特許第6906527号(P6906527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6906527可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906527
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/22 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   E06B3/22
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-535311(P2018-535311)
(86)(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公表番号】特表2019-510896(P2019-510896A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】IB2017051176
(87)【国際公開番号】WO2017149460
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】UB2016A001255
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518088141
【氏名又は名称】グラフ シナジー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッカーリ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッリーニ,ジルベルト
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03943333(DE,A1)
【文献】 特表2000−510931(JP,A)
【文献】 特開平06−173536(JP,A)
【文献】 特開2005−351008(JP,A)
【文献】 特表2003−505621(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02487313(EP,A1)
【文献】 特開2010−150819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04 − 3/46
3/50 − 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法であって:
戸枠及び窓枠を具現化するために可塑性材料から成る外形部材(1)を少なくとも1個設ける少なくとも1つの工程と、
金属材料から成る補強部材(8)を少なくとも1個設け、前記外形部材(1)は前記補強部材(8)の収容座(6)を少なくとも1個有する少なくとも1つの工程と、
前記補強部材(8)を前記収容座(6)内に挿入する少なくとも1つの工程と、
前記補強部材(8)を固定手段(9)により前記外形部材の少なくとも1つの部分(10)と前記補強部材の少なくとも1つの部分(11)との間で前記外形部材(1)に固定する少なくとも1つの工程と、を備え、
前記固定する工程は前記補強部材の前記部分(11)を電磁誘導手段(12)により加熱する少なくとも1つの工程を備え、前記固定手段(9)は、前記補強部材の前記部分(11)を前記外形部材の前記部分(10)に固定するため、前記外形部材の前記部分(10)及び前記補強部材の加熱された前記部分(11)のうち少なくとも一方と協働するよう構成され
前記加熱する工程は前記外形部材の前記部分(10)を軟化する工程を備え、前記補強部材の加熱された前記部分(11)は前記外形部材の前記部分(10)に接触して配置され、前記補強部材の加熱された前記部分(11)は前記外形部材の軟化した前記部分(10)を得るために前記外形部材の前記部分(10)に熱を発生させるよう構成され、
前記固定手段(9)は前記補強部材の前記部分(11)に形成される貫通孔(13)を少なくとも1個備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、前記固定する工程は前記外形部材の軟化した前記部分(10)を前記貫通孔(13)の少なくとも一部内で押圧する少なくとも1つの工程を備え、前記押圧する工程は前記軟化する工程の後に実行されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法であって:
戸枠及び窓枠を具現化するために可塑性材料から成る外形部材(1)を少なくとも1個設ける少なくとも1つの工程と、
金属材料から成る補強部材(8)を少なくとも1個設け、前記外形部材(1)は前記補強部材(8)の収容座(6)を少なくとも1個有する少なくとも1つの工程と、
前記補強部材(8)を前記収容座(6)内に挿入する少なくとも1つの工程と、
