特許第6906574号(P6906574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906574
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】車載装置及び車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-158445(P2019-158445)
(22)【出願日】2019年8月30日
(65)【公開番号】特開2021-39399(P2021-39399A)
(43)【公開日】2021年3月11日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】株式会社Mobility Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】木村 尭海
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 祐介
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−128227(JP,A)
【文献】 特開2013−242763(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0209889(US,A1)
【文献】 特開2010−152687(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102015207774(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00− 1/40、 3/00−9/40
G08G 1/00−99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行状態であるか否かを判定する走行状態判定部と、
前記車両が走行状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記車両に搭載された撮像装置が撮像した前記車両の運転手の撮像画像を取得する取得部と、
車両管理装置へ前記撮像画像を送信する第1送信部と、
前記車両管理装置が前記撮像画像に基づいて特定した前記運転手に関する運転手情報であって、前記運転手の基準姿勢を示す運転手情報を受信する受信部と、
前記撮像画像が示す前記運転手の姿勢と、前記運転手情報が示す前記基準姿勢との間の差が、前記運転手に通知するための通知条件を満たすか否かを判定する姿勢判定部と、
前記受信部が前記運転手情報を受信した場合に、前記運転手による前記車両の運転に関する運転情報を、前記車両管理装置へ送信する第2送信部と、
を有する、車載装置。
【請求項2】
前記受信部が前記運転手情報を受信した後、前記走行状態判定部は、前記車両が一時停止状態になった後に走行状態になったか否かを判定し、
前記走行状態判定部が、前記車両が一時停止状態になった後に走行状態になったと判定した際に、前記取得部は前記撮像画像を再度取得し、
前記第1送信部は、前記取得部が再度取得した前記撮像画像を再度送信し、
前記受信部は、前記第1送信部が再度送信した前記撮像画像に基づいて前記車両管理装置が特定した前記運転手情報を受信する、請求項に記載の車載装置。
【請求項3】
前記第1送信部は、前記車両が一時停止状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記運転手が所定動作をしたことを条件として、前記取得部が再度取得した前記撮像画像を再度送信する、請求項に記載の車載装置。
【請求項4】
車両が走行状態であるか否かを判定する走行状態判定部と、
前記車両が走行状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記車両に搭載された撮像装置が撮像した前記車両の運転手の撮像画像を取得する取得部と、
車両管理装置へ前記撮像画像を送信する第1送信部と、
前記車両管理装置が前記撮像画像に基づいて特定した前記運転手に関する運転手情報を受信する受信部と、
前記受信部が前記運転手情報を受信した場合に、前記運転手による前記車両の運転に関する運転情報を、前記車両管理装置へ送信する第2送信部と、
を有し、
前記受信部が前記運転手情報を受信した後、前記走行状態判定部は、前記車両が一時停止状態になった後に走行状態になったか否かを判定し、
前記走行状態判定部が、前記車両が一時停止状態になった後に走行状態になったと判定した際に、前記取得部は前記撮像画像を再度取得し、
前記第1送信部は、前記車両が一時停止状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記運転手が所定動作をしたことを条件として、前記取得部が再度取得した前記撮像画像を再度送信し、
前記受信部は、前記第1送信部が再度送信した前記撮像画像に基づいて前記車両管理装置が特定した前記運転手情報を受信する、
車載装置。
【請求項5】
車両に搭載された車載装置と、前記車載装置と通信可能な車両管理装置とを含み、
前記車載装置は、
前記車両が走行状態であるか否かを判定する走行状態判定部と、
