(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906475
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】スライド式蓋構造
(51)【国際特許分類】
B65D 43/20 20060101AFI20210708BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20210708BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
B65D43/20 100
E06B9/02 H
E06B9/02 K
E06B9/02 F
B60R7/04 C
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-94901(P2018-94901)
(22)【出願日】2018年5月16日
(65)【公開番号】特開2019-199281(P2019-199281A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2020年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】井爪 友治
【審査官】
一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−250570(JP,A)
【文献】
特開平8−192685(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/043579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/20
E06B 9/02
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動方向に湾曲変位可能なシート基材、及び前記シート基材の下面側でシート基材の摺動方向に間隔を保って配される複数のリブ材を備え、前記リブ材の両端部を装置本体の開口両側に設けられて一部に湾曲溝部を有するガイド溝に嵌合して該ガイド溝に沿って摺動されて前記開口を開閉するスライド式蓋構造において、
前記シート基材は下面両側に位置して長手方向に所定間隔を保って設けられた多数の被軸支部を有し、
前記リブ材は前記両側の被軸支部の内側に配置されて前記シート基材下面に接離可能なリブアッパ、及び前記被軸支部に嵌合する軸支部、並びに前記ガイド溝に嵌合される突部を有し、前記シート基材に対し前記軸支部を中心として回転ないしは揺動可能に支持されていることを特徴とするスライド式蓋構造。
【請求項2】
前記ガイド溝は、前記湾曲溝部の溝幅が前記装置本体の開口領域に設けられたほぼ真っ直ぐな直線溝部の溝幅より幅広に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスライド式蓋構造。
【請求項3】
前記リブアッパは、前記シート基材が前記開口を塞いだ蓋の閉状態で前記シート基材に上向き荷重を付与可能、かつ、前記開口を開放した蓋の開状態で前記荷重を解除可能となることを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド式蓋構造。
【請求項4】
前記リブアッパは、上凸の緩い弓形状に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスライド式蓋構造。
【請求項5】
前記リブ材は、前記軸支部より相対的に下側に突出されて前記突部を前記ガイド溝に嵌合した状態で該ガイド溝を区画している区画壁に摺動自在に当接して幅方向の位置を規制するリブロアを有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のスライド式蓋構造。
【請求項6】
前記リブアッパ及び前記リブロアは、前記リブ材の前記軸支部を中心とした回転ないしは揺動方向に対応してそれぞれ突設されていることを特徴とする請求項5に記載のスライド式蓋構造。
【請求項7】
前記リブ材同士を繋いで連動して摺動可能にするレールガイドを有していることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のスライド式蓋構造。
【請求項8】
