(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
少なくとも一つの例示的な実施形態は、たばこ材料から揮発分を抽出する方法、および抽出された揮発分を含むプレベイパー製剤を作製する方法に関連する。
【0004】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤を作製する方法は、たばこ材料を約50℃〜約250℃の範囲の温度に加熱して、加熱されたたばこ材料を形成することと、加熱されたたばこ材料から揮発分を回収することと、回収する工程の後で揮発分をプレベイパー製剤と化合することとを含む。揮発分をプレベイパー製剤と化合する工程は、回収する工程の後に直ちに実施されることが好ましい。本明細書で使用される「直ちに」という用語は、回収する工程と化合する工程の間に介在する工程なしで、回収された揮発分をプレベイパー製剤と化合することを意味するために使用される。
【0005】
加熱する工程において、たばこ材料は約50℃〜約250℃、好ましくは約100℃〜約200℃、好ましくは約125℃〜約175℃の範囲の温度に加熱される。
【0006】
加熱する工程は標準大気圧で実施されることが好ましい。
【0007】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法は、加熱する工程の前に添加物をたばこ材料と化合することをさらに含みうる。添加物はメイラード反応を促進しうる。添加物は酵素加水分解を助長して風味剤の放出を促進しうる。添加物はケーシング溶液、溶媒、pH調整剤、および風味剤のうちの一つ以上を含みうる。溶媒は水、エタノール、グリセリン、およびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含みうる。
【0008】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、回収する工程は加熱されたたばこ材料内に吸着材料を挿入することを含みうる。吸着材料は揮発分を吸着するように構成されている。方法はまた、揮発分を吸着材料から脱着することと、プレベイパー製剤を含む貯蔵部内に吸着材料を配置することと、電子ベイピング装置内に吸着材料を配置することとのうちの少なくとも一つを含みうる。
【0009】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、回収する工程は揮発分を凝結することを含みうる。
【0010】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、回収する工程は溶媒トラップを通して揮発分を泡立てることを含みうる。
【0011】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法はまた、加熱する工程中にたばこ材料を回転させることを含みうる。
【0012】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料はスラリー、湿潤したたばこの塊、および実質的に乾燥したたばこの塊のうちの一つの形態でありうる。
【0013】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法はまた、プレベイパー製剤を室温以下で維持することを含みうる。
【0014】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法はまた、加熱する工程の前にたばこ材料のpHを調節することを含みうる。
【0015】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は約2秒〜約1時間、好ましくは約2秒〜約5分にわたり加熱されうる。少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は約1秒〜約1時間、好ましくは約2秒〜約50分、好ましくは約5秒〜約40分、好ましくは約10秒〜約30分、好ましくは約20秒〜約20分にわたり加熱されうる。揮発分は回収後に直ちにプレベイパー製剤と化合させることが好ましい。
【0016】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は二つ以上の異なるたばこ品種の混合物を含みうる。
【0017】
本明細書の非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、詳細な説明を添付の図面と併せて検討すると、より明らかになるはずである。添付の図面は単に図示の目的のために提供され、請求項の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に注記されていない限り、実寸に比例して描かれていると考えられるべきでない。明瞭化の目的で、図面の様々な寸法は誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
幾つかの詳細な例示的な実施形態が本明細書で開示されている。しかしながら、本明細書に開示されている特定の構造面および機能面の詳細は、例示的な実施形態を説明することを目的とした単なる典型である。しかしながら、例示的な実施形態は、数多くの代替的な形態で具体化されることができ、本明細書に記載の例示的な実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0020】
