピース102aの背面図である。
図7A及び
図7Bに示すように、A型セグメントピース102aは、一対の主桁104と、一対の継手板103と、一対のスキンプレート(分割スキンプレート)106と、複数の縦リブ105と、を備える。
【0052】
一対の継手板103は、トンネル周方向に互いに離間して配置される。継手板103は、トンネル周方向に隣接するセグメントピース102の継手板103に連結される連結板として機能する。継手板103には、トンネル周方向に貫通し、隣接するセグメントピース102の継手板103同士を締結するボルトが挿通するボルト挿通孔103hが設けられる。トンネル周方向に隣接するセグメントピース102の継手板103同士を当接させた状態で、ボルト挿通孔103hにボルトを挿通し、ナットをボルトに螺合することにより、周方向に隣接するセグメントピース102が連結される。互いに当接する一対の継手板103同士の間には、シール部材190が設けられ(
図8参照)、シール部材190によって、一対の継手板103間の隙間が閉塞される。
【0053】
図5に示すように、複数のセグメントピース102が環状に配置され、隣接するセグメントピース102同士が継手板103によって連結されることにより、セグメントリング101が形成される。
【0054】
図7A及び
図7Bに示すように、主桁104は、トンネル周方向に延在する円弧状の板状部材である。主桁104は、土圧、水圧等を受け持つセグメントピース102の側板である。
【0055】
一対の主桁104は、トンネル軸方向(トンネルの延在方向)に互いに離間して配置される。一対の主桁104は、互いに平行に配置される。主桁104は、トンネル軸方向に隣接するセグメントピース102の主桁104に連結される連結板として機能する。主桁104には、トンネル軸方向に貫通し、隣接するセグメントピース102の主桁104同士を締結するボルトが挿通するボルト挿通孔104hが設けられる。トンネル軸方向に隣接するセグメントピース102の主桁104同士を当接させた状態で、ボルト挿通孔104hにボルトを挿通し、ナットをボルトに螺合することにより、軸方向に隣接するセグメントピース102が連結される。互いに当接する一対の主桁104同士の間には、シール部材(不図示)が設けられ、シール部材(不図示)によって、一対の主桁104間の隙間が閉塞される。
【0056】
これにより、
図6に示すように、隣接するセグメントリング101同士が連結される。複数のセグメントリング101は、トンネル軸方向に隣接するセグメントリング101が周方向にずれた状態となるように、すなわち各セグメントピース102が千鳥状に配置されるように位置決めされる。これにより、トンネル軸方向に継手板103の位置が揃うことが防止される。
【0057】
図7A及び
図7Bに示すように、スキンプレート106は、一対の主桁104及び一対の継手板103によって形成される枠の地山側の開口を塞ぐ板であり、トンネルの内部に土砂、水が侵入することを防止する。スキンプレート106は、主桁104及び継手板103に溶接により接続される。
【0058】
縦リブ105は、シールド掘削機110の推進力を受け持つ支持部材である。セグメントリング101は、隣接する一方のセグメントリング101の縦リブ105(
図7A、
図7B参照)が、他方のセグメントリング101の縦リブ105または継手板103の位置と揃うように配置される。このように配置することで、軸力をトンネル軸方向に沿って配置される各セグメントリング101に適切に伝えることができる。
【0059】
本実施形態では、縦リブ105は、L字状の断面形状を有するが、I字状、T字状など種々の断面形状とすることができる。縦リブ105は、一対の主桁104の一方から他方に向かって延在し、一対の主桁104及びスキンプレート106に溶接により固定される。
【0060】
図6において二点鎖線で示すように、光ファイバケーブル141は、トンネル軸方向に沿って敷設される。本実施形態では、トンネル周方向に沿って、所定の間隔を空けて4本の光ファイバケーブル141が敷設される。
図8は、
図6のVIII−VIII線に沿う断面図であり、
図9は、
図6のIX−IX線に沿う断面図であり、
図7AのIX部を拡大して示す。
図8及び
図9を参照して、本実施形態に係る外殻シールドトンネル11に敷設される光ファイバケーブル141の設置位置について説明する。
図8及び
図9に示すように、光ファイバケーブル141は、外殻シールド100の外周面に当接するように敷設される。
【0061】
なお、外殻シールド100と光ファイバケーブル141とは、必ずしも当接している必要はなく、外殻シールド100の外表面と光ファイバケーブル141との間に隙間が設けられていてもよい。光ファイバケーブル141は、外殻シールド100の温度状態を検出できるように配置されていればよい。