前記補強部材(8)を固定手段(9)により前記外形部材の少なくとも1つの部分(10)と前記補強部材の少なくとも1つの部分(11)との間で前記外形部材(1)に固定する少なくとも1つの工程と、を備え、
前記固定する工程は前記補強部材の前記部分(11)を電磁誘導手段(12)により加熱する少なくとも1つの工程を備え、前記固定手段(9)は、前記補強部材の前記部分(11)を前記外形部材の前記部分(10)に固定するため、前記外形部材の前記部分(10)及び前記補強部材の加熱された前記部分(11)のうち少なくとも一方と協働するよう構成され、
前記固定手段(9)は前記補強部材の前記部分(11)の第1の端部(15)及び第2の端部(16)と、前記第1の端部(15)と前記第2の端部(16)との間に挿入されて前記端部(15、16)を相互に接触し前記外形部材の前記部分(10)から分離した状態に保持するよう構成される一時的接続手段(17)とを備えることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法であって、前記一時的接続手段(17)は前記補強部材(8)の溶融温度より低い溶融温度を有する材料から成ることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項又はに記載の方法であって、前記固定手段(9)は:前記電磁誘導手段(12)が解除され、前記端部(15、16)が前記一時的接続手段(17)を介して少なくとも部分的に相互に結合され、前記外形部材の前記部分(10)から分離する第1の形態と、前記電磁誘導手段(12)が起動され、前記補強部材の前記部分(11)が前記端部(15、16)を分離するため前記一時的接続手段(17)に熱を伝達するよう構成され、前記端部(15、16)は相互から分離し、前記端部(15、16)のうち少なくとも一方が前記外形部材の前記部分(10)に接触する第2の形態との間で可動であることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、少なくとも1個の戸枠及び窓枠を具現化するために複数の前記外形部材(1)を封止する工程を備え、前記封止する工程は前記固定する工程の後に実行されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、前記加熱する工程は前記封止する工程の前に実行されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、前記加熱する工程は前記封止する工程の後に実行されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は戸枠及び窓枠のための可塑性材料から成る外形部材の具現化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエネルギー消費を軽減するため、内的環境と外的環境との間をある程度確実に断熱する戸及び窓等の枠が特に求められていることは公知である。
【0003】
上記は、可塑性物質は熱伝導性が低いため市販の金属性の枠に比べて断熱性に優れているにも関わらず、可塑性材料、特にPVC(Polyvinyl chloride:ポリ塩化ビニル)から成る戸枠及び窓枠の分野においても特に求められている。
【0004】
これら外形部材は可塑性樹脂から成り、高い断熱効果を得るため外形部材自体の内部に特定の多室(multi−chamber)構造を有する。
【0005】
上記のような可塑性外形部材は主に、外部から加えられる力による圧力及び運動が原因で耐久性が低いことに起因する問題を抱える。
【0006】
この問題に関連して、長期に渡って太陽光線に晒される等により、照射により熱が伝達して可塑性外形部材が加熱された結果、外形部材自体が変形するリスクが高くなる。
【0007】
この問題を解決するため、外形部材自体の構造の安定性及び補強を向上させるために、外形部材内に画定される収容座に外形部材自体の全体に沿って延伸する補強部材を導入する方法が公知である。
【0008】
一般的に、上述のような補強部材は圧力ではほどんど変形しない金属棒タイプであって、収容座内に挿入されて、圧縮空気ねじ留めシステムを備える機械により外形部材の構造にねじ留めされる。
【0009】
固定ねじを使用するということは、外形部材構造の外部と内部との間で固定ねじ自体を介して熱が伝達されることを意味する。
【0010】
上述のように作られた可塑性戸枠及び窓枠は主として、枠自体が隔てる内的環境と外的環境との間の断熱が十分に行われないことに起因する問題を抱え、関連して内的環境において任意の温度を保持するためのエネルギー供給コストの問題がある。
【0011】
上述のような枠の具現化方法に関連する別の問題として、固定ねじを挿入するために外形部材を穿孔するということは、当該加工工程の結果、可塑性外形部材に欠けが形成され、余分な材料残渣を除去する必要があることを意味する。
