(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるタンク液面検知装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るタンク液面検知装置が適用される船舶を示す概略断面図である。
図2は、本発明の実施形態に係るタンク液面検知装置及び尿素水タンクを示す概略断面図である。
図3は、液面計の一例を示す拡大図である。
図4は、貯留槽の拡大断面図である。
【0014】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係るタンク液面検知装置が適用される船舶100の構成について説明する。
図1に示すように、この船舶100にあっては、船体内の船尾側(
図1の左側)に機関室101が設けられ、この機関室101より船首側(
図1の右側)に第1の隔壁104を隔ててポンプ室102が設けられ、このポンプ室102より船首側に第2の隔壁105を隔てて荷油槽103が複数設けられる。また、船舶100における荷油槽103側には第1のバラストタンク106が複数設けられ、機関室101より船尾側には第2のバラストタンク107が設けられる。これら機関室101、ポンプ室102、荷油槽103の天井面は上甲板110で構成される。床面側は、
図1に示すように、船体の外殻を形成する船底外板111と、この船底外板111の船体内側に設けられた内底板112とによって2重船底構造とされている。また、第1の隔壁104及び第2の隔壁105は、船幅方向に延びると共に、船底外板111から上甲板110まで延びるように設けられている。
【0015】
機関室101には、メインエンジン120等の機器が配設されている。メインエンジン120は、機関室101内で最も大きな機器であって推進力を発生するプロペラを駆動するものである。なお、機関室101の上方には、居住区、操舵室、及び煙突121などが設けられる。
【0016】
ここで、
図1に示すように、本実施形態で用いられる尿素水Uは、船舶におけるNOx規制のための尿素SCRに採用されているものである。尿素水Uは、機関室101に設置された尿素水タンク1内に貯留される。この尿素SCRとは、船舶用ディーゼルエンジンの排ガスG中に、還元剤として尿素水Uを噴射し、排ガスG中に含まれるNOxを窒素と水に変換するものである。
【0017】
図2に示すように、尿素水タンク1に対しては、尿素水タンク1内の尿素水(第1の液体)Uの液面を検知するためのタンク液面検知装置2が接続される。タンク液面検知装置2は、従来技術で説明したガラス式液面計(以下単に液面計と呼ぶ)3及び貯留槽4を備え、尿素水タンク1の下部と貯留槽4とは、タンク側接続管5により接続されて連通され、貯留槽4と液面計3の下部とは、液面計側接続管6により接続され連通されている。
【0018】
液面計3は、ガラス部材7を主体に備えるもので、当該ガラス部材7は、例えば鉄、銅等の材料から成る保持体8により保持され、接液部には、鉄、銅等の材料が用いられている。液面計3内には、尿素水Uではない液体Rが収容されている。より詳細には、
図3に示すように、保持体8は上下方向に延びる溝部8aを前面側に有している。ガラス部材7は、保持体8の前面を封止して覆うように固定される。これにより、溝部8aとガラス部材7によって形成される空間に、液体Rが収容される。保持体8の下端付近の側面には、継手管8bが設けられている。当該継手管8bは、溝部8a内と連通している。継手管8bには、液面計側接続管6が接続される。なお、尿素水タンク1とタンク側接続管5との間にはバルブが設けられてもよい。
【0019】