【0062】
トンネル軸方向に沿って配置される複数のセグメントリング101は、上述したように、周方向に所定距離ずれて配置される。このため、本実施形態では、セグメントリング101に形成される2種類の凹部120a,120bに光ファイバケーブル141を収容する。
【0063】
図8及び
図9に示すように、光ファイバケーブル141は、外殻シールド100の外周面に設けられた凹部120a,120bに収容される。凹部120a,120bは、底面121a,121bと、底面121a,121bから立ち上がる一対の側面122a,122bと、を有する。
【0064】
図8に示すように、凹部120aの底面121aは、周方向に隣接する一方のセグメントピース102の継手板103の外周面(地山側の端面)と、他方のセグメントピース102の継手板103の外周面(地山側の端面)と、によって構成される。凹部120aの一対の側面122aの一方は、周方向に隣接する一方のセグメントピース102のスキンプレート106の端面によって構成される。凹部120aの一対の側面122bの他方は、周方向に隣接する他方のセグメントピース102のスキンプレート106の端面によって構成される。
【0065】
図9に示すように、凹部120bの底面121bは、縦リブ105の地山側の端面によって構成される。凹部120bの一対の側面122bは、隣接する一対のスキンプレート106の互いに対向する端面によって構成される。なお、本実施形態では、所定のセグメントピース102のスキンプレートを分割した一対のスキンプレート106によって凹部120bを形成したが、凹部120bの形成方法はこれに限らない。例えば、単一のスキンプレート106の外周面を切削加工するなどして、所定深さの凹部120bを形成してもよい。
【0066】
光ファイバケーブル141が収容される凹部120a,120bの幅、すなわち一対の側面122a,122b間の寸法をできるだけ小さくすることで、光ファイバケーブル141の周方向の位置ずれを抑制することができる。このため、凹部120a,120bの幅は、光ファイバケーブル141の直径の2倍以下とすることが好ましい。
【0067】
光ファイバケーブル141は、シールド掘削機110により、地中を掘削するとともに掘削坑の内周面に沿ってトンネル覆工体としての外殻シールド100を組み立てる際に、外殻シールド100に沿うように設置される。
【0068】
図10は、シールド掘削機110の概略構成図である。
図10に示すように、シールド掘削機110は、掘削機本体111の後方に設けられる円筒状のテール部112の内部に、セグメント組立装置としてのエレクタ171を備えている。テール部112の内部に運ばれたセグメントピース102は、エレクタ171に把持されてトンネル内周面に運ばれて、周方向に隣接するセグメントピース102の継手板103同士を連結して組み立てられる。
【0069】
光ファイバケーブル141は、セグメントピース102を組み立てる過程で、テール部112の内側でセグメントピース102に取り付けられる。以下、光ファイバケーブル141の設置方法について詳しく説明する。なお、光ファイバケーブル141が収容される凹部120a及び凹部120bについては、凹部120と総称して説明する。
【0070】
−ケーブル固定工程−
図11(a)に示すように、光ファイバケーブル141の一端部(先端部)は、所定のセグメントピース102の凹部120に、テール部112の内部でエレクタ171によってセグメントピース102が組み立てられる際に固定される。光ファイバケーブル141は、例えば、直接、凹部120に結束バンドや接着剤等を使用して固定される。
【0071】
−セグメントピース組み立て工程−
図11(b)に示すように、光ファイバケーブル141が固定されたセグメントピース102を含む、複数のセグメントピース102が組み立てられ、所定のセグメントリング101Aが完成する。
【0072】
−掘進工程−
図11(c)に示すように、完成した既設セグメントリング101Aにシールドジャッキ122を当接させ、シールドジャッキ122によりシールド掘削機110に推進力を付与し、シールド掘削機110を前進させる。シールド掘削機110は、前進しながら地山を掘削する(すなわち掘進する)。シールド掘削機110により、セグメントリング101の軸方向距離だけ掘進が行われると、掘進が終了する。なお、シールド掘削機110を掘進させると、シールド掘削機110を基準としてシールド掘削機110からセグメントリング101を見た場合に、トンネル覆工体を構成するセグメントリング101は相対的に後方へ押し出されることになる。
【0073】
