特許第6906487号(P6906487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6906487乗合車両用需要予測装置、乗合車両用需要予測方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906487
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】乗合車両用需要予測装置、乗合車両用需要予測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20210708BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   G06Q50/30
   G08G1/123 A
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-157045(P2018-157045)
(22)【出願日】2018年8月24日
(65)【公開番号】特開2020-30726(P2020-30726A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入本 勇宇次
(72)【発明者】
【氏名】上田 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】板倉 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀将
(72)【発明者】
【氏名】樫本 晋一
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6341352(JP,B1)
【文献】 特開2014−130552(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0114236(US,A1)
【文献】 特開2018−18533(JP,A)
【文献】 特開2018−84855(JP,A)
【文献】 特開2003−288687(JP,A)
【文献】 特開2003−308596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G16H 10/00−80/00
G01C 21/26
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドユーザによる予約を反映して設定された運行スケジュールに沿って運行されるとともに所定の複数のエリアにおいて運行される乗合車両の需要予測を行うための乗合車両用需要予測装置であって、
前記乗合車両の予約が成立した際の予約状況を示す予約データと、前記乗合車両の運行当日にエンドユーザが実際に乗降したエリアを示す移動データと、前記乗合車両の運行当日におけるエンドユーザの乗降の発生要因になり得るデータを含む乗降要因データと、を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリアにおける前記乗合車両の乗降予約として将来成立し得る予約回数に相当する予約予測回数を所定の期間毎に取得するように構成された予約予測回数取得部と、
前記乗合車両の移動距離に係るデータと、前記所定の複数のエリアに存在する乗降地点の種類に係るデータと、前記乗合車両を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータと、のうちの少なくとも1つを用いて算出した特徴量を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリア各々における将来の降車の発生確率に相当する降車尤度を前記所定の期間毎に取得するように構成された降車尤度取得部と、を有する
ことを特徴とする乗合車両用需要予測装置。
【請求項2】
前記予約予測回数取得部は、前記所定の複数のエリア各々における前記予約予測回数の多寡を表すヒートマップを描画させるためのデータを取得するとともに、当該取得したデータを情報提示装置へ前記所定の期間毎に送信させるための動作を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の乗合車両用需要予測装置。
【請求項3】
前記乗降要因データには、前記所定の複数のエリアにおける天候を示すデータと、前記所定の複数のエリアにおける気温を示すデータと、前記乗合車両の運行当日の日付を示すデータと、が含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の乗合車両用需要予測装置。
【請求項4】
前記降車尤度取得部は、前記所定の複数のエリアのうちの少なくとも1つの乗車エリアから前記降車尤度が所定値以上となる降車エリアへの移動を表す記号を描画させるためのデータを取得するとともに、当該取得したデータを情報提示装置へ前記所定の期間毎に送信させるための動作を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の乗合車両用需要予測装置。
【請求項5】
エンドユーザによる予約を反映して設定された運行スケジュールに沿って運行されるとともに所定の複数のエリアにおいて運行される乗合車両の需要予測を行うための乗合車両用需要予測方法であって、
予測回数取得部が、前記乗合車両の予約が成立した際の予約状況を示す予約データと、前記乗合車両の運行当日にエンドユーザが実際に乗降したエリアを示す移動データと、前記乗合車両の運行当日におけるエンドユーザの乗降の発生要因になり得るデータを含む乗降要因データと、を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリアにおける前記乗合車両の乗降予約として将来成立し得る予約回数に相当する予約予測回数を所定の期間毎に取得し、
降車尤度取得部が、前記乗合車両の移動距離に係るデータと、前記所定の複数のエリアに存在する乗降地点の種類に係るデータと、前記乗合車両を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータと、のうちの少なくとも1つを用いて算出した特徴量を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリア各々における将来の降車の発生確率に相当する降車尤度を前記所定の期間毎に取得する
ことを特徴とする乗合車両用需要予測方法。
【請求項6】