液体Rとしては、尿素水タンク1内の液体と異なる液体であればよく、液面計3の接液部に対して腐食性を有していない液体であればよい。例えば、液体Rとして、着色されていることで液面高さを目視し易いエチレングリコールを用いてもよく、その他、水等であっても良い。そして、液面計3の上部には、エアベント(不図示)が設置されている。あるいは、液面計3の上部は、配管3aを介して尿素水タンク1と接続されてもよい。この場合、液面計3の液面が過剰に上昇したときに、液体Rを尿素水タンク1に戻すことができる。
【0020】
貯留槽4は、
図4に示すように、内部空間を有する箱状に構成され、その底部には、仕切板(仕切部)9が上方へ延びるように立設されている。ここでは、貯留槽4は、直方体又は立方体の箱状部材であるものとする。貯留槽4は、底部及び四方の側部を有している。また、貯留槽4の上端部は、天部(上端壁)12で封止されている。貯留槽4は、尿素水タンク1の底部側に配置されている。ここでは、貯留槽4の底部と尿素水タンク1の底部とが、等しい高さに配置されている。貯留槽4の天部12は、液面計3及び尿素水タンク1の下端寄りの位置に配置されている。すなわち、貯留槽4の高さは、尿素水タンク1及び液面計3に比して十分に低く設定されている。
【0021】
仕切板9は、貯留槽4の対向する側部10,11同士の中間に位置し、当該側部10,11と平行を成すように配置される。仕切板9の両端部は、貯留槽4のもう一方の対向する側部(紙面垂直方向に対向する側部)にそれぞれ固定されている。仕切板9の上面は、貯留槽4の天部12には達せず、仕切板9の上面と貯留槽4の天部12との間には、所定の隙間が設けられている。
【0022】
貯留槽4のうち、仕切板9の一方側である側部10側は、尿素水Uを貯留する第1の貯留部4Aとして構成される。ここでは、仕切板9と、貯留槽4の側部10側の各壁部で囲まれる部分が、第1の貯留部4Aに該当する。また、貯留槽4のうち、仕切板9の他方側である側部11側は、液体Rを貯留する第2の貯留部4Bとして構成される。ここでは、仕切板9と、貯留槽4の側部11側の各壁部で囲まれる部分が、第2の貯留部4Bに該当する。第1の貯留部4Aの容積及び断面積(すなわち尿素水Uの液面の面積)と第2の貯留部4Bの容積及び断面積(すなわち液体Rの液面の面積)とは、互いに等しくなっている。ここで、貯留部4A,4Bの容積及び断面積は、どのような大きさに設定されてもよいが、例えば、貯留部4Bは、液面計3の液部分の容積分の大きさに設定され、貯留部4Aは尿素水タンク1で最高液位の際に貯留部4Aより貯留部4Bに尿素水Uが流出しないような大きさに設定されることが好ましい。貯留部4A,4Bの断面積は、少なくとも管5,6及び液面計3の溝部8a(液体Rが収容される部分)の断面積よりも大きい。第1の貯留部4Aの容積及び断面積と第2の貯留部4Bの容積及び断面積とは、互いに異なる大きさであってもよい。なお、断面積が小さすぎる場合は、応答性が悪くなる可能性がある。一方、断面積が大きすぎる場合は、貯留部全体が大きくなり、コスト・配置上のデメリットが生じる。
【0023】
液面計側接続管6は、貯留槽4の側部11を貫通し、仕切板9より手前(仕切板9より図示右側に離間した位置)で下方へ折曲し、その先端の開口13が下方を向くように設置される。この液面計側接続管6を通して、液面計3からの液体Rが流入する。
【0024】
液面計側接続管6の開口13は、貯留槽4の底部側に配置される。当該開口13は、貯留槽4の底部から隙間を空けて上方へ離間した位置に配置される。このように、開口13が底部に近い位置に配置されており、且つ、下方へ向かって開口することで、液体Rの液面が低くなった場合であっても、液面計3との間の液体Rの中継を行うことができる。なお、液面計側接続管6が側部11を貫通する箇所の高さ位置は特に限定されず、貯留槽4の底部側の位置であっても、天部12側の位置であってもよい。液面計側接続管6は、仕切板9及び側部11から離間した位置にて下方に延びている。液面計側接続管6が、低い位置にて側部11を貫通する場合、開口13付近を下方へ屈曲させることなく、水平のまま延ばしてもよい。また、液面計側接続管6は、貯留槽4の底部に接続されてもよい。