テール部112の後部の内周面には、シールド掘削機110の外側から内側に水等が侵入することを防止するテールブラシ(テールシール)128が、前後方向に複数段設けられている。テールブラシ128は、テール部112を構成する円筒状の外殻の内周面に環状に設けられ、テール部112の外殻の内周面とセグメントリング101の外周面との間をシールする。したがって、掘進工程では、光ファイバケーブル141が収容されたセグメントリング101Aは、テールブラシ128にシールされ、止水性が確保された状態で、シールドジャッキ122によってテール部112の後方へ押し出される。掘進終了後、シールドジャッキ122を収縮する。
【0074】
−ケーブル取り付け工程−
図11(d)に示すように、完成した既設セグメントリング101Aの凹部120からトンネルの切羽側に延在する光ファイバケーブル141を新たなセグメントピース102の凹部120に取り付ける。例えば、凹部120に光ファイバケーブル141を収容した後、凹部120の開口部を部分的に塞ぐ複数の固定部材173(
図8、
図9参照)をトンネル軸方向に所定の間隔で接着する。これにより、光ファイバケーブル141が、凹部120から外れないように取り付けられる。なお、取り付けられた光ファイバケーブル141は、新たなセグメントピース102の凹部120内でトンネル軸方向に移動可能である。
【0075】
−セグメントピース組み立て工程−
図11(e)に示すように、エレクタ171によって、新たなセグメントピース102を既設セグメントリング101Aに取り付け可能な位置に配置する。新たなセグメントピース102を移動させている間、光ファイバケーブル141に適度な張力を付与し、新たなセグメントピース102と既設セグメントリング101Aとの間で光ファイバケーブル141が挟まることを防止する。
【0076】
この状態で、新たなセグメントピース102をボルト、ナットにより既設セグメントリング101Aに取り付ける。新たなセグメントピース102を含む、複数のセグメントピース102が組み立てられ、新たなセグメントリング101Bが完成する。
【0077】
−掘進工程−
図11(f)に示すように、完成した新たなセグメントリング101Bにシールドジャッキ122を当接させ、シールドジャッキ122によりシールド掘削機110に推進力を付与し、シールド掘削機110を前進させる。これにより、光ファイバケーブル141が収容されたセグメントリング101Bは、テールブラシ128にシールされ、止水性が確保された状態で、シールドジャッキ122によってテール部112の後方へ押し出される。
【0078】
上記ケーブル取り付け工程(
図11(d)参照)、セグメントピース組み立て工程(
図11(e)参照)、掘進工程(
図11(f)参照)を繰り返し行うことで、トンネル軸方向(外殻シールド100の延在方向)に沿って光ファイバケーブル141が外殻シールド100の外周面に敷設されることになる。
【0079】
このように、本実施形態に係る光ファイバケーブル141の設置方法では、光ファイバケーブル141が、シールド掘削機110の内側で予めセグメントピース102の凹部120に取り付けられ(
図11(a)、
図11(b)、
図11(d)、
図11(e)参照)、シールドジャッキ122により、光ファイバケーブル141の取り付けられたセグメントリング101をシールド掘削機110の後方に押し出すようにした(
図11(c)、
図11(f)参照)。
【0080】
このため、上述したように、光ファイバケーブル141が収容されたセグメントリング101は、テールブラシ128に接してシールされ、止水性が確保された状態で、シールドジャッキ122によりテール部112の後方に押し出されることになる。これにより、光ファイバケーブル141を設置する過程で、シールド掘削機110の内側に地下水等が流入することを防止できる。
【0081】
また、光ファイバケーブル141は凹部120に収容されている。このため、光ファイバケーブル141がセグメントリング101とともにシールド掘削機110の後方に押し出される際、光ファイバケーブル141がテールブラシ128や地山との接触に起因して損傷することが防止される。光ファイバケーブル141とテールブラシ128との接触に起因したテールブラシ128の損傷も防止される。
【0082】
さらに、本実施形態によれば、光ファイバケーブル141がシールド掘削機110の後方に送り出されるときに、光ファイバケーブル141がテールブラシ128に接触することで隙間が形成されることが防止される。このため、光ファイバケーブル141が送り出されるときに、テールブラシ128のシール機能(止水機能)が損なわれるおそれが少ない。
【0083】
なお、光ファイバケーブル141の設置方法は、これに限定されるものではない。
【0084】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0085】