前記レールガイドは、前記突部の外周に装着される多数の被覆部、及び前記被覆部同士を繋いでいる連結部を一体に形成している特徴とする請求項7に記載のスライド式蓋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動方向に湾曲変位可能なシート基材、及びシート基材の下面側でシート基材の摺動方向に間隔を保って配される複数のリブ材を備え、装置本体側の一部に湾曲溝部を有したガイド溝に沿って摺動することにより装置本体の開口を開閉するスライド式蓋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図12(a),(b)は特許文献1に開示のものである。この蓋構造では、装置本体11の開口12が本発明のシート基材に対応する主シャッタ16と、可撓性の副シャッタ22とにより開閉される。このため、本体11には、主直線溝部33及び主湾曲溝部34からなる主ガイド溝部32と、副直線溝部37及び副湾曲溝部38からなる副ガイド溝36とが設けられている。主直線溝部33と副直線溝部37の間隔は狭く、副湾曲溝部34と副湾曲溝部38の間隔は広く設定されている。また、主シャッタ16は、複数のリブ材(シャッタ構成部材)17を布テープ21に屈曲可能に連結した構成である。副シャッタ22は、軟質部23、その外側の表皮24、内側のシート25からなる。そして、以上の蓋構造では、開口12を主シャッタ16及び副シャッタ22で閉じた状態で、主シャッタ(以下、シート基材という)16が副シャッタ(以下、外観シートという)22を押し上げている。
【0003】
図13(a),(b)は特許文献2に開示のものである。この蓋10は、摺動方向に湾曲変位可能な緩衝シート14と、緩衝シート14に貼着された装飾フィルム16と、緩衝シート14に成形時に一体化されて摺動方向に間隔を保って配されている複数のロッド12とで構成されている。そして、蓋10は、不図示のボックスに設けられて一部に湾曲溝部を有するガイド溝にロッド12の左右端側を嵌合した状態で摺動されて、ボックスの開口を開閉する。以上の蓋構造は、湾曲溝部に馴染むようロッド12と装飾フィルム16との間に緩衝シート14を介在して局部的な折り曲がりを防ぐようにして、外観低下要因である局部荷重に起因した割れ白化等の損傷を生じ難くしたものである。なお、本発明との関係では、ロッド12がリブ材に対応し、緩衝シート14がシート基材に対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−204256号公報
【特許文献2】特開平9−193952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の蓋構造では、外観シートとシート基材が別体のため長期使用していると、蓋の閉状態で外観シートとシート基材の間に隙間ができ、外観シートを触るとぶかつく虞がある。また、蓋構造としては、2本の独立したガイド溝に外観シートとシート基材を摺動させるため、ガイド溝形成用のスペースや形状に制約があり設計自由度に欠け、また、前記したぶかつき等に対する調整が難しい。
【0006】
上記特許文献2の蓋構造では、装飾フィルムに施された模様が長期使用により次第に歪んで見栄えが悪くなることがある。主な原因は、ガイド溝の湾曲溝部で局部的な荷重を極力受け難くしたとしても、緩衝シートのうち、リブ材の溶着部ないしは結合部が屈曲し難いので、それを補ってリブ材同士の間がより大きく屈曲するため、例えば屈曲状態で熱クリープ変形すると、凹凸が表面化して変形度合いが目だってしまう。この対策としては、緩衝シートの厚さ寸法、つまり厚く設定すると摺動時の操作力が高くなり、薄く設定するとガイド溝の湾曲溝部で受ける局部荷重等で曲げ線が見えて見栄えを損なう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、例えば、外観特性を良好に維持したり、シート基材を薄くしてもべこつきの虞を解消可能にしたり、更に、ガイド溝の設計自由度が高いスライド式蓋構造を提供することにある。他の目的は、以下の内容説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、
図1から