【0025】
タンク側接続管5は、貯留槽4の側部10を貫通し、仕切板9より手前(仕切板9より図示左側に離間した位置)で下方へ折曲し、その先端の開口14が下方を向くように設置される。このタンク側接続管5を通して、尿素水タンク1からの尿素水Uが流入する。
【0026】
タンク側接続管5の開口14は、貯留槽4の底部側に配置される。当該開口14は、貯留槽4の底部から隙間を空けて上方へ離間した位置に配置される。このように、開口14が底部に近い位置に配置されており、且つ、下方へ向かって開口することで、尿素水Uの液面が低くなった場合であっても、尿素水タンク1との間の尿素水Uの中継を行うことができる。なお、タンク側接続管5が側部10を貫通する箇所の高さ位置は特に限定されず、貯留槽4の底部側の位置であっても、天部12側の位置であってもよい。液面計側接続管6は、仕切板9及び側部10から離間した位置にて下方に延びている。タンク側接続管5が、低い位置にて側部10を貫通する場合、開口14付近を下方へ屈曲させることなく、水平のまま延ばしてもよい。また、タンク側接続管5は、貯留槽4の底部に接続されてもよい。
【0027】
貯留槽4内において、尿素水Uと液体Rとは仕切板9で隔てられ、貯留槽4内の上部で、仕切板9により隔てられている尿素水Uの上面と液体Rの上面との間には、空気層Aが介在するように形成されることになる。
【0028】
すなわち、空気層Aは、貯留槽4内の上部で、仕切板9により隔てられている尿素水Uの液面と液体Rの液面との間に介在する。仕切板9は、空気層Aの位置において、第1の貯留部4Aと第2の貯留部4Bとの間で空気が通過する連通部15を有する。本実施形態では、仕切板9の上端と天部12との間の隙間が、連通部15に該当する。
【0029】
仕切板9の上端の高さ(すなわち、貯留部4A,4Bの深さ)について説明する。仕切板9の上端は、第1の貯留部4A内で最も高くなった時(尿素水タンク1の満杯時)の尿素水Uの液面の位置よりも高い位置にある。更には、このような状態において、船舶100の運転による揺れが生じて液面が波打つ場合であっても、当該波打ちによって、尿素水Uが第2の貯留部4B側へ越流しないように、仕切板9の上端の高さが設定される。また、仕切板9の上端は、第2の貯留部4B内で最も高くなった時(尿素水タンク1が空になったとき)の液体Rの液面の位置よりも高い位置にある。更には、このような状態において、船舶100の運転による揺れが生じて液面が波打つ場合であっても、当該波打ちによって、液体Rが第1の貯留部4A側へ越流しないように、仕切板9の上端の高さが設定される。
【0030】
従って、例えば、
図2に示す尿素水タンク1内の尿素水Uの液面が上昇すると、貯留槽4内の尿素水Uの液面が上昇し、
図4に上向きの矢印で示すように、空気層Aが圧縮され、圧縮された空気層Aにより、液体Rが
図4に下向きの矢印で示すように下方へ押され、液体Rが導かれる液面計3にあっては、液体Rが上昇することになる。一方、尿素水タンク1内の尿素水Uの液面が下降すると、液面計3の液体Rが下降することになる。
【0031】
なお、尿素水タンク1及び貯留槽4並びにタンク側接続管5は、尿素水Uに接するため、尿素水Uに対して耐腐食性を有する例えばSUS316L等より形成されている。
【0032】
次に、タンク液面検知装置2を尿素水タンク1に組み付ける際の手順の一例について説明する。なお、組付け手順は当該説明に限定されるものではない。まず、貯留槽4に設けられた液入れ用の供給管16を開放し、当該供給管16から液体Rを入れる。第2の貯留部4B内の液面の高さは、尿素水Uを第1の貯留部4Aに入れたときに低下することを考慮して、高い位置に設定しておく。液体Rの供給後、供給管16を閉じておく。尿素水タンク1の尿素水Uの出口部のバルブ(不図示)を閉めた状態で、尿素水タンク1の出口部にタンク液面検知装置2のタンク側接続管5を接続する。