【0012】
更に、公知の具現化方法では外形部材の視認できる表面に瑕疵が形成される場合があり、外形部材自体の美的外観及び全体としての良好な見た目が損なわれる可能性がある。
【0013】
又、別の問題は、補強部材を固定ねじにより外形部材に固定するための処理時間、及び外形部材自体を製造するための機械や関連する維持費が高コストであることに関する。
【0014】
別の問題は、外形部材を具現化するための、詳細には補強部材を外形部材自体にねじ留めするための公知の機械によるエネルギー消費量が大きいことに関するが、これは圧縮空気ねじ留めシステムのエネルギー消費量が少なくないためである。
【0015】
公知のねじ留めシステムにより外形部材を穿孔する作業が騒音を発生させることも不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主目的は、任意の温度を保持するためのエネルギー消費量を抑制するために枠自体の断熱性を向上させる、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、固定ねじによる外形部材の穿孔作業が原因の欠けの形成や相対的に余分となる材料を防止できる、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法を提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、補強部材を外形部材の構造に固定するための処理時間や、外形部材自体の具現化に使用される機械の製造費及び維持費を軽減できる、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、補強部材を外形部材の構造に固定するためのエネルギー消費量を軽減できる、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、外形部材の加工工程において発生する騒音を軽減できる、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、使用に際して簡潔で合理的且つ容易で効果的な、安価な解決策の範囲で上述の先行技術における問題を解決できる、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的は請求項1の特徴を有する可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法により達成される。
【0023】
本発明のその他特徴及び利点は、図示を目的とし限定を意図しない例として添付の図面に示す、可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法の好ましいが限定を意図しない実施形態に関する説明によりより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による方法により戸枠及び窓枠を具現化するために用いられる外形部材の詳細の不等角図である。
図2】本発明による方法における第1の実施形態の概略図である。
図3】本発明による方法における第1の実施形態の概略図である。
図4】本発明による方法における第1の実施形態の概略図である。
図5】本発明による方法における第2の実施形態の概略図である。
図6】本発明による方法における第2の実施形態の概略図である。
図7】本発明による方法における第2の実施形態の概略図である。
図8】本発明による方法における第3の実施形態の概略図である。
図9】本発明による方法における第3の実施形態の概略図である。
図10】本発明による方法における第3の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による可塑性材料から成る戸枠及び窓枠の具現化方法は、戸枠及び窓枠を具現化するために可塑性材料から成る外形部材1を少なくとも1個設ける工程を備える。
【0026】
前記外形部材1は窓や戸等の枠及びヒンジ部材のための枠組みを成すよう構成されて有益である。
【0027】
前記外形部材1はPVCから成るが、PVCとは異なる種類のヒートシール可能な可塑性材料も除外されない。
【0028】
図に示す前記外形部材1は、建築物の壁に形成される閉鎖可能な開口部の外周側部に固定される戸/窓の枠の枠組みを表す。
【0029】
詳細には、前記外形部材1は細長形状を有し、本考察において以下の通り理解される第1の主面2、第2の主面3、第1の側面4、及び第2の側面5を備える。前記第1の主面2及び前記第2の主面3は、枠自体が閉鎖可能な開口部の外周側部に結合された際に、枠の可視面となる。前記第1の側面4は、枠自体が閉鎖可能な開口部の外周側部に組付けられた際に、前記外形部材1の枠の略外周上に配置される面である。前記第2の側面5は、前記外形部材1の枠の略内周に配置され、ヒンジ部材の接触面に接触するよう構成される面である。
