特許第6906426号(P6906426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906426
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】河川情報システム及び河川情報配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20210708BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20210708BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210708BHJP
   G08B 27/00 20060101ALN20210708BHJP
   G01F 1/00 20060101ALN20210708BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   G06F13/00 353U
   H04Q9/00 311H
   !G08B27/00 C
   !G01F1/00 Y
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-211276(P2017-211276)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-83493(P2019-83493A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下平 興二
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−171557(JP,A)
【文献】 実開昭62−138201(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
G06F 13/00
H04Q 9/00
G08B 27/00
G01F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に関する観測データを受信するデータ受信部と、
保守データの送信対象となるか否かを送信先毎に登録する登録部と、
受信された前記観測データの送信先が保守データの送信対象である場合、保守データの送信対象となっている送信先に対しては、観測データを保守データに置換することによって送信データを生成する送信データ生成部と、
少なくとも前記観測データ又は前記保守データのいずれかを含む送信データを前記送信先に対して配信する情報配信部と、
を備える河川情報システム。
【請求項2】
前記登録部は、前記保守データの送信対象とみなす有効期間を送信先毎にさらに登録し、
前記送信データ生成部は、前記有効期間内においては、前記保守データの送信対象となっている送信先に対して観測データを保守データに置換することによって前記送信データを生成する、請求項1に記載の河川情報システム。
【請求項3】
河川に関する観測データを受信するデータ受信ステップと、
保守データの送信対象となるか否かを送信先毎に登録する登録ステップと、
受信された前記観測データの送信先が保守データの送信対象である場合、保守データの送信対象となっている送信先に対しては、観測データを保守データに置換することによって送信データを生成する送信データ生成ステップと、
少なくとも前記観測データ又は前記保守データのいずれかを含む送信データを前記送信先に対して配信する情報配信ステップと、
を有する河川情報配信方法。
【請求項4】
前記登録ステップにおいて、前記保守データの送信対象とみなす有効期間を送信先毎にさらに登録し、
前記送信データ生成ステップにおいて、前記有効期間内においては、前記保守データの送信対象となっている送信先に対して観測データを保守データに置換することによって前記送信データを生成する、請求項3に記載の河川情報配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、河川情報システム及び河川情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川情報システムは、テレメータ観測装置やダムコムシステム等の観測局が計測した雨量、水位、ダム諸量等の観測データをリアルタイムに収集し、収集した観測データを河川管理者(職員等)、水防関係者、地域住民に対して配信する設備である。従来の河川情報システムでは、保守設定を行う場合、保守設定を行う対象となっている観測局で計測された実際の収集対象のデータが正常な値であったとしても保守用のデータに書き換えてしまい、河川情報システムから、上位局等の全ての送信先に対して保守データを送信してしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−57994号公報
【特許文献2】特開2010−198330号公報