【0033】
次に、尿素水タンク1の出口部のバルブを開くことにより、第1の貯留部4Aに尿素水タンク1内の尿素水Uを流し込む。このとき、第1の貯留部4A内の液面が上昇し、第2の貯留部4B内の液面が下降するため、両液面が安定するまで待機する。以上により、尿素水タンク1の組付けが完了する。
【0034】
次に、本実施形態に係るタンク液面検知装置2の作用・効果について説明する。
【0035】
本実施形態に係るタンク液面検知装置2は、内部に液体Rを収容し、当該液体Rの液面の高さを介して、尿素水タンク1内の尿素水Uの液面を表示する液面計3を備える。このように、液面計3は、尿素水タンク1内の尿素水Uとは異なる液体Rを用いている。また、第1の貯留部4Aが尿素水タンク1に接続され、尿素水Uを貯留し、第2の貯留部4Bが液面計3に接続され、液体Rを貯留している。そして、圧力伝達部である空気層Aは、第1の貯留部4A内の尿素水Uと第2の貯留部4B内の液体Rとの間で圧力を伝達する。従って、尿素水タンク1内の尿素水Uの量が増加することで圧力が高まると、第1の貯留部での尿素水Uの圧力が上昇する。このとき、空気層Aが、尿素水タンク1及び第1の貯留部4Aの尿素水Uからの圧力を第2の貯留部4Bの液体Rへ伝達する。これにより、第1の貯留部4Aの尿素水Uの液面が上昇した分だけ、第2の貯留部4B内の液体Rの液面が下側へ押され、それによって、液面計3内の液体Rの液面が上昇する。一方、尿素水タンク1内の尿素水Uの量が減少することで圧力が低くなると、第1の貯留部4Aでの尿素水Uの圧力が低下する。このとき、空気層Aが、液面計3及び第2の貯留部4Bの液体Rからの圧力を第1の貯留部4Aの尿素水Uへ伝達する。これにより、第1の貯留部4Aの尿素水Uの液面が下側へ押され、その分だけ第2の貯留部4B内の液体Rの液面が上昇し、それによって、液面計3内の液体Rの液面が下降する。このように、液面計3は、尿素水タンク1と異なる液体Rを用いた場合であっても、尿素水タンク1内の尿素水Uの液面を表すことができる。従って、液面計3の接液部が尿素水Uと触れることによって腐食するという不具合を回避することができ、尿素水Uが液面計3の内部で結晶化してしまうという不具合を回避することができる。以上により、液面計3に生じる不具合を抑制することができる。
【0036】
タンク液面検知装置2において、圧力伝達部は、尿素水Uと液体Rとの間に介在する空気層Aによって構成されている。これにより、尿素水Uと液体Rとの間に空気層Aを形成するだけのシンプルな構成でありながら、十分に圧力を伝達することができる。
【0037】
タンク液面検知装置2は、内部空間が上下方向に延びる仕切板9で仕切られ、上端部が天部12で封止された貯留槽4を更に備え、貯留槽4のうち、仕切板9の一方側が第1の貯留部4Aとして構成され、他方側が第2の貯留部4Bとして構成され、空気層Aは、貯留槽4内の上部で、仕切板9により隔てられている尿素水Uの液面と液体Rの液面との間に介在し、仕切板9は、空気層Aの位置において、第1の貯留部4Aと第2の貯留部4Bとの間で空気が通過する連通部15を有している。これにより、貯留槽4に仕切板9を設けたコンパクトな構成にて、第1の貯留部4A、第2の貯留部4B及び空気層Aを構成することができる。
【0038】
このように、本実施形態によれば、尿素水タンク1内に貯留され液面計3の接液部に対して腐食性を有する尿素水Uと、接液部に対して腐食性を有しない液体Rとが、貯留槽4内において間に介在する空気層Aにより混ざらない状態で、尿素水タンク1内の尿素水Uの圧力が、空気層Aを介して液体Rの圧力に変換され、当該液体Rが液面計3へ導かれるため、液面計3の接液部には、接液部に対して腐食性を有しない液体Rが接することになる。その結果、従来の液面計3を使用しつつ、尿素水タンク1内に貯留された尿素水Uの液面を、接液部を腐食させることなく検知できる。