従って、例示的な実施形態は、様々な修正および代替的形態が可能である一方で、その例示的な実施形態は図面の例によって示されており、本明細書で詳細に説明する。ところが当然のことながら、例示的な実施形態を、開示された特定の形態に限定する意図はなく、反対に、例示的な実施形態は、例示的な実施形態の範囲に収まるあらゆる修正、同等物、代替物を網羅するものである。同様の数字は、図の説明の全体で同様の要素を意味する。
【0021】
当然のことながら、要素または層が別の要素もしくは層「の上にある」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層の上に直接あってもよく、それに直接的に接続されてもよく、それに直接的に結合されてもよく、またはそれを直接的に覆ってもよく、あるいは介在する要素もしくは層が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素もしくは層「の上に直接ある」、「に直接的に接続される」、または「に直接的に結合される」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない。
【0022】
当然のことながら、第一の、第二の、第三のなどという用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、またはセクションを記述するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層、またはセクションはこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある一つの要素、構成要素、領域、層、またはセクションを別の構成要素、領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。従って、下記で考察される第一の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示内容から逸脱することなく、第二の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0023】
空間的関係の用語(例えば、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するもの)は、図中で図示する際に、一つの要素または特徴と他の要素または特徴との間の関係を説明しやすくするために本明細書で使用されてもよい。当然のことながら、空間的関係の用語は、図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に装置の異なる方向を包含することが意図されている。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素は、その後は他の要素または特徴の「上方に」方向付けられることになる。従って、用語「下方に」は上方および下方の両方の方向を包含する場合がある。装置は、その他の方法で(90度回転して、または他の方向で)方向付けられる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0024】
本明細書で使用される用語は、様々な例示的な実施形態を説明する目的のみのものであり、例示的な実施形態の制限を意図しない。単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形も含むことが意図されているが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合はその限りではない。「含む(includes)」、「含む(including)」「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という用語は本明細書で使用される時、述べられた特徴、整数、工程、動作、要素、または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、またはこれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0025】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想的な実施形態の概略図(および中間構造)である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば製造技法または許容差の結果として得られた図の形状からの変化が予想される。従って、例示的な実施形態は、本明細書に図示された領域の形状を限定するものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。
【0026】
その他の方法で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当該技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。用語(一般的に使用されている辞書で定義された用語を含む)は、関連する技術分野の文脈でのそれらの用語の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、理想的なまたは過度に正式な意味で解釈されないが、本明細書で明示的にそのように定義されている場合はその限りではないことがさらに理解されるであろう。
【0027】
電子たばこや電子葉巻たばこなどの電子ベイピング装置は、プレベイパー製剤が加熱されるとベイパー(蒸気)を生成する。ベイパーは、ベイパーがたばこ材料から揮発分を溶出する、たばこ材料を含む基体を通過しうる。その他の実施形態において、たばこ材料は加熱されてもよい。揮発分は、ヒーターに留まる傾向を持つ揮発性の低い化合物でもよく、これは高温でヒーターの分解を起こしうるとともに、ヒーターの性能を劣化させうる残留物を形成しうる。