エンドユーザによる予約を反映して設定された運行スケジュールに沿って運行されるとともに所定の複数のエリアにおいて運行される乗合車両の需要予測を行うコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記乗合車両の予約が成立した際の予約状況を示す予約データと、前記乗合車両の運行当日にエンドユーザが実際に乗降したエリアを示す移動データと、前記乗合車両の運行当日におけるエンドユーザの乗降の発生要因になり得るデータを含む乗降要因データと、を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリアにおける前記乗合車両の乗降予約として将来成立し得る予約回数に相当する予約予測回数を所定の期間毎に取得するための処理と、
前記乗合車両の移動距離に係るデータと、前記所定の複数のエリアに存在する乗降地点の種類に係るデータと、前記乗合車両を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータと、のうちの少なくとも1つを用いて算出した特徴量を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリア各々における将来の降車の発生確率に相当する降車尤度を前記所定の期間毎に取得するための処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗合車両用需要予測装置、乗合車両用需要予測方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドユーザによる予約を反映して運行スケジュールを設定するとともに、当該運行スケジュールに基づいて乗合車両を配車するデマンド型の交通サービスが近年利用されている。
【0003】
デマンド型の交通サービスにおいては、運行スケジュール設定時の発着時刻に遅延が発生しないように、乗合車両の停車地点及び運行ルートを設定する必要がある。そのため、デマンド型の交通サービスにおいては、予め決められた発着時刻を守りつつ乗合車両を効率的に配車するための需要予測が希求されている。
【0004】
しかし、従来から知られている手法によれば、前述の需要予測を高精度に行うことができない、という問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2011−22646号公報
【特許文献2】日本国特開2011−113141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、予め決められた発着時刻を守りつつ乗合車両を効率的に配車するための高精度な需要予測を行うことが可能な乗合車両用需要予測装置、乗合車両用需要予測方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の乗合車両用需要予測装置は、エンドユーザによる予約を反映して設定された運行スケジュールに沿って運行されるとともに所定の複数のエリアにおいて運行される乗合車両の需要予測を行うための装置であって、予約予測回数取得部と、降車尤度取得部とを有して構成されている。前記予約予測回数取得部は、前記乗合車両の予約が成立した際の予約状況を示す予約データと、前記乗合車両の運行当日にエンドユーザが実際に乗降したエリアを示す移動データと、前記乗合車両の運行当日におけるエンドユーザの乗降の発生要因になり得るデータを含む乗降要因データと、を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリアにおける前記乗合車両の乗降予約として将来成立し得る予約回数に相当する予約予測回数を所定の期間毎に取得するように構成されている。前記降車尤度取得部は、前記乗合車両の移動距離に係るデータと、前記所定の複数のエリアに存在する乗降地点の種類に係るデータと、前記乗合車両を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータと、のうちの少なくとも1つを用いて算出した特徴量を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有するモデルを用い、前記所定の複数のエリア各々における将来の降車の発生確率に相当する降車尤度を前記所定の期間毎に取得するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る需要予測サーバを含む交通サービスシステムの構成の一例を示す図。
図2】予約データに含まれるマトリクスデータの一例を示す図。
図3】累積移動データに含まれるマトリクスデータの一例を示す図。
図4】実施形態に係る需要予測サーバの構成の一例を示す図。
図5】実施形態に係る需要予測サーバの処理に用いられる乗合需要予測プログラムの構成の一例を説明するための図。
図6】乗合需要予測プログラムに含まれる乗降需要数予測モデルの一例を説明するための概念図。
図7】実施形態に係る需要予測サーバにおいて行われる処理の一例を示すフローチャート。
図8】需要予測画面の具体例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0010】
交通サービスシステム1は、図1に示すように、運行スケジュール管理システム11と、Webサーバ12と、乗降要因データ取得装置13と、需要予測サーバ14と、情報提示装置15と、を有して構成されている。図1は、実施形態に係る需要予測サーバを含む交通サービスシステムの構成の一例を示す図である。
【0011】
運行スケジュール管理システム11は、例えば、プロセッサ及びメモリ等を具備して構成されている。また、運行スケジュール管理システム11は、スケジュール処理部111と、運行情報DB(データベース)112と、通信IF(インターフェース)113と、を有して構成されている。
【0012】
スケジュール処理部111は、Webサーバ12を介して受信した予約照会要求に応じ、運行情報DB112に格納されている予約データ112Aを読み込むとともに、当該読み込んだ予約データ112A(後述)を通信IF113からWebサーバ12へ送信させるための動作を行うように構成されている。
【0013】
スケジュール処理部111は、Webサーバ12を介して受信した予約実施要求に応じ、運行情報DB112に格納されている予約データ112Aを参照しつつ、当該予約実施要求に含まれる乗合タクシー21の乗車希望地点及び乗車希望時刻に応じた出発予定時刻と、当該予約実施要求に含まれる乗合タクシー21の降車希望地点及び降車希望時刻に応じた到着予定時刻と、を含む発着予定情報を設定するための処理を行うように構成されている。また、スケジュール処理部111は、前述のように設定した発着予定情報を通信IF113からWebサーバ12へ送信させるための動作を行うように構成されている。