【0039】
また、貯留槽4内には、底部から上方へ延び、尿素水タンク1からの尿素水Uと液面計3からの液体Rとを隔てる仕切板9が設けられ、空気層Aは、貯留槽4内の上部で、仕切板9により隔てられている尿素水Uの上面と液体Rの上面との間に介在する構成を採用しているため、簡易な構成で、尿素水Uと液体Rとが混ざることを防止できる。
【0040】
なお、尿素水Uを液面計3で検知する場合、接液部の腐食の問題に加えて、液面計3内で尿素水Uの液面が低くなって液面計3のガラス面に尿素水滴が付着し蒸発すると結晶となり、この結晶により液面計3の液面が見難くなったり、最悪閉塞の虞があるが、本実施形態によれば、液面計3には尿素水Uが導入されない構成のため、結晶化による不具合を防止できる。
【0041】
図5は、本発明の他の実施形態に係るタンク液面検知装置の貯留槽の拡大断面図である。この実施形態が先の実施形態と違う点は、貯留槽4に代えて、タンク側接続管5を通して尿素水タンク1からの尿素水Uが流入する第1タンク20と、液面計側接続管6を通して液面計3からの液体Rが流入する第2タンク21とを、空気管22で接続した貯留槽24を用いた点である。
【0042】
具体的には、タンク側接続管5は第1タンク(第1の貯留部)20の底部に接続され、液面計側接続管6は第2タンク(第2の貯留部)21の底部に接続され、空気管22は、第1タンク20の天部と第2タンク21の天部とに接続される。第1タンク20と第2タンク21は、水平方向に互いに離間した位置に配置されている。タンク20,21の形状は特に限定されず、円筒状のタンクであっても直方体状のタンクであってもよい。このような構成により、空気管22内を含む第1タンク20の尿素水Uの上面と第2タンク21の液体Rの上面との間には、空気層Aが形成される。
【0043】
このような実施形態にあっても、尿素水Uと液体Rとが、貯留槽24内において間に介在する空気層Aにより混ざらない状態で、尿素水タンク1内の尿素水Uの圧力が、空気層Aを介して液体Rの圧力に変換され、当該液体Rが液面計3へ導かれるため、液面計3の接液部には液体Rが接することになり、その結果、先の実施形態と同様に、従来の液面計3を使用しつつ、尿素水タンク1内に貯留された尿素水Uの液面を、接液部を腐食させることなく検知できる。
【0044】
ところで、NOx3次規制の対策として、上記尿素SCRとは別に、EGR(Exhaust Gas Recirculation)が知られている。このEGRとは、主機シリンダ内から排出された燃焼ガスの一部を再度燃焼空気に混合させ、再度シリンダ内で燃焼させてNOxを低減させるものである。ここで、燃焼ガス中に含まれる硫酸をそのまま再度シリンダ内へ導くと、シリンダ内が腐食環境に曝される虞があるため、硫酸を中和させる目的で苛性ソーダ(NaOH)を供給する。この苛性ソーダは、機関室の苛性ソーダ専用のタンクに貯留されるが、苛性ソーダも、尿素水Uと同様に、鉄、銅、アルミ等に対して腐食性を有しているため、本実施形態のタンク液面検知装置を採用するのが好ましい。すなわち、上記貯留槽4,24を用い、貯留槽4,24内において、苛性ソーダと、例えばエチレングリコールや水等の液体Rとの間に空気層Aを介在させて苛性ソーダと液体Rとが混ざることなく、液体Rを液面計3へ導いて接液部には液体Rが接するようにし、従来の液面計3を使用しつつ、接液部を腐食させずに、タンク内に貯留された苛性ソーダの液面を検知できる。