前記車両が走行状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記車両に搭載された撮像装置が撮像した前記車両の運転手の撮像画像を取得する取得部と、
前記車両管理装置へ前記撮像画像を送信する第1送信部と、
前記運転手に関する運転手情報であって、前記運転手の基準姿勢を示す運転手情報を受信する受信部と、
前記撮像画像が示す前記運転手の姿勢と、前記運転手情報が示す前記基準姿勢との間の差が、前記運転手に通知するための通知条件を満たすか否かを判定する姿勢判定部と、
前記受信部が前記運転手情報を受信した場合に、前記運転手による前記車両の運転に関する運転情報を、前記車両管理装置へ送信する第2送信部と、
を有し、
前記車両管理装置は、
前記車載装置から受信した前記撮像画像に基づいて前記運転手を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記運転手に関する前記運転手情報を前記車載装置へ送信する送信部と、
前記車載装置から受信した前記運転情報を、前記特定部が特定した前記運転手と関連付けて記憶する記憶部と、
を有する、車両管理システム。
【請求項6】
前記車両管理装置は、前記運転手の過去の前記撮像画像に基づいて、前記基準姿勢を示す前記運転手情報を生成する生成部をさらに有する、請求項に記載の車両管理システム。
【請求項7】
前記車両管理装置は、前記車載装置から受信した前記運転情報に基づいて、前記運転手を評価する評価部をさらに有する、請求項5又は6に記載の車両管理システム。
【請求項8】
前記車両管理装置の前記評価部は、前記運転手情報において所定属性が設定されている前記運転手を評価し、前記運転手情報において前記所定属性が設定されていない前記運転手を評価しない、請求項に記載の車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転に関する情報を管理するための車載装置及び車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転手の撮像画像に基づいて運転手を特定することによって、第三者による車両の盗難を防いだり、運転手ごとに運転の評価を行ったりするシステムの開発が行われている。特許文献1には、車両のシフトレバーがパーキングポジションに位置している際に、車両内に設置された撮像装置が撮像した撮像画像に基づいて、運転手が登録された運転手か否かを判別するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−99395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムは、車両が停止している際に撮像した撮像画像を用いて、運転手の判別を行う。しかしながら、車両が停止している際に運転手は車両に乗降可能であるため、システムが運転手の判別を行った後に運転手が交替すると、判別された運転手と車両を運転している運転手とが一致しなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、車両を実際に運転している運転手を高い精度で特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の車載装置は、車両が走行状態であるか否かを判定する走行状態判定部と、前記車両が走行状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記車両に搭載された撮像装置が撮像した前記車両の運転手の撮像画像を取得する取得部と、車両管理装置へ前記撮像画像を送信する第1送信部と、前記車両管理装置が前記撮像画像に基づいて特定した前記運転手に関する運転手情報を受信する受信部と、前記受信部が前記運転手情報を受信した場合に、前記運転手による前記車両の運転に関する運転情報を、前記車両管理装置へ送信する第2送信部と、を有する。
【0007】
前記受信部は、前記運転手の基準姿勢を示す前記運転手情報を受信し、前記車載装置は、前記撮像画像が示す前記運転手の姿勢と、前記運転手情報が示す前記基準姿勢との間の差が、前記運転手に通知するための通知条件を満たすか否かを判定する姿勢判定部をさらに有する。
【0008】
前記受信部が前記運転手情報を受信した後、前記走行状態判定部は、前記車両が一時停止状態になった後に走行状態になったか否かを判定し、前記走行状態判定部が、前記車両が一時停止状態になった後に走行状態になったと判定した際に、前記取得部は前記撮像画像を再度取得し、前記第1送信部は、前記取得部が再度取得した前記撮像画像を再度送信し、前記受信部は、前記第1送信部が再度送信した前記撮像画像に基づいて前記車両管理装置が特定した前記運転手情報を受信してもよい。
【0009】