【0014】
スケジュール処理部111は、予約実施要求に対する発着予定情報を送信した後にWebサーバ12を介して受信した予約確認情報に基づき、当該発着予定情報に含まれる出発予定時刻及び到着予定時刻が承認されなかったことを検知した場合に、当該発着予定情報に応じた予約が成立しなかったものと判断し、当該予約実施要求及び発着予定情報を破棄するように構成されている。
【0015】
スケジュール処理部111は、予約実施要求に対する発着予定情報を送信した後にWebサーバ12を介して受信した予約確認情報に基づき、当該発着予定情報に含まれる出発予定時刻及び到着予定時刻が承認されたことを検知した場合に、当該発着予定情報に応じた予約が成立したものと判断し、当該予約実施要求に含まれる乗車希望地点が存在する乗車希望エリアと、当該予約実施要求に含まれる降車希望地点が存在する降車希望エリアと、を乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアの中からそれぞれ特定するための処理を行うように構成されている。また、スケジュール処理部111は、予約成立時の予約実施要求に含まれる乗車希望地点及び降車希望地点と、当該予約実施要求に基づいて特定した乗車希望エリア及び降車希望エリアと、当該予約実施要求に基づいて設定した発着予定情報と、を関連付けた予約管理情報を生成するための処理を行うように構成されている。また、スケジュール処理部111は、前述のように生成した予約管理情報を用いて運行情報DB112に格納されている予約データ112Aを更新するための処理を行うとともに、当該更新した予約データ112Aを通信IF113から需要予測サーバ14へ所定の期間毎に(例えば5分間毎に)送信させるための動作を行うように構成されている。
【0016】
スケジュール処理部111は、予約データ112Aと、需要予測サーバ14から受信した乗合需要予測データ143B(後述)と、運行中の1台以上の乗合タクシー21から受信したGPSデータと、に基づいて運行スケジュールを設定するための処理を行うように構成されている。また、スケジュール処理部111は、前述のように設定した運行スケジュールを通信IF113から乗合タクシー21へ送信させるための動作を行うように構成されている。
【0017】
前述のGPSデータは、例えば、乗合タクシー21に設けられた車載装置211により無線受信されるとともに、車載装置211から運行スケジュール管理システム11へ無線送信される。
【0018】
車載装置211には、例えば、GPS衛星から送信されるGPSデータを受信する機能、当該GPSデータを運行スケジュール管理システム11へ送信する機能、及び、運行スケジュール管理システム11から送信される運行スケジュールを受信する機能を備えた無線通信ユニット(図示省略)が設けられている。また、車載装置211には、例えば、運行スケジュール管理システム11から受信した運行スケジュールを表示する機能を備えた表示ユニット(図示省略)が設けられている。
【0019】
スケジュール処理部111は、乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データと、乗合タクシー21から受信したGPSデータと、に基づき、乗合タクシー21の運行当日において実際に乗客の乗降が発生したエリアを乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアの中から特定するとともに、当該特定したエリアを示す運行管理情報を生成するための処理を行うように構成されている。
【0020】
なお、乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データは、例えば、運行情報DB112に予め格納されたデータであってもよく、または、インターネット上の地図サービスから取得したデータであってもよい。
【0021】
スケジュール処理部111は、前述のように生成した運行管理情報により運行情報DB112に格納されている累積移動データ112B(後述)を更新するための処理を行うとともに、当該更新した累積移動データ112Bを通信IF113から需要予測サーバ14へ所定の期間毎に(例えば5分間毎に)送信させるための動作を行うように構成されている。すなわち、スケジュール処理部111は、予約データ112A及び累積移動データ112Bを通信IF113から需要予測サーバ14へ所定の期間毎に送信させるための動作を行うように構成されている。
【0022】
運行情報DB112には、予約データ112Aと、累積移動データ112Bと、がそれぞれ格納されている。なお、本実施形態においては、運行情報DB112が、運行スケジュール管理システム11の外部のファイルサーバ(クラウド上のものも含む)に設けられていてもよい。
【0023】
予約データ112Aには、スケジュール処理部111により生成された予約管理情報に対応するデータとして、例えば、図2のように表されるマトリクスデータMDAが含まれている。図2は、予約データに含まれるマトリクスデータの一例を示す図である。
【0024】
マトリクスデータMDAは、予約成立時の予約実施要求から特定した乗車希望エリアEDA及び降車希望エリアADAの組合せ毎の出現回数を表すデータとして構成されている。
【0025】
図2のマトリクスデータMDAは、乗車希望エリアEDA及び降車希望エリアADAがエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアである場合のデータとして構成されている。すなわち、図2のマトリクスデータMDAは、乗車希望エリアEDA及び降車希望エリアADAの256通りの組合せ毎の出現回数を表すデータとして構成されている。
【0026】
図2のマトリクスデータMDAにおいては、例えば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアのうち、乗車希望エリアEDA及び降車希望エリアADAがいずれもエリアAR1であるような(エリアAR1内での乗降を希望するような)予約が30回成立したことが表されている。また、図2のマトリクスデータMDAにおいては、例えば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアのうち、乗車希望エリアEDAがAR1でありかつ降車希望エリアADAがエリアAR2であるような(エリアAR1での乗車及びエリアAR2での降車を希望するような)予約が20回成立したことが表されている。
【0027】
なお、図2のマトリクスデータMDAには、例えば、スケジュール処理部111によるデータの更新が最後に行われた時刻を時刻TNとした場合、当該時刻TNから所定の日数だけ遡った時刻TPまでに成立した予約回数が含まれていればよい。