【0045】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。連通部は、第1の貯留部と第2の貯留部との間で空気が通過するものであれば、どのような構成であってもよい。例えば、上記実施形態においては、仕切板9が貯留槽4の天部12に達しないとしているが、仕切板が天部12に達するように構成し、仕切板の上部に例えば貫通孔等の空気連通部を設けるようにしても良い。このような構成によれば、第1の貯留部と第2の貯留部とが連通する部分の面積を小さくすることで、一方の貯留部の液体が他方の貯留部へ越流してしまう可能性を低減できる。特に、船舶100の揺れが大きくなる場合は、当該構成が有効である。その一方、空気は連通部が小さい場合であっても、問題無く圧力を伝達することができるため、空気層Aの圧力伝達性能には影響がない。このとき、仕切板に形成する連通部としての貫通孔の形状や個数は特に限定されない。例えば複数の孔を並列させてもよく、網目のような貫通孔を設けてもよい。
【0046】
一方の貯留部の液体が他方の貯留部へ越流してしまうことを抑制する構成として、あらゆる構成を採用してよい。例えば、
図4の仕切板9に対し、仕切板9の上端と水平方向にずれる位置において、天部12から下方へ向かって延びる邪魔板を設けてもよい。この場合、貯留部内の液体が波打ったとしても、液体が邪魔板と接触することで、連通部から越流することを抑制できる。また、連通部は必ずしも仕切板を貫通した部分で構成されていなくともよく、気体の通過のみを許容し、液体の通過を許容しないフィルムで、連通部を覆ってもよい。
【0047】
貯留槽4の形状は特に限定されず、円筒状の貯留槽を採用してもよい。また、上述の実施形態では仕切板を用いて、水平方向に並列に並ぶように第1の貯留部と第2の貯留部を分けていた。これに代えて、円筒状の貯留槽の中に円筒状の壁部を設け、壁部で囲まれる内周側の空間を一方の貯留部とし、壁部の外周側の空間を他方の貯留部としてもよい。この場合、円筒状の壁部の上端側に連通部を設ける。このように、タンク液面検出装置は、二つの貯留部を設ける事ができる限り、どのような位置関係で設けられていてもよい。
【0048】
なお、上述の実施形態では、圧力伝達部は空気層Aによって構成されていたが、両液体間で圧力を伝達できる構成であれば、特に限定されない。例えば、第1の貯留部側の液面を覆う部材と、第2の貯留部側の液面を覆う部材とを配置し、各部材を互いに連結する連結部材で接続することで、圧力を伝達してもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、タンクに貯留される液体を尿素水Uや苛性ソーダとしているが、要は、液面計3の接液部に対して腐食性を有するものであれば良い。また、液面計もガラス式液面計に限定されるものではなく、接液部が、タンク内の液体に対して腐食する材料を含んでいれば良い。
【0050】
[形態1]
タンクに接続され前記タンク内の液体の液面を検知するための液面計を備え、前記タンク内の前記液体を前記液面計の接液部に対して腐食性を有する液体としたタンク液面検知装置であって、
前記タンクと前記液面計との間に接続された貯留槽を備え、
前記貯留槽内に、前記液体と、前記接液部に対して腐食性を有しない置換液と、前記液体と前記置換液との間に介在する空気層と、を収容し、
前記タンク内の前記液体の圧力を、前記貯留槽において前記空気層を介して前記置換液の圧力に変換し、当該置換液を前記液面計へ導くことを特徴とするタンク液面検知装置。
[形態2]
前記貯留槽内には、その底部から上方へ延び、前記タンクからの前記液体と前記液面計からの前記置換液とを隔てる仕切板が設けられ、
前記空気層は、前記貯留槽内の上部で、前記仕切板により隔てられている前記液体の上面と前記置換液の上面との間に介在していることを特徴とする形態1記載のタンク液面検知装置。
[形態3]
前記液体は、尿素水であることを特徴とする形態1又は2記載のタンク液面検知装置。
[形態4]
前記置換液は、エチレングリコールであることを特徴とする形態1〜3の何れか一に記載のタンク液面検知装置。