(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906572
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】誘電性複合体構造の作製方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20210708BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20210708BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20210708BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20210708BHJP
C23C 16/56 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
H01L21/316 M
H01L29/78 301G
H01L29/78 301Y
C23C16/40
C23C16/56
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-148890(P2019-148890)
(22)【出願日】2019年8月14日
(62)【分割の表示】特願2014-236852(P2014-236852)の分割
【原出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2020-4985(P2020-4985A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/910383
(32)【優先日】2013年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518196871
【氏名又は名称】ユージェヌス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】カング・ソング
(72)【発明者】
【氏名】ミングハング・リー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ルー
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0091428(US,A1)
【文献】
特開2001−355070(JP,A)
【文献】
特開2012−069871(JP,A)
【文献】
特表2011−525699(JP,A)
【文献】
特開2008−112956(JP,A)
【文献】
特開平11−214127(JP,A)
【文献】
特開2013−058559(JP,A)
【文献】
特開2011−204751(JP,A)
【文献】
特開2007−266438(JP,A)
【文献】
特開2008−258623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02、21/205、21/31−21/32、
21/336、21/365、21/469−21/475、
21/8229、21/8242−21/8247、
21/86、27/10−27/11597、27/28、
29/76、29/772−29/78、51/05、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層誘電性複合体構造を形成する方法であって、
1又は複数のリーク遮蔽誘電体層を、1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層と交互に基板上に堆積することを含み、
前記1又は複数のリーク遮蔽誘電体層を堆積することが、ドーピングされていないSiO2及びドーピングされていないAl2O3のうち1つ又は双方を堆積することを含み、
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層を堆積することが、前記基板をベース金属プリカーサと、オキシダントと、ドーパントプリカーサとに交互に曝すことを含むことによって、前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層が、ドーパントをドーピングされたベース誘電体層を有することとなり、
前記積層誘電性複合体構造が、ドーパントをドーピングされていないベース誘電体層に比べて、同等か又はより低いリーケージ電流、及び、同等か又はより高い破壊電圧を有する、方法。
【請求項2】
前記ドーパントプリカーサが、ランタナイド、III(B)族元素、IV(B)族元素及びV(B)族元素からなる群から選択されたドーパントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドーパントをドーピングされたベース誘電体層は、ドーパントをドーピングされていないベース誘電体層に比べてより高い誘電率を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層が、ドーピングされたHfO2及びドーピングされたZrO2のうち1つ又は双方を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層を堆積することが、ベース誘電体層を堆積することと、ドーピングされた誘電体層を堆積することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ベース誘電体層を堆積することが、前記基板を前記ベース金属プリカーサに曝した後に前記基板を前記オキシダントに曝すことを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ドーピングされた誘電体層を堆積することが、前記基板を前記オキシダントに曝した後に前記基板を前記ドーパントプリカーサに曝し、その後、前記基板を第2のオキシダントに曝すことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層を堆積することが、金属アロイ層を堆積し、そして続いて前記金属アロイ層を酸化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属アロイ層を堆積することが、前記基板を前記ベース金属プリカーサと前記ドーパントプリカーサとに順次曝すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層を堆積することが、前記基板を前記ベース金属プリカーサと前記ドーパントプリカーサとに順次曝した後に、前記基板を前記オキシダントに曝すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
積層誘電性複合体構造を形成する方法であって、
1又は複数のリーク遮蔽誘電体層を、1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層と交互に基板上に堆積することを含み、
前記1又は複数のリーク遮蔽誘電体層を堆積することが、ドーピングされていないSiO2及びドーピングされていないAl2O3のうち1つ又は双方を堆積することを含み、
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層を堆積することが、前記基板をベース金属プリカーサとドーパントプリカーサとに同時に曝すことにより金属アロイ層を堆積した後に、前記金属アロイ層を酸化することによって、前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層が、ドーパントをドーピングされたベース誘電体層を有することとなり、
前記積層誘電性複合体構造が、ドーパントをドーピングされていないベース誘電体層に比べて、同等か又はより低いリーケージ電流、及び、同等か又はより高い破壊電圧を有する、方法。
【請求項12】
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層を堆積することが、前記基板を前記ベース金属プリカーサと前記ドーパントプリカーサとに同時に曝した後に、オキシダントに曝すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法がさらに、アニーリングすることにより前記積層誘電性複合体構造の誘電率を高めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法がさらに、アニーリングすることにより前記積層誘電性複合体構造を立方体相又は正四面体相へと結晶学的に安定とすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
