【文献】
SHAJI K KUMAR,WEEKLY MLN9708, AN INVESTIGATIONAL ORAL PROTEASOME INHIBITOR, IN RELAPSED/REFRACTORY 以下備考,ASCO ANNUAL MEETING 2013,2013年 6月,MULTIPLE MYELOMA: RESULTS FROM A PHASE I STUDY AFTER FULL ENROLLMENT,URL,http://www.myelomabeacon.com/docs/asco2013/Kumar-MLN9708.pdf
【文献】
GIAMPAOLO MERLINI,MLN9708, A NOVEL, INVESTIGATIONAL ORAL PROTEASOME INHIBITOR, IN PATIENTS WITH RELAPSED OR 以下備考,54TH ANNUAL MEETING OF THE AMERICAN SOCIETY OF HEMATOLOGY (ASH),米国,2012年12月,REFRACTORY LIGHT-CHAIN AMYLOIDOSIS: RESULTS OF A PHASE 1 STUDY,URL,http://myeloma.org/pdfs/Merlini-731-3876.pdf
【文献】
村上 博和 Hirokazu Murakami,多発性骨髄腫の治療指針 Diagnosis and management guideline of multiple myeloma,日本臨牀 Vol.65(12) The Japanese Journal of Clinical Medicine,株式会社日本臨牀社,2007年,Vol. 65, No. 12,P. 2167-2176
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、少なくとも4回の治療サイクルでは第1用量で投与され、5〜26回目の治療サイクルでは第2用量で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
前記一次癌療法が、プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメン、または免疫調節薬をベースとするレジメン、またはその両方を含み、その後に自家幹細胞移植を含む、請求項1に記載の組成物。
前記一次癌療法が、プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメン、または免疫調節薬をベースとするレジメン、またはその両方を含み、その後に、メルファランを含む処置レジメン及び自家幹細胞移植を含む、請求項1に記載の組成物。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、癌を治療するため、または癌の再発または進行を防止するための方法または投与レジメンを与える。該方法または該投与レジメンは、一次癌療法を受けた患者に、28日間の治療サイクルを少なくとも4回含む投与スケジュールで式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を投与することを含み、
【化1】
前記28日間の治療サイクルが連続する4週間を含み、前記治療サイクルの最初の3週間では、前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を週に1回投与し、4週目では、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を投与せず、式中、環Aは、
【化2】
であり、かつ
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立してヒドロキシルであり、またはZ
1及びZ
2は、環状ボロン酸エステルを共に形成し、前記環状ボロン酸エステルは、2〜20の炭素原子を有し、N、S、またはOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでも良い。
【0009】
特定の態様において、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を経口投与する。
【0010】
特定の態様において、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を各治療サイクルの1、8、及び15日目に投与する。
【0011】
特定の態様において、投与スケジュールは、約26回の治療サイクルを含む。
【0012】
特定の態様において、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を少なくとも4回の治療サイクルでは第1用量で投与し、5〜26回目の治療サイクルでは第2用量で投与する。
【0013】
特定の態様において、4週間の治療サイクルのうちの3週間それぞれで、第1用量は、約1.5mg/週〜約3.0mg/週であり、第2用量は、約2.3mg/週〜約4.0mg/週である。
【0014】
特定の態様において、4週間の治療サイクルのうちの3週間それぞれで、本開示の第1用量は、約3.0mg/週であり、第2用量は、約4.0mg/週である、または、第1用量は、約3.0mg/週であり、第2用量は、約3.0mg/週である、または、第1用量は、約2.3mg/週であり、第2用量は、約3.0mg/週である、または、第1用量は、約2.3mg/週であり、第2用量は、約2.3mg/週である、または、第1用量は、約1.5mg/週であり、第2用量は、約2.3mg/週である、または、第1用量は、約1.5mg/週であり、第2用量は、約1.5mg/週である。特定の態様において、4週間の治療サイクルのうちの3週間それぞれで、第1用量は、約3.0mg/週であり、第2用量は、約4.0mg/週である。
【0015】
特定の態様において、第1用量と第2用量が同じである。
【0016】
特定の態様において、投与スケジュールは、約26回までの治療サイクルを含み、最初の治療サイクルから26回目の治療サイクルまで、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を約3.0mg/週で投与する。
【0017】
特定の態様において、本開示の式(I)の化合物は、式(IV)の化合物
【化3】
またはそのエステル若しくは薬剤的に許容できる塩である。
【0018】
特定の態様において、本開示の式(I)の化合物は、式(IIIa)の化合物
【化4】
またはその薬剤的に許容できる塩である。
【0019】
特定の態様において、式(IV)の化合物をエステルの形態で投与する。
【0020】
特定の態様において、式(IV)の化合物を式(IIIa)の化合物の形態で投与する。
【0021】
特定の態様において、本開示は、癌を治療する、または癌の再発または進行を防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法であって、前記癌は血液悪性腫瘍である。
【0022】
特定の態様において、本開示は、一次癌を受けた癌患者で癌の進行を防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法であって、前記癌は血液悪性腫瘍である。
【0023】
特定の態様において、本開示は、一次癌療法を受けた癌患者において多発性骨髄腫の再燃または再発を防止する維持療法を与える。
【0024】
特定の態様において、本開示は、多発性骨髄腫または不応性多発性骨髄腫と診断されている癌患者に維持療法を与える。
【0025】
特定の態様において、本開示は、一次癌療法を受けた癌患者において多発性骨髄腫の進行を防止する維持療法を与える。
【0026】
特定の態様において、本開示は、プロテアソーム介在性障害の再発を起こす、または経験するリスクを有する、または前記リスクに晒されている患者を治療するための維持療法を与える。
【0027】
特定の態様において、本開示は、多発性骨髄腫から選択される癌の再発を起こす、または経験するリスクを有する、または前記リスクに晒されている患者を治療するための維持療法を与える。