光ファイバケーブル141は、トンネル覆工体としての外殻シールド100の延在方向、すなわちトンネル軸方向に沿って敷設される。したがって、本実施形態では、凍土170の造成管理に用いる温度計を多数設ける必要がない。このため、トンネルを施工する際の施工コストを低減することができる。
【0086】
さらに、光ファイバケーブル141で検出される温度に基づいて、凍土170の厚みを推定することができるので、凍土170の造成管理を適切に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0087】
本実施形態に係るトンネルの施工方法では、シールド掘削機110により、地中を掘削するとともに掘削坑の内周面に沿って外殻シールド100を組み立てる際に、光ファイバケーブル141を外殻シールド100に沿うように設置する方法を採用した。本実施形態に係る光ファイバケーブル141の設置方法では、光ファイバケーブル141をシールド掘削機110の内側においてセグメントリング101の凹部120に取り付けた後、シールド掘削機110を掘進させることにより、シールド掘削機110から見て光ファイバケーブル141が取り付けられたセグメントリング101をシールド掘削機110の後方へ押し出すようにした。これにより、外殻シールド100を形成してから光ファイバケーブル141を設置する場合に比べて、効率的に光ファイバケーブル141を設置できる。
【0088】
本実施形態では、外殻シールド100のスキンプレート106の外周面に対して形成される凹部120に光ファイバケーブル141が収容される。このため、光ファイバケーブル141は、セグメントリング101とともにシールド掘削機110から押し出される際にテールブラシ128や地山との接触により損傷することを低減できる。さらに、テールブラシ128の止水(シール)機能を損なうおそれも少ない。
【0089】
<第2実施形態>
図12を参照して、本発明の第2実施形態に係るトンネルについて説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、本発明の第2実施形態に係るトンネルの光ファイバケーブル141の設置位置を示すトンネルの横断面図であり、トンネル周方向に隣接するセグメントピース102の連結部を拡大して示す。
【0090】
第1実施形態では、光ファイバケーブル141が地山側に露出する構成とされていた。これに対して、第2実施形態では、外殻シールド100の外周面に沿って敷設される光ファイバケーブル141を覆って保護する保護板260が設けられる。
【0091】
図12は、
図8と同様の図である。第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した凹部120aの底面121aに溝225が形成され、この溝225の内側に光ファイバケーブル141が配置される。溝225の径方向外方に位置する凹部120aには、保護板260が設置される。保護板260は、凹部120aの開口を塞ぎ、光ファイバケーブル141を覆う。
【0092】
スキンプレート106の周方向端部には、保護板係止部261が設けられる。保護板係止部261は板状部材からなり、スキンプレート106に溶接により固定される。隣接する一対のセグメントピース102の保護板係止部261同士は、端面が互いに対向するように配置される。互いに対向して配置される一対の保護板係止部261間の隙間は、保護板260の幅よりも短くなるように設定される。これにより、凹部120aに設置される保護板260は、保護板係止部261によって、径方向外方に移動することが規制される。
【0093】
一対の保護板係止部261間の隙間は、光ファイバケーブル141を挿通可能な寸法に設定される。このため、光ファイバケーブル141を、セグメントピース102の径方向外側から一対の保護板係止部261間を通過させて溝225に配置することができる。保護板260は、光ファイバケーブル141が溝225に配置された後、光ファイバケーブル141と保護板係止部261との間の凹部120aにトンネル軸方向外方から挿入される。保護板260も第1実施形態と同様に、掘削機後方のテール部112の内部でセグメント組立装置であるエレクタ171によってセグメントピース102が組み立てられる際に、取り付けられる(
図11(d)参照)。なお、第2実施形態では、凹部120の開口部を部分的に塞ぐ固定部材173(
図8、
図9参照)は不用となる。
【0094】
また、第2実施形態では、凹部120aと同様、凹部120b(
図9参照)の底面121bにも溝(不図示)が形成され、この溝(不図示)の内側に光ファイバケーブル141が配置される。凹部120bには、保護板(不図示)が設置され、光ファイバケーブル141を覆う。
【0095】