半導体構造において、
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された積層誘電性複合体構造とを有し、前記積層誘電性複合体構造は、交互になっている1又は複数のリーク遮蔽誘電体層と1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体層とを具備し、
前記1又は複数のリーク遮蔽誘電体層が、ドーピングされていないSiO2及びドーピングされていないAl2O3のうち1つ又は双方を含み、かつ、
前記1又は複数のドーピングされた高誘電率誘電体がベース誘電体層を有し、前記ベース誘電体層は、ドーパントをドーピングされていないベース誘電体層に比べてより高い誘電率を有するようにドーパントをドーピングされており、
前記積層誘電性複合体構造が、ドーパントをドーピングされていないベース誘電体層に比べて、同等か又はより低いリーケージ電流、及び、同等か又はより高い破壊電圧を有する、半導体構造。
【請求項16】
前記積層誘電性複合体構造が、ドーパントを含まずかつ前記リーク遮蔽誘電体層を有しないベース誘電体層に比べてより高い誘電率と、より低いリーケージ電流とを有する、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項17】
前記ベース誘電体層が、HfO2及びZrO2のうち1つ又は双方を含む、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項18】
前記ドーパントが、ランタナイド、III(B)族元素、IV(B)族元素及びV(B)族元素からなる群から選択された1又は複数の金属元素を含む、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項19】
前記ドーピングされた高誘電率誘電体層の1つが、前記積層誘電性複合体構造の中央層である、請求項15に記載の半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のための誘電性複合体構造を作製する方法及びシステムに関するものであり、その誘電性複合体構造は、大きく効果的な誘電率を実現する一方、低リーク電流、高破壊電圧、及び良好なステップカバレッジ(段差被覆性)等の望ましい特性を保持するものである。
【背景技術】
【0002】
30nmノードを超える素子のための半導体製造プロセスにおいては、高キャパシタンス、低リーク電流、及び低電力消費の性能要求を満たすために、高い誘電率(いわゆる「High−k」)材料が必要とされる。高誘電率の膜は、他の用途の中でも、典型的にダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)素子内のキャパシタ誘電体、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)内のゲート絶縁体層、又は、フラッシュメモリ回路内のトンネルゲート誘電体を形成するために用いられる。
【0003】
酸化ハフニウム(HfO
2)及び酸化ジルコニウム(ZrO
2)は、高誘電率材料として広く用いられており、SiO
2及びAl
2O
3の誘電率よりも高い誘電率、広いバンドギャップ、高い屈折率及び良好な熱安定性をもたらす。酸化物材料の誘電率をさらに高めるために、HfO
2及びZrO
2中へのドーピング材料の注入が研究されたが、いかにして誘電率を高めつつ低リーク電流と高破壊電圧を維持するかという課題が残されている。
【0004】
特許文献1には、酸化セリウム及び酸化アルミニウムを含む誘電体を有する装置を形成する方法が記載されている。特許文献2には、結晶学的に安定なドープされたハフニウム・ジルコニウムをベースとする膜を形成する方法が記載されている。特許文献3にはドープされたZrO
2キャパシタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7754618号明細書
【特許文献2】米国特許第7833913号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0127629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、大きい誘電率を実現する一方、低リーク電流、高破壊電圧、及び良好なステップカバレッジ等の望ましい特性を保持する誘電性複合体構造を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、交互に配置された1又は複数のリーク遮蔽層(Leakage Blocking Layer(s):LBL)と、1又は複数の、ラミネート誘電体層(Laminate Dielectric Layer(s):LDL)、アロイ誘電体層(Alloy Dielectric Layer(s):ADL)又は共堆積誘電体層(Co-deposit Dielectric Layer(s):CDL)とを有する。各LDL、ADL、及びCDLは、それぞれのベース誘電体層(BDL)に組み入れられたドーパントを含む。LDLは、ラミネート法を用いてBDLにドーピング層を組み入れることにより形成され、ADLは、合金化法を用いてBDLにドーパントを組み入れることにより形成され、そしてCDLは、共堆積法を用いてBDLベース材料とドーパントを共にパルスすることにより形成される。LDL/ADL/CDL層は、同程度又は異なる厚さ及びドーピング濃度とすることができ、その厚さは0.1〜100nmの範囲内である。ドーパント又はドーピング層は、0.5〜200nmのいずれの厚さでBDLに組み入れてもよく、かつ、0.5〜50%の範囲のいずれのドーピング濃度を用いてもよい。LDL/ADL/CDL及びLBLの層の数は、リーク電流を調整すると同時になお誘電性複合体構造の誘電率を維持するように選択することができる。ベース誘電体材料は、ZrO
2、HfO
2、及びZrO
2/HfO
2混合物のいずれの複合体を含んでもよい。ドーパントは、ランタナイド金属;III(B)族、IV(B)族及びV(B)族の金属;これらの金属の酸化物を含んでもよい。リーク遮蔽材料は、SiO
2及びAl
2O
3を含んでもよい。
【0008】
本発明の実施形態による、BDL、LDL、ADL、CDL及びLBL材料を含む誘電性複合体構造を作製するための原子層
堆積(ALD)プロセスは、ドープ誘電体の堆積(LDL、ADL又はCDLのプロセスを含む)と、リーク遮蔽誘電体の堆積との組合せを含むことができる。組み合わされたプロセスは、必要なドーピング濃度、積層厚さ、及び電気的性能をもった膜を形成するように設計することができる。BDLの厚さは、ベース誘電体のプロセスのサイクル数により制御することができる。ドープ誘電体層(LDL、ADL及びCDL)の厚さは、ドープ誘電体層のプロセスのサイクル数により制御することができる。LBLの厚さは、リーク遮蔽層のプロセスのサイクル数により制御することができる。各ALDプロセスのサイクルにおいて、(ベース金属プリカーサ、ドーパントプリカーサ及び遮蔽プリカーサのための)金属パルスの時間及び流量は制御可能である。各ALDプロセスにおいて、オキシダントパルスの時間及び流量は制御可能である。ALDプロセス中にこれらの材料を形成するための堆積温度は、100℃〜500℃(境界値を含む)としてよい。所望する膜特性を得るために、堆積後の誘電性複合体構造をアニーリングする後処理ステップを用いてもよい。
【0009】
酸化物BDLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、ベース金属プリカーサがアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にALD装置のチャンバ内にパルス導入される。基板表面上でのベース金属プリカーサの自己限界堆積プロセスが完了した後、過剰なベース金属プリカーサはパージされて放出され、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)がチャンバ内にパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされて放出される。これらのステップは、望ましいBDL厚さが得られるまで繰り返してもよい。
【0010】