【0030】
複数の外形部材1を封止して結合するため、外形部材1の各々は、45°で適切に切断されて、直角に設けられる2個の外形部材1間の連結を画定する一対の上部表面を備える。
【0031】
更に、前記外形部材1は前記外形部材の全長に渡って内部に延伸する中空の主室6と、中空で適切な形状を有し、前記主室6を囲み、前記外形部材1をしっかり断熱するよう構成される複数の副室7と、を備える。
【0032】
前記方法は、金属材料から成る補強部材8を少なくとも1個設ける工程を備える。
【0033】
詳細には、前記外形部材1の各々は前記外形部材1の各々に固定可能な対応する 補強部材8を備える。
【0034】
前記補強部材8は略U字形状の外形を備える管状形状を有する。
【0035】
前記外形部材1は、前記主室6と略一致し、例えば前記補強部材自体を略適切な大きさに収容するための空間を画定する、前記補強部材8の収容座6を備える。
【0036】
前記方法は、前記補強部材8を適切な挿入手段により前記収容座6内に挿入する工程を備える。
【0037】
その結果、前記方法は、前記補強部材8を固定手段9により、前記外形部材の少なくとも一部分10と前記補強部材の少なくとも一部分11との間で前記外形部材1に固定する工程を備える。
【0038】
本発明によれば、前記固定する工程は、前記補強部材の加熱された部分11を得るため前記補強部材の前記部分11を電磁誘導手段12により加熱する工程を備える。
【0039】
前記固定手段9は、前記外形部材の前記部分10及び前記補強部材の前記加熱された部分11のうち少なくとも一方と協働して、前記補強部材の前記部分11を前記外形部材の前記部分10に固定するよう構成されて有益である。
【0040】
図示の好ましい実施形態において、前記電磁誘導手段12は電磁石、電磁石自体に電力を供給して数百KHzの周波数を有する磁場を発生させるよう構成される交流電力手段とを備える。
【0041】
交流電力手段により電磁石に電力が供給されることにより、前記電磁誘導手段12が発生させる磁場に晒される前記補強部材の前記部分11(金属材料から成る)上に一般に渦電流として知られる誘導電流が発生する。
【0042】
このフーコー(渦)電流は前記補強部材の前記部分11を加熱するよう構成され、その結果、前記補強部材の前記部分自体によるジュール効果により放熱が行われる。
【0043】
電力供給手段により電磁石に供給される電力に応じて、前記補強部材の前記部分11上に誘導されるフーコー電流が変化し、その結果、前記補強部材の前記部分自体によるジュール効果により放散される熱量が変化する。
【0044】
前記電磁誘導手段12は導電材料から成る部材のうち、図示の特定の実施形態において前記補強部材の前記部分11と一致する特定の関連部位においてフーコー電流を誘導するよう構成されて有利である。
【0045】
また、前記方法は窓/戸枠を具現化するために複数の外形部材1を封止する工程を備える。
【0046】
前記封止する工程は、前記補強部材8の各々を各外形部材1に固定する前記工程の後に実行される。
【0047】
前記方法の第1の実施形態において、前記補強部材8を加熱する前記工程は前記外形部材1を封止する前記工程の前に実行される。
【0048】
この点について、外形部材1の上部表面の各々をその他外形部材1の上部表面に封止する際、前記補強部材8の各々は前記主室6内にそれぞれ固定されることが分かっている。
【0049】
しかしながら、前記補強部材8を加熱する前記工程が前記外形部材1を封止する前記工程の後に実行される前記方法の別の第2の実施形態も除外されない。
【0050】
本第2の実施形態において、前記補強部材8の各々を前記外形部材1の各々の前記主室6に挿入する前記工程の後に、前記外形部材1の各々の各上部表面をその他外形部材1の上部表面に封止して窓/戸枠を得る前記工程が実行される。
【0051】
次に、対応する前記外形部材1内に挿入される前記補強部材8の各々を連続して又は同時に加熱する前記工程が実行される。
【0052】
窓/戸枠の製造要件のそれぞれに応じて、前記外形部材1を封止する前記工程は前記加熱する工程、したがって前記固定する工程の前又は後に実行してもよい。
【0053】
図2図4に示す第1の好ましい実施形態において、前記加熱する工程は、前記補強部材の前記加熱された部分11が前記外形部材の前記部分10に接触して配置され、より詳細には、前記補強部材の前記加熱された部分11が前記外形部材の前記部分10に熱を伝導して、前記外形部材10の軟化した部分を得るよう構成される、前記外形部材の前記部分10を軟化する工程を備える。
【0054】
図2図4から分かる通り、前記補強部材の前記部分11は前記外形部材の前記部分10に配置される前記主室6の内表面に接触して有益である。
【0055】
本考察において、軟化したという用語は前記外形部材の前記部分10が前記補強部材の前記部分11による熱伝導を受けて軟化点に到達する特定の熱力学的状態を意味する。