このように、第2実施形態に係るトンネルは、光ファイバケーブル141を覆って保護する保護板260を備えている。したがって、第2実施形態によれば、第1実施形態と比べて、光ファイバケーブル141が、テールブラシ128や地山に直接接触することがさらに回避されるので、断線等の損傷のリスクをさらに低減できるという作用効果を奏する。
【0096】
<第3実施形態>
図13を参照して、本発明の第3実施形態に係るトンネルについて説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図13は、本発明の第3実施形態に係るトンネルの光ファイバケーブル141の設置位置を示すトンネルの横断面図であり、光ファイバケーブル141の収容部を拡大して示す。
【0097】
第3実施形態では、スキンプレート106の外周面に、断面がコ字状の溝形鋼360が溶接により固定される。溝形鋼360は、トンネル軸方向に延在し、溝形鋼360の内周面とスキンプレート106の外周面とによって、光ファイバケーブル141を収容する収容空間が画成される。
【0098】
第3実施形態では、光ファイバケーブル141を溝形鋼360に挿通させてから、セグメントピース102をエレクタ171によって他のセグメントピース102に組み付ける。
【0099】
このように、第3実施形態に係るトンネルは、光ファイバケーブル141を覆って保護する保護部材としての溝形鋼360を備えている。これにより、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0100】
<第4実施形態>
図14を参照して、本発明の第4実施形態に係るトンネルについて説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、本発明の第4実施形態に係るトンネルの光ファイバケーブル141の設置位置を示すトンネルの縦断面図であり、トンネル軸方向に隣接するセグメントリング101の連結部を拡大して示す。
【0101】
第1実施形態では、光ファイバケーブル141を外殻シールド100の外周側の表面である外周面に敷設する例について説明した。これに対して、第4実施形態では、光ファイバケーブル141が外殻シールド100の内周側の表面である内周面に敷設される。主桁104には、光ファイバケーブル141が挿通する挿通開口部404aが形成される。
【0102】
光ファイバケーブル141は、結束バンド等の固定具480により、スキンプレート106の内周面に固定される。光ファイバケーブル141は、第1実施形態と同様、トンネル軸方向に延在している。光ファイバケーブル141は、主桁104の近傍において、主桁104に近づくにつれてスキンプレート106の内周面から遠ざかるように撓んでいる。光ファイバケーブル141は、主桁104に設けられた挿通開口部404aを挿通する。
【0103】
挿通開口部404aは、トンネル軸方向に隣接するセグメントピース102を連結する一対の主桁104間に設置されるシール部材191よりも、トンネル中心軸側に設けられる。シール部材191は、一対の主桁104間の隙間を閉塞するように設けられ、外殻シールド100の外側から外殻シールド100の内側に水等が侵入することを防止する。
【0104】
このように、第4実施形態では、外殻シールド100の内周面に光ファイバケーブル141が敷設される。したがって、第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果に加え、光ファイバケーブル141が地山に直接接触することが回避され、断線のリスクを低減することができるという作用効果が得られる。
【0105】
光ファイバケーブル141が挿通する挿通開口部404aは、シール部材191よりも内側に設けられる。このため、シール部材191によって、外殻シールド100の外側から挿通開口部404aを通じて外殻シールド100の内側に水等が侵入することが防止される。これにより、水漏れに起因して、外殻体形成工程が中断してしまうといった不具合を防止できる。
【0106】
<第5実施形態>
図15を参照して、本発明の第5実施形態に係るトンネルについて説明する。以下では、上記第4実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第4実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図15は、本発明の第5実施形態に係るトンネルの光ファイバケーブル141の設置位置を示すトンネルの縦断面図であり、トンネル軸方向に隣接するセグメントリング101の連結部を拡大して示す。
【0107】
第4実施形態では、挿通開口部404aがシール部材191よりも径方向内側に配置される例について説明した。これに対して、第5実施形態では、挿通開口部504aがシール部材191よりも径方向外側に配置される。
【0108】