ドープ誘電体LDLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、ラミネート法を用いてドーピング層がBDLに組み入れられる。ドーピング層とBDLの厚さの比は、望ましいドーピング濃度が得られる0〜50%の範囲である。ドーピング層をBDLにラミネートするシーケンスは、最適な電気的性能をもった望ましいドーピング層を実現するように選択される。LDL形成プロセスのシーケンスは、ALD装置のチャンバ内にベース金属プリカーサをアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にパルス導入することを含む。基板表面上でのベース金属プリカーサの自己限界堆積プロセスが完了した後、過剰なベース金属プリカーサはパージされて放出され、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)がチャンバ内にパルス導入される。その後、オキシダントがパージされて放出された後、ドーパントプリカーサがアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にチャンバ内にパルス導入される。基板表面上でのドーパントプリカーサの自己限界堆積プロセスが完了した後、過剰なドーパントプリカーサはパージされて放出され、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)がチャンバ内にパルス導入され、そして、オキシダントがパージされて放出される。これらのステップは、望ましいLDL厚さが得られるまで繰り返してもよい。
【0011】
ドープ誘電体ADLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、ADLは、チャンバ内へのオキシダントの射出前に、ベース金属及びそれに続くドーパントのパルス導入(1回又は複数回)を行うことにより形成される。ドープ層とBDLの厚さの比は、望ましいドーピング濃度が得られる0〜50%の範囲である。ドーピング濃度は、各ALDサイクル中に射出されるドーパントの量により制御することもできる。ドーパントをBDL中に合金化するシーケンスは、最適な電気的性能をもったドープ層を実現するように選択される。ALD層形成のためのそのようなプロセスの一例は、ALD装置のチャンバ内にベース金属プリカーサをアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にパルス導入することを含む。基板表面上でのベース金属プリカーサの自己限界堆積プロセスが完了した後、過剰なベース金属プリカーサはパージされて放出された後、ドーパントプリカーサがアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にチャンバ内にパルス導入される。堆積後、過剰なドーパントプリカーサはパージされて放出され、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)がチャンバ内にパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいADL厚さが得られるまで繰り返してもよい。
【0012】
ドープ誘電体CDLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、CDLは、チャンバ内へのオキシダントの射出前に、ベース金属及びドーパントを同時に射出することにより形成される。ドーピング濃度は、パルスに用いられるベース金属プリカーサとドーパントプリカーサの比を変えることにより制御可能である。ドーピング濃度は、0〜50%の範囲の、共堆積する層とBDLとの厚さの比により制御してもよい。ベース金属/ドーパントをBDL中に共堆積させるシーケンスは、最適な電気的性能をもった望ましいドープ層が得られるように選択される。CDLを形成するためのプロセスシーケンスの一例は、ベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサをアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にチャンバ内にパルス導入することを含む。基板表面上での混合したベース金属プリカーサとドーパントプリカーサの自己限界堆積プロセスが完了した後、過剰なベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサがパージされて放出され、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)がチャンバ内にパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいCDL厚さが得られるまで繰り返してもよい。
【0013】
酸化物LBLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、リーク遮蔽プリカーサが、アルゴン(又は他の)搬送ガスと共にチャンバ内にパルス導入される。基板表面上でリーク遮蔽プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なリーク遮蔽プリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にオキシダント(オゾン、O
2又はH
2O)がパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいLBLの厚さが得られるまで繰り返してよい。
【0014】
本発明の誘電性複合体構造は、正四面体相及び/又は立方体相で結晶学的に安定となることができる。これらは、後処理アニーリングによってより高い誘電率を有する。この構造は、アルゴン、N
2若しくはフォーミングガスN
2/H
2等の不活性ガス下において、又は他の環境下においてアニーリングすることができる。この構造は、300〜900℃(境界値を含む)にてアニーリングすることができる。この構造はまた、赤外線、可視光線又は紫外線による照射を行うことができ、かつ/又は、電子及びイオンの照射による処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態により構成された誘電性複合体構造の一例を示す図である。
【
図2】
図2の各グラフは、幾つかの設計を基に本発明により作製し300℃〜900℃の間の温度でアニーリングした誘電性複合体構造において、電気的性能が向上した例を示している。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による誘電性複合体構造の作製のためのプロセスの一例を示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による誘電性複合体構造を作製するための原子層堆積(ALD)装置の一例を示した図である。
【
図5】
図5は、
図4とは別のALD装置の例を示した図である。
【
図6】
図6は、本発明により構成されたALD装置と共に用いるに適したプロセッサベースのコントローラの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を以下に詳細に説明する。
【0017】
本明細書では、半導体素子のための誘電性複合体構造を作製する方法及びシステムを開示しており、その誘電性複合体構造は、効果の大きい誘電率を実現する一方、低リーク電流、高破壊電圧及び良好なステップカバレッジ(段差被覆性)等の望ましい特性を保持するものである。
【0018】
多様な実施形態において、本発明は、汎用的なHfO
2及びZrO
2膜よりも効果の大きい誘電率を有しかつ低リーク電流、高破壊電圧及び良好なステップカバレッジ等の他の望ましい特性を呈する誘電性複合体構造の機構、並びに、斯かる誘電性複合体構造を作製するためのプロセスフロー及び機器設計に関するものである。本発明の誘電性複合体構造は、キャパシタンスを高める材料からなる1つの薄層と、リーク電流を抑制する材料からなる別の薄層とを交互に又は繰り返し積層したものを含む。この誘電性複合体構造を作製するための原子層堆積(ALD)法及び装置について、多様なラミネート、合金化、及び共堆積の手法を用いた選択されたドーピング層及びリーク遮蔽層と共に説明する。本発明は、多数の分野において用途を見出すことができる。例えば、DRAM及びフラッシュメモリにおける、並びに他の市販の半導体素子における相補型金属酸化物半導体(CMOS)ゲート積層体の製造である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態により構成された誘電性複合体構造10の一例を示す図である。図示のように、本発明により形成された誘電性複合体構造は、キャパシタンスを高めるためのドープ誘電体層(LDL、ADL又はCDLと示されている)と、リーク電流を抑制若しくは遮蔽するための別の層(LBL層と示されている)との交互の又は繰り返しの積層体を含む。この誘電性複合体構造10は、高誘電率(kがHfO
