(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記DC電圧変換装置が、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、降圧/昇圧コンバータ、双方向降圧/昇圧(split−pi)コンバータ、Cukコンバータ、single−ended primary inductor converter(SEPIC)、反転降圧/昇圧コンバータ、又は4スイッチ降圧/昇圧コンバータに基づく制御盤を備える、請求項1に記載のエネルギー蓄積セル。
前記制御盤が、前記1つ以上のメタキャパシタの最初の電荷状態から最小電荷状態への放電中にエネルギー蓄積セルの一定の出力電圧を維持するように構成され、前記最小電荷状態が、前記1つ以上のメタキャパシタ上に蓄えられた最初の保有エネルギーの0%から20%までに等しい残存エネルギーに対応する、前記1つ以上のメタキャパシタ上の電圧により定義される、請求項12に記載のエネルギー蓄積セル。
前記DC電圧変換装置が、1つ以上のスイッチ・モード電圧コンバータを備え、スイッチ・モード電圧コンバータが、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、降圧/昇圧コンバータ、双方向降圧/昇圧(split−pi)コンバータ、Cukコンバータ、single−ended primary inductor converter(SEPIC)、反転降圧/昇圧コンバータ、又は4スイッチ降圧/昇圧コンバータとして構成される、請求項13に記載のエネルギー蓄積セル。
アノード及びカソードを有する2つ以上の個々のエネルギー蓄積セルと相互接続システムとを備える容量性エネルギー蓄積モジュールであって、前記相互接続システムは、前記容量性エネルギー蓄積モジュールの共通のアノード及び共通のカソードを生み出すべく前記個々のエネルギー蓄積セルのアノード及びカソードを接続し、各個々のエネルギー蓄積セルは、DC電圧変換装置に結合される1つ以上のメタキャパシタを含み、各個々のエネルギー蓄積セルは、少なくとも1つの容量性エネルギー蓄積装置と、DC電圧変換装置とを含み、
前記容量性エネルギー蓄積装置は、1つ以上のメタキャパシタを備え、
前記容量性エネルギー蓄積装置の出力電圧は、前記容量性エネルギー蓄積装置の放電中は前記DC電圧変換装置の入力電圧であり、
前記容量性エネルギー蓄積装置の入力電圧は、前記容量性エネルギー蓄積装置を充電している間は前記DC電圧変換装置の出力電圧である、エネルギー蓄積モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの技術的用途は、再充電可能な電気エネルギー蓄積から恩恵を受けることができる。ほとんどの再充電可能な電気エネルギー蓄積システムは、再充電可能なバッテリに基づいている。再充電可能なバッテリは、電気化学反応を通じて電気エネルギーを蓄積及び放出する。再充電可能なバッテリは、自動車のスタータ、携帯型消費者デバイス、軽車両(電動車椅子、ゴルフカート、電気自転車、及び電気フォークリフトなど)、工具、及び無停電電源装置に用いられる。ハイブリッドの内燃機関−バッテリ及び電気車両での新生の用途は、技術を、コスト、重量、及びサイズを低減し、寿命を増加させる方向へ向かわせる。グリッドエネルギー蓄積用途では、負荷平準化のため、ピーク期間中の使用に向けて低需要時に電気エネルギーを蓄積するため、及び日中に太陽電池アレイから生成された電力を夜間に使用するべく蓄積するためなどの再生可能エネルギーの使用のために再充電可能なバッテリを用いる。負荷平準化は、発電所が生成することができなければならない最大電力を低下させ、資本費用及びピーキング発電所の必要性を低減する。携帯型電子デバイス、電動工具、家電などに動力を与えるのに小型の再充電可能なバッテリが用いられる。スクーターから機関車及び船に至るまでの電気車両に電力を与えるのに重負荷バッテリが用いられる。再充電可能なバッテリは、分散型の発電及び独立型の電力システムにも用いられる。このような用途は、しばしば、再充電可能なバッテリを、電圧、電流、温度、充電状態、及び放電状態などのバッテリパラメータを監視し、バッテリがその安全動作域外で動作することから保護するバッテリ管理システム(BMS)と併せて用いる。再充電可能なバッテリは、蓄積される単位エネルギー当たりの比較的大きい重量、自己放電する傾向、過度に深く放電した場合に損傷しやすい、過度に深く充電した場合に破局的な故障を生じやすい、単位重量当たりの限られた電力の利用可能性、単位エネルギー当たりの限られた電力の利用可能性、比較的長い充電時間、及び充電−放電サイクル数の増加に伴う蓄電容量の低下に起因する欠点を有する。
【0004】
再充電可能なエネルギー蓄積のためのバッテリの代替は、キャパシタベースのシステムを含む。キャパシタは、誘電体層によって分離される一対の電極間の静電界の形態のエネルギーを蓄積する。2つの電極間に電圧が印加されるとき、誘電体層に電界が存在する。バッテリとは異なり、キャパシタは、比較的迅速に充電することができ、損傷に悩まされずにより深く放電することができ、損傷なしに多数の充電放電サイクルを経験することができる。キャパシタはまた、比較できるバッテリよりも重量が軽い。ウルトラキャパシタ及びスーパーキャパシタの開発を含むキャパシタ技術の向上にもかかわらず、再充電可能なバッテリが、単位体積当たりにより多くのエネルギーを蓄積する。バッテリに比べたキャパシタの1つの欠点は、放電中に端子電圧が急速に降下することである。それに対して、バッテリシステムは、ほぼ使い果たされるまで急速に下がらない端子電圧を有する傾向がある。また、キャパシタ上に蓄積されるエネルギーは、線形誘電体に関して電圧の2乗で増加し、メタ誘電体に関して2倍以上なので、エネルギー蓄積用途のためのキャパシタは、通常は、バッテリよりもはるかに高い電圧で動作する。さらに、充電及び放電中に定電流モードが用いられない場合に、エネルギーが失われる。これらの特徴は、メタキャパシタと共に用いるためのパワーエレクトロニクスの設計を複雑にし、メタキャパシタ管理システムを、現在使用されるバッテリ管理システムとは区別する。
【0005】
このような状況下で、本開示の態様が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、1つ以上のメタキャパシタを有する容量性エネルギー蓄積装置を、容量性エネルギー蓄積装置の端子に結合される1つ以上のスイッチ・モード電圧コンバータを有するDC電圧変換装置と組み合わせることにより、従来の再充電可能な電気エネルギー蓄積技術に伴う問題に対処する。メタキャパシタは、従来のウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタよりも大きいエネルギー蓄積容量を有する。DC電圧変換装置は、充電及び放電中の容量性エネルギー蓄積装置上の電圧を調整する。
【0007】
電圧変換装置は、通常は、電圧ソース(入力)と、1つ以上の能動的又は受動的に制御されるスイッチと、1つ以上の誘導性要素(いくつかの進歩したコンバータ、例えば、チャージポンプ回路は、それ自体でインダクタを特に用いないが、回路基板及び/又は配線に寄生インダクタンスが存在する場合がある)と、1つ以上のエネルギー蓄積要素(例えば、キャパシタ及び/又はインダクタ)と、出力電圧及び/又は電流を感知する何らかの手段と、特定の出力電圧又は電流を生み出すべくスイッチを制御する何らかの手段と、このデバイスを種々の負荷などの外部入力及び出力に接続するための端子を含む。入力電圧V
inよりも小さい出力電圧V
out(V
out/V
in<1)を生成するための標準回路は、降圧コンバータと呼ばれ、入力電圧よりも大きい出力電圧(V
out/V
in>1)を生成するための標準回路は、昇圧コンバータと呼ばれる。降圧変換を説明するのにしばしば用いられる基本回路は、スイッチ付LCフィルタ(
図1)である。負荷は、これを通って流れる設定電流を達成するべくその抵抗が変化することになる抵抗器として考えることができる。事実上、これは、並列のキャパシタ及び抵抗器を備えるLCRローパスフィルタである。スイッチが閉じられるとき、LCネットワークがエネルギーを吸収し始め、電流がインダクタを通って流れ始める。しかしながら、電流が流れている状態でスイッチが開かれるとき、インダクタは、電流i(t)を維持しようと努めることになり、式(1)に従う逆電圧V(t)を生じることになる。
【数1】
【0008】
時間dtの十分に短い増分で電流diの増分変化が生じる場合に生じる逆電圧は極めて高くなり、これはスイッチング要素SW1を損傷又は破壊する場合がある。したがって、電流が流れ続けることができるように接地経路を設ける必要がある。この経路は、一方向弁として動作するダイオードと共に実装することができ、インダクタがスイッチング要素SW1の外へ電流を引こうとするときに自動的に開く(
図2参照)。これは、ダイオードが金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのパワートランジスタのスイッチングと自動的に同期されるので、非同期性降圧コンバータと呼ばれる。このようなコンバータは、能動的に同期される必要はない。このタイプの回路に伴う可能性のある問題は、スイッチング要素SW1がオフにされ、ダイオードがアクティブである間は、ダイオードがターンオン電圧に達し、該電圧が維持される必要があることである。これは、ダイオードを通って流れる電流により、ダイオードにわたる、例えば約0.6Vの電圧降下、したがって、電力損失が常に存在することになることを意味する。これは、同期性コンバータ設計を実装することにより改善することができ、この場合、ダイオードは、第2のスイッチSW2(
図3参照)に置き換えられ、コントローラは、それらが決して同時にオンにならないように両方のスイッチの動作を能動的に同期させる。
【0009】
同期性の設計でのMOSFETのオフとオンとの間の遅延は、シュートスルーイベントが確実に起こらないようにすることを必要とする。2つの別個のパルスを遅延を伴って設定することができるが、より良好な方策は、単一のPWMチャネルの設定のみを必要とし、第2の信号を自動的に駆動することであろう。少し考えてみれば、これは、
図3に示されたスイッチSW1及びSW2に印加されるスイッチング信号に時間遅延を導入するためのデジタルバッファ(又はインバータ)を用いて達成することができる。典型的なゲートは、2〜10nsの伝搬遅延を有するが、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのプログラマブル・ロジックを、可変の伝搬遅延を伴ってプログラムすることができる。
図4は、必要とされる時間遅延間隔でスイッチSW1、SW2に対応して一対の信号S’及び!S&&!S’’を生成するのに必要とされる信号処理を実証し、この場合、入力は、パルス幅変調信号Sと、時間遅延t
delayのみであり、S’(t)=S(t+t
delay)及びS’’(t)=S(t+2
*t
delay)である。
図4では、スイッチング信号がハイのときにスイッチが「閉じられる」すなわち、伝導し、スイッチング信号がローのときに「開かれる」、すなわち、伝導しないとみなされる。
図4では、Sは、入力PWM入力信号である。S’は、t
delayだけ遅延した入力信号Sである。S’’は、2
*t
delayだけ遅延したS’であり、!Sは、入力信号Sの逆相であり、!S’’は、信号S’’の逆相であり、!S&&!S’’は、!S with !S’’の論理ANDである。
【0010】
同期性又は非同期性の間で決定するときに、スイッチングに起因する効率損失(例えば、MOSFETのゲートをオン及びオフにする電荷を動かすのに必要なエネルギー)と、ダイオードを通じた伝導に起因する効率損失とを考えることが重要である。同期性コンバータは、高比率変換の利点を有する傾向がある。それらはまた、2つの目的に用いられる降圧又は昇圧をもたらすべく追加のスイッチが必要とされるので、split−pi型双方向コンバータの基本構築ブロックである。
【0011】
オフ状態において、昇圧コンバータは、
図5の第2のスイッチ要素SW2を通じて負荷に供給電圧を直接送達する。負荷への電圧を増加させるプロセスは、スイッチング要素SW2を開き、スイッチング要素SW1を閉じることにより開始される(