図9の形態の例で特定すると、摺動方向に湾曲変位可能なシート基材2、及び前記シート基材の下面側でシート基材の摺動方向に間隔を保って配される複数のリブ材3を備え、前記リブ材の両端部を装置本体の開口両側に設けられて一部に湾曲溝部17を有するガイド溝15に嵌合して該ガイド溝に沿って摺動されて前記開口を開閉するスライド式蓋構造において、前記シート基材2は下面両側に位置して長手方向に所定間隔を保って突設された多数の被軸支部26を有し、前記リブ材3は前記両側の被軸支部の内側に配置されて前記シート基材下面に接離可能なリブアッパ30、及び前記被軸支部に嵌合する軸支部34、並びに前記ガイド溝15に嵌合される突部36を有し、シート基材2に対し軸支部34を中心として回転ないしは揺動可能に支持されていることを特徴としている。
【0009】
以上の本発明は、以下のように更に具体化されることがより好ましい。すなわち、
(1)、前記ガイド溝15は、前記湾曲溝部17の溝幅が前記装置本体の開口領域に設けられたほぼ真っ直ぐな直線溝部16の溝幅より幅広に形成されている構成である(請求項2)。
(2)、前記リブアッパ30は、前記シート基材2が前記開口を塞いだ蓋の閉状態で前記シート基材に上向き荷重を付与可能、かつ、前記開口を開放した蓋の開状態で前記荷重を解除可能となる構成である(請求項3)。
(3)、前記リブアッパ30は、上凸の緩い弓形状に形成されている構成である(請求項4)。
【0010】
(4)、前記リブ材3は、前記軸支部34より相対的に下側に突出されて前記突部36を前記ガイド溝15に嵌合した状態で該ガイド溝を区画している区画壁18に摺動自在に当接して幅方向の位置を規制するリブロア35を有している構成である(請求項5)。
(5)、前記リブアッパ30及び前記リブロア35は、前記リブ材3の前記軸支部34を中心とした回転ないしは揺動方向に対応してそれぞれ突設されている構成である(請求項6)。
【0011】
(6)、前記リブ材3同士を繋いで連動して摺動可能にするレールガイド5を有している構成である(請求項7)。
(7)、前記レールガイド5は、前記突部36の外周に装着される多数の被覆部50、及び前記被覆部同士を繋いでいる連結部54を一体に形成している構成である(請求項8)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、形態例に示されるごとくシート基材に対しリブ材が被軸支部に嵌合している軸支部を中心として回転ないしは揺動可能に支持されることで、シート基材にリブ材を一体成形したり固定する構成に比べ、ガイド溝の湾曲溝部に沿って摺動される過程でシート基材の全体が均一に屈曲可能となる。それにより、シート基材は、リブ材を介して繰り返し開閉摺動した後も折れ線やしわ発生が抑えられ、外観特性を良好に維持できる。この点は、外観向上に加え、例えばシート基材の表面に加装シート、タッチパネルそれらに類似の板状体を層状に付設するような場合に好適なものとなる。
【0013】
請求項2の発明では、例えば、
図1(b)及び
図5から推察されるごとくシート基材がリブ材を介してガイド溝の溝幅の狭くなっている方向に摺動された閉状態において、各リブ材が出来るだけ水平を保とうとし、その結果、起立態様となり、シート基材に接してシート基材を押し上げるよう安定支持する。このため、上記したシート基材のぶかつきの虞を解消できる。また、
図2(a)及び
図5のごとくシート基材がリブ材を介してガイド溝の溝幅の広くなっている方向に摺動された開状態において、各リブ材が倒れる方向に揺動し、その結果、シート基材に加わり易い負荷や折れ線の発生を緩和したり最小限に抑えることが可能となる。このため、外観特性を長期に維持できる。
【0014】
請求項3の発明では、
図9に例示されるごとく各リブ材のリブアッパが上凸の緩い弓形状になっているため、開状態において、シート基材のうち、最も撓み易い左右中間部分に当接して持ち上げるため最適な支持構成となる。
【0015】
請求項4の発明では、リブロアが軸支部付近の剛性を確保し、加えて
図9に例示されるごとく突部をガイド溝に嵌合した状態において、ガイド溝の区画壁に当接して幅方向の位置を規制するため安定した動きを保つ。
【0016】
請求項5の発明では、リブアッパ及びリブロアがリブ材の軸支部を中心とした回転ないしは揺動方向に対応してそれぞれ突設されているため、上記したリブアッパの揺動によるシート基材に対する接離ないしは支持作用と、リブロアの位置規制作用とを最適な態様で得られる。
【0017】
請求項6の発明では、前記リブ材同士がレールガイドにより連動して摺動されるため、良好な摺動特性が維持される。
【0018】