前記第1送信部は、前記車両が一時停止状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記運転手が所定動作をしたことを条件として、前記取得部が再度取得した前記撮像画像を再度送信してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様の車両管理システムは、車両に搭載された車載装置と、前記車載装置と通信可能な車両管理装置とを含み、前記車載装置は、前記車両が走行状態であるか否かを判定する走行状態判定部と、前記車両が走行状態であると前記走行状態判定部が判定した際に前記車両に搭載された撮像装置が撮像した前記車両の運転手の撮像画像を取得する取得部と、前記車両管理装置へ前記撮像画像を送信する第1送信部と、前記運転手に関する運転手情報を受信する受信部と、前記受信部が前記運転手情報を受信した場合に、前記運転手による前記車両の運転に関する運転情報を、前記車両管理装置へ送信する第2送信部と、を有し、前記車両管理装置は、前記車載装置から受信した前記撮像画像に基づいて前記運転手を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記運転手に関する前記運転手情報を前記車載装置へ送信する送信部と、前記車載装置から受信した前記運転情報を、前記特定部が特定した前記運転手と関連付けて記憶する記憶部と、を有する。
【0011】
前記車両管理装置の前記送信部は、前記運転手の基準姿勢を示す前記運転手情報を前記車載装置へ送信し、前記車載装置は、前記撮像画像が示す前記運転手の姿勢と、前記運転手情報が示す前記基準姿勢との間の差が、前記運転手に通知するための通知条件を満たすか否かを判定する姿勢判定部をさらに有してもよい。
【0012】
前記車両管理装置は、前記運転手の過去の前記撮像画像に基づいて、前記基準姿勢を示す前記運転手情報を生成する生成部をさらに有してもよい。
【0013】
前記車両管理装置は、前記車載装置から受信した前記運転情報に基づいて、前記運転手を評価する評価部をさらに有してもよい。
【0014】
前記車両管理装置の前記評価部は、前記運転手情報において所定属性が設定されている前記運転手を評価し、前記運転手情報において前記所定属性が設定されていない前記運転手を評価しなくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一例として、車両を実際に運転している運転手を高い精度で特定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る車両管理システムの概要を説明するための図である。
図2】実施形態に係る車両管理システムのブロック図である。
図3】取得部が取得する例示的な撮像画像を示す図である。
図4】姿勢判定部が運転手の姿勢を判定する方法を説明するための模式図である。
図5】通知を表示している車載装置の正面図である。
図6】評価部が運転手を評価する方法を説明するための模式図である。
図7】車両管理システムが運転手を再度特定する方法を説明するための模式図である。
図8】実施形態に係る車両管理システムが実行する車両管理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[車両管理システムの概要]
図1は、本実施形態に係る車両管理システムSの概要を説明するための図である。車両管理システムSは、車両の運転に関する情報を管理するシステムであり、車両管理装置1と、車載装置2と、撮像装置3とを備える。本実施形態に係る車両管理システムSは、旅客を輸送するためのタクシー、顧客に貸与されるレンタカー、貨物を輸送するためのトラック等の車両の管理に適用される。車両管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0018】
車両管理装置1は、車両の運転に関する情報を管理するサーバ等のコンピュータである。車両管理装置1は、車両に設けられた撮像装置3が撮像した撮像画像に基づいて運転手を特定し、運転手による車両の運転に関する運転情報を記録する。車両管理装置1は、インターネット等の通信ネットワークを介して複数の車載装置2と接続されている。
【0019】
車載装置2は、車両に関連付けられた情報端末である。車載装置2は、車両に内蔵されるカーナビゲーションシステムや車載コンピュータであってもよく、車両を運転する運転手が保有するスマートフォンやタブレット端末であってもよい。車載装置2は、運転手に対して情報を表示し、また運転手による操作を受け付ける運転手用アプリケーション(車両管理プログラム)がインストールされている。
【0020】
撮像装置3は、車両内を撮像する1つ以上の撮像部を含む装置である。撮像装置3は、車両に固定されてもよく、車載装置2と一体化されていてもよい。撮像装置3は、撮像部を用いて撮像した撮像画像を、車載装置2へ送信する。
【0021】
本実施形態に係る車両管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。車載装置2は、運転手用アプリケーションが起動されると、車両が走行状態であるか否かを判定する。車載装置2は、車両が走行状態であると判定した際に、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像を取得し、車両管理装置1へ送信する。
【0022】
車両管理装置1は、車載装置2から受信した車載装置から受信した撮像画像に基づいて、運転手を特定する。車両管理装置1は、特定した運転手に関する運転手情報を車載装置2へ送信する。例えば運転手情報は、運転手を識別可能な識別情報と、運転手の基準姿勢を示す基準姿勢情報とを含む。