図6)。インダクタL1上のさらなる電圧降下に起因して、インダクタL1を通って流れる電流は、時間が経つにつれて増加することになる(式(2)参照)。
【数2】
【0012】
回路が「オフ」状態に戻されるとき、インダクタは、電流の変化に比例してその電圧降下を増加させることにより、それが以前に有していたのと同じ電流を維持しようと努めることになる(式(3)参照)。
【数3】
【0013】
「オフ状態」において、この増加した電圧が出力キャパシタへ伝達されることになるように、スイッチング要素SW2が閉じられる。出力キャパシタは、V
inとインダクタの電圧スパイクとの間で平均するフィルタリングを提供する。
【0014】
Honeywellの150nmのSOI放射線硬化プロセスでの完全に統合された実装に関するスタックMOSFETのN型チャネルMOSFET(NMOS)、P型チャネルMOSFET(PMOS)、及びプッシュ・プル相補型金属酸化物半導体(CMOS)のトポロジーが、参照により本明細書に組み込まれる論文(Jennifer E et al.,“High−Voltage Switching Circuit for Nanometer Scale CMOS Technologies”Manuscript received April 30,2007)で説明される。スタックMOSFETは、高電圧スイッチング回路である。低電圧入力信号は、MOSFETデバイスのスタックにおける第1のMOSFETをオンにし、寄生容量及び挿入容量を通じた電荷注入によりデバイスのスタック全体がオンにされる。電圧の分圧は、静的電圧と動的電圧との両方のバランスをとり、回路のどのデバイスがその公称動作電圧を超過することも防ぐ。これらのトポロジーに関する設計式が提示される。Honeywellの150nmプロセスで実装される5デバイススタックに関するシミュレーションは、出力信号の静的電圧と動的電圧とのバランシングを検証する。シミュレートされたスタックは、公称動作電圧の5倍を扱うことが示される。
【0015】
パワー金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)をスタックするための信頼できる回路構成の例が、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、R.J.Baker and B.P.Johnson,“Stacking Power MOSFETs for Use in High Speed Instrumentation”,Rev.Sci.Instrum.,Vol.63,No.12,December 1992,pp.799−801で説明される。結果的に得られる回路は、単一パワーMOSFETよりもN倍大きいホールドオフ電圧を有し、ここで、Nは、用いられるパワーMOSFETの数である。単一デバイスとほぼ同じ時間内により高い電圧、したがってより大量の電力を50ohmの負荷へ切り替える能力が実現される。パワーMOSFETを選択するための設計上の考慮事項が提示される。提示される設計方法を用いて、2nsの立ち上がり時間及び無視できるジッタをもつSO50ohmへの1.4kVパルス発生器が設計される。
【0016】
別の電圧スイッチング回路構成は、Integrated Gate−Commutated Thyristor(IGCT)に基づいている。10−kV−IGCTと高速ダイオードの1つのプレスパックへの集積は、コンバータの電力定格が約5〜6MVAを超過しないならば、6kV〜7.2kVの電圧範囲の中電圧コンバータのための魅力的な方策である。(参照により本明細書に組み込まれる、Sven Tschirley et al.,“Design and Characteristics of Reverse Conducting 10−kV−IGCTs”,Proceedings of the 39th annual Power Electronics Specialist Conference,pages92−98,2008参照)。Tschirleyらは、世界初の逆導電68mm 10−kV−IGCTの設計及びキャラクタライゼーションを説明している。異なるIGCT及びダイオードサンプルのオン状態挙動、ブロッキング挙動、及びスイッチング挙動が、実験的に調査されている。実験結果は、10−kV−RC−IGCTが、6〜7.2kVの中電圧コンバータに関する魅力的なパワー半導体であることを明瞭に示す。
【0017】
高い体積エネルギー密度、高い動作温度、等価直列抵抗(ESR)、及び長寿命をもつキャパシタは、パルスパワー、自動車、及び産業エレクトロニクスのための重要なコンポーネントである。キャパシタの誘電体材料の物理的特徴は、キャパシタの性能の主要な決定因子である。したがって、キャパシタの誘電体材料の物理的特性のうちの1つ以上の向上は、結果的に、キャパシタコンポーネントの対応する性能の向上をもたらすことができ、普通は、結果的に、これが組み込まれる電子装置システム又は製品の性能及び寿命の増強が得られる。キャパシタ誘電体の向上は、製品のサイズ、製品の信頼性、及び製品の効率に直接に影響を及ぼすことができるので、このような向上に関連した高い価値が存在する。
【0018】
バッテリに比べて、キャパシタは、エネルギーを非常に高い出力密度、すなわち充電/再充電率で蓄積することができ、僅かな劣化で長い蓄積寿命を有し、何十万回又は何百万回も充電及び放電する(サイクルする)ことができる。しかしながら、キャパシタは、しばしば、バッテリの場合のように小さい体積又は重量で又は低いエネルギー蓄積コストでエネルギーを蓄積せず、これは、キャパシタをいくつかの用途、例えば電気車両に関して実際的ではないものにする。したがって、より高い体積及び質量エネルギー蓄積密度及びより低いコストのキャパシタを提供することがエネルギー蓄積技術の進歩であろう。
【0019】
本開示の態様は、1つ以上のメタキャパシタ(以下でさらに説明する)を有する容量性エネルギー蓄積装置を、容量性エネルギー蓄積装置の端子に結合される1つ以上のスイッチ・モード電圧コンバータを有するDC電圧変換装置と組み合わせることにより、従来の再充電可能な電気エネルギー蓄積技術に伴う問題に対処する。メタキャパシタは、従来のウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタよりも大きいエネルギー蓄積容量を有する。DC電圧変換装置は、充電及び放電中の容量性エネルギー蓄積装置上の電圧を調整する。
【0020】
本明細書で用いられる場合のメタキャパシタは、その誘電体フィルムが第1の電極と第2の電極との間に配置されるメタ誘電体材料である、誘電体フィルムキャパシタである。一実施形態では、前述の電極は、平面且つ平板であり、互いに平行に位置決めされる。別の実施形態では、メタキャパシタは、互いに平行に位置決めされた2つの巻回金属電極を備える。加えて、メタ誘電体材料は、シャープ(Sharp)ポリマー及び/又はフルタ(Furuta)ポリマーで構成される。
【0021】
本開示は、1つ以上のメタキャパシタを有する容量性エネルギー蓄積装置と、1つ以上のスイッチ・モード電圧コンバータを有するDC電圧変換装置とを備えるエネルギー蓄積セルを提供する。容量性エネルギー蓄積装置上のパワーポート(正端子及び負端子、又はアノード及びカソードからなる)は、DC電圧変換装置上のキャパシタ側パワーポートに接続される。DC電圧変換装置は、外部回路にインターフェースし得る1つ以上の他のパワーポートを有する。パワーポートは、セルの仕様に準拠(commiserate)する関連する電流及び電圧で電力を伝えることを意図される。ポートの各端子は、導電性のインターフェースである。各セルは、DC電圧変換装置の電圧、電流、温度、及び他の重要な態様などのパラメータを監視及び/又は制御するための手段を含んでよい。
【0022】
一態様では、容量性エネルギー蓄積モジュールは、1つ以上の個々の容量性エネルギー蓄積セルと、相互接続システムからなる1つ以上のパワーバスとを含んでよく、この場合、パワーバスは、容量性エネルギー蓄積モジュールの共通のアノード及び共通のカソードからなる共通のモジュールパワーポートを生み出すべく、個々のエネルギー蓄積セルのパワーポートを並列に又は直列に接続する。モジュールは、相互接続システムの温度、モジュールパワー、電圧、及び電流を監視するための付加的なセンサを有してよく、これらのセンサ値並びに個々のセルからの値を伝えるべく通信バス及び/又は通信バスプロトコルトランスレータを含んでよい。
【0023】
別の態様では、容量性エネルギー蓄積システムは、上述の通信バス上のすべての値を監視、処理、及び制御する上述の容量性エネルギー蓄積モジュール、相互接続システム、及びシステム制御コンピュータのうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0024】
本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される以下の詳細な説明から、本開示のさらなる態様及び利点が、この技術分野の当業者にはすぐに分かるであろう。以下の記載から分かるように、本開示は、他の及び異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの細部は、すべて本開示から逸脱することなく種々の明白な点で修正が可能である。したがって、図面及び説明は、制限するものではなく本質的に例示するものとしてみなされるべきである。
【0025】
参照による援用
本明細書で述べられるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、参照により組み込まれるべき各個々の刊行物、特許、又は特許出願が具体的に個々に示された場合と同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の種々の実施形態が本明細書で示され説明されているが、このような実施形態は単なる例として提供されることが当業者には明白であろう。多くの変形、変化、及び置換えが、本発明から逸脱することなく当業者に発想され得る。本明細書で説明される本発明の実施形態への種々の代替が採用され得ることを理解されたい。
【0028】
本開示は、少なくとも1つの容量性エネルギー蓄積装置と、DC電圧変換装置とを備えるエネルギー蓄積セルを提供する。
図10は、1つ以上のメタキャパシタ20を含む容量性エネルギー蓄積装置2と、1つ以上のスイッチ・モード電圧コンバータ100、例えば、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、降圧/昇圧コンバータ、双方向降圧/昇圧(split−pi)コンバータ、Cukコンバータ、SEPICコンバータ、反転降圧/昇圧コンバータ、又は4スイッチ降圧/昇圧コンバータからなるDC電圧変換装置3とを備える容量性エネルギー蓄積セル1を概略的に示す。
【0029】
本明細書で用いられる場合のメタキャパシタは、第1の電極と第2の電極との間に配置されるメタ誘電体材料である誘電体フィルムで構成されるキャパシタである。一実施形態では、前述の電極は、平面且つ平板であり、
図10Aに示すように互いに平行に位置決めされる。別の実施形態では、メタキャパシタは、
図10Bに示すように互いに平行に位置決めされる2つの巻回金属電極を備える。
【0030】
本開示の態様によれば、メタキャパシタは、
図10Aに示すように構成されてよい。メタキャパシタは、第1の電極21、第2の電極22、及び前記第1の電極と第2の電極との間に配置されたメタ誘電体層23を備える。電極21及び22は、銅、亜鉛、又はアルミニウム、又は他の導体材料などの金属で作製されてよく、概して平板の形状である。
【0031】
電極21、22は、平面且つ平板であり、互いに平行に位置決めされてよい。代替的に、電極は、平板且つ平行であるが、必ずしも平面でなくてよく、例えば、それらは、キャパシタの全体のフォームファクタを低減させるべくコイル状にされ、巻回され、屈曲され、折り畳まれ、又は他の方法で形状設定されてよい。電極は、非平面、非平板、又は非平行、或いはこれらのうちの2つ以上のいくつかの組み合わせとすることも可能である。限定ではない単なる例として、複合誘電体フィルム層23の厚さに対応し得る電極21、22間の間隔dは、約100nm〜約10,000μmの範囲であり得る。以下の式(4)に示されるように、電極21、22間の最大電圧V