【0028】
少なくとも一つの例示的な実施形態は、たばこ材料から揮発分を抽出し、プレベイパー製剤に揮発分を添加する方法に関連する。少なくとも一つの例示的な実施形態は、抽出された揮発分を含むプレベイパー製剤を形成するための装置に関連する。
【0029】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤は、ベイパーに変化しうる材料または材料の組み合わせとしうる。例えば、プレベイパー製剤は水、ビーズ、溶媒、活性成分、エタノール、植物抽出物、天然または人工の風味剤、グリセリンおよびプロピレングリコールなどのベイパー形成体、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない、液体、固体、およびゲル製剤のうちの少なくとも一つを含みうる。プレベイパー製剤は本明細書に記載の通り、たばこから抽出された揮発分を含む。
【0030】
図1は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、たばこ材料を揮発分から抽出するための、およびプレベイパー製剤を製造するための装置を図示した図式である。
【0031】
様々な図は、連続的なプロセス工程を示す。当業者であれば、これらの異なる工程にはバッチ、連続的またはセミバッチの作業が関与しうることが理解されるはずである。例えば、処理されたたばこの塊は添加物と混合されるとともに、排出されるかまたは回収容器内にパージされる前に、ある一定の温度で、バッチタイプの容器内で、ある一定の期間にわたり加圧されうる。また、たばこ特有の風味剤を生成する可能性のある発酵プロセスまたは酵素プロセスは、たばこ風味の創出および分離の過程の一部として含まれることも理解されるはずである。
【0032】
図1に示す通り、少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤を作製するための装置5が提供されている。装置5は、たばこ材料10を保持するように構成された容器12を含みうる。熱源14は、たばこ材料10を加熱して、たばこ材料10から揮発分20を放出させる。熱源14は、制御ユニット(図示せず)によって、制御、監視、または制御と監視の両方をしうる電気的な熱源でもよい。少なくとも一つの例示的な実施形態において、加熱は湯気または湯気と空気の混合物でたばこ材料を処理することによって達成されてもよい。揮発分20は回収され、プレベイパー製剤16を含む容器18に向けられる。少なくとも一つの例示的な実施形態において、揮発分20は回収の後に直ちに容器18内でプレベイパー製剤16と化合される。
【0033】
図2は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、プレベイパー製剤を作製する方法を図示したフローチャートである。
【0034】
図2に示す通り、少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法は概して、混合物を形成するためにたばこ材料と少なくとも一つの添加物を混合すること75と、混合物を加熱すること100と、揮発分を回収すること200と、揮発分とプレベイパー製剤を化合すること300とを含む。
【0035】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、加熱する工程100は、たばこ材料を約50℃〜約250℃(例えば、約100℃〜約200℃または約125℃〜約175℃)の範囲の温度に加熱して、加熱されたたばこ材料を形成することを含む。加熱する工程100は、約1秒〜約1時間(例えば、約2秒〜約50分、約5秒〜約40分、約10秒〜約30分、または約20秒〜約20分)にわたって実施されうる。加熱する工程の持続時間は、容器のサイズ、加熱されるたばこの質量、および撹拌されたかどうか、たばこの性質および熟成度、たばこが加熱される温度、および同じたばこに対する任意の事前処理工程に依存することは、当業者であれば明らかなはずである。
【0036】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、加熱する工程100は大気圧で実施される。他の例示的な実施形態において、高めまたは低めの圧力が使用されうる。
【0037】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料はタバコ属に属する任意の数の材料を含みうる。少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は二つ以上の異なるたばこ品種のブレンドを含む。
【0038】
使用されうる適切なタイプのたばこ材料の例には、火力乾燥たばこ、バーレー種たばこ、ダークたばこ、メリーランド種たばこ、オリエント葉たばこ、希少たばこ、特殊たばこ、その混合物、およびこれに類するものが含まれるが、これに限定されない。たばこ材料は、たばこラミナ、加工たばこ材料(ボリュームエクスパンデッドまたはパフトたばこなど)、加工たばこ茎(カットロールドまたはカットパフトステムなど)、再生たばこ材料、その混合物、およびこれに類するものを含め、これに限定されない適切な任意の形態で提供されうる。
【0039】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は実質的に乾燥したたばこの塊の形態である。
【0040】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は加熱する工程100中に回転、撹拌、かき混ぜおよびその組み合わせを施されうる。