2又はZrO
2のそれよりも大きい)でありながら、なお低い電気的リークを維持する。
【0020】
多様な実施形態において、誘電性複合体構造10は、ラミネート、合金化又は共堆積の手法を用いて、最適なLDL/ADL/CDLとLBLの組合せ積層体を構築することにより形成される。LDL/ADL/CDL材料については、いずれのADLプロセスサイクル中においても0.5〜200nmのいずれかの厚さでドーパント又はドーピング層をベース誘電体層(BDL)に組み入れることができる。LBL材料については、層の厚さを0.1〜100nmの範囲としてよい。本発明による誘電性複合体構造10は、
図1に示したLDL/ADL/CDL(2)に対して対称的又は非対称的のいずれであってもよい。
【0021】
ベース誘電体層(BDL)は、精確に制御された層厚にてALDプロセスにより形成できる。その後、望ましい電気的性能と精確に制御されたドーピング濃度をもつ選択されたドーパントをBDL材料に組み入れるALDプロセスにより、ドープ誘電体層を形成できる。次々に適用される複数の膜を用いて形成された、BDLとドーピング層とをもつドープ誘電体層を、ここでは「ラミネート誘電体層(LDL)」と称することとする。交互のベース金属/ドーパントのパルス技術を用いて形成された、BDLとドーパントとをもつドープ誘電体層を、ここでは「アロイ誘電体層(ADL)」と称することとする。共堆積プロセスを用いて形成された、BDLとドーパントとをもつドープ誘電体層を、ここでは「共堆積誘電体層(CDL)」と称することとする。リーク遮蔽層(LBL)は、同様に、精確に制御された層厚にてALDプロセスにより形成できる。
【0022】
本発明により作製された誘電性複合体構造は、限定しないが以下の望ましい電気的特性をもった高誘電率のドープされた誘電体材料を提供する。
・HfO
2又はZrO
2の単独の誘電率よりも大きい誘電率
・HfO
2又はZrO
2の単独のリーク電流と同等か又はより低いリーク電流
・HfO
2又はZrO
2の単独の破壊電圧と同等か又はより高い破壊電圧
・HfO
2又はZrO
2の単独のステップカバレッジと同等か又はより良好なステップカバレッジ
【0023】
ドープ誘電体層(LDL/ADL/CDL)とリーク遮蔽層(LBL)の積層体の最適設計により作製された誘電性複合体構造は、典型的な半導体プロセス温度にて、より高い誘電率を有する正四面体及び立方体の形成を促進する。300℃〜900℃の後処理アニーリングにより、誘電率をさらに高めることができる。
図2の各グラフは、幾つかの設計を基に本発明により作製し300℃〜900℃の間の温度でアニーリングした誘電性複合体構造において、電気的性能が向上した例を示している。
【0024】
グラフAに示すように、本発明の誘電性複合体構造では、HfO
2又はZrO
2等のベース誘電体材料と比べて、誘電率において10〜100%の向上が実現される。グラフBに示すように、本発明の誘電性複合体構造では、HfO
2又はZrO
2等のベース誘電体材料と比べて、リーク電流密度において50%の減少が実現される。グラフCに示すように、本発明の誘電性複合体構造では、HfO
2又はZrO
2等のベース誘電体材料と比べて、破壊電圧(Vbd)において70%の向上が実現される。グラフDに示すように、本発明の誘電性複合体構造では、80%を超えるステップカバレッジを残すことが可能である。
【0025】
図3は、本発明の実施形態による誘電性複合体構造の作製のためのプロセス20の一例を示した図である。このプロセスは、特に、ベース誘電体層(BDL)と、ラミネート、合金化及び共堆積手法を用いるドープ誘電体層(LDL/ADL/CDL)と、リーク遮蔽層(LBL)とを形成するためのALDプロセスである。上述した通り、誘電性複合体構造の作製は、多様なラミネート、合金化又は共堆積の手法を用いた望ましい積層体の形成により実現される。LDL/ADL/CDLとLBLの積層体の最適設計は、望ましい電気的特性を生じる。よって、プロセス20は、BDL形成プロセス22を用いたベース誘電体層(BDL)の形成と、ドープ誘電体層形成プロセス24を用いたドープ誘電体層(LDL/ADL/CDL)の形成と、リーク遮蔽層形成プロセス26を用いたリーク遮蔽層(LBL)の形成とからなる一連のサブプロセスを含む。
【0026】
BDL形成プロセス22は、ベース金属プリカーサのパルス及びそれに続くベース金属プリカーサのパージと、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)のパルス及びそれに続くオキシダントのパージとからなる繰り返しを含む。ドープ誘電体形成プロセス24は、ドーパントプリカーサのパルス及びそれに続くドーパントプリカーサのパージと、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)のパルス及びそれに続くオキシダントのパージとからなる繰り返しを含む。LBL形成プロセス26は、遮蔽プリカーサのパルス及びそれに続く遮蔽プリカーサのパージと、オキシダント(例えばオゾン、O
2、H
2O)のパルス及びそれに続くオキシダントのパージとからなる繰り返しを含む。
図3に示すように、誘電性複合体の積層体の形成は、ドープ誘電体層(例えばループBにより表される)とリーク遮蔽層(例えばループCにより表される)を次々に堆積させる(例えばループDにより表される)ことにより得られる。ベース誘電体層(A)、ドープ誘電体層(B)及びリーク遮蔽層(C)のALDプロセスサイクルの数は、誘電性複合体構造における望ましいドーピング濃度、積層厚さ及び電気的性能要求によって決まる。最適プロセス繰り返し性は、正確なベース誘電体厚さの制御、正確なドーパントの濃度及び厚さの制御、並びに正確な遮蔽酸化物の厚さの制御により得ることができる。プロセス性能は、望ましいプロセス堆積速度、必要な基板内プロセス厚さ均一性、必要なプロセス欠陥制限及び好適な高プロセススループットにより最適化することができる。
【0027】
さらに本発明は、誘電性複合構造を作製するための原子層堆積(ALD)装置に関する。
図4は、BDL、LDL、ADL、CDL及びLBLの各材料を作製するための、そのようなALDシステム100の一例を示した図である。この構成は、複数のプリカーサ供給ライン、複数のオキシダント供給ライン、複数の不活性ガスパージライン、ガス分散シャワーヘッド、及び、基板用の高温サセプタを含む。図示の通り、ベース金属プリカーサ、ドーパントプリカーサ、遮蔽プリカーサ、オキシダント及びパージガスの供給は、供給ライン上のバルブ(V)又は他のフローコントロール装置を介してコントローラ200により制御される。詳細は後述するが、コントローラ200は、
図3で上述したALDプロセスを行うためのプロセッサ実行可能な命令を記憶しているプロセッサベースのコントローラである。
図5に示す別のALDシステム150は、対応する複数のサセプタを具備する複数のシャワーヘッドに接続された1つのプリカーサ気体供給システムを備えている。
【0028】
図示の通り、ALD装置の幾つかの実施形態は、ドープ材料の大がかりな組合せを作製するために最高5つまでの異なるプリカーサの供給が可能である。所望する誘電性複合体構造の作製中に最高3つまでの異なるドーパントをBDLに組み入れることができる。そして、それらのプリカーサは、液体、又は、適切な溶媒中に溶解させた固体とすることができる。ALD装置はさらに、多様な材料プロセス及び特性最適化のために、最高3つまでの異なるオキシダントの供給が可能である。幾つかの実施形態においては、プロセスチャンバの容積が調整可能であることにより、容積が一定の場合に比べて、ALDプロセス中に分圧とプリカーサ添加濃度をより高度に制御することが可能となる。好適には、プリカーサ、オキシダント及びパージガスの流れを均一に分布させるノズルパターンを備えたシャワーヘッドが用いられる。基板を加熱するための高温サセプタは、典型的な半導体プロセス温度において安定な制御が可能である。
【0029】
上述した通り、本明細書に記載した1又は複数の方法又はプロセスは、多様なコンピュータベースの装置(例えばコントローラ200)を用いて実施可能としてもよい。このような装置は、(プログラムを用いて)上述した動作を実行することができ、かつその場合に適用可能な、情報を適切に伝達するべくディスプレイ用の情報を処理することができるいずれの電子デバイスを具備してもよい。このような電子デバイスにおいて、プロセッサは、アプリケーションの実行及び周辺装置(バルブ、マスフローコントローラ及び類似の機器等)の制御などの、電子デバイスの全ての機能を制御してもよい。プロセッサは、オペレーティング命令を記憶しかつオペレーティング命令の実行を支援する短期記憶を用いてもよい(例えば、演算等の一時的ストレージ)。プロセッサはまた、長期の不揮発性の保管を必要とする命令、ファイル及び他のデータを記憶しかつ読むための非一時的ストレージを用いてもよい。