【0028】
累積移動データ112Bには、スケジュール処理部111により生成された運行管理情報に対応するデータとして、例えば、図3のように表されるマトリクスデータMDBが含まれている。図3は、累積移動データに含まれるマトリクスデータの一例を示す図である。
【0029】
マトリクスデータMDBは、乗合タクシー21の運行当日に1人以上のエンドユーザの乗車が実際に発生したエリアに相当する乗車発生エリアERAと、乗合タクシー21の運行当日に1人以上のエンドユーザの降車が実際に発生したエリアに相当する降車発生エリアARAと、の組合せ毎の出現回数を表すデータとして構成されている。なお、マトリクスデータMDBは、乗合タクシー21の運行当日における1日分の乗降実績を表すデータとして構成されている。そのため、本実施形態においては、例えば、24時間経過毎に、乗車発生エリアERA及び降車発生エリアARAの各組合せの出現回数を0にリセットした新たなマトリクスデータMDBが生成される。
【0030】
図3のマトリクスデータMDBは、乗車発生エリアERA及び降車発生エリアARAがエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアである場合のデータとして構成されている。すなわち、図3のマトリクスデータMDBは、乗車発生エリアERA及び降車発生エリアARAの256通りの組合せ毎の出現回数を表すデータとして構成されている。
【0031】
図3のマトリクスデータMDBにおいては、例えば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアのうち、乗車発生エリアERA及び降車発生エリアARAがいずれもエリアAR1であるような(エリアAR1内での乗降が発生するような)乗合タクシー21の移動が3回行われたことが表されている。また、図3のマトリクスデータMDBにおいては、例えば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアのうち、乗車発生エリアERAがAR1でありかつ降車発生エリアARAがエリアAR2であるような(エリアAR1で乗車しかつエリアAR2で降車するような)乗合タクシー21の移動が2回行われたことが表されている。
【0032】
通信IF113は、例えば、インターネット等のネットワークに接続可能な通信ユニットを具備し、Webサーバ12及び需要予測サーバ14との間で有線または無線による通信を行うことができるように構成されている。また、通信IF113は、乗合タクシー21(車載装置211)との間で無線による通信を行うことができるように構成されている。
【0033】
Webサーバ12は、例えば、プロセッサ、メモリ及び通信ユニット等を具備して構成されている。
【0034】
Webサーバ12は、エンドユーザにより操作されるスマートフォン及びタブレット端末等に相当する携帯機器22からのアクセス要求に応じ、乗合タクシーの予約に係るWebサイト(以降、タクシー予約サイトと称する)のGUI(Graphical User Interface)表示に用いられるデータ等を送信するための動作を行うように構成されている。また、Webサーバ12は、エンドユーザからの電話連絡を受けた配車オペレータにより操作されるパーソナルコンピュータ等に相当する情報処理装置23からのアクセス要求に応じ、タクシー予約サイトのGUI表示に用いられるデータ等を送信するための動作を行うように構成されている。
【0035】
Webサーバ12は、携帯機器22または情報処理装置23に表示されているタクシー予約サイトにおいて、乗合タクシーの現在の予約状況を閲覧するための予約照会要求が行われたことを検知した場合に、当該予約照会要求を運行スケジュール管理システム11へ送信するための動作を行うように構成されている。また、Webサーバ12は、予約照会要求を送信した後に運行スケジュール管理システム11から受信した予約データ112Aに基づき、乗合タクシーの現在の予約状況を示す情報の表示に用いられる予約照会結果データを生成するとともに、当該生成した予約照会結果データを当該予約照会要求が行われた携帯機器22または情報処理装置23へ送信するための動作を行うように構成されている。
【0036】
Webサーバ12は、携帯機器22または情報処理装置23に表示されているタクシー予約サイトにおいて、乗合タクシーの予約に必要な情報に相当する乗車希望地点、乗車希望時刻、降車希望地点及び降車希望時刻の各情報が入力された状態で予約実施要求が行われたことを検知した場合に、当該入力された各情報を含む当該予約実施要求を運行スケジュール管理システム11へ送信するための動作を行うように構成されている。また、Webサーバ12は、予約実施要求を送信した後に運行スケジュール管理システム11から受信した発着予定情報に基づき、当該発着予定情報に含まれる出発予定時刻及び到着予定時刻を承認するか否かに係る選択を促すための情報の表示に用いられる発着予定確認データを生成するとともに、当該生成した発着予定確認データを当該予約実施要求が行われた携帯機器22または情報処理装置23へ送信するための動作を行うように構成されている。また、Webサーバ12は、発着予定確認データの生成時に用いた発着予定情報に含まれる出発予定時刻及び到着予定時刻がエンドユーザにより承認されたか否かを特定可能な予約確認情報を携帯機器22または情報処理装置23から受信するとともに、当該受信した予約確認情報を運行スケジュール管理システム11へ送信するための動作を行うように構成されている。
【0037】
乗降要因データ取得装置13は、例えば、プロセッサ、メモリ及び通信ユニット等を具備して構成されている。また、乗降要因データ取得装置13は、乗降要因データ131を任意のタイミングで取得するとともに、当該取得した乗降要因データ131を所定の期間毎に(例えば5分間毎に)需要予測サーバ14へ送信するように構成されている。
【0038】
乗降要因データ131には、需要予測サーバ14において行われる処理に利用可能なデータとして、乗合タクシー21の運行当日におけるエンドユーザの乗降の発生要因になり得るデータが含まれている。
【0039】
具体的には、乗降要因データ131には、例えば、乗合タクシー21の運行エリアにおける運行当日の天候が晴天に該当するか否かを示すデータ、及び、乗合タクシー21の運行エリアにおける運行当日の天候が雨天に該当するか否かを示すデータの2個のデータにより構成された天候データが含まれている。また、乗降要因データ131には、例えば、乗合タクシー21の運行エリアにおける運行当日の気温が高温に該当するか否かを示すデータ、及び、乗合タクシー21の運行エリアにおける運行当日の気温が低温に該当するか否かを示すデータの2個のデータにより構成された気温データが含まれている。また、乗降要因データ131には、例えば、乗合タクシー21の運行当日の日付が平日に属するか否かを示すデータ、及び、乗合タクシー21の運行当日の日付が休日に属するか否かを示すデータを示す日付データが含まれている。