【0041】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料は加熱する工程100の前に湿らせるか、または添加物で処理してもよく、またスラリーまたは湿潤したたばこの塊の形態でもよい。添加物は溶媒、風味剤、pH修正剤、およびケーシング溶液のうちの少なくとも一つを含みうる。塩に結合した風味剤を解除するため、風味剤の先駆物質の加水分解を起こさせるため、またはこれら両方のために、添加物をたばこ材料に添加しうる。添加物はメイラード反応などの特定の反応を促進するよう選択されうる。たばこのpHを変化させると、グルコシド結合された風味剤の加水分解を促進しうる。
【0042】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、溶媒は水、エタノール、グリセリン、およびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つを含む。以下に説明する通り、溶媒は、たばこに関連する風味化合物の抽出を向上でき、熱処理されたたばこ材料から、回収する工程200で使用される回収媒体への移動の効率を向上しうる。異なる極性および異なる揮発性のうちの少なくとも一つの溶媒を使用することで、結果的に異なる感覚的プロフィールを有するたばこ風味剤を創出しうる。少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤の一部分は溶媒として使用されうる。
【0043】
非選択的な溶媒抽出によって得られたたばこ抽出物は、異なる化学的性質を備え、かつ異なる分子サイズおよび異なる分子量のうちの少なくとも一つを持つ、抽出された材料を含みうる。このタイプの抽出物をプレベイパー製剤内で使用することは、電子ベイピング装置の加熱セクション内に蓄積されることのある化合物に起因する問題をもたらすことがあり、これが蓄積物や、副産物との化学反応につながりかねない。本明細書で開示されている少なくとも一つの例示的な実施形態の方法は、高い蒸気圧によってたばこから溶出される、揮発性が高く移動が容易な化合物の使用が含まれうる。
【0044】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、風味剤はメントール、ミント風味剤、果物風味剤、薬草風味剤、野菜風味剤、およびこれに類するものを含む任意の適切な風味剤を含みうる。
【0045】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、pH修正剤は酸または塩基のうちの一つを含む。pH修正剤は、たばこ材料のpHを望ましいレベルに調節するように選択される。たばこ材料のpHは、約1〜約14または約3〜約12の範囲としうる。
【0046】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、ケーシング溶液は水、湿潤剤(プロピレングリコールなど)、糖分、ココア、甘草、果物抽出物、その他の成分、およびその組み合わせを含みうる。
【0047】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、たばこ材料が加熱されると、揮発分が放出され、回収200されうる。
【0048】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法はまた、加熱されたたばこ材料から揮発分を回収すること200と、回収する工程200の後に直ちに揮発分をプレベイパー製剤と化合すること300とを含む。従って、揮発分は、損失および望ましくない化学反応のうちの少なくとも一つを最小化、低減、または最小化および低減するために、回収場所でプレベイパー製剤と化合される。
【0049】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤は、化合する工程300の前に、室温以下に維持されうる。
【0050】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤はベイパー形成体を含む。適切なベイパー形成体には例えば、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ−、ジ−またはトリアセテートなど)、およびモノ−、ジ−またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が含まれるが、これらに限定されない。蒸気形成体の例は、多価アルコールまたはその混合物、例えばプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンである。
【0051】
少なくとも一つの実施形態において、プレベイパー製剤は、約3:2の比で含まれるプロピレングリコールおよびグリセリンを含みうる。少なくとも一つの実施形態において、プロピレングリコールおよびグリセリンの比は、実質的に2:3および3:7でもよい。少なくとも一つの実施形態において、ベイパー形成体は、プレベイパー製剤の重量に基づき約40重量パーセント〜プレベイパー製剤の重量に基づき約90重量パーセント(例えば、約50パーセント〜約80パーセント、約55パーセント〜約75パーセントまたは約60パーセント〜約70パーセント)の範囲の量が含まれる。
【0052】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、プレベイパー製剤は水を含む。水は、プレベイパー製剤の重量に基づき約5重量パーセント〜プレベイパー製剤の重量に基づき約40重量パーセントの範囲の量が、またはプレベイパー製剤の重量に基づき約10重量パーセント〜プレベイパー製剤の重量に基づき約15重量パーセントの範囲の量が含まれうる。
