【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
本発明においては、請求項1記載の構成を備えたセンサ装置と、請求項13に記載の構成を備えたロボットシステムとを開示する。従属請求項、以下の説明および添付図面から、本発明の有利または好適な実施形態が明らかである。
【0006】
本発明のセンサ装置は、基体ボディおよび対向ボディを備えている。対向ボディは基体ボディに対して相対的に可動に配置されている。有利には、対向ボディは基体ボディに直接結合されている。これに代えて、中間構造体を介して対向ボディと基体ボディとを結合することもできる。たとえば、対向ボディに力が作用している場合、対向ボディが、基体ボディに対して相対的に変位するように設けられている。かかる力は、たとえば、触覚ロボット用途においては、測定対象との接触によって、対向ボディに伝達されることができる。
【0007】
センサ装置は、センサ信号を出力するように構成された複数のセンサデバイスを備えている。センサ信号は、アナログまたはデジタル信号として実現することができる。各センサデバイスは、それぞれ少なくとも1つのセンサと、それぞれ少なくとも1つのターゲット領域とを有する。センサはそれぞれ、自己に割り当てられたターゲット領域を、特に非接触で検出するように構成されている。基体ボディおよび対向ボディは、それぞれ「ボディ」と称される。センサは、一方のボディに配置され、かつ、ターゲット領域は、他方のボディに配置されている。センサを対向ボディに配置し、かつ、ターゲット領域を基体ボディに配置することが可能である。しかし、ケーブルの設置等の理由により、または一般的に、センサ、特にいずれか複数のセンサ、特に全てのセンサを基体ボディに配置し、ターゲット領域、特にいずれか複数のターゲット領域、特に全てのターゲット領域を対向ボディに配置することが有利である。有利には、ターゲット領域、特にいずれか複数のターゲット領域、特に全てのターゲット領域は、パッシブのターゲット領域として構成されている。
【0008】
さらに、センサ装置は、処理装置も備えており、この処理装置は、有利には、デジタルデータ処理装置として構成されている。処理装置は、特に、対向ボディと基体ボディとの相対位置を求めるように、プログラム技術的および/または回路技術的に構成されている。
【0009】
本発明においては、処理装置が、相対位置を3つの並進自由度と3つの回転自由度とにおいて求めるように構成されている。有利には、並進自由度は、互いに直交に配置されている。特に、センサ装置は、6D(6次元)センサ装置として構成されている。特に、処理装置は、6つの自由度について座標を特定および/または出力するように構成されている。
【0010】
本発明の利点は、公知のセンサとは対照的に、本発明のセンサ装置が、基体ボディに対する対向ボディの相対位置を完全に把握するために必要な対向ボディの全ての次元を、基体ボディに対して相対的に求められることである。
【0011】
センサ装置は、特に有利には、触覚センサ装置として構成されており、ロボットシステムに適したもの、および/または、ロボットシステム用に構成されたものである。「触覚センサ装置」とは、有利には、測定対象または上記測定対象を検出するために当該測定対象と物理的に接触するセンサ装置をいう。ロボットシステムは、特に、ロボットとツールとを備えている。「ロボット」とは、有利には、ツールの操作を行うことができる全てのハンドリング装置をいう。たとえば、ロボットを直角座標ロボットとして、関節アームロボットとして、ピック・アンド・プレイス・ロボット等として構成することができる。最も簡単な実施形態においては、ロボットを直線軸または旋回軸として構成することもできる。
【0012】
触覚センサ装置は、基体ボディを備えており、基体ボディは、ロボットに結合可能であり、または、結合されている。特に、基体ボディは、ロボットに結合されるためのインタフェースを備えている。特に有利には、基体ボディは、ロボットに、特にロボットのロボットハンドに、固定的に結合されている。
【0013】
さらに、触覚センサ装置の対向ボディは、触覚ボディとして構成されており、触覚ボディは、ツールに結合可能である。特に、触覚ボディは、ツールに結合されるためのインタフェースを備えている。特に有利には、触覚ボディは、ツールに固定的に結合されている。
【0014】
本発明においてあり得る構造上の一構成においては、対向ボディおよび基体ボディは、それぞれ平板部分を有する。平板部分は、有利には、互いに向き合っている。平板部分は、相互に傾動可能、回転可能および変位可能に配置されている。かかる構成により、対向ボディと基体ボディとは、3つの並進自由度と3つの回転自由度とにおいて相互に相対的に移動することができる。
【0015】
特に有利であるのは、対向ボディが自動的に基体ボディに対して相対的に初期位置に配置されるように、対向ボディが、基体ボディに対して相対的に付勢されて配置されていることである。たとえば、センサ装置は、対向ボディを初期位置に復帰させるためのばね装置を備えている。特に、たとえば、測定対象によって対向ボディに力がかからないときには、対向ボディが自然に初期位置に復帰するように構成されている。かかる発展形態によって、対向ボディが未だ測定対象と接触していない限りにおいては、特に、ロボットシステムの制御装置において基体ボディに対する対向ボディの相対位置が分かることが保証される。
【0016】
処理装置は、較正を介して自由度を求めるように構成することができる。たとえば、多数の標本点を介して対向ボディをセンサ装置
に学習させることが可能である。これに代えて、標本点を有する表または他のデータ収集を記憶することも可能である。いずれの場合においても、たとえば、補間を介して自由度を、特に自由度の座標を、存在するデータに基づく補間によって求めることができる。
【0017】