【0040】
すなわち、乗降要因データ131には、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアにおける天候を示すデータと、当該所定の複数のエリアにおける気温を示すデータと、乗合タクシー21の運行当日の日付を示すデータと、が含まれている。
【0041】
なお、本実施形態によれば、天候データ、気温データ及び日付データとは異なるデータが乗降要因データ131に含まれていてもよい。具体的には、本実施形態によれば、例えば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎の交通障害(事故、渋滞及び災害等)の発生の有無を示す交通障害データが乗降要因データ131に含まれていてもよい。また、本実施形態によれば、例えば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎のエンドユーザの平均年齢の高さを示す平均年齢データが乗降要因データ131に含まれていてもよい。
【0042】
需要予測サーバ14は、運行スケジュール管理システム11から受信した予約データ112A及び累積移動データ112Bと、乗降要因データ取得装置13から受信した乗降要因データ131と、に基づき、乗合タクシー21の需要予測に係る処理を行うように構成されている。すなわち、需要予測サーバ14は、エンドユーザによる予約を反映して設定された運行スケジュールに沿って運行されるとともに所定の複数のエリアにおいて運行される乗合タクシー21の需要予測を行うための乗合車両用需要予測装置として構成されている。また、需要予測サーバ14は、前述の需要予測に係る処理により得られた処理結果に相当する乗合需要予測データ143Bを運行スケジュール管理システム11及び情報提示装置15に対して送信するように構成されている。また、需要予測サーバ14は、例えば、図4に示すように、通信IF141と、演算処理ユニット142と、記憶媒体143と、を有して構成されている。図4は、実施形態に係る需要予測サーバの構成の一例を示す図である。
【0043】
通信IF141は、例えば、インターネット等のネットワークに接続可能な通信ユニットを具備し、運行スケジュール管理システム11、乗降要因データ取得装置13及び情報提示装置15との間で有線または無線による通信を行うことができるように構成されている。
【0044】
演算処理ユニット142は、例えば、CPU及びGPU(Graphics Processing Unit)を具備し、運行スケジュール管理システム11から受信した予約データ112A及び累積移動データ112Bと、乗降要因データ取得装置13から受信した乗降要因データ131と、記憶媒体143から読み込んだ乗合需要予測プログラム143A(後述)と、を用いて乗合タクシー21の需要予測に係る処理を行うように構成されている。すなわち、演算処理ユニット142は、1つ以上のプロセッサを有して構成されている。また、演算処理ユニット142は、前述の需要予測に係る処理により得られた乗合需要予測データ143Bを記憶媒体143に格納させるための動作を行うように構成されている。また、演算処理ユニット142は、前述の需要予測に係る処理により得られた乗合需要予測データ143Bを通信IF141から運行スケジュール管理システム11及び情報提示装置15へ送信させるための動作を行うように構成されている。また、演算処理ユニット142は、乗合需要予測データ143Bを得る際に用いた予約データ112Aを通信IF141から情報提示装置15へ送信させるための動作を行うように構成されている。
【0045】
記憶媒体143は、例えば、不揮発性メモリ等のような、非一時的なコンピュータ可読媒体を有して構成されている。また、記憶媒体143には、乗合需要予測プログラム143Aと、乗合需要予測データ143Bと、が格納されている。
【0046】
乗合需要予測プログラム143Aは、例えば、図5に示すように、乗降需要数予測モデル1431と、降車エリア予測モデル1432と、を有して構成されている。図5は、実施形態に係る需要予測サーバの処理に用いられる需要予測プログラムの構成の一例を説明するための図である。
【0047】
乗降需要数予測モデル1431は、例えば、ディープオートエンコーダを用いた階層型のニューラルネットワークとして構成されているとともに、当該ニューラルネットワークに含まれる各ノードの処理に用いられるパラメータをディープラーニング(機械学習)で学習させたモデルとして構成されている。また、乗降需要数予測モデル1431は、運行スケジュール管理システム11から受信した予約データ112A及び累積移動データ112Bと、乗降要因データ取得装置13から受信した乗降要因データ131と、を入力データとして用いた処理を行うことにより、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアにおけるタクシー21の乗降予約として将来成立し得る予約回数に相当する予約予測回数RFNを出力データとして取得することができるように構成されている。
【0048】
具体的には、乗降需要数予測モデル1431には、例えば、図6に示すように、予約データ112AのマトリクスデータMDA(図2参照)に含まれる256個のデータと、累積移動データ112BのマトリクスデータMDB(図3参照)に含まれる256個のデータと、乗降要因データ131の天候データ、気温データ及び日付データに含まれる6個のデータと、を個別に入力するための518個のノードを有する入力層ILが形成されている。また、乗降需要数予測モデル1431には、例えば、図6に示すように、入力層ILから出力されるデータを並列処理するための256個のノードを有する隠れ層HL1と、隠れ層HL1から出力されるデータを並列処理するための128個のノードを有する隠れ層HL2と、隠れ層HL2から出力されるデータを並列処理することにより出力結果を得るための256個のノードを有する出力層OLと、が形成されている。図6は、需要予測プログラムに含まれる乗降需要数予測モデルの一例を説明するための概念図である。
【0049】