【0053】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、ベイパー形成基体は単一のベイパー形成体、例えばグリセリンなどを含みうる。別の方法として、一部の例示的な実施形態において、ベイパー形成基体は、二つ以上のベイパー形成体の組み合わせを含みうる。
【0054】
少なくとも一つの実施形態において、予気化製剤はまた、風味剤を約0.01重量パーセント〜約15重量パーセントの範囲の量(例えば約1パーセント〜約12パーセント、または約2パーセント〜約10パーセント、または約5パーセント〜約8パーセント)で含みうる。風味剤は天然風味剤でもよく、人工風味剤でもよい。少なくとも一つの実施形態において、風味剤はタバコフレーバ、メントール、ウインターグリーン、ペパーミント、ハーブフレーバ、フルーツフレーバ、ナッツフレーバ、リカーフレーバ、およびその組み合わせのうちの一つである。風味剤は、本明細書に開示した通り、たばこ材料から抽出された一つ以上の揮発分を含みうる。
【0055】
実施形態において、ニコチンは予気化製剤の総重量に基づき約2重量パーセント〜約6重量パーセント(例えば、約2パーセント〜約3パーセント、約2パーセント〜約4パーセント、約2パーセント〜約5パーセント)の範囲の量で予気化製剤に含まれる。少なくとも一つの実施形態において、ニコチンは予気化製剤の総重量に基づき最大約5重量パーセントの量で添加される。少なくとも一つの実施形態において、予気化製剤のニコチン含有量は、予気化製剤の総重量に基づき約2重量パーセント以上である。別の実施形態において、予気化製剤のニコチン含有量は、予気化製剤の総重量に基づき約2.5重量パーセント以上である。別の実施形態において、予気化製剤のニコチン含有量は、予気化製剤の総重量に基づき約3重量パーセント以上である。別の実施形態において、予気化製剤のニコチン含有量は、予気化製剤の総重量に基づき約4重量パーセント以上である。別の実施形態において、予気化製剤のニコチン含有量は、予気化製剤の総重量に基づき約4.5重量パーセント以上である。
【0056】
少なくとも一つの例示的な実施例において、揮発分は予気化製剤中に、予気化製剤の重量に基づき約0.01重量パーセント〜予気化製剤の重量に基づき約5重量パーセント(例えば、予気化製剤の重量に基づき約0.5重量パーセント〜約4重量パーセント、または予気化製剤の重量に基づき約1重量パーセント〜約3重量パーセント重み)の範囲の量で含まれうる。従って、加熱する工程100は、望ましい量の揮発分がプレベイパー製剤に添加されるまで、維持、反復、または維持および反復がなされうる。
【0057】
図3は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、
図2の方法の加熱する工程を図示したフローチャートである。
【0058】
図3に示す通り、少なくとも一つの例示的な実施形態において、加熱する工程100は予熱する工程101を含みうる。この工程中、たばこ材料は初めて第一の温度に加熱される。加熱する工程100はまた、第一の加熱する工程102および第二の加熱する工程102を含みうる。第一の加熱する工程102は、2回目の加熱でたばこ材料を第二の温度に加熱でき、第二の加熱する工程103は、3回目の加熱でたばこ材料を第三の温度に加熱しうる。予熱する工程101、第一の加熱する工程102、および第二の加熱する工程103は、異なる時および異なる温度であってもよい。従って、異なる時、異なる温度、または異なる時と異なる温度の両方で放出されうる様々な揮発分(ピラジン、有機酸、および芳香族化合物など)は、たばこ材料から回収されて、プレベイパー製剤に添加されうる。
【0059】
図示されていないが、より少数の、または追加の加熱する工程が、加熱する工程100に含まれうる。
【0060】
図4は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、
図2の方法の回収する工程および化合する工程を図示したフローチャートである。
【0061】
図4に示す通り、少なくとも一つの例示的な実施形態において、回収する工程200は、加熱する工程100中に、加熱する工程100の前に、加熱する工程100の後に直ちに、およびその組み合わせで、加熱されたたばこ材料に吸収材を挿入すること202を含みうる。吸収材がたばこ材料に挿入されると、吸収材料は、たばこが加熱される際に生成された揮発分を吸着、吸収、または吸着および吸収204する。
【0062】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、風味の送達が吸着剤からカートリッジを通過するベイパー蒸気への風味剤の溶出によって達成されうるように、また風味の送達が風味剤カートリッジの加熱によって改善されうるように、吸収材は電子ベイピング装置と結合された風味剤カートリッジ内に配置しうる。
【0063】
本明細書で使用される「吸収材」は、他の物質の分子をその表面上に凝縮または保持する、他の物質を取り込む(すなわち、他の物質をその内側構造に、その孔に、または両方に浸透させることによって)、またはこれら両方をなしうる物質である。吸収材は任意の吸着剤、任意の吸収剤、これらの機能を果たしうる任意の物質、およびその組み合わせとしうる。