bdは、概して、破壊電界E
bdと電極間隔dとの積である。
V
bd=E
bdd (4)
【0032】
例えば、E
bd=0.1V/nmであり、且つ、電極1、2間の間隔dが10,000ミクロン(100,000nm)である場合、最大電圧V
bdは100,000ボルトであろう。
【0033】
電極21、22は、互いに同じ形状、同じ寸法、及び同じ面積Aを有してよい。限定ではない単なる例として、各電極1021、1022の面積Aは、約0.01m
2〜約1000m
2の範囲であり得る。限定ではない単なる例として、巻回キャパシタに関して、電極は、例えば、長さ1000m及び幅1mまでであり得る。
【0034】
これらの範囲は限定ではない。電極間隔d及び面積Aの他の範囲が本開示の態様の範囲内にある。
【0035】
間隔dが、電極の特徴的な長さを表す寸法(例えば、長さ及び/又は幅)に比べて小さい場合、キャパシタのキャパシタンスCは、次式により概算され得る:
C=κε
oA/d, (5)
ここで、ε
oは、自由空間の誘電率(8.85×10
−12C
2/(N・m
2))であり、κは、誘電体層の誘電定数である。キャパシタのエネルギー蓄積容量Uは、以下のように概算され得る:
【数4】
これは、式(4)及び式(5)を用いて以下のように書き直され得る:
【数5】
【0036】
エネルギー蓄積容量Uは、誘電定数κ、面積A、及び破壊電界E
bdにより決定される。適切な工学により、キャパシタ又はキャパシタバンクは、任意の所望のエネルギー蓄積容量Uを有するように設計され得る。限定ではない単なる例として、誘電定数κ、電極面積A、及び破壊電界E
bdに関する上記の範囲を仮定すると、本開示の態様に係るキャパシタは、約500ジュール〜約2×10
16ジュールの範囲のエネルギー蓄積容量Uを有し得る。
【0037】
例えば約100〜約1,000,000の範囲の誘電定数κと、例えば約0.1から0.5V/nmまでの間の一定の破壊電界E
bdに関して、本明細書で説明されるタイプのキャパシタは、約10W・h/kgから最高約100,000W・h/kgまでの範囲の単位質量当たりの特定のエネルギー容量を有し得るが、実装はそれに限らない。
【0038】
本開示の態様は、例えば、
図10Bに描画される場合のコイル状にされるメタキャパシタの使用を含む。この例では、メタキャパシタ20は、第1の電極21、第2の電極22、及び前記第1の電極と第2の電極との間に配置される前述したタイプのうちの1つ以上のメタ誘電体材料層23を備える。電極21、22は、銅、亜鉛、又はアルミニウム、又は他の導体材料などの金属で作製されてよく、概して平板の形状である。一実装では、電極及びメタ誘電体材料層23は、互いに挟まれる材料の長いストリップの形態であり、電極21、22間の電気短絡を防ぐべく絶縁材、例えばポリプロピレン又はポリエステルなどのプラスチックフィルムと共にコイルへ巻かれる。このようなコイル状キャパシタエネルギー蓄積装置の例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0379757号として公開されている2015年6月26日に出願された本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第14/752,600号に詳細に説明されている。
【0039】
前記メタ誘電体材料は、ポリマーから形成される上記構造(supra−structures)を有する複合分子で構成される。前記ポリマーの例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、それぞれすべて2016年2月12日に出願された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第15/043,247号(代理人整理番号CSI−046及び第15/043,186号(代理人整理番号CSI−019A)、及び第15/043,209号(代理人整理番号CSI−019B)で詳細に説明される場合の所謂シャープ・ポリマー及び所謂フルタ・コポリマー及び所謂パラフルタ・ポリマーを含む。フルタ・コポリマー及びパラフルタ・ポリマーは、まとめてフルタ・ポリマーと呼ばれる。
【0040】
シャープ・ポリマー
シャープ・ポリマーは、分極性コアを互いから絶縁するように作用する分極性コアに共有結合された直鎖又は分岐鎖オリゴマーとしての炭化水素(飽和及び/又は不飽和)、フルオロカーボン、クロロカーボン、シロキサン、及び/又はポリエチレングリコールのエンベロープの内部の分極性コアの複合材であり、これは、都合よく、コアの分極モーメントの限られた消散又は無消散でコアの個別の分極を可能にする。分極性コアは、超電子又はイオン型分極率を有する。「超電子分極は、外部電界により長い高分極性の分子上に一時的に局在化した励起子の電荷対の柔軟な相互作用に起因すると考えられ得る[.](Roger D.Hartman and Herbert A.Pohl,“Hyper−electronic Polarization in Macromolecular Solids”,Journal of Polymer Science:Part A−1 Vol.6,pp.1135−1152(1968))」。イオン型分極は、コア分子フラグメントのイオン部分の限られた移動度により達成することができる。
【0041】
シャープ・ポリマーは、以下の一般構造式を有する:
【化1】
ここで、コアは、リレンフラグメントを含む芳香族多環式共役分子である。この分子は、平面の等方性の形態を有し、柱状の超分子におけるpi−piスタッキングにより自己組織化する。置換基R1は、溶媒中の有機化合物の溶解性をもたらす。パラメータnは、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8に等しい置換基R1の数である。置換基R2は、末端位置に存在する電気抵抗性の置換基であり、電流への固有抵抗をもたらし、直鎖又は分岐鎖としての炭化水素(飽和及び/又は不飽和)、フルオロカーボン、シロキサン、及び/又はポリエチレングリコールを含む。置換基R3及びR4は、例えば、直接結合されたSP2−SP3炭素で直接に又は接続基を介して芳香族多環式共役分子(コア)に接続されるイオン性液体中で用いられるイオン化合物のクラスからの1つ以上のイオン基を含む側方(横の)位置(末端位置及び/又はベイ位置)に存在する置換基である。パラメータmは、柱状の超分子における芳香族多環式共役分子の数であり、3〜100000の範囲内である。
【0042】
複合有機化合物の別の実施形態では、芳香族多環式共役分子は、フェニレン、チオフェン、又はポリアセンキニーネラジカルオリゴマー、或いはこれらのうちの2つ以上の組み合わせなどの導電性オリゴマーを含む。複合有機化合物のさらに別の実施形態では、導電性オリゴマーは、フェニレン、チオフェン、又は2〜12の範囲の長さの置換された及び/又は置換されていないポリアセンキニーネラジカルオリゴマー、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される。この場合、環の水素の置換基は、O、S、又はNR5であり、R5は、置換されていない又は置換されたC
1〜C
18アルキル、置換されていない又は置換されたC
2〜C
18アルケニル、置換されていない又は置換されたC
2〜C
18アルキニル、及び置換されていない又は置換されたC
4〜C
18アリールからなる群から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、複合有機化合物の溶解性をもたらす置換基(R1)は、C
XQ
2X+1であり、ここで、X≧1であり、Qは、水素(H)、フッ素(F)、又は塩素(Cl)である。複合有機化合物のさらに別の実施形態では、複合有機化合物の溶解性をもたらす置換基(R1)は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、フッ素化アルキル、塩素化アルキル、分岐及び複合アルキル、分岐及び複合フッ素化アルキル、分岐及び複合塩素化アルキル基、及びこれらの任意の組み合わせから独立して選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、iso−ブチル、及びtert−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基、或いは直鎖又は分岐鎖としてのシロキサン及び/又はポリエチレングリコールから選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、複合有機化合物の少なくとも1つの電気抵抗性の置換基(R2)は、C
XQ
2X+1であり、ここで、X≧1であり、Qは、水素(H)、フッ素(F)、又は塩素(Cl)である。複合有機化合物の別の実施形態では、少なくとも1つの電気抵抗性の置換基(R2)は、−(CH
2)
n−CH
3、−CH((CH
2)
nCH
3)
2)(式中n≧1)、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、分岐アルキル、分岐アリール、及びこれらの任意の組み合わせを含むリストから選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、iso−ブチル、及びtert−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基から選択される。複合有機化合物のさらに別の実施形態では。
【0045】
いくつかの実施形態では、置換基R1及び/又はR2は、少なくとも1つの接続基を介して芳香族多環式共役分子(コア)に接続される。少なくとも1つの接続基は、以下の構造:エーテル、アミン、エステル、アミド、置換アミド、アルケニル、アルキニル、スルホニル、スルホネート、スルホンアミド、又は置換スルホンアミドを含むリストから選択されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、置換基R3及び/又はR4は、少なくとも1つの接続基を介して芳香族多環式共役分子(コア)に接続されてよい。少なくとも1つの接続基は、CH
2、CF
2、SiR
2O、CH
2CH
2Oを含むリストから選択されてよく、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。複合有機化合物の別の実施形態では、1つ以上のイオン基は、陽イオンとして[NR
4]
+、[PR
4]
+、及び陰イオンとして[−CO
2]
−、[−SO
3]
−、[−SR
5]
−、[−PO
3R]
−、[−PR
5]
−を含むリストから選択された少なくとも1つのイオン基を含み、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。
【0047】
具体的には、本開示の一態様は、複合有機化合物の形態のシャープ・ポリマーを提供する。複合有機化合物の一実施形態では、芳香族多環式共役分子(コア)は、リレンフラグメントを含む。複合有機化合物の別の実施形態では、リレンフラグメントは、表1で与えられる構造1〜21から選択される。
【表1】
【0048】
複合有機化合物の別の実施形態では、芳香族多環式共役分子は、フェニレン、チオフェン、又はポリアセンキニーネラジカルオリゴマー、或いはこれらのうちの2つ以上の組み合わせなどの導電性オリゴマーを含む。複合有機化合物のさらに別の実施形態では、導電性オリゴマーは、表2で与えられる構造22〜30から選択され、ここで、I=2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12であり、Zは、=O、=S、又は=NR5であり、R5は、置換されていない又は置換されたC
1〜C
18アルキル、置換されていない又は置換されたC
2〜C
18アルケニル、置換されていない又は置換されたC
2〜C
18アルキニル、及び置換されていない又は置換されたC
4〜C
18アリールからなる群から選択される:
【表2】
【0049】
いくつかの実施形態では、複合有機化合物の溶解性をもたらす置換基(R1)は、C
XQ