【0030】
図6は、本発明により構成されたALD装置と共に用いるに適したプロセッサベースのコントローラ200の一例を示す図である。コントローラ200は、情報伝送のためのバス208又は他の伝送機構を介して互いに情報伝送可能に接続された主メモリ201及びプロセッサ202を有する。主メモリ201は、情報やプロセッサ202により実行される命令224を記憶するためのものであり、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)や他の動的ストレージ装置などのいずれの形式のメモリでよい。主メモリ201はまた、プロセッサ202により実行される命令の実行中に、一時的変数や他の中間的な情報を記憶するために用いられる。さらにコントローラ200は、プロセッサ202のための静的情報及び命令を記憶するために、バス208に接続されたリードオンリメモリ(ROM)や他の静的ストレージ装置206を有する。ストレージ装置216は、機械読み取り可能なストレージ媒体(ハードディスク等)222を有しており、情報及び命令224を記憶するためにバス208に接続されている。
【0031】
コントローラ200はまた、ユーザに対して情報を表示するためのディスプレイ210を有していてもよい。入力装置212は、英数字及び他のキーを具備しており、プロセッサ202に対して情報及びコマンド選択を伝達するためにバス208に接続されている。別のタイプのユーザ入力装置は、プロセッサ202に対して情報及びコマンド選択を伝達しかつディスプレイ210上のカーソルの動きを制御するためのマウス、トラックボール等のカーソルコントローラ214であり、特にその場合はグラフィカル・ユーザ・インターフェースが用いられる。
【0032】
本発明の実施形態において、プロセッサ202は、主メモリ201に格納された一連の命令を実行する。このような命令は、例えばストレージ装置216等の別のコンピュータ読み取り可能な媒体から主メモリに読み込んでもよい。主メモリに格納された一連の命令の実行により、プロセッサ202は、多様なALDによる堆積シーケンスを行うための上述のプロセスステップを実行する。別の実施形態においては、本発明を実施するために、コンピュータソフトウェアによる命令に替えて、又は組み合わせてハードワイヤード回路が用いられる。このように、本発明の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアのいかなる特定の組合せにも限定されるものではない。
【0033】
コントローラ200はまた、バス208に接続された通信インターフェース220を有していてもよい。通信インターフェース220は、ネットワーク226を介したコントローラ200のための双方向データ通信チャネルを備えている。さらに、警告や他の状態の信号発生のためにアラームやブザー等のシグナル生成装置218を有していてもよい。
【0034】
このように、一実施形態において本発明は、LDL、ADL及び/又はCDLの層と、LBLの層とからなる複数の層を含む誘電性複合体構造を提供する。この形態においては、LDL/ADL/CDL層は、各プロセスのループ(
図1のX又はY)において、同程度又は異なる厚さとドーピング濃度を有することができ、その厚さは0.1〜100nmの範囲内である。ドーパント又はドーピング層は、0.5〜200nmの範囲のいずれかの厚さによりBDL中に組み入れることができ、かつ、0.5〜50%の範囲のいずれかのドーピング濃度を用いることができる。ドープ誘電体層は、各プロセスのループにおいて、LDL、ADL又はCDL技術のうちのいずれか1つ又は複数を用いることにより形成することができる。
【0035】
図1に示した例においては、LDL/ADL/CDL層(2)は、中央の誘電体層であり、誘電性複合体構造の誘電率に対して最も大きく影響する。LDL/ADL/CDL層(1)及びLBL(b)のループ(例えばXループ)の数は、リーク電流を調整するように選択され、なお誘電性複合体構造の誘電率を維持するようにする。LDL/ADL/CDL層(3)及びLBL(c)のループ(例えばYループ)の数は、リーク電流を調整するように選択され、なお誘電性複合体構造の誘電率を維持するようにする。LBL(a)
、(b)、(c)及び(d)は、同程度又は異なる厚さであってもよく、0.1〜100nmの範囲の厚さとする。LBL(b)及び(c)は、各X又はYループにおいて、同程度又は異なる厚さであってもよく、そして、LBL(a)及び(d)は、同程度又は異なる厚さであってもよい。
【0036】
本発明の誘電性複合体構造は、ベース誘電体材料と、ドーパントと、リーク遮蔽材料とを含めることができる。その場合、ベース誘電体材料は、ZrO
2、HfO
2又はZrO
2/HfO
2混合物のいずれかの複合体でもよい。ドーパントは、ランタナイド金属か、III(B)族、IV(B)族及びV(B)族の金属か、又は、これらの金属の酸化物でもよい。リーク遮蔽材料は、SiO
2及び/又はAl
2O
3でもよい。
【0037】
幾つかの実施形態においては、本発明の誘電性複合体構造は、ドープ誘電体層(LDL、ADL及びCDL)を含めることができる。その場合、LDLは、ラミネート法を用いてベース誘電体層(BDL)にドーピング層を組み入れることにより形成され、ADLは、合金化法を用いてBDLにドーパントを組み入れることにより形成され、CDLは、共堆積法を用いてベース材料とドーパントを共にパルスすることにより形成される。
【0038】
さらに別の実施形態では、誘電性複合体構造は、ドープ誘電体層(例えば
図1のLDL/ADL/CDL(1)、(2)及び(3))を含めることができる。その場合、全体構造に亘って単一のドーピング法(LDL、ADL又はCDL)を用いてもよく、各Xループ及び/又はYループにおいていずれか2つ又は3つのドーピング方法(LDL+ADL、又は、LDL+CDL、又は、LDL+ADL+CDL等)の組合せを適用してもよく、且つ/又は、各Xループ又は各Yループにおいてドーピング法の組合せが同じであっても異なっていてもよい。
【0039】
本発明の他の実施形態においては、誘電性複合体構造は、その中央層、例えば
図1のLDL/ADL/CDL層(2)等に対して対称であっても非対称であってもよい。その場合、XループのLDL/ADL/CDL層(1)及びLBL層(b)の数を0〜500個とすることができ、YループのLDL/ADL/CDL層(3)及びLBL層(c)の数を0〜500個とすることができ、XループとYループの数が同じでも異なっていてもよく、かつ/又は、LBL層(a)とLBL層(d)の数が同じでも異なっていてもよい。
【0040】
本発明の実施形態において、BDL、LDL、ADL、CDL及びLBL材料を含む誘電性複合体構造を作製するためのALDプロセスは、ドープ誘電体層の堆積(
図3のループB)(LDL、ADL又はCDLプロセスを含む)と、リーク遮蔽層の堆積(
図3のループC)との組合せ(
図3のループD)を含めてもよい。組み合わされたプロセス(ループD)は、望ましいドーピング濃度、積層厚さ及び電気的性能をもった膜を形成するように設計することができる。BDLの厚さは、ベース誘電体層のプロセス(A)のサイクル数により制御することができる。ドープ誘電体層(LDL、ADL及びCDL)の厚さは、ドープ誘電体層のプロセス(B)のサイクル数により制御することができる。LBLの厚さは、リーク遮蔽層のプロセス(C)のサイクル数により制御することができる。各ALDプロセスのサイクルにおいて、(ベース、ドーピング及び遮蔽の各プリカーサについての)金属パルス時間と流量を制御可能である。各ALDプロセスのサイクルにおいて、(オゾン、O
2及びH
2Oについての)オキシダントパルス時間及び流量を制御可能である。ALDプロセス中にこれらの材料を形成するための堆積温度は、100℃〜500℃(境界値を含む)とすることができる。目的の膜特性を得るべく積層物を「アニーリング」するための、堆積の後処理のステップを用いてもよい。
【0041】