【0064】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、吸収材は、活性炭吸収材またはその他の微小孔性材料のうちの少なくとも一つとしうる。吸収材は、ガス成分をその表面上に吸収、吸着、または吸収および吸着するか、またはこうした成分をその物体内に同化する能力を持つ任意の材料としうる。吸収材は一つ以上の吸着剤を含みうる。適切な吸収材、吸着剤、または吸収材および吸着剤には例えば、活性炭などの炭素、アルミナ、ケイ酸塩、分子ふるい、沸石、およびポリジメチルシロキサン(PDMS)を含みうる。吸収材は複数のビーズの形態でもよく、または単一の一枚板の形態でもよい。
【0065】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、吸収材は、プレベイパー製剤に含められることが望ましい揮発分の選択的な吸収、吸着、または吸収および吸着を達成するために、望ましい粒子サイズを持つ揮発分を吸収、吸着、または吸収および吸着するように選択されうる。
【0066】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、吸収材は活性炭などの微小孔性材料(すなわち、微小孔性吸収材)である。微小孔性吸収材は幅、直径、または幅および直径が約20オングストローム(Å)未満の孔を持ちうる。
【0067】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、方法はまた、揮発分を吸収材から脱着すること206を含みうる。揮発分は、
図4に示す通り、化合する工程300中に、プレベイパー製剤の少なくとも一部分などのエアロゾル形成溶媒内での抽出によって、吸収材から脱着されうる。従って、吸収材から揮発分を抽出して、プレベイパー製剤と抽出された揮発分の混合物を形成するために、吸収材はプレベイパー製剤の少なくとも一部分またはプレベイパー製剤の少なくとも一つの成分(例えば、水またはプロピレングリコール)とともに容器内に配置されうる。次に、混合物は追加的な量のプレベイパー製剤に添加されて、抽出された揮発分を含むプレベイパー製剤を形成しうる。
【0068】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、揮発分は溶媒を使用して吸収材から脱着されてから、揮発分の回収の後に直ちにプレベイパー製剤と化合されてもよい。
【0069】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、揮発分をプレベイパー製剤と化合する代わりに、揮発性風味剤がベイピング中にベイパーに溶出しうるように、吸収材は電子ベイピング装置内に、ヒーターと電子ベイピング装置の口側の端との間に配置されてもよい。
【0070】
別の例示的な実施形態において、脱着は加熱脱着を含んでもよく、その後に溶媒トラップ、フィルター、または溶媒トラップおよびフィルターによって揮発分が泡立てられる。溶媒は、プレベイパー製剤の一部分またはその他任意の適切な溶媒(水やエタノールなど)を含みうる。
【0071】
図5は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、回収する工程および化合する工程を図示したフローチャートである。
【0072】
図5に示す通り、少なくとも一つの例示的な実施形態において、
図4に示す回収する工程200の代わりに、回収する工程200は、揮発性風味剤を凝縮すること210を含んでもよい。揮発性風味剤は、加熱する工程100中にたばこ材料から揮発分が抽出される際に、揮発分を冷却することによって凝縮されうる。例えば、揮発分は、たばこ材料を保持する容器からプレベイパー製剤を保持する容器へと管を通って移動することができ、管は冷却されて、管の長さに沿った凝縮を促進しうる。揮発分が冷却されると、凝縮物が回収されうる管の壁、表面、または壁および表面上に凝縮しうる。別の例示的な実施形態において、揮発分が管の壁、表面、または壁および表面上に凝縮した後、凝縮された揮発分がプレベイパー製剤と化合されうるように、凝縮物は回収容器内に排出されうる。冷却は揮発分の温度を約−78℃〜約10℃の範囲の温度に低下させうる。
【0073】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、揮発分が凝縮されると、化合する工程300は、凝縮された揮発分をプレベイパー製剤と混合すること320を含みうる。
【0074】
図6に示す通り、少なくとも一つの例示的な実施形態において、
図4および5に示す回収する工程200の代わりに、回収する工程200は、溶媒トラップを通して揮発分を泡立てること220を含んでもよい。
【0075】
その上、「一般に」および「実質的に」という単語が幾何学的形状に関連して使用される時、その幾何学的形状の正確さは要求されず、形状の許容範囲が本開示の範囲内であることが意図される。幾何学用語と併用される「概して」および「実質的に」という用語は、厳密な定義に一致する特徴だけでなく、厳密な定義にかなり近い特徴も含むことが意図される。
【0076】
本明細書において「約」という用語を数値と組み合わせて使用する場合、それに伴う数値は明示した数値の前後±10%の許容度を含むことが意図される。さらに、本明細書において百分率に言及する場合、それら百分率は重さ、すなわち重量百分率に基づくことが意図される。
【0077】
これで、プレベイパー製剤および電子ベイピング装置を作製する新しい、改善された、自明ではない方法が、当業者によって理解されうるように十分な詳細とともに本明細書で説明されていることが明らかとなる。さらに、本発明の範囲を著しく逸脱しない方法および電子ベイピング装置の特徴について、多数の修正物、変形物、置換物、および同等物が存在することが当業者に明らかとなる。従って、添付した請求項によって定義される本発明の範囲内に収まる、そのようなすべての修正物、変形物、置換物、および同等物は、添付した請求項によって包括されることが明示的に意図される。