【0023】
車載装置2は、車両管理装置1から運転手情報を受信した場合に、運転手による車両の運転に関する運転情報を、車両管理装置1へ送信する。例えば運転情報は、速度、加速度、急加速回数、急ブレーキ回数を含む。また、車載装置2は、運転手情報が示す基準姿勢に基づいて運転手の姿勢を監視し、所定の条件が満たされた場合に運転手に対して通知する。車両管理装置1は、車載装置2から受信した運転情報を、運転手と関連付けて記憶部に記憶させる。
【0024】
このように車両管理システムSは、車両が走行状態である場合に撮像された撮像画像に基づいて運転手を特定し、特定した運転手による車両の運転に関する情報を記録する。これにより、車両管理システムSは、運転手を特定した後に運転手が交替することがないため、車両を実際に運転している運転手を高い精度で特定できる。
【0025】
[車両管理システムの構成]
図2は、本実施形態に係る車両管理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0026】
車両管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、受信部131と、特定部132と、生成部133と、送信部134と、評価部135とを有する。
【0027】
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介して車載装置2と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、車両管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部131、特定部132、生成部133、送信部134及び評価部135として機能する。制御部13の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部13の機能の少なくとも一部は、制御部13がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0029】
車載装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、表示部24と、操作部25とを有する。制御部23は、走行状態判定部231と、取得部232と、第1送信部233と、受信部234と、姿勢判定部235と、第2送信部236とを有する。
【0030】
通信部21は、インターネット等の通信ネットワークを介して車両管理装置1と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、車載装置2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部23との間でデータの授受を行ってもよい。
【0031】
制御部23は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、走行状態判定部231、取得部232、第1送信部233、受信部234、姿勢判定部235及び第2送信部236として機能する。制御部23の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部23の機能の少なくとも一部は、制御部23がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0032】
表示部24は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含む。操作部25は、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等を含む。
【0033】
本実施形態に係る車両管理システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。車両管理装置1及び車載装置2は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。例えば車両管理装置1は、単一のコンピュータによって構成されてもよく、互いに連携する複数のコンピュータによって構成されてもよく、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0034】
[車両管理方法の説明]
以下、本実施形態に係る車両管理システムSが実行する車両管理方法を詳細に説明する。まず運転手は、車載装置2において、運転手用アプリケーション(車両管理プログラム)を起動する。運転手用アプリケーションが起動されると、走行状態判定部231は、車両が走行状態であるか否かを繰り返し判定する。例えば走行状態判定部231は、車両に設けられたセンサから取得した速度、加速度、ギアの状態又はパーキングブレーキの状態に基づいて、車両が走行状態であるか否かを判定する。また、走行状態判定部231は、車両に設けられたGPS(Global Positioning System)受信機から取得した信号に基づいて算出された位置の変化に基づいて、車両が走行状態であるか否かを判定してもよい。
【0035】