2X+1であり、ここで、X≧1であり、Qは、水素(H)、フッ素(F)、又は塩素(Cl)である。複合有機化合物のさらに別の実施形態では、複合有機化合物の溶解性をもたらす置換基(R1)は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、フッ素化アルキル、塩素化アルキル、分岐及び複合アルキル、分岐及び複合フッ素化アルキル、分岐及び複合塩素化アルキル基、及びこれらの任意の組み合わせから独立して選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、iso−ブチル、及びtert−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基、或いは直鎖又は分岐鎖としてのシロキサン及び/又はポリエチレングリコールから選択される。
【0050】
複合有機化合物の一実施形態では、溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸、メチルエチルケトン、炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、アルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルシクロヘキサン(MCH)、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、複合有機化合物の少なくとも1つの電気抵抗性の置換基(R2)は、C
XQ
2X+1であり、ここで、X≧1であり、Qは、水素(H)、フッ素(F)、又は塩素(Cl)である。複合有機化合物の別の実施形態では、少なくとも1つの電気抵抗性の置換基(R2)は、−(CH
2)
n−CH
3、−CH((CH
2)
nCH
3)
2)(式中n≧1)、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、分岐アルキル、分岐アリール、及びこれらの任意の組み合わせを含むリストから選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、I−ブチル、及びt−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電気抵抗性の置換基(R2)は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、フッ素化アルキル、塩素化アルキル、分岐及び複合アルキル、分岐及び複合フッ素化アルキル、分岐及び複合塩素化アルキル基、及びこれらの任意の組み合わせの群から選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、及びtert−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基、或いは直鎖又は分岐鎖としてのシロキサン及び/又はポリエチレングリコールから選択される。
【0053】
いくつかの実施形態では、置換基R1及び/又はR2は、少なくとも1つの接続基を介して芳香族多環式共役分子(コア)に接続される。少なくとも1つの接続基は、表3で与えられる以下の構造:31〜41を含むリストから選択されてよく、式中、Wは、水素(H)又はアルキル基である。
【表3】
【0054】
いくつかの実施形態では、置換基R3及び/又はR4は、少なくとも1つの接続基を介して芳香族多環式共役分子(コア)に接続されてよい。少なくとも1つの接続基は、CH
2、CF
2、SiR
2O、CH
2CH
2Oを含むリストから選択されてよく、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。複合有機化合物の別の実施形態では、1つ以上のイオン基が、陽イオンとして[NR4]+、[PR4]+、及び陰イオンとして[−CO2]−、[−SO3]−、[−SR5]−、[−PO3R]−、[−PR5]−を含むリストから選択された少なくとも1つのイオン基を含み、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。
【0055】
シャープ・ポリマーは、超電子又はイオン型分極率を有する。「超電子分極は、外部電界により長い高分極性の分子上に一時的に局在化した励起子の電荷対の柔軟な相互作用に起因すると考えられ得る[.](Roger D.Hartman and Herbert A.Pohl,“Hyper−electronic Polarization in Macromolecular Solids”,Journal of Polymer Science:Part A−1 Vol.6,pp.1135−1152(1968))」。イオン型分極は、繋がれた/部分的に固定化されたイオン性液体又は双性イオン(Q)のイオン部分の限られた移動度により達成することができる。加えて、双極子分極などの分極の他の機構及び金属導電率をもつモノマー及びポリマーが、独立して、又は本開示の態様における超電子及びイオン分極と組み合わせて用いられ得る。
【0056】
別の態様では、本開示は、メタ誘電体を提供し、この場合、メタ誘電体は、分極率及び固有抵抗により特徴付けられる複合有機化合物の形態の1つ以上のシャープ・ポリマーを含む誘電体である。
【0057】
さらに、メタ誘電体の特徴は、1,000以上の比誘電率及び10
13ohm/cm以上の固有抵抗を含む。個々に、メタ誘電体のシャープ・ポリマーは、pi−pi相互作用により柱状の超分子構造を形成し得る。前記シャープ・ポリマーの超分子は、メタ誘電体材料の結晶構造の形成を可能にする。誘電体材料にシャープ・ポリマーを用いることにより、高い誘電透過性をもつ分子材料を提供するべく分極ユニットが組み込まれる。金属導電率をもつ分子、モノマー、及びポリマーの双極子分極、イオン分極、及び超電子分極などの分極のいくつかの機構が存在する。列挙したタイプの分極をもつすべての分極ユニットが本開示の態様で用いられ得る。さらに、シャープ・ポリマーは、誘電体結晶層において超分子を互いから電気的に分離し、且つエネルギー蓄積分子材料の高い破壊電圧をもたらす絶縁置換基のエンベロープを組み込む複合材料である。前記絶縁置換基は、分極性コアに共有結合された抵抗性アルキル又はフルロアルキル鎖であり、抵抗性エンベロープを形成する。
【0058】
シャープ・ポリマーに関する開示がより容易に理解され得るようにするために、本発明の例示となることを意図しているが範囲を限定するものとなることを意図していない以下の例に言及する。
【0059】
例1
この例は、以下の構造スキームに従って1つのタイプのシャープ・ポリマーの合成を説明する:
【0060】
この例での合成に関係するプロセスは、以下の5つのステップによって理解されるであろう。
a)第1のステップ:
【化2】
無水物1(60.0g、0.15mol、1.0eq)、アミン2(114.4g、0.34mol、2.2eq)、及びイミダゾール(686.0g、10.2mol、2に対して30eq)を、バンプ・ガーダー(bump−guarder)を装備した500mLの丸底フラスコへ入れてよく混合した。混合物を3回脱気し、160℃で3時間攪拌し、180℃で3時間攪拌し、室温に冷却した。反応混合物を、攪拌しながら水(1000mL)へクラッシュ(crushed)した。沈殿物を濾過により収集し、水(2×500mL)、メタノール(2×300mL)で洗浄し、高真空上で乾燥させた。粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィカラム(CH
2Cl
2/ヘキサン=1/1)により精製し、橙色の固体として77.2g(48.7%)の所望の生成物3を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.65〜8.59(m,8H)、5.20〜5.16(m,2H)、2.29〜2.22(m,4H)、1.88〜1.82(m,4H)、1.40〜1.13(m,64H)、0.88〜0.81(t,12H)。Rf=0.68(CH
2Cl
2/ヘキサン=1/1)。
【0061】
b)第2のステップ:
【化3】
ジクロロエタン(1500mL)中のジイミド3(30.0g、29.0mmol、1.0eq)の溶液に、臭素(312.0g、1.95mol、67.3eq)を添加した。結果的に得られる混合物を80℃で36時間攪拌し、冷却し、10%NaOH(aq,2×1000mL)、水(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、濾過し、濃縮させた。粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィカラム(CH
2Cl
2/ヘキサン=1/1)により精製し、赤色の固体として34.0g(98.2%)の所望の生成物4を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ9.52(d,2H)、8.91(bs,2H)、8.68(bs,2H)、5.21〜5.13(m,2H)、2.31〜2.18(m,4H)、1.90〜1.80(m,4H)、1.40〜1.14(m,64H)、0.88〜0.81(t,12H)。Rf=0.52(CH
2Cl
2/ヘキサン=1/1)。
【0062】
c)第3のステップ
【化4】
トリエチルアミン(84.0mL)中の二臭化物4(2.0g、1.68mmol、1.0eq)の溶液に、CuI(9.0mg、0.048mmol、2.8mol%)及び(トリメチルシリル)アセチレン(80.49g、5.0mmol、3.0eq)を添加した。混合物を3回脱気した。触媒Pd(PPh
3)
4(98.0mg、0.085mmol、5.0mol%)を添加した。混合物を3回脱気し、90℃で24時間攪拌し、冷却し、Celiteのパッドに通し、濃縮させた。粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィカラム(CH
2Cl
2/ヘキサン=1/1)により精製し、暗赤色の固体として1.8g(87.2%)の所望の生成物5を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ10.24〜10.19(m,2H)、8.81(bs,2H)、8.65(bs,2H)、5.20〜5.16(m,2H)、2.31〜2.23(m,4H)、1.90〜1.78(m,4H)、1.40〜1.15(m,72H)、0.84〜0.81(t,12H)、0.40(s,18H)。Rf=0.72(CH
2Cl
2/ヘキサン=1/1)。
【0063】
d)第4のステップ
【化5】
MeOH/DCMの混合物(40.0mL/40.0mL)中のジイミド5(1.8g、1.5mmol、1.0eq)の溶液に、K
2CO
3(0.81g、6.0mmol、4.0eq)を添加した。混合物を室温で1.5時間攪拌し、DCM(40.0mL)で希釈し、水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮させた。粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィカラム(CH
2Cl
2)により精製し、暗赤色の固体として1.4g(86.1%)の所望の生成物6を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ10.04〜10.00(m,2H)、8.88〜8.78(m,2H)、8.72〜8.60(m,2H)、5.19〜5.14(m,2H)、3.82〜3.80(m,2H)、2.31〜2.23(m,4H)、1.90〜1.78(m,4H)、1.40〜1.05(m,72H)、0.85〜0.41(t,12H)。Rf=0.62(CH
2Cl
2)。
【0064】
e)第5のステップ
【化6】
CCl
4/CH
3CN/H
2Oの混合物(6mL/6mL/12mL)中のアルキン6(1.4g、1.3mmol、1.0eq)の懸濁液に、過ヨウ素酸(2.94g、12.9mmol、10.0eq)及びRuCl
3(28.0mg、0.13mmol、10mol%)を添加した。混合物を窒素下で室温で4時間攪拌し、DCM(50mL)で希釈し、水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮させた。粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィカラム(10%MeOH/CH