【特許文献3】特開2003−6775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、保守時において誤ったデータの送信を抑制することができる河川情報システム及び河川情報配信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の河川情報システムは、データ受信部と、登録部と、送信データ生成部と、情報配信部とを持つ。データ受信部は、河川に関する観測データを受信する。登録部は、保守データの送信対象となるか否かを送信先毎に登録する。送信データ生成部は、受信された前記観測データの送信先が保守データの送信対象である場合、保守データの送信対象となっている送信先に対しては、観測データを保守データに置換することによって送信データを生成する。情報配信部は、少なくとも前記観測データ又は前記保守データのいずれかを含む送信データを前記送信先に対して配信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の河川管理システムのシステム構成を示す図。
図2】実施形態における情報集配信サーバの機能構成を表す概略ブロック図。
図3】実施形態における設定情報テーブルの具体例を示す図。
図4】実施形態における情報集配信サーバが行う保守情報等を入力するための設定情報の登録処理の流れを示すフローチャート。
図5】実施形態における保守情報等を入力するための設定画面の一例を示す図。
図6】実施形態における情報集配信サーバが行う保守処理の流れを示すフローチャート。
図7】変形例における有効期間を設定する場合の設定画面の具体例を示す図。
図8】変形例における有効期間が設定された場合の設定情報テーブルの具体例を示す図。
図9】変形例における情報集配信サーバが行う保守処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の河川情報システム及び河川情報配信方法を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の河川管理システム100のシステム構成を示す図である。
河川管理システム100は、河川情報システム10、テレメータ監視装置20、ダムコンシステム30、水管理システム40、関連システム50及び上位システム60を備える。河川情報システム10、テレメータ監視装置20、ダムコンシステム30、水管理システム40、関連システム50及び上位システム60は、有線通信又は無線通信により互いに通信可能に接続される。
【0008】
河川情報システム10は、テレメータ監視装置20、ダムコンシステム30及び水管理システム40から送信される観測データを収集、演算し、関連システム50及び上位システム60に観測データを配信するシステムである。
テレメータ監視装置20は、水位センサ、雨量センサ等を備えたテレメータ観測装置から、定期的に、各々の設置された地点における河川水位や雨量等の観測データを収集する装置である。テレメータ監視装置20は、収集した観測データを加工(情報処理)して河川情報システム10に送信する。テレメータ観測装置は、例えば、雨量観測局及び水位観測局である。
【0009】
ダムコンシステム30は、ダムに設置されたダム観測局から観測データを収集、加工(情報処理)して河川情報システム10に配信するシステムである。例えば、ダムコンシステム30は、定期的(例えば、10分おき)に各ダム観測局から観測データを収集し、一括管理する。ダム観測局は、貯水池の状況(貯水位、流入量、貯水量(率)等)とダム周辺の雨量、水位等のデータを観測データとして河川情報システム10に送信する。
【0010】
水管理システム40は、水害対策設備や農業用水設備における、各地点の水位や排水機場のポンプやゲートの動作状態を監視・制御するシステムである。水管理システム40は、観測データを収集及び加工(情報処理)して河川情報システム10に送信する。
関連システム50は、道路情報システムやダム情報システム等のシステムである。
上位システム60は、河川の防災システムである。
【0011】
河川情報システム10の具体的な構成について説明する。河川情報システム10は、インタフェース変換装置11、情報集配信サーバ12、WEB・DBサーバ13、公開WEBサーバ14及びメール配信サーバ15を備える。
インタフェース変換装置11は、テレメータ監視装置20、ダムコンシステム30及び水管理システム40それぞれから送信された観測データの伝送フォーマットを、河川情報システム内で扱う形式のデータに変換する装置である。
【0012】
情報集配信サーバ12は、インタフェース変換装置11又は各システムから受信した観測データを保存、演算した後に、関連する装置やシステムに対して配信する装置である。情報集配信サーバ12は、保守設定の機能を有し、保守設定の機能が有効となっている送信先に対して保守データを配信し、保守設定の機能が無効となっている送信先に対して観測データを配信する。保守データは、観測データの送信元のシステムが保守状態であることを示すデータであって、例えば予め設定された値(例えば、保守値や欠測値)を含むデータである。
【0013】
WEB・DBサーバ13は、河川情報システム10を設置する内部向けに、データ表示やデータ管理機能を配信する装置である。
公開WEBサーバ14は、一般ユーザ向けに、データ表示を行う装置である。