請求項7の発明では、レールガイドとして、特に、ガイド溝に対する突部の嵌合が被覆部を介してより滑らかとなり、摺動抵抗及びがたつきを低減して摺動特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のスライド式蓋構造を適用した装置本体を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線に沿った概略断面図である。
【
図2】(a)は
図1(b)の蓋の閉状態から蓋を開放した開状態で示す断面図、(b)は上記装置本体を蓋なしの態様で示す断面図、(c)はガイド溝を形成している側板を示している。
【
図3】上記蓋単品を示し、(a)は蓋の上面図、(b)は蓋の下面図、(c)は蓋の側面図である。
【
図4】(a)は蓋の左端面図、(b)は蓋の右端面図、
図3(c)のB部拡大図である。
【
図5】上記蓋の摺動に伴うリブ材の揺動原理を示し、(a)〜(c)は突部がガイド溝のうち(a)のごとく溝幅の狭い箇所から(c)のごとく溝幅の広い箇所に配される各態様での揺動及びリブアッパのシート基材に対する接離状態を示す模式図である。
【
図6】シート基材単品を示し、(a)は下面図、(b)は側面図、(c)は(a)のC−C線に沿った断面図である。
【
図7】上記リブ材単品を示し、(a)は起立状態で示す斜視図、(b)は(a)から時計回りの方向へ回転した転倒状態で示す斜視図である。
【
図8】レールガイド単品を示し、(a)は部分斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【
図9】(a)はシート基材とリブ材の関係を示す模式図、(b)はリブ材及びレールガイドとガイド溝の関係を示す模式図である。
【
図10】(a)は変形例1を
図6(b)に対応した状態で示す図である。
【
図11】(b)及び(c)は変形例2を
図7(b)に対応した状態と
図9(b)に対応した状態で示す図である。
【
図12】特許文献1に開示されている蓋の要部を示す図である。
【
図13】特許文献2に開示されている蓋(シャッタ)要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を添付図面を参照して説明する。
図1から
図9は本発明の形態を示し、
図10及び
図11は2つの変形例を示している。以下の説明では、発明形態のスライド式蓋構造を明らかにした後、作動特徴及び変形例1と2について詳述する。
【0021】
(蓋構造)
図1及び
図2は本発明を適用したコンソールボックス等の装置本体1の全体を示している。この装置本体1は、アウタケース10、アンダトレイ11、両側の側板12、センタケース13、ロアトレイ14、スライド式蓋4からなり、第1収容部9A及び第2収容部9Bの上側開口8をスライド式蓋4により開閉する構成である。
【0022】
ここで、両側の側板12には、
図2(c)から推察されるごとくガイド溝15が対向面に対向した状態に設けられている。両ガイド溝15は、区画壁18等により区画された断面略凹状であり、開口8の上縁部に沿ってほぼ直線状に延びている直線溝部16と、直線溝部16の片側より下向きに略渦巻き状ないしは略円弧状に形成された湾曲溝部17とを有している。直線溝部16の溝幅W1は湾曲溝部17の上側溝部分の溝幅W2より小さく形成されると共に、湾曲溝部17の上側溝部分の溝幅W2は湾曲溝部17の下側溝部分の溝幅W3より小さく形成されている。つまり、ガイド溝15の溝幅は、W1<W2<W3の関係であり、長手方向に連続して滑らかに変化している。
【0023】
スライド式蓋4は、摺動方向に湾曲変位可能なシート基材2と、シート基材2の下面に位置してシート基材2の摺動方向に間隔を保って配される複数のリブ材3とを備え、リブ材3の両端に設けられた突部36をガイド溝15にレールガイド5を介して嵌合した状態に装置本体1に組み込まれ、ガイド溝15に沿って摺動されて開口8を開閉するタイプである。
【0024】
主な工夫点としては、上述したごとくガイド溝15が湾曲溝部17の溝幅W2,W3を装置本体1の開口8領域に設けられたほぼ真っ直ぐな直線溝部16の溝幅W1より幅広に形成されている点、シート基材2が下面両側に位置して長手方向に所定間隔を保って突設された多数の脚部25及び脚部25に設けられた被軸支部26を有している点、リブ材3が両側の被軸支部26の内側に配置されてシート基材2下面に接離可能なリブアッパ30、及び両被軸支部26に回転ないしは揺動可能に嵌合する左右の軸支部34、並びにガイド溝15に嵌合される突部36を有している点、各リブ材3同士を繋いで連動して摺動可能にするガイドレール5を有している点、リブアッパ30が開口8を塞いだ蓋4の閉状態でシート基材2に接して上向き荷重を付与可能、かつ、開口8を開放した蓋4の開状態でシート基材2から離れて前記荷重を解除可能となる点などである。次に、これらの具体的構成及び細部の工夫点について詳述する。