2Cl
2)により精製し、暗赤色の固体として1.0g(68.5%)の所望の生成物7を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.90〜8.40(m,6H)、5.17〜5.00(m,2H)、2.22〜2.10(m,4H)、1.84〜1.60(m,4H)、1.41〜0.90(m,72H)、0.86〜0.65(t,12H)。Rf=0.51(10%MeOH/CH
2Cl
2)。
【0065】
例2
この例は、以下の構造スキームに従ってシャープ・ポリマーの合成を説明する:
【化7】
【0066】
この例での合成に関係するプロセスは、以下の4つのステップによって理解されるであろう。
a)第1のステップ:
【化8】
メタノール(400mL)中のケトン1(37.0g、0.11mol、1.0eq)の溶液に、酢酸アンモニウム(85.3g、1.11mol、10.0eq)及びNaCNBH
3(28.5g、0.44mol、4.0eq)を小分けに添加した。混合物を還流で6時間攪拌し、室温に冷却し、濃縮させた。飽和NaHCO
3(500mL)を残留物に添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。沈殿物を濾過により収集し、水(4×100mL)で洗浄し、高真空上で乾燥させ、白色の固体として33.6g(87%)のアミン2を得た。
【0067】
b)第2のステップ:
【化9】
アミン2(20.0g、58.7mmol、2.2equ)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(10.5g、26.7mmol、1.0eq)、及びイミダゾール(54.6g、0.80mmol、ジアミンに対して30eq)を、ロータバップ・バンプガードを装備した250mL丸底フラスコに入れてよく混合した。混合物を3回脱気し(真空及びN
2充填)、160℃で6時間攪拌した。室温への冷却後に、反応混合物を水(700mL)へクラッシュし、1時間攪拌し、濾紙に通して濾過し、沈殿物を収集し、これを水(3×300mL)及びメタノール(3×300mL)で洗浄し、高真空上で乾燥させ、橙色の固体として23.1g(83.5%)のジアミジン3を得た。純粋なジアミジン3(20.6g)が、フラッシュ・クロマトグラフィカラム(DCM/ヘキサン=1/1)により得られた。
【0068】
c)第3のステップ:
【化10】
DCE(2.0L)に、化合物3(52.0g、50.2mmol、1.0eq)、酢酸(500mL)、及び発煙硝酸(351.0g、5.0mol、100.0eq)を慎重に添加した。混合物に、硝酸アンモニウムセリウム(IV)(137.0g、0.25mol、5.0eq)を添加した。反応混合物を60℃で48時間攪拌した。室温への冷却後に、反応混合物を水(1.0L)へクラッシュした。有機相を水(2×1.0L)、飽和NaHCO
3溶液(1×1.0L)、及び塩水(1×1.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、暗赤色の固体として46.7g(82%)の化合物4を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ0.84(t,12H)、1.26(m,72H)、1.83(m,4H)、2.21(m,4H)、5.19(m,2H)、8.30(m,2H)、8.60〜8.89(m,4H)。
【0069】
d)第4のステップ:
【化11】
EtOAc(125.0mL)中の化合物4(25g、22.2mmol、1.0eq)及びPd/C(2.5g、0.1eq)の混合物を室温で1時間攪拌した。固体をろ過(Celite)し、EtOAc(5mL×2)で洗浄した。濾過液を濃縮し、暗青色の固体として化合物5(23.3g、99%)が得られた。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ0.84(t,12H)、1.24(m,72H)、1.85(m,4H)、2.30(m,4H)、5.00(s,2H)、5.10(s,2H)、5.20(m,2H)、7.91〜8.19(dd,2H)、8.40〜8.69(dd,2H)、8.77〜8.91(dd,2H)。
【0070】
フルタ・ポリマー
フルタ・コポリマー及びパラフルタ・ポリマー(本明細書では他に規定されない限りまとめてフルタ・ポリマーと呼ばれる)は、絶縁性の末端と、連結された/繋がれた/部分的に固定化された分極性のイオン基をもつポリマー化合物である。絶縁性の末端は、コポリマー骨格に共有結合された直鎖又は分岐鎖の炭化水素(飽和及び/又は不飽和)、フルオロカーボン、シロキサン、及び/又はポリエチレングリコールである。末端は、分極性の繋がれた/部分的に固定化されたイオン分子成分及びイオンペアを、同じ又はパラレルコポリマー上の他のイオン基及びイオン基ペアから絶縁するように作用し、これは、都合よく、同じ又はパラレルコポリマー鎖上に部分的に固定化された他の対イオン基ペアのイオン電界又は分極モーメントの限られた相互作用で又は相互作用なしに対イオン性液体ペア又は対イオン基Qの個別の分極(すなわち、パラレルフルタ・ポリマーに繋がれた/部分的に固定化された陽イオン性液体及び陰イオン性液体の分極)を可能にする。さらに、絶縁性の末端は、フルタ・ポリマーの上記構造を互いから電気的に絶縁する。パラレルフルタ・ポリマーは、対イオン基(すなわち、陽イオン型及び陰イオン型の繋がれた/部分的に固定化されたイオン基(Q)(陽イオンのフルタ・ポリマー及び陰イオンのフルタ・ポリマーとしても知られる))が互いに反対に位置合わせされるように配列し得る又は配列され得る。
【0071】
フルタ・コポリマー
フルタ・コポリマーは、以下の一般構造式を有する:
【化12】
式中、コポリマーの骨格構造は、第1のタイプP1の構造単位と、第2のタイプP2の構造単位を備え、その両方は、不規則に繰り返し、アクリル酸、メタクリル酸、ポリプロピレン(−[CH
2−CH(CH
3)]−)の繰り返し単位、ポリエチレン(−[CH
2]
−)の繰り返し単位、シロキサン、又は繰り返し単位が−CH
2−CH
2−O−CO−C
6H
4−CO−O−として表現され得るポリエチレンテレフタレート(ポリ(エチレンテレフタレート)と書かれることもある)の繰り返し単位を含むリストから独立して選択される。パラメータnは、3〜100000の範囲内の骨格構造におけるP1構造単位の数であり、mは、3〜100000の範囲内の骨格構造におけるP2構造単位の数である。さらに、第1のタイプの構造単位(P1)は、2eVを下回らないHOMO−LUMOギャップをもつポリマー材料のオリゴマーである抵抗性置換末端を有する。加えて、第2のタイプの構造単位(P2)は、リンカー基Lを介してP2に接続されるイオン官能基Qを有する。パラメータjは、0〜5の範囲であり得るリンカー基Lに付着される官能基Qの数である。式中、イオン官能基Qは、1つ以上のイオン性液体イオン(イオン性液体中で用いられるイオン化合物のクラスからの)、双性イオン、又はポリマー酸を含む。さらに、イオンQ基のエネルギー相互作用は、kT未満であり得る。式中、kはボルツマン定数であり、Tは環境の温度である。さらにまた、パラメータBは、コポリマーの電荷のバランスをとるべく反対電荷を供給することができる1つ又は複数の分子又はオリゴマーである対イオンである。式中、sは、対イオンの数である。
【0072】
具体的には、一実施形態では、抵抗性置換末端は、ポリプロピレン(PP)のオリゴマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)のオリゴマー、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のオリゴマー、ポリエチレンナフタレート(PEN)のオリゴマー、ポリカーボネート(PP)、ポリスチレン(PS)のオリゴマー、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のオリゴマーを含むリストから独立して選択される。別の実施形態では、抵抗性置換末端は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、フッ素化アルキル、塩素化アルキル、分岐及び複合アルキル、分岐及び複合フッ素化アルキル、分岐及び複合塩素化アルキル基、及びこれらの任意の組み合わせから独立して選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、iso−ブチル、及びtert−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基から選択される。抵抗性置換末端は、重合後に付加され得る。
【0073】
本開示のまた別の態様では、HOMO−LUMOギャップは、4eVを下回らないことが好ましい。本開示のさらに別の態様では、HOMO−LUMOギャップは、5eVを下回らないことがより一層好ましい。イオン官能基Qは、イオン性液体中で用いられるイオン化合物のクラスからの1つ以上のイオン性液体イオン、双性イオン、又はポリマー酸を含む。個別のP
2構造単位上のQ基イオン間の相互作用のエネルギーは、kT未満であり得る。式中、kはボルツマン定数であり、Tは環境の温度である。環境の温度は、−60℃から150℃までの間の範囲内であり得る。温度の好ましい範囲は、−40℃から100℃までの間である。イオンのエネルギー相互作用は、イオンの有効半径に依存する。したがって、イオン間の立体障害を増加させることにより、イオンの相互作用のエネルギーを低減させることが可能である。本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン性液体イオンは、陽イオンとして[NR
4]
+、[PR
4]
+、及び陰イオンとして[−CO
2]
−、[−SO
3]
−、[−SR
5]
−、[−PO
3R]
−、[−PR
5]
−を含むリストから選択され、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。官能基Qは、重合後又は重合前に荷電され得る。本発明の別の実施形態では、リンカー基Lは、表4で与えられる構造42〜47から選択されるオリゴマーである。
【表4】
【0074】
本発明のさらに別の実施形態では、リンカー基Lは、表5で与えられる構造48〜57から選択される。
【表5】
【0075】
本発明のさらに別の実施形態では、リンカー基Lは、CH
2、CF
2、SiR
2O、及びCH
2CH
2Oを含むリストから選択されてよく、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。イオン官能基Q及びリンカー基Lは、重合後に付加され得る。
【0076】
別の態様では、本開示は、双性イオン、陽イオン、陰イオン、又は前述したタイプのポリマー酸の保護された又はヒンダードイオンを含むフルタ・ポリマーのクラスのうちの1つ又は複数で構成される誘電体材料(メタ誘電体と呼ばれることもある)を提供する。メタ誘電体材料は、双性イオン型フルタ・ポリマー、又は正に帯電した(陽イオン)フルタ・ポリマー及び負に帯電した(陰イオン)フルタ・ポリマー、ポリマー酸フルタ・ポリマー、又はその任意の組み合わせの混合物であり得る。フルタ・ポリマーの混合物は、疎水性及びイオン性相互作用を介して上記構造を形成し得る又は形成するように誘導され得る。範囲を限定するのではなく単なる例として、正に帯電したフルタ・ポリマー上の陽イオンは、正に帯電したフルタ・ポリマーと並列の負に帯電したフルタ・ポリマー上の陰イオンのB個の対イオンと置き換わり、逆もまた同様であり、隣接するフルタ・ポリマーの抵抗性末端は、ファンデルワールス力を介するスタッキングをさらに助長し、これは、イオン基の分離を増加させる。陽イオンのフルタ・ポリマーと陰イオンのフルタ・ポリマーとの両方を含むメタ誘電体は、陽イオンのフルタ・ポリマーと陰イオンのフルタ・ポリマーの1:1の比を有する。
【0077】