【0056】
詳細には、そのような熱力学的状態において前記外形部材の前記部分10は明確な融点、固体状態から流体状態へ変化する点を有さない。
【0057】
前記電磁誘導手段12は前記補強部材の前記部分11に誘導されるフーコー電流を発生させるよう構成され、その結果、前記補強部材の前記部分自体のジュール効果により加熱が行われて有益である。
【0058】
前記補強部材の前記部分11によるジュール効果により放散される熱量により、前記外形部材の前記部分10が伝導加熱され、当該熱により加熱され続けることにより軟化し、塑性変形する。
【0059】
詳細には、図2図4に示す第1の実施形態において、前記固定手段9は前記補強部材の前記部分11に形成される貫通孔13を備える。
【0060】
より詳細には、前記補強部材の前記部分11を加熱するということは、前記貫通孔13に接触して囲むように配置される前記外形部材の前記部分10を加熱し、前記外形部材の前記軟化した部分10が得られることを意味する。
【0061】
前記固定する工程は前記外形部材の前記軟化した部分10を前記貫通孔13の少なくとも一部内において押圧する工程を有益に備え、前記押圧する工程は前記軟化工程の後に有益に実行される。
【0062】
前記補強部材8の前記外形部材1への固着は、例えば前記外形部材の前記軟化した部分10が前記貫通孔13内に挿入可能となる方向への押圧力を加えるよう構成される適切な押圧手段14により実行される。
【0063】
好ましくは、前記押圧手段14は油圧又は電気的に操作され、前記外形部材の前記軟化した部分10の外表面に押圧力を加えることにより前記貫通孔13内に嵌合させるポンチ及びローラーから選択される。
【0064】
前記押圧手段14は、前記貫通孔13を備える前記補強部材の前記部分11に配置される前記外形部材の前記部分10の外表面に略直角な押圧方向Aに沿って移動可能である。
【0065】
より詳細には、前記押圧手段14により前記外形部材の前記軟化した部分10に加えられる変形は可塑性的であるが、これは前記補強部材の前記部分11と前記外形部材の前記部分10との間の熱伝導が完了すると、前記外形部材の前記部分自体の集合状態が流体から固体へ転移するためである。
【0066】
前記貫通孔13において、前記補強部材の前記部分11の前記主室6の内壁に対向する表面は、略尖状構造を有し表面自体から突出する凸部を複数備える凹凸外形を有して有利である。
【0067】
前記押圧する工程において、前記凸部は前記外形部材の前記軟化した部分10に配置される前記主室6の前記内壁内に嵌合して、前記補強部材8の前記外形部材1への固着を最大限にする。
【0068】
図5図7に示す第2の実施形態において、前記固定手段9は:前記補強部材の前記部分11の第1の端部15及び第2の端部16と、前記第1の端部15と前記第2の端部16との間に挿入されて前記端部15、16を相互に接触状態に保持して前記外形部材の前記部分10から分離させるよう構成される一時的接続手段17とを備える。
【0069】
前記一時的接続手段17は前記端部15、16を強制連結位置に保持し、前記主室6の前記内表面から分離させて、前記補強部材8の前記主室自体内への挿入を容易にするよう構成される。
【0070】
図5及び図6から分かる通り、前記端部15、16が前記一時的接続手段17により接触状態に保持されると、前記補強部材8は略矩形断面の管状構造を有する。
【0071】
好ましくは、前記一時的接続手段17は前記補強部材8の溶融温度より低い溶融温度を有する材料から成る。
【0072】
図示の特定の実施形態において、前記補強部材8の溶融温度より低い溶融温度を有するため、材料として錫を選択する。
【0073】
しかしながら、前記一時的接続手段17が前記補強部材8の溶融温度より低い溶融温度を有する接着性材料又はその他金属材料又は金属合金を備える別の実施形態も除外されない。
【0074】
詳細には、前記固定手段9は:前記電磁誘導手段12が解除され、前記一時的接続手段17を挿入することにより前記端部15、16が少なくとも部分的に相互に結合され、前記外形部材の前記部分10から分離する第1の形態と、前記電磁誘導手段12が起動され、前記補強部材の前記部分11が前記一時的接続手段17に熱を伝達するよう構成され、相対的な溶融温度が得られると、前記端部15、16が相互から分離する第2の形態との間で可動である。このような第2の形態において、前記端部15、16は相互から分離し、前記端部15、16のうち少なくとも一方が前記外形部材の前記部分10に接触する。
【0075】
より詳細には、前記電磁誘導手段12が起動されると、前記補強部材の前記部分11に誘導されるフーコー電流が前記補強部材の前記部分自体によるジュール効果により放熱を発生させ、その結果、前記端部15、16間に挿入される前記一時的接続手段17も放熱を受ける。
【0076】