【0025】
シート基材2は、
図6に示されるごとく2色成形法により作成されて、薄板20が一次成形で形成されたABS(アクリロニトリル・プタジェン・スチレン重合体)等の硬質樹脂部であり、薄板2の裏面にあって両側の縁取り部21,21及び各縁取り部21にあって長手方向に所定間隔を保って突出された多数の脚部25と、前後の縁取り部23,23及び前側(
図6の左側)の縁取り部23に突出された前端面壁22が二次成形されたポリエステル系エラストマー又はポリプロピレン系エラストマー等の軟質樹脂部により形成されている。
【0026】
薄板20は、
図6のごとく開口8に対応した大きさの矩形状ないしは長方形である。薄板20の前側(同図の左側)には、把手6を配置する箇所に2つの取付孔24が前側の縁取り部23を貫通形成されている。把手6は、
図3のごとく樹脂製の概略細長い筒状ないしは棒形状であり、薄板20の上面に配置された状態で下面側から取付孔24に挿通されるネジ7により固定されている。前端面壁22は、両側の前側脚部25の対応部に一体化した状態に設けられて、薄板前端の外観処理、及び蓋4の閉状態で下面側を目視不能にする。
【0027】
脚部25は、薄板下面のうち、両側の縁取り部21,21にあって、前端面から後端面の少し手前までの間に所定間隔を保って多数設けられている。各脚部25は、
図6(c)のごとく比較的薄い略舌状をなし、縁取り部21上に薄肉ヒンジ部25cを介して揺動自在に突出されている。脚部同士の間の寸法は、シート基材2をU形に屈曲した状態においても隣接する脚部同士が互いにぶつからない間隔に設定される。各脚部25には、比較的深い凹部26が外面に設けられ、又、浅い凹部27が内面に設けられている。凹部26と脚部先端の間には浅いガイド溝26aが設けられ、凹部27と脚部先端の間には浅いガイド溝27aが設けられている。凹部26,27は本発明の被軸支部に対応する。形状は凹部26,27を貫通した孔形状でもよい。
【0028】
リブ材3は、耐摩耗性や耐疲労性等に優れたPA6(ポリアミド6、又は、ナイロン6)などの熱可塑性樹脂で形成されて、全体形状が概略コ形状となっている。そして、リブ材3は、
図7及び
図9に示されるごとくコ形の中間が弓形状のリブアッパ30に形成され、コ形の両端が略L形のアーム31に形成されている。リブアッパ30は、弓形の最も張り出した左右の中間部分がシート基材2の下面に接離する。
【0029】
アーム31は、L形垂直壁及び水平壁に連結された状態に設けられたリブロア35と、L形垂直壁とリブロア35の上側対応部との間に設けられた脚部25を挿入可能な受入溝33と、受入溝33の内面に対向して突設されて上記凹部26,27と嵌合する支軸部である軸部34と、リブロア35の上外面に突出された突部36とを一体に有している。ここで、リブロア35は、軸部34付近の剛性を確保すると共に、
図9に例示されるごとく突部36をガイド溝15に嵌合した状態において、ガイド溝15の区画壁18に当接して幅方向の位置を規制する。要はリブ材3の安定した動きを保つ。
【0030】
突部36は、ガイド溝15に余裕を持って嵌合される軸状をなし、両側に設けられた凹部36aと、リブロア35の外側面に連結した状態で隙間を保って設けられたレールガイド用の抑え部37と、リブロア35の下面に設けられた係止穴38と、受入溝33側の外周に突設され互いに隙間を保っている規制凸部39,39とを有している。
【0031】
以上のリブ材3は、シート基材2の脚部25の数だけ用意され、
図9に示されるごとく両側の脚部25に対し対応する受入溝33を対応させ、例えば互いに接近するよう近づけると、凹部26,27と軸部34,34とが回転可能に嵌合して組付けられる。この組付け状態では、リブ材3の起立状態において、リブアッパ30の左右中間部分がシート基材2の下面幅中間部分に当接し、薄板20が下から上向きに支持つまり上向きに荷重を付与可能となる。また、リブ材3は、軸部34を中心とする回転ないしは揺動されると、リブアッパ30が薄板20から離れて前記荷重を解除可能となる。
【0032】
レールガイド5は、リブ材3同士を連結して連動して摺動可能にするもので、ゴム等のごとく弾力に富むTPE(熱可塑性エラストマ)で形成されて、