直鎖又は分岐鎖の炭化水素(飽和及び/又は不飽和)、フルオロカーボン、シロキサン、及び/又はポリエチレングリコールの末端は、連結された/繋がれた/部分的に固定化された分極性のイオン性液体、双性イオン、又はポリマー酸(イオンQ基)を絶縁するように作用する。末端は、イオンQ基の相互作用のエネルギーの立体障害を介して同じ又はパラレルフルタ・ポリマー上の他のイオンQ基からイオンQ基を絶縁し、これは、都合よく、イオンQ基の個別の分極(すなわち、パラレルフルタ・ポリマーに繋がれた/部分的に固定化された陽イオン性液体及び陰イオン性液体の分極)を可能にする。さらに、末端は、上記構造のイオン基を互いから絶縁する。パラレルフルタ・ポリマーは、対イオン性液体(すなわち、陽イオン型及び陰イオン型の繋がれた/部分的に固定化されたイオン性液体(Q))が互いに反対に位置合わせされるように配列し得る又は配列され得る(陽イオンのフルタ・ポリマー及び陰イオンのフルタ・ポリマーとしても知られる)。
【0078】
フルタ・ポリマーは、超電子又はイオン型分極率を有する。「超電子分極は、外部電界により長い高分極性の分子上に一時的に局在化した励起子の電荷対の柔軟な相互作用に起因すると考えられ得る[.](Roger D.Hartman and Herbert A.Pohl,“Hyper−electronic Polarization in Macromolecular Solids”,Journal of Polymer Science:Part A−1 Vol.6,pp.1135−1152(1968))」。イオン型分極は、繋がれた/部分的に固定化されたイオン性液体又は双性イオン(Q)のイオン部分の限られた移動度により達成することができる。加えて、双極子分極などの分極の他の機構及び金属導電率をもつモノマー及びポリマーが、独立して、又は本開示の態様における超電子及びイオン分極と組み合わせて用いられ得る。
【0079】
さらに、メタ誘電体層は、以下のフルタ・ポリマーの一般構成を有する、1つ以上のタイプの双性イオンフルタ・ポリマーで構成されてよく、及び/又は陰イオンのQ
+基型及び陽イオンのQ
−基型及び/又はポリマー酸から選択されてよい:
【化13】
【0080】
フルタ・コポリマーに関する開示がより容易に理解され得るようにするために、本発明の例示となることを意図しているが範囲を限定するものとなることを意図していない以下の例に言及する。
【0081】
例3:
カルボン酸コポリマーP002。2.0gのイソプロパノール中の1.02g(11.81mmol)のメタクリル酸及び4.00g(11.81mmol)のメタクリル酸ステアリルの溶液に、5.0gのトルエン中の0.030gの2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)の溶液を添加した。得られた溶液を密封したバイアルの中で80℃に20時間加熱し、その後これは著しく粘性となる。NMRは、<2%の残存モノマーを示す。溶液は、さらなる精製なしにフィルム調製物及び他の混合物に用いた。
【0082】
例4:
アミンコポリマーP011。2.0gのトルエン中の2.52g(11.79mmol)の2−(ジイソプロピルアミノ)メタクリル酸エチル及び3.00g(11.79mmol)のメタクリル酸ラウリルの溶液に、4.0gのトルエン中の0.030gの2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)の溶液を添加した。得られた溶液を密封したバイアルの中で80℃に20時間加熱し、その後これは著しく粘性となる。NMRは、<2%の残存モノマーを示す。溶液は、さらなる精製なしにフィルム調製物及び他の混合物に用いた。
【0083】
例5:
カルボン酸コポリマー及びアミンコポリマー混合物。P002の1.50gの固形分42wt%溶液を、1gのイソプロパノールと共にP011の1.24gの56wt%溶液に添加し、40℃で30分間混合した。溶液をさらなる精製なしに用いた。
【0084】
パラフルタ・ポリマー
パラフルタ・ポリマーは、以下の一般構造式の繰り返し単位を有する:
【化14】
式中、構造単位Pは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリプロピレン(PP)(−[CH
2−CH(CH
3)]−)に関する繰り返し単位、ポリエチレン(PE)(−[CH
2]−)に関する繰り返し単位、シロキサン、又は繰り返し単位が−CH
2−CH
2−O−CO−C
6H
4−CO−O−として表現され得るポリエチレンテレフタレート(ポリ(エチレンテレフタレート)と書かれることもある)の繰り返し単位を含むリストから独立して選択されるコポリマーの骨格を備える。式中、第1のタイプの繰り返し単位(末端)は、ポリマー材料のオリゴマーの形態の抵抗性置換基である。抵抗性置換基は、好ましくは、2eVを下回らないHOMO−LUMOギャップを有する。パラメータnは、骨格P構造単位上の末端繰り返し単位の数であり、3〜100000の範囲内である。さらに、第2のタイプの繰り返し単位(−L−Q)は、リンカー基Lを介して構造骨格単位(P)に接続されるイオン官能基Qを含み、mは、3〜100000の範囲内の骨格構造における−L−Q繰り返し単位の数である。加えて、イオン官能基Qは、1つ以上のイオン性液体イオン(イオン性液体中で用いられるイオン化合物のクラスからの)、双性イオン、又はポリマー酸を含む。イオンQ基の相互作用のエネルギーは、kT未満であり得る。式中、kはボルツマン定数であり、Tは環境の温度である。さらにまた、パラメータtは、6〜200000の範囲のパラフルタ・ポリマー繰り返し単位の平均である。式中、B’は、コポリマーの電荷のバランスをとるべく反対電荷を供給することができる分子又はオリゴマーである対イオンであり、sは、対イオンの数である。
【0085】
有機ポリマー化合物の一実施形態では、抵抗性置換末端は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PP)、ポリスチレン(PS)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むリストから独立して選択される。有機ポリマー化合物の別の実施形態では、抵抗性置換末端は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、フッ素化アルキル、塩素化アルキル、分岐及び複合アルキル、分岐及び複合フッ素化アルキル、分岐及び複合塩素化アルキル基、及びこれらの任意の組み合わせから独立して選択され、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、iso−ブチル、及びtert−ブチル基から選択され、アリール基は、フェニル、ベンジル、及びナフチル基から選択される。抵抗性置換末端は、重合後に付加され得る。本開示のさらに別の実施形態では、HOMO−LUMOギャップは、4eVを下回らないことが好ましい。本開示のさらに別の実施形態では、HOMO−LUMOギャップは、5eVを下回らないことがより一層好ましい。イオン官能基Qは、イオン性液体中で用いられるイオン化合物のクラスからの1つ以上のイオン性液体イオン、双性イオン、又はポリマー酸を含む。個別のP個の構造単位上のQ基イオン間の相互作用のエネルギーは、kT未満であり得る。式中、kはボルツマン定数であり、Tは環境の温度である。環境の温度は、−60℃から150℃までの間の範囲内であり得る。温度の好ましい範囲は、−40℃から100℃までの間である。イオンのエネルギー相互作用は、イオンの有効半径に依存する。したがって、イオン間の立体障害を増加させることにより、イオンの相互作用のエネルギーを低減させることが可能である。本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン性液体イオンは、陽イオンとして[NR
4]
+、[PR
4]
+、及び陰イオンとして[−CO
2]
−、[−SO
3]
−、[−SR
5]
−、[−PO
3R]
−、[−PR
5]
−を含むリストから選択され、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。官能基Qは、重合後又は重合前に荷電され得る。本発明の別の実施形態では、リンカー基Lは、表6で与えられる構造58〜63から選択されるオリゴマーである。
【表6】
【0086】
本開示のさらに別の実施形態では、リンカー基Lは、表7で与えられる構造64〜73から選択される。
【表7】
【0087】
本開示のさらに別の実施形態では、リンカー基Lは、CH
2、CF
2、SiR
2O、及びCH
2CH
2Oを含むリストから選択され、式中、Rは、H、アルキル、及びフッ素を含むリストから選択される。イオン官能基Q及びリンカー基Lは、重合後に付加され得る。
【0088】
別の態様では、本開示は、双性イオン、陽イオン性液体イオン、陰イオン性液体イオン、又は前述したタイプのポリマー酸の保護された又はヒンダードイオンを含むパラフルタ・ポリマーのクラスのうちの1つ又は複数で構成される誘電体材料(メタ誘電体と呼ばれることもある)を提供する。メタ誘電体材料は、双性イオン型パラフルタ・ポリマー、又は正に帯電した(陽イオン)パラフルタ・ポリマー及び負に帯電した(陰イオン)パラフルタ・ポリマー、ポリマー酸パラフルタ・ポリマー、又はその任意の組み合わせの混合物であり得る。パラフルタ・ポリマーの混合物は、疎水性及びイオン性相互作用を介して上記構造を形成し得る又は形成するように誘導され得る。範囲を限定するのではなく単なる例として、正に帯電したパラフルタ・ポリマー上の陽イオンは、正に帯電したパラフルタ・ポリマーと並列の負に帯電したパラフルタ・ポリマー上の陰イオンのB個の対イオンと置き換わり、逆もまた同様であり、隣接するパラフルタ・ポリマーの抵抗性末端は、ファンデルワールス力を介するスタッキングをさらに助長し、これは、イオン基の分離を増加させる。陽イオンのパラフルタ・ポリマーと陰イオンのパラフルタ・ポリマーとの両方を含むメタ誘電体は、好ましくは、陽イオンのパラフルタ・ポリマーと陰イオンのパラフルタ・ポリマーの1:1の比を有する。
【0089】
直鎖又は分岐鎖の炭化水素(飽和及び/又は不飽和)、フルオロカーボン、シロキサン、及び/又はポリエチレングリコールの末端は、連結された/繋がれた/部分的に固定化された分極性のイオン性液体、双性イオン、又はポリマー酸(イオンQ基)を絶縁するように作用する。末端は、イオンQ基の相互作用のエネルギーの立体障害を介して同じ又はパラレルパラフルタ・ポリマー上の他のイオンQ基からイオンQ基を絶縁し、これは、都合よく、イオンQ基の個別の分極(すなわち、パラレルパラフルタ・ポリマーに繋がれた/部分的に固定化された陽イオン性液体及び陰イオン性液体の分極)を可能にする。さらに、末端は、上記構造のイオン基を互いから絶縁する。パラレルパラフルタ・ポリマーは、対イオン性液体(すなわち、陽イオン型及び陰イオン型の繋がれた/部分的に固定化されたイオン性液体(Q))が互いに反対に位置合わせされるように配列し得る又は配列され得る(陽イオンのパラフルタ・ポリマー及び陰イオンのパラフルタ・ポリマーとしても知られる)。
【0090】
パラフルタ・ポリマーは、超電子又はイオン型分極率を有する。「超電子分極は、外部電界により長い高分極性の分子上に一時的に局在化した励起子の電荷対の柔軟な相互作用に起因すると考えられ得る[.](Roger D.Hartman and Herbert A.Pohl,“Hyper−electronic Polarization in Macromolecular Solids”,Journal of Polymer Science:Part A−1 Vol.6,pp.1135−1152(1968))」。イオン型分極は、繋がれた/部分的に固定化されたイオン性液体又は双性イオン(Q)のイオン部分の限られた移動度により達成することができる。加えて、双極子分極などの分極の他の機構及び金属導電率をもつモノマー及びポリマーが、独立して、又は本開示の態様における超電子及びイオン分極と組み合わせて用いられ得る。
【0091】
さらに、メタ誘電体層は、1つ以上のタイプの双性イオンパラフルタ・ポリマーで構成されてよく、及び/又は陰イオンのQ基型及び陽イオンのQ基型及び/又はポリマー酸から選択され、これは、以下のパラフルタ・ポリマーの一般配列を有し得る:
【化15】
【0092】
メタ誘電体は、本明細書では、1000以上の比誘電率及び10