すなわち、図6に例示した乗降需要数予測モデル1431によれば、予約データ112AのマトリクスデータMDAに含まれる256個のデータと、累積移動データ112BのマトリクスデータMDBに含まれる256個のデータと、乗降要因データ131の天候データ、気温データ及び日付データに含まれる6個のデータと、を入力データとして用いた処理を行うことにより、前述のエリアAR1からエリアAR16までの16個のエリアにおける256通りの乗降エリアの組合せ毎に将来成立し得る予約予測回数RFNを出力データとして得ることができる。
【0050】
なお、本実施形態によれば、乗降需要数予測モデル1431の学習時において、例えば、乗合タクシー21の運行前日以前に得られた過去の予約データ112A(マトリクスデータMDA)、過去の累積移動データ112B(マトリクスデータMDB)、及び、過去の乗降要因データ131を入力データとして用い、乗降需要数予測モデル1431のニューラルネットワークに含まれる各ノードの処理に用いられるパラメータを変化させるような方法で学習を行えばよい。そして、このような学習方法によれば、予約予測回数RFNが乗合タクシー21の運行エリアに含まれる各エリアにおいて実際に成立する予約回数に近づくようなモデルを作成することができる。
【0051】
降車エリア予測モデル1432は、例えば、階層型のニューラルネットワークとして構成されているとともに、当該ニューラルネットワークに含まれる各ノードの処理に用いられるパラメータをディープラーニング(機械学習)で学習させたモデルとして構成されている。また、降車エリア予測モデル1432には、例えば、乗合タクシー21の移動距離に係るデータと、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアに存在する乗降地点の種類(カテゴリ)に係るデータと、乗合タクシー21を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータと、のうちの少なくとも1つを用いて乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎に算出した特徴量FVが入力データとして入力されるように構成されている。
【0052】
特徴量FVの算出においては、例えば、乗合タクシー21の運行エリアにおける累積移動距離を運行日毎に集計したデータを、乗合タクシー21の移動距離に係るデータとして用いることができる。また、乗合タクシー21の移動距離に係るデータは、例えば、累積移動データ112Bに含まれていればよい。
【0053】
特徴量FVの算出においては、例えば、乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データに含まれる各地点を「住宅街」、「駅」及び「商業施設」等の複数のカテゴリのうちの少なくとも1つに分類したデータを、乗合タクシー21の乗降地点の種類(カテゴリ)に係るデータとして用いることができる。また、乗合タクシー21の乗降地点の種類(カテゴリ)に係るデータは、例えば、乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データと併せて取得されるようにすればよい。
【0054】
特徴量FVの算出においては、タクシー予約サイトにおけるユーザ登録情報に含まれる任意のデータを、乗合タクシー21を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータとして用いることができる。具体的には、特徴量FVの算出においては、例えば、乗合タクシー21の予約が成立した際のエンドユーザの最高年齢、最低年齢、平均年齢、男性の人数及び女性の人数を乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎に集計したデータを、乗合タクシー21を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータとして用いることができる。また、乗合タクシー21を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータは、例えば、予約データ112Aに含まれていればよい。
【0055】
なお、本実施形態においては、例えば、演算処理ユニット142が特徴量FVを算出するようにしてもよく、または、演算処理ユニット142がスケジュール処理部111により算出された特徴量FVを取得するようにしてもよい。
【0056】
降車エリア予測モデル1432は、入力データに相当する特徴量FVの入力に応じ、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリア各々における降車の発生確率に相当する降車尤度ELHを出力データとして取得することができるように構成されている。
【0057】
ここで、本実施形態によれば、乗合タクシー21の運行当日において特徴量FVを算出する際に用いられた各データの重みを調整し、調整後の重みを用いて乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎に算出した特徴量FVを入力データとして降車エリア予測モデル1432を繰り返し学習させるような作業が1日毎に(定期的に)行われる。そして、このような作業によれば、例えば、降車エリア予測モデル1432のニューラルネットワークに含まれる各ノードの処理に用いられるパラメータを1日毎に(定期的に)変化させることができるため、乗合タクシー21の運行エリアにおいて生じ得る需要の変化に対応した降車尤度ELHを取得することができる。
【0058】
すなわち、演算処理ユニット142は、記憶媒体143から読み込んだ乗合需要予測プログラム143A(後述)を用いて乗合タクシー21の需要予測に係る処理を行うことにより、乗降需要数予測モデル1431の出力データに相当する予約予測回数RFNと、降車エリア予測モデル1432の出力データに相当する降車尤度ELHと、を乗合需要予測データ143Bとして取得するように構成されている。
【0059】
また、演算処理ユニット142は、予約予測回数取得部としての機能を具備し、乗合タクシー21の予約が成立した際の予約状況を示す予約データ112Aと、乗合タクシー21の運行当日にエンドユーザが実際に乗降したエリアを示す累積移動データ112Bと、乗合タクシー21の運行当日におけるエンドユーザの乗降の発生要因になり得るデータを含む乗降要因データ131と、を入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有する乗降需要数予測モデル1431を用い、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアにおける乗合タクシー21の乗降予約として将来成立し得る予約回数に相当する予約予測回数を所定の期間毎に取得するように構成されている。