酸化物BDLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、ベース金属プリカーサが、アルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にALD装置のチャンバにパルス導入される。基板表面上でベース金属プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なベース金属プリカーサはパージされて放出される。これらのステップは、望ましいBDLの厚さが得られるまで繰り返される。
【0042】
ドープ誘電体LDLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、ラミネート法を用いてベース誘電体層(BDL)中にドーピング層が組み入れられる。望ましいドーピング濃度を得るために、ドーピング層とBDLの厚さの比は0〜50%の範囲とする。BDL中へのドーピング層のラミネートシーケンスは、最適な電気的性能をもつ望ましいドーピング層を実現するように選択される。LDL形成のためのプロセスシーケンスは、ベース金属プリカーサをアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にALD装置のチャンバにパルス導入することを含む。基板表面上でベース金属プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なベース金属プリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にオキシダント(オゾン、O
2又はH
2O)がパルス導入される。その後、オキシダントがパージされて放出され、ドーパントプリカーサがアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にチャンバ内にパルス導入される。基板表面上でドーパントプリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なドーパントプリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にオキシダント(オゾン、O
2又はH
2O)がパルス導入され、その後、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいLDLの厚さが得られるまで繰り返してよい。
【0043】
ドープ誘電体ADLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、ADLは、チャンバ内にオキシダントを射出する前に、ベース金属及びそれに続くドーパントをパルスする(1回又は複数回)ことにより形成される。望ましいドーピング濃度を得るために、ドープ層とBDLの厚さの比は0〜50%の範囲とする。ドーピング濃度は、各ALDサイクル中に射出されるドーパントの量によっても制御することができる。BDL中へのドーパントの合金化シーケンスは、最適な電気的性能をもつ望ましいドープ層を実現するように選択される。ADL形成のためのプロセスシーケンスの一例では、ベース金属プリカーサをアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にALD装置のチャンバにパルス導入することを含む。基板表面上でベース金属プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なベース金属プリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にドーパントプリカーサが、アルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にパルス導入される。堆積後、過剰なドーパントプリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にオキシダント(オゾン、O
2又はH
2O)がパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいADLの厚さが得られるまで繰り返してよい。
【0044】
ドープ誘電体CDLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、CDLは、チャンバ内にオキシダントを射出する前に、ベース金属とドーパントを同時に射出することにより形成される。ドーピング濃度は、パルスに用いるベース金属プリカーサとドーパントプリカーサの比を変えることで制御可能である。ドーピング濃度は、共堆積層とBDLの厚さの比を0〜50%の範囲で変えることによっても制御可能である。BDL中への金属/ドーパントの共堆積シーケンスは、最適な電気的性能をもつ望ましいドープ層を実現するように選択される。CDL形成のためのプロセスシーケンスの一例では、ベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサをアルゴン(又は他の中性の)搬送ガスと共にALD装置のチャンバにパルス導入することを含む。基板表面上での混合したベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にオキシダント(オゾン、O
2又はH
2O)がパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいCDLの厚さが得られるまで繰り返してよい。
【0045】
酸化物LBLを作製するためのALDプロセスフローの一例では、リーク遮蔽プリカーサが、アルゴン(又は他の)搬送ガスと共にチャンバ内にパルス導入される。基板表面上でリーク遮蔽プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰なリーク遮蔽プリカーサはパージされて放出され、そしてチャンバ内にオキシダント(オゾン、O
2又はH
2O)がパルス導入される。最後に、オキシダントがパージされてチャンバから放出される。これらのステップは、望ましいLBLの厚さが得られるまで繰り返してよい。
【0046】
本発明の誘電性複合体構造は、正四面体相及び/又は立方体相で結晶学的に安定となることができる。これらは、後処理アニーリングによってより高い誘電率を有する。この構造は、アルゴン、N
2若しくはフォーミングガスN
2/H
2等の不活性ガス下において、又は他の環境下においてアニーリングすることができる。この構造は、300〜900℃(境界値を含む)にてアニーリングすることができる。この構造はまた、赤外線、可視光線又は紫外線による照射を行うことができ、かつ/又は、電子及びイオンの照射による処理を行うことができる。
【0047】
ALD技術を用いてBDL、LDL、ADL、CDL及びLBLの材料を含む誘電性複合体構造を作製するために適した装置は、(例えば、適宜プログラムされたプロセッサベースのコントローラの制御下にある)プリカーサ蒸気供給システムと、プロセスチャンバとを備える。プロセスチャンバは、1又は複数の同一のリアクタチャンバを含んでもよく、各リアクタチャンバは、シャワーヘッドと、基板を支持するためのサセプタ(好適には加熱されている)とを有する。1つのマルチリアクタチャンバが、複数の同一のシャワーヘッドと、複数のサセプタと、複数のプロセス容積とを備えていてもよい。各リアクタは、高速パージングとALDサイクルの時間短縮のために、不活性ガスの動的な層流によって他のチャンバから隔絶されていてもよい。不活性ガスの層流は0.1L〜10Lの間としてもよい。
【0048】
プリカーサ蒸気供給システムは、オキシダント供給システムと同様にシャワーヘッドに接続されるが、オキシダント供給システムのガス供給ラインは、プリカーサ供給ラインから分離されている。プロセスガスパージング、プリカーサ蒸気搬送ガス、及びリアクタ隔絶ガス層流のため、多様な不活性ガスラインにより不活性ガスの供給を容易に行う。
【0049】
上述したようなALDシステムにおいては、シャワーヘッドは、2つの分離したガスフロー経路を有してもよく、1つはプリカーサ用であり、もう1つはオキシダント用である。シャワーヘッドは、プリカーサ、オキシダント、及び不活性ガスを均一に分散させるように設計されていることが好ましい。幾つかの例では、最適な堆積均一性を得るためにプリカーサ蒸気のフローを調整可能であり、例えば、約0.1〜10Lの間で調整可能である。オキシダントのフローもまた、最適な膜品質を得るために、約0.1〜10Lの間で調整可能としてもよい。シャワーヘッド温度は、100〜300℃(境界値を含む)の間で制御されることが好ましい。
【0050】
サセプタは、通常の半導体デバイスに必要な基板プロセス温度を100〜600℃の間で制御するために用いられる。操作において、基板はサセプタ上に載置され、基板とシャワーヘッドの間の距離を調整するためにサセプタが上下に移動させられる。