メール配信サーバ15は、一般ユーザ向けに、観測データが閾値を超えた場合等の警戒状態において河川管理者(職員等)、水防関係者、地域住民等にメールを配信する装置である。
【0014】
図2は、実施形態における情報集配信サーバ12の機能構成を表す概略ブロック図である。情報集配信サーバ12は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、配信プログラムを実行する。情報集配信サーバ12は、配信プログラムの実行によって入力部121、表示制御部122、表示部123、登録部124、データ受信部125、情報配信部126、通信制御部127、観測データ記憶部128、設定情報記憶部129、送信データ生成部130を備える装置として機能する。なお、情報集配信サーバ12の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。配信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。配信プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0015】
入力部121は、保守設定を行うための画面(以下「保守設定画面」という。)の表示指示や設定指示等のユーザの指示を情報集配信サーバ12に入力する入力部である。また、入力部121は、入力装置を情報集配信サーバ12に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部121は、入力装置においてユーザの入力に応じて生成された入力信号を情報集配信サーバ12に入力する。入力部121は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、タッチパネル、ボタン等の既存の入力装置を用いて構成される。
【0016】
表示制御部122は、入力部121に入力された指示に応じて、保守設定画面等の画面の表示を制御する表示制御部である。
表示部123は、表示制御部122の制御に従って画面を表示する表示部である。表示部123は、画像表示装置を情報集配信サーバ12に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部123は、画面を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。表示部123は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の画像表示装置である。
【0017】
登録部124は、保守設定画面において設定された設定情報を設定情報記憶部129に登録する登録部である。設定情報は、観測データの送信先毎に保守設定を有効にするか無効にするかを示す情報である。
【0018】
データ受信部125は、テレメータ監視装置20、ダムコンシステム30及び水管理システム40から送信された観測データをインタフェース変換装置11で変換した結果を受信する受信部である。
情報配信部126は、送信データ生成部130によって生成された送信データを送信先に配信する配信部である。
【0019】
通信制御部127は、データ受信部125及び情報配信部126を制御する通信制御部である。
観測データ記憶部128は、データ受信部125によって受信された観測データを記憶する記憶部である。観測データ記憶部128は、観測データの送信元のシステムを識別するための識別情報と、観測データが取得された日時情報と、観測データとを対応付けて記憶する。
【0020】
設定情報記憶部129は、登録部124によって登録された設定情報を含む設定情報テーブルを記憶する記憶部である。
図3は、設定情報テーブルの具体例を示す図である。設定情報テーブルは、観測局毎に設定情報レコードを有する。設定情報レコードは、観測局、送信先及び保守設定の各値を有する。観測局は、観測データの送信元の観測局である。送信先は、観測データの送信先である。保守設定は、保守設定の機能を有効とするか無効とするかを示す情報である。図3に示すように、設定情報テーブルには、送信先毎に保守設定の設定が可能である。
【0021】
図3に示す例では、雨量観測局Aから受信した観測データをWEB・DBサーバ13に配信する場合には保守設定の機能を無効にすることが示されており、雨量観測局Aから受信した観測データを公開WEBサーバ14、メール配信サーバ15、関連システム50及び上位システム60に配信する場合には保守設定の機能を有効にすることが示されている。
【0022】
図2に戻って説明を続ける。
送信データ生成部130は、設定情報テーブルに登録されている設定情報に基づいて、データ受信部125によって受信された観測データの送信先に応じた送信データを生成する送信データ生成部である。
【0023】
図4は、情報集配信サーバ12が行う保守情報等を入力するための設定情報の登録処理の流れを示すフローチャートである。
ユーザから入力部121を介して保守情報等を入力するための設定画面の表示指示が入力されると(ステップS101)、表示制御部122は、図5に示すような保守情報等の設定画面を表示部123に表示する(ステップS102)。
【0024】
図5は、保守情報等を入力するための設定画面の一例を示す図である。
