(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)対向する主要表面と、物理的発泡剤を含有する気体充てん気泡とを有するポリマーフォーム層、およびb)前記ポリマーフォーム層の前記対向する主要表面の少なくとも1つに付着された多層シートを含む、フォーム断熱材構造であって、前記多層シートが、i)少なくとも50重量%の、ポリラクチド樹脂ではなく、かつ少なくとも70℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する1種以上の熱可塑性樹脂を含有する第1の非気泡層と、ii)少なくとも50重量%のポリラクチド樹脂を含有する第2の非気泡層を含み、前記多層シートの前記第1の非気泡層が、前記ポリマーフォーム層に密封付着され、かつ前記多層シートの前記第2の非気泡層が、前記多層シートの前記第1の非気泡層に密封付着される、フォーム断熱材構造。
前記1種以上の熱可塑性樹脂が、少なくとも100℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する、請求項1に記載のフォーム断熱材構造。
前記1種以上の熱可塑性樹脂が、メタクリル酸メチルのホモポリマー、または少なくとも70重量%の重合メタクリル酸メチルを含有するコポリマーである、請求項1または2のいずれか一項に記載のフォーム断熱材構造。
前記物理的発泡剤が、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素;8個までの炭素原子を有するフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロクロロカーボンまたはヒドロフルオロクロロカーボン;8個までの炭素原子を有するヒドロハロオレフィン;および8個までの炭素原子を有するジアルキルエーテルの1種以上から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフォーム断熱材構造。
前記ポリマーフォームが、少なくとも1種のポリイソシアネート、水および前記物理的発泡剤を含有するフォーム前駆体混合物の反応生成物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフォーム断熱材構造。
前記第2の非気泡層が、前記第2の非気泡層中のポリラクチド樹脂1グラムあたり25J未満のポリラクチド結晶子を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフォーム断熱材構造。
(1)i)少なくとも50重量%の、ポリラクチド樹脂ではなく、かつ少なくとも70℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する1種以上の熱可塑性樹脂を含有し、第2の非気泡層に密封付着された第1の非気泡層と、ii)少なくとも50重量%のポリラクチド樹脂を含有する第2の非気泡層を含む多層シートの前記第1の非気泡層の表面に、少なくとも1種のポリイソシアネート、水および物理的発泡剤を含有するフォーム前駆体混合物を適用すること、ならびに(2)前記多層シートの前記第1の非気泡層と接触させながら、前記フォーム前駆体混合物を硬化して、前記多層シートの前記第1の非気泡層に接着されたポリマーフォーム層を形成することを含む方法。
前記1種以上の熱可塑性樹脂が、メタクリル酸メチルのホモポリマー、または少なくとも70重量%の重合メタクリル酸メチルを含有するコポリマーである、請求項14〜15のいずれか一項に記載の方法。
前記物理的発泡剤が、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素;8個までの炭素原子を有するフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロクロロカーボンまたはヒドロフルオロクロロカーボン;8個までの炭素原子を有するヒドロハロオレフィン;および8個までの炭素原子を有するジアルキルエーテルの1種以上から選択される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
前記第2の非気泡層が、前記第2の非気泡層中のポリラクチド樹脂1グラムあたり25J未満のポリラクチド結晶子を含有する、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
前記フォーム前駆体混合物が、前記多層シートのシートおよび第2の層によって形成された空洞中に分散され、そして前記空洞内で硬化され、前記多層シートおよび前記第2の層に接着したポリマーフォーム層が形成される、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図中、フォーム断熱材構造1は、主要表面5と、(本図面中では不明瞭な)対向する主要表面を有するポリマーフォーム層2を含む。多層シート3は、主要表面5に付着されている。多層シートは、ポリマーフォーム層2の主要表面5および第2の非気泡層32に密封付着された第1の非気泡層31を含む。
【0014】
「非気泡」とは、参照されたシートまたは層が、10体積%以下の空隙体積を有することを意味する。シートまたは層は、より好ましくは、5体積%以下、なおより好ましくは、2体積%以下の空隙体積を有する。
【0015】
層および/またはシートは、それらの間に、フォーム断熱材構造1内または外への気体の大量輸送が生じる開口が存在しない場合(存在する場合、製造欠陥を別とする)、互いに「密封付着されている」。そのため、主要表面5を通してポリマーフォーム層2から移動する気体は、構造1のその側面から漏出するには、第1の非気泡層31および第2の非気泡層32を通って拡散しなければならない。逆に、主要表面5を通してポリマーフォーム層2中に移動する大気気体は、構造1のその側面からポリマーフォーム層に入るには、第2の非気泡層32および第1の非気泡層31を通って拡散しなければならない。典型的に、第1の非気泡層31は、ポリマーフォーム層2および第2の非気泡層32に、直接的に、またはあまり好ましくないが、中間接着剤層(図中に示されない)を通して、そこで互いに接着することによって密封付着される。第1の非気泡層31は、好ましくは、ポリマーフォーム層2の主要表面5に直接接触するか、またはそれ自体がポリマーフォーム層2の主要表面5に直接接触する接着剤層に直接接触する。同様に、第1の非気泡層31は、好ましくは、第2の非気泡層32に直接接触するか、またはそれ自体が第2の非気泡層32に直接接触する接着剤層に直接接触する。
【0016】
いずれの層の「主要」表面も、最大表面積を有する対向する表面である。いずれの層の「厚さ」または構造全体の「厚さ」は、最小直交寸法である。
【0017】
ポリマーフォーム層2は、気泡有機ポリマー(または有機ポリマーの混合物)である。ポリマーフォームの気泡は、1種以上の気体で充てんされている。気体は、1種以上の揮発した発泡剤を含む。気泡は、好ましくは、主に独立気泡である。例えば、ASTM D6226によって決定されるように、ポリマーフォームの気泡の少なくとも50%、少なくとも75%または少なくとも90%が独立気泡であってよい。
【0018】