車両が走行状態であると走行状態判定部231が判定した際に、取得部232は、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像を取得する。例えば取得部232は、車両が走行状態であると走行状態判定部231が判定したタイミングで撮像装置3に撮像指示を送信することによって、撮像画像を取得する。また、取得部232は、撮像装置3が定期的に撮像している撮像画像の中から、車両が走行状態であると走行状態判定部231が判定したタイミングに最も近い時刻に撮像された撮像画像を取得してもよい。第1送信部233は、取得部232が取得した撮像画像を、車両管理装置1へ送信する。
【0036】
図3は、取得部232が取得する例示的な撮像画像IM1を示す図である。撮像画像IM1は、運転手を特定可能であり、かつ運転手の姿勢を判定可能であるように、運転手の少なくとも一部の領域(例えば運転手の上半身)を含む画像である。
【0037】
車両管理装置1において、受信部131は、車載装置2が送信した撮像画像を受信する。特定部132は、受信部131が受信した撮像画像に基づいて、車両の運転手を特定する。例えば記憶部12は、複数の運転手それぞれの画像(又は画像から抽出された特徴情報)と、運転手を識別可能な識別情報(ユーザID等)とを関連付けて、予め記憶している。特定部132は、受信部131が受信した撮像画像に対して、既知の画像認識技術(人物認識技術)を適用することによって、記憶部12に予め記憶された複数の画像に対応する複数の運転手の中から、撮像画像に含まれている運転手を特定する。
【0038】
生成部133は、特定部132が特定した運転手の基準姿勢を示す基準姿勢情報を生成する。基準姿勢は、後述のように車載装置2が運転手の姿勢が乱れているか否かを判定する基準となる姿勢である。基準姿勢は、運転手の体における複数の関節の位置によって表される。例えば生成部133は、特定部132が特定した運転手について、受信部131が車載装置2から過去(例えば現在から遡った数日間)に受信した複数の撮像画像それぞれに対して、既知の姿勢検知技術を適用することによって、運転手の姿勢を検知する。そして生成部133は、検知した複数の姿勢の統計値(平均値、中央値、最頻値等)を、基準姿勢として特定する。また、基準姿勢は、複数の運転手の間で共通であってもよい。基準姿勢情報は、予め生成されて記憶部12に記憶されてもよい。
【0039】
送信部134は、特定部132が特定した運転手を識別可能な識別情報と、特定部132が特定した運転手の基準姿勢を示す基準姿勢情報とを含む運転手情報を、車載装置2へ送信する。
【0040】
車載装置2において、受信部234は、車両管理装置1が送信した運転手情報を受信する。受信部234が運転手情報を受信した後、取得部232は、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像を繰り返し取得する。姿勢判定部235は、取得部232が取得した撮像画像が示す運転手の姿勢と、受信部234が受信した運転手情報が示す基準姿勢との間の差が、運転手に通知するための通知条件を満たすか否かを判定する。
【0041】
図4は、姿勢判定部235が運転手の姿勢を判定する方法を説明するための模式図である。姿勢判定部235は、取得部232が取得した撮像画像IM1に対して、既知の姿勢検知技術を適用することによって、撮像画像IM1が示す姿勢を検知する。撮像画像IM1が示す姿勢は、運転手の体における複数の関節の位置によって表される。姿勢判定部235は、撮像画像IM1が示す姿勢と、受信部234が受信した運転手情報が示す基準姿勢Pとの間の差(例えば各関節の位置の差の平均値)を算出する。そして姿勢判定部235は、算出した差が所定値以上である場合に通知条件が満たされていると判定し、そうでない場合に通知条件が満たされていないと判定する。姿勢判定部235は、通知条件が満たされていると判定した場合に、所定の通知を表示部24に表示させる。姿勢判定部235は、所定の音声を出力することによって、運転手に通知してもよい。
【0042】
図5は、通知241を表示している車載装置2の正面図である。通知241は、運転手の姿勢が乱れていることを示すメッセージを含む。これにより、運転手は、自分の姿勢が基準姿勢と比較して乱れているか否かを知ることができ、運転中の姿勢を改めることができる。
【0043】
第2送信部236は、運転手による車両の運転に関する運転情報を取得する。例えば運転情報は、速度、加速度、急加速回数及び急ブレーキ回数を含む。例えば第2送信部236は、車両に設けられたセンサから速度及び加速度を取得し、さらに取得した加速度から急加速回数及び急ブレーキ回数を算出する。第2送信部236は、ハンドル操作に関する情報、方向指示器の操作に関する情報等、運転手による車両の運転に関するその他の情報を、運転情報として取得してもよい。また、運転情報は、姿勢判定部235が判定した姿勢の判定結果を含んでもよい。
【0044】
第2送信部236は、取得した運転情報を、取得部232が取得した撮像画像とともに車両管理装置1へ送信する。第2送信部236は、取得した運転情報を、逐次送信してもよく、所定の時間間隔で定期的に送信してもよく、運転の終了時に一括で送信してもよい。また、第2送信部236は、取得した運転情報が、同一の運転手が所定時間以上運転を行っていたことを示す場合に、連続運転時間が長いことを示す通知を表示部24に表示させてもよい。第2送信部236は、所定の音声を出力することによって、運転手に通知してもよい。