図5に示す設定画面70には、設定入力領域71と、完了ボタン72とが表示される。設定入力領域71は、各観測局の送信先毎に保守設定の機能を有効とするか無効とするかの設定を入力するための領域である。完了ボタン72は、設定入力領域71に入力された設定情報の登録を完了させるためのボタンである。
【0025】
ユーザは、保守設定の機能を有効にしたい送信先に対しては、入力部121を操作して保守設定のチェックボックスにチェックマークを入力し、保守設定の機能を無効にしたい送信先に対しては、入力部121を操作して保守設定のチェックボックスにチェックマークを入力しない。図5の例では、雨量観測局Aから受信した観測データを、公開WEBサーバ14、メール配信サーバ15、関連システム50及び上位システム60に配信する場合には保守設定を有効とするように設定されている。
【0026】
なお、図5に示す設定入力領域71の表示は一例であり、保守設定の項目はチェックボックスではなく、入力式(例えば、有効又は無効を入力)であってもよいし、選択式(例えば、有効又は無効をいずれかを選択)であってもよいし、有効又は無効を登録できればその他の方式であってもよい。
【0027】
図4に戻り、登録部124は、完了ボタン72が選択されたか否か判定する(ステップS103)。登録部124は、完了ボタン72が選択されていない場合(ステップS103−NO)、完了ボタン72が選択されるまで待機する。
一方、登録部124は、完了ボタン72が選択された場合(ステップS103−YES)、設定情報を登録する(ステップS104)。
【0028】
具体的には、まず登録部124は、設定入力領域71に設定されている設定情報を取得する。次に、登録部124は、取得した設定情報に基づいて設定情報レコードを生成する。そして、登録部124は、生成した設定情報レコードを用いて設定情報テーブルを生成する。登録部124は、生成した設定情報テーブルを設定情報記憶部129に保存する。なお、登録部124は、設定情報記憶部129に既に設定情報テーブルが登録されている場合、新たに生成した設定情報テーブルで上書きすることによって設定情報テーブルを更新する。
【0029】
図6は、情報集配信サーバ12が行う保守処理の流れを示すフローチャートである。
データ受信部125は、テレメータ監視装置20、ダムコンシステム30及び水管理システム40のいずれか又はそれぞれから送信された観測データを受信する(ステップS201)。通信制御部127は、データ受信部125によって受信された観測データを観測データ記憶部128に保存する(ステップS202)。例えば、通信制御部127は、受信された観測データを、観測データの送信元の識別情報に対応付けて観測データ記憶部128に保存する。通信制御部127は、観測データを送信データ生成部130に出力する。
【0030】
送信データ生成部130は、観測データの送信先を選択する(ステップS203)。具体的には、送信データ生成部130は、WEB・DBサーバ13、公開WEBサーバ14、メール配信サーバ15、関連システム50及び上位システム60の中から1つの送信先を選択する。次に、送信データ生成部130は、複数の観測局の中から1つの観測局を選択する(ステップS204)。
【0031】
送信データ生成部130は、設定情報テーブルを参照し、選択した観測局の送信先に対する保守設定が有効であるか否かを判定する(ステップS205)。例えば、ステップS203において送信先としてWEB・DBサーバ13が選択され、ステップS204において観測局として雨量観測局Aが選択されたとする。この場合、送信データ生成部130は、設定情報テーブルの観測局“雨量観測局A”、送信先“WEB・DBサーバ”の保守設定の項目を参照し、保守設定の項目に有効を示す情報が登録されているか無効を示す情報が登録されているかを判定する。保守設定の項目に有効を示す情報が登録されている場合、送信データ生成部130は保守設定が有効であると判定する。保守設定の項目に無効を示す情報が登録されている場合、送信データ生成部130は保守設定が無効であると判定する。
【0032】
送信データ生成部130は、選択した観測局の送信先に対する保守設定が有効であると判定した場合(ステップS205−YES)、選択した観測局から受信された観測データを保守データに置換して保守データを保持する(ステップS206)。
一方、送信データ生成部130は、選択した観測局の送信先に対する保守設定が有効ではないと判定した場合(ステップS205−NO)、選択した観測局から受信された観測データをそのまま保持する(ステップS207)。
【0033】
送信データ生成部130は、ステップS204の処理で選択していない観測局があるか否かを判定する(ステップS208)。送信データ生成部130は、ステップS204の処理で選択していない観測局があると判定した場合(ステップS208−YES)、ステップS204以降の処理を実行する。なお、この場合、送信データ生成部130は、ステップS204の処理において選択していない観測局を選択する。
【0034】