本発明の代替的な一実施形態においては、3つの並進自由度および3つの回転自由度は、解析および/または数値計算を介して求められる。解析計算の場合には、センサ信号に依存して並進自由度および回転自由度を計算することができるように、センサ装置をモデリングする。
【0018】
本発明の有利な一実施形態においては、ターゲット領域は、それぞれプレーナ形の参照領域として、特に触覚ボディに設けられている。参照領域は、その面広がりによって、それぞれ一平面を定義する。これらの平面は、互いに独立した向きとなっており、特に全ての平面について、1つの平面は他の平面と1直線でしか交わらないということが適用される。有利には、可能なこの直線の全てが互いに独立している。
【0019】
各参照領域に対してセンサが割り当てられており、各センサは、距離センサとして構成されている。本発明の当該有利な実施形態においては、センサ装置が本構成において基体ボディに対する対向ボディの相対位置を完全に特定することができるように、6つの独立したセンサを用いて6つの自由度が求められる。
【0020】
有利には、センサは、誘導センサとして構成されている。有利には、触覚ボディの少なくとも一部または全部が金属により構成されている。参照領域を、この金属により構成された触覚ボディの領域として実現することができる。また、本発明の代替的な実施形態においては、センサを光学センサ、容量センサ等として構成することも可能である。
【0021】
特に有利には、測定原理は、非接触で実現される。
【0022】
特に有利なのは、基体ボディと対向ボディとの間の基準位置において、各センサの測定方向がそれぞれ、各割り当てられた参照領域に対して垂直であることである。本構成により、自由度の解析および/または数値計算が簡単になる。構造上、有利なのは、基準位置が上述の初期位置と一致することである。
【0023】
本発明においてあり得る一発展形態においては、2つずつの参照領域が1つの
柱面屋根にまとめられている。各
柱面屋根は、それぞれ1つの屋根線を有し、これらの屋根線は、基体ボディと対向ボディとの積層方向まわりの円上において、有利には互いに等間隔であり、および/または、120°の中間角をとる。これは、有利および/または例示的な構成に相当する。有利には、屋根線は1つの共通の平面内にある。特に、屋根線は、互いに共通の1点で交わる。本構成によっても、自由度の解析および/または数値計算が簡単になる。
【0024】
本発明の代替的な一実施形態においては、ターゲット領域は、磁性領域として構成されている。磁性領域は、有利には、それぞれ磁石として構成されており、特にネオジム磁石として構成されている。センサは、それぞれ磁界センサとして実現されている。特に有利には、磁界センサはホールセンサとして実現されている。本発明の有利な一発展形態においては、磁界センサはそれぞれ、磁界を3つ全ての空間方向において測定することができる3次元磁界センサとして構成されている。磁界センサは特に、磁界の強度および方向の双方を特定するように構成されている。
【0025】
本発明の有利な構造上の実現においては、第1のセンサデバイスが、3つの磁界センサを、特に3つの3次元磁界センサを備えている。さらに、第1のセンサデバイスは、第1の磁石、特にネオジム磁石を、上記3つの磁界センサによって検出される磁性領域として有する。たとえば、磁界センサは、互いに3角形の形状に、特に2等辺三角形の形状に配置されている。有利には、センサ装置が初期状況および/または基準位置にあるとき、この3角形によって定まる平面は、屋根線によって定まる平面に対して平行である。有利なのは、初期状況および/または基準位置において、磁性領域が積層方向に投影されたときに、3つの磁界センサの間、特に3つの磁界センサの中心、および/または、3角形の重心に来ることである。
【0026】
さらに、上述の有利な構造上の実現においては、センサ装置は、第2のセンサデバイスを備えており、第2のセンサデバイスは、少なくとも1つの磁界センサ、特に少なくとも1つの3次元磁界センサと、第2の磁性領域、特に第2の磁石、特に第2のネオジム磁石を、磁性領域として備えている。第1の磁石と第2の磁石とは、互いに離隔している。
【0027】
第1のセンサデバイスによって、たとえばクロス測位法を用いて、第1の磁石の位置を検出することができ、ひいては触覚ボディの位置を検出することができる。しかし、第1のセンサデバイスでは、6つ全ての自由度を特定することができない。特に、検出時には、上述の3角形に対して垂直かつ第1の
センサデバイスを貫いて延在する直線まわりの回転自由度は不明のままである。この最後の自由度を求めるためには、第2のセンサデバイスは、第1のセンサデバイスから離隔して配置されることによって、この回転自由度を検出するように構成されている。
【0028】
任意選択肢として、第2のセンサデバイスは、2つまたは3つの磁界センサを備えることができる。この構成においては、基体ボディと対向ボディとの相対位置の精度を向上することができる、冗長的な測定が達成される。
【0029】
本発明の他の1つの対象は、ロボットと、当該ロボットによって操作されるツールとを備えたロボットシステムに関するものである。ロボットシステムは、上記にて記載されたないしは先行の請求項のうちいずれか1項に記載の、特に触覚式のセンサ装置を備えており、当該触覚センサ装置は、ロボットとツールとの間に、特に直列に配置されている。特に、基体ボディおよび対向ボディ、特に触覚ボディは、ロボットとツールとの間に、特に直列に配置されている。
【0030】
本発明の可能な一実施形態においては、ツールは、プローブ先端部として構成されている。本発明の他の一実施形態においては、ツールは把持部として構成されている。測定対象を把持することによって基体ボディに対する把持部の相対姿勢が変化したときに、その偏差が触覚センサ装置によって検出され、ロボットシステムの制御装置または上記制御装置によってさらに処理することができるように、把持部は、触覚ボディに固定的に結合されている。
【0031】
以下の本発明の有利な実施例の記載と添付図面とから、本発明の他の特徴、利点および作用効果を導き出すことができる。