13ohm/cm以上の固有抵抗を有する1つ以上のタイプの構造化されたポリマー材料(SPM)で構成された誘電体材料として定義される。個々に、メタ誘電体におけるSPMは、pi−pi相互作用又は親水性及び疎水性相互作用により柱状の超分子構造を形成し得る。前記SPMの超分子は、メタ誘電体材料の結晶構造の形成を可能にし得る。誘電体材料にSPMを用いることにより、高い誘電透過性をもつ分子材料を提供するべく分極ユニットが組み込まれる。金属導電率をもつ分子、モノマー、及びポリマーの双極子分極、イオン分極、及び超電子分極などの分極のいくつかの機構が存在する。列挙したタイプの分極をもつすべての分極ユニットが本開示の態様で用いられ得る。さらに、SPMは、誘電体層において超分子を互いから電気的に分離し、且つエネルギー蓄積分子材料の高い破壊電圧をもたらす絶縁置換基のエンベロープを組み込む複合材料である。前記絶縁置換基は、分極性コア又はコポリマー骨格に共有結合された直鎖又は分岐鎖の炭化水素(飽和及び/又は不飽和)、フルオロカーボン、シロキサン、及び/又はポリエチレングリコールである、抵抗性エンベロープを形成する。
【0093】
図10に示される場合の、エネルギー蓄積セル1の一実施形態では、1つ以上のメタキャパシタ20のそれぞれは、第1の電極21、第2の電極22、及び前記第1の電極と第2の電極との間に配置されたメタ誘電体材料層23を備える。電極21、22は、銅、亜鉛、又はアルミニウム、又は他の導体材料などの金属で作製されてよく、概して平板の形状である。一実装では、電極及びメタ誘電体材料層23は、互いに挟まれる材料の長いストリップの形態であり、電極21、22間の電気短絡を防ぐべく絶縁材、例えばポリプロピレン又はポリエステルなどのプラスチックフィルムと共にコイルへ巻かれる。このようなコイル状キャパシタエネルギー蓄積装置の例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月26日に出願された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第14/752,600号に詳細に説明される。
図10に便宜のために単一のメタキャパシタ20が示されるが、本開示の態様はこのような実装に限定されない。
図7A、
図7B、
図7C、
図7Dに例示されるように、容量性エネルギー蓄積装置2は、並列のメタキャパシタの数にほぼ伴ってスケール変更する所望の量のエネルギー蓄積容量をもたらすべく
図7Bのように並列に接続された複数のメタキャパシタ20を含んでよいことを当業者は認識するであろう。代替的に、容量性エネルギー蓄積装置2は、
図7Cのように所望の電圧レベルに適応するべく直列に接続される2つ以上のメタキャパシタを含んでよい。加えて、容量性エネルギー蓄積装置2は、
図7Dのように種々の直列及び並列の組み合わせに関係するキャパシタネットワークにおける3つ以上のメタキャパシタの組み合わせを含んでよい。例えば、直列に接続される2つのキャパシタを有する各組み合わせと互いに並列に接続される3つのキャパシタの組み合わせが存在し得る。
【0094】
メタ誘電体材料23は、約100よりも大きい誘電定数κ及び約0.01ボルト(V)/ナノメートル(nm)以上の破壊電界E
bdにより特徴付けられ得る。誘電定数κは、約100、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、又は100,000以上であり得る。破壊電界は、約0.01V/nm、0.05V/nm、0.1V/nm、0.2V/nm、0.3V/nm、0.4V/nm、0.5V/nm、1V/nm、又は10V/nmよりも大きい場合があり得る。限定ではない単なる例として、メタ誘電体材料23は、約100から約1,000,000までの間の誘電定数κ及び約0.01V/nmから約2.0V/nmまでの間の破壊電界E
bdによって特徴付けられ得る。
【0095】
さらに別の実装では、容量性エネルギー蓄積装置は、直列又は並列に接続された1つ以上のメタキャパシタを備えてよい。さらに別の実装では、容量性エネルギー蓄積装置は、冷却機構30をさらに備えてよい。いくつかの実装では、冷却は、例えば、容量性エネルギー蓄積装置2及びDC電圧変換装置3上の放射冷却フィンを用いる受動とすることができる。代替的に、空気、水、又はエチレングリコールなどの流体を強制冷却システムにおける冷却液として用いることができる。限定ではない単なる例として、冷却システム30は、容量性エネルギー蓄積装置2及びDC電圧変換装置3と熱的接触する導管を含んでよい。導管は、固体、液体、又はガスであり得る熱交換媒体で満たされる。いくつかの実装では、冷却機構は、熱交換媒体から熱を取り出すように構成された熱交換器を含んでよい。他の実装では、冷却機構30は、容量性エネルギー蓄積装置2及びDC電圧変換装置3上の冷却フィンの形態の導管を含んでよく、熱交換媒体は、例えばファンにより、冷却フィン上に吹かれる空気である。本発明の別の実施形態では、熱交換器32は、冷却を行うように構成された相変化ヒートパイプを含んでよい。相変化ヒートパイプにより行われる冷却は、相変化材料の固相−液相変化(例えば、氷又は他の固体の融解を用いる)又は液相−気相変化(例えば、水又はアルコールの蒸発による)を含んでよい。さらに別の実装では、導管又は熱交換器32は、パラフィンワックスなどの固相−液相変化材料を収容するリザーバを含んでよい。
【0096】
図10、
図11、及び
図12を再び参照すると、DC電圧変換装置3は、V
out<V
inでの用途のための降圧コンバータ、V
out>V
inでの用途のための昇圧コンバータ、又は特定の状況におけるV
out<V
in及び他の状況におけるV
out>V
inでの用途のための双方向降圧/昇圧コンバータを含んでよい。
【0097】
エネルギー蓄積セル(
図11参照)のさらに別の実施形態では、DC電圧変換装置3は、閉ループ制御プロセス90を実施することができる適切な論理回路、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)を収容する制御盤4、及び(随意的に)通信インターフェース5、並びにDC電圧変換装置3上のセンサ、例えば、入力電圧V
in及び出力電圧V
outのための電圧センサV、容量性エネルギー蓄積装置2との間の電流I
sd及び/又はDC電圧変換装置3との間の電流I
vcのための電流センサA、容量性エネルギー蓄積装置及び/又はDC電圧変換装置上の温度センサTに結合される、アナログ−デジタル変換器に接続されてよい。いくつかの実装では、制御盤4は、DC電圧変換装置3へ集積されてよい。変換デバイス3は、降圧レギュレータ、昇圧レギュレータ、別個の入力/出力をもつ降圧及び昇圧レギュレータ、双方向昇圧/降圧レギュレータ、又はsplit−piコンバータを収容してよく、制御盤4は、安定した入力電圧を維持しながらより多くの又は少ない定電流でキャパシタを放電及び/又は充電中にDC電圧変換装置からの一定の出力電圧V
outを維持するように構成されてよい。
【0098】
限定ではない単なる例として、制御盤4は、双方向降圧/昇圧コンバータのためのコントローラに基づいていてよい。このような構成では、制御盤4は、制御ループ90を形成する以下のアルゴリズム:
a)エネルギー蓄積システムの目標出力電圧レベルを決定すること、
b)容量性エネルギー蓄積装置の電圧を測定すること、
c)容量性エネルギー蓄積装置上の電圧が所望の出力電圧を上回り、且つ所望の結果がデバイスの放電である場合に、出力方向IFの電圧及び直流を下げるように双方向降圧/昇圧コンバータを構成すること、
d)容量性エネルギー蓄積装置上の電圧が所望の出力電圧を下回り、且つ所望の結果がデバイスの放電である場合に、出力方向IFの電圧及び直流を上げるように双方向降圧/昇圧コンバータを構成すること、
e)容量性エネルギー蓄積装置上の電圧が所望の入力電圧を下回り、且つ所望の結果がデバイスの充電である場合に、入力方向IFの電圧及び直流を下げるように双方向降圧/昇圧コンバータを構成すること、
f)容量性エネルギー蓄積装置上の電圧が所望の出力電圧を上回り、且つ所望の結果がデバイスの充電である場合に、入力方向IFの電圧及び直流を上げるように双方向降圧/昇圧コンバータを構成すること、
g)容量性エネルギー蓄積装置上の電圧が所定のレベルを下回る場合に、電力の出力を停止するように双方向降圧/昇圧コンバータを構成すること、
h)容量性エネルギー蓄積装置上の電圧が所定のレベルを上回る場合に、電力の入力を停止するように双方向降圧/昇圧コンバータを構成すること、
i)必要に応じてステップ(a)〜(f)(又はステップ(a)〜(h))を繰り返すこと、
に従ってDC電圧変換装置の出力電圧を安定化させる。
【0099】
制御盤4の動作の詳細は、DC電圧変換装置3に用いられる降圧/昇圧コンバータのタイプにいくらか依存する。例えば、降圧/昇圧コンバータは、
図15Aに示されたタイプの単一スイッチ変換器であり得る。このタイプの変換器は、入力電圧V
inに結合される入力側及びインダクタLの一方の側に結合される出力側を有する高電位側スイッチSWを含み、他方の側は、接地又は共通の電圧(−)に接続される。キャパシタCは、出力電圧V
outにわたって結合される。パルススイッチング信号Sが、スイッチをオン及びオフにする。出力電圧は、スイッチング信号Sのデューティサイクルに依存する。単なる例として、スイッチは、エネルギー蓄積セルに関するDC電圧コンバータの電圧要件及び/又は電流要件に応じて、ゲートスイッチデバイス、例えば、MOSFETデバイス、スタックMOSFETデバイス、IGCTデバイス、高ドレイン−ソース電圧SiC MOSFETデバイスなどとして内蔵され得る。ゲートスイッチングデバイスの場合には、制御盤は、スイッチングデバイスのゲート端子に信号を提供する。制御盤4は、スイッチング信号Sのデューティサイクルを調整することによりこのタイプの降圧/昇圧コンバータを降圧又は昇圧に構成することができる。
【0100】
図15Bは、代替的な4スイッチ降圧/昇圧コンバータを示す。このタイプの変換器では、第1のスイッチSW1は、入力電圧V
inの高電位側(+)とインダクタLの入力側との間に接続され、第2のスイッチSW2は、インダクタLの出力側と共通の電圧(−)との間に接続され、第3のスイッチSW3は、インダクタLの入力側と共通の電圧との間に接続され、第4のスイッチSW4は、インダクタの出力側と出力電圧V
outの高電位側(+)との間に接続される。入力キャパシタC
inは、入力電圧V
inにわたって結合されてよく、出力キャパシタC
outは、出力電圧V
outにわたって結合されてよい。
【0101】
スイッチSW1、SW2、SW3、及びSW4は、制御盤4からのスイッチング信号に応答して、開(非伝導)状態と閉(伝導)状態との間で変化する。降圧モードで動作するために、第2のスイッチSW2が開かれ、第4のスイッチSW4が閉じられ、例えば、
図3及び
図4に関して上述したように第1のスイッチSW1及び第3のスイッチSW3にパルス降圧モードスイッチング信号が印加される。制御盤4は、スイッチング信号S1及びS3のデューティサイクル信号を調整することにより降圧モードでの出力電圧V
outを調整することができる。昇圧モードで動作するために、第1のスイッチSW1が開かれ、第3のスイッチSW3が閉じられ、例えば、
図5及び
図6に関して前述したようにパルス昇圧モードスイッチング信号が第2のスイッチSW2及び第4のスイッチSW4に印加される。制御盤4は、スイッチング信号S2及びS4のデューティサイクル信号を調整することにより昇圧モードでの出力電圧V
outを調整することができる。
【0102】
限定ではない単なる例として、
図9A、
図9B、
図9C、
図9D、
図9E、
図9F、
図9G、
図9H、
図9Iに描画される場合のDC電圧変換装置3は、
図11及び
図12の容量性エネルギー蓄積セル3上の電圧ラベルv_c(t)、v_i(t)、及びv_o(t)に対応する
図13A、
図13B、
図14A、及び
図14Bに描画された充電及び放電モダリティを達成するべく必要に応じて入力/出力電圧を昇圧/又は降圧するように配列される1つ以上のスイッチ・モード電圧コンバータ100を含んでよい。
図9F、
図9G、
図9H、