【0051】
幾つかの実施例においては、プリカーサ蒸気供給システムが、5つまでの異なるプリカーサ源を供給することができる。それらのプリカーサ源には、ベース金属プリカーサ、ドーパントプリカーサ及びリーク遮蔽プリカーサが含まれる。各プリカーサ源は、他のプリカーサ源とは独立して操作でき、かつ、各プリカーサ源は、1又は複数の他のプリカーサ源と同調して(例えばコントローラ200のプログラム制御により)操作できる。望ましい電気的性能をもつLDL、ADL及びCDL材料及び組み合わされた積層体を形成するために、豊富なプリカーサ源により3つのドーピング材料を同時にチャンバ内にパルス導入することができる。
【0052】
ALDシステムはまた、チャンバ内への蒸気供給のためにプリカーサ気化器を備えてもよい。プリカーサ気化器は、液体プリカーサ又は適宜の溶媒に溶解した固体プリカーサを、高濃度のプリカーサ蒸気に効率的に変換することができる。プリカーサ気化器は加熱され、その温度は100〜300℃(境界値を含む)の間で(プリカーサの蒸気圧に基づいて)調整することができる。気化したプリカーサ蒸気は、不活性搬送ガスを介してリアクタ内に搬送される。搬送ガスは、ほぼ0.1L〜10Lの間(境界値を含む)で流れる。プリカーサ蒸気をチャンバへ搬送するための蒸気供給ラインもまた、100〜300℃(境界値を含む)の間で加熱されることが好ましい。
【0053】
オキシダント供給システムは、例えばオゾン又は酸素であるオキシダントを、望ましい濃度でシャワーヘッドを通してリアクタ内に供給できるように構成される。オゾン濃度は、膜特性及び基板耐久性に対する要求に依存して選択され、例えば10〜500g/m3の間である。オゾン及び酸素の流量は、0.1〜50L(境界値を含む)としてよい。制御された温度におけるオキシダント、H
2O蒸気も、シャワーヘッドを通してリアクタ内に供給することができる。H
2O蒸気温度は、好適には、室温〜100度(境界値を含む)の間で制御することが好ましい。
【0054】
ALDシステムはまた、複数の不活性ガスラインを備えてもよい。不活性ガスは、リアクタ内にプリカーサ蒸気を搬送するために、ALDプロセス中の金属及びオキシダントのパージに用いられる。また、マルチリアクタチャンバの複数のリアクタの周囲に互いに隔絶するためのガス流のカーテンを形成するために用いられる。
【0055】
上述した内容は、添付の図面の参照符号を含み、それらの図面は詳細な説明の一部を構成する。それらの図面は、図示により、本発明を実施可能である具体的な実施形態を示している。これらの実施形態はまた、本明細書では「例」と称されている。このような例は、図示され又は記載されたものに付加される要素を含むことができる。しかしながら、発明者らはまた、図示され又は記載されたもののみを設けた例も意図している。さらに、発明者らは、図示され又は記載された特定の一例(又はその1若しくは複数の態様)又は他の例(又はそれらの1若しくは複数の態様)のいずれについても、図示され又は記載されたそれらの要素(又はそれらの1若しくは複数の態様)の組合せや並べ替えを用いた例も意図している。
【0056】
本明細書に記載された方法の例は、少なくとも部分的に機械又はコンピュータにより実施可能である。幾つかの例は、上記の例に記載した方法を実行するための電子デバイスを構成するように動作可能な命令をエンコードされたコンピュータ読み取り可能な媒体又は機械読み取りかのうな媒体を含むことができる。このような方法の実施には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コード等のコードを含むことができる。このようなコードは、多様な方法を実行するためのコンピュータ読み取り可能な命令を含むことができる。そのコードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。例えば、そのコードは、1又は複数の非一時的な、又は、不揮発性で実体のあるコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶することができ、そして、実行中又は他の時点(例えば、ストレージ装置間の転送中、等)で揮発性媒体にロードすることができる。限定しないが、これらの実体のあるコンピュータ読み取り可能な媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブルオプティカルディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード若しくはメモリスティック、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、又は他のソリッドステートデバイス(SSD)などである。
以下、本発明の構成をまとめて記載する。
(1) 基板と、前記基板の表面上に形成された誘電性複合体構造と、を有する半導体デバイスであって、前記誘電性複合体構造は、1又は複数のリーク遮蔽層(LBL)と、1又は複数の、ラミネート誘電体層(LDL)、アロイ誘電体層(ADL)又は共堆積誘電体層(CDL)とが交互に配置された構造を有し、かつ、前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体層(ADL)及び前記共堆積誘電体層(CDL)の各層は、それぞれベース誘電体層(BDL)に組み入れられたドーパントを含むことを特徴とする半導体デバイス。
(2) 前記リーク遮蔽層(LBL)と、前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体層(ADL)又は前記共堆積誘電体層(CDL)との各対における、該ラミネート誘電体層(LDL)、該アロイ誘電体層(ADL)及び該共堆積誘電体層(CDL)の各層の厚さ及びドーピング濃度が同じであるか又は異なっており、かつ、ドーピング層又はドーパントが、厚さ0.5〜200nmの前記ベース誘電体層(BDL)に対しドーピング濃度0.5〜50%で組み入れられることを特徴とする上記(1)の半導体デバイス。
(3) 前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体(ADL)層及び前記共堆積誘電体層(CDL)の各層の厚さが同じであるか又は異なっており、その厚さは0.1〜100nmの範囲内であることを特徴とする上記(2)の半導体デバイス。
(4) 前記誘電性複合体構造が、ベース誘電体材料、ドーパント及びリーク遮蔽材料を含み、かつ、前記ベース誘電体材料が、ZrO2と、HfO2と、ZrO2/HfO2混合物の複合体とからなる群のうちの1又は複数を含むことを特徴とする上記(1)の半導体デバイス。
(5) 前記ドーパントが、ランタナイド金属と、III(B)族、IV(B)族及びV(B)族の金属と、III(B)族、IV(B)族及びV(B)族の金属の酸化物とからなる群のうちの1又は複数を含むことを特徴とする上記(1)の半導体デバイス。
(6) 前記誘電性複合体構造のリーク遮蔽材料が、SiO2と、Al2O3とからなる群のうちの1又は複数を含むことを特徴とする上記(1)の半導体デバイス。
(7) 基板表面上に誘電性複合体構造を形成する方法であって、
1又は複数のリーク遮蔽層(LBL)と、1又は複数の、ラミネート誘電体層(LDL)、アロイ誘電体層(ADL)又は共堆積誘電体層(CDL)とが交互に配置されるように形成するステップを有し、かつ、
前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体層(ADL)及び前記共堆積誘電体層(CDL)の各層は、それぞれベース誘電体層(BDL)に組み入れられたドーパントを含み、
前記ラミネート誘電体層(LDL)は、ラミネート法を用いて前記ベース誘電体層(BDL)にドーピング層を組み入れることにより形成され、
前記アロイ誘電体層(ADL)は、合金化法を用いて前記ベース誘電体層(BDL)にドーパントを組み入れることにより形成され、
前記共堆積誘電体層(CDL)は、共堆積法を用いて前記ベース誘電体層(BDL)のベース材料とドーパントを共にパルスすることにより形成されることを特徴とする誘電性複合体構造の形成方法。
(8) 前記誘電性複合体構造における交互に配置された層群の全ての層群(X、Y)の形成において、単一のドーピング法が用いられることを特徴とする上記(7)の誘電性複合体構造の形成方法。
(9) 前記誘電性複合体構造における交互に配置された層群のうち1つの層群(X)の形成において、複数のドーピング法の組合せを用いることを特徴とする上記(7)の誘電性複合体構造の形成方法。