【0045】
車両管理装置1において、受信部131は、車載装置2が送信した運転情報及び撮像画像を受信する。受信部131は、車載装置2から受信した運転情報及び撮像画像を、運転手(すなわち運転手の識別情報)と関連付けて記憶部12に記憶させる。評価部135は、受信部131が受信した運転情報に基づいて、特定部132が特定した運転手を評価し、評価結果を示す評価情報を生成する。
【0046】
図6は、評価部135が運転手を評価する方法を説明するための模式図である。例えば評価部135は、運転情報が含む速度、加速度、急加速回数及び急ブレーキ回数に基づいて、運転手による車両の運転の安全性、乗り心地、ムラ等を評価する。評価部135が行う運転手の評価は、ここに示した具体的な項目に限定されない。評価部135は、評価結果を示す評価情報を、運転手(すなわち運転手の識別情報)と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0047】
このとき、評価部135は、運転手情報において所定属性が設定されている運転手を評価し、運転手情報において所定属性が設定されていない運転手を評価しない。所定属性は、例えば運転手が評価対象であることを示すフラグである。これにより、車両管理システムSは、特定の運転手のみを評価の対象とし、それ以外の運転手を評価しないことによって、処理の負荷を軽減できる。
【0048】
このように車両管理システムSは、車両が走行状態である場合に撮像された撮像画像に基づいて運転手を特定するため、特定した運転手と車両を運転している運転手とが高い確率で一致する。そのため、車両管理システムSは、高い精度で特定した運転手による車両の運転に関する情報を、運転手と関連付けて記録することができる。
【0049】
さらに車両管理システムSは、車両が走行状態の際に運転手を特定した後、運転手が交替し得る状況になった場合に、運転手を再度特定する。図7は、車両管理システムSが運転手を再度特定する方法を説明するための模式図である。
【0050】
上述のように、車載装置2において、受信部234は、車両が走行状態であると走行状態判定部231が判定した際に取得部232が取得した撮像画像IM1に基づいて特定された運転手の運転手情報を受信する。その後、走行状態判定部231は、車両が一時停止状態であるか否かを繰り返し判定する。例えば走行状態判定部231は、車両に設けられたセンサから取得した速度、加速度、ギアの状態又はパーキングブレーキの状態に基づいて、車両が一時停止状態であるか否かを判定する。また、走行状態判定部231は、車両に設けられたGPS受信機から取得した信号に基づいて算出された位置の変化に基づいて、車両が一時停止状態であるか否かを判定してもよい。
【0051】
車両が一時停止状態であると走行状態判定部231が判定した際に、取得部232は、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像IM2を取得する。取得部232は、一時停止状態における撮像画像IM2に基づいて、運転手が所定動作をしたか否かを判定する。所定動作は、運転手が撮像装置3の撮像範囲の外に出る動作である。例えば取得部232は、撮像画像IM2に基づいて運転手の顔の位置を検出し、運転手の顔が撮像画像IM2の範囲内にない場合に、所定動作をしたと判定する。取得部232は、撮像画像IM2を用いず、車両に設けられた赤外線センサ等を用いて、運転手が撮像装置3の撮像範囲の外に出る所定動作をしたか否かを判定してもよい。
【0052】
運転手が所定動作をしたと取得部232が判定した場合に、走行状態判定部231は、車両が一時停止状態になった後に走行状態になったか否かを繰り返し判定する。車両が一時停止状態になった後に走行状態になったと走行状態判定部231が判定した際に、取得部232は、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像を再度取得する。第1送信部233は、取得部232が再度取得した撮像画像(すなわち、走行状態における撮像画像)を、車両管理装置1へ再度送信する。
【0053】
車両管理装置1において、受信部131は、車載装置2が再度送信した撮像画像を受信する。特定部132は、受信部131が受信した撮像画像に基づいて、車両の運転手を特定する。送信部134は、特定部132が特定した運転手の運転手情報を、車載装置2へ送信する。
【0054】
車載装置2において、受信部234は、第1送信部233が再度送信した撮像画像に基づいて車両管理装置1が特定した運転手情報を受信する。このように、車両管理システムSは、車両が一時停止して運転手が交替し得る所定動作を行った場合に、走行状態における撮像画像を再度取得して運転手を改めて特定する。これにより、車両管理システムSは、高い精度で運転手を特定し続けることができる。車載装置2は、運転手が一時停止中に所定動作を行ったことを条件として撮像画像を車両管理装置1へ送信するため、通信負荷を軽減できる。また、車載装置2側で運転手が交替し得たかどうかを判定するため、車両管理装置1の処理負荷を軽減できる。