一方、送信データ生成部130は、ステップS204の処理で選択していない観測局がないと判定した場合(ステップS208−NO)、保持しているデータを用いて送信データを生成する(ステップS209)。具体的には、送信データ生成部130は、観測局毎の観測データ又は保守データを1つにまとめることによって送信先に対して配信する送信データを生成する。すなわち、1つの送信先に対して配信される送信データには、観測データ又は保守データのいずれか又は両方が含まれる。
【0035】
例えば、ある送信先(例えば、WEB・DBサーバ13)に対する保守設定が全ての観測局で無効の場合、ある送信先に対して配信される送信データには、観測データのみが含まれる。また、例えば、ある送信先に対する保守設定が全ての観測局で有効の場合、ある送信先に対して配信される送信データには、保守データのみが含まれる。また、例えば、ある送信先に対する保守設定が有効の観測局と無効の観測局とがある場合、ある送信先に対して配信される送信データには、観測データ及び保守データが含まれる。
【0036】
送信データ生成部130は、生成した送信データを通信制御部127に出力する。通信制御部127は、情報配信部126を制御して送信データを送信先に対して配信する(ステップS210)。その後、送信データ生成部130は、ステップS203の処理で選択していない送信先があるか否かを判定する(ステップS211)。送信データ生成部130は、ステップS203の処理で選択していない送信先があると判定した場合(ステップS211−YES)、ステップS203以降の処理を実行する。なお、この場合、送信データ生成部130は、ステップS203の処理において選択していない送信先を選択する。
一方、送信データ生成部130は、ステップS203の処理で選択していない送信先がないと判定した場合(ステップS211−NO)、図6の処理を終了する。
【0037】
以上のように構成された河川情報システム10によれば、受信した観測データの送信先が保守データの送信対象である場合には、観測データを保守データに置換し、観測データの送信先が保守データの送信対象ではない場合には観測データを用いて送信データを生成する。そして、河川情報システム10は、観測データ又は保守データのいずれか又は両方を含む送信データを送信先に対して配信する。これにより、河川情報システム10は、特定の送信先に対して保守データを配信することができる。また、河川情報システム10は、保守データを送信する必要が無い送信先に対しては保守データを配信しない。そのため、保守時において誤ったデータの送信を抑制することが可能になる。
【0038】
また、河川情報システム10は、観測データを記憶する観測データ記憶部128を備える。これにより、システムの管理者は、保守データに書き換える前の観測データを利用して作業を行うこともできる。
また、河川情報システム10は、保守データの送信対象となるか否かを送信先毎に登録する登録部124を備える。これにより、システム管理者は、保守設定の有効無効を容易に設定することができる。そして、河川情報システム10は、保守設定が有効となっている送信先に対しては保守データを含む送信データを配信させ、保守設定が有効となっていない送信先に対しては観測データを含む送信データを配信させる。そのため、利便性を向上させることが可能になる。
【0039】
<変形例>
以下、河川情報システム10の変形例について説明する。
情報集配信サーバ12が備える一部の機能部は、河川情報システム10内の別の筺体に備えられてもよい。例えば、入力部121、表示制御部122、表示部123及び登録部124が設定情報登録装置として情報集配信サーバ12とは別の筺体に備えられてもよい。この場合、情報集配信サーバ12は、登録部124が生成した設定情報テーブルを取得して、設定情報記憶部129に保存する。
【0040】
情報集配信サーバ12は、保守設定が有効な場合において有効期間も設定できるように構成されてもよい。このように構成される場合、情報集配信サーバ12は、有効期間内においては、保守データの送信対象となっている送信先に対して観測データを保守データに置換して、置換した保守データを用いて送信データを生成して、保守データの送信対象となっている送信先に対して生成した送信データを送信する。具体的な構成について図7図9を用いて説明する。
【0041】
図7は、有効期間を設定する場合の設定画面の具体例を示す図である。
図7に示す設定画面80には、設定入力領域81と、完了ボタン82とが表示される。なお、図7において、設定入力領域81に有効期間の項目が追加されたことを除けば、その他の構成は図5に示す設定画面70と同様の構成である。有効期間は、保守データの送信対象とみなす期間である。
【0042】
ユーザは、保守設定の機能を有効にしたい送信先に対してさらに、入力部121を操作して有効期間を入力する。図7の例では、雨量観測局Aから受信した観測データを、公開WEBサーバ14、メール配信サーバ15、関連システム50及び上位システム60に配信する場合、20XX年7月20日08:00〜20XX年7月20日18:00の間は保守設定を有効とするように設定されている。なお、図7に示す設定入力領域81の表示は一例であり、有効期間の項目は、有効期間を登録できればどのような方式で入力されてもよい。
【0043】