図9Iに示すように、入力/出力ポートは、別個の入力及び出力へ分けられてよい。これらの別個の入力及び出力は、異なるバス電圧を有し得る。例えば、DC−ACコンバータに電力を伝送又は供給することを意図された出力DCバスとは異なる電圧の、ソーラーインバータからの入力DCバスが存在し得る。スイッチ・モード電圧コンバータ100は、以下のリスト:降圧コンバータ(
図8Bに示される)、昇圧コンバータ(
図8Aに示される)、降圧/昇圧コンバータ、双方向降圧/昇圧(split−pi)コンバータ(
図8Dに示される)、Cukコンバータ、single−ended primary inductor converter(SEPIC)、反転降圧/昇圧コンバータ(
図8Cに示される)、又は4スイッチ降圧/昇圧コンバータから選択された回路を有してよい。
【0103】
図9A、
図9B、
図9C、
図9D、
図9E、
図9F、
図9G、
図9H、
図9Iでは、スイッチ・モード電圧コンバータ100は、相互接続システム102によりパワーポート101に接続される。パワーポート101は、いずれかの方向に電力を伝送するべく一緒に動作するように意図された正端子及び負端子を含む。パワーポートは、入力、出力、又は双方向とすることができる。制御インターフェース104は、制御ネットワーク103を通じてスイッチ・モード電圧コンバータ100上の制御インターフェースのすべてに接続される。制御ネットワークは、システムを制御するのに必要な目標電圧、目標電流、観測される電圧、観測される電流、温度、及び他のパラメータを搬送し得る。制御ネットワーク103、制御インターフェース104、制御盤4、及び制御ループ90は、単一の個別の物理的パッケージに組み合わされてよく、又は組み合わされなくてよい。例えば、一実装は、システム全体にわたって分散されたすべての上述の要素を有してよく、別の実装は、単一のマイクロプロセッサユニットにすべての要素を収容してよい。
【0104】
一実装では、制御盤4は、最初の電荷状態((V_c(t))から最小電荷状態(V_c(t)=Vmin,op)へのメタキャパシタの放電(
図13B及び
図14B参照)中にエネルギー蓄積セルの出力電圧、例えば、DC電圧コンバータの出力電圧V
outを一定のレベルに維持するような様態でDC電圧コンバータ3を制御してよく、この場合、最小電荷状態(Vmin,op)は、最初の保有エネルギーの0%〜20%に等しい残存エネルギーに対応するメタキャパシタ上の電圧により定義され、メタキャパシタの保有エネルギーは、
【数6】
により計算することができ、式中、Eはエネルギーであり、Cはキャパシタンスであり、Vは電圧である。制御盤4がプログラム可能なデバイスである実装では、エネルギー蓄積セルの一定の出力電圧は、プログラム可能な値とすることができる。
【0105】
エネルギー蓄積セルのさらに別の実装では、出力電圧は、降圧レギュレータ、昇圧レギュレータ、別個の入力/出力をもつ降圧及び昇圧レギュレータ、双方向昇圧/降圧レギュレータ、split−piコンバータを含むリストから選択されたDC電圧変換装置により一定にされる。
【0106】
いくつかの実装では、セル1は、以下のリスト:メタキャパシタ上の電圧、メタキャパシタに入る及び出る電流、DC電圧変換装置に流入する又は流出する電流、DC電圧変換装置の出力電圧、メタキャパシタ内の1つ以上の点での温度、DC電圧変換装置内の1つ以上の点での温度、から選択されたパラメータの観測を可能にするように構成された回路を含む。別の実装では、エネルギー蓄積セルは、AC出力電圧を生み出すためのACインバータをさらに備え、DC電圧変換装置のDC出力電圧は、ACインバータの入力電圧である。さらに別の実装では、エネルギー蓄積セルは、Si絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、SiC MOSFET、GaN MOSFET、グラフェンに基づくパワーエレクトロニクス・スイッチをさらに備え、又は有機分子スイッチを備える。エネルギー蓄積セルの一実施形態では、パワーエレクトロニクス・スイッチは、個々のスイッチコンポーネントの破壊電圧よりも高い電圧のスイッチングを可能にするべく直列にスタックされた複数のスイッチ要素を備える。
【0107】
本開示の別の態様では、容量性エネルギー蓄積モジュール40が、例えば、
図16に例示される。図示される例では、エネルギー蓄積モジュール40は、前述したタイプの2つ以上のエネルギー蓄積セル1を含む。各エネルギー蓄積セルは、1つ以上のメタキャパシタ20と、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、又は降圧/昇圧コンバータであり得るDC電圧コンバータ3とを有する容量性エネルギー蓄積装置2を含む。加えて、各モジュールは、
図10、
図11、
図12に関して前述したタイプの制御盤4及び(随意的な)冷却機構(図示せず)を含んでよい。モジュール40は、容量性エネルギー蓄積モジュールの共通のアノード及び共通のカソードを生み出すべく個々のエネルギー蓄積セルのアノード及びカソードを接続する相互接続システムをさらに含んでよい。
【0108】
また別の態様の、いくつかの実装では、相互接続システムは、パラメータバス42及びパワースイッチPSWを含む。モジュール40の各エネルギー蓄積セル1は、パワースイッチPSWを介してパラメータバス42に結合されてよい。これらのスイッチは、共通のアノード及び共通のカソードとして役立つことができる2つ以上のレールを介して2つ以上のモジュールが並列に又は直列に選択的に結合されることを可能にする。パワースイッチはまた、例えば、モジュールの動作を中断させずにセルの冗長性及び/又はメンテナンスを可能にするべく、1つ以上のエネルギー蓄積セルがモジュールから接続解除されることも可能にする。パワースイッチPSWは、ソリッドステートパワースイッチング技術に基づいていてよく、又は、電気機械式スイッチ(例えば、リレー)、又は2つのいくつかの組み合わせにより実装されてよい。
【0109】
いくつかの実装では、エネルギー蓄積モジュールは、モジュールへの電力の入力又は出力を監視するための電力メータ44をさらに備える。いくつかの実装では、エネルギー蓄積モジュールは、モジュールからの電力出力及びモジュールへの電力入力を制御するように構成されたネットワーク化された制御ノード46をさらに備える。ネットワーク化された制御ノード46は、高速ネットワーク上で各モジュールがシステム制御コンピュータとトークすることを可能にする。ネットワーク化された制御ノード46は、例えば、それらのそれぞれの制御盤4を介して、エネルギー蓄積セル2のそれぞれにおける電圧コントローラ3のそれぞれの動作を選択的に制御するように構成された電圧制御論理回路50を含む。制御ノード46はまた、パワースイッチPSWの動作を制御するように構成されたスイッチ制御論理回路52を含んでよい。制御盤4及びパワースイッチPSWは、データバス48を介して制御ノード46に接続されてよい。ネットワーク化された制御ノード46における電圧制御及びスイッチング論理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はコンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)により実装されてよい。制御ノード46は、電圧制御論理回路50と個々のエネルギー蓄積セル2上の制御盤4との間の信号の伝達を容易にするべく、また、例えば、データバス48を介してスイッチング論理回路52とパワースイッチPSWとの間で信号を伝達するべくネットワーク・インターフェース54を含んでよい。
【0110】
本開示のまた別の態様によれば、容量性エネルギー蓄積システムは、例えば、
図16に示されたタイプの2つ以上のネットワーク化された容量性エネルギー蓄積モジュールを含んでよい。このような容量性エネルギー蓄積システム60の一実施形態が、
図17に示される。システム60は、
図16に示されたタイプの2つ以上のエネルギー蓄積モジュール40を含む。各容量性エネルギー蓄積モジュール40は、相互接続システム42により接続され、制御ノード46により制御される、例えば、
図10、
図11、
図12に示されたタイプの2つ以上の容量性エネルギー蓄積セル1を含む。各容量性エネルギー蓄積モジュールはまた、モジュール電力メータ44を含んでよい。
図16には図示されないが、各制御ノード46は、個々の容量性エネルギー蓄積セル1内の電圧コントローラを制御するための電圧制御論理回路50と、前述のようにモジュールで内部パワースイッチを制御するためのスイッチング論理回路52を含んでよい。加えて、各制御ノード46は、前述のように接続され得る内部データバス48及びネットワーク・インターフェース54を含む。容量性エネルギー蓄積モジュール40に出入りするパワーは、システムパワースイッチSPSWを介してシステムパワーバス62に結合され、これは、ソリッドステートパワースイッチング技術に基づいていてよく、又は電気機械式スイッチ(例えば、リレー)により、或いは2つのいくつかの組み合わせにより実装されてよい。いくつかの実装では、モジュールからのDC電力をAC電力に又はこの逆に変換するべく各容量性エネルギー蓄積モジュール40とシステムパワーバス62との間に結合されるインバータ(図示せず)が存在し得る。
【0111】
システム60は、システムデータバス68に接続されるシステムコントローラ66を含む。システムコントローラは、スイッチング制御論理70、電圧制御論理72、及びシステムネットワークインターフェース74を含んでよい。電圧制御論理70は、個々のモジュール40の個々のセル1内の個々のDC電圧コントローラの動作を制御するように構成されてよい。スイッチング制御論理72は、システムパワースイッチSPSW、そしてまた、個々の容量性エネルギー蓄積モジュール40内のパワースイッチPSWの動作を制御するように構成されてよい。電圧制御信号は、ネットワーク・インターフェース74、システムデータバス68、特定のモジュールのための制御ノード46のモジュールネットワークインターフェース54、モジュールデータバス48、及び個々のセル1の制御盤4を通じて、電圧制御論理72から特定の容量性エネルギー蓄積モジュールの特定の容量性エネルギー蓄積セル1内の特定のDC電圧制御デバイス3に送信されてよい。
【0112】
限定ではない単なる例として、システムコントローラ66は、決定性コントローラ、非同期コントローラ、又は分散型クロックを有するコントローラであってよい。容量性エネルギー蓄積システム60の1つの特定の実施形態では、システムコントローラ66は、容量性エネルギー蓄積モジュール40のうちの1つ以上の、1つ以上の容量性エネルギー蓄積セルにおけるいくつかの独立した電圧変換装置を同期するように構成された分散型クロックを含んでよい。
【0113】
本開示の態様は、従来の電気エネルギー蓄積システムで可能であるよりもかなり大きい規模で電気エネルギー蓄積を可能にする。様々なエネルギー蓄積の需要は、1つ以上のメタキャパシタをDC電圧変換装置と共にセルへ選択的に組み合わせること、2つ以上のセルをモジュールへ組み合わせること、又は2つ以上のモジュールをシステムへ組み合わせることにより満たすことができる。
【0114】
上記が本発明の好ましい実施形態のすべての説明であるが、種々の代替、修正、及び均等物を用いることが可能である。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではないが、代わりに、付属の請求項を参照して、それらの均等物の全範囲と共に決定されるべきである。好ましかろうと又はそうでなかろうとも本明細書に記載のどの特徴も、好ましかろうと又はそうでなかろうとも本明細書に記載のどの他の特徴と組み合わされてもよい。以下の請求項では、不定冠詞「A」又は「An」は、別途明白に規定されない限り、該冠詞に続くアイテムのうちの1つ以上の数量を指す。本明細書で用いられる場合の代替での要素の列挙において、「又は」という言葉は、論理上包括的な意味で用いられ、例えば、「X又はY」は、別途明白に規定されない限り、Xのみ、Yのみ、又はXとYとの両方を一緒に包含する。代替として列挙された2つ以上の要素は、一緒に組み合わされてよい。付属の請求項は、「means for(〜のための手段)」という文言を用いて所与の請求項においてこのような限定が明示的に列挙されない限り、ミーンズ・プラス・ファンクション限定を含むものとして解釈されるべきではない。