図8に示されるごとく多数の被覆部50及びそれら隣接する被覆部50同士を連結している多数の連結部54からなる。被覆部50は、リブ材3の使用数と同じ数だけ設けられている。各被覆部50は、突部36を筒内に挿入する筒状をなし、筒内に設けられて突部の凹部36aと係合する凸部52、及び係止穴38に係合する爪53を有している。連結部54は、被覆部50の上背面側に面一に突出された首部55、及び隣接する被覆部50の首部55同士を繋ぐ接続部56からなる。
【0033】
以上のレールガイド5は、シート基材2に組付けられた両側の各リブ材3に対し被覆部50を対応する突部36に被せると、凹部36aと凸部52の係合、爪53と係止穴38との係合、突部36と抑え部37との間の挟持により確実に装着される。また、この装着状態において、レールガイド5は、首部55が規制凸部39同士の間に嵌合されて位置規制される。そして、接続部56は、隣接するリブ材3の突部36と突部36、つまり隣接する規制凸部39同士の間に配置されることになる。
【0034】
(作動)以上のスライド式蓋4は、装置本体のガイド溝15に対し各突部36が被覆部50を介して嵌合した状態に組付けられ、例えば、装置本体の開口8を塞いだ
図1の閉状態から、把手6を利用して
図2(a)の開方向つまりガイド溝の直線溝部16から湾曲溝部17の方向へ摺動される。
図5はそのようにして蓋4が閉状態から開方向へ摺動されたり、開状態から閉方向に摺動される過程で、リブ材3とシート基材2との関係、すなわち蓋4の摺動に伴うリブ材3の揺動原理及びその利点を模式的に示している。
【0035】
(ア)、
図5(a)は蓋4ないしはシート基材2のうち、3つのリブ材3が直線溝部16に嵌合している箇所を示している。なお、直線溝部16の溝幅W1は、湾曲溝部17の溝幅W2,W3よりも狭くなっている。この状態において、各リブ材3は、各突部36が相対的に溝幅Wの狭い直線溝部16に対し被覆部50を介して嵌合しているため、同図のごとく起立態様を維持し、
図9(b)のごとくリブアッパ30の左右中間部分をシート基材の薄板20の下面に接している。そのため、この部分ではリブアッパ30がシート基2を下から上向きに押し上げるよう安定支持する。よって、この蓋構造では、従来問題であった上記したシート基材のぶかつきの虞を解消できる。リブ材3の起立態様では、隣接している脚部25同士の間隔S1が
図6(b)のごとくシート基材2を成形したときとほぼ同じ寸法となっている。
【0036】
(イ)、
図5(b)は蓋4ないしはシート基材2のうち、3つのリブ材3が湾曲溝部17の上側溝部分に嵌合している箇所を示している。なお、この上側溝部分の溝幅W2は、直線溝部16の溝幅W1よりも広くなっている。また、この状態では、シート基材2が湾曲溝部17の上側溝部分に対応して湾曲変位され、その結果、隣接している脚部25同士の間隔が上側が広く、下側が狭くなっている。間隙S2はその最小寸法であり、S2<S1となっている。この状態において、各リブ材3は、各突部36が直線溝部16の溝幅W1よりも広い溝幅W2の方向に摺動される過程で、倒れる方向に揺動し、その結果、シート基材2に加わり易い負荷や折れ線の発生を緩和したり最小限に抑えることが可能となる。
【0037】
(ウ)、
図5(c)は蓋4ないしはシート基材2のうち、3つのリブ材3が湾曲溝部17の下側溝部分に嵌合している箇所を示している。なお、この下側溝部分の溝幅W3は、(b)の上側溝部分の溝幅W2よりも広くなっている。また、この状態では、シート基材2が湾曲溝部17の下側溝部分に対応して湾曲変位され、その結果、隣接している脚部25同士の間隔が上側が(b)よりも広く、下側が(b)よりも更に狭くなっている。間隙S3はその最小寸法であり、S3<S2となっている。この状態において、各リブ材3は、各突部36が前記した溝幅W2よりも広い溝幅W3の方向に摺動される過程で、より大きく倒れる方向に揺動し、その結果、シート基材2に加わり易い負荷や折れ線の発生をより確実に抑えることが可能となる。よって、この蓋構造では外観特性を長期に維持できる。
【0038】
(エ)、換言すると、以上の蓋構造では、蓋2が閉状態から開方向へ摺動される過程において、各リブ材3が起立態様から次第に倒れる方向に回転ないしは揺動する。換言すると、このシート基材2では、湾曲溝部17を摺動して湾曲溝部の曲率に対応して大きく湾曲変位しても、ガイド溝15の溝幅設定により、各リブ材3がシート基材2から離れる方向(倒れる方向)へ回転ないしは揺動するため、湾曲溝部17付近のシート基材2に与える負荷等の悪影響を最小限にとどめることができる。一方、蓋2が開状態から閉方向へ摺動される過程では、各リブ材3が倒れた態様から次第に起立方向に回転ないしは揺動し、最終的には