【0055】
上述の処理では、運転手が所定動作をしたことを条件として、第1送信部233は、取得部232が再度取得した撮像画像を送信しているが、運転手の所定動作の検出を省略してもよい。この場合には、運転手が所定動作をしたか否かに関わらず、走行状態判定部231は、車両が一時停止状態になった後に走行状態になったか否かを繰り返し判定する。車両が一時停止状態になった後に走行状態になったと走行状態判定部231が判定した際に、第1送信部233は、取得部232が再度取得した撮像画像を、車両管理装置1へ再度送信する。このような構成においても、車両管理システムSは、高い精度で運転手を特定し続けることができる。
【0056】
[車両管理方法のシーケンス]
図8は、本実施形態に係る車両管理システムSが実行する車両管理方法のシーケンス図である。まず運転手は、車載装置2において、運転手用アプリケーション(車両管理プログラム)を起動する。運転手用アプリケーションが起動されると、走行状態判定部231は、車両が走行状態であるか否かを繰り返し判定する(S11)。車両が走行状態であると走行状態判定部231が判定した際に、取得部232は、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像を取得する(S12)。第1送信部233は、取得部232が取得した撮像画像を、車両管理装置1へ送信する。
【0057】
車両管理装置1において、受信部131は、車載装置2が送信した撮像画像を受信する。特定部132は、受信部131が受信した撮像画像に基づいて、車両の運転手を特定する(S13)。生成部133は、特定部132が特定した運転手の基準姿勢を示す基準姿勢情報を生成する。基準姿勢情報は、予め生成されて記憶部12に記憶されてもよい。送信部134は、特定部132が特定した運転手を識別可能な識別情報と、特定部132が特定した運転手の基準姿勢を示す基準姿勢情報とを含む運転手情報を、車載装置2へ送信する(S14)。
【0058】
車載装置2において、受信部234は、車両管理装置1が送信した運転手情報を受信する。受信部234が運転手情報を受信した後、取得部232は、撮像装置3が撮像した運転手の撮像画像を繰り返し取得する。姿勢判定部235は、取得部232が取得した撮像画像が示す運転手の姿勢と、受信部234が受信した運転手情報が示す基準姿勢との間の差が、運転手に通知するための通知条件を満たすか否かを判定する(S15)。姿勢判定部235は、通知条件が満たされていると判定した場合に、所定の通知を表示部24に表示させる。姿勢判定部235は、所定の音声を出力することによって、運転手に通知してもよい。
【0059】
第2送信部236は、運転手による車両の運転に関する運転情報を取得する。第2送信部236は、取得した運転情報を、取得部232が取得した撮像画像とともに車両管理装置1へ送信する(S16)。
【0060】
車両管理装置1において、受信部131は、車載装置2が送信した運転情報及び撮像画像を受信する。受信部131は、車載装置2から受信した運転情報及び撮像画像を、運転手(すなわち運転手の識別情報)と関連付けて記憶部12に記憶させる(S17)。
【0061】
評価部135は、受信部131が受信した運転情報に基づいて、特定部132が特定した運転手を評価し、評価結果を示す評価情報を生成する(S18)。評価部135は、評価結果を示す評価情報を、運転手(すなわち運転手の識別情報)と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0062】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る車両管理システムSは、車両が走行状態である場合に撮像された撮像画像に基づいて運転手を特定し、特定した運転手による車両の運転に関する情報を記録する。これにより、車両管理システムSは、運転手を特定した後に運転手が交替することがないため、車両を実際に運転している運転手を高い精度で特定できる。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0064】
車両管理装置1及び車載装置2のプロセッサは、図8に示す車両管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、車両管理装置1及び車載装置2のプロセッサは、図8に示す車両管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して車両管理システムSの各部を制御することによって、図8に示す車両管理方法を実行する。図8に示す車両管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0065】
S 車両管理システム
1 車両管理装置
12 記憶部
13 制御部
131 受信部
132 特定部
133 生成部
134 送信部
135 評価部
2 車載装置
22 記憶部
23 制御部
231 走行状態判定部
232 取得部
233 第1送信部
234 受信部
235 姿勢判定部
236 第2送信部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8