図8は、有効期間が設定された場合の設定情報テーブルの具体例を示す図である。設定情報テーブルは、観測局毎に設定情報レコードを有する。設定情報レコードは、観測局、送信先、保守設定及び有効期間の各値を有する。観測局、送信先及び保守設定は、図3に示した設定情報テーブルと同様である。有効期間は、保守データの送信対象とみなす期間である。有効期間は、保守設定が有効となっている場合に設定される。図8に示すように、設定情報テーブルには、送信先毎に保守設定及び有効期間の設定が可能である。なお、設定情報テーブルには、1つの送信先に対して複数の有効期間を設定できるように構成されてもよい。
【0044】
図8に示す例では、雨量観測局Aから受信した観測データをWEB・DBサーバ13に配信する場合には保守設定の機能を無効にすることが示されており、雨量観測局Aから受信した観測データを公開WEBサーバ14、メール配信サーバ15、関連システム50及び上位システム60に配信する場合、20XX年7月20日08:00〜20XX年7月20日18:00の間は保守設定の機能を有効にすることが示されている。
【0045】
図9は、変形例における情報集配信サーバ12が行う保守処理の流れを示すフローチャートである。図9において、図6と同様の処理については図6と同様の符号を付して説明を省略する。
ステップS205の処理において、送信データ生成部130は、選択した観測局の送信先に対する保守設定が有効であると判定した場合(ステップS205−YES)、設定情報テーブルを参照し、有効期間内であるか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、送信データ生成部130は、設定情報テーブルを参照し、現在の日時が、選択した観測局の送信先において、有効期間内であるか否かを判定する。
【0046】
例えば、ステップS203において送信先として公開WEBサーバ14が選択され、ステップS204において観測局として雨量観測局Aが選択され、現在の日時が20XX年7月20日17:00であるとする。この場合、送信データ生成部130は、設定情報テーブルの観測局“雨量観測局A”、送信先“公開WEBサーバ”に対応付けられている有効期間の項目に示されている期間と、現在の日時“20XX年7月20日17:00”とを比較することによって、現在の日時が有効期間内であるか否かを判定する。図7に示す設定情報テーブルを例に説明すると、設定情報テーブルの観測局“雨量観測局A”、送信先“公開WEBサーバ”に対応付けられている有効期間が20XX年7月20日08:00〜20XX年7月20日18:00である。そのため、送信データ生成部130は、現在の日時が有効期間内であると判定する。
【0047】
送信データ生成部130は、有効期間内であると判定した場合(ステップS301−YES)、ステップS204の処理で選択された観測局から受信された観測データを保守データに置換して保持する(ステップS206)。
一方、送信データ生成部130は、有効期間内ではないと判定した場合(ステップS301−NO)、ステップS204の処理で選択された観測局から受信された観測データをそのまま保持する(ステップS207)。
【0048】
以上のように構成された河川情報システム10によれば、保守設定が有効となっている送信先に対しては、保守設定を有効とみなす有効期間を登録することができる。そして、河川情報システム10は、有効期間内である場合のみ観測データを保守データに置換し、有効期間外である場合には観測データを保守データに置換しない。これにより、特定の期間のみ保守設定を有効にすることができる。例えば、休日や祝日に保守作業を実施するような場合には、システム管理者は前日までに設定しておくことで休日対応を避けることができる。そのため、利便性を向上させることができるとともに、保守時において誤ったデータの送信を抑制することが可能になる。
【0049】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、河川に関する観測データを受信するデータ受信部125と、保守データの送信対象となるか否かを観測データの送信先毎に登録する登録部124と、受信された観測データの送信先が保守データの送信対象である場合、保守データの送信対象となっている送信先に対しては、観測データを保守データに置換することによって送信データを生成する送信データ生成部130と、観測データ又は保守データのいずれかを含む送信データを送信先に対して配信する情報配信部126とを持つことにより、保守時において誤ったデータの送信を抑制することができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
10…河川情報システム,11…インタフェース変換装置,12…情報集配信サーバ,13…WEB・DBサーバ,14…公開WEBサーバ,15…メール配信サーバ,20…テレメータ監視装置,30…ダムコンシステム,40…水管理システム,50…関連システム,60…上位システム,121…入力部,122…表示制御部,123…表示部,124…登録部,125…データ受信部,126…情報配信部,127…通信制御部,128…観測データ記憶部,129…設定情報記憶部,130…送信データ生成部
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