(10) 前記誘電性複合体構造における交互に配置された層群のうち1つの層群(X)と別の層群(Y)の形成において、複数のドーピング法の組合せが異なることを特徴とする上記(9)の誘電性複合体構造の形成方法。
(11) 前記誘電性複合体構造における交互に配置された層群が、中央に位置する前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体層(ADL)又は前記共堆積誘電体層(CDL)について対称であることを特徴とする上記(7)の誘電性複合体構造の形成方法。
(12) 前記誘電性複合体構造における交互に配置された層群が、中央に位置する前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体層(ADL)又は前記共堆積誘電体層(CDL)について非対称であることを特徴とする上記(7)の誘電性複合体構造の形成方法。
(13) 誘電性複合体構造を作製するための原子層堆積(ALD)プロセスであって、複数のリーク遮蔽層(LBL)と、1又は複数の、ラミネート誘電体層(LDL)、アロイ誘電体層(ADL)又は共堆積誘電体層(CDL)とが交互に配置するように形成するステップを含み、かつ、前記ラミネート誘電体層(LDL)、前記アロイ誘電体層(ADL)及び前記共堆積誘電体層(CDL)は、ベース誘電体層(BDL)に組み入れられたドーパントを含むことを特徴とする原子層堆積プロセス。
(14) 前記ベース誘電体層(BDL)の各々が、
(a)ベース金属プリカーサが堆積される基板を備えたチャンバ内に、ベース金属プリカーサをアルゴン搬送ガスと共にパルス導入するステップと、
(b)前記基板の表面で前記ベース金属プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記ベース金属プリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(c)オゾン、O2又はH2Oであるオキシダントを前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(d)前記オキシダントを前記チャンバからパージするステップと、
(e)前記ベース誘電体層(BDL)が所望する厚さに到達するまで前記(a)〜(d)のステップを繰り返すステップと、により形成されることを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(15) 前記ラミネート誘電体層(LDL)の各々が、
(a)ベース金属プリカーサが堆積される基板を備えたチャンバ内に、ベース金属プリカーサをアルゴン搬送ガスと共にパルス導入するステップと、
(b)前記基板の表面で前記ベース金属プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記ベース金属プリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(c)オゾン、O2又はH2Oであるオキシダントを前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(d)前記オキシダントを前記チャンバからパージするステップと、
(e)ドーパントプリカーサをアルゴン搬送ガスと共に前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(f)前記ベース金属プリカーサ上で前記ドーパントプリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記ドーパントプリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(g)オキシダントを前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(h)前記オキシダントを前記チャンバからパージするステップと、
(i)前記ラミネート誘電体層(LDL)が所望する厚さに到達するまで前記(a)〜(h)のステップを繰り返すステップと、により形成されることを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(16) 前記アロイ誘電体層(ADL)の各々が、
(a)ベース金属プリカーサが堆積される基板を備えたチャンバ内に、ベース金属プリカーサをアルゴン搬送ガスと共にパルス導入するステップと、
(b)前記基板の表面で前記ベース金属プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記ベース金属プリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(c)ドーパントプリカーサをアルゴン搬送ガスと共に前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(d)前記ベース金属プリカーサ上で前記ドーパントプリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記ドーパントプリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(e)オキシダントを前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(f)前記オキシダントを前記チャンバからパージするステップと、
(g)前記アロイ誘電体層(ADL)が所望する厚さに到達するまで前記(a)〜(f)のステップを繰り返すステップと、により形成されることを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(17) 前記共堆積誘電体層(CDL)の各々が、
(a)ベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサが堆積される基板を備えたチャンバ内に、ベース金属プリカーとドーパントプリカーサを共に、アルゴン搬送ガスと共にパルス導入するステップと、
(b)前記基板の表面での混合した前記ベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記ベース金属プリカーサ及びドーパントプリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(c)オキシダントを前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(d)前記オキシダントを前記チャンバからパージするステップと、
(e)前記共堆積誘電体層(CDL)が所望する厚さに到達するまで前記(a)〜(d)のステップを繰り返すステップと、により形成されることを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(18) 前記リーク遮蔽層(LBL)の各々が、
(a)リーク遮蔽プリカーサが堆積される基板を備えたチャンバ内に、リーク遮蔽プリカーサをアルゴン搬送ガスと共にパルス導入するステップと、
(b)前記基板の表面で前記リーク遮蔽プリカーサの自己限界堆積が完了した後、過剰の前記リーク遮蔽プリカーサを前記チャンバからパージするステップと、
(c)オキシダントを前記チャンバ内にパルス導入するステップと、
(d)前記オキシダントを前記チャンバからパージするステップと、
(e)前記リーク遮蔽層(LBL)が所望する厚さに到達するまで前記(a)〜(d)のステップを繰り返すステップと、により形成されることを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(19) 不活性ガスの存在下、300℃〜900℃の温度にてアニーリングを行う後処理アニーリングにより、前記誘電性複合体構造を結晶学的に安定化させるステップをさらに有することを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(20) 前記誘電性複合体構造に対し赤外線、可視光線又は紫外線を照射する後処理アニーリングにより、前記誘電性複合体構造を結晶学的に安定化させるステップをさらに有することを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
(21) 前記誘電性複合体構造に対し電子又はイオンを照射する後処理アニーリングにより、前記誘電性複合体構造を結晶学的に安定化させるステップをさらに有することを特徴とする上記(13)の原子層堆積プロセス。
【符号の説明】
【0057】
10 誘電性複合体構造
20 プロセス
22 BDL形成プロセス
24 ドープ誘電体層形成プロセス
26 LBL形成プロセス
200 コントローラ