物理的発泡剤は、−10℃〜100℃の沸騰温度を有する1種以上の化合物である。物理的発泡剤は、ポリマーフォーム製造の間に揮発し、ポリマーを膨張する気体を発生する。物理的発泡剤は、例えば、3〜8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルカン、および/または4〜8個の炭素原子を有するシクロアルカンなどの炭化水素を含み得る。物理的発泡剤は、8個までの炭素原子を有するフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロクロロカーボンまたはヒドロフルオロクロロカーボン、例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);ヒドロハロオレフィン発泡剤、例えば、トリフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze);1,1,3,3−テトラフルオロプロペン;2,2,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(1225ye);1,1,1−トリフルオロプロペン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン(1225zc);1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロペン(1225yc);(Z)−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(1225yez);1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd)および1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン(1336mzzm)、ジアルキルエーテル、例えば、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテルまたはジエチルエーテルなどであってよい。
【0019】
好ましい物理的発泡剤としては、炭化水素、特に、3〜8個の炭素原子を有する1種以上のアルカン、例えば、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサンおよび1種以上のシクロアルカン、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンが含まれる。シクロペンタンは、特に好ましい物理的発泡剤である。物理的発泡剤は、ポリマーフォームの気泡中の気体の、例えば、10〜100、25〜100、25〜95または25〜75モルパーセントを構成し得る。
【0020】
ポリマーフォーム層2の気泡中の気体は、物理的発泡剤から完全になってもよく、あるいは追加的に、1種以上の他の気体を含有していてもよい。いくつかの実施形態において、気体は、二酸化炭素(例えば、水とイソシアネート基との反応および/またはギ酸もしくはギ酸エステルの分解によって発生したもの)あるいは窒素(例えば、アゾ発泡剤の分解によって発生したもの)などの化学的発泡剤の反応によって発生した1種以上の化合物を含む。気泡中の気体は、追加的に、空気または空気の1種もしくはそれ以上の成分などの他の気体化合物を含んでもよい。そのような他の気体は、例えば、ポリマーフォームの気泡中の気体の90モルパーセントまで、75モルパーセントまで、5〜75モルパーセントまたは25〜75モルパーセントを構成してもよい。
【0021】
ポリマーフォームは、1種以上の熱可塑性ポリマーおよび/または1種以上の熱硬化性ポリマーを含んでもよい。熱可塑性ポリマーには、例えば、ポリスチレン;スチレン−アクリロニトリルコポリマーおよびスチレン−アクリル酸コポリマーなどのスチレンコポリマー;ポリエチレン;および上記のいずれかの2種以上のブレンドが含まれる。熱硬化性ポリマーには、例えば、ポリイソシアネートの重合によって製造される、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン−尿素、ポリイソシアヌレート、ポリウレタン−イソシアヌレート、ポリ尿素−イソシアヌレート、ポリウレタン−尿素−イソシアヌレートなどのイソシアネートベースのポリマーが含まれる。
【0022】
好ましい熱硬化性ポリマーは、少なくとも1種のポリイソシアネート、水、物理的発泡剤および任意の1種以上のポリオールおよび/またはイソシアネート反応性アミンを含む液体フォーム前駆体の反応生成物である。これらの系の中の水は、次に二酸化炭素およびアミンに分解するカルバミン酸を形成するイソシアネートと反応することによって、化学的発泡剤および連鎖延長剤として作用する。発生した二酸化炭素は発泡性気体として作用し、そしてアミンは、別のイソシアネート基と反応して、尿素結合を形成し、それによって、ポリマー鎖が延長される。そのような場合、気体が充てされた気泡は、二酸化炭素および物理的発泡剤の両方を含むであろう。1種以上のポリオールが存在する場合、これらはイソシアネート基と反応し、ウレタン結合を形成する。イソシアネート反応性アミンが存在する場合、これらはイソシアネート基と反応し、尿素結合を形成する。硬質の独立気泡イソシアネートベースフォームを製造するための適切なシステムの例は、例えば、米国特許第5,444,101号、同第6,753,357号および同第8,937,107号、米国特許出願公開第2015/0025164号ならびに国際公開第2013/135746号に記載されている。
【0023】
フォーム密度は、例えば、16〜80kg/m
3または24〜60kg/m
3であってよい。
【0024】
絶縁材フォーム層の厚さは、例えば、少なくとも0.25cm、少なくとも1cmまたは少なくとも2cmであってもよく、かつ50cm、25cm、12cmまたは7.6cm程度であってもよい。
【0025】
第1の非気泡層31は、少なくとも50重量%の、ポリラクチド樹脂ではなく、かつ少なくとも70℃、より好ましくは、少なくとも80℃、好ましくは、少なくとも100℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する熱可塑性樹脂を含有する。
【0026】
適切な熱可塑性プラスチックの例としては、メタクリル酸メチルのホモポリマーおよびコポリマー、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、高衝撃ポリスチレンなどが含まれる。好ましい熱可塑性樹脂は、メタクリル酸メチルのホモポリマー、および70重量%以上の重合メタクリル酸メチルを含有するメタクリル酸メチルのコポリマー重である。そのような熱可塑性樹脂は、バージン材料であっても、かつ/または工業後および/または消費者後のスクラップ材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、第2の非気泡層32のポリラクチド樹脂と混和性である。「混和性」とは、溶融または溶液ブレンドされた樹脂が、溶媒の除去後(溶液ブレンドの場合)および室温までの冷却後に単相混合物を形成することを意味する。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1の非気泡層31は、40重量%まで、25重量%まで、または10重量%までの下記の1種以上のポリラクチド樹脂を含んでもよい。そのような実施形態において、ポリラクチド樹脂は、好ましくは、他の熱可塑性樹脂と混和性である。
【0028】
第1の非気泡層31中に使用される熱可塑性樹脂(または樹脂の混合物)は、衝撃変性されていてもよい。衝撃変性とは、樹脂または混合物が、正味の樹脂または混合物自体のものと比較して、樹脂または混合物の衝撃強度を増加させる1種以上の添加剤と組み合わせられることを意味する。衝撃変性剤の適切な量は、ポリラクチド樹脂100重量部あたり少なくとも0.25重量部であり、かつ例えば、ポリラクチド樹脂100重量部あたり25重量部まで、20重量部まで、15重量部まで、または10重量部までである。
【0029】
第2の非気泡層32は、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは、少なくとも90重量%の1種以上のポリラクチド樹脂を含有する。本発明の目的に関して、「ポリラクチド」、「ポリ乳酸」および「PLA」という用語は、ポリマー中にそれらの乳酸単位がどのように形成されるかには関係なく、少なくとも50重量%の重合乳酸単位(すなわち、構造−OC(O)CH(CH
3)−を有するもの)を有するポリマーを示すために、交換可能に使用される。ポリラクチド樹脂は、好ましくは、少なくとも重量80%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%または少なくとも98重量%の乳酸単位を含む。
【0030】