【0028】
特定の態様において、本開示は、式(IIIa)の化合物を含むカプセルを与える。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
癌の治療、または癌の再発または進行の防止に使用するための式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩であって、
【化12】
前記使用が、一次癌療法を受けた患者に、28日間の治療サイクルを少なくとも4回含む投与スケジュールで前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を投与することを含み、
前記28日間の治療サイクルが連続する4週間を含み、前記治療サイクルの最初の3週間では、前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を週に1回投与し、4週目では、前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を投与せず、
式中、環Aは、
【化13】
であり、かつ
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立してヒドロキシルであり、またはZ
1及びZ
2は、環状ボロン酸エステルを共に形成し、前記環状ボロン酸エステルは、2〜20の炭素原子を有し、N、S、またはOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでも良い、
前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩。
(項目2)
前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を経口投与する、項目1に記載の使用。
(項目3)
前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を各治療サイクルの1、8、及び15日目に投与する、項目1に記載の使用。
(項目4)
前記投与スケジュールが約26回の治療サイクルを含む、項目1に記載の使用。
(項目5)
前記式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩を、少なくとも4回の治療サイクルでは第1用量で投与し、5〜26回目の治療サイクルでは第2用量で投与する、項目4に記載の使用。
(項目6)
前記第1用量が約3.0mgであり、前記第2用量が約4.0mgである、項目5に記載の使用。
(項目7)
前記第1用量が約3.0mgであり、前記第2用量が約3.0mgである、項目5に記載の使用。
(項目8)
前記第1用量が約2.3mgであり、前記第2用量が約3.0mgである、項目5に記載の使用。
(項目9)
前記第1用量が約2.3mgであり、前記第2用量が約2.3mgである、項目5に記載の使用。
(項目10)
前記第1用量と前記第2用量が同じである、項目5に記載の使用。
(項目11)
前記式(I)の化合物が式(IV)の化合物
【化14】
またはそのエステル若しくは薬剤的に許容できる塩である、項目1に記載の使用。
(項目12)
前記式(IV)の化合物を、そのエステルまたは薬剤的に許容できる塩の形態で患者に投与する、項目11に記載の使用。
(項目13)
前記エステルが式(IIIa)の化合物
【化15】
またはその薬剤的に許容できる塩である、項目12に記載の使用。
(項目14)
前記式(IIIa)の化合物が固形剤形である、項目13に記載の使用。
(項目15)
前記固形剤形がカプセルである、項目14に記載の使用。
(項目16)
前記カプセルが、イキサゾミブクエン酸エステル、微結晶性セルロース、タルク、及びステアリン酸マグネシウムの混合物を含む、項目15に記載の使用。
(項目17)
前記一次癌療法が、プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメン、または免疫調節薬をベースとするレジメン、またはその両方を含む、項目1に記載の使用。
(項目18)
前記一次癌療法が自家幹細胞移植を含む、項目1に記載の使用。
(項目19)
前記一次癌療法が、プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメン、または免疫調節薬をベースとするレジメン、またはその両方を含み、その後に自家幹細胞移植を含む、項目1に記載の使用。
(項目20)
前記一次癌療法が、プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメン、または免疫調節薬をベースとするレジメン、またはその両方を含み、その後に、メルファランを含む処置レジメン及び自家幹細胞移植を含む、項目1に記載の使用。
(項目21)
前記プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメンが、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン−3−ガラート、サリノスポラミドA、ONX0912、CEP−18770、またはエポキソミシンを含む、項目17、19、または20に記載の使用。
(項目22)
前記プロテアソーム阻害剤をベースとするレジメンがボルテゾミブを含む、項目21に記載の使用。
(項目23)
前記免疫調節薬をベースとするレジメンがレナリドマイドまたはポマリドミドを含む、項目17、19、または20に記載の使用。
(項目24)
前記免疫調節薬をベースとするレジメンがレナリドマイドを含む、項目23に記載の使用。
(項目25)
最初の28日間の治療サイクルが、自家幹細胞移植後少なくとも75日目に開始する、項目18、19、または20に記載の使用。
(項目26)
前記最初の28日間の治療サイクルが、自家幹細胞移植後115日目より前に開始する、項目18、19、または20に記載の使用。
(項目27)
前記癌が、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、項目1に記載の使用。
(項目28)
前記癌が多発性骨髄腫または不応性多発性骨髄腫である、項目1に記載の使用。
(項目29)
前記癌がアミロイドーシスである、項目1に記載の使用。
(項目30)
前記患者が多発性骨髄腫または不応性多発性骨髄腫と診断されている個体である、項目1に記載の使用。
(項目31)
前記使用が、前記一次癌療法を受けた患者におおいて多発性骨髄腫の再燃または再発を防止する維持療法である、項目1に記載の使用。
(項目32)
前記使用が、前記一次癌療法を受けた患者において多発性骨髄腫の進行を防止する維持療法である、項目1に記載の使用。
(項目33)
前記患者が、一次癌療法後に、完全または部分的な臨床的及び血液学的な回復を達成している、項目31または32に記載の使用。
(項目34)
前記使用が、プロテアソームを介した障害の再発を起こす、または経験するリスクがある患者を治療するための維持療法である、項目1に記載の使用。
(項目35)
前記使用が、多発性骨髄腫から選択される癌の再発を起こす、または経験するリスクがある患者を治療するための維持療法である、項目1に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、癌を治療するため、または癌の再発または進行を防止するための様々な方法を与える。第1の態様において、本開示は、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩の癌患者への投与を与える。別の態様において、本開示は、一次癌療法を受け奏効した患者への維持療法として、式(I)の化合物またはその薬剤的に許容できる塩の投与スケジュールを与える。さらなる態様において、本開示は、一次癌療法を受けた患者で奏効を改善及び維持する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法を与える。
【0031】