第5実施形態では、挿通開口部504aの径方向外方に環状のシールリング591が設けられる。主桁104のトンネル軸方向の外側端面には環状のシール溝が設けられ、このシール溝にシールリング591が設けられる。
【0109】
このように、第5実施形態では、ボルト、ナットにより締結される一対の主桁104間の隙間をシールするシールリング591が、挿通開口部504aを囲むように設置される。これにより、上記第4実施形態と同様、外殻シールド100の外側から挿通開口部504aを通じて外殻シールド100の内側に水等が侵入することが防止される。
【0110】
このような第5実施形態によれば、第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0111】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0112】
(変形例1)
上記実施形態では、光ファイバケーブル141がトンネル軸方向(外殻シールド100の延在方向)に敷設される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図16A及び
図16Bに示すように、トンネル周方向、すなわち外殻シールド100の周方向に沿って光ファイバケーブル141を敷設してもよい。このような場合であっても、凍土170の造成管理に用いる温度計を多数設ける必要がない。このため、トンネルを施工する際の施工コストを低減することができる。
【0113】
上記第4及び第5実施形態では、トンネル軸方向に延在する光ファイバケーブル141が、主桁104の挿通開口部404a,504aを挿通していた。これに対して、本変形例1では、外殻シールド100の内周面に敷設される光ファイバケーブル141は、継手板103の挿通開口部(不図示)を挿通することになる。なお、本変形例1においても第4、第5実施形態と同様、シール部材190、シールリング(不図示)によって、継手板103の挿通開口部を通じて水等が外殻シールド100内に侵入することを防止することが好ましい。
【0114】
また、光ファイバケーブル141は、トンネル軸方向及びトンネル周方向に沿って、外殻シールド100の外周面または内周面に螺旋状に敷設してもよい。
【0115】
(変形例2)
上記実施形態では、光ファイバケーブル141が、線上の任意の位置における温度を検出する状態検出線として機能する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光ファイバケーブル141が、線上のひずみの変化を検出する状態検出線として機能する場合も本発明の範囲内である。
【0116】
光ファイバケーブル141を外殻シールド100の外周面または内周面に沿って敷設することにより、トンネルの施工中に外殻シールド100に加わる荷重の変化を監視することができる。例えば、地震等の外圧に起因して外殻シールド100が変形した場合、その変形が大きい位置を特定することができる。このように、光ファイバケーブル141が、線上のひずみを検出する状態検出線として機能する場合、ひずみ計を多数設ける必要がない。このため、トンネルを施工する際の施工コストを低減することができる。
【0117】
(変形例3)
上記実施形態では、状態検出線として、光ファイバケーブル141を採用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、トンネル覆工体の状態を検出する種々の状態検出線を敷設するトンネルに適用することができる。
【0118】
(変形例4)
上記実施形態では、外殻シールド100を構成するセグメントピース102が、鋼製である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。主にコンクリートからなるRCセグメントや、主にコンクリートと鋼材とからなる合成セグメントを用いて外殻シールド100を形成してもよい。
【0119】
(変形例5)
分岐合流部1の形成方法は、上記実施形態に限定されない。また、上記実施形態では、外殻シールドトンネル11に本発明を適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。本線シールドトンネル151やランプシールドトンネル152に本発明を適用してもよい。
【0120】
(変形例6)
上記実施形態では、シールド掘削機110により形成されるシールドトンネルに本発明を適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。TBM(トンネルボーリングマシン)により形成されるトンネルに本発明を適用してもよい。
【0121】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。