ポリラクチドは、(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシドなどを含む)アルキレンオキシド、環式ラクトンまたはカーボネートなどのラクチドまたは乳酸と共重合可能である他のモノマーから誘導される繰り返し単位をさらに含有していてもよい。これらの他のモノマーから誘導される繰り返し単位は、ブロックおよび/またはランダム配列に存在することができる。これらの他の繰り返し単位は、適切に、ポリラクチドの約10重量%まで、好ましくは、ポリラクチドの約0〜5重量%、特にポリラクチドの約0〜2重量%を構成していてもよく、かつ不在であってもよい。
【0031】
ポリラクチドは、しばしば重合プロセスの間に分子量制御を提供するために使用される開始剤化合物の残分も含有していてもよい。適切なそのような開始剤としては、例えば、水、アルコール、(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、他のグリコールエーテル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヒドロキシル末端ブタジエンポリマーなどの)種々のポリヒドロキシル化合物、ポリカルボキシル含有化合物、ならびに少なくとも1個のカルボキシルおよび(乳酸または乳酸オリゴマーなどの)1個のヒドロキシル基を有する化合物が含まれる。開始剤残分は、好ましくは、ポリラクチドのいずれの割合も構成することが可能である乳酸または乳酸オリゴマーの場合を除き、ポリラクチドの10重量%以下、特に5重量%以下、特に2重量%以下を構成する。
【0032】
ポリラクチドは長鎖分枝鎖を有し得る。長鎖分枝鎖は、ポリラクチド上のカルボキシル基を、アクリレートポリマーまたはコポリマー上に存在するエポキシド基と反応させることなどの種々の方法でポリラクチド中に導入可能である。好ましいアクリレートポリマーまたはコポリマーは、23℃において固体であること、平均約2〜約15個の遊離エポキシド基/分子(例えば、約3〜約10個または約4〜約8個の遊離エポキシド基/分子)を含有すること、ならびに少なくとも1種のエポキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートモノマーであって、好ましくは、少なくとも1種の追加モノマーと共重合されたものの重合生成物であることを特徴とする。アクリレートポリマーまたはコポリマーは、適切に、約150〜約700g/モル、例えば、200〜500g/モルまたは200〜400g/モルのエポキシド基あたりの数平均分子量を有する。アクリレートポリマーまたはコポリマーは、適切に、1000〜6000g/モル、例えば、約1500〜5000g/モルまたは約1800〜3000g/モルの数平均分子量を有する。長鎖分枝鎖を導入するための他の有用なアプローチは、米国特許第5,359,026号および同第7,015,302号ならびに国際公開第06/002372A2号に記載されている。
【0033】
ポリラクチドの数平均分子量は、ポリエチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによって測定した場合、例えば、10,000〜200,000g/モルの範囲にあってよい。約30,000〜130,000g/モルの数平均分子量がより好ましい。
【0034】
ポリラクチド樹脂は、いくつかの実施形態において、30℃において、毛細管粘度計上、クロロホルム標準に対して、クロロホルム中のポリラクチド樹脂の1%重量/体積溶液を使用して測定した場合、2〜6、好ましくは、2.5〜5、より好ましくは、3.5〜4.5の相対粘度を有することによって特徴づけられる。
【0035】
好ましいポリラクチドは、L−乳酸およびD−乳酸のランダムコポリマー、L−乳酸およびD−乳酸のブロックコポリマー、またはこれらの2種以上の混合物であり、それぞれの場合において、任意に、開始剤化合物および/または分枝剤の残分を含有する。好ましいポリラクチドは、少なくとも95重量%、特に少なくとも98重量%の乳酸単位を含有する。
【0036】
ポリラクチド中の乳酸単位は、L−またはD−単位、あるいはその混合物であってよい。L−およびD−乳酸単位は、ポリラクチド樹脂分子中にランダムに、または疑ランダムに分布されていてもよい。
【0037】
乳酸単位の比率、およびそれらが共重合される様式(すなわち、ランダム、ブロック、マルチブロック、グラフトなど)は、ポリラクチドの結晶性挙動に影響を与える。
【0038】
いくつかの実施形態において、ポリラクチドは、全ての場合において乳酸単位の全重量に基づき、50重量%〜92重量%の1種の乳酸単位(L−またはD−)および8重量%〜50重量%の他の乳酸単位、または75重量%〜92重量%の1種の乳酸単位および8重量%から25重量%の他の乳酸単位を含有する。
【0039】
他の実施形態において、ポリラクチドは、乳酸単位の全重量に基づき、92重量%〜100重量%、好ましくは、92重量%〜99.5重量%、特に、95重量%〜99.5重量%の1種の乳酸単位(L−またはD−)および0.5重量%〜8重量%、好ましくは、0.5重量%〜8重量%、特に、0.5重量%〜5重量%の他の乳酸単位を含有する。
【0040】
例えば、ブレンドの所望の結晶化特性を得るために、または所望の分子量分布を得るために、2種以上のポリラクチドのブレンドを使用することができる。
【0041】
したがって、なお他の実施形態において、ポリラクチド樹脂は、95%〜100%のL−乳酸単位を含有し、かつ3.5〜4.5の相対粘度を有するポリラクチド樹脂(a)と、混合物の重量に基づき、2重量%〜20重量%の95%〜100%のL−乳酸単位を含有し、かつ2〜3.25の相対粘度を有するポリラクチド樹脂(b)との混合物である。別の有用な混合物は、95%〜100%のL−乳酸単位を含有し、かつ3.5〜4.5の相対粘度を有するポリラクチド樹脂(a)と、混合物の重量に基づき、2重量%〜25重量%、好ましくは、5重量%〜15重量%の94%〜100%のD−乳酸単位を含有するポリラクチド樹脂(c)との混合物である。さらに別の有用な混合物は、ポリラクチド樹脂(a)と、混合物の重量に基づき、2重量%〜20重量%のポリラクチド樹脂(b)と、混合物の重量に基づき、2重量%〜25重量%、好ましくは、5重量%〜15重量%のポリラクチド樹脂(c)を含む。
【0042】
ポリラクチド樹脂は、バージン材料を含んでも、かつ/またはリサイクルされた工業後または消費者後のポリラクチド樹脂を含んでもよい。
【0043】
ポリラクチド樹脂(または樹脂の混合物)は、衝撃変性されていてもよい。衝撃変性とは、樹脂または混合物が、ポリラクチド樹脂または混合物自体のものと比較して、樹脂または混合物の衝撃強度を増加させる1種以上の添加剤と組み合わせられることを意味する。そのような衝撃変性ポリラクチド樹脂の落槍衝撃強度は、ASTM D1709によって測定した場合、好ましくは、少なくとも4、より好ましくは、少なくとも8ジュールである。添加剤は、一般に、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した場合、20℃以下のガラス転移温度(T
g)を有する1種以上のポリマー材料を含む。添加剤のガラス転移温度は、0℃以下、−20℃以下または−35℃以下であってよい。
【0044】
衝撃変性剤の例としては、例えば、コア−シェルゴムが含まれる。コア−シェルゴムは、少なくとも1つのゴムコアが少なくとも1つのシェル材料によって包埋されている微粒子材料である。ゴムコアは、0℃以下、好ましくは、−10℃以下のT
gを有する。シェル材料は、DSCによると、少なくとも50℃のT
gを含む。シェル材料は、好ましくは、コア上にグラフト化されるか、または架橋される。ゴムコアは、適切に、コア−シェルゴム粒子の50〜90重量%、特に50〜85重量%を構成する。
【0045】
コア−シェルゴムの製造方法は周知であり、かつ例えば、米国特許第3,655,825号、同第3,678,133号、同第3,668,274号、同第3,796,771号、同第3,793,402号、同第3,808,180号、同第3,843,735号、同第3,985,703号および同第6,989,190号に記載されている。適切な方法は、コアおよびシェルが2つの連続的な乳化重合段階で製造される2段階重合技術である。
【0046】
適切な商業的に入手可能なコア−シェルゴムとしては、Paraloid(商標)KM355およびParaloid(商標)BPM 500コア−シェルゴムを含むParaloid(商標)ブランド名でDow Chemical Companyによって販売されるもの、KaneAce ECO-100などのKaneAce(商標)ブランド名でKanekaによって販売されるもの、ならびにMitsubishi Rayon Co., Ltd.によって販売されるMetablen S2001、S2006、S2501およびW600AなどのMetablen(商標)製品が含まれる。
【0047】
他の衝撃変性剤としては、ポリオレフィン、種々のアクリルゴム、エチレン−アクリル酸コポリマー(ならびにそのアルカリ金属塩)、エチレン−メタクリル酸グリシジルコポリマー、種々のシリコーンゴム、共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、ポリウレタンゴムなどが含まれる。
【0048】
衝撃変性剤の適切な量は、ポリラクチド樹脂100重量部あたり0.25〜10重量部である。
【0049】
ポリラクチド樹脂は、1種以上の結晶化促進剤も含み得る。これらには、例えば、結晶核剤として、かつ/または結晶化加速剤として作用する1種以上の添加剤が含まれる。適切な結晶化促進剤の中でも、フォーム断熱材構造を製造するためにポリラクチド樹脂を処理する条件下で熱安定性である(すなわち、溶融または分解しない)微粉固体材料がある。そのような微粉固体材料の例としては、タルク、種々の粘土などの鉱物粉末、ならびに微粒子高融点熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーが含まれる。他の結晶化促進剤としては、エチレンビス(ラウリン酸アミド)、エチレンビス(イソオレイン酸アミド)およびエチレンビス(ステアリン酸アミド)を含む、欧州特許第1887044号に記載されるものなどの酸アミド化合物が含まれる。結晶化加速剤としては、例えば、種々のクエン酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、種々のアジピン酸エステルなどを含む、ポリラクチド樹脂のための種々の可塑剤が含まれる。
【0050】
結晶化促進剤は、都合よく、ポリラクチド樹脂100重量部あたり0.01〜10重量部の量で使用される。
【0051】
第2の非気泡層32は、約45重量%まで、好ましくは、約30重量%までの1種以上の他の熱可塑性ポリマーを含有していてもよい。そのような他の熱可塑性ポリマーは、好ましくは、第2の非気泡層32に含まれるポリラクチド樹脂と混和性である。
【0052】
第1の非気泡層31および第2の非気泡層32は、それぞれ、着色剤、防腐剤、酸化防止剤ならびに他の安定剤および殺生剤などの他の成分を含有していてもよい。これらは、それぞれの層100重量部あたり10重量部まで構成されてもよい。
【0053】
ポリラクチド結晶子は、ポリラクチドシート中のポリラクチド鎖の順序によって形成される、約140℃〜240℃の結晶質融解温度を有する結晶である。結晶質融解温度の範囲は、ポリラクチド樹脂中で形成する異なる結晶質構造の数を示し、事実、結晶子は、しばしば、それらの融解温度に影響を与える様々な量の結晶欠陥を有する。140℃〜約195℃の融解温度を有するポリラクチド結晶子は、一般に、高エナンチオ純度の単一ポリラクチド樹脂がそれ自体で結晶化する時に形成される「ポリラクチドホモ結晶」である。約200℃〜240℃の融解温度を有するポリラクチド結晶子は、典型的に、主にD−乳酸単位を含有する別のポリラクチド樹脂と一緒に、主にL−乳酸単位を含有するポリラクチド樹脂が結晶化する時に、または結晶を形成するために十分な乳酸単位のエナンチオ純度のブロックを有するブロックコポリマーから形成する「ステレオコンプレックス」結晶子である。第2の非気泡層32は、いずれかの種類または両種類のポリラクチド結晶を含有していてもよい。下記のポリラクチド/発泡剤共結晶もポリラクチドの結晶の範囲内に含まれる。
【0054】
第2の非気泡層中の結晶化度は、都合よく、示差走査熱量測定(DSC)法を使用して測定される。そのような結晶化度の量は、本明細書中では、J/gの単位で表され、すなわち、試料中のポリラクチド結晶のジュールでの溶融エンタルピーを、試料中のポリラクチドのグラムの重量で割ったものである。DSC測定をするための都合のよい試験プロトコルは、Star V. 6.0ソフトウェアを作動して、Mettler Toledo DSC 821e熱量計または同等の装置上で空気下、20℃/分において25℃〜225℃まで5〜10ミリグラムの試料を加熱することである。いくつかの実施形態において、第2の非気泡層32は、10J以下(J/g)の、層に存在するポリラクチド樹脂1グラムあたりのポリラクチド結晶子を含有する。他の実施形態において、第2の非気泡層32は、少なくとも10J/g、少なくとも25J/gまたは少なくとも35J/gのポリラクチド結晶子を含有する。
【0055】
第2の非気泡層32に存在する結晶化の量は、特定のポリラクチド樹脂の存在、核剤および/または可塑剤の存在ならびに層の熱および処理履歴を含む因子に依存するであろう。ポリラクチド樹脂のガラス転移温度とその結晶質融解温度との間の温度までその製造の間またはその後に層を加熱することは、結晶子の形成を促進する。処理の間のポリマーの配向も結晶形成を促進することができる。
【0056】
本発明の利点は、第2の非気泡層32が、フォーム断熱材構造1が「現場注入」プロセスで製造される場合、あるいは使用および/または試験条件の間に一般に見られる発熱温度上昇に多層シート3が耐えるように、有意量のポリラクチド結晶子を含有する必要がないということである。これによって、別個の結晶化ステップの実行を回避することが可能となり、(それ自体、または多層シート3の一部としての)第2の非気泡層32は結晶化条件を受ける。さらに、第2の非気泡層32の全体の均一結晶化は、しばしば、特に、より大きい部分および複雑な幾何構造を有する部分で、実際には達成することが困難である。25J/g未満、好ましくは10J/g未満のポリラクチド結晶子を含有するポリラクチド層含有を含む構造において適切な耐熱性を得る能力は、本発明の重要な利点である。
【0057】
多層シート3は、第1の非気泡層31および第2の非気泡層32に加えて、層を含有してもよい。しかしながら、いずれかの追加の層が、第1の非気泡層31とポリマーフォーム層2との間、および/または第1の非気泡層31と第2の非気泡層32との間に挿入される場合、それらの追加の層は、第1の非気泡層31がポリマーフォーム層2および第2の非気泡層32と密封付着して残るために、非気泡でなければならない(すなわち、ポリマーフォーム層2の主要表面5および第2の非気泡層32の間の気体の大量輸送のための開口部はない)。
【0058】
加えて、第1の非気泡層31および第2の非気泡層32は、それぞれ、2つ以上のプライから製造されていてもよい。それぞれプライは、それぞれの層の上記記載に適合する。
【0059】
特に興味深い追加の層は、第1の非気泡層31の熱可塑性樹脂と第2の非気泡層32のポリラクチド樹脂とのブレンドの層である。そのような層は、多層シート3の製造の間に、および/または多層のシートのさらなる処理(例えば、熱成形による)の間に製造されるスクラップをリサイクルする都合のよい様式である。そのようなスクラップは、例えば、トリミングされた材料、不良品、あるいはシート共押出成形、その後の熱成形および/または多層シート3の他の処理からの他の廃物であってよい。多層シートが形成されると、多層シートの層を分離することは容易ではないため、多層シート3の1つ以上の追加の層を形成するためにそのようなスクラップ材料を使用することは、これらのスクラップ材料の浪費を最小化する様式である。
【0060】
代わりに、あるいは加えて、多層シートは、対向する層4に関して上記されたような1種以上の他の材料の1つ以上の層を含有してもよい。非気泡層32の予想外に良好なバリア特性のため、いずれかのそのような追加の層が良好なバリア特性を有する必要はない。
【0061】
特定の実施形態において、多層シート3は、例えば、以下の通りであってよい。
1.例えば、Aが第1の非気泡層を表し、そしてBが第2の非気泡層を表す、A−B構成を有する2層シート;
2.Cが異なる材料の層(例えば、第1の非気泡層31の熱可塑性樹脂および第2の非気泡層32ポリラクチド樹脂のブレンドの層を含む)を表し、A−B−A、A−A−B、A−B−CまたはA−C−B構成を有する3層シート;
3.A−A−B−B、A−B−A−B、A−B−A−C、A−B−C−B、A−B−C−A、A−C−B−AまたはA−C−B−C構成を有する4層シート;
4.それぞれのXが、独立して、A、BまたはCを表す、A−B−X−X−X構成を有する5プライシート。
【0062】
多層シート3は、例えば、0.1〜10mm以上の厚さを有していてもよい。多層シート3は、0.4〜10mm、より好ましくは、1〜5mmの厚さを有する。多層シート3の第2の非気泡層32は、例えば、0.05〜9mm、好ましくは、0.15mm〜5mm、そしてより好ましくは、0.7〜4.5mmの厚さを有していてもよい。多層シート3の第1の非気泡層31は、例えば、0.05〜9.875mm、0.1mm〜5mmまたは0.1〜2.5mmの厚さを有していてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、多層シート3は、種々の成分層が、フィードブロックプラスシングルマニフォールドダイまたはマルチマニフォールドダイなどの適切なダイ構造を通して押出されて、そして押出された層が、冷却される前に組み合わされて多層シートが形成される、共押出成形プロセスにおいて製造される。そのようなプロセスにおいて、所望であるか、または必要である場合、結合または他の接着剤層が、第1の非気泡層31および第2の非気泡層32の間に挿入されてもよい。しかしながら、所望のプロセスにおいて、第1および第2の非気泡層31および32は、互いに直接接触して、そして中間接着剤層を用いずに一緒に接着する。所望であれば、共押出された多層シートは、さらにその厚さを調節するために、カレンダー加工されてもよく、ニップローラーの間を通過してもよく、または他の処理がされてもよい。
【0064】
代わりに、多層シート3は、いくつか、または全ての成分層を別々に形成し、次いで、例えば、層の1つ以上を熱軟化させ、次いで、相を一緒に接触させることによってか、または接着剤層の使用によって、それらを一緒に接着することによって調製することができる。
【0065】
図に示される実施形態は、ポリマーフォーム層2の対向する主要表面に付着された任意の対向する層4を含む。一般に、対向する層4が、存在する場合、ポリマーフォーム層2への大気気体の拡散およびポリマーフォーム層2からの発泡剤の漏出に対するバリアを提供することが好ましい。対向する層4は、好ましくは、非気泡(上記で定義される通り)であり、かつ例えば、直接的に、またはあまり好ましくないが、任意の中間接着剤層(図中に示されない)を通して、そこに接着することによって、ポリマーフォーム層2に密封付着される。対向する層4は、好ましくは、ポリマーフォーム層2の主要表面に直接接触するか、またはそれ自体がポリマーフォーム層2に直接接触する接着剤層に直接接触する。
【0066】
いくつかの実施形態において、対向する層4は、第2の非気泡層32に関して上記される通り、非気泡ポリラクチドシートである。代わりに、対向する層4は、多層シート3または他の多層シートなどの多層シート;金属層;ポリラクチド樹脂ではなく、例えば、熱可塑性または熱硬化性樹脂であり得る異なるポリマーの層;複合材料;木、紙はボール紙などのセルロース材料;ガラスなどのセラミック材料などであってもよい。いくつかの実施形態において、対向する層4は、1種以上のリサイクルされた工業後および/または消費者後のポリマーを含む。
【0067】
ポリマーフォーム層2の端部6などの周辺端部は、発泡剤の漏出に対するバリアを提供する端部カバー(示されていない)によって被覆される。特に好ましい実施形態において、多層シート3、対向する層4およびエッジカバーは、一緒になって、ポリマーフォーム層2の全表面を包囲するシール容器を形成する。エッジカバーは、存在する場合、所望であれば、対向する層4および/または多層シート3に集積化されていてもよい。
【0068】
多層シート3は、好ましくは、80℃において動的機械分析(DMA)によって測定した場合、少なくとも10MPaの貯蔵弾性率を示す。特定の実施形態において、多層シート3は、100℃において少なくとも10MPaの貯蔵弾性率、120℃において少なくとも10MPaの貯蔵弾性率、80℃においての少なくとも50MPaの貯蔵弾性率、100℃においての少なくとも50MPaの貯蔵弾性率、120℃においての少なくとも50MPaの貯蔵弾性率、80℃においての少なくとも100MPaの貯蔵弾性率、100℃においての少なくとも100MPaの貯蔵弾性率または120℃においての少なくとも100MPaの貯蔵弾性率を示すことができる。
【0069】
多層シート3は、好ましくは、少なくとも60℃、好ましくは、少なくとも80℃、より好ましくは、少なくとも90℃の第1の変形温度を示す。第1の変形温度は、2分ごとにカメラで試料の画像を撮影して、25℃〜125℃で1℃/分にてオーブン中でシートを加熱することによって測定される。画像は、その部分の変形または移動が最初に観察される温度(第1の変形温度(FDT))を決定するために視覚的に調査される。
【0070】
多層シート3および対向する層4は、図中、平面幾何構造を有するように示されるが、これは必要ではない。多層シート3および対向する層4の一方または両方は、非平面幾何構造を有してもよく、そして種々の機能的または他の所望の特徴を含むように複雑な形状に形成されてもよい。同様に、ポリマーフォーム層2は非平面幾何構造を有してもよく、そして一定の厚さを有さなくてもよい。
【0071】
非平面幾何構造を有する多層シート3は、熱成形法によって平面多層シートから製造可能である。熱成形法において、多層シートは、それが軟化する温度まで加熱され、雄型または雌型上に軟化したシートを配置し、そして型の上でシートを延伸および/または圧力形成して、熱成形された部分を形成することによって軟化される。そのようなプロセスにおいて、多層シートは、例えば、それが100℃〜200℃、120℃〜200℃、または120℃〜180℃の表面温度に達するまで加熱されて、次いで型の上で形成されてもよい。表面温度は、赤外線温度計または赤外線熱画像カメラを使用して多層シートの表面から放出される赤外線放射を検出することによって、都合よく測定される。
【0072】
ポリラクチド結晶子は、ガラス転移温度およびポリラクチド結晶子の結晶質融解温度の間の温度範囲内にシートを維持することによって、第2の非気泡層32において形成可能である。少なくとも25J/gの結晶化度を生じるために、適切な条件としては、例えば、30秒〜5分間、好ましくは、45秒〜5分間、より好ましくは、60秒〜3分間、80℃〜160℃、好ましくは、80℃〜140℃、より好ましくは、90℃〜130℃の温度で多層シートを維持することを含む。
【0073】
第2の非気泡層32は、熱成形ステップの間に結晶化可能である。これは、熱成形された部分を結晶化するための離型後の処理ステップを回避するために、しばしば望ましい。いくつかの結晶化は、熱成形のための調製において、多層シートを加熱するステップの間に生じ得る。いくつかの応力誘発性結晶化は、多層シートが形成プロセスの間で伸張される時に生じ得る。型の上でのさらなる結晶化は、特に、多層シートの温度が、60℃〜160℃、好ましくは、80℃〜140℃、より好ましくは、90℃〜130℃の範囲内に維持され、かつそのような温度における型の上での多層シートの滞留時間が、30秒〜10分間、好ましくは、45秒〜5分間、より好ましくは、60秒〜2分間である場合、生じることが可能である。
【0074】
逆に、ポリラクチド結晶化度をわずかに含有するか、または含有しない第2の非気泡層32は、結晶化条件に多層シート3を曝露することを回避することによって製造される。多層シートは、それが処理温度から冷却される時に結晶化が生じる温度範囲を必ず通過するため、上記の押出成形および/または熱成形ステップの間にいくらか少量の結晶化度は生じるであろう。しかしながら、そのような場合、有意な結晶化が生じる前に、ポリラクチド樹脂をクエンチするために多層シート3を急速に冷却することによって、結晶化を最小化することができる。
【0075】
熱成形法は、例えば、Throneによって、“Thermoforming Crystallizing Poly(ethylene terephthalate) (CPET)”, Advances in Polymer Technology, Vol. 8, 131-146 (1988)に記載されるものなどの装置および一般方法を使用して実行することができる。延伸は、好ましくは、減圧を使用して実行される。型は、雄型形成を提供するプロセスの間に、雌半型中に挿入される雄半型を含み得る。シートをあらかじめ伸張することが望まれてもよく;その場合、圧力キャップまたは他のプレ伸張デバイスが使用され、そしてシートを型に延伸する前に開始されてもよい。その部分が形成され、そしてそのT
g未満まで冷却したら、それを離型し、必要であればトリミングされる。
【0076】
フォーム断熱材構造1は種々の方法で製造可能である。1つの方法において、種々の層は、別々に製造され、そして例えば、接着剤の使用によって、1つ以上の層を加熱軟化して、次いで、それらが互いに接着するように、それらを一緒にラミネートすることによって、または同様の方法によって、一緒に組み立てられて構造が形成される。
【0077】
別の方法において、フォーム断熱材構造1は、種々の層が同時に押出され、そして種々の層を表す押出物が、それらが一緒に接着するように、なお加熱軟化されながら、一緒にされて、構造が形成される、共押出成形プロセスで製造可能である。
【0078】
別の方法において、フォーム断熱材構造1は、(1)多層シート3の第1の非気泡層31または多層シート3の第1の非気泡層31および対向する層4の両方に、少なくとも1種のポリイソシアネート、水および物理的発泡剤を含有するフォーム前駆体混合物を適用すること、ならびに(2)多層シート3の第1の非気泡層31または多層シート3の第1の非気泡層31および対向する層4の両方と接触させながら、フォーム前駆体混合物を硬化して、多層シート3の第1の非気泡層31または多層シート3の第1の非気泡層31および対向する層4の両方と接触したポリマーフォーム層2を形成することを含む、現場注入法によって製造される。これは、冷蔵庫および冷凍庫キャビネットおよびドアなどの製品部分、ならびに冷却器などのより小さい断熱製品を製造するための好ましい方法である。
【0079】
例えば、冷蔵庫および冷凍庫などの製品は、本発明に従って、多層シート3を含むインナーライナー、および対向する層4に対応する外側シェルを別々に製造することによって製造することができる。インナーライナーおよび外側シェルは、多層シート3の第1の非気泡層31が空洞に面するように、それらの間に空洞が形成されるように一緒に配置される。次いで、断熱材フォーム層2は、空洞中にフォーム前駆体混合物を導入し、そして前駆体を反応させることによって製造される。前駆体混合物が反応すると、発泡剤によって気体が発生するため、それは膨張して空洞を充てんし、次いで、硬化して、ポリマーフォーム層2が形成される。
【0080】
フォーム前駆体混合物の硬化は、通常、発熱であって、したがって、反応の発熱のため、有意な温度上昇が生じる。これによって、多層シート3は、例えば、60〜160℃以上に達し得る高温に曝露される。驚くべきことに、第2の非気泡層32が、25J/g以下または10J/g以下のポリラクチド結晶子を有するポリラクチド樹脂を含む場合でさえも、多層シート3は、そのような温度への曝露による変形および他の損傷に耐える。
【0081】
本発明のフォーム断熱材構造は、冷蔵庫および冷凍庫などの製品のキャビネットおよびドアとして有用であり;冷却器および他の断熱コンテナを製造するために有用であり;建築物および他の構成物の断熱壁、屋根、天井を製造するために有用であり;断熱船体、冷凍車などの断熱のため、および断熱構造として有用である。
【0082】
本発明は、いずれかの理論に限定されないが、第2の非気泡層32の優れたバリア特性は、少なくとも一部は、そのような層におけるポリラクチド樹脂と、ポリマーフォーム層2から第1の非気泡層31を通して拡散する物理的発泡剤との共結晶の形成に起因し得る。物理的発泡剤が第2の非気泡層32中に移行すると、発泡剤は、ポリラクチド樹脂との共結晶を形成すると考えられる。したがって、ポリラクチド樹脂は、物理的発泡剤と結晶質複合体(Σ型共結晶)を形成し、その結果、ホストポリラクチド樹脂による共結晶の包埋が生じる(P. Shaiju et al., Macromolecules 2016, 49, 224-233 and Hironori Marubayashi, et al., J. Phys. Chem. B 2013, 117, 385-397を参照のこと)。これらの共結晶の存在は、第2の非気泡層32のバリア特性に寄与すると考えられる。第2の非気泡層32を通しての物理的発泡剤の損失は、それが共結晶中に、または共結晶によって捕捉されるため、遅くなる。第2の非気泡層32中の物理的発泡剤の捕捉によって、第2の非気泡層32は物理的発泡剤で飽和し得、したがって、ポリマーフォーム層2から第2の非気泡層32中への物理的発泡剤のさらなる移動は遅くなるか、または防がれる。
【0083】
以下の実施例は本発明を例証するが、いずれかの様式に制限するようには意図されない。全ての部およびパーセンテージは、他に明記されている場合を除いて、重量による。
【実施例】
【0084】
実施例1および2
ポリラクチド樹脂とポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)樹脂とを共押出することによって、0.4mmの2層シートを調製する。ポリラクチド樹脂は、95.5%のL−乳酸単位および4.5%のD−乳酸単位を含有し、そして3.5〜4.5の相対粘度を有する。実施例1Aおよび1Bに関して、PMMAは、約111℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有するPlexiglas(登録商標)V825樹脂である。実施例2Aおよび2Bに関して、PMMAは、約78℃のビカー軟化温度を有するPlexiglas(登録商標)Rnew B514である。
【0085】
共押出成形は、ABフィードブロックおよび単一マニフォールドダイを備えたRandcastleユニットを使用して、種々の層比率で実行される。押出成形条件は、表1に示される通りである。全ての樹脂は、それぞれの製造業者によって推薦されるように乾燥させる。実施例1に関して、ダイ温度は、Aフィードブロック(PMMA)に対して240℃、そしてBフィードブロック(ポリラクチド樹脂)に対して220℃である。実施例2に関して、ダイ温度は、それぞれのブロックに対して220℃である。
【0086】
層厚さは、実施例1A、1B、2Aおよび2Bのそれぞれに関して、顕微鏡検査によって決定される。層厚さを表1に示す。
【0087】
実施例1Aおよび2Bのそれぞれの80℃における貯蔵率は、1Hzの周波数および5℃/分の加熱速度でTA Instruments RSAIII機器を使用してDMAによって試験される。
【0088】
実施例1A、2Aおよび2Bは、120℃〜180℃のシート表面温度においてFrugal熱成形機を使用して熱成形される。伸張比は約1.5倍である。熱成形された部分をオーブン中に配置し、そして25℃〜125℃まで1℃/分で加熱し、そして試料の画像を2分ごとにカメラで撮影した。画像を分析し、その部分の変形または移動が最初に観察される温度である第1の変形温度(FDT)を決定した。
【0089】
上記試験の結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
これらのデータは、第1の非気泡層を調製するために、より高いビカー軟化点を有する樹脂を使用することの利点を示す。それぞれの場合において、PMMA層はシートの全厚さのわずかな割合のみを構成するが、実施例1Aの貯蔵弾性率は、実施例2Bのものよりずっと高い。
【0092】
実施例3
1mmの2層シート実施例3A、3Bおよび3Cは、約108℃のビカー軟化温度を有するPlexiglas(登録商標)MI-7Tアクリル樹脂と、実施例1で記載されたポリラクチド樹脂を共押出することによって調製される。共押出成形条件は、実施例1および2と類似である。層厚さは、実施例1と同様に顕微鏡で決定する。実施例3A、3Bおよび3Cのそれぞれの第1の変形温度を測定する。実施例3A、3Bおよび3Cは、それぞれ、実施例1A、2Aおよび2Bと同一の方法で熱成形される。
【0093】
結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
実施例3A、3Bおよび3Cは、第1の非気泡層の厚さの効果を示す。非常に薄い層は、ポリラクチド樹脂層自体のものと類似する熱特性を有する構造を提供する(80℃の貯蔵弾性率およびFDT)(それぞれ、<10MPaおよび約54℃)。
【0096】
実施例4および5
1.2mmの2層シート実施例4A、4Bおよび4Cは、実施例1および2と同様の一般的な方法で製造される。それぞれの場合のPMMA層は、98重量部のPlexiglas(登録商標)V920アクリル樹脂(ビカー軟化温度約100℃)と2重量部のコア−シェルゴムとをブレンドすることによって製造された衝撃変性PMMAである。それぞれの場合のポリラクチド層は、95部の実施例1に記載されるポリラクチド樹脂と2.6部の二酸化チタン粉末と2.4部のコア−シェルゴムをブレンドすることによって製造される。
【0097】
2層シート実施例5A、5Bおよび5Cは、それぞれ、Plexiglas(登録商標)V825樹脂をPlexiglas(登録商標)V920樹脂と置き換えることを除き、実施例4A、4Bおよび4Cと同一方法で製造される。
【0098】
それぞれの場合において、層の厚さは、上記の実施例と同様に測定される。実施例4A、4Cおよび5Bは、上記の実施例と同様に熱成形され、そして80℃における貯蔵弾性率を測定する。
【0099】
結果は表3に示される。
【0100】
【表3】
【0101】
実施例6
1.2mmの2層シート実施例6は、実施例1および2と同様の一般的な方法で製造される。それぞれの場合のPMMA層は、98重量部のPlexiglas(登録商標)V825アクリル樹脂と2重量部のコア−シェルゴムとをブレンドすることによって製造された衝撃変性PMMAである。その厚さは0.25mmである。それぞれの場合のポリラクチド層は、0.85mmの厚さを有し、そして80部の実施例1に記載されるポリラクチド樹脂と15部のPlexiglas(登録商標)V825アクリル樹脂と2.6部の二酸化チタン粉末と2.4部のコア−シェルゴムをブレンドすることによって製造される。この実施例は、いくつかのスクラップ材料がポリラクチド層中にリサイクルされる製造設定をシミュレートする。
【0102】
2層シートを共押出し、そして実施例4と同一プロセス条件を使用して熱成形される。80℃におけるシートの貯蔵弾性率は、100MPaより高い。
【0103】
実施例7
2層シート実施例1〜6のそれぞれからフォーム断熱材パネルを製造する。厚さ50mmの独立気泡の硬質ポリウレタンフォームを、現場注入法で2層シート間に形成し、フォーム層が中央にあり、かつPMMA層がフォームに面する3層サンドウィッチ構造を形成する。ポリウレタンフォームは、シクロペンタンの存在下、ポリイソシアネート、ポリオール混合物および水を反応させることによって得られた生成物であり、したがって、その気泡中に二酸化炭素およびシクロペンタンの混合物を含有する。フォーム層の全ての露出した端部は、気体不透過性の金属テープで被覆されている。
【0104】
得られたアセンブリ(実施例1)の熱伝導率は、10℃の平均気温においてDIN 52616に従って測定する。次いで、25℃の温度および50%の相対湿度において大気圧空気下で629日間、アセンブリを老化させる。熱伝導率は老化期間の間および終了時に周期的に測定する。
【0105】
比較のため、多層シートを同等の厚さの非気泡高衝撃ポリスチレン(HIPS)の層で置き換えた類似のアセンブリ(比較試料A)を調製し、そして同様の様式で評価する。
【0106】
老化試験の間、本発明のフォーム断熱材パネルは、比較試料Aよりも良好な熱伝導率を維持する。
【0107】
特定の実施形態
1.a)対向する主要表面と、物理的発泡剤を含有する気体充てん気泡とを有するポリマーフォーム層、およびb)ポリマーフォーム層の上記対向する主要表面の少なくとも1つに付着された多層シートを含む、フォーム断熱材構造であって、多層シートが、i)少なくとも50重量%の、ポリラクチド樹脂ではなく、かつ少なくとも70℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する1種以上の熱可塑性樹脂を含有する第1の非気泡層と、ii)少なくとも50重量%のポリラクチド樹脂を含有する第2の非気泡層を含み、多層シートの第1の非気泡層が、ポリマーフォーム層に密封付着され、多層シートの第2の非気泡層が、多層シートの第1の非気泡層に密封付着される、フォーム断熱材構造。
【0108】
2.1種以上の熱可塑性樹脂が、少なくとも100℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する、実施形態1のフォーム断熱材構造。
【0109】
3.1種以上の熱可塑性樹脂が、ポリラクチド樹脂と混和性である、実施形態1または2のフォーム断熱材構造。
【0110】
4.1種以上の熱可塑性樹脂が、メタクリル酸メチルのホモポリマー、または少なくとも70重量%の重合メタクリル酸メチルを含有するコポリマーである、実施形態1〜3のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0111】
5.1種以上の熱可塑性樹脂が、衝撃変性されている、実施形態1〜4のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0112】
6.物理的発泡剤が、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素;8個までの炭素原子を有するフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロクロロカーボンまたはヒドロフルオロクロロカーボン;8個までの炭素原子を有するヒドロハロオレフィン;および8個までの炭素原子を有するジアルキルエーテルの1種以上から選択される、実施形態1〜5のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0113】
7.物理的発泡剤が、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素を含む、実施形態1〜6のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0114】
8.物理的発泡剤が、シクロペンタンを含む、実施形態7のフォーム断熱材構造。
【0115】
9.ポリマーフォームが、少なくとも1種のポリイソシアネート、水および物理的発泡剤を含有するフォーム前駆体混合物含有の反応生成物である、実施形態1〜8のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0116】
10.多層シートが、0.4〜10mmの厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0117】
11.第1の非気泡層が、0.05〜9.875mmの厚さを有する、実施形態1〜10のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0118】
12.第2の非気泡層が、0.05〜9mmの厚さを有する、実施形態1〜11のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0119】
13.上記第1の非気泡層の厚さが、多層シートの全厚さの少なくとも10%を構成する、実施形態1〜12のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0120】
14.多層シートが、ポリラクチド樹脂および第2の熱可塑性樹脂のブレンドの層をさらに含む、実施形態1〜13のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0121】
15.ポリラクチド樹脂および第2の熱可塑性樹脂のブレンドの層が、リサイクルされたスクラップ材料を含む、実施形態14のフォーム断熱材構造。
【0122】
16.第2の非気泡層が、第2の非気泡層の全重量に基づき、45重量%までの第2の熱可塑性樹脂を含む、実施形態1〜15のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0123】
17.第2の非気泡層が、上記第2の非気泡層中のポリラクチド樹脂1グラムあたり25J未満のポリラクチド結晶子を含有する、実施形態1〜16のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0124】
18.ポリラクチド樹脂が、衝撃変性されている、実施形態1〜17のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0125】
19.ポリラクチド樹脂が、コア−シェルゴムを含有する、実施形態18のフォーム断熱材構造。
【0126】
20.多層シートが、熱成形によって製造される非平面幾何構造を有する、実施形態1〜19のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0127】
21.多層シートが、b)ポリマーフォーム層の両方の対向主要表面に密封付着されている、実施形態1〜20のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0128】
22.金属層が、ポリマーフォーム層の対向主要表面に密封付着されている、実施形態1〜20のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0129】
23.ポリマーフォーム層が、0.25〜12cmの厚さを有する、実施形態1〜22のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0130】
24.多層シートが、80℃において少なくとも50MPaの貯蔵弾性率を有する、実施形態1〜23のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0131】
25.多層シートが、少なくとも80℃の第1の変形温度を有する、実施形態1〜24のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0132】
26.製品キャビネットまたはドアの全体または一部を構成する、実施形態1〜25のいずれか1つのフォーム断熱材構造。
【0133】
27.(1)i)少なくとも50重量%の、ポリラクチド樹脂ではなく、かつ少なくとも70℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する1種以上の熱可塑性樹脂を含有し、第2の非気泡層に密封付着された第1の非気泡層と、ii)少なくとも50重量%のポリラクチド樹脂を含有する第2の非気泡層を含む多層シートの第1の非気泡層の表面に、少なくとも1種のポリイソシアネート、水および物理的発泡剤を含有するフォーム前駆体混合物を適用すること、ならびに(2)多層シートの第1の非気泡層と接触させながら、フォーム前駆体混合物を硬化して、多層シートの第1の非気泡層に接着されたポリマーフォーム層を形成することを含む方法。
【0134】
28.1種以上の熱可塑性樹脂が、少なくとも100℃のビカー軟化温度(ASTM D1525、50℃/時間、1kg)を有する、実施形態27の方法。
【0135】
29.1種以上の熱可塑性樹脂が、ポリラクチド樹脂と混和性である、実施形態27または28の方法。
【0136】
30.1種以上の熱可塑性樹脂が、メタクリル酸メチルのホモポリマー、または少なくとも70重量%の重合メタクリル酸メチルを含有するコポリマーである、実施形態27〜29のいずれか1つの方法。
【0137】
31.1種以上の熱可塑性樹脂が、衝撃変性されている、実施形態27〜30のいずれか1つの方法。
【0138】
32.物理的発泡剤が、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素;8個までの炭素原子を有するフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロクロロカーボンまたはヒドロフルオロクロロカーボン;8個までの炭素原子を有するヒドロハロオレフィン;および8個までの炭素原子を有するジアルキルエーテルの1種以上から選択される、実施形態27〜31のいずれか1つの方法。
【0139】
33.物理的発泡剤が、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素を含む、実施形態32の方法。
【0140】
34.物理的発泡剤が、シクロペンタンを含む、実施形態33の方法。
【0141】
35.ポリラクチド樹脂が、衝撃変性されている、実施形態27〜34のいずれか1つの方法。
【0142】
36.ポリラクチド樹脂が、コア−シェルゴムを含有する、実施形態35の方法。
【0143】
37.多層シートが、0.4〜10mmの厚さを有する、実施形態27〜36のいずれか1つの方法。
【0144】
38.第1の非気泡層が、0.05〜9.875mmの厚さを有する、実施形態27〜37のいずれか1つの方法。
【0145】
39.第2の非気泡層が、0.05〜9.875mmの厚さを有する、実施形態27〜38のいずれか1つの方法。
【0146】
40.上記第1の非気泡層が、多層シートの全厚さの少なくとも10%を構成する、実施形態27〜39のいずれか1つの方法。
【0147】
41.多層シートが、ポリラクチド樹脂および第2の熱可塑性樹脂のブレンドの層をさらに含む、実施形態27〜40のいずれか1つの方法。
【0148】
42.ポリラクチド樹脂および第2の熱可塑性樹脂のブレンドの層が、リサイクルされたスクラップ材料を含む、実施形態27〜41のいずれか1つの方法。
【0149】
43.第2の非気泡層が、第2の非気泡層の全重量に基づき、45重量%までの第2の熱可塑性樹脂を含む、実施形態27〜42のいずれか1つの方法。
【0150】
44.第2の非気泡層が、上記第2の非気泡層中のポリラクチド樹脂1グラムあたり25J未満のポリラクチド結晶子を含有する、実施形態27〜43のいずれか1つの方法。
【0151】
45.ポリラクチド樹脂が、衝撃変性されている、実施形態27〜44のいずれか1つの方法。
【0152】
46.多層シートが、熱成形によって製造される非平面幾何構造を有する、実施形態27〜45のいずれか1つの方法。
【0153】
47.ポリマーフォーム層が、0.25〜12cmの厚さを有する、実施形態27〜46のいずれか1つの方法。
【0154】
48.多層シートが、80℃において少なくとも50MPaの貯蔵弾性率を有する、実施形態27〜47のいずれか1つの方法。
【0155】
49.多層シートが、少なくとも80℃の第1の変形温度を有する、実施形態27〜48のいずれか1つの方法。
【0156】
50.フォーム前駆体混合物が、多層シートのシートおよび第2の層によって形成された空洞中に分散され、そして空洞内で硬化され、多層シートおよび第2の層に接着したポリマーフォーム層が形成される、実施形態27〜49のいずれか1つの方法。
【0157】
51.フォーム断熱材構造が、製品キャビネットまたはドアである、実施形態27〜50のいずれか1つの方法。