別の態様において、本開示は、患者が癌を再発または進行させることを防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法を与える。
【0032】
別の態様において、本開示は、癌の再発または進行を防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法を与える。
【0033】
別の態様において、本開示は、癌を治療する、または癌の再発または進行を防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法であって、前記癌は血液悪性腫瘍である。
【0034】
別の態様において、本開示は、再発多発性骨髄腫の再発または進行を治療または防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法を与える。
【0035】
別の態様において、本開示は、不応性多発性骨髄腫の再発または進行を治療または防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法を与える。
【0036】
別の態様において、本開示は、新規診断多発性骨髄腫の再発または進行を治療または防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含む維持療法を与える。
【0037】
別の態様において、本開示は、新規診断多発性骨髄腫の進行を防止する、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤を含む維持療法を与える。
【0038】
別の態様において、本開示は、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を含有する医薬組成物を与える。
【0039】
特定の実施形態において、癌は、血液悪性腫瘍である。
【0040】
特定の実施形態において、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。
【0041】
特定の実施形態において、血液悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫、濾胞細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。
【0042】
特定の実施形態において、血液悪性腫瘍は、アミロイドーシスである。特定の実施形態において、血液悪性腫瘍は、全身性軽鎖アミロイドーシスである。
【0043】
特定の実施形態において、癌は、新規に診断されている。
【0044】
特定の実施形態において、癌は、再発性である。
【0045】
特定の実施形態において、癌は、不応性である。
【0046】
特定の実施形態において、癌は、再発性または不応性の多発性骨髄腫である。
【0047】
特定の実施形態において、癌は、新規診断多発性骨髄腫である。
【0048】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されている全技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味と同じ意味を有する。従って、以下の用語は、以下の意味を有するものとして意図されている。
【0049】
用語「維持療法」は、一次治療が成功するのに役立つように計画されている治療レジメンを意味する。例えば、寛解状態の癌を有する人々に対して、再燃を防止するか、または遅らせ、疾患の再発または進行の可能性を低減する目的で、維持化学療法を与えても良い。対象の寿命までの延長された期間を含む、任意の長さの期間、維持療法を与え得る。初期療法後、または初期療法または追加の療法と同時に、維持療法を与え得る。維持療法に使用する用量は、変わり得、その他のタイプの療法、例えば一次療法(すなわち、第一選択療法、導入療法)に使用する用量と比較して、低強度の用量を含み得る。
【0050】
用語「一次療法」は、患者の疾患の診断に基づき、前記患者に与える初期治療を意味する。疾患の診断は、患者、言い換えると新規診断患者でのその疾患の最初の発生、または、患者、言い換えると再発患者での疾患の再発であり得る。疾患の診断は、治療の標準セットの一部であることがよくあり、一次療法は、自家幹細胞移植を含んでも良い。一次療法は単独で使用される場合、最良の治療として認められている療法である。一次療法が疾患を治癒しない場合、または重篤な副作用を起こす場合、他の治療を加えるか、または代わりに使用しても良い。該用語は、新規診断患者の初期治療を意味する場合、または、新規診断患者の初期治療または再発患者の初期治療をそれぞれが意味し得る導入療法、初期療法、または一次治療を意味する場合、当業者に第一選択療法としても知られている。
【0051】
用語「導入療法」は、癌治療の第一段階を意味する。多発性骨髄腫のための導入療法の目的は、骨髄の形質細胞と形質細胞が産生するタンパク質の数を低減することである。導入療法は、3〜4週間を1治療サイクルとして含んでも良い。
【0052】
用語「自家幹細胞移植」は、個体から収集され、同じ個体に戻される幹細胞に関する。幹細胞移植は、従来の化学療法よりも骨髄腫細胞を破壊するのにより効果的であることが多い高用量化学療法との併用で使用される処置である。高用量化学療法は骨髄中の正常な造血幹細胞も破壊するので、血球産生を回復するために、これらの細胞を置き換えなければならない。
【0053】
用語「低強度の用量」は、一次療法における用量レジメンと比べて低減された用量レジメンを意味する。特定の実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、一次療法における投与レジメンの20%、30%、40%、50%、60%、70%未満である用量に低減され、例えば、5.5mgの用量である。
【0054】
特定の実施形態において、低減された用量は、約3.0mg〜約1.5mgである。
【0055】
特定の実施形態において、低減された用量は、3.0mg、2.3mg、または1.5mgである。
【0056】
用語「生存期間」は、生存し続けている患者に関し、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)を含む。生存期間は、カプラン・マイヤー法により推定され得、生存期間のいかなる差も、層別ログランク検定を使用して計算される。
【0057】
用語「無増悪生存期間(PFS)」は、治療(またはランダム化)から最初の疾患憎悪または死亡までの期間を意味する。例えば、無増悪生存期間(PFS)は、治療の開始から、または初期診断から、患者が(例えば、約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、3.5ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、約1年、約2年、約3年、約5年、約10年、約15年、約20年、約25年などの定められた期間)癌を再発せずに生存し続けている期間である。無増悪生存期間は、固形癌効果判定基準(RECIST)により評価され得る。
【0058】
用語「全生存期間」は、治療の開始から、または初期診断から、(約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約10年、約15年、約20年、約25年などの)定められた期間生存し続けている患者に関する。
【0059】
用語「プロテアソーム介在性障害」は、プロテアソームの発現または活性の増加により引き起こされる、若しくは特徴づけられる、または、プロテアソームの活性が状態の維持に必要である、あらゆる障害、疾患、または状態を意味する。用語「プロテアソーム介在性障害」は、プロテアソームの活性の阻害が効果を有する、あらゆる障害、疾患、または状態も含む。
【0060】
例えば、本開示の化合物及び医薬組成物は、プロテアソームの活性により制御される、タンパク質(例えば、NFκB、p27
Kip、p21