【0060】
また、演算処理ユニット142は、降車尤度取得部としての機能を具備し、乗合タクシー21の移動距離に係るデータと、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアに存在する乗降地点の種類に係るデータと、乗合タクシー21を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータと、のうちの少なくとも1つを用いて算出した特徴量FVを入力データとして機械学習させたニューラルネットワークを有する降車エリア予測モデル1432を用い、当該所定の複数のエリア各々における将来の降車の発生確率に相当する降車尤度を所定の期間毎に取得するように構成されている。
【0061】
なお、本実施形態においては、乗降需要数予測モデル1431及び降車エリア予測モデル1432を含む乗合需要予測プログラム143Aが、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されていればよい。コンピュータ読取可能な記憶媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記憶媒体として含まれる。
【0062】
情報提示装置15は、例えば、プロセッサ、メモリ、通信ユニット及びモニタ等を具備して構成されている。
【0063】
情報提示装置15は、例えば、所定のソフトウェアが起動している際に、乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データと、需要予測サーバ14から受信した予約データ112A及び乗合需要予測データ143Bに基づいて得られる情報と、を合成した需要予測画面を表示するための処理を行うように構成されている。なお、前述の需要予測画面の具体例については、後程説明する。
【0064】
続いて、本実施形態の作用について、図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は、実施形態に係る需要予測サーバにおいて行われる処理の一例を示すフローチャートである。図8は、需要予測画面の具体例を説明するための図である。
【0065】
スケジュール処理部111は、エンドユーザによる予約が成立する毎に予約管理情報を生成するための処理を行い、当該生成した予約管理情報を用いて予約データ112A(マトリクスデータMDA)を更新するための処理を行うとともに、当該更新した予約データ112Aを通信IF113から需要予測サーバ14へ所定の期間毎に(例えば5分間毎に)送信させるための動作を行う。
【0066】
スケジュール処理部111は、乗合タクシー21の運行当日において、乗客の乗降が発生する毎に運行管理情報を生成するための処理を行い、当該生成した運行管理情報を用いて累積移動データ112B(マトリクスデータMDB)を更新するための処理を行うとともに、当該更新した累積移動データ112Bを通信IF113から需要予測サーバ14へ所定の期間毎に(例えば5分間毎に)送信させるための動作を行う。
【0067】
乗降要因データ取得装置13は、乗降要因データ131を任意のタイミングで取得するとともに、当該取得した乗降要因データ131を所定の期間毎に(例えば5分間毎に)需要予測サーバ14へ送信する。
【0068】
演算処理ユニット142は、運行スケジュール管理システム11から受信した予約データ112Aに含まれるマトリクスデータMDAと、運行スケジュール管理システム11から受信した累積移動データ112Bに含まれるマトリクスデータMDBと、乗降要因データ取得装置13から受信した乗降要因データ131と、を乗降需要数予測モデル1431の入力データとして用いて処理を行うことにより予約予測回数RFNを取得する(図7のステップS1)。
【0069】
演算処理ユニット142は、乗合タクシー21の移動距離に係るデータ、乗合タクシー21の乗降地点の種類(カテゴリ)に係るデータ、及び、乗合タクシー21を利用するエンドユーザのプロファイルに係るデータを用い、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎に特徴量FVを算出するための処理を行う。また、演算処理ユニット142は、乗合タクシー21の運行エリアに含まれるエリア毎に算出した特徴量FVを降車エリア予測モデル1432の入力データとして用いて処理を行うことにより降車尤度ELHを取得する(図7のステップS2)。
【0070】
演算処理ユニット142は、図7のステップS1の処理により得られた予約予測回数RFNと、図7のステップS2の処理により得られた降車尤度ELHと、を乗合需要予測データ143Bとして取得するとともに、当該取得した乗合需要予測データ143Bを通信IF141から運行スケジュール管理システム11及び情報提示装置15へ所定の期間毎に(例えば5分間毎に)送信させるための動作を行う(図7のステップS3)。また、演算処理ユニット142は、乗合需要予測データ143Bを得る際に用いた予約データ112Aを通信IF141から情報提示装置15へ所定の期間毎に(例えば5分間毎に)送信させるための動作を行う(図7のステップS3)。
【0071】
演算処理ユニット142は、図7のステップS1の処理において用いる乗降需要数予測モデル1431の入力データ、及び、図7のステップS2の処理において用いる降車エリア予測モデル1432の入力データのうちの少なくともいずれか一方が更新されたか否かを判定するための処理を行う(図7のステップS4)。
【0072】
演算処理ユニット142は、乗降需要数予測モデル1431の入力データ、及び、降車エリア予測モデル1432の入力データのいずれも更新されていないとの判定結果を得た場合(S4:NO)には、図7のステップS4の処理を繰り返し行う。
【0073】
演算処理ユニット142は、乗降需要数予測モデル1431の入力データ、及び、降車エリア予測モデル1432の入力データのうちの少なくともいずれか一方が更新されたとの判定結果を得た場合(S4:YES)には、図7のステップS1からの処理を再度行う。
【0074】
以上に述べたような演算処理ユニット142の処理によれば、例えば、乗合タクシー21の運行当日から数週間後までの予約予測回数RFN及び降車尤度ELHを含む乗合需要予測データ143Bを取得することができる。また、以上に述べたような演算処理ユニット142の処理によれば、例えば、5分間毎に更新される入力データ(予約データ112A、累積移動データ112B、及び、乗降要因データ131)に応じた乗合需要予測データ143Bを取得することができる。
【0075】