前記端部15、16から前記一時的接続手段17に伝導される熱量に応じて前記一時的接続手段自体が固体から液体に緩やかに状態遷移するが、その際、遷移が発生すると、前記端部15、16は固体状態の前記一時的接続手段自体により画定される相互の強制連結位置から分離する。
【0077】
したがって、前記第2の形態において、前記端部15、16は前記主室6の前記内壁に接触して前記補強部材の前記部分11を前記外形部材の前記部分10にしっかりと固着する。
【0078】
前記端部15、16において、前記主室6の前記内壁に対向する前記補強部材の前記部分11の前記表面は凹凸外形を有して有利である。
【0079】
前記端部15、16が前記第2の形態を有する場合、前記補強部材の前記部分11の表面の尖状形状の前記凸部が前記外形部材の前記部分10に配置される前記主室6の前記内壁に嵌合して、前記補強部材の前記部分11の前記外形部材の前記部分10へのよりしっかりとした固着を容易にすることが分かる。
【0080】
図8図10に示す別の第3の実施形態において、前記固定手段9は前記補強部材の前記部分11と前記外形部材の前記部分10との間に挿入される充填体18を備える。
【0081】
前記充填体18は熱膨張材料から成り、前記充填体自体に熱が供給されると体積が増大して有益である。
【0082】
前記充填体18は略平坦形状を有し、前記補強部材の前記部分11と前記外形部材の前記部分10との間に挿入されて有益である。
【0083】
より詳細には、前記充填体18は、前記補強部材の前記部分11に結合される第1の部分19と、前記外形部材の前記部分10に配置される前記主室6の前記壁に対向する第2の遊離部分20とを備える。
【0084】
本第3の実施形態において、前記固定手段9は:前記電磁誘導手段12が解除され、前記充填体18の体積が変化しない。より詳細には、前記第2の部分20が自由で前記外形部材の前記部分10から分離した遊休形態と、前記電磁誘導手段12が起動され、前記電磁誘導手段自体が発生させる熱が前記補強部材の前記部分11から前記充填体18と一致する前記固定手段9に伝達される膨張形態との間で切替可能である。
【0085】
本膨張形態において、前記充填体18の体積は前記遊休形態に比較して膨張しており、前記第2の部分20は前記外形部材の前記部分10に接触して配置される。
【0086】
より詳細には、前記第2の部分20は前記外形部材の前記部分10に配置される前記主室6の壁に接着する。
【0087】
即ち、前記第1及び第2の実施形態における説明と同様に、前記電磁誘導手段12はフーコー電流を発生させるよう構成され、フーコー電流は続いて前記補強部材の前記部分11に誘導され、その結果、前記補強部材の前記部分自体のジュール効果により加熱が行われる。
【0088】
前記補強部材の前記部分11によるジュール効果により放散される熱量により、伝導により前記充填体18が加熱され、前記補強部材の前記部分11と前記外形部材の前記部分10に配置される前記主室6の内壁との間の隙間を完全に充填するまで膨張する。
【0089】
より詳細には、前記膨張形態において、前記第1の部分19及び前記第2の部分20の各々は、前記押圧方向Aと略一致する方向において逆向きの等しい押圧力を前記補強部材の前記部分11と前記外形部材の前記部分10に配置された前記主室6の前記内表面とに各々加えることにより、前記補強部材8が前記主室6内の固定位置に固着する。
【0090】
前記主室6の前記内壁に対向し前記第1の部分19が固定される前記補強部材の前記部分11の表面は、略尖状形状の前記表面自体から突出する複数の凸部を備える凹凸外形を有して有利である。
【0091】
前記膨張形態において、前記第1の部分19の前記補強部材の前記部分11向きの押圧力により、前記凸部が前記第1の部分自体に嵌合して前記補強部材8の前記外形部材1への固着を最大限にする。
【0092】
上述した発明により意図する目的が実際に達成されることが分かっており、詳細には、上述した方法により、公知の戸枠及び窓枠において発生する散熱を補強部材を対応する外形部材にねじ留めすることにより防止可能であることが明らかである。
【0093】
即ち、外形部材に対して穿孔を行わないことにより可塑性材料から成る枠の熱伝導を軽減させ、枠自体の断熱性を最大限にした結果、任意の温度室内を保持するためのエネルギー消費量を軽減させることができる。
【0094】
補強部材を固定するために外形部材を穿孔する工程を行わないことにより、欠けの形成や、相対的に余分となる材料、外形部材の穿孔作業による騒音公害が防止される。
【0095】
上述した前記方法によれば、外形部材の構造に補強部材を固定するための加工時間や、外形部材自体の製造に用いられる機械の製造コスト及び維持費、補強部材を外形部材に固定するためのエネルギー消費量を軽減できる。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
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図10