図5(a)のごとく起立態様となる。蓋閉状態では、各リブ材3が直線溝部15の溝幅W1が狭くなっているためできるだけ水平を保とうとし、かつ各リブ材3のリブアッパ30が上凸の緩い弓形状になっているためシート基材2のうち、最も撓み易い左右中間部分に当接して持ち上げる。その結果、長期使用しても上述したようなべこつきの発生や凹凸の外観不良などが最小限にとどまる。
【0039】
(変形例1)
図10の変形例1はシート基材を
図6(b)に対応させて示している。この変形例1では、シート基材2の湾曲変位時に加わる負荷が脚部25をより弾性変位容易にすることで減少させるため、脚部25の薄肉ヒンジ部25cに変位増大用の孔部28を追加した一例である。つまり、シート基材2は、湾曲溝部17を摺動する過程で湾曲変位するが、その際、脚部25の抵抗を受けて湾曲変位する。脚部25の抵抗が大きいと、局部的な負荷によりシート基材表面に凹凸を生じ易くなる。この変形例では、脚部25が薄肉ヒンジ部25cに加え、孔部28の存在によってもシート基材2がよりスムースに湾曲変位されるようにしたものである。
【0040】
(変形例2)11図(a),(b)の変形例2はリブ材を
図7(b)と
図9(b)に対応させて示している。この変形例2では、リブ材3がガイド溝15を摺動するときにより安定に摺動可能するため、ガイド部35aを追加した一例である。つまり、リブ材3は、ガイド溝15に対し突部36がレールガイドの被覆部50を介して嵌合されその状態で摺動されるが、その際、上記したリブロア35が突部36をガイド溝15にレールガイドの被覆部50を介し嵌合した状態で、区画壁18の外面ないしは突出端面に当接して幅方向の位置を規制する。この変形例では、更に、同(b)に示されるごとくリブロア35が外側端面に設けられた凸部35aを有し、該凸部35aが区画壁18の立ち上がり面に当接して上下方向の位置を規制するようにしたものである。
【0041】
なお、本発明のスライド式蓋構造は、請求項で特定される構成を備えておればよく、細部は形態及び変形例1,2を参考にして種々変形したり展開可能なものである。例えば、装置本体1としてはボックスを想定したが、計器類や精密機器類のハウジング、容器類保持用ホルダなどであってもよい。シート基材2は、単一構成の例を挙げたいが、それに限られず展開例として上面に装飾フィルムやタッチパネル等を層状に一体化するようしてもよい。また、シート基材の大きさや、リブ材の使用個数などは用途や素材構成等により適宜設定される。また、把手6の構成も任意であり、更に蓋を手動操作する構成であるが、電動式に開閉する構成でも差し支えない。
【0042】
加えて、シート基材2の成形方法は、薄板20と縁取り部21,23及び前端面壁22並びに脚部25とを2色成形法により一体形成したが、薄板20と薄板以外の部分を単独で形成した後、溶着や接着等の接合手段で一体化する構成でもよい。また、被軸支部26及び軸支部34は、被軸支部を凹部にし、軸支部34を軸部にしたが、互いに嵌合される形状であればよく、例えば、被軸支部を軸部にし、軸支部の方をそれに嵌合する穴又は凹部に変更してもよい。レールガイドは、蓋ないしはシート基材の良好な摺動を確実に得る上で重要となるが、省略して各突部36をガイド溝15に直に嵌合することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・・・装置本体(12は側板)
2・・・・・シート基材(20は薄板)
3・・・・・リブ材
4・・・・・スライド式蓋
5・・・・・レールガイド(50は被覆部、54は連結部)
6・・・・・把手
7・・・・・把手用固定部材
8・・・・・開口
9A・・・・第1収容部
9B・・・・第2収容部
15・・・・ガイド溝(16は直線溝部、17は湾曲溝部)
18・・・・ガイド溝用区画壁
21・・・・板体内面の両側縁取り部
22・・・・板体内面の前立壁部
23・・・・板体内面の前後縁取り部
25・・・・脚部(25cは薄肉ヒンジ部)
25b・・・変位拡大用孔部
26・・・・凹部(被軸支部)
27・・・・凹部(被軸支部)
28・・・・変位増大用孔部
30・・・・リブアッパ
34・・・・軸部(支軸部)
35・・・・リブロア(35aはガイド部)
36・・・・突部(38は係止穴)
50・・・・被覆部(52は凸部、53は係止用爪)
54・・・・連結部(55は首部、56は接続部)