情報提示装置15は、所定のソフトウェアが起動している際に、乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データと、需要予測サーバ14から受信した予約データ112A及び乗合需要予測データ143Bに基づいて得られる情報と、を合成した需要予測画面を表示するための処理を行う。そして、このような処理によれば、例えば、図8に示すような需要予測画面DFSがモニタ等の表示装置に表示される。
【0076】
需要予測画面DFSは、図8に示すように、需要予測マップDFMと、需要予測グラフDFGと、タイムスライダーTSLと、を含む画面として構成されている。
【0077】
需要予測マップDFMは、例えば、乗合需要予測データ143Bに含まれる予約予測回数RFNに応じたヒートマップと、乗合需要予測データ143Bに含まれる降車尤度ELHに応じた矢印と、を乗合タクシー21の運行エリアにおける地図データ内にそれぞれ重畳することにより作成されている。
【0078】
需要予測マップDFMに含まれるヒートマップにおいては、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる各エリアのうち、所定回数以上の予約予測回数RFNが取得されたエリアが所定の色で着色される。また、需要予測マップDFMに含まれるヒートマップにおいては、予約予測回数RFNの多さに応じて所定の色の濃度が高くなるように描画される。なお、図8に例示した需要予測マップDFMに含まれるヒートマップにおいては、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる各エリアを四角形で表している。また、図8に例示した需要予測マップDFMに含まれるヒートマップにおいては、図示の便宜上、予約予測回数RFNが多いエリアに濃度の高いハッチングパターンを付与しているとともに、予約予測回数RFNが少ないエリアに濃度の低いハッチングパターンを付与している。
【0079】
すなわち、図7のステップS1及びステップS3によれば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリア各々における予約予測回数RFNの多寡を表すヒートマップを描画させるためのデータを取得するための処理と、当該取得したデータを情報提示装置15へ所定の期間毎に送信させるための動作と、が演算処理ユニット142により行われる。
【0080】
需要予測マップDFMに含まれる矢印は、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる各エリアのうちの少なくとも1つの乗車エリアから降車尤度ELHが所定値以上となる降車エリアへの移動を表している。また、需要予測マップDFMに含まれる矢印は、降車尤度ELHの高さに応じた太さを有するように描画される。
【0081】
すなわち、図7のステップS2及びステップS3によれば、乗合タクシー21の運行エリアに含まれる所定の複数のエリアのうちの少なくとも1つの乗車エリアから降車尤度ELHが所定値以上となる降車エリアへの移動を表す記号を描画させるためのデータを取得するための処理と、当該取得したデータを情報提示装置15へ所定の期間毎に送信させるための動作と、が演算処理ユニット142により行われる。
【0082】
需要予測グラフDFGは、予約データ112Aに基づいて取得される実際に成立した予約回数に相当する予約成立回数RENと、乗合需要予測データ143Bに含まれる予約予測回数RFNと、の間の対応関係を日付毎に示す棒グラフとして描画される。なお、図8に例示した需要予測グラフDFGによれば、予約成立回数RENと、予約予測回数RFNと、の間の対応関係を8日間分確認することができる。
【0083】
タイムスライダーTSLには、目盛り付きの時間軸に沿って移動させることが可能であるとともに、乗合タクシー21の運行当日以降の所望の日付時刻における需要予測を表示させるための指示を行うことが可能なGUIとして構成されたカーソルCSRが設けられている。そして、このようなタイムスライダーTSLの構成によれば、目盛り付きの時間軸上におけるカーソルCSRの位置に応じ、需要予測マップDFMに含まれるヒートマップ及び矢印の描画状態を、乗合タクシー21の運行当日以降の所望の日付時刻における需要予測に応じた描画状態にすることができる。なお、図8に例示したタイムスライダーTSLによれば、目盛り付きの時間軸上におけるカーソルCSRの位置に応じ、乗合タクシー21の運行当日以降の8日間のうちの所望の日付時刻における需要予測を表示させることができる。
【0084】
以上に述べたように、本実施形態によれば、予約予測回数RFN及び降車尤度ELHを含む乗合需要予測データ143Bを取得することができるとともに、乗合需要予測データ143Bに基づいて乗合タクシー21の運行スケジュールを作成することができる。また、以上に述べたように、本実施形態によれば、例えば、乗合タクシー21の運営組織に所属する運営者が、予約データ112A及び乗合需要予測データ143Bに応じて表示される需要予測画面DFSを確認することにより、乗合タクシー21の運行当日以降の所望の日付における乗合タクシー21の運行台数を適切な台数に調整することができる。そのため、本実施形態によれば、予め決められた発着時刻を守りつつ乗合車両を効率的に配車するための高精度な需要予測を行うことができる。
【0085】
なお、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、工場等のような所定の施設内で運行される乗合車両の需要予測に適用させるようにしてもよい。また、エンドユーザによる予約を反映して設定された運行スケジュールについては、エンドユーザによる予約がないと運行スケジュールも作成されない(エンドユーザによる予約に応じて設定される)場合も、大まかな運行スケジュールは予め決められていて、その運行スケジュールをエンドユーザによる予約に応じて修正するという場合も含むものとする。そして、乗合車両としての乗合タクシー21についても、いわゆる“タクシー”だけではなく“バス”と称されている形態をも含むものとする。
【0086】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 交通サービスシステム
11 運行スケジュール管理システム
12 Webサーバ
13 乗降要因データ取得装置
14 需要予測サーバ
15 情報提示装置
21 乗合タクシー
111 スケジュール処理部
112 運行情報データベース
142 演算処理ユニット
143 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8