WAF/CIP1、p53)を介した癌などの障害の治療に有用である。本明細書で使用される場合、用語「癌」は、制御されない細胞増殖または調節不全の細胞増殖、細胞分化の減少、周辺組織へ浸潤する不適当な能力、及び/または異所で新たな成長を始める能力により特徴づけられる細胞障害を意味する。用語「癌」は、固形腫瘍及び血行性腫瘍(血液悪性腫瘍)を含むが、これらに限定はされない。用語「癌」は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液、及び血管の疾患を包含する。用語「癌」は、原発性癌及び転移性癌をさらに包含する。
【0061】
血液悪性腫瘍の非限定的な例として、アミロイドーシス、急性骨髄性白血病(AML);慢性骨髄性白血病(CML)、加速期のCML及びCMLの急性転化期(CML−BP)を含む;急性リンパ芽球性白血病(ALL):慢性リンパ性白血病(CLL);ホジキン病(HD);濾胞性リンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、過剰芽細胞を伴う不応性貧血(RAEB)、及び移行期のRAEB(RAEB−T)を含む骨髄異形成症候群(MDS);ならびに骨髄増殖性症候群が挙げられる。
【0062】
以下の句のペア:式(I)の化合物と式(I)のプロテアソーム阻害剤、式(IIIa)の化合物と式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤;式(IV)の化合物と式(IV)のプロテアソーム阻害剤は、交換可能である。
【0063】
癌療法では、有効性を、生存期間、無増悪生存期間(PFS)、治療に対する奏効率(RR)、奏効期間、及び/またはクオリティオブライフを評価することにより測定しても良い。
【0064】
免疫調節薬の例は、サリドマイド・アナログである。免疫調節薬の例として、レナリドマイド及びポマリドミドが挙げられる。
【0065】
プロテアソーム阻害剤は、p53タンパク質などのタンパク質を分解する細胞性複合体であるプロテアソームの作用を阻害する薬剤である。プロテアソーム阻害剤は、癌、特に多発性骨髄腫の治療において研究されている。プロテアソーム阻害剤の例は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン−3−ガラート、サリノスポラミドA、ONX0912、CEP−18770、及びエポキソミシンである。
【0066】
プロテアソーム阻害剤のさらなる例は、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン−3−ガラート、サリノスポラミドA、ONX0912、CEP−18770、及びエポキソミシンである。
【0067】
特定の実施形態において、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。
【0068】
特定の実施形態において、プロテアソーム阻害剤は、イキサゾミブまたはイキサゾミブクエン酸エステルである。
【0069】
特定の実施形態において、プロテアソーム阻害剤は、カルフィルゾミブである。
【0070】
用語「about(約)」は、approximately、in the region of、roughly、またはaroundを意味するように本明細書で使用される。用語「about(約)」は、数値範囲と共に使用される場合、記載されている数値より上及び下に境界を拡張することにより前記範囲を加減する。通常、用語「about(約)」は、記載されている値より上及び下に10%の差異で数値を加減するように本明細書で使用される。
【0071】
用語「comprises」は、「includes」を意味するが、これに限定されない。
【0072】
用語「薬剤的に許容できる担体」は、レシピエント対象、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトと相性が良い材料を意味するように本明細書で使用され、活性薬剤の活性を停止することなく標的部位に活性薬剤を送達するのに適している。担体に関連する毒性または有害作用があるとすれば、活性薬剤の意図された使用に関する妥当なリスク/便益比に釣り合っていることが好ましい。
【0073】
本開示の医薬組成物は、当業で周知の方法、特に従来の造粒、混合、溶解、封入、凍結乾燥、または乳化工程などにより製造され得る。組成物は、顆粒、沈殿物、粒子、または粉末といった様々な形態で製造されても良い。
【0074】
用語「経口」は、摂取されることが意図されている組成物を投与することに関する。経口剤形の例として、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤または懸濁剤、及び滴剤が挙げられるが、これらに限定はされない。このような剤形は、丸ごと飲まれても良く、または、チュアブル剤形であっても良い。
【0075】
経口投与用の固形の剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤を含む。該固形の剤形において、活性成分は、少なくとも1種の不活性な薬剤的に許容できるクエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなどの賦形剤または担体、及び/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤または増量剤;b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤;c)グリセロールなどの湿潤剤;d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;e)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarding agent);f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;g)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤;h)カオリン及びベントナイトクレイなどの吸収剤;ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物などの潤滑剤と混合されている。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合には、剤形は、リン酸塩または炭酸塩などの緩衝剤も含んでも良い。
【0076】
また、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤と高分子量ポリエチレングリコールなどとを使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル中で、固形組成物を充填剤として使用しても良い。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固形の剤形を、腸溶コーティング及び医薬製剤業で周知のその他のコーティングなどのコーティング及び殻(shell)を用いて製造し得る。該剤形は、乳白剤を任意で含んでも良く、活性成分のみ、または活性成分を優先的に、腸管の特定の部分で、任意で遅延方式で、放出するような組成物の剤形でもあり得る。使用できる埋め込まれる組成物の例として、高分子物質及びワックスが挙げられる。
【0077】
固形の剤形において、活性成分は、少なくとも1種のスクロース、ラクトース、またはデンプンなどの不活性希釈剤と混合されていても良い。該剤形は、通常の実施では、例えば、錠剤化潤滑剤、ならびに、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースなどのその他の錠剤化助剤といった、不活性希釈剤以外の追加の物質も含んでも良い。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合には、剤形は、緩衝剤も含んでも良い。
【0078】
また、活性成分は、上記の1種以上の賦形剤と共にマイクロカプセル化形態に含まれ得る。
【0079】
用語「ボロン酸エステル(boronate ester)」及び「ボロン酸エステル(boronic ester)」は、交換可能に使用され、−B(Z
1)(Z
2)基を含む化合物を意味する。式中、Z
1及びZ
2は、環状ボロン酸エステルを共に形成し、前記環状ボロン酸エステルは、2〜20の炭素原子を有し、N、S、またはOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでも良い。
【0080】
特定の実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、以下の式:
【化5】
またはその薬剤的に許容できる塩、立体異性体、若しくは互変異性体を意味し、式中:
環Aは、
【化6】
であり;かつ
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立してヒドロキシルであり、またはZ
1及びZ
2は、環状ボロン酸エステルを共に形成し、前記環状ボロン酸エステルは、2〜20の炭素原子を有し、N、S、またはOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでも良い。
【0081】
特定の実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、式(Ia):
【化7】
またはその薬剤的に許容できる塩、立体異性体、若しくは互変異性体により特徴づけられ、式中:
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立してヒドロキシルであり、またはZ
1及びZ
2は、環状ボロン酸エステルを共に形成し、前記環状ボロン酸エステルは、2〜20の炭素原子を有し、N、S、またはOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでも良い。
【0082】
特定の実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、式(II):
【化8】
またはその薬剤的に許容できる塩、立体異性体、若しくは互変異性体により特徴づけられ、式中:
環Aは上記で定義されており;R
1及びR
2は、独立して−(CH
2)
p−CO
2Hであり;カルボン酸のうち1つは、ホウ素原子とさらに結合を形成しても良く;nは0または1であり;かつ、pは0または1である。
【0083】
特定の実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、式(III):
【化9】
またはその薬剤的に許容できる塩、立体異性体、若しくは互変異性体により特徴づけられ、式中、環Aは上記で定義されている。
【0084】
一実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、式(IIIa)の化合物:
【化10】
またはその薬剤的に許容できる塩、立体異性体、若しくは互変異性体である。
【0085】
一実施形態において、式(IIIa)のプロテアソーム阻害剤は、実質的に結晶性の形態である。
【0086】
一実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、式(IV)の化合物:
【化11】
またはそのエステル若しくは薬剤的に許容できる塩である。
【0087】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、及び(IV)のプロテアソーム阻害剤の製剤の合成方法は、当業で周知であり、例えば、米国特許7,442,830、米国特許7,687,662、米国特許8,003,819、米国特許8,530,694、及び国際特許公報WO2009/154737に記載されており、これらはその全体を本明細書の一部を構成するものとして明確に援用される。
【0088】
イキサゾミブとしても知られる式(IV)の化合物は、ミレニアム・ファーマシューティカルズ社(Millennium Pharmaceuticals, Inc)により開発されたペプチドボロン酸である。イキサゾミブは、強力に、可逆的に、かつ選択的にプロテアソームを阻害する生物活性分子である。式(IIIa)の化合物は、イキサゾミブのクエン酸エステルであり、本明細書でイキサゾミブクエン酸エステルと呼ばれる。イキサゾミブクエン酸エステルは、血漿または水溶液のいずれかと接触すると、直ぐにイキサゾミブに加水分解する。ファースト・イン・クラスの小分子プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))と比べて、イキサゾミブは、腫瘍浸潤を促進させ得るプロテアソームからの解離速度がより速く、より様々な腫瘍異種移植片において抗腫瘍活性を示し、組織透過をより長く持続する。
【0089】
イキサゾミブは、50%の阻害を生じる濃度(IC
50)が3.4nMで、20Sプロテアソームのβ5部位に結合することが好ましい。より高濃度では、イキサゾミブは、β1及びβ2部位の活性も阻害する。イキサゾミブは、プロテアーゼ(IC
50値は20〜100μM)、キナーゼ(IC
50値>10μM)、及び受容体(IC
50値>10μM)のパネルに対して試験される場合、プロテアソームに対して選択的である。イキサゾミブ及びボルテゾミブは、結合のオンオフのキネティクスにおける違いを反映して、異なるβ5プロテアソーム解離半減期(t
1/2)を有す(イキサゾミブクエン酸エステル及びボルテゾミブでは、β5プロテアソーム半減期[t
1/2]は、それぞれ、18分及び110分である)。Kupperman Eら Cancer Res 2010;70:1970−1980。
【0090】
イキサゾミブは、進行性固形腫瘍、リンパ腫、再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)、及び再発性または不応性の軽鎖(AL)アミロイドーシスの患者を含む臨床研究で評価され、活性の初期徴候を示した。データは、末梢神経障害(PN)が低率である好ましい毒性プロフィールを示唆している。Richardson PGら Blood 2014; 124:1038−1046。Kumar SKら Blood 2014; 124:1047−1055。現在進行中の研究は、単剤のイキサゾミブ、及び標準治療との併用でのイキサゾミブの両方について調査を続けている。追加的な臨床試験は、レナリドマイド及びデキサメタゾン(LenDex)との併用でのイキサゾミブ対プラセボ/LenDexを、毎週4mgのイキサゾミブの用量で評価している。明らかになった安全性プロフィールは、イキサゾミブが概して良好な忍容性であることを示す。Kumar Sら Blood 2012;119:4375−4382。Richardson PGら Blood; 2010;116:679−686。Jakubowiak AJら Blood 2012; 120:1801−1809。
【0091】
イキサゾミブ維持研究に適当な用量を選択するために、出願者は、週1回の単剤のイキサゾミブの第1相試験に登録された再発不応性多発性骨髄腫の患者からの安全性及び有効性データの暴露反応分析を実施した。病勢コントロール及び許容できる忍容性を伴ったイキサゾミブの生物活性のある暴露/用量範囲の初期推定値を出すように分析をデザインし、それにより、生物活性のある範囲で薬剤暴露を維持する間、長期間の治療に対して十分な忍容性を確保した。これらの分析の方法及び結果を以下に記載する。
【0092】
暴露/有効性分析
週1回の単剤のイキサゾミブの第1相試験に登録された再発不応性多発性骨髄腫の患者からの安全性(S)及び有効性(E)データを使用した(N=44)。調査したイキサゾミブの用量範囲は、1〜8.9mgであった。Ex/SとEx/Eの両方の暴露のロジスティック回帰分析では、暴露(Ex)を(母集団薬物動態解析を使用し、個々のクリアランス値から算出した)1日当りのAUCで計量した。7つの有害事象(AE):非血液系(non−H)(疲労、発疹、末梢神経障害、下痢)及び血液系(H)(貧血、血小板減少、好中球減少)について、Ex/S分析を実施した。非血液系有害事象データを、グレード≧2のグループ対グレード≦1のグループに分類し、一方、血液系有害事象データを、グレード≧3対グレード≦2にグループ化した。維持治療が忍容性のある有害事象プロフィールを有し、許容できるクオリティオブライフに寄与するように、データをこの方法で分類した。グレード3の血液系有害事象は、下痢などのグレード2の非血液系有害事象よりも、クオリティオブライフに対して影響が小さく、管理しやすい場合があるため、血液系有害事象と非血液系有害事象では異なるカットオフを使用した。暴露有効性(Ex/E)では、データを以下:≧病勢安定(SD)対病勢進行(PD)に分類した。再発性または不応性患者で達成されたSDを含む臨床的便益率は、維持設定で予想される奏効の重要な予測因子であり得る。ロジスティック回帰分析をSPLUSソフトウェアのバージョン8.1を使用して実施した。
【0093】
ロジスティック回帰分析の結果は、評価された7つのAEのうち、Exとの統計的に有意な関係(p<0.05)が、5つのAE(疲労、発疹、下痢、血小板減少、好中球減少)と臨床的便益率(≧SD)で観察されたことを示した。毎週3.0mg(MTDの54%)の開始用量で、モデルは、〜33%≧SD、ならびにグレード≧2のnon−H AEの発生率(発疹16%、下痢19%、及び疲労19%)及びグレード≧3のH AEの発生率(好中球減少10%、血小板減少22%)を予想している。さらに、3.0mgの用量は、治療域にあり、継続中の第3相試験で再発不応性多発性骨髄腫の未治療患者に使用される開始用量を下回る1回投与レベルを表す。
【0094】
図1は、患者のイキサゾミブ用量の暴露と反応(臨床的便益と安全性)の関係を示す。
図1は、最大耐用量より少ない3.0mg及び4.0mgでの週1回投与で、リスクに対して好ましい便益が達成され得ることを示す。従って、維持療法において、患者は、3.0mgの週1回投与でイキサゾミブを開始し、4回のサイ
クル後許容できる忍容性が確定したら、最大臨床便益が得られるように、4.0mgに増量させても良い。
【0096】
維持療法は、一次治療に対する患者の奏効期間を延長することを目的とする長期療法である。長期維持療法は、移植設定及び非移植設定の両方において、無増悪生存期間をみ、場合によっては全生存期間を含む生存転帰を改善する。しかしながら、継続的な療法のための薬剤は、利便性がよく、忍容性が良好である必要がある。便益対リスクのバランスは、維持療法において、最重要である。成功する維持療法に必要とされることとして、良好な長期間の忍容性と遵守(毒性及び投与の利便性に起因する中断率が低いこと)、生存期間の延長または生存期間を縮めることのないクオリティオブライフの向上のいずれかにおいて臨床便益を示すこと、及び好ましい便益対リスク比が含まれる。幹細胞移植/療法の後の維持療法の臨床便益についての証拠が明らかになりつつあるが、プラスの便益とリスクのバランスは、既存の療法でこれから確証されなければならない。今日まで、新規診断多発性骨髄腫の患者及び再発不応性多発性骨髄腫の患者における維持のための認可された薬物は存在しない。
【0097】
一実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を新規診断多発性骨髄腫の患者に投与することを含み、前記患者は、導入療法と1回の自家幹細胞移植を既に受けている。
【0098】
一実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を新規診断多発性骨髄腫の患者に投与することを含み、前記患者は、導入療法と1回以上の自家幹細胞移植を既に受けている。
【0099】
一実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を新規診断多発性骨髄腫の患者に投与することを含み、前記患者は、局所的な標準治療に従った導入療法と、次いで、メルファラン(200mg/m
2)などの高用量療法を含む処置レジメンと1回の自家幹細胞移植とを既に受けている。導入療法は、プロテアソーム阻害剤及び/または免疫調節薬をベースとするレジメンを含まなければならない。
【0100】
特定の実施形態において、導入療法はプロテアソーム阻害剤を含み、前記プロテアソーム阻害剤は、イキサゾミブまたはイキサゾミブクエン酸エステルである。
【0101】
一実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を新規診断多発性骨髄腫の患者に投与することを含み、前記患者は、導入療法をすでに受けており、自家幹細胞移植を受けていない。
【0102】
特定の実施形態において、導入療法、高用量療法、及び自家幹細胞移植の後に臨床的かつ血液学的な回復を達成している患者は、移植から75日目以降に維持療法の適格性のスクリーニングを開始し、15日以内にスクリーニングを完了し、移植から115日目までにランダム化され得る。適格な患者(スクリーニング中に導入療法に対する完全奏効、非常に良好な部分奏効、または部分奏効が記録された患者)は、イキサゾミブ維持療法で治療されても良い。層別因子は、導入レジメン(プロテアソーム阻害剤あり免疫調節薬なし、プロテアソーム阻害剤なし免疫調節薬あり、またはプロテアソーム阻害剤あり免疫調節薬あり);導入前の国際病期分類システム(ISS)(病期1対病期2または3);及び、スクリーニング中に測定した、導入療法、高用量療法、及び自家幹細胞移植後の奏効(完全奏効、非常に良好な部分奏効、または部分奏効)として定義される移植後の奏効である。
【0103】
特定の実施形態において、導入療法とその後の高用量療法及び自家幹細胞移植に対して奏効(完全奏効、非常に良好な部分奏効、または部分奏効)があった、新規診断多発性骨髄腫の患者は、イキサゾミブ維持療法で治療されても良い。
【0104】
特定の実施形態において、導入療法とその後の自家幹細胞移植に対して奏効(完全奏効、非常に良好な部分奏効、または部分奏効)があった、新規診断多発性骨髄腫の患者は、イキサゾミブ維持療法で治療されても良い。
【0105】
特定の実施形態において、導入療法に対して奏効(完全奏効、非常に良好な部分奏効、または部分奏効)があり、かつ、幹細胞移植を受けていない、新規診断多発性骨髄腫の患者は、イキサゾミブ維持療法で治療されても良い。
【0106】
特定の実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を血液悪性腫瘍の患者に投与することを含み、前記患者は、導入療法を既に受けている。
【0107】
特定の実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を血液悪性腫瘍の患者に投与することを含み、前記患者は、導入療法と1回以上の自家幹細胞移植を既に受けている。
【0108】
特定の実施形態において、本開示の維持療法は、式(IIIa)の化合物(イキサゾミブクエン酸エステル)を血液悪性腫瘍の患者に投与することを含み、前記患者は、導入療法をすでに受けており、自家幹細胞移植をうけていない。
【0109】
特定の実施形態において、導入療法は、化学療法レジメンを含む。該化学療法レジメンの例として、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、R−CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、R−EPOCH(エトポシド、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、リツキシマブを併用または非併用するHyperCVAD(メトトレキセート及びシタラビンと交替でのシクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)、またはVAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0110】
特定の実施形態において、導入療法は、プロテアソーム阻害剤及び/または免疫調節薬をベースとするレジメンを含む。
【0111】
特定の実施形態において、患者に、イキサゾミブクエン酸エステルカプセルを週に1回3週間連続で経口投与し、その後の1週間では前記カプセルを投与しない。この4週間(28日間)の投与レジメンは、1治療サイクルを含む。特定の実施形態において、患者にイキサゾミブクエン酸エステルカプセルを28日間サイクルの1、8、及び15日目に1回投与する。
【0112】
特定の実施形態において、式(I)のプロテアソーム阻害剤またはその薬剤的に許容できる塩を少なくとも4回の治療サイクルでは第1用量で投与し、5〜26回目の治療サイクルでは第2用量で投与する。
【0113】
一実施形態において、第1用量強度が3.0mg/週のイキサゾミブクエン酸エステルカプセルの形態でのイキサゾミブを、第1治療サイクルから第4治療サイクルの患者に使用し得る。第4治療サイクルの完了時に毒性評価をすると、最初の4回の治療サイクルに耐えた患者に最大可能臨床便益を与えるように、患者は、第5治療サイクルで始めて第26治療サイクルまで、4.0mg/週の高めた用量強度で第2用量強度のイキサゾミブを受けるようになり、維持療法の期間中1〜4回の治療サイクルと同じスケジュールで投与される。
【0114】
一実施形態において、第1用量強度のイキサゾミブクエン酸エステルカプセルの形態でのイキサゾミブを、第1治療サイクルから始めて患者に使用し得る。患者が第1用量強度に耐えている場合、第1用量後の毒性評価をした上で、患者は、いつでも、高めた用量強度で第2用量を受けても良い。
【0115】
一実施形態において、第1用量強度が3.0mg/週のイキサゾミブクエン酸エステルカプセルの形態でのイキサゾミブを、第1治療サイクルから始めて患者に使用し得る。患者が3.0mg/週の用量強度に耐えている場合、第1用量後の毒性評価をした上で、患者は、いつでも、4.0mg/週の高めた用量強度で第2用量を受けても良い。
【0116】
一実施形態において、第1用量強度が4.0mg/週のイキサゾミブクエン酸エステルカプセルの形態でのイキサゾミブを、第1治療サイクルから始めて患者に使用し得る。患者が4.0mg/週の用量強度に耐えている場合、患者は、4.0mg/週の用量強度で続けても良い。
【0117】
一実施形態において、第1用量が3.0mgのイキサゾミブクエン酸エステルカプセルの形態でのイキサゾミブを、第1治療サイクルから第4治療サイクルの患者に使用し得る。第4治療サイクルの完了時に毒性評価をすると、高められた用量強度に耐えられないと考えられる患者は、第5治療サイクルから第26治療サイクルまで、3.0mg/週の開始用量強度のままで続けることになり、維持療法の期間中1〜4回の治療サイクルと同じスケジュールで投与される。
【0118】
特定の実施形態において、いずれかの治療サイクルの間に有害事象を経験している患者は、維持療法を続けても良いが、イキサゾミブ用量を維持させても良く、または、少なくとも1用量レベル低減させても良い。特定の実施形態において、低減させた用量は、約3.0mg〜約1.5mgである。特定の実施形態において、低減させた用量は、3.0mg、2.3mg、及び2.5mgである。
【0119】
維持療法の治療期間は、患者が本開示の式(I)のプロテアソーム阻害剤を受けているあらゆる期間として定義され、28日間の治療サイクルを含み得る。特定の実施形態において、患者は、該療法に参加している間、病勢進行または別の理由による中止を経験するまで、定期的な治療サイクルの合間:第1のサイクルでは週1回(1、8、及び15日目)、第2のサイクルの間治療サイクル当り2回(1、及び8日目)、次に、治療期間中の残りの参加期間では治療サイクル当り1回、で治療評価を実施させ得る。
【0120】
特定の実施形態において、患者は、維持療法中、または病勢進行までの進行追跡期間の前に中止された場合は、次の一連の療法が始まる前まで、治療期間中各サイクルで、その後、無増悪生存期間中4週おきに、国際骨髄腫ワーキンググループ基準に従った疾患の奏効及び進行に関する評価を受け得る。病勢進行後、患者は、全生存追跡期間中追跡され得る。最初に、患者は、治療担当医による次の一連の療法の開始まで4週おきに追跡され得る。次に、全患者は、死亡または療法の終了まで、12週おきに追跡され得る。全生存追跡期間中、患者及び患者の治療担当医は、次の一連の療法、(次の一連の療法の開始までに限る)健康関連クオリティオブライフ、疾患の状態、及び生存の評価のために連絡を取り合い得る。健康関連クオリティオブライフ(HRQL)は、ランダム化から次の一連の療法の開始時まで、患者自己報告型の道具により評価され得る。進行後及び次の一連の療法の開始後、疾患の奏効及び進行の傾向は、治療担当医により国際骨髄腫ワーキンググループ基準に従って評価され得る。
【0121】
特定の実施形態において、有害事象を評価し得、臨床検査値、バイタルサイン、及び心電図(ECG)を入手してイキサゾミブの安全性及び忍容性を評価し得る。発行日が2010年6月14日の有害事象に関する国立癌研究所共通用語基準(NCI CTCAE)第4.03版に従って、毒性を評価し得る。
【0122】
特定の実施形態において、治療効果を測定し得る。早い時点と後の時点との間で患者において測定される変化は、維持療法が治療効果があることを示す。
【0123】
特定の実施形態において、第1の時点は、例えば、投与前、第1日目の投与後、第5日目の投与後、治療サイクルの開始時、治療サイクルの終了時などであっても良い。第1の時点がいつであるかにかかわらず、第2の時点は、第1の時点の後である。
【0124】
治療中に、患者データを収集し、治療の有効性を評価するために使用しても良い。関連するデータとして、薬物動態データが含まれる。
【0125】
特定の実施形態において、患者は、約24ヶ月の最大期間(26サイクル、ほぼ全サイクルまで)、または(国際骨髄腫ワーキンググループ基準に基づき)記録された病勢進行か、忍容できない毒性のうち、いずれか早い方までの期間、維持療法を受け得る。
【0126】
特定の実施形態において、患者は、約24ヶ月間維持療法を受け得る。特定の実施形態において、患者は、(国際骨髄腫ワーキンググループ基準に基づき)記録された病勢進行、または忍容できない毒性まで、維持療法を受け得る。特定の実施形態において、患者は、維持療法が臨床的に適応である限りは(26サイクルを超えて)維持療法を受け得る。
【0127】
特定の実施形態において、24ヶ月の治療サイクルを完了する患者に、忍容性及び症状の負荷を重視した臨床的評価、検査による評価、奏効評価、及び健康関連クオリティオブライフ評価、ならびに微小残存病変評価を実施し得る。病勢進行の記録後、治療担当医がその後の療法を決定し得る。
【0128】
特定の実施形態において、標準治療導入、高用量メルファラン(200mg/m
2)を含む処置レジメン、及び自家幹細胞移植1回からなる多発性骨髄腫一次療法に対して奏効(完全奏効、非常に良好な部分奏効、または部分奏効)があった、多発性骨髄腫であると確定診断された18歳以上の成人患者は、維持療法に適格であり得る。
【0129】
特定の実施形態において、以下の基準に合う患者は、維持療法を受けても良い。
a.症候性多発性骨髄腫であると確定診断された18歳以上の成人男性または女性患者。
b.移植前のいずれかの時点で入手した細胞遺伝学的検査/蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)の結果、及び、入手可能であれば、診断時点での国際病期分類システムの病期の結果が記録されていること。
c.診断の12ヶ月以内に、標準治療導入療法/一次療法(該療法は、プロテアソーム阻害剤及び/または免疫調節薬をベースとするレジメンを多発性骨髄腫のための一次療法として含まなければならない)と、その後、高用量メルファラン(200mg/m
2)処置レジメンと共に1回の自家幹細胞移植を受けていること。
d.移植から75日目以降にスクリーニングが開始され、15日以内にスクリーニングが完了され、移植から115日目までにランダム化されていること。
e.患者は自家幹細胞移植後地固め療法を受けなくても良い。
f.自家幹細胞移植に対する奏効(部分奏効、非常に良好な部分奏効、完全奏効/厳格な完全奏効)。
g.東部腫瘍共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)のパフォーマンスステータスが0〜2。
【0130】
特定の実施形態において、以下の基準に合う患者は、維持療法を受けても良い。
a.症候新規診断多発性骨髄腫であると標準的基準により確定診断された18歳以上の成人男性または女性患者。
b.Mタンパク質の最下点に達した後2サイクルの間維持される最良奏効として定義される、最良奏効へと患者が治療された、6〜12ヶ月(±2週間)の初期療法が完了していること。
c.大奏効(国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)統一効果判定基準2011年版による、初期療法後の部分奏効、非常に良好な部分奏効、完全奏効)が記録されていること。
【0131】
特定の実施形態において、活性イキサゾミブを4.0mg、3.0mg、2.3mg、及び1.5mgの強度で患者に与える。
【0132】
特定の実施形態において、固形カプセル剤のイキサゾミブクエン酸エステルとしてイキサゾミブを患者に投与する。
【0133】
特定の実施形態において、維持療法におけるイキサゾミブクエン酸エステルカプセルは、0.5mg、2.3mg、3.0mg、または4.0mgのイキサゾミブを含む様々な用量強度を含有する。イキサゾミブクエン酸エステル及び薬剤的に許容できる担体を含有する本開示の医薬組成物は、当業で周知の方法により製造でき、前記方法は、例えば、ここにその全体が本明細書の一部を構成するものとして明確に援用される国際特許公報WO2009/154737に記載されている。
【0134】
特定の実施形態において、イキサゾミブクエン酸エステルカプセルは、イキサゾミブクエン酸エステル、微結晶性セルロース、タルク、及びステアリン酸マグネシウムの混合物を含有する。
【0135】
表1A、1B、1C、及び2は、イキサゾミブクエン酸エステルカプセルの特定の実施形態を与える。
【0136】
表の一番上のカプセル当りの用量強度は、血漿または水溶液のいずれかと接触してイキサゾミブクエン酸エステルから加水分解されたときのイキサゾミブに相当する量を意味する。例えば、0.5mgのカプセルは、カプセル当り0.5mgのイキサゾミブに相当する量を含有するカプセルを意味する。2.0mgのカプセルは、カプセル当り2.0mgのイキサゾミブに相当する量を含有するカプセルを意味する。2.3mgのカプセルは、カプセル当り2.3mgのイキサゾミブに相当する量を含有するカプセルを意味する。3.0mgのカプセルは、カプセル当り3.0mgのイキサゾミブに相当する量を含有するカプセルを意味する。4.0mgのカプセルは、カプセル当り4.0mgのイキサゾミブに相当する量を含有するカプセルを意味する。5.0mgのカプセルは、カプセル当り5.0mgのイキサゾミブに相当する量を含有するカプセルを意味する。
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表2】
【0137】
特定の実施形態において、28日間サイクル中、第1の1回量のイキサゾミブを3週間毎週、1、8、及び15日目に患者に経口投与し、その後の1週間ではイキサゾミブを投与しない。28日間サイクル療法の最初の4サイクルの後、5回目のサイクル〜26回目のサイクルまで、毎週、1、8、及び15日目に第2用量のイキサゾミブを患者に投与する。
【0138】
特定の実施形態において、第1用量のイキサゾミブは、3.0mgであり、第2用量のイキサゾミブは、約4.0mgである。
【0139】
特定の実施形態において、第1用量のイキサゾミブは、3.0mgであり、第2用量のイキサゾミブは、約3.0mgである。
【0140】
特定の実施形態において、第1用量のイキサゾミブは、2.3mgであり、第2用量のイキサゾミブは、約3.0mgである。
【0141】
特定の実施形態において、第1用量のイキサゾミブは、2.3mgであり、第2用量のイキサゾミブは、約2.3mgである。
【0142】
特定の実施形態において、第1用量のイキサゾミブは、1.5mgであり、第2用量のイキサゾミブは、約2.3mgである。
【0143】
特定の実施形態において、第1用量のイキサゾミブは、1.5mgであり、第2用量のイキサゾミブは、約1.5mgである。
【0144】
特定の実施形態において、28日間サイクル中、最初に3週間毎週、1、8、及び15日目に維持療法を3.0mgの単回経口投与として与え、その後の1週間ではイキサゾミブを投与しない。療法の最初の4サイクルの後、5回目のサイクル〜26回目のサイクルまで、薬剤に耐えている患者に対して、用量を4.0mgに増量させ得る。
【0145】
特定の実施形態において、28日間サイクル中、3.0mgの1回量のイキサゾミブを3週間毎週、1、8、及び15日目に患者に経口投与し、その後の1週間ではイキサゾミブを投与しない。28日間サイクル療法の最初の4サイクルの後、5回目のサイクル〜26回目のサイクルまで、毎週、1、8、及び15日目に3.0mgの第2用量のイキサゾミブを患者に投与する。
【0146】
特定の実施形態において、28日間サイクル中、1.5mgの1回量のイキサゾミブを3週間毎週、1、8、及び15日目に患者に経口投与し、その後の1週間ではイキサゾミブを投与しない。28日間サイクル療法の最初の4サイクルの後、5回目のサイクル〜26回目のサイクルまで、毎週、1、8、及び15日目に2.3mgの第2用量のイキサゾミブを患者に投与する。
【0147】
経口単剤イキサゾミブ維持療法の臨床試験
【0148】
導入療法を完了した21人の患者は、イキサゾミブ維持療法を受けた。導入療法の間、28日間サイクル中、患者は、毎週、1、8、15日目に4.0mgのイキサゾミブを受け、1〜21日目に25.0mgのレナリドマイドを受け、毎週、1,8、15、及び22日目に40mgのデキサメタゾンを受けた。
【0149】
これらの患者は、導入療法を完了し、維持段階に進んだ。16人の患者は、4.0mgのイキサゾミブで始め、4人の患者は、3.0mgのイキサゾミブで始め、1人の患者は、2.4mgのイキサゾミブで始めた。維持療法を受けている患者は、表3及び表4に示す特性を有す。
【表3】
【表4】
【0150】
3人の患者ではサンプルを収集していない。
†好ましくない細胞遺伝学的特性は、FISHまたは中期細胞遺伝学的検査により検出されたdel 17、t(4;14)、t(14;16)、及び1q増幅の異常、ならびに中期細胞遺伝学的検査により検出されたdel 13を含む。
【0151】
維持療法段階の間、患者は、治療期間の中央値が29.0ヶ月(14.3〜33.3の範囲)で、中央値が19の治療サイクル(3〜23の範囲)に単剤のイキサゾミブを受けた。表5は、治療暴露を示す。
【表5】
【0152】
図2は、イキサゾミブ維持療法を受けた21人の患者における最良全奏効を示す(n=21)。
【0153】
最良全奏効は、以下である:完全奏効(CR)またはそれより良好な奏効が52(%)パーセント(11/21)の患者で達成され、非常に良好な部分奏効(VGPR)またはそれより良好な奏効が71(%)パーセント(15/21)の患者で達成された。
【0154】
CRに近い奏効(nCR)になったVGPRの2人(2/10)、CRになったVGPRの5人(5/10)、厳格な完全奏効(sCR)になったVGPRの1人(1/10)、及びsCRになったCRの2人(2/10)を含む、48パーセント(48%)(10/21)の患者が、維持療法の間に奏効を改善した。奏効期間の中央値は、21.65ヶ月(6.7〜31.18の範囲)であった。
【0155】
52パーセント(52%)(11/21)の患者は、試験のデータカットオフの後イキサゾミブ維持療法を続けた。
【0156】
最初の奏効までの期間の中央値(≧速い奏効「PR」)は、0.99ヶ月(0.92〜5.78の範囲)であり、最良奏効までの期間の中央値は、7.46ヶ月(1.02〜24.74の範囲)であった。イキサゾミブの相対用量強度の平均値は、導入段階及び維持段階でそれぞれ、95パーセント(95%)及び89.5(89.5)パーセントであった。
【0157】
イキサゾミブ維持療法を受けた全患者は、25.1〜33.9ヶ月の追跡後に生存していた。