(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレクトロクロミック組成物(7)で充填された封止されたキャビティ(6)の範囲をそれらの間に定める湾曲した内面(4a、5a)を有する少なくとも2つの透明層(4、5)を含むエレクトロクロミックセル(3)を含む眼用装置(1)であって、前記キャビティ(6)が、接着材料(20)から形成されたシール(11)によってその周囲で範囲を定められ、前記シール(11)が1000マイクロメートル未満の幅を有し且つ互いに組み立てられた前記2つの透明層(4、5)を支持するのに適しており、
前記透明層(4、5)の前記内面(4a、5a)がそれぞれ導電性コーティング(9、10)によって完全に被覆される、
接続要素(14、15)が前記透明層(4、5)のそれぞれの全周にわたりその周囲に配置され、前記導電性コーティング(9、10)のそれぞれに電気的に接続され、前記シール(11)が前記接続要素(14、15)のそれぞれを漏れのない方法で前記キャビティ(6)から隔絶するように配置され、
前記接続要素(14、15)間に配置され且つ前記接続要素(14、15)のそれぞれに電気的に接続された制御回路(16)を含み、前記シール(11)が前記制御回路(16)を漏れのない方法で前記キャビティ(6)から隔絶するように配置される、装置(1)。
前記透明層(4、5)が、前記キャビティ(6)の前記エレクトロクロミック組成物(7)と共に、前記装置(1)の装用者の眼科処方箋に適合する眼鏡レンズである、請求項1に記載の装置(1)。
前記シール(11)が、前記シール(11)によって組み立てられ且つ前記キャビティ(6)を形成する前記2つの透明層(4、5)の間の間隙を保証するのに適したスペーサ要素(12)を包含する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)。
− 前記堆積させるステップにおいて、前記接着材料(20)が前記透明層(4、5)の一方の前記内面(4a、5a)の周囲に部分的に堆積され、それにより前記2つの透明層(4、5)の前記内面(4a、5a)がいったん組み立てられると、前記キャビティ(6)に開口する少なくとも1つの充填開口(19)を前記接着材料(20)中に形成するようにし、
− 前記2つの透明層(4、5)の前記内面(4a、5a)を組み立てた後、前記キャビティ(6)は前記充填開口(19)を介して前記エレクトロクロミック組成物(7)で充填され、
− 充填後、前記充填開口(19)は塞がれ、その後前記シール(11)を形成する前記接着材料(20)で被覆される
請求項10又は11に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、そのようなスペーサ要素は、装置の装用者が視認できる場合があり、特にセルの真ん中に白い点又は散乱点の出現をもたらす可能性があり、これらはそれらのサイズが数マイクロメートルを超える場合特に美しくないことが判明している可能性があり、また装用者の視界を妨げる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上に開示した欠点を少なくとも部分的に解決することを目的とし、より詳細には、良好な機械的強度を有し且つ特に狭い幅のシールを含むエレクトロクロミックセルを得ることを目的とする。
【0009】
従って、本発明は、エレクトロクロミック組成物で充填された封止されたキャビティの範囲をそれらの間に定める湾曲した内面を有する少なくとも2つの透明層を含むエレクトロクロミックセルを含む眼用装置に関し、キャビティは、架橋された接着材料から形成されたシールによってその周囲で範囲を定められ、シールは互いに組み立てられた2つの透明層を支持するのに適している。
【0010】
湾曲した平らでない内面を有する透明層から形成されたそのようなセルは、より優れた剛性を有し、セル3を取り付けることができるフレームの形状により良く適合することを可能にする。このようにエレクトロクロミックセルは十分に頑丈である一方、制御された幅のシールを使用する。セルの中央にスペーサ要素を置くことを回避することも可能である。
【0011】
これはまた、エレクトロクロミック組成物で充填されたキャビティの耐漏れ性を保証することを可能にする。
【0012】
一実施形態によれば、透明層は、キャビティのエレクトロクロミック組成物と共に、装置の装用者の眼科処方箋に適合する眼鏡レンズである。
【0013】
一実施形態によれば、シールは40マイクロメートル〜200マイクロメートルの高さを有する。
【0014】
一実施形態によれば、シールはカチオン開始されたエポキシ樹脂によって作られる。
【0015】
一実施形態によれば、シールは、シールによって組み立てられ且つキャビティを形成する2つの透明層の間の間隙を保証するのに適したスペーサ要素を包含する。
【0016】
一実施形態によれば、キャビティは、透明層の2つの内面の間で一定の厚さを有する。
【0017】
一実施形態によれば、キャビティは、透明層の2つの内面の間で可変厚さを有する。これは、セル内の伝送勾配を達成することを可能にする、又は導電性コーティングの一部の低伝導率を補うことを可能にする。
【0018】
一実施形態によれば、透明層の内面はそれぞれ導電性コーティングによって完全に被覆される。
【0019】
一実施形態によれば、内面のそれぞれの導電性コーティングは酸化インジウムスズ(ITO)から作られる。
【0020】
一実施形態によれば、接続要素が透明層のそれぞれの全周にわたりその周囲に配置され、導電性コーティングのそれぞれに電気的に接続され、シールは接続要素のそれぞれを漏れのない方法でキャビティから隔絶するように配置される。
【0021】
一実施形態によれば、装置は、接続要素間に配置され且つ接続要素のそれぞれに電気的に接続された制御回路を含み、シールは制御回路を漏れのない方法でキャビティから隔絶するように配置される。
【0022】
一実施形態によれば、装置は、セルの周囲に配置され且つ接続要素のそれぞれに電気的に接続された第1端部を含む導電性中間要素を含み、導電性中間要素は制御回路に電気的に接続された第2端部を含み、シールは導電性中間要素及びキャビティを漏れのない方法で隔絶するように配置される。
【0023】
本発明はまた、2つの透明層を含む、眼用装置のエレクトロクロミックセルを組み立てる方法に関し、透明層はエレクトロクロミック組成物で充填されるように意図された封止されたキャビティの範囲をそれらの間に定める湾曲した内面を含み、キャビティは、接着材料から形成されたシールによって周囲で範囲を定められ、シールは互いに組み立てられた2つの透明層を支持するのに好適であり、方法は、接着材料を透明層の一方の内面の周囲に堆積させるステップ、キャビティを形成するように支持装置を用いて2つの透明層の内面を組み立てるステップ、及びシールを形成するように光暴露処理によって及び/又は熱処理によって接着材料を架橋するステップに含まれる各ステップを含む。
【0024】
一実施形態によれば、光暴露処理は、可視光又は紫外線処理である。
【0025】
一実施形態によれば、堆積ステップにおいて、接着材料は透明層の一方の内面の周囲に部分的に堆積され、それにより2つの透明層の内面がいったん組み立てられると、キャビティに開口する少なくとも1つの充填開口を接着材料中に形成するようにし、2つの透明層の内面を組み立てた後、キャビティは充填開口を介してエレクトロクロミック組成物で充填され、充填後、充填開口は塞がれ、その後シールを形成する接着材料で被覆される。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、付随の図面を参照する以下の詳細な記載の中で明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面中、様々な実施形態に共通の構造的及び/又は機能的要素は同じ参照符号を有することに留意されたい。したがって、特段の記載のない限り、そのような要素は同一の構造的、寸法的及び物質的特性を有する。
【0029】
明確にするために、記載される実施形態を理解するために有用な要素だけが示され、詳細に記載される。
【0030】
図1は、本発明による眼用装置1を示す。
【0031】
図1に示される実施形態によれば、眼用装置1は、2つのエレクトロクロミックセル3a、3bが取り付けられるフレーム2を含む。
【0032】
図2Bに示されるように、エレクトロクロミックセル3は、2つの透明層4、5を含み、それらは有利に非導電性であり、それらの間に、エレクトロクロミック組成物7によって満たされるように意図されたキャビティ6の範囲を定める。エレクトロクロミック組成物は例えばプロピレンカーボネートなどの溶媒、ポリメチルメタクリレートなどの増粘剤、1,1’−ビス(3−(tert−ブチル)フェニル)[4,4’−ビピリジン]−1,1’−ジイウムビス(テトラフルオロボラート)及び1,1’−ビス(3−(tert−ブチル)フェニル)−[4,4’−ビピリジン]−1,1’−ジイウムビス(テトラフルオロボラート)などの酸化剤、10−メチルフェノチアジン(MePhtz)などの還元剤、及びテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBA BF
4−)などの電解質を含む溶液であってもよい。
【0033】
したがって、各透明層4、5は内面4a、5a及び外面4b、5bを含む。したがって、「内(inner)」という語はより詳細にはセル3のキャビティ6の範囲を定める面4a、5aを示し、「外(outer)」という語はより詳細にはキャビティ6の外側の面4b、5bを示す。キャビティ6はしたがって2つの内面4a、5aの間に厚さeを有する。
【0034】
透明層4、5は有機又は鉱物材料から作られた層であってもよい。透明層4、5はまた、紫外線をフィルタリングするように、特に例えば420nm未満の波長を吸収するように選択されてもよい。一般に、透明層4、5の材料、又はその内面4a、5a及び/又は外面4b、5bの処理は、透明層4、5が、着色された反射、ミラー効果、ブルーライトに対する保護、又は赤外線に対する保護を可能にするなど、有利な特徴を有することを可能にすることができるが、このリストは限定的なものではない。一実施形態によれば、透明層4、5は、着色されても、フォトクロミックであっても、及び/又は偏光されてもよい。一実施形態によれば、透明層4、5は、機械的強度を増すように焼き戻された材料から作られてもよい。
【0035】
好ましくは、透明層4、5は、50マイクロメートル〜2000マイクロメートル、又は300マイクロメートル〜1000マイクロメートルの厚さを有する。
【0036】
透明層4、5は例えば球形の外殻であってもよく、及び特に周縁8によって範囲を定められた楕円体又は卵型の形状を有してもよい。特に、透明層4、5は、キャビティ6のエレクトロクロミック組成物7とともに、眼用装置1の装用者の眼科処方箋に適合する眼鏡レンズであると好ましい。
【0037】
本発明によれば、透明層4、5の少なくとも1つの内面4a、5a、特に両方の内面4a、5aは湾曲している、すなわち、それらはゼロでない曲率を有する。例えば、透明層4、5の内面4a、5aは、それぞれ凹状又は凸状であってもよい。さらに、透明層4、5の外面4b、5bも同じく湾曲していてもよく、特に凹状又は凸状であってもよい。
【0038】
透明層4、5のそれぞれの内面4a、5aは、少なくとも部分的に、好ましくは完全に導電性コーティング9、10によって被覆される。導電性コーティング9、10は、例えば、有機又は鉱物透明伝導性材料、例えば透明酸化物導電帯(TCO)から形成されてもよい。好ましくは酸化インジウムスズ(ITO)が使用される。導電性コーティング9、10はまた、IMI(ITO、金属、ITO)、GZO、AZO、FTO、SWNT(カーボンナノチューブ)、グラフェン、銀線又はPEDOT材料から形成されてもよい。
【0039】
セル3及び特に2つの透明層4、5は、周囲シール11によって一緒に保持される。シール11は従ってキャビティ6を完全に取り囲む。シール11は、セル3の十分な厚さeを、及びまた透明層4、5のそれぞれの導電性コーティング9、10間の直接接触の欠落を保証することを可能にする。
【0040】
シール11は、特にセル3の組立て後、数十マイクロメートル〜数百マイクロメートルの、好ましくは40マイクロメートル〜200マイクロメートルの、より詳細には80マイクロメートル〜160マイクロメートルの、さらにより詳細には90〜150マイクロメートルの高さhを有する。例としてシール11の高さhは約110マイクロメートルに等しくてもよい。この高さhは、透明層4、5の周縁8の、特に内面4a、5aの周縁の近くのキャビティ6の厚さeに対応する。
【0041】
より詳細には、
図2Bに示されるようなシール11の高さhは、以下に記載するような接続要素9、10上に堆積されないシール11に対応する。しかしながら、シール11が接続要素9、10上に、特に部分的に堆積される一実施形態では、高さhは、シール11の高さに、及び統合される接続要素9、10の高さに一致する。
【0042】
さらに、シール11の幅Lは、好ましくは1000マイクロメートル未満、又は800マイクロメートル未満でさえある。従って、眼用装置がフレームに導入されるとき、シールは決して見えず、装用者の視界も眼用装置の有用な領域も制限しない。
【0043】
「幅」という語は、透明層4、5の内面4a、5aと実質的に平行な面内に延在する要素の大きさを示す。「高さ」又は「厚さ」という語は、透明層4、5の内面4a、5aを実質的に横切る方向に延在する要素の大きさを示す。
【0044】
シール11は、2つの透明層4、5間の付着を維持する接着材料20から作られる。
【0045】
一実施形態によれば、接着材料20は、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシ、ポリウレタン、又はシリコーングルーであってもよい。好ましくは、接着材料20は、特に、カチオン性エポキシ、エポキシ−アミン、エポキシ−無水物又はオキシムシリコーングルーである。
【0046】
接着材料20は光及び/又は熱重合可能樹脂であると好ましい。接着材料20は特にカチオン開始されたエポキシ樹脂である。そのような樹脂は、続けて記載するように、光に暴露することによって及び/又は熱的に加熱することによって架橋することができる。充填されたエポキシ樹脂は、架橋すると、良好な機械的強度を有するシール11を得ることを可能にする。さらに、このようにして得られたシール11は、水密性且つ気密性である。
【0047】
一実施形態によれば、接着材料20はエレクトロクロミック組成物7に対して適合性がある、すなわち不活性であり、すなわち、エレクトロクロミック組成物7の化学的相互作用も劣化も誘発しない。
【0048】
一実施形態によれば、接着材料20は、ガラスビード又はポリマービードなどのスペーサ要素12を含む。スペーサ要素12は電気絶縁性である。特に、接着材料20のスペーサ要素12は、透明層の内面4a、5aのそれぞれと接触する。スペーサ要素12は従ってシール11の高さhを決定且つ制御することを可能にし、従ってキャビティ6の十分な厚さを得ることを可能にする。
【0049】
一実施形態によれば、接着材料20はまた、チキソトロープ剤を含む。そのようなチキソトロープ剤は、透明層4、5の一方に堆積される接着材料20の量を制御することによってシール11の形状を最適化することを可能にする。
【0050】
チキソトロープ剤は特にシール11の高さhと幅Lの間の満足のいく比率を得ることを可能にする。従って、シール11の幅Lを最小化する一方で十分な厚さeを有するキャビティ6を得ることが可能である。これは、シール11の幅Lのかなりの増大をもたらし得る縁効果を、すなわち、接着材料20を透明層に堆積する間の接着材料20の局所的な広がりを回避することが可能である。
図2Bに例として示されているように、シールは透明層4、5の内面4a、5aに対して垂直に延在する。
【0051】
さらに、チキソトロープ剤は、シールの高さhと幅Lの比率を制御しながらシールを湾曲表面上に堆積することを可能にする。従って、シールの断面(高さh及び幅L)は、シールが湾曲表面上の複雑な線に沿って堆積されるとしても、実質的に一定のままである。それというのも、シールのレオロジーの制御はシールが広がること又は崩れることを防止し、耐漏れ性欠陥も審美的欠陥ももたらさない。
【0052】
透明層4、5のそれぞれの導電性コーティング9、10は電極を形成するが、これらは互いに接触せず、
図1に示されるようなバッテリなどの外部電源13に電気的に接続されるように意図されていない。
【0053】
このため、接続要素14、15(「バス」とも呼ばれる)を、特に金属製のものを、各導電性コーティング9、10と直接接触した状態で透明層4、5のそれぞれの周囲に堆積させることができる。接続要素14、15のそれぞれは、部分的に、特に完全に、その周縁8で、特にセル3の縁面で各透明層4、5を囲む。接続要素14、15のそれぞれは、特に、透明層4、5のそれぞれの周縁8に配置され、特に透明層4、5のそれぞれの周囲で等電位を形成する。接続要素14、15は例えば銅、金、銀又はニッケルから作られる。好ましくは、接続要素14、15は、エレクトロクロミック組成物7と相互作用しないように、及び腐食を防止するように、不活性化される。
【0054】
接続要素14、15のそれぞれは、セル3によって形成されたキャビティ6の外側に配置され、従ってキャビティ6を満たすエレクトロクロミック組成物7と接触しない。変形として、シール11は少なくとも部分的に接続要素14、15を被覆してもよい。
【0055】
シール11はキャビティ6と接続要素14、15のそれぞれとの間に配置される。換言すると、シール11の外周は各接続要素14、15の外周よりも小さい。従って、接続要素14、15のそれぞれはエレクトロクロミック組成物7から隔絶され、特に電気的に隔絶され、それによりセル3の局所的な機能不良を防止する。
【0056】
各接続要素14、15は好ましくは500マイクロメートル〜800マイクロメートルの幅を有する。各接続要素14、15はさらに好ましくは0.5マイクロメートル〜30マイクロメートルの、好ましくは1〜15マイクロメートルの、より好ましくは1〜5マイクロメートルの高さを有する。2つの接続要素14、15の合計厚さは、必然的にセル3の厚さe未満であり、その結果、これら2つの接続要素14及び15は互いに接触しない。
【0057】
セル3の電気的作動を保証するために、各接続要素14、15は、制御回路16に電気的に接続される。制御回路16は例えば、セル3のオンオフ及び/又は伝送レベルを制御することを可能にするマイクロコントローラを備えた小型電気制御盤である。
【0058】
例えば
図4に示される一実施形態によれば、制御回路16は2つの接続要素14、15の間に直接配置される。シール11はこの制御回路16と接触せず、干渉もしない。制御回路16はまた、2つの面16a、16bを含み、面16a、16bのそれぞれは、接続要素14、15と、特に直接接触した状態で又は導電性グルー又は導電性接着剤の助けを借りて、電気的に接続される。この実施形態によれば、その2つの面16a、16bの間の制御回路16の高さは、セル3のキャビティから接続要素14、15の厚さを引いた厚さに等しい。
【0059】
図3に示される別の実施形態によれば、制御回路16は、2つの接続要素14、15の間に直接配置されない。眼用装置1は導電性中間要素17(「コード(flex)」とも呼ばれる)を含む。導電性中間要素17は好ましくは
図1に示されるように眼用装置1のフレーム2の鼻又はこめかみ側に配置される。
【0060】
この実施形態によれば、導電性中間要素17は、第1端部17aで、接続要素14、15のそれぞれと別々に電気的に接続される。導電性中間要素17は接続要素9、10のそれぞれの比較的広い表面と接触してもよい。この実施形態によれば、導電性中間要素17は、セル3との組立てを容易にするために、例えば透明層4、5の周縁8の形状を部分的に採用してもよい。
【0061】
従って導電性中間要素17は、透明層4、5のそれぞれの周縁8を部分的又は完全に囲むことができる。導電性中間要素17が透明層4、5の周縁8を完全に囲むこの実施形態によれば、セル3が接続要素14、15を含むことは必須ではなく、導電性中間要素17が接続要素14、15として作用する。
【0062】
従って、変形として、セル3は、特に上に記載したコーティング9、10が十分に導電性のある材料から作られているとき、接続要素14、15を含まなくてもよい。
【0063】
導電性中間要素17はまた、セル3の作動が制御されることを可能にするために、第2端部17bで、制御回路16に電気的に接続される。
【0064】
図5に概略的に示される本発明によるセル3を組み立てる方法を以下に記載する。
【0065】
最初、導電性コーティング9、10によって内面4a、5aをそれぞれ被覆された2つの透明層4、5が準備される。
【0066】
同じく接続要素14及び15を、例えば蒸着によって又は電気めっきによって、透明層4、5上に、特に導電性コーティング9、10上に事前に堆積してもよい。
【0067】
第1堆積ステップS1において、架橋可能な接着材料20を透明層4上に、特にその内面4aの導電性コーティング9上に堆積する。接着材料20を透明層4、5の一方の周囲に、特に透明層4、5の一方の周縁8の近くに堆積する。
図1に示されるように、セル3がフレームに取り付けられているとき、接着材料20、特にシール11は見えない。
【0068】
図6に示されるように、セル3が組み立てられるとキャビティ6に開口する少なくとも1つの充填開口19を接着材料20中に形成するように、接着材料20を透明層4の1つの内面4aの周囲に部分的により詳細に堆積する。充填開口19は、装置1の美的魅力に影響を与えないように、セル3の周囲に、特に縁面に配置される。
【0069】
接着材料20は、例えば「Moineau」ポンプなどの一軸偏心ねじポンプ(progressive cavity pump)を用いて容量分析で堆積されると好ましい。シール11の高さhはスペーサ要素12の高さによって決定されるが、シール11の幅Lは、上で述べたように堆積される接着材料20の体積、及びポンプと接着材料20が堆積される透明層4又は5との間の相対的な移動速度を制御することによって決定することが可能である。
【0070】
一実施形態によれば、接着材料20を堆積するステップS1は、例えば多軸位置決めシステム、具体的には、特に表面の曲率、特に接着材料20が堆積される内面4a、5aの曲率を辿る3軸ロボット(図には示されていない)によって、自動的に実行される。
【0071】
接着材料20は好ましくは2つの透明層4、5のうちの1つだけの内面4a、5aを被覆する導電性コーティング9、10上に堆積される。或いは、接着材料20は、2つの透明層4、5の導電性コーティング9、10のそれぞれの上に堆積してもよい。
【0072】
上述した堆積ステップS1の代わりに、接着材料20を透明層4上に堆積するために、充填された接着樹脂の、例えば充填されたエポキシ樹脂のフィルムを用いることが可能である。フィルムはまず、接着材料20のストリップを形成するために、特にレーザによって正しい形状に切断される。次いで接着材料20は透明層4、5の1つの周囲で、特に透明層4、5の1つの周縁8の近くで正確に堆積される。
【0073】
第2の組立てステップS2において、2つの透明層4、5は組み立てられ、2つの透明層4、5の内面4a、5aは、エレクトロクロミック組成物7で充填されることを意図されたキャビティ6を一緒に形成するために、互いに対向して配置される。この組立てステップは手動で又は自動的に実行されてもよい。
【0074】
この組立てステップS2の間、導電性中間要素17は、必要であればセル3の中に提供される。
【0075】
図7に示されるように、セル3は次いで支持装置18によって支持される。例として、支持装置18は2つの透明層4、5の外面4b、5bと接触する複数のシールクランプ18a、18bを含んでもよい。2つの透明層4、5の間に圧縮応力を提供するために完全に球形の工具を用いることも可能である。一般に、上で述べたように組み立てられた2つの透明層4、5を一緒に保持することができるいかなる装置も使用することができる。
【0076】
第3の架橋ステップS3において、接着材料20は架橋される。
【0077】
開始段階において、接着材料20は最初に光暴露処理、又は光子処理にかけられる。接着材料20は好ましくは紫外線処理にかけられる。或いは接着材料20は好ましくは可視光処理にかけられる。その後接着材料20は固化され、次いでスペーサ要素12が接着材料20中に固定される。次いで支持装置18を取り去ることが可能である。
【0078】
接着材料20の光への暴露に続く伝播段階において、接着材料20は熱処理にかけることによって同じく架橋される。このため、支持装置18によって有利に支持されたセル3は、例えば60〜180℃の温度で数分〜数時間の期間、例えば110℃又は120℃で約30分又は60分に等しい期間、オーブン内に置かれる。
【0079】
光への暴露による、その後の熱処理によるこの架橋ステップは、縁効果の出現を防止することが可能である。特に、そのような縁効果は実際に、接着材料20が例えば熱処理だけにかけられる場合、現れる可能性が高いだろう。
【0080】
上で述べたように架橋された接着材料20は、シール11を形成する。
【0081】
次にキャビティ6は、シール11に形成された充填開口19を介してエレクトロクロミック組成物7で充填される。キャビティ6は例えば真空下に置くことによって、毛細管作用によって、又は注入によって、エレクトロクロミック組成物7によって充填される。毛細管作用による又は注入による充填の場合、接着材料20は、特に充填の間キャビティ6からの空気の排出を可能するために、少なくとも2つの充填開口19を含む。
【0082】
充填後、充填開口19はグルーを用いて、例えば一成分又は二成分シリコーングルーを用いて、塞ぎ戻される。シリコーングルーはエレクトロクロミック組成物に対して不活性であるように選択される。
【0083】
次いで、シール11を形成するために使用されたものなどの接着材料20が好ましくはシリコーングルー上に戻され、シール11の、特に空気に対する耐漏れ性を保証する。変形として、周囲シール11を形成する接着材料20と異なる接着材料を使用することもできる。
【0084】
一変形によれば、キャビティ6を充填するためにシール11に形成された充填開口19は使用されない。この変形によれば、セル3は、「滴下充填(one drop filling)」方法によって事前に充填される。この方法によれば、制御された量のエレクトロクロミック組成物7の液滴が、組立てステップS2の前及び接着材料20を堆積するステップS1の後、キャビティ6の内側で透明層4の内面4a上に均一に分配される。このようにして、組立ての間、セル3のキャビティ6はエレクトロクロミック組成物7によって予め充填されている。
【0085】
このようにして、最終的に組み立てられたセル3が得られる。
【0086】
組立て方法のおかげで、セルの有効な視界に入らないような及び使用者によって見ることができないような十分に小さい幅Lを有するシール11が得られる。
【0087】
同じ様にシール11の高さh、従ってキャビティ6の厚さeを制御することができる。
【0088】
厚さeは特にキャビティ6全体を通して一定であってもよい。変形として、内面4a、5aの異なる曲率のせいで、キャビティ6の厚さeもキャビティ6内で変化し得る。例えば、キャビティ6の厚さeの変化は、セル3のキャビティ6の最大厚さemaxの10%未満である。
【0089】
このように、セル3の厚さeは例えば、その周辺よりもセル3の中心においてより大きくてもよい。次いで、導電性コーティング9、10の弱い導電性を補うことが可能である。別の例によれば、セル3の厚さeは、セル3の伝送勾配を作り出すようにセル3内で高さが変化してもよい。
【0090】
明らかに、本発明は、上に記載され単に例として提供された実施形態に限定されない。本発明は、当業者が本発明の文脈内で想定し得る様々な修正、代替形態及び他の変形、特に、個別に又は組み合わせて取り込むことができる上述の様々な動作モードの